仕事と勉強を両立させる時間術_佐藤孝幸 はじめに  私は現在弁護士として仕事をしていますが、これ まで米国公認会計士、司法試験、公認内部監査人、 公認金融監査人など、いくつかの資格を取得してき ました。  別に資格マニアというわけではなく、いずれも仕 事の延長線上として、取得すれば仕事の幅が広がる だろうと判断してのことです。  そんなこともあり、資格試験を受ける人だちから 相談を受けることがありますが、相談内容で一番多 いのは「仕事をしながら勉強時間を確保するにはど うすればよいか?」ということです。  そこで、本書では仕事のムダを省き、結果に結び つく効果的な勉強法で、今までと同じ時間に倍の価 値を与える方法をお教えします。  私か現在有している資格は、すべて働きながら勉 強をして取得したものです。  本書を出版するにあたり、私自身の体験や私同様 働きながら資格試験に合格した元同僚を観察するな どして、徹底的に効率を上げるための最大のポイン トは何かを考えてみました。  そしてたどり着いた結論は、「身の回りのムダを できるだけ減らし、シンプルにしていく」というも のでした。ノートを取ったり、語呂で暗記したり、 あるいは整理術・スケジュール管理、流行りのツー ルを活用したり……。要領が悪いのは、これらをう まく活用できないからではありません。ノートや手 帳などのツールが果たすのは、あくまでも効率化の 補助的役割です。  本書は、そうした小手先のスキルや楽をする方法 の一種のアンチテーゼともなっています。  本当に効率化をしたいのなら、本来改善すべきは 日々の仕事や勉強に費やす「時間」に対するコスト 意識です。目に見える部分ではなく、もっと本質的 な部分で役立つ、実践すれば誰でもかけた労力がそ のまま報われる時間の使い方をご紹介していきます。  そして、本書で述べるポイントをおさえて行動す るだけで、目標までにかかる時間を最短にすること ができるでしょう。  明日すぐに効果があらわれるということはないか もしれませんが、やればやるほど、心がければ心が けるほど、確実に変わっていくことは請け合いです。  ところで、一口に勉強と言っても動機や目的はさ まざまでしよう。私のように資格取得を目指すのか、 語学を習得したいのか、起業のためなのか。また、 ある程度勉強をしている人なのか、これからはじめ る人なのかによって必要なことは変わってきます。  そこで本書では、大きく5つの章に分け、時間の 使い方、考え方について説明していきます。  ただ、これらはあくまで私か実践してきた方法な ので、自分に合うと思えば採用してもらい、自分に は合わないと思うのであれば参考程度にしていただ ければと思います。  重要なのは本書の内容を受け、自ら考え判断し、 どう結果に結びつけるかだと私は考えています。今 本書を手にしている方の中には、明日どうなるかわ からないという現代社会に、漠然とした不安を抱え ている方も多いのではないでしょうか。  本文で詳しくお話ししますが、実は私か勉強をは しめた直接的なきっかけも「不安」でした。  ただ、働きながら試験勉強をしてきて思うのは、 勉強をすればしただけ身になっていき、それは決し てムダにはならないということです。  しかしそれも、やり方を間違えたまま勉強を続け るのでは結果を出す前に挫折してしまいます。費や した時間、労力、お金、それらすべてを結果に繋げ るため、本書から、ぜひそのエッセンスだけでも吸 収していただければと思います。                    佐藤孝幸 @欲と危機感を抱け  時はさかのぼり、私か大学生だった頃の話です。  1980年代末、バブルの全盛期でした。空前の 。超売り手市場”の中、ある外資系の銀行に就職し ました。  もともと外資系に就職してバリバリ働きたかった、 ということではありません。人付き合いがわずらわ しくなく、かつ転勤の可能性もないということで選 んだ会社です。  というのも、私は社会人として2年くらい働いた ら大学院で勉強をするつもりでした。資格を取るこ となど夢にも思わず、「とりあえず仕事には困らな いだろうし、好きなことをやろう」。それくらいの 感覚で社会人になってしまったのです。  ですが当然、現実はそんな甘いものではありませ んでした。  私のいた会社では、新人だからといって何を教え てくれるということはありませんでした。  わからないことは許されず、完全に放置されます。 簿記などの必要な知識は自分で身につける必要が あったのです。  ただ、そんなのは序の口。  きついとは言え、まだまだ気持ち的には「何とか なる」という状態でした。私の人生観を変える決定 的な出来事は、入社2年目に待っていました。  バブルの崩壊です。  先輩社員たちが次々とリストラされていく様を見 ました。  幸い年次が柢く、先輩社員に比べて給料の少ない 私かすぐターゲットになるということはありません でした。  ただ、その様子はかなりの恐怖と危機感を私にも たらしました。転職をしようか、リストラされたら この先どうなってしまうのだろう……。さすがに焦 りました。  しかしそんな中、よく面倒を見てくれていた経理 部長だけは涼しい顔をしていました。マイペースに 仕事をこなし、常に余裕なのです。  もちろん、それには理由があります。  外資系企業とは、外国の企業のことです。つまり、 本国で培ってきた商売の習慣やルールがあります。  ですが、本拠地が外国にあるといえども、商売す る場所は日本なのです。すなわち、そこには日本独 自の法律やルールがあるわけで、どんな企業もそれ を無視することはできません。  外資系の経理部とは、まさにその点を指摘できる 部署なのでした。「囗本の法律はこうなので、それ はできません」。そう言ってしまえば、たとえトッ プが外国の人であれ、意見のしようがありません。  彼はそんな経理部署のトップであり、さらに税理 士の資格も持っていたのです。 「この人は磐石だ」と私は思いました。  社内でも十分に価値が認められているし、そのう え税理士という資格があるので、他の会社でも重宝 されます。  私の価値観、考え方はそのときに変わりました。 将来世界がどうなっても大丈夫なように資格を取ら ないといけない。  それも難易度の高い、普通の人は持っていないよ うな資格を取ろう。そんな欲が私を駆り立てました。  そんな折、電車の中の広告でふと見つけたのが 「米国公認会計士」という資格でした。  あまり聞きなれない資格だと思いますが、米国公 認会計士とは、USCPAと呼ばれ、文字どおりア メリカで公認会計士として働くための資格です。  私もはじめて聞いた資格でしたが、調べてみると 試験は私の得意な4択のマークシート式。また、面 接もないのでずば抜けた英語力は必要なく、大学入 試レベルでOK。  さらに、囗本の公認会計士のように合格者を上か ら成績順に取るというのではなく、一定の点数に達 すれば誰でも取得できるということがわかりました。  ちょうど会計の知識を身につけたいと思っていた 私は、「これだ’・」と資格の取得に全力を注ぐこと を決意しました。  就職2年目、H月のことでした。  本番の試験はその翌年のH月、期間はちょうど1 年です。私は過去類を見ないくらいのパフォーマン スを発揮して勉強したと思います。  そして次の年、結果的に私はUSCPAの試験に 合格することになります。  働きながら、しかもタイムリミットもあったので、 「いかに効率よく勉強するか」を重点的に考え、試 験に挑みました。  その後、資格の取得には会計事務所での実務経験 が必須だったので、私はアメリカヘ渡り、公認会計 士事務所で働くことになったのです。  と、ここまでが私の20代前半のお話です。何も、 「すごいだろう」と自慢したいのではありません。  そんなことはどうでもいいことで、言いたいのは、 結局やる気や集中力を自分の意思でコントロールす るなどほとんど不可能だということです。  私かそうだったように、結果を生み出すのは「効 率」です。そして、効率を支えるのは、「やる気」 と「集中力」です。  ただ、やる気や集中力は小手先のテクニックなど では生み出すことはできません。  やる気と集中力は、「欲」と「危機感」から生ま れるものなのです。  「このままだとヤバイぞ」という「危機感」が必然 的にやる気を呼び、有無を言わせず集中させるので す。  同じように、「あれがほしい」、「これがしたい」 という「欲」がやる気と集中力を発揮させるのです。  おそらくあなたも、仕事や受験勉強で追い込まれ たときは、自分でも驚くほどのパフォーマンスを発 揮したことがあるのではないでしょうか。  明日提出しないといけない書類、レポートなら必 死にやります。人間、やらなきや仕方ないものはや るのです。  つまり、欲や危機感をいかにして作り出すか、自 分をそういう環境に置けるか、それがポイントにな ります。  詳しくは、このあと私の実体験を踏まえながらお 話ししていきますが、まずは本書のガイダンスとし て、「欲」と「危機感」というキーワードをおさえ ておいてください。 A時間は金より何倍も    ヶチつて使え  では、人はどうすれば欲と危機感を抱けるように なるのでしょうか。そのキーになる要素は、「時間」 だと考えています。  時間は誰にでも平等です。世界に時間で計れない ものはありません。  私のI囗のスケジュールも、これまでの人生も、 これからの人生も、すべて時間で計ることができま す。  たとえば、私は朝ごはんを10分で済ませます。家 から会社までは30分です。メールは10秒で返します。 弁護士の仕事をあと10年続けるつもりです。といっ たように、分単位であれ、年単位であれ、時間はあ らゆる物事のバロメーターになります。  誰かの1分も私の1分も同じ。でも、使い方が違 う。それだけの話です。だからこそ、意識すべきは 時間の使い方になります。  このことを特に考えさせられたのは、USCPA の試験にパスしたあと、アメリカの公認会計士事務 所で働きはじめてからのことです。  数年でしたが、外資系で働いていた私は、ある程 度アメリカのスピードにもついて行けるだろうと高 をくくっていました。しかし、現実は想像以上。日 本での経験はまったく役に立だなかったと言ってい いほど、仕事の量と質が重視されました。  特に私のような新人の場合、黙っていても上司は 決して仕事をくれません。私の能力がどの程度なの かわからないからです。  そのため、自分の能力をアピールし、「仕事を ふってください」と社内営業する必要があります。 自分から仕事をもらいにいかなければ、結果どころ か、そもそも仕事にありつくことさえできないので す。  そして、仕事ができるかどうかの判断基準は、仕 事が速いかどうか。  一定以上のクオリティーはキープしたまま、とに かく回転率を上げなければ「仕事のできないやつ」 と判断されます。そうなると、もう二度と仕事はも らえません。  しかも、成果が出るまで1年も2年も待ってくれ るような悠長な上司はおらず、自分の給料の3倍く らいは結果を出さないと、すぐにクビです。そのた め、私は時間をそれまで以上に意識し、働くように しました。それこそ危機感です。  ですが、危機感の中で仕事をしていたおかげで、 何とかクビにされることなく済みました。事務所に いたのは約2年間でしたが、やる気と集中力を磨く には、時間が大きなポイントになると確信した職場 でした。  使い古された言い方ですが、時間は買えません。  昔から「時は金なり」と言いますが、お金は結局、 自分が時間を何にどう使ったか、その結果なのです。 その意味で、時間はお金以上に価植のあるものだと 私は思います。  まずはそのことを身をもって”実感”しましよう。  お金の使い方、お金の本質を知らないと投資がで きないように、時間の使い方がわかっていなければ 自己投資で結果を出すことなどできません。 B目標達成したいなら    短期で全力をかける  私は現在もコンスタントに資格取得を目指して勉 強しているのですが、資格を取ろうと思ったときは、 必ず「2年以内で取得する」と決めています。  ある目標に向かって取り組んでいくには、それく らいが限界だと思うからです。モチベーションや集 中力はそんなに続くものではありません。  経験上、資格勉強の場合、限界は2年なのです。 それを過ぎると当初のやる気も失せ、勉強も単なる ルーティンワークになりがちです。  「目標を達成してやる」という気持ちを最大限活か すには、短期決戦に限ります。  アメリカの公認会計士事務所で働いていたときの ことになりますが、私はどうにもアメリカの環境で 働き続けるというのは厳しいなあと思いはじめてい ました。  というのも、私の取得していた「専門職ビザ」の 期限は3年です。I同は更新できますが、それでも 最長6年。あとは永住権を獲得しなくてはならず、 できなければ帰国して日本での働き口を探さなけれ ばなりません。うっすらと帰国後のキャリアについ て考えていた頃のこと。ある折、私は法律に興味を 持つようになったのです。  当時の業務はアメリカに進出してくる日本企業を 対象にした税務コンサルティングだったので、どう しても税法に触れる機会が多くなりました。  また、その関係で事務所の研修としてロー・ス クールにも通っていて、そこでは税法に関するさま ざまな判例が取り上げられていました。この講義が 非常に面自かったということもあり、新たな欲がわ いたのです。それは、「法律をもっと勉強したい」 というものでした。  また同時に、帰国後のことを考えると「何として も法律の知識を身につけなければ」という危機感も ありました。  司法試験を受けて、弁護士として働くのはどうだ ろうと思いはしめたわけです。  その際も、期限はやはり2年。97年のはじめから、 98年の末くらいまでの2年間で取得を目指しました。 会計士事務所で働きながら勉強を続け、ビザがちょ うど切れるタイミングで会社を辞め、転職活動をし ながらの勉強。  結果的にはこれがうまくいき、今も続けている弁 護士としてのキャリアがスタートしたわけです。そ の間の具体的なスケジュール管理、手法については のちほど見ていきますが、まずは「○年間、○ケ月、 ○週間でやる」という目標を立てたら、そのために 全力を尽くすことです。  全力というのは、本業の手を抜いて勉強に力を注 ぐということではありません。  ムダな時間をI切なくして、残業をしないように 業務をこなし、勉強をする。  どこかの手を抜くよりも、どちらも全力でやる方 がかえって効率がよくなり、いい循環を生みます。  そして、目標設定はあくまでも短期間で。だらだ らと続けていてもまったく意味がありません。目標 を達成するときは、太く短くでいきましよう。 C行列に並ぶな  時間を効率的に使いたい。仕事と勉強を両立した い。そんなときまず見直さないといけないのは生活 習慣です。中でも、私か「ムダだと思うことは行列 に並ぶこと」です。  新商品が待ちきれなくて買うというのはもはや趣 味の領域なので何も言うことはありませんが、効率 を上げたいと考えるのならそうした行列に並ぼうと は思わないことです。  行列を見ると「何かあるような気がする」「人気 なのだろう」という心理が働くのでしょうが、いっ たい。何”があるのでしょうか。