元国税調査官が教える正しい節税_大村大次郎 鞣紹″鱧趙辰 野勵匪 田回㈹剛㈲圜大村大次郎著  はじめにI脱税は国民の義務-  「なるべく税金は払いたくない」  これは万人に共通する気持ちだろう。  特に、会社経営者や自営業者、フリーランサー などにとっては、税金など絶対に払いたくないと いう人が多いだろう。  よほどの偽善者じゃない限り、すすんで税金を 払いたいなどという人はいないはずだ。  この「税金を逃れたい」という気持ちは、実は 国のためでもある。  「こいつは頭がおかしいのか? 国のためを思う ならばきちんと税金を納めるべきだろう」  と思った人もいるだろう。  しかし、しかし、である。  今の囗本の社会システムでは、「税金を納める ことは悪」なのである。  詳しくは本書で述べるが、今の日本では、税金 は湯水のように無駄遣いされ、既得権益者を潤す ばかりなのである。しかも、日本の税制は決して 公平などではない。ズルいもの、強いものには非 常に優しく、弱いもの、正直なものに非常に厳し い制度になっているのだ。  たとえば、億万長者よりもフリーターの方が税 負担率が高くなっているのだ(詳細は本文で)。  なぜこんなでたらめなシステムになってしまっ たかというと、もちろん政治が悪いのだが、納税 者にも責任がある。  これまで、囗本の納税者の多くは、ろくに文句 を言うこともなく、黙って税金を納めてきた。そ れが為政者を堕落させ、既得権益者を増殖させる 結果となってしまったのだ。  だから、我々は、国のために正しい脱税に励ま なくてはならない。  脱税は国民の義務なのだ。  会社経営者や自営業者、フリーランサーの方々 などに「正しい脱税」の方法を伝授するのが、本 書の趣旨である。また一般の方にとっても、事業 者の「正しい脱税の方法」を知ることは、税金の 仕組みを理解することに役立つはずだ。税金の 「ウラ入門書」としても、ぜひ活用していただき たい。  ところで世間で使われている「脱税」という言 葉には二つの意味がある。  一つは、税金を逃れる行為全般を指す言葉。  もう一つは、税法違反のことを指す言葉。  前者は、世間一般で広く使われている言葉であ る。  後者については、実は非常に定義が狭い。悪質 な申告漏れ行為があり、なおかつ一定以上の追徴 課税(おおむね1億円)がないと、税法違反には なかなかならないからである。  本書で扱う「正しい脱税」という言葉は、前者 である。前者の中でも、税務署に指摘されたり、 追徴課税を喰らったりしない行為のことである。  「税金を逃れる」という一貫した強い精神を持ち ながら、違法行為でとがめられるようなことは巧 妙に避ける。  それが「正しい脱税」である。  違法行為を推進しているわけでは決してないの で、その点はご了承願いたい。 正しい脱税[目次]徊  節税効果が高い  おわりに 本書の内容は2023年6月時点の情報に基づい                    ています  章 脱税は国民の義務 丿一なぜ正しい脱税が必要なのか?   箏億万長者の税負担はフリーター    より低い  本書は「正しい脱税の方法」を伝授するものだ が、まずは「なぜ正しい脱税をするべきなのか」 その理由をこの第1章で述べたいと思う。  税金を納めるべきではない理由の一つに、税の 不公平がある。  現在の日本では、「高額所得者ほど税負担が低 くなる」という近代国家ではあり得ないような状 況が生じているのだ。  日本は、表向きの税制は、高額所得者ほど税率 が高くなるように制定されている。だから表向き の税率だけを見れば、「高額所得者はたくさん税 金を払っている」ように思える。  しかし、しかし、金持ちが実際に払っている税 金は驚くほど少ないのだ。  税制調査会のHPには、所得1億円までは税負 担率が上かつていくが、1億円を超えると急激に 税率が下がるというデータが載せられている。所 得1億円の人の実質税負担率は27・1%だが、所 得100億円の大は17・1%まで下がるのだ(第 27同税制調査会〈2023年6月30日〉資料より)  つまり、大金持ちほど税負担が少なくなるとい うことである。13・5%というと、サラリーマン ー年生よりも少ない。下手をすると、フリーター よりも安い。  このデータは、政府の諮問機関である日税専門 家委員会に提出された資料であり、公的にも認め られたものである。  なぜ所得が高い人の実質税負担率が下がるかと いうと、次のようなカラクリがあるからだ。  囗本には、配当所得に対する超優遇税制がある。 配当所得は、どんなに収入があっても所得税、住 民税合わせて一律約20%でいいことになっている のだ。