人が良いと言って いるものは、本当に自分にとって良いものなので しょヽつか?  横浜の中華街に行くとよくわかりますが、中華街 には肉まんを売っているお店が相当数あります。そ して不思議なことに、行く度に行列のできているお 店が変わります。  要は、たまたま2〜3人並んでいたお店に人がど んどん集まり、「人がいるから間違いないだろう」 という具合に、行列が行列を呼んでいくのです。別 のお店に行列ができていれば、そちらに並ぶでしよ  つまり、本来ならそのお店でなくたってよかった わけです。  効率を高めたいのなら、そうした目的意識のない 行動を取ってはいけません。  行列に並んでいる時間、その瞬間は大したもので はないかもしれませんが、行列に並ぶという習慣は 今後もずっと続くでしょう。「無料」、「限定」、「有 名」、「人気」いろいろな誘い文句があるかと思いま すが、ことあるごとに時間を擦り減らしていくかも しれません。  もちろん、行列に並ぶというのは一例に過ぎませ ん。  「得をしたい」、「損をしたくない」というのは人と してあたりまえの心理ですが、もっとよく考えて、 「本当に得なのか?」という冷静な視点も必要だと 思います。  得するために取った行動が、実は大きな損になっ ている……というのはよくあることなのです。 D「時間があればでき    る」なんて思うな  資格勉強をしている人の相談を受けていると、 「仕事を辞めて勉強をしようと思う」と言う大がた まにいますが、あまりおすすめできません。  前述のとおり、私はアメリカの公認会計士事務所 を辞め、囗本に戻りました。ビザがちょうど切れた というのが直接的な要因です。  ただ、もしそういう状況でなければ試験直前まで 働いていたと思います。囗本の企業で働いていたら 確実に仕事を続けていたでしょう。実際、囗本に 戻って司法試験の勉強をしているときは勉強と同時 に転職活動もしていました。理由は漠然とした不安 感、特に金銭面への不安からです。  司法試験本番までの間、貯金残高はみるみる減っ ていきます。安住とまではいかないまでも、とりあ えず安定的な収入をもらうことのできる仕事を辞め、 司法試験に挑戦。  失敗すれば、それまでの時間も努力も水の泡にな ります。辞めた会社に出戻りできればいいのでしょ うが、そんなわけにはいきません。その意味での保 険としての転職活動でした。転職活動自体は、US CPAという資格とアメリカで働いていたというこ ともあって数社から声をかけていただくことができ ました。  結果的にはそれらの会社で働くことはありません でしたが、「行き先がある」という安心感のおかげ で、一層試験勉強に集中できたとも思っています。  仕事を辞め、背水の陣で勉強に向かうことで危機 感があおられ、モチベーションも上がる。  たしかにそういう面はあるでしょう。しかしそも そもの話、そこまでのリスクを負う必要が果たして あるのでしょうか? 何よりも、「時間があれば勉 強ができる」「結果が出せる」なんていう考え方自 体がナンセンスな気がします。  時間があればできるというのは、逆に言えば「時 間がないから勉強できない」「時間がないから集中 できない」という言い訳の気持ちがどこかにあるか らではないでしょうか?  究極をいえば、仕事をしながらでも合格する人は 合格するでしょうし、できない人はできないのです。  それはやり方や時間の使い方の問題であり、時間 に対する考え方の違いだと思います。  今成果の出ていない多くの人は、たとえいくら時 間を得たとしても、あればあるだけムダな使い方を してしまうはずです。  総量が増えたとしても、本質的な時間の使い方は ほとんど変わりません。余裕が生まれれば生まれる ほど、その分効率は落ちていくものなのです。だか らこそ、短期集中。与えられた条件の中でいかにパ フォーマンスを発揮するかを考えなければいけませ ん。  それを追求する前から「時間があれば……」と嘆 くようでは、できることもできなくなってしまいま す。  勉強をやりはじめようと思っている人なら、まず は30分をIヶ月続ける。  勉強を続けていてスランプ気味の人なら、やり方 を見直し、徹底的に変えてみる。  ここからスタートしましよう。 E「何のために」「いつ   までに」を明確にし   ろ  現在、仕事や勉強で達成したい目標があるとき、 それを達成するためには、今一度「何のためにして いるのか?」という目的を明確にしてください。将 来独立をするため、転職のため、保険として、ある いは昇給や昇進、話のネタ、いろいろあると思いま す。  目標自体はどんなものでも構いません。それは人 それぞれ自由でしょう。  しかし、そもそものベースである「何のため」を 忘れてしまった人に目標を達成することなどできる はずがありません。  「この人は資格を取って何がしたいのだろう か……」私の経験上、そういう方は決して少なくあ りません。  また、明確な目的を決めるのと同様に必要なのは 「いつまでに」という期限を定めることです。  たとえば世間には30歳を越えてなお、フリーター をしながらロッカーを目指している人がいるそうで す。  そういう人は、何のために音楽を続けているので しょうか。  「こうなりたい」と思っているだけでは、決して叶 うことのない夢です。夢を目標に落とし込み、現実 に近づけるには期限を設けなくてはいけません。  いつまでにどれくらいの結果を出すという目安が ないと、引っ込みがつかなくなってしまうのです。  本気でバンド活動をするのなら、「メジャーデ ビューする」という目標だけではなく、「25歳まで にメジャーデビューする。できなければ完全にやめ る」というような期限を設けるべきでしょう。  さもなくば、やる気も集中力も失ったまま、あと 戻りのできないところまでずるずるいってしまいま す。  「何のために」「いつまで」「何をやる」と決めたら、 それぞれを紙に書き、トイレにでも貼っておきま しよう。そして、その期限を過ぎてダメなものは スッパリあきらめる。  そして、結果はどうあれ「やるだけやった」とい うレベルまでたどりつけるようにしましよう。 F時間を区切る  この章からは少し具体的な話をしていきましよう。  効率化を考えたとき、時間の使い方で一番大切な のは「時間を区切る」ということです。  たとえばメールの返信、報告書の作成、資料の整 理、お客さんや取引先との打ち合わせなどなど、I 囗に10個の仕事があったとします。効率の悪い人は、 時間を適当に使います。。あてずっぽうで投げやり” という、悪い意味での適当です。  メールー通の返信に10分も15分もかけ、用もない のにウェブでニュースを見て、「まだ大丈夫か」と 余裕を見せているといつの間にか時間が経つ。  「ヤバい出なきや」と打ち合わせに慌てて向かい資 料を忘れたことに気づき散々。  会社に戻り、書類の作成をするも、思っていたよ りも調べることがたくさんあり、結局今日も帰りは 22時。……と、これに近いような体験は誰にでもあ ると思います。  ぼんやりとした目標タイムを定めてはいるものの、 「そこまでに必ずやろう」という意識がないので、 だいたい。なあなあ”に済ませてしまいます。その ため退社時間が遅くなり、家でやりたい勉強をした り本を読んだりということができなくなってしまい ます。  一方、効率のいい人はその辺にシビアです。  とにかく時間を区切ります。たとえば、「この メールは20秒で返そう」「報告書は1時間で作ろう」 と思ったら、それは目安ではなく、確実に達成すべ きノルマなのです。  だから、遅れは許しません。余計なことを考える 隙を与えず、「とにかくやってしまおう」と考えま す。  「この時間で必ずやり切らなければならない」。大 事なのはこの意識です。  結局、効率的に仕事ができるかどうかの最大のポ イントは、この意識をきちんと持っているかどうか ということに尽きると思います。  試しにストップウォッチで各作業にかかる時間を 測ってみてもいいでしょう。タイムアタックに挑む 感覚で仕事にあたれば、時間を区切る練習になるか もしれません。 A仕事は優先順位で消    していく  前項で述べた「時間を区切る」のと同様に、時間 の使い方を考えるうえで大切なのが、「優先順位を 決める」ということです。  私のように独立し、自分で会社を経営している人 間にとって、最大の敵は雑務です。  クライアントとの連絡や、抱えている案件のもろ もろの窓口はどうしてもトップである私に同ってき ます。  さらに、仕事の総量を見ながらその仕事にふさわ しいスタッフにふることもしなければなりません。  そうした判断もあるため、基本的に情報のすべて に一度は目を通さないとならないわけです。すると、 やはり社長やトップの人が一番時間を取られるのは 雑務になってきます。  仕事の大半を占めるのが雑務なので、その雑務を いかにこなすか、その効率をひたすら求めなければ なりません。  なぜなら、そうしないと自分が本当に「やるべき 仕事」にたどり着けないからです。  もちろんこれは誰にでも当てはまることで、効率 的な仕事ができるかどうかというのは、やっかいな 雑務やル上アインをいかに効率よく消していくかが 第一関門になります。  ではどのように雑務を消化するのかと言えば、優 先順位を決めることなのです。  たとえば英語の勉強をしたいと思ったとき、英単 語を覚えなければいけないのか、文法を覚えなけれ ばいけないのか、ライティングやスピーキング、リ スニングを鍛えなければいけないのか、その人のレ ベルや目標によって集中箇所が異なってきます。  ですが、効率の悪い大というのは端から端までや ろうとしてしまう。何を優先すべきなのかわからな いままに手をつけてしまうことが多いのです。  だから結果が出なかったり、途中で挫折してし まったりといったことになってしまいます。  またビジネスで言うなら、優先順位をつけるとい うスキルの有無は、そのまま決断力の有無にもつな がります。  A、B、Cという企画書のうち、どれか1つ選ん で上司の前でプレゼンしなければならない。  「あれにしようか、これにしようか、どれにしよう か……」。自分の中で優先順位が定まっていないと、 決断ができません。  しかし、「企画書Aは〜の点でポイントをおさえ ている」といったように、優先事項を決めておけば 悩むことがなくなります。優柔不断と言われる人の 効率があまりよくないのは、こういうところに原因 があったのです。  言ってしまえば、悩むことも時間のムダです。決 められることはスッと決める。やるべきことをサッ とやれる。  勉強であれ仕事であれ、ここをおさえられるかど うかが効率を高める大事なポイントになります。  そのために、優先順位をつけておくというのはと ても大切なことなのです。 H優先順位は納期で決   める  ところで、優先順位を決めるといっても、何を基 準にしていいかわからないという方は多いでしょう。  仕事の効率が悪いとか、勉強でなかなか結果が出 ないという人は、この優先順位のつけ方を見直した 方がいいと思います。  たとえば好き嫌いで決めるとか、仕事のやりやす さで決めるとか、そんなのはナンセンスでしょう。  気が乗る、乗らないを評価基準にしてしまうと、 時間の使い方にムラが出ます。  気が乗ることに力を入れすぎて、必要以上に時間 を取られる。あるいはその逆で、気が乗らないこと は「集中ができない」と時間を無為に費やしてしま うことがあるはずです。  では、どうすればムラのない時間の使い方ができ るのか。  私の場合、優先順位の軸は「納期」で決めていま す。「納期」、つまりそれが必要とされる「期限」で す。  なぜ納期か。それは、どんな仕事にも仕上げなけ ればならないデッドラインがあるはずだからです。  今日の15時までに提出しないといけないのか、明 日の朝まででいいのか、I週間後かIヶ月後か1年 後か、それによって作業のベースも変わります。  それは、自営業者でも会社員でも同じです。  クライアントからの依頼、上司からふられた仕事、 自分の発案した企画やプロジェクトなど、世の中の どんな仕事にも納期があります。  ですから、まずは一番早く出さなければいけない ものに手をつけ、それが終わってから、二番目に期 限の近いものを片付ける。  これほどシンプルで、かつ有用性の高い指針はな いと私は思うのです。  こういうことを意識できていない大は、何でもか んでも処理が下手です。  たとえば優先順位を徹底していない人の冷蔵庫に は食材がどっさり大っていると思います。  何を買ったかを忘れ、次から次へとどんどん新し いものを入れてしまう。  あるいは、その囗に何を食べたいかという気分だ けで買い物をしてしまう。  そして、使い切れなくなった余分な食材をダメに してしまいます。  やるべきこと、目の前のことを見もせず次々にい ろんなことに手をつけるから、結局どれもおぼっか なくなってしまうのです。  「三日坊主」、「飽きっぽい」ということにならない ように「いつまでに〜しないといけない」という納 期を意識し、順番どおり消化していくようにしてく ださい。 I納期の次は緊急度を   見る 前項の続きです。 優先順位を納期で決めることにしたとしましよう。 けれど、どうにも納期のかぶっているものがある。 上司から受けた仕事と、自分の得意先に出さなく てはいけない書類、どちらも今日明日中に仕上げな くてはならない。  というように、納期のかぶる案件が同時に2つ あった場合はどうしたらいいのでしょうか?  そんなときは「緊急度」によって手をつける順番 を決めます。  緊急度とは、必要性、重要性と言い換えることも できるでしょう。  それをやらなければどんな不便が生じてしまうか、 やってもやらなくても大差ないことなのか、逆にそ れをやってしまうことで不便が生じてしまうことは ないか。  これを鑑みて、緊急度の高いものを優先します。  特に仕事の場合、自分で日程を動かせるものとそ うでないものがあります。  日程を動かせないというのは、私の場合で言えば 会議や打ち合わせ、法廷や講演といったものです。 これらは、その日にやらなければなりません。もし 予定をずらそうものなら、次の仕事がなくなってし まいます。  一方、雑務などは自分でいくらでも調整できるも のです。そのため、緊急度は柢い仕事になります。  納期と緊急度、この2つがあれば大概のことはク リアできるはずです。  逆に、これでもクリアできないということは自分 のキャパシティを越えて背負い込みすぎているとい うこと、効率的でないこと、そのどちらか、あるい は両方でしょう。  冒頭の例で言えば、上司から受けた仕事、クライ アントに出すべき書類、これらはその囗に受けて 「今日明日中にやっといて」というものではないは ずです。  一方が急に入った仕事だとしても、もう一方は 前々から「○日にまで頼むよ」とか、「月末くらい までに用意しといて」とか、そんなふうに伝えられ ているでしょう。  時間がかかるものならば、少なくとも期限の3、 4日前くらいにはもらっているはずですし、その日 にもらって「今日明日中」というのなら、そもそも 時間のかかるものではないのだと思います。  事前にもらっていた仕事なのに最後になって焦る というのは、やはリスケジュールに余裕を見すぎて いたことが考えられます。「まああとでいいか」と どこかで手を抜き、急用に対応できなくなってし まったということではないでしょうか。  「急に入ってしまう予定」などは自分で管理するこ とはできません。  ですから、今日できることは今日やり、明日に同 さないことが肝要です。  それでも処理しきれなければ、仕事を受けずに斷 る、期限を伸ばしてもらう、上司に相談する、と いったように対応がすべきだと思います。 Eやるべきことを残さ   ない  私は自分でも仕事が早い方だと思っているのです が、特に意識しているのは何でもすぐに片付けてし まうということです。今できることなら、その瞬間 にアクションを起こします。今日やるべきことは必 ず今日中にやり、明日に持ち越しません。  そうすることで、明日何らかのトラブルが起こっ ても余裕をもってあたることができるので、スケ ジュールをコントロールしやすいのです。  たとえばメールですが、私は事務所にいるとき メーラーを常に立ち上げっぱなしにしています。仕 事の案件などは、だいたい私を介して入ってくるこ とが多いものですから、スタッフにふるにも自分で 確認しないといけません。  I囗に数十のメールのやり取りがありますので、 とにかく心がけているのは、「返さないといけない メール」を残さないことです。その際、テクニック とまではいきませんが、返信した受信メールはゴミ 箱へすぐに捨ててしまうようにしています。  返信、捨てる。返信、捨てる。返信、捨てる。  これを繰り返すと、「返さないといけないメール」 の数はどんどん減ります。  すると、受信ボックスに残るのは「今返信するよ りあとで返信する方がいいメール」ということにな ります。そして、それも頃合が来たらさっさと返信 し、ゴミ箱へ。  こうすれば「あとであれをやらなきや」という余 計なストレスを抱えることはありません。すぐやっ てしまった方が気持ちよく他の仕事に集中できるの です。  ちなみに、私は勉強用に買った本なども、とにか くその囗のうちに読みはじめます。そして、少なく ともI週間以内にはすべて読み切ります。延ばし延 ばしやっていると、いつまでだっても新しいことを はじめられませんし、。なあなあ”で終わってしま うからです。やるべきことは絶対に残さないように してください。 I「面倒だ」と思った   瞬間、効率はI/2   以下になる 糾舸且且糾且浅川言 あります。それは、「面倒くさい」です。  これは思っていてもダメですし、言ってしまった らもっとダメです。  目の前のことが面倒だと思った瞬間、気が重くな り、体や頭が動かなくなってしまいます。面倒くさ いというのは、「それを言ったらおしまい」という タブーワードなのです。  世の中に面倒でないことなどありません。労をか けずに得られるものなどないのです。  私の場合、食事をしないでも生きていけるならそ の方がいいですし、寝なくてもいいのなら寝ない方 がたくさん時間をつくることができます。その分、 好きな本を読んだり、もっとお金を稼いだりもでき るわけです。  しかし、そんなことは不可能なわけで、しょせん は「もしも」の世界です。  食事をするのも眠るのも、働くのも、現実として 私たちが生きていくには必要不可欠なことであり、 それを否定することはできません。  基本的に、人間は欲望に正直な生き物です。その ため怠け者で、どうしても易きに流れてしまうので すが、それをやらない理由にしてはいけないのです。  どんなことにしろ、どうせやらなければいけない ことなのであれば、さっさとやってしまうに越した ことはありません。嫌だという気持ちの中でやるよ り、割り切ってしまった方が何倍も楽に、そして早 く終わります。  あまり気が進まないからこそ、短い時間の中で集 中して片付けてしまう。やはりこれが原則なのです。  「面倒」という言葉が頭をよぎったら、「め……」 のあたりで止めましよう。  目を閉じ一呼吸。そして姿勢を正し、気合を入れ ましよう。 E「もしかしたら……」    はない  株式投資で大事な考え方に、「損切り」というも のがあります。  損切りとは、持っている株の株価が下がってきて しまったとき、一定以下の金額になったら売ってし まうことです。つまり、若干の損は出てしまうもの の、これ以上損が大きくならないうちに売り切って しまおうというものです。  損切りの考え方は、人生においても非常に重要な ものだと、私は常々思っています。  なぜなら、損切りの発想ができない人というのは 「もしかしたら……」を考えてしまいがちだからで す。  もしかしたら、待っていれば株価はあとで回復し てくるかもしれない。  もしかしたら、今以上にもっとうまくやれる方法 があるのかもしれない。  この「もしかしたら……」というのは本当に厄介 です。ありもしない、起こりもしないことに期待を することで、ロスが大きくなってしまう。  また、自分のやり方、今の状況に執着するあまり、 次の行動を起こせないということにもなります。 「もしかしたら」に賭けても、1つもいいことがな いのです。例を出しましよう。  ある男性が交際していた女性にふられたとします。  しかし、男性は女性に対する未練があり、「もし かしたらまだ……」と連絡を取ろうとします。口実 をつけ、食事に誘ったりもするでしょう。  ただ、女性の方にはそんな気はまったくなく、別 に意中の人がいます。  と、こういうのはよくある話だと思います。  男性自身、可能性は柢いということをわかりなが らしばらく未練を引っ張り続け、その間ムダな労力、 時間、お金をつぎ込んでしまう。つまり、これが損 切りができていない状態なわけです。当然、仕事に したって勉強にしたって同じことです。  たとえば、資格勉強のための参考書を買った。し ばらくやってみても、いまいち頭に入ってこない。 そういうことは誰にでもあることだと思います。  私の場合、この段階でもう二度とその参考書は読 みません。  頭に入ってこないというのは自分に合っていない ということなので、読み進めていったところで劇的 にわかりやすくなるということはほとんどないから です。  その参考書は数千円したかもしれませんが、より 効率よく勉強するために、新たな数千円の参考書に 投資をします。  しかしこれを、「せっかく買ったんだし」とか 「読んでいるうちにわかるようになってくるかな」 とか、そういう発想でいると時間と労力の損害は拡 大していくのです。  そうならないよう、「続けているうちにもしかし たら……」なんていう発想はすぐに捨ててしまいま しよう。  現状に固執することではなく、自分をさらに伸ば していく方法を考えること。  損切りすることこそが、目標達成への近道なので す。 G10時に寝る  勉強、仕事、どちらでもそうなのですが、効率を 高めるためにはよく寝ることです。  私は常に7〜8時間は眠るようにしています。こ れはUSCPAや司法試験などの資格勉強をしてい たときもです。  実際、今も夜10時にはベッドに入り、朝は5時半 くらいに起きています。  なぜなら、時間を区切った中で最大のパフォーマ ンスを発揮するためには、体力的に余裕がないと難 しいからです。眠いときはどうしてもボーつとし、 効率が落ちます。  ですから私は、夜I〜2時間の時間を削って勉強 するくらいなら、夜は何もしないで寝て、日中のパ フォーマンスを最大限に高めるようにしているので す。そして仕事をさっさと切り上げて、残業はせず 帰る。そして帰宅後の数時間を自分の好きな時間に 充てるという生活を送っています。そもそもの話、 残業が多かったり勉強の時間が取れなかったりする のは、日中の仕事の仕方に原因があるのです。無理 して夜に時間を作り、翌日眠たい頭で仕事に向かう より、規則正しい生活リズムでたっぷり眠って万全 の体調で仕事するのが一番です。  中には休日の「寝だめ」を習慣にしている人もい るかと思いますが、それもやめましよう。寝だめは 生活リズムを崩す原因になりますし、何より貴重な 休日の時間を台無しにしてしまいます。  「眠りたいのはやまやまだけど、そんな時間がない から困ってるんだよ」という人も、とりあえず今夜 は10時に寝てみてください。そして、朝は5時か6 時に起きるようにする。  早起きした分、早めに出社してもいいですし、勉 強でもネットサーフィンでも好きなことをしてみま しよう。  この生活をI週間くらい続けてみると、効率の違 いがわかると思います。夜の数時間が日常の業務に どれだけ支障をきたしているか実感できるはずです。 E想像力のない人は時   間をムダ遣いする  基本的な認識として、想像力のない大というのは 本当に損をします。  最近で言えば、いわゆる「空気の読めない大」と いうのが想像力のない人の典型でしょう。現代に 隕った話ではなく、昔から空気が読めない人という のはいたわけですが、やはり想像力を欠いた人とい うのはマネジメントする立場から見ても非常に扱い にくいものです。  こちらの求める反応を返してくれない、的外れな ことを言う、他人の気持ちや立場を考えた立ち居振 る舞いができない、後先考えずに行動してしまう、 といったような人だと、どうしても「こいつに任せ て大丈夫か……冫・」と、仕事をふるのをためらって しまいます。同じ職場で働く同僚としても辛いもの があるでしょうし、ましてやそういう人が上司だと 下手に意見もできないので、手に負えません。  そして何よりも、想像力が欠如していて一番損を するのは自分自身だということです。  たとえば相手が意図していることを考えずに仕事 をはじめてしまうと、当然仕事のやり直しの可能性 が大きくなります。  やり直しならまだしも、客先とのクレームに発展 してしまうことだってあるでしょう。  あるいは、何か余計な匸冐を言ったせいで社内か ら総スカンを食らったり、大きな仕事がもらえな かったり、あるいは出世の道が閉ざされてしまうこ とも考えられます。  想像力がないと、大きな機会損失、時間を損失す る可能性があるのです。  では、想像力はどうすれば身につくのでしようか。  いろいろな方法が考えられますが、「相手の気持 ちや考えを汲み取る」という点でいうと「この人は 何か言いたいのか?」というのを常日頃から考えて みることです。  交流会でたくさんの大に出会ったり、仕事で多く の大に出会ったりしても、結局そういう意識づけの ない大は何も身につけることができません。  アンテナのない大は電波を受信することができな いのです。  なので、何も考えずに大と接するということがな いよう、その人の価値観や考え方を吸収するように コミュニケーションを取るというのがまず必要なこ とでしょう。  極端な話、「想像力をつけよう」と思いながら日 常生活を送るだけで改善されていく部分だと思いま す。  逆に、何でもかんでもインターネットで調べてし まうのも考えものです。  わからないことをネットで調べる、一見効率的か のように見えますが、それでは自分で何も考えなく なります。  いわば思考停止状態のようなもので、それでは想 像力は落ちていく一方です。  自分がある課題にぶつかったり、気になることが あったりしたときは自分の頭で考えないといけませ ん。この作業が想像力の根幹になるからです。  考えもせずに得た情報というのは、わかった気に なってすぐに忘れてしまうものです。  情報が氾濫する世の中だからこそ、きちんと物事 の背景にあるロジックや主張に示されている証拠な ど、一歩二歩踏み込んでいく姿勢を大切にしてくだ さい。 I自分のルールを作る  弁護士としての仕事をしている中で、私は1つ決 めていることがあります。  それは、「欲張りな人、自分を信頼しない人とは 仕事をしない」というルールです。  ルールはこれまで述べてきたような習慣とは違い ます。  ルールとは、「これは絶対にしない」あるいは 「これは絶対にする」といった自分の軸のようなも のです。  これを決めておくことで、余計なトラブルに首を 突っ込んだり、あるいは巻き込まれたりすることを 回避し、結果的には時間の節約につながります。  たとえば相談料をねぎったり、和解金をすでにも らっているにもかかわらず「もっと支払ってほし い’・」などと相談してきたりする人は基本的にお断 りしています。がめつい人にはロクな人がいないと いうのが、私の経験です。  また、私のことを信頼して仕事を任せてくれない 人も同様です。そういう人は、私かどんな仕事をし ても、決して信用してくれません。ああだこうだと 文句をつけてくるので、なかなか仕事が進まないの です。  結局、そんな人だちと仕事をしても時間のムダで す。  後々もめごとになって逆恨みされたらたまったも のではありません。  それこそ時間と労力の浪費ですので、そういう兆 候のある大と出会った際には、必ずお断りするよう にしているのです。  こうしたときに重要なのがやはり損切りの発想で す。  いくらかの時間、労力をその人のためにかけてい たとしても、もうそれは忘れてしまう。  費用を回収しようとして変に首を突っ込むと、損 が余計に大きくなってしまいます。  と、このように行動の指針を決めておくと、物事 に迷ったり、あるいは余計なことに時間をかけたり ということがなくなります。  ちなみに、ルールは万能なものではありません。 失敗をして、方向転換が必要だと思ったときはすぐ に変えてください。1つのことにこだわりすぎるこ となく、柔軟性を持つことも必要なのです。 E楽をして結果を出す   方法は存在しない  さて、この章からは「勉強があまり習慣化してい ない人」を想定し、仕事と勉強を両立していくため の意識やコツを説明していきます。  すでに勉強習慣の身についている方にとっては確 認のために、あるいは意外と気づいていないことも あるかもしれませんので、ざっとでも読んでいただ ければと思います。  本書の「はじめに」でも触れたように、資格勉強 している方にもっとも多いのは「どうすれば仕事を しながら勉強時間を確保すればよいか?」という悩 みの声です。そして、その次に多いのが「どうすれ ば勉強に集中することができるか?」というもので す。  どうすれば集中できるか、その問いに対する答え としては、「やる気が出ない、集中ができないこと なら無理してやる必要はない」です。  Chapterlの冒頭、「欲と危機感」という キーワードを出しましたが、集中できないのはこの 2つが欠けているからです。つまり自分自身、それ ほど必要性を感じていないのです。  「そんなことをしなくとも、ある程度満足してい る」という言い方もできるでしょう。  たとえばTOEICでいいスコアを出せれば給料 が上がるという制度を持つ会社もあります。  また、資格を取ればできる仕事が増えるとか、昇 進につながるとか、転職したい、独立起業をしたい、 そんな事情の人もいるでしょう。  しかしいずれにせよ、そうしたモチベーション、 要因がありながらやる気が出ないというのなら、そ れは本当に自分のやりたいことではないのです。  また、やるべきことではないのだと思います。  本当はやる気もないのに、何となくだらだらと続 けていくのはいいことではありません。  「結果を出さなくてもいい」というのであれば話は 別ですが、そうではないはずです。  そんな中、モチベーションの柢いまま続けてもコ ストと時間は減っていくばかりですし、それなら方 向転換した方がいいでしょう。  