これは平均的サラリーマンの税率とほぼ同 じである。  これは、配当所得を優遇することで、経済を活 性化させようという小泉内閣時代の経済政策によ るものだ。  そして金持ちは、自分の収入を持ち株の配当に 集中させていることが多い。たとえば、トヨタの 前社長は、会社からもらう報酬はそれほど高くな く、持ち株からの配当収入が主になっていた。  つまりは、自分の高額な収入を、税率の安くな る方法で受け取っているのだ。  また日本国民には、税負担と同様のものに社会 保険料の負担がある。社会保険料というのは日本 の居住者であれば、一定の条件のもとで必ず払わ なくてはならないものだ。そして社会全体で負担 することで、社会保障を支えようという趣旨を 持っており、まさに税そのものなのである。国民 健康保険の納付書などには「国民健康保険税」と 記されている。  今、国民の多くは、社会保険料の高さに苦しん でいる。  社会保険料は年々上がり続け、税金と社会保険 料を合わせた負担率は40%以上にのぼっている。 これは実質的に世界匸咼いといえる。  しかし、しかし、富裕層の社会保険料の負担率 は、驚くほど低いのだ。5億円の配当収入者では わずかO・5%に過ぎないのだ。  現在の社会保険料は、原則として収入に対して 一定の割合で課せられているが、社会保険料の対 象となる収入には上限がある。  たとえば国民健康保険の上限は、介護保険と合 わせて約100万円である。つまりいくら収入が あろうが100万円以上の保険料は払わなくてい いのだ。  そのため所得が大きい人ほど負担率は下がって いくのだ。  それやこれやで、金持ちの税負担、社会保険料 負担は、フリーターよりも安くなっているのだ。   箏税金は取りやすいところから取     る  囗本の税制では建前の上では、「税金はすべて の国民に公平に課税する」となっている。  しかし、それはまったくの嘘である。  税金は声が大きいものが少なくて済み、小さい ものがたくさん取られるようになっているのだ。  税務の世界では昔から、 「税金は取りやすいところから取れ」  という鉄則がある。  税金はあまり文句が出ないところから取れ、と いうことだ。  「文句が出ないように取る」ということは、公平 に取るという意味ではない。文句を言わないもの からたくさんとって、文句を言うものからはあま り取らないということなのだ。   たとえば税務調査では、追徴額を交渉で決める ことがよくある。  税法上決められた額を追徴するのではなく、納 税者と調査官の交渉で決めるのだ。声の大きい納 税者は、税金を少しでも少なくしようとして必死 に調査官に食ってかかる。  「そんなに税金を払うくらいなら会社はつぶして もいい」  「裁判したって、そんな金は払わない」  そういうふうに言われて、調査官側か根負けし 追徴税を負けてしまうこともよくあるのだ。  その一方で、調査官の言うことをすんなり受け 入れてしまうおとなしい納税者もいる。調査官は そういう納税者からは税金を取れるだけ取ろうと する。  つまり、うるさい人はあまり税金を払わず、お となしい人はたくさん払う(メになるのだ。  うるさい人が税金で得をするのは、何も税務調 査の現場だけではない。日本のあらゆる場所でそ れがまかり通っている。  たとえば、日本の税制では、開業医の税金がと ても優遇されている。なぜそうなっているかとい うと、彼らは「日本医師会」という強力にうるさ い団体を持っているからだ。この団体が政府にう るさく働きかけるので、開業医の税金は低く抑え られているのだ。  日本医師会に隕らない。  日本にはそれに似た業界団体は腐るほどある。 うるさい業界の税金は安いのだ。その代表的なも のに、経団連がある。経団連は日本の超大企業の 経営者の集まりである。彼らは当然のことながら、 超大金持ちでもある。つまりは大企業の利益と、 富裕層の利益を代表する存在だ。この経団連の会 員たちは、政党へ巨額の寄付を行なっており、政 治への圧力が非常に大きい。この30年の間、日本 では大企業と富裕層の税金が大幅に減税されてき たが、それも経団連の存在が影響しているのだ。  このように税金は、力の強いもの声の大きいも のが得をする仕組みになっているのである。  「税金は公平などではない」  「税金はおとなしいものが損をする」  ということを、納税者は重々肝に銘じておくべ きなのだ。  箏日本の金持ちの税金はアメリカ   の半分以下 前項で述べたように、「税金は声が大きいもの が得をする」のだが、日本で一番声が大きいのは 富裕層である。  