「それでは困る」というのであれば、もっと意識を 高く持ってください。  残念ながら、やる気や集中力はおまじないで高め ることはできません。自分自身でコントロールしな ければならないものなのです。  と、あえて突き放した言い方をしましたが、まず は「楽して結果を出そう」なんていう考えは捨てな ければいけません。自分に合ったやり方というのは いくらでもあるでしょうが、努力をしないで結果を 出す方法などありません。  可能なのは、結果を出すための労力と、そこにか ける時間を必要最低限にすることです。  適切にポイントをおさえ、労力のかけ方を変えれ ば、結果が出るまでのスピードも変わります。  結果を出している人で、努力を怠っている人、ず るをしている人などいません。  いたとしても、それで結果を出し続けることは不 可能です。自分や自分の目標にとって必要な努力を 果たしているからこそ、彼らは結果を出しているの です。 Iためらっている時間   も惜しめ  アンソニー・レゲットという研究者をご存知で しょうか? 2003年にノーベル物理学賞を受賞 したアメリカの大学教授です。あるとき日本で行わ れた彼の講演を聞きに行つだのですが、題目は 「ノーベル賞への風変わりな道のり」というもので した。  どんなふうに変わっているかというと、レゲット 教授はそもそも、物理学者ではなかったのです。物 理学者に転向したのはオックスフォード大学で哲学 やローマ史を学んだあと。  興味のおもむくままに勉強していった結果が、 「超伝導体と超流動体研究」だったそうなのです。 その講演でレゲット教授は、「ある分野で一流にな るには、興味を持ったことをどんどん勉強していけ ばいい。その勉強は決してムダになることはない」 と仰っていました。  私もレゲット教授の意見に賛成で、興味があるの ならチャレンジすべきだと思います。  これまで私は外資系企業への就職からはじまり、 USCPAの資格、アメリカの公認会計士事務所、 司法試験、弁護士というキャリアを歩んできました。 そして、弁護士をしている今も1年にI度くらいの ペースで資格取得を目指し勉強をしています。  それは、ある仕事をしていたり勉強をしたりして いると、ふと「あ、自分にはこの分野の知識が足り ていない」とか「この分野の知識をつけたら仕事も 楽になるなあ」とか、そういうことに出会う機会が あったからです。  たとえば06年に取得した「公認内部監査人(CI A)」という資格があるのですが、これは08年4月 から「金融商品取引法」という法律が改正され、上 場企業の監査が強化されるだろうとわかっていたの で、それなら今のうちに知識をつけておこうと勉強 をしました。  さらにその勉強過程で「公認金融監査人(CFS A)」という、「公認内部監査人」よりも専門的な資 格があることを知り、これも07年に取得することが できました。  このように、ある得意分野を1つ自分の中に身に つけると、あとは数珠つながりに得意分野が広がり ます。結果効率的に勉強することが可能になり、時 間が圧縮されるのです。 I教養と知識を分別し   ロスを減らせ  これまで私か資格を取ってきたのには、自分を 「コングロマリット化」しようという意識があった からです。コングロマリットとは1つの企業が複数 の事業を抱えていること。「複合企業」と呼ばれて います。  要は、自分の会社に複数の事業を持っておけば時 代の変化にも対応しやすくなるのです。  変化の多い現代では、その時々社会に必要とされ る分野は変わります。  だからこそ企業はコングロマリット化し、自社が 複数持っている事業の中で社会にアピールする分野 を変えていき、時代に適応させていこうと考えるわ けです。  何も企業に隕った話ではなく、このことは個人に も当てはまります。  めまぐるしい時代の変化の中で、どんな状況に なっても社会で自分の能力を発揮していくには「こ れは負けない」という分野をたくさん持つことなの です。  そして、時代に合わせて必要とされる得意分野を 切り替えていけば、とりあえず「食うに困る」とい う状況はありません。  自分のいる会社、自分のいる業界、自分自身の5 年先も見通しが明るくない……。  そういう方は以前にもまして増えているのではと 思います。ですがお伝えしたように、20年前には私 もバブル経済の崩壊、会社の業績悪化に直面し、焦 りと不安を覚えました。  そして、その漠然とした不安を振り払ってくれた ものの1つが資格でした。  今社会に求められる人材は、会社の指示通りに動 くサラリーマンではありません。  個人事業主のような自立した考え方、スキルを 持ったビジネスマンなのです。  ですから、どうせ勉強をするのであれば自分の今 持っている力を底上げしてくれるようなものがいい でしょう。自分の精通している分野をさらに深める のも1つだと思いまし、間接的に関係してくる分野 の知識を身につけるのもいいでしょう。  その意味で資格というのは到達点が見える分目標 と期限が立てやすく、専門知識を深めるという意味 でとても適しているものだと私は考えています。  もちろん本書の主題は「いかに時間を効率よく使 うか」ですし、私自身「簿記を取れ」とか「司法試 験を受けろ」とか言うつもりはまったくありません。  前述したように、これから勉強をばしめるという 場合ほとりあえず興味のある分野を勉強してみるこ とをおすすめします。  そして、勉強の先に資格のようにかたちの見える ものがあるのなら、それをとりあえずの目標として 勉強をしてみるといいでしょう。知識がすぐに身に なることはなかなかありませんが、いつどんなとこ ろで役立つかわかりません。  ある分野に違った分野の考え方や知識を織り交ぜ ることで新たな化学反応が起こる可能性はあり得ま す。  ただ、趣味の「教養」と、勉強して身につける 「知識」の線引きをして、必ず目標と期限の設定を 忘れないでください。  無意味に時間を使ってしまうことだけは避けま しよう。 Iまずは通俗本を3冊   読め  スキルアップにしても専門知識にしても、何かの 勉強をばしめる際に必ずやっておくべきだと思うの は、簡単な入門書を3冊程度読むことです。  入門書には当たりさわりのないことではあります が、ある分野を勉強するうえでの基本エッセンスが 盛り込まれています。「へえ〜、こんな感じなんだ なあ」という何となくの雰囲気をつかむには最適で す。  たとえば投資の勉強なら「2時間で株のことがわ かる」とか、「投資の超入門」とかそんな感じの本 です。ただ、I幵ではいけません。  I幵だと、本当に何となくの印象だけで終わって しまいますし、その時点でさらに詳しい本を読んで みても、まったくわからないということが多いで しよう。  さらに、偏った認識や見方で勉強をスタートさせ ることになりかねません。  ところが、入門書も3幵くらい読んでおけばそれ ぞれの本の中で共通していること、違っていること が見えてきます。また、本や著者によっていろいろ なアプローチや解釈があるので、多角的に読むこと が可能なのです。なので、勉強のはじめには入門書 3幵分の知識をふまえたうえで、少し難しい本に挑 戦していきます。  多少難しい本でも、すでに入門書で基本的な原理 原則はおさえているはずなので、読み進めるのにそ こまで苦労はしないでしょう。  少なくとも、「わからないからもう読むのはやめ よう」という挫折はしなくて済みます。  そもそも勉強でつまずく原因の多くは、自分が何 かわかっていないのかすらわからないということで す。  自分の理解できていないことがわからないのです から、何をするべきかもわかりません。  そして、これでいいかと適当に選んだ専門書がわ けもわからない用語の連発で、ものすごく難易度が 高いと思い込んでしまうことがあります。  ちなみに私も司法試験の際、「基本書」という専 門書に手を出したのですが、難しすぎてちんぷんか んぷんでした。その点、入門書にはたいがい参考文 献がありますね。  そこで、次はその文献に挑戦するということも可 能です。3幵の入門書の中で共通している書籍があ るのであれば、それを読んでみるといいでしょう。  特に私かおすすめするのは古典の専門書です。  古典の場合は読みつがれているだけあり、論理が 明快で重厚です。物事を筋道立てて考える訓練にも なりますので、試してみてください。  ちなみに私か本を買うときは必ず東京の神保町に 行くことにしています。通俗本から専門書、新刊か ら古本までたいがいのものが手に入るからです。  今はインターネット経由で本を買うのも簡単にな りましたが、まずは書店に出かけ、自分の探してい るジャンルにはどんな本があるのか調査した方がい いでしょう。  その際はできるだけ大きな書店に行くようにしま す。  比較対象は多ければ多いほど、納得のいくものに 出会える可能性が高くなります。 E細かい行動スケ    ジュールは立てるな  私か資格試験を受けるときは2年を期限にすると いう話をしましたが、その際、それ以外のことは決 めないようにしています。  というのも、日々のスケジュール(特に勉強スケ ジュール)を立てるうえで必要なのは、「明日」の ことを考えることなのです。反対に、1年先、Iヶ 月先のことは考えません。  なぜなら、一日中勉強に時間を使える学生とは違 い、社会人の勉強は「仕事をしながら」が前提だか らです。  突然の打ち合わせ、客先とのトラブルなど、仕事 にはトラブルがつきものでしょう。  自分の仕事はコントロールできても、相手の都合 はコントロールできません。家庭で家事をしている 人なら、家族が病気になることもあるでしょう。  きっちりとしたスケジュールにそうした例外が 入ってくると、人は焦ります。焦るあまり、無理を してリズムを崩すことがあるかもしれません。ある いはスケジュールどおりにいかないのが嫌になり、 「どうせうまくいくわけない」なんて考えて、勉強 に対するモチベーションを下げてしまうこともある でしょう。目標のために立てた計画のせいで、目標 が達成できなくなる。それでは本末転倒もいいとこ ろです。  綿密に立てた計画であればあるほど、それは自分 の中での理想的なスケジュールになりやすく、現実 味がなくなってしまいます。かといって、多少ゆる めのいいかげんなスケジュールを立てたところで、 予期せぬトラブルが続くことで結局。なあなあ”に なってしまいます。  ですが、今日やるべきこと、あるいは明日やるべ きことくらいまでであれば、ある程度はコントロー ルできます。  勉強で大切なのは、ペースを守り、とにかく続け ることです。  融通の利かないスケジュールを立てるくらいなら、 トラブルにも臨機応変に対応できるやり方で進めて いくべきでしょう。 Iやるべきこと、やり   方を絞る  拙著『できる人の資格勉強法』(中経出版)で、 資格勉強は「過去問にはじまり、過去問に終わる」 と言いました。どんな試験でもそうですが、過去問 題集を見ればだいたいその試験の傾向と問題の難易 度がわかるからです。  というのも、どんな試験でも専門的で(イレベル な問題が出てくることはほぼありません。  ほとんどの問題では基本的な内容が問われていて、 合格するにはそこをいかに落とさないようにするか に重点を置くことなのです。  それもそのはずで、試験に合格するというのは 「その道への入門を認められた」という程度のもの であり、試験をパスすれば即専門家というわけでは 決してありません。実務を経験し、さらに特殊な知 識を身につけ、はじめて一人前の専門家になれるわ けです。  そんなこともあり、過去問を見れば「思ったより も難しくないぞ」ということに気づけるはずなので す。ところがこのことに気づいていない人が多く、 「とにかく量をこなして隅から隅まで覚えねば」と やたらマニアックな専門書を読みはじめたりする人 がいます。  また中には、「過去問はすでにやっているのです が、なぜか成果が出ません」という方もいました。 どちらのパターンにしても、理由は「やるべきこ と」、「やり方」を徹底していないからなのです。 「やるべきこと」というのは、資格勉強でいえば基 本知識をおさえること、問題のパターンに慣れるこ とです。  要は、合格するのに必要なノルマ(=小さな目 標)ということになります。  このやるべきことが決まれば、どうすればそれを クリアできるか、細かい「やり方」(=手段や方法) を定められます。資格試験ならとにかく自分に合っ た過去問をやり、その中で間違った部分を重点的に やるという方法です。  これ以外では「わからない問題はすぐに解答を見 る」「問題は移動時間に読めるよう破って持ち運ぶ」 といったことがありますが、別段特殊なことはしま せん。  私か資格勉強で行うのは、これだけです。  「私の言う通りにまねしなさい」というわけではあ りません。やるべきこととやり方は、徹底すること が何よりも大事だということなのです。  勉強は最初の段階である程度やるべきことを洗い 出し、早い段階で自分に適したやり方を見つける。 そして一度決めたら、これを徹底する。大切なのは この流れです。  他のことでも同じなのですが、たとえば仕事で効 率が落ちてしまうのは、あちこち関係ないことを思 い出してははじめてしまうからです。また、作業が 終わってもいないのに合間に休憩を挟んでしまえば 集中力は切れてしまいます。  1つのことを終えていない、覚えていないうちに 新しいことに手を出してしまうと、どれも中途半端 でおぼつかないものとなってしまうのです。  ですから、成果がほしいのなら、何をするにもや るべきこととやり方を絞り、一定の成果を上げるま では集中、徹底することが肝心です。 I気分に任せずパター   ンを作る  人間、誰だってその囗の体調やテンションがあり ます。ですが、私の経験上、その囗の気分によって やることを変えるなど邪道です。そのためシステマ チックな行動パターンを作ってしまいます。私の場 合、とにかく生活リズムを設定しました。問答無用 に体を慣れさせ、そのパターンで動かないと「何だ か気持ちが悪いなあ」というレベルまでもっていき ます。  例として私かアメリカにいた頃の生活リズムを紹 介します。  当時、私は夜9時に就寝、5時に起床という生活 を送っていました。  まず朝5時に起き、熱めのシャワーを浴びます。 42〜43てくらいのシャワーです。多少眠くとも、こ れで強制的に目を覚ますことができます。頭と体を すっきりさせたらさっさと支度をして家を出ます。 電車に乗り、テキストなどを読みながら勉強をス タート。  30分後、電車をおりたら会社近くのコーヒー ショップに入って再び勉強です。会社には9時頃行 くので、それまで3時間くらい集中します。そして 時間になったらトールサイズの「モカ」を買って出 社し、朝ごはん代わりに飲みながら仕事をします。  昼は軽食を買い、仕事をしながら食事。そのまま ノンストップで働き、6時に帰れるようにします。 オフィスを出たら、朝と同じく電車の中で勉強。  帰宅し、食事をして勉強や運動など好きなことを して過ごします。で、9時になったら寝てしまうと いう生活です。基本的にこのパターンは今も変わら ず、寝るのを10時くらいにしているのと、朝食はモ カからココアになったというくらいのものです。  資格勉強をしていないときは本を読んだりして、 好きな時間に充てています。  要は、それぞれの時間帯でスイッチを作ることが 重要になります。私の場合、朝起きて「熱いシャ ワーを浴びる」↓「ココアを飲む」というのがある 種のスイッチになっていて、あとはもう自動的に体 が動きます。 H嫌なことほど習慣化   する  勉強をするといってもいろいろと種類があります から、特定の科目や単元が苦手とか、特定のやり方 が好きじゃないということがあるでしょう。  ただ、それもやらないわけにはいかないのであれ ば、生活リズムを作るように勉強のパターン化をし てしまうのが望ましいでしょう。  たとえば、テキストは「I囗10ページ必ず読む」 というノルマを決め、読むと決めたら必ず読むよう にします。  最終的には必要なことなのですから、問答無用で 自分に鞭を打ってしまうのです。  最初はもちろん「嫌だ」という気持ちがあるもの ですが、不思議なことにやっているうちにだんだん と体が慣れてきます。  生活習慣を作るのと同じで、勉強パターンも一度 作ってしまえば、だんだんとやることに苦痛を感じ ることがなくなり、次第にやらなければ落ち着かな いくらいに変わるのです。  そして、勉強の内容理解もだんだんと進んでいき ます。  何となく内容がつかめ、知識をつけることがどん どん楽しくなってくるのです。  あるパターンや法則が見えてきて、自分の成長を 実感できるという段階です。  というように、多少無理やりにでも勉強習慣をつ けることができれば、学習の効率は飛躍的に伸びま す。テレアポが苦手、クレーム対応が嫌という気持 ちも、続けているうちに慣れ、そのうち「どうすれ ばもっとうまくいくか」を考えるようになりますね。  仕事と同じように、経験を重ねれば誰だってある 程度の能力を身につけることは可能です。本を読む のが嫌いでも、量を読んでいけば次第に活字を追う ということに慣れ、本を読むという行為の楽しみが わかるようになります。  ですからまずは習慣を作り、慣れる状態にいち早 くもっていけるよう努力してください。  そこからあとは、ものすごいスピードで成長でき るはずです。 Iヶチらずどんと金を   出せ  基本的に私は、これまでどんな資格試験を受けた ときも独学で行ってきました。  いずれも時間がない中での試験でしたので、周囲 から入ってくる情報量をなるべく少なくして、自分 の勉強のやり方に迷いが出ないようにしたのです。  その点では、「資格試験には予備校に行かないと 受からない」という最近の風潮に少し疑問を持って しまいます。ただ、かく言う私もUSCPA(米国 公認会計士)の試験のときだけは3ヶ月ほど予備校 に通っていました。  人生ではじめての資格試験、しかも外国のもので したので、どんなテキストや問題集を買えばいいか まったくわからなかったのです。  そこで、どんなものなのかと様子を見るつもりで 通ってみたのでした。通ってみて思いましたが、予 備校のいいところは何よりもお金を払ったら行かざ るを得ないことでしょう。自分の働いたお金で高い 受講料を払うわけですから、行かないともったいな い。  私の場合、動機としてはそんな貧乏根性でしたが、 最初の一歩を踏み出すという意味ではなかなか意味 のあるものではなかったかなあと思っています。  このように、「何かの勉強をはじめたい。でも、 何からはじめていいのかわからないなあ……」とい うのであれば、とりあえず強制力の働く環境に身を 置いてみることです。  予備校やセミナー、講演会、いろいろとあります が、思い切ってお金を出してしまった方が弾みがつ きやすいでしょう。就職をした学生が社内研修を経 て見違えるようになることがよくありますが、同じ ように強制力の働く場所、言い換えればやらざるを 得ない状況に置かれると、人は割り切ってできるよ うになります。  ただ一方で、予備校などにどっぷり浸かっても意 味があるのかなあという気もします。  私も予備校に通ったことで「アメリカのどこどこ という出版社のテキストがいいよ」なんて情報を手 に入れることができましたが、何をやるか、どうや るかについては結局自分で考えるしかありません。  そのため、私は教えてもらった情報を参考にして、 あとは完全に独学で臨みました。  勉強の場合は特にそうだと思うのですが、やり方 のポイントやコツをつかむには自分でいろいろと やってみないとなかなかわかりません。  ところが予備校のようなところでは先生と生徒と いう関係があるので、どうしても先生の言ったこと にはバイアスがかかります。そして、それが本当に 自分に合っているかどうか考えることもしないで、 何となく続けてしまうかもしれません。  その意味では、いつまでも人におんぶに抱っこと いう勉強法はおすすめできないというのが正直なと ころです。予備校は資格を取るための「ヒント」を 与えてくれますが、それ以上を期待するのは難しい 場所でしょう。  それはセミナーにしても同じで、講師の言うこと が100%正しいということでもないと思います。 お金と拘束時間の関係もありますので、そのあたり をふまえ、判断してみてください。くれぐれも、カ リスマ講師の妄信的な信者にはならないよう気をつ けましょう。 I「達成感」を積み重   ねれば続く  人間にはそれぞれの人に適した学習のレベルとい うものがあります。  当然ですが、私もある分野をはじめて勉強すると きにはまったくの素人です。  では未知の領域に踏み込んだとき、必要なのはど んなことだと思いますか?  それは、とにかく勉強を続けていくことです。  そしてそのためには、簡単なレベルからはじめて、 わかるようになった、できるようになったという達 成感を感じること。達成感の積み重ねを繰り返して いくことです。  このとき大事なのは、自分に合った難易度の適切 なものを選んでいくということです。  背伸びをして難しすぎるものを選んではいけませ ん。  かといって、小学生のやるドリルのように淡々と 作業するようなものではなく、きちんと自分の頭で 考えて解いていけるものが望ましいでしょう。  やったことはないのですが、『ドラゴンクエスト』 や『ファイナルファンタジー』といった、ロールプ レイングゲームというジャンルのテレビゲームは昔 から人気です。  なぜ人気かというと、自分の操作するキャラク ターが成長していくと同時に敵のキャラクターもど んどん強くなり、それを倒していくという達成感が あるからでしょう。  この敵を倒すという感覚は、勉強を続けるのにと ても大事な要素だと思います。  資格試験の場合は過去問題集をとにかくやればい いと思いますが、英語のような語学や経済学などの 場合、自分の成長を実感できる本、参考書、問題集 を選んでください。  徐々に専門性のレベルを上げていき、倒し、知識 を吸収していきましょう。  またマンネリを防ぐという意味では、問題を解い たリテキストを読んだりするとき「何分でどこまで やる」という目標タイムを決めておき、それをクリ アしていくというのもいいでしょう。タイムアタッ クは、仕事でも勉強でも惰性を克服するのにいい方 法です。 D環境を選ぶな  よく、勉強のノウハウ本などには集中力を高める 方法として「図書館に行こう」とか「静かな環境を 選ぼう」とか書いてあります。ですが、私はそれに 反対です。  というのも、たとえば図書館で勉強することを習 慣化し、集中を高めるためのスイッチにしてしまう と、そこ以外で勉強することができなくなってしま います。  極端な話、勉強するたびに図書館に行かねばなり ません。  自宅から図書館が5分の位置にあるというのなら まだしも、わざわざ20分も30分もかかる場所にある 図書館に行く。往復すれば1時間近くにもなる時間 をムダにしてしまうのはもったいないことです。そ して何より、図書館は人を神経質にしてしまいます。  多くの本で言われているように、静かな場所で勉 強するというのはとても理想的な環境です。邪魔す るものはありませんし、自分の世界に入り込んで勉 強できることには違いありません。  ですが、理想的なものがベストかというと、決し てそういうことはないと思います。  図書館のような静まり返った場所での勉強を基本 としていると、コーヒーショップやファミリーレス トランなどでは「静かじやないから集中できない」 となってしまいかねません。  つまり、何かにつけて「ここは〜だから」という ような思考回路ができあかってしまい、勉強しない 理由、勉強ができない理由を作ってしまう可能性が あるのです。  これは隕られた時間の中で勉強をするという意味 で非常によくありません。  「静かな環境」という存在が、自分の勉強の制約や 足かせとなり、結果的には自分の急所になってしま うかもしれないのです。  その意味で、私は勉強をするのに環境を選ぶべき ではないと考えています。  実際これまでもそうしてきたのですが、勉強場所 を決めるときは静かだからというようなことではな く、「会社から近いから」とか「自宅から近いから」 とかそうした物理的な距離などで考えています。  ある特定の場所でしか集中できない状況を作るの ではなく、電車の中でも何でも集中できるように なった方が成果と効率は高まります。  何も轟音響くライブ(ウスでやれとかそんな極端 なことは言いませんが、ちょっと周りの音がうるさ いくらいの環境で勉強を習慣化した方が長期的には いいと思います。  コーヒーショップやファミレス、電車の中で集中 できるようになれば、勉強の効率はかなり高まるで しよう。何より、試験の本番で周囲の受験生を気に したり、変なことに気を回したりといったことにな らずに済みます。  時間のせいにしないことと同じで、勉強ができな い、結果が出ないことを環境のせいにするのもナン センスなのです。  環境に左右されず、自分のベースで勉強できるよ うにならなければなりません。  ただ、もちろん図書館がいい環境であることに異 論はありませんので、「たまには気分を変えようか なあ」というときだけ、図書館に行けばいいでしよ I隙間時間にできるこ   とを用意しておく  私は試験勉強をするとき、ちよつとした空き時間 にも勉強するようにしています。  ただ、テキストや問題集は文庫本などとは厚みや 大きさが違うため、毎回持ち歩くのは大変です。そ こで、問題集のページをカッターで切り抜き、ポ ケットやかばんに入れておくようにしていました。 これなら打ち合わせで外に出るとき、その移動中や 相手を待っている間など、ほんのちょっとした時間 に使えてとても便利なのです。  だいたい10ページ分くらいになりますが、これを 家に帰るまでのノルマ、という使い方もできます。 使い終わったものはファイルにまとめておき、繰り 返しやるようにしました。  というように、私は本をバラバラにすることにあ まり抵抗がないので切り離してしまいますが、 ちょっと嫌だなあという人はそのページをコピーす ればいいでしょう。  環境を選んではいけないという話をしたように、 何についても神経質にならず、効率を高めるためな ら何でもやるというような姿勢が大事なのです。  そういう時間がI囗30分あったとしたら、1年で は1万950分(=182・5時間)に相当します。 2年なら倍の365時間。これだけの勉強時間を捻 出できるのです。  働きながらの勉強では、そうしたちょっとの時間 もバカにできません。  休日にたくさんの時間を使って勉強するというの は難しくありません。誰にだってできます。ですが、 ちょっとした隙間時間できちんと勉強できる人とい うのはなかなかいないと思います。  だからこそ、隙間時間をうまく使い、効率よく吸 収していくんだという姿勢を大事にしてほしいので す。 Iスマホ&タブレット    の二刀流になれ 「勉強にスマホは禁物」。そんな時代はとうに過ぎ 去りました。  こんなにも万能なツールがあるのですから、使わ ない手はありません。  勉強の障壁の1つに、物理的な(Iドルがありま す。わかりやすいのが、本やノートといった勉強道 具でしょう。私たちはつい学生時代の感覚で、アナ ログな勉強法を実践してしまいがちです。鞄に本、 問題集、電子辞書、ノート、筆記用具を詰めていま せんか? 勉強してる気分に酔いたいのであれば、 それもいいでしょう。しかし、今ではスマホー台あ れば、片手で勉強できます。電子版のテキストを購 入したり、アプリケーションを用いることで、心理 的(Iドルを下げ、場所と時間を選ばずに学習が可 能になるのです。  ほかにもスマホが有用な点は大きく3つあります。  1つ目は、「なんでも調べられる」ことです。  電子辞書には載ってないことも、インターネット で検索すればヒットします。また、画像検索を活用 すれば、視覚的にインプットが可能です。外国語の 学習をしている方であれば、正しい発音もすぐに聞 いて、耳で覚えられます。  2つ目は、「動画によって勉強ができる」ことで す。  たとえばYouTubeには、あらゆる学習向けのコ ンテンツがアップされています。語学、法律、会計、 歴史。検索すればプロノアマによる良質な講義動画 を無料で視聴することができます。梅田望夫氏の言 葉を借りれば、まさにYouTubeは「知の高速道路」 です。忙しい囗は倍速再生で視聴して、復習するだ けでも十分効果があります。  3つ目は、「アプリで暗記ができる」ことです。  受験生のころ、カードの表裏に英単語と和訳を書 いて勉強した経験のある方もいらっしやるでしよう。 しかし、時間のないビジネスパーソンにとっては、 そんな作業はムダの骨頂。持ち運びには不便だし、 覚える量が多ければ多いほどかさばってしまい、重 くなります。「Mo呂沌こや「AnkiJといったアプ リがあります。何度も正解する単語や問題は表示回 数を減らし、何度も間違えてしまうものは、頻繁に 出題されるように、簡単にプログラムができるため、 非常に便利です。記憶は何度もやることで定着しま す。毎日使うスマホの出番です。  さらに、もしお持ちであればタブレットの活用も 推奨します。スマホに比べ画面が大きく見やすいた め、インプットにもアウトプットにも最適です。 ノートの代わりにタブレット、ペンの代わりにタッ チペン。そうすれば、(イライトをつけるのも一瞬 ですし、何度も修正したり、書き換えたりできます。 また、ネットから画像を拾って貼り付ければ、ノー トにメリ(リが出て、視覚的なインプットが可能に なります。詳細な情報が載っているサイトがあれば、 リンクを貼り付けて、いつでもサイトに飛ぶこと だってできます。  また、スマホとタブレット、パソコン間で簡単に 同期ができる点も大きな魅力と言えるでしょう。メ インはタブレットで勉強し、空き時間にスマホで復 習。こういった具合に、デジタルの利点を最大限に 活かすことで、私たちの勉強の生産性は格段に向上 するのです。 I脳科学に興じている   時間は全部ムダ  このところ、メディアでは「脳科学」が一大ブー ムになり、世間一般の認知度もかなり高くなってき たように思います。私も書店に行くとよく脳を使っ た仕事術とか、脳を活かした勉強法とか、いろいろ と見かけます。と同時に、そうした本を見ると 「いったい誰が買ってるんだ?」とも思ってしまう のです。  脳科学というのは、そもそもどんなものなので しょうか。  大学には脳を研究している医学部の研究室はあり ますが、いわゆる「脳科学部」などという学部は見 たことがありません。