富裕層が、いかに税金を払っていないか、とい うのはアメリカと比較すれば、もっともわかりや すい。  日本では名目上の税率は、富裕層に高く設定さ れている。最高税率を比べれば、日本は45%、ア メリカは37%なので、日本は8ポイントも高く なっている。最高税率というのは富裕層に課され るものだ。だから、最高税率だけを見れば、囗本 の富裕層は高い所得税を払っているような気がす るはずだ。  では、実際に支払われた税額を見てみたい。  囗本の所得税収は、わずか18・7兆円に過ぎな い。  一方、アメリカの所得税収は、約200兆円で ある。  なんと囗本の所得税収はアメリカの10分の一以 下しかないのだ。  囗本の経済規模はアメリカの4分の一なので、 明らかに囗本の所得税収は低すぎるのだ。経済規 模を考慮しても、日本の所得税収はアメリカの半 分以下といえるのだ。  最高税率はアメリカより8ポイントも高いのに、 なぜ所得税の税収は10分の一以下になっているの だろうか?  富裕層はたくさん税金を払っているけれど、貧 乏人が税金を払っていないから、日本の税収は低 いのだろうか?  それは違う。  アメリカは、収入のある人のうち46%は、所得 が低いということで、所得税を免除されている。 しかし日本は収入のある人のうち、所得が低いと して所得税を免除されているのは20%以下なのだ。  またアメリカでは、高額所得上位10%の人が税 収の70%を負担している。つまリアメリカの高額 所得上位10%は、140兆円程度の所得税を負担 しているのだ。が、日本は上位10%の人は60%し か負担していない。わずか10兆円ちよつとである。  負担割合から見ても、アメリカの富裕層は日本 よりも多くのものを負担しているのだ。  名目の税率は日本の金持ちの方が高いのに、実 際の税負担はアメリカの半分以下……いかに、日 本の金持ちの税金が抜け穴だらけか、ということ 箏先進国で一番低い日本の金持ち   の負担  またアメリカに隕らず他の先進諸国と比較して も、囗本の金持ちの負担は非常に低いのだ。  次の表を見てほしい。  これは、先進主要国の国民所得に対する個人所 得税負担率を示したものだ。少し古いデータでは あるが、10年前と現在とでは、先進国の個人所得 の税制はあまり変わっていないので、現在もほぼ 同様の結果になると推測される。  このデータは国民全体の所得のうち、所得課税 されているのは何%かを示したものである。国民 全体の所得税の負担率を示しているといえる。  実は日本はこれがわずか7・2%なのだ。  主要国の中では断トツに低い。  アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスはどこ もGDP比で10%以上の負担率がある。イギリス に至っては、13・5%で、囗本の約2倍である。  個人所得税というのは、先進国ではその大半を 高額所得者が負担しているものだ。国民全体の所 得税負担率が低いということ、すなわち「高額所 得者の負担が低い」ということを表しているのだ。  これはつまり、囗本の富裕層は、先進国の富裕 層に比べて断トツで税負担率が低いということな のだ。囗本の富裕層は、名目の税率は高くなって いるけれど、実際に負担している額は非常に低く なっているということなのである。   箏中小企業は税金など払わなくて     いい  前項まで、今の日本でいかに富裕層が税金を 払っていないか、ということをご紹介してきた。  その一方で、サラリーマンや中小企業は過度の 税負担に苦しめられてきた。  最初にはっきり言っておきたいが、「中小企業 は税金など払わなくていい」と筆者は考えている。  今の中小企業は、大企業のような国の支援もな く税制優遇もなく、中国、韓国などと価格競争を しなくてはならないのである。  その苦労たるや、並大抵のことではない、とい える。  だから、中小企業というのは、もう存在してい るだけで立派に社会的価値があるのだ。税金(補 助金)も使わず、社会に害を与えるわけもなく、 やっている中小企業はもうそれだけで立派なのだ。  そして、もしその中小企業が、経営者の宗族以 外に一人でも人を雇用しているとなれば、その社 会貢献は多大なものがあるのだ。何十人も従業員 を雇っている中小企業は、表彰してもいいくらい の偉さがあるのだ。  中小企業を大事にしないならば、将来の国力は 必ず落ちていく。  トヨタもホンダもソニーも、最初は中小企業か ら出発したのである。  囗本の高度経済成長を支えてきたのは、中小企 業の技術力だと言っても過言ではない。  しかし、現在の国の政策を見る限り、中小企業 はまったくおろそかにされている。  