それはつまり、脳科学がまだ 体系的な学問領域として蓄積されていない、と言う こともできるのではないでしょうか。  ある研究結果を取り出し、「〜すると脳が……」 などと、何でもかんでも関連づけているだけのよう な気がどうしてもしてしまうのです。  前章、「教養」と「知識」について少し触れまし たが、教養というのは知っていて損はない、だから といって実益につながることはまれなもの。対して 知識とは自ら勉強して身につけたもので、実益につ ながる可能性のあるもの、というように私は考えて います。  そして脳科学というのは、前者の「教養」に過ぎ ないのではないかと、私は思うのです。  「これは脳に良い習慣だ」とか「悪い習慣だ」とか 言われると、一見説得力があるかに見えます。信じ てしまいそうになる気持ちもわからなくはありませ ん。  ですが結局、脳の使い方だ何だということは、決 して目に見えません。  ウェイトトレーニングのように腹筋が割れてきた、 腕が太くなってきた、というのならわかりますが、 脳を鍛えて「おっ、脳が鍛えられてきた」なんてこ とはあるはずありません。  せいぜい「最近物忘れがなくなってきた気がする かも……」くらいのものでしょう。  脳に関する研究や本のすべてを否定するつもりは ないのですが、「仕事や勉強の効率を上げたい、結 果を出したい」と願うのなら、知識になる勉強をす ればいいと思うのです。  脳科学ではなく、会計、ファイナンス、株式投資、 経済、法律、語学など、これらを勉強して知識を身 につけた方が、よほど実生活につながる即効性があ ると思います。  脳にいい習慣を実践したとして、結果が現れてく るのはいつでしょうか。5年後か10年後か、誰にも わかりません。それが非効率だというのは誰もがわ かっているはずです。  しかし即効性のある勉強をしないのは、人間の怠 け心のさせるところなのでしょう。  20年、30年、40年生きてきた中で染み付いた生活 習慣や考え方、価値観を変えるのはしんどい。だか らこそ、目に見えない、いわば「未知の可能性」が 眠っていそうな脳に期待をかけてしまうのかもしれ ません。  しかし、結果をそう簡単に出せる方法などありま せん。  世の中には欲に目がくらんで犯罪に走ってしまう 人がいます。言い方は悪いですが、脳科学にすがる というのはそれと同じようなところがあると思いま す。  お金、地位や名誉がほしいなら、一発逆転ではな く、着実に努力を重ね、実力を伸ばさないといけま せん。  目的に対し、その手段を取り違えてしまうのは非 常に惜しいことだと思うのです。 Hノートなんか作るな  私は一時期、資格試験の専門予備校で講師をして いたことがあります。  そこで驚いたのは、私か板書したものを生徒が ノートに丸写ししていたことです。 「そのノートをどうするのだろうか……というか、 この生徒は人の話を聞いているのだろうか……」と 感じてしまいました。  当然ながら、ノートに夢中になっていると音声情 報が大ってきません。大ってきても、内容を理解す ることに頭を使えません。また、大学や予備校、セ ミナーの講義など、だいたい要点をまとめたプリン トを配ってくれるはずです。  であれば、大事なポイントやキーワードだけその プリントに書き込んで、とにかく講師の人の言って いる内容を理解するのに全神経を注ぐべきだと思い ます。  というのも、私自身ノートを作ったことがありま せん。  それはもちろん勉強中でもそうなのですが、何の ために作るのかイマイチ目的がわからないのです。  よく、「本やテキストで読んだことをまとめて、 あとで見直すため」と聞きますが、そのために何時 間も使って果たして意味があるのかなあと思ってし まいます。  本の内容を確認したければ、もう一度本を読んだ 方がいいのではないでしょうか。  最近の本はチャートや図を多用してあり、理解し やすいように工夫されています。  自分でわざわざ作り直さなくても、プロによる チェックが何重にも入っているわけです。  だったら、それを確認するのと自分の作ったノー トを見直すのとどう違うのか……と疑問に思ってし まいます。  何より、私かノートを作らない最大の理由は「書 いて」「覚える」というのがあまりにも非効率だと 思うからです。  基本的なこととして、学習するときは「書く」 ↓「音読」↓「黙読」という順に時間がかかります。  つまり、黙読が一番早い学習方法で、書くという のはもっとも時間のかかる方法なのです。  ですから私か勉強する際は、まず本を黙読し、問 題集の解答を読むときなどは声に出して音読するよ うにしています。  書いて勉強するというのはほとんどありません。 つまり私の中で、紙に書くというのは最終手段なの です。さすがに黙読と音読では音読の方が頭に定着 する気がしますが、「音読」と「書く」という作業 で理解力に差があるかといったらそうは感じません。  その意味で、安易にノートにメモをしたり書き記 したりというのはあまり賢い方法だとは思えないの です。たとえノートに書くとしても、まずは頭の中 で重要かどうかというフィルターに通してからで しょう。  目の前の情報をただ受け入れるだけでは、勉強を したことにはならないのです。  何か重要で、何か問題なのか。  勉強をするうえで大切なのはこの部分であり、そ こを考え、理解するのが学習です。  つまり、「書いて覚える」というよりも、「読みな がら考え、頭の中で理解する」ことが勉強の本質で はないでしょうか。  アウトプットしてはじめて理解が深まるというの は、理解せず、覚える中心の学習をしてしまってい るからだと思います。  そのうえ、色違いのペンを使ったり、付箋やメモ を貼り付けたり、きれいに図を入れたりとノートの 作り方にも工夫があるようですが、私からすれば時 間がもったいない。  「見た目に美しい方がいい」というのは、自己満足 以外の何ものでもないと思うのです。  誰かに見せるために作っているのならまだわかり ますが、そうではないでしょう。  過度にデザインや形式にこだわったりするという のはもはや趣味の域であり、本当にそれが勉強に必 要なのかどうか考えてみるべきです。  学習の効率を高めることが目的なのであれば、こ だわりは必要ありません。そのこだわりが非効率を 生んでしまいます。 I手帳には必要最低限   のことしか書かない  本当に効率をよくしたいのなら、物事はとにかく シンプルに考えないといけないと思います。シンプ ルというのは、必要最低限ということです。余分な ぜい肉をそぎ落とし、スリムにする。これは私か徹 底していることの1つです。  そのため私はスケジュール管理もなるべく簡素に 済ませます。  私の使っている手帳は、何てことはない普通の手 帳です。それも、東京都弁護士共同組合から無料で 配布される手帳。そもそも自分で買いに行くような ことはしません。  こだわりがないと言えばそれまでですが、私に とって手帳の優先順位は限りなく柢い位置にあるか らです。  というのも、スケジュール管理をするうえで、私 に必要なのは「講演」と「打ち合わせ」と「法廷」 くらい。また、誰に会うというときも、万が一手帳 を落としたとき、クライアントに迷惑がかかっては いけないので、どこどこで何時から誰と会うなんて 書き方はしません。  相手の名前をぐちやぐちやと自分にしかわからな い文字で書きます。  と、私の手帳に対するこだわりはこの程度です。 しかし、これまで不自由したことはありません。  重要な打ち合せなら人の名前さえあればすっと出 てきますし、雑務の処理は自分の範囲内なのでいち いち書き込む必要がないのです。  ところが世間を見回してみると、忙しいことが美 徳なのか、スケジュールをすべて埋めきることに喜 んだりする大がいるようです。  I囗の予定を事細かに書き込めるノートを用意し、 どんな些細な予定も書き込んでしまう。私はそれこ そ、「脳の退化」につながってしまうのではないか と思います。  そもそも、忘れてしまうような些細な予定であれ ば入れなければいいのですし、いろいろと予定を詰 め込んだ挙げ句に処理しきれなくなってしまうとい うのは、その人の能力オーバーという気もします。  上手に時間を使うには、それが本当に必要かどう か考えてからやってみることです。  優先順位、言い換えれば物事の「重要度」を取り 違えると、あらゆるところで「非効率」が生まれま す。職業にもよると思いますが、いずれにせよ必要 最低限の使い方を心がけてほしいと思います。  ちなみに、「予定が埋まっている方がカッコいい から」という方も中にはいるかもしれませんが、た しかにファッション性というのもあるかもしれませ ん。  その重要度が高いのなら、どんどんやっていただ いてもまったく問題ないと思います。  ただ、あくまで勉強をしようとしている人にとっ て、手帳にごちやごちやと書き込むのは非効率です し、あまり意味がないと思うのでおすすめはしませ ん。 Iメモしたことを忘れ   るようなメモならつ   けるな 打ち合わせのときなど、私はほとんどメモをしま 適当な裏紙を持っていって、ポイントとなるキー ワードなんかを1つ2つ書くくらいです。そんな調 子なので、付箋をパーツとパソコンの周りにつけた り、あるいはノートに貼り付けたり、ケータイに打 ち込んだり、そんな人を見ると、「ああご苦労様だ なあ」なんて私は思ってしまいます。メモが習慣に なっている人にありかちなのは、「メモをすること で満足をしてしまっている」という状態です。  偉人の名言、業務上の注意やノウ(ウ、気になっ たものなどを付箋につらつらと書き、パソコンの周 りやデスクの上にペタペタと貼る。  その状況にうっとりしてしまっている……という ことはないでしょうか?  「別にメモくらい……」と思われるかもしれません。  ですが、何でもかんでもメモするというのは、実 は情報の感度を下げてしまっているかもしれないの です。メモの数が多いというのは情報感度が高そう に見えますが、結局メモするといっても内容のほと んどは誰かが言ったことや書いたことの丸写しだと 思います。  本当に重要かどうか考えず、メモし続けていく。  するとだんだんと情報の質に強弱をつけるのが下 手になってしまい、身の回りはメモであふれかえり、 本当に重要な情報が埋もれてしまう……。  こういう負のサイクルにはまってはいないでしょ うか。  私かメモの数を少なくするのには、そういう点も あります。  I囗に10個も20個もメモをしているような人は、 とりあえずメモの数をI囗3つにしてみましょう。  大幅な時間の節約になりますし、生活に何の支障 もないでしょう。何より、自分にとって必要な情報 を判断する練習にもなります。 図中途半端なワークラ   イフバランスはやめ   てしまえ  ワークライフバランスという言葉が一般的になり 「仕事と生活の調和」という意味の言葉です。こん な言葉が生まれた背景には、労働時間の割に柢い生 産性、ワーカホリック、少子化防止など、いろいろ と要因があるようです。  この概念自体、否定はしません。  ワークライフバランスをテーマに取り上げた本や 雑誌を見てみると、よく欧米の事例が紹介されてい ます。  そこでは、彼らは家族を大事にしていて、たとえ ば長期休暇を取るときには仕事をすべて片付け、何 かがあったときのための引き継ぎを完璧にし、家族 サービスに全力を充てるというような説明がありま した。こう聞くとなんだか理想的だと思うのはわか ります。  しかし、厄介なのはこの理想に憧れ、単なるもの まねをしてしまうことです。  「こんなのいいなあ」とか「あんなふうにできれば なあ」とか、それぞれ思うのは自由なのですが、中 途半端に取り入れても意味がありません。むしろ逆 効果です。  たとえば企業によっては「毎週水曜はノー残業 デー」と決めているところもあるようです。  ただし、実情としてノー残業デーが機能している かどうかは疑問がわくところで、水曜早く帰る分そ のしわよせが前後の囗に出てきて、余計疲れる。そ のため、早く帰った水曜も結局ご飯を食べて寝て終 わる……と、こんな話もあるといいます。  囗本の会社の多くでは、個の力というよりもチー ムワークが重視されます。  そのため業務は分業になりがちで、引き継ぎしよ うにも煩雑で手間。だったら自分でやっちやえばい いや。と、そんな構造ができあかってしまうという 事情もあります。  そういう前提や現実的な部分を無視して、形だけ まねしたってうまくいかないのはあたりまえなので す。  これはワークライフバランスに隕っだことではあ りません。世間の流行や理想像に流される前に、き ちんと立ち止まって考えてほしいと思います。  たとえば最近では「フリー(無料化)」を使った 広報活動や、「X(旧H苳{可}」を使ったマーケ ティング、かつてはブログなどなど……時代によっ ていろいろと流行り廃りはあります。  ですが、流れが来ているから無料化すればいいと か、Xを使おうとか、ブログで自分のギャラをア ピールしようとか、それで本当に効果が出るので しょうか。  企業にしろ個人にしろ、「流行ってるからとりあ えずやってみた」という姿勢が多すぎる気がします。  きちんとした方向性や戦略を打ち出しもせず、た だやり方を模倣しても意味がないのです。中途半端 に時間を使う、中途半端に足を突っ込む、何事もこ れ以上非効率なことなどありません。  得るものは半減、かかる時間は倍。これでは効率 は悪くなってしまうばかりです。 Iストレス発散でスト    レスフリーは訪れな    FV  ストレスを発散しよう。これも、一種の都市伝説 ではないかと私は思っています。  ストレスが溜まるとは、仕事上のトラブルや人間 関係などで疲れて、何となくモチベーションが上が らない、ということでしょうか。  私はそういうとき、カラオケに行ったり、ドカ食 いしたり、そんなことは絶対にしません。それには あまり意味がありません。というか、やはリムダだ と思うのです。  ストレスを発散する行為は、そうすることによっ て問題から目を背け、「現実逃避」している状態で す。ストレスのもとは食べれば解消されるのでしょ うか、飲んでくだをまいていれば収まるのでしょう か。そんなことはないと思います。  他にもいろいろとストレスを和らげる方法のよう なものを見たことがありますが、いずれにせよ、ス トレスがそれでどこかへ行ってしまうことはないで しょう。  つまり、まったく問題は解消されず、残ったまま。  そりの合わない上司がいる人は、明日も「嫌だ なあ」と思いながら会社に行き、帰りに同僚と飲ん で愚痴を言って、ストレスを解消した気になってい るわけです。  それで、そんなことを続けているうちにぶくぶく 太ってしまう。  これでは時間とお金がもったいないと思いません か。  問題が解決されないかぎり、仕事で結果を出して やろうという気は失せ、いかに今日という日を潰す か、家に帰ってストレスを発散するか、ということ に気がいってしまいます。  ストレスが溜まってるなあと思うのなら、原因を 取り除く努力をまずしないといけません。  上司のやり方が気に入らないのなら、それを直接 言うべきです。もしかしたら、上司には上司なりの 考えがあるのかもしれません。  先輩、同僚でも同じです。  話してみたら意外といいやつとか、あるいは自分 の方にも非があって、お互いの誤解があったという こともあるでしょう。  クライアントが怒っているのならとにかく謝り、 誠意を見せることです。  勉強で成果が出ないのなら、なぜ成果が出ないの かを考え、やり方を見直してみます。  といったように、問題が過ぎ去り、風化するのを 待つのではなく、自分から動くこともしなければな りません。  いろいろと手をつくし、それでもダメならやめれ ばいいのです。それは仕方ないでしょう。やるだけ やってダメ、それなら損切りし、次の可能性を見つ けることに力を注ぎましよう。  繰り返しますが、最悪なのは「ああ嫌だ嫌だ」と 言いながら無気力に働き、自分の大切な時間、お金、 やる気をどんどん失ってしまうことです。  憂さ晴らしではなく、ストレスのもとを除去する 努力を尽くしてみてください。 I整理をしなくても効   率は高まる  私はまったくと言っていいほど整理をしません。  こんなこと胸を張って言いたくはありませんが、 私のオフィスの机を見せてあげたいくらいで、書類 や本など、どこに何かあるのかわからないような状 態です。  ですが、私はそれを片付けたりはしません。その 時間がもったいないですし、片付けたところでまた 同じような状態になるのは目に見えているからです。  これはもう染み付いた性分のようなもので、どう にもならないのです。  「またヶチをつけはじめたな……」と思っていただ いて結構なのですが、何か言いたいかというと、 「整理術」とは何だという話です。  身の回りのものを整理すれば頭の中も整理される というのは本当なのでしょうか。  机を片付けたからといって今以上に効率がよくな るということはないでしょうし、片付けないからと いって効率が悪くなるということもありません。  私の中で、整理と効率はどうも結びつかないので す。  これも脳科学と同じで、「そんな気がする」もの の1つなのではないでしょうか。  整理整頓が趣味というのならまったく問題ないの ですが、効率をよくするために整理をするなんてい うのは、目的に対しての手段が間違っている気がし ます。  つまり、効率の悪い人は片付けられないから効率 が悪いのではなく、仕事や勉強に対するやり方、考 え方が適切でないから効率が悪いのです。  結果の出せる人になりたければ、処理能力を上げ ることです。どれだけデスクが汚くても関係ありま せん。  やることをきっちりやっていれば「できないや つ」には見られないはずです。  世の中、まだまだそういうことであふれているよ うな気がします。そうした一般論には注意してみて ください。 H情報収集の罠から抜   け出せ  お伝えしたように、私はこれまで予備校にほとん ど通つていませんし、おすすめ自体していません。 情報が少ないというのは決して悪いことではないの です。  というか、情報が多いことでの弊害はそれ以上だ と思っています。  予備校では受講生同士が「情報交換」と称してさ まざまな噂や方法論を流し合っていますが、情報交 換とはアルコールや麻薬、贅沢のようなものです。  「どの講師がいい」「どういうテキストがいい」「こ ういう問題が出るらしい」  こうした情報は魅力的に映るのでしょう。だから こそ、中毒性があり、「もっといい情報はないか」 と探し回るようになってしまうのです。  しかし、こうした情報は本質的ではありません。  つまり、それを知ったからといって試験に受かる かどうかわからないということです。  試験に受かりたければ、合格した人のことを知る べきです。自分と同じステージにいる受講生の話で はなく、本などからその道のプロの考え方を吸収し た方がはるかに意味があると思います。  なおさら今は、インターネットを介して多くの情 報が集まるようになりました。  情報量が増えるというのはそれだけ玉石混淆とい うことにもなります。中には有益な情報もあるので しょうが、誰がどういう意図で発信したかわからな いものはそれ以上の割合で存在しているはずです。  「当たり」の情報にたどり着くまでの時間が必要で すし、「当たり」といっても、結局自分にとって都 合のいい情報をピックアップしがちです。  個人の自由なので絶対にやめろとは言いませんが、 どの情報を信じればいいのか迷うようであればいっ そ情報を遮断してしまうという選択肢もあるのでは ないでしょうか。  少なくとも、情報中毒になるよりはいいと思いま す。 I暗記やアウトプット    には頼るな  ノートを作ることが勉強だ、というのは必ずしも 正しいことだとは限らないということを説明しまし た。  そもそも「書かないと勉強にならない」というこ とはなく、黙読でも音読でも勉強することは可能な のです。「ノートを作らないと勉強じゃない」とい う認識の人が多いというのは、日本人が暗記型の学 習が好きということなのかもしれません。  しかし私の経験として、暗記というのはまったく よくない勉強法です。  たとえばかつての司法試験というのは「短答式試 験(択一試験)」「論文式試験」「口答試験」という 順に実施されていたのですが、実は六法全書の持込 が可能でした。  新司法試験では持込禁止になりましたが、代わり に会場に用意された六法全書を閲覧することができ ます。  そのため、私は六法の端から端までを覚えような どという勉強法は一切しませんでした。  なぜなら、試験で問われるのは条文の内容を暗記 しているかどうかではなく、ある法律をどのように 解釈できているかということなのです。  ところが、その本質を考慮せずに試験に臨もうと する人は、とにかく六法全書を暗記しようとします。 そういう受験生は、往々にして合格までに時間がか かります。  六法というのは、憲法、商法、民法、民訴法、刑 法、刑訴法という法令からなりますが、全部覚えよ うとしたら並々ならぬ労力が必要になるのです。  ですから私の場合、暗記ではなく「あの辺にはあ あいうことが書いてあるんだよなあ」という程度で、 中身を優先して理解するようにしました。  そして試験では細かいことを確認したいときにパ ラパラと開きます。  つまり、「この法律の言いたいことはどんなこと なのか」ということに軸を置いたわけです。  これは論理思考という大そうなものではないと思 います。  どんなことにも理屈や道理があるので、常にもの の理屈や道理を考えるようにすれば、ある種の考え 方のパターンが見えてきます。パターンは数学で言 えば公式です。このパターンをいかにつかみ、そし て解答に当てはめていくかが大切なのです。  逆にこの部分を怠って、情報を字面だけで受け 取ってしまう、つまり丸暗記してしまうだけでは、 やはり何をするにも時間がかかってしまいます。  最近、アウトプットしてはじめて理解が深まると いう勉強の方法論もあるようですが、それはまさに 日頃から暗記型の勉強をしてしまっている証拠だと 思います。  わざわざ書いたり、人に話をしたりしなくても、 頭できちんと理解していることは消えません。ブロ グなどのウェブツールを覚え書きにする方法もいい かと思いますが、それが自己満足だけで終わらない ように注意してください。  あくまでも知識をつける勉強を念頭に置いたとき の話ですが、アウトプットをしないと理解できない、 深まらないというのは、かなりの時間のロスになっ てしまいます。 I役割と位置づけ、原   因と結果を考えろ  暗記やアウトプットに頼っている人は効率が悪く なってしまうという話をしました。  効率を上げるには、物事を覚えるのではなく、理 解しようというスタンスで臨まないといけません。  では具体的に、どのようにすれば物事を理解する ことができるのでしょうか。  どんな専門分野でも、その世界独特の単語や用語 の理解は不可欠です。その際は、基本的な用語を字 面で覚えるのではなく、その役割や位置づけを考え ることです。  たとえばGDPという言葉をはじめて見たとき。  国内総生産、Gross I)Omestic Product'一定期間内 に国内で生み出された付加価値の総額……。などと つぶやいたところで理解することはできません。そ もそも、付加価値とは何だという話になってきます。  ですからまずは端的に、GDPが何のためにある のかを考えるのです。  すると、「日本が商売で儲けたお金を全部足した 数値で、これを算出すると日本経済の規模や動向が 把握できる」ということがわかります。  この主目的をおさえておけば、名目GDPと実質 GDPの違い、金額、過去の金額、他国の状況と いった周辺情報もおさえやすくなるのです。  逆に用語の意味や位置づけを考えていないと、 「何だか難しい言葉だ」というイメージだけが先行 し、丸暗記せざるを得ない状況になってしまうので す。  また、もう1つ重要なのは順序立てて考えるとい うことです。  たとえば勉強法の1つに、テキストを読んで重要 な箇所にマーカーを引くというものがあります。私 もこのやり方を推奨していますが、順序立てて考え ず、理解しないままに読み進めている人は、マー カーをたくさん引いてしまいがちです。  あるとき、テキストの全面が緑のマーカーだらけ という人に出会ったときには愕然としました。  つまり、何がなんだかわからないまま読んでいる ので、わからないことにはとりあえず線を引いてし まったという恐ろしい状況です。しかし、それでは やはり意味がありませんね。たとえばこんな文章が あったとしましよう。   「タウマタファカタンギ(ンガコアウアウオ タマテアポカイフェヌアキタナタフ」という 丘がニュージーランドにあり、高さは305 メートル。「タマテアという大きい膝の、山 を滑っては登るランドイーターとして知られ た男が、愛する者のために笛を吹いた場所」 という意味であり、世界でもっとも長い単語 としてギネスブックに登録されている。地元 では「タウマタ」と省略されている。(参考 『5砂谷區F』)  この文章の趣旨は「ニュージーランドにやたらと 長い名前の丘”タウマタ”があって、世界一長い単 語としてギネスブックに登録されている」という程 度のもので十分です。大した文章ではありません。  ところが、「タウマタフアカタンギ「ンガコアウ アウオタマテアポカイフェヌアキタナタフ」という 名前にだまされると、ここにマーカーを引いてし まったりするのです。  本来、マーカーなど数ページにI箇所で十分なの ですが、物事の原因と結果を考えずに読み解くとそ んなことになってしまいます。  あなた自身、「飲み込みが遅い」と思うのであれ ば、覚えることよりも理解することを意識してみて ください。  「何のためにあるのか?」「どうしてこうなってい るのか?」「この人はどういう意図でこういうこと を言っているのか?」という疑問を持ってみるとい いでしょう。  ちなみに、あくまでも遊びのようなものですが、 必要があれば要約の練習をしてみるといいと思いま す。  ある用語を思い浮かべ、その意味を自分の言葉で 要約します。単語は何でも結構です。  「フランス革命」でも「公認会計士」でもいいので、 100字くらいで要旨をまとめます。  そしたら、それを辞書で引いてみましよう。  ポイントをおさえた説明を考えたとき、辞書は非 常に優秀なツールです。 I本質を見抜け  本質というキーワードを、ここまでの説明で何度 か出しています。  これは前述の「テキストがマーカーだらけ」とか、 「想像力がない」とか「脳科学に頼ってしまう」と か、本書で述べてきたあらゆることにつなかってく る話なのですが、効率や結果を求めるには本質を見 抜く訓練が必要だと思います。  では、本質とはいったい何なのでしょうか。  どうすれば本質を見抜けるようになるのでしょう か。  私か講演活動などで「資格試験のスタートは過去 問を見ることからはじめてください」と言うと、 「そんなの難しくてビギナーの私にはできませんよ」 という方がよくいます。  ですがそれはあたりまえの話で、そんな簡単に解 けるものだったら勉強する必要はありません。勉強 のはじめに過去問を見るのは、問題を解くためでは ありません。  テストのレベルを読み解くためなのです。  「なるほど、こういうことがわかるようになったら 合格ラインなんだなあ」ということをおぼろげにで も認識することが大切になります。  また、問題形式のチェックも欠かせません。  選択問題か論述形式なのか、またそれぞれどうい う聞き方をしているのか、どういった答え方が求め られるのか、そのあたりの傾向も確認できます。  そして、知らないものはどうせ考えたところでわ からないのですから、解答と照らし合わせながらパ ターンを見る。この一連の作業で、その試験のベー スがわかるのです。  そして、まったく出口の見えない状況から目標が ぼんやりとでも認識できる状態になり、そのために 何をしていくべきかやり方とやることを絞ることが できます。  この「ベースを確認する」という作業はなにより も必要不可欠なものです。  そしてそのベースこそが、物事の本質です。  本質を見ないというのは、言い換えればゴールと そのための手段を考えない。  「何となく」、または「もやつ」とした状態で物事 をスタートさせてしまっているから、時間がかかり、 効率が悪くなってしまうのです。  もちろん勉強だけの話ではありません。  たとえば「お前は何を言いたいんだかわからない よ」と言われる人は、ゴールがないうちに話をした り、あるいはゴールに到達するためのロジックを考 えないで話しているから、自分でも「あれ、何か言 いたいんだっけ」という状態に陥ってしまうわけで す。  そういう傾向があるなあと思う方は、意識して見 切り発車をしないようにしましよう。  きちんと想像力とロジックを働かせて物事に取り かかるようにしてください。  これは後天的なトレーニングでどうとでもなるこ とですので、とにかく物事のコアな部分を意識する ことです。  本質を見抜き、世の中の一般常識や世迷い言に惑 わされないようになりましよう。 E一喜一憂するな  人生でもつとも警戒しなくてはならないのは、物 事がうまくいったあとです。  物事がうまくいくと、多くの人は喜び、そこに成 功パターンを見出します。悪くいえば、調子に乗り やすくなるわけです。  仕事の例がわかりやすいと思いますが、たとえば ある人の主導で進めたプロジェクトが10億円の売上 を叩き出したとします。社長賞までもらう大手柄で、 本人は大喜びです。  しかし、そのすべてを自分の実力、努力の結果だ と過信してしまったときに大きなしっぺ返しが来ま す。その成功は「たまたま」だったかもしれません。  多くの成功は偶然が偶然を呼んでいるものだとい うことが少なくありません。  にもかかわらず、結果を出したことで自信を持ち、 少々わがままに振る舞ってしまったことで上司や同 僚に疎まれ、足を引っ張られるといったこともよく 聞きます。  成功のあとは過信をしやすいものなのです。また 同じように、失敗をしたときにくよくよするのもよ くありません。自分のやったことを後悔し、引き ずって、それをストレスだ何だと言って、食べる、 飲むに走るのは最悪なパターンです。  以上のようなこともあり、一喜一憂というのはい いことではありません。  たとえば、たいがいの試験には模擬試験がありま す。  本来、模擬試験で大切なのは試験の内容や会場の 雰囲気、解答の時間配分に慣れることです。