消費税の増税や度重なる社会保険料の値上げが、 中小企業にどれほど大きなダメージを与えている か、国は、まったく理解していない。  しかし、国に文句を言っているばかりでは、ら ちが明かないので、自分たちでやれることから やってみるべきだろう。  まずは税金を極力安くすることである。  税金ほど無駄な支出はないからだ。  箏日本の「税金無駄遣い」は末期   症状 しかも今の日本では「税金の無駄遣い問題」も ある。  この問題は、もうずっと以前から言われてきた ものであり、多かれ少なかれどこの国も抱えてい る問題だ。が、囗本の場合、本当にヤバい、本当 に末期症状のような状態なのである。  昨今の新型コロナ対策において、「中抜き問題」 が大きくクローズアップされた。  たとえば、新型コロナにより経営が悪化した中 小企業に、悪化状況に応じて現金を給付するとい う「持続化給付金」である。  持続化給付金では、「サービスデザイン推進協 議会」というほとんど実体のない団体に769億 円という巨額な費用で事務委託されていた。その 委託費は20億円抜かれた後さらに電通などに再委 託されていた。  しかも、「サービスデザイン推進協議会」が受 注した国の事業は今回が初めてではなく、 2016年の発足から2020年までのわずか5 年間で、経済産業省の事業を1576億円も受注 していたのだ。  サービスデザイン推進協議会は、電通、パソナ トランスコスモスなどによつてつくられた団体で ある。パソナという会社は人材派遣業であり、あ の竹中平蔵氏が元会長たった企業だ。官僚の再就 職業務(つまりは天下りのあっせん業務)なども行 なっていた「天下りの総本山」というような会社 である。  また安倍首相が日本全国の家庭に一人あたり2 枚のマスクを配布したいわゆるアベノマスクでも 同様の問題が指摘された。  政府は、アベノマスクの納入業者について、興 和、伊藤忠、マツオカの3社についてはすぐに公 表したが、残りの2社についてはなかなか公表し なかった。このことは国会でも問題視され、世間 でも叩かれるようになり、2020年4月27日に なってようやく菅義偉官房長官が、残りの2社を 公表した。  残りの2社は横井定、ユースビオという企業名 たった。  横井定株式会社は「日本マスク」というブラン ドを持つ老舗のマスクメーカーである。  が、もう一つのユースビオという企業はまった く無名たった。  このアベノマスクの調達は、通常の「入札」に よるものではなく、政府が勝手に指名する随意契 約たった。緊急のため、随意契約となったのだ。 随意契約というのは政府が勝手に決めるものだか ら、より公正な選択が必要とされる。だいたい実 績のある大手企業が選ばれる。  特に、アベノマスクのような緊急性の高いもの については、失敗のないように実績が非常に重視 されるはずだった。  しかし、このユースビオという企業はホーム ページもない、電話帳にも載っていないような超 無名の企業だったのだ。  週刊東洋経済が2020年4月30囗に配信した 「福島の無名会社『アベノマスク4億円受注』の 謎」(岩澤倫彦)という記事によると、「社屋は平 屋のプレ「ブのような簡素な建物」で「海外から 燃料用の木質ペレットを輸入する事業を行なって おり、マスクの輸入販売にはまったく実績がな い」とのことだ。また会社の代表者は、脱税で起 訴され執行猶予中の身たったそうである。  新型コロナという歴史的な災厄においてさえ、 これほど明確に利権が絡むのだ。他の予算がさら にひどいことになっているのは言うまでもない。  元官僚として、筆者はこういうのを嫌というほ ど見てきた。  こんなひどい状態なのに、日本はよく国として 成り立っているなと思うほどである。  箏巨額の公共事業を行なっている   のに公共インフラはボロボロ 日本の税金無駄遣いのひどさについて、いくつ か例を挙げたい。  日本は卯年代から2000年代にかけて国と地 方合わせて総額630兆円にも上る公共投資を行 なった。バブル崩壊から現在までの間に、日本は 1000兆円近くの金を公共事業につぎ込んでい るのだ。こんな巨額の公共事業を行なった国は他 にはない。  日本は巨額の公共事業を行なってきたにもかか わらず、途上国並みのインフラなのだ。というよ リ、途上国以下の部分も多々あるのだ。  次の上の表は、WHOが発表した2011年か ら2015年までの10万人人口あたりの自然災害 の死者数のランキングである。残念なことに日本 は世界のワースト2位ということになっているの だ。                       