ところ が、一喜一憂する人は模擬試験の結果ばかりを見て しまいます。試験の当落ではなく、取るに足らない 試験結果に心を動かしてしまう。  大事なのは最終目標なのですが、心がけて意識し ていないと、ついそのことを忘れてしまうのです。 すると、本来必要のなかった、思わぬ遠回りを強い られるかもしれません。  決してそうならないよう、小さな自尊心に左右さ れない大きな心構えでいたいものです。 II度決めたらブレる    な  私は飲み会にはほとんど行きません。年に数回あ ればいい、それくらいのものです。  もちろん20代の頃は飲みに行ったりもしましたが、 資格勉強をはしめたあたりからは、まったくといっ ていいほど行かなくなりました。  その理由は、その必要性を感じなくなったことと、 時間とお金のムダだと思ったからです。  私は、人間関係は仕事のやり方や、その結果で作 れるものだと信じていますので、お酒を飲んで仲を 深めようというようなことを考えたことはありませ ん。  いろいろな状況もあるでしょうからこの考え方を 強要するわけではないのですが、何を言いたいかと いうと、本当に目標達成したければ割り切ってしま うことも必要だということです。  「目標を達成するまで飲みには行かない」  「恋人や友人とは会わない」  「休日もすべて勉強に充てる」  といったように、少しくらい極端に割り切った方 が結果はついてくるでしょう。  それこそ、欲と危機感を持って仕事や勉強にあた ることができるからです。  逆に、割り切れない、ブレてしまう人は集中力を 欠くので、どうしても時間がかかります。  そもそも目標は短期間で設定しないといけないと いう話をしたように、目標達成に取り組む時間はそ んなに長いものではありません。  司法試験のような難関と呼ばれる資格を取得する ことを考えても、最長2年です。  のちのちのことを考えた場合、その2年間でいか に集中し、本気で取り組んだかで人生が大きく変わ る可能性があります。  ただ、司法試験の突破を目指す人は世の中の少数 ですし、実質は数ヶ月もあれば達成できる目標がほ とんどでしょう。  「たった数ヶ月」と見るか、「数ヶ月も」と見るか はわかりませんが、目標に対して集中力をぶつける ためには、これまでと同じ生活を維持しようとして はいけません。  やはり、どこか(特に趣味などのプライベートの 時間)を切り捨て、その部分を勉強などに費やすよ うにしなければ時間はなかなか作れません。  周りの理解が必要であるのなら、周りの理解をま ず得るようにしなければならないでしょう。それが できないような状況ならば、目標自体そもそも見直 しが必要です。  いずれにしろ、何かを割り切り、少なくとも集中 すると決めた期間はその筋を完全に通すようにして ください。  それくらいの覚悟と実行力がなければ、意識を変 える、結果を出すというのは大変なことなのです。 I徹底的に準備をしろ  ここまで、読者の方は私かまるでスーパーマンの ような印象を持たれたかもしれませんが、実際は全 然そんなことありません。当然のように私も数々の 失敗をしています。  過去の例では、08年に「公認不正検査士(CF E)」という資格を受験したのですが、これには失 敗しました。理由は単純で、準備不足だったからで す。  「公認不正検査士(CFE)」とはアメリカの資格 で、これを取得すると「企業内の不正を発見したり 防正したりする特別なスキルがあります」と認めら れる資格です。  なぜこの資格かというと、当時クライアントから 「社内の不正を調査してほしい」と頼まれることが 多かったからで、それなら勉強がてら受験してみよ うと思ったのでした。  ただ、そう思い立つだのは3月。試験本番は4月 なので、期間はわずかIヶ月でした。  とにかく時間がない中、私か決めたのは「やらな いこと」でした。  というのも、試験科目は「財務取引と不正スキー ム」「不正の法的要素」「不正調査」「犯罪学と倫理」 の4つ。I科目につき94点以上取れれば合格です。  そこで、法律の専門家という自負があった私は、 このうち「不正の法的要素」については一切勉強せ ず、残りの3科目の勉強に集中しました。そして、 勉強法は当然過去問題集。  といっても、この資格については公式な過去問題 集がなかったので、「試験対策問題集」というのに 取り組みました。その結果はどうだったか。  他の科目は何とか合格点に達したのですが、勉強 しなかった「不正の法的要素」があと2点及びませ んでした。不合格です。  己への過信があったのでしょう。自分の得意分野 に足元をすくわれた形になってしまいました。もし かしたら「不正の法的要素」について他の科目の 100分のIでも力を注いでいれば合格できた可能 性はあります。しかし、不合格は不合格です。  勉強、特に資格試験において「惜しいところまで いった」という事実に意味はありません。  結果として資格を取得しなければ、そこまでかけ た時間とお金は水の泡。  惜しいところまでいったのならなおのこと。「も う一度挑戦する」には、時間、お金、労力の追加的 なコストが必要になってしまいます。  また、準備不足というのはメンタル面にも大きな 影響を与えます。たとえば試験本番の直前までテキ ストや参考書を読んでいるというのはその典型で しょう。  本来、徹底的に準備をしておけば焦る必要などど こにもないはずなのです。  「徹底的に準備はしてきたつもりだけど自信がな い」というのはありえません。本番当日に、「これ なら大丈夫だろう」という状態になっていないので あれば、そもそもそこまでの準備の仕方が間違って いたということなのです。  かくいう私もこの試験に関しては自信がありませ んでした。  ベストを尽くしたつもりでしたが、あくまでも 「つもり」だったということでしょう。  仕事でも、勉強でも、スポーツでも、必要不可欠 なのは準備です。本番で練習以上の力が出せるはず などありません。この教訓を受け、私は心を引き締 め直しました。 I「失敗帳」を作る  ノートをつけない、メモをつけない、スケジュー ル管理には凝らない。じやあ、私は何も書いたりし ないのかというと、まったくそんなことはありませ ん。  私か唯一、これだけは紙に書いたリパソコンや携 帯に入力したりするべきだと思うのは、失敗です。 小さな失敗をしてもくよくよするなと言いましたが、 くよくよするのはせいぜい数日のものです。I週間 も経ては忘れてしまうでしょう。  失敗したことを後悔する時間はそれほど短いもの なのです。「穴があったら入りたい」というような ミスをしても、案外ケロツと立ち直れてしまいます。  では、何か一番の問題かというと、犯したミスを また繰り返すということです。  失敗した時点では「もう同じミスは繰り返さな い」と思っていても、気持ちは続きません。どうし てもその気持ちを忘れてしまいます。つまり、失敗 を後悔する「気持ち」を持っているだけでは、同じ ミスをまた繰り返す可能性が高いのです。  「一豈二憂するな」と言ったのにはこうした理由も あります。  ですから、失敗の根本を絶つには自分の失敗と、 それに対する改善策を盛り込んだ「失敗帳」を作っ てみることです。  私の場合は株のトレードに関することが多いので すが、手帳のスペースに書き込み、ちょっとした移 動中などに眺めます。何度でも何度でも復習し、刷 り込みます。  徹底して、「次からはこうしよう」ということを 頭に焼きつけるわけです。  これだけは常に目に触れさせた方がいいので、オ フィスの机に貼ってみてもいいでしょうし、部屋の 壁に貼り付けてもいいでしょう。  とにかく失敗をなくすというのは、それほど真剣 に自分の失敗と向き合う必要があるということなの です。  きれいなノートを作るよりも、人生にとってよほ ど意味があるのは失敗帳だと思います。 Iその囗に反省しろ  仕事ができるとか、勉強ができるとか、そういう 人の最大の共通点は、「何でもすぐにやってしまう こと」だと思います。  これは個人だけの話ではなく、企業やその企業の 経営者だって同じことです。  スピードが求められる社会では変化や周りの圧力 などに対して、いかに迅速に動けるかということが 必要なのです。そういうところに鈍感になっている と、いつの間にか周りに置いていかれ、気づいたと きにはもう手遅れということになりかねません。  社会がスピードを求めているということは、その 社会で生きる個々人にもスピードが求められている ということです。  たとえば決断力のある経営者は、会社に自分の意 思を反映させるために、従業員に対してもクオリ ティとスピードを求めるでしょう。  そんな中、たらたらとやることを後回しにしてい る人を会社がはしがるとは思えません。  ですから、日頃から「まあ、あとでいいか」と頭 が思う前に体を動かしてしまい、やらざるを得ない 状況にしてしまうのがいいと思うのです。  今できることも、間をおいてしまうとどんどん 「やらなくていい理由」を探してしまいます。  そして、「あとでやらなきや」という暗く重い気 持ちに支配され、ギリギリまで遠ざけてしまう。そ の悪循環です。  前項、失敗を省みることがいかに大切かというこ とを伝えましたが、ある失敗や間違いを犯してし まった場合には、即反省しなければなりません。  結局、失敗を振り返り、反省するスピードの遅い 人は学びのスピードも遅いものです。  改善点を先延ばしにしているから日々の作業効率 や勉強効率も改善されることがないのだと思います。  逆に、何でもすぐやれている人は、自分の失敗を 見直すのも早い人だちなのです。  孔子の言葉に、「過ちて改めざる是を過ちと謂う」 というものがあります。  人は誰でも過ちを犯すもの。しかし、失敗を改め ないこと、これこそが過ちだ。  と、そんな意味の言葉です。  この言葉にあるように、反省というのは自分の失 敗を後悔することではありません。  どうやってその失敗を克服し、次に進むか考える ということが反省するという意味です。  つまり反省とは、問題解決をするということなの です。  遅刻してしまった。プレゼンがうまくできなかっ た。成績が悪かった。勉強をサボつてしまった。問 題を間違えた。飲みに行ってしまった。ルールを 破ってしまった。  それらの失敗も、その日のうちに対策を立てて、 翌日から実行する。  その結果、同じ失敗が二度となくなるわけです。  反省とはそのためにすることであり、だからこそ 反省は早ければ早いに越したことはありません。 I誰のための勉強か  いくら好きなことでも、同じことをずっと続けて いれば嫌になることもあります。だんだん飽きがく るものです。嫌いならばなおのこと。そんなときは、 思い切ってまったく違う勉強をするというのも効率 を高める1つの方法でしょう。  英語の勉強がわかりやすいと思いますが、たとえ ば長文読解に飽きたらリスニングをしたり文法問題 や語彙の問題を解いてみたりと、同じ分野でも作業 が違うはずです。  集中できていない中、そのまま続けていてもあま りいいことはありません。  むしろ惰性的に勉強するだけになり、学習が理解 優先ではなく、ただの暗記になってしまう可能性も あるでしょう。ところが、頭を使う部分を変えてし まうことで、「もう嫌だ」という気持ちに支配され なくなります。  他にも、集中できないなら場所を変えるという方 法もあるでしょう。  私は家の中だとソファーに寝転がりながら本を読 んだリテキストを読んだりしています。  なぜかはわかりませんが、机に座ってやるよりも ソファーでやる方が、頭が冴えるのです。家の中な ら誰が見ているというわけでもありませんから、仮 眠を取った方がいいと思うなら15分くらい寝てみて もいいでしょう。  とにかく、自分に合ったやり方を見つけてみてく ださい。勉強することで得るものは、「勉強した」 という充実感でも何でもなく、目標を達成するとい うことだけなのです。  ところで、私かこの手法をおすすめするのは、あ る程度勉強習慣が身についたという人限定です。勉 強習慣がついていないうちからやることや場所をい ちいち変えていたのでは、身につくものも身につき ません。  まずは勉強するということに慣れ、「ちょっと惰 性的になってきたかなあ」と思ったとき、この手法 を試してみることをおすすめします。  これから勉強をはじめるという人の場合、期間で いえば3ヶ月くらいは必要でしょう。 E無知になれ、「センス   がない」と思い込め  人が成長していくとき、必要なのは素直になると いうことです。 「ああ、なるほどね」とか「へえ、そうなんだ」と いう気持ちを大切にすることで、未知のものに出 会ったときも柔軟な姿勢で吸収していくことができ ます。また、「なるほど」という気持ちは同時に 「自分はこのままではいけないな」という気持ちも 剌激してくれます。  新しい知識に出会うと、人は自分がいかに無知で あるかを知ることができます。  無知であるというのはなかなか恥ずかしいもので す。  だからこそ、「もっといろいろ調べよう」「無知の 状態から脱しよう」と思うことができるのであり、 次へのアクションにつながります。  当然ながら私も、もともと会計の分野にしても法 律の分野にしても、完全な素人でした。  ただ、そのことを自覚していると新しい知識を取 り入れることが楽しくなります。  たとえば経済新聞が読めるようになってきたり、 今まで常識だと思っていたことが法律を見ると実は 全然違うということがわかったりする、それが楽し くて仕方ないのです。  ソクラテスの言葉に「無知の知」というものがあ りますが、自分が無知だと知っている大は、自分が 賢いと思っている人の何倍も賢いと言います。  私もこの言葉にあやかり、新しい知識に出会い、 自分の無知に気づき、さらに新しい知識に出会って いこうとする循環を「無知の知」と呼んでいます。  この無知の知のサイクルにはまれば、勉強も仕事 もどんどん楽しくなり、のめり込むようになるで しょう。同時に、効率はどんどん高まっていきます。  自分が無知であると気づくには「自分は無知だ」 「自分はセンスがない」と思い込むことです。ある ことを覚えるにしても、飲み込みの早い遅いという のはどうしても存在します。  飲み込みの早い人は俗に「要領がいい」とか「頭 がいい」とか言われていますが、そういう人は自分 にどういう能力が足りていないか、伸ばしたり補っ たりするにはどうすればいいのかが何となくわかっ てしまうのです。  努力の必要性がわかっているので、自らどんどん 勉強していく……と、こういう人には間違いなくセ ンスがあります。  でも彼らのほとんどは、「自分はセンスがある」 なんてみじんも思っていないでしょう。  思っていないからこそ、自分の足りないこと、や らなければいけないことを探すことができるのです。  反対に、最悪なのは「センスがある」「知識があ る」なんて思っている場合です。それでは今以上発 展のしようがないですし、努力もしない、思考停止 になってしまいます。「自分はセンスがない」と 思っておくことは、そんな状態を回避するためのも のでもあります。  「センスがない、だからもっと知らなければいけな いことはいっぱいある」  こういう思考回路ができあがれば、今は要領が悪 くても、確実に伸びていくはずです。