則    合叫                       よ    割よ  ダ         百万ご  訌ぎ;420399987754444433四   留  よ当印732222100000000000000界    防ヽ  こ口2                 世    堤22 亘       二三 ン                                                            テ    臨土 ラ                   率   か膕 界                   備   要 ‥   一J /    -三次 者     セー鳥ア ラ タ ア       =アバ約糸 死 名  ン  ンイ謡シ ー スアシ  ン カン   剛『、 る 国  ル ピ ビデンネアジツニジルアー タアンダ  、″  `々     一 リアトナモ囗ピーアカボトビジチスリラー   要 よ  八本fモンレロクミユヌフンンリイイキマリスイ  主 `  湊日フサセグソミナニバアカセボフハパソス南夕  ` ”乱 フ       12245555500   叨ご 自 順 123456788811111111122 先 口                 一  ○  ソロモン、ミクロネシアなどの小島国家やカン ボジア、南スーダンなど、インフラ整備が明らか に遅れている国などよりも日本は自然災害の死亡 率が高いのだ。  たとえば2018年の災害死者数ランキングで は、日本は444人でインドネシア、インド、グ アテマラに次いで4位となっている。日本はこの 20年ほどは東日本大震災の犠牲者を除いても年平 均で150人以上の犠牲者を出している。人口比 の犠牲者数は常に世界のワースト10の中に入って いるのだ。  世界の中には、インフラが整っていなかったり、 環境の悪いスラム街に人口が密集していたり、日 本よりももっと自然が過酷だったりする国は多々 ある。  いくら日本では災害が多いと言っても、そうい う国々よりも犠牲者が多いというのは、やはり 「おかしい」と思わざるを得ない。  なぜこんなことになっているのかというと、日 本の巨額の公共事業費は、必要なところに使われ ず、特定の業界、特定の地域だけに繰り返し使わ れているからだ。有力な政治家のいる地域や有力 な族議員を持つ業界などは、潤沢な公共事業費で 潤っているが、本当に公共事業が必要な場所には 行き渡っていないのだ。  たとえば、堤防整備である。  前の下の表は、先進国の主要河川の堤防整備状 況であり、国土交通省のサイトで公表されていた 資料だ。  囗本の荒川というと、埼玉、長野、山梨から関 東平野のど真ん中を貫き、東京23区内を経て東京 湾にそそがれるという「首都圏の中心を流れる大 河川」である。この荒川の堤防工事が72・5%し かできていないのだ。  何十年もの間、世界最大の公共事業費を費消し ておきながら、大都市を貫く大河川の堤防工事さ え完成させていないのである。   箏金持ちほど税金に渋い  ところで筆者は、元国税調査官である。  国税調査官というのは、簡単に言えば、納税者 の申告が正しいかどうかの調査などを行なう仕事 である。人の懐具合や、金の使い方を散々チェッ クしてきた。  私はこの仕事をしているとき、世の中の重大な 法則を見つけた。  「金持ちほど税金にものすごくケチだ」  ということである。  これはほとんど例外がない「原理」なのだ。  金持ちはヶチじゃない人もたくさんいる。人と 飲みに行けば、気前よくおごる金持ちもたくさん いる。  そういう人でも、税金に関しては間違いなくヶ チなのだ。  なんで金持ちが税金にヶチなのか。  「支出の中で税金がもっとも無駄なもの」  ということを、彼らはよく知っているのだ。  人にご馳走することは、それなりに意味がある。 自分の経済力を誇示することでもあるし、相手の 気分を良くさせ恩を売ることもできる。  でも税金は、見返りがほとんど期待できない。  何に使われているのか、よくわからない。とい うより、絶対に無茶苦茶に無駄遣いされているこ とは、間違いないのだ。自分の大事なお金を、そ んなことで取られてしまってはたまらない。  「政治家にいいことをしてもらおうと思えば、税 金など払わずに、寄付をすればいい。とっても直 接的な見返りがある」  金持ちは、そう考えているのだ。  日本は累進課税の国である。  累進課税というのは、金持ちほど税金を多く払 うような仕組みである。だから当たり前にやって いれば、金持ちは貧乏人よりたくさん税金を払わ なければならない。  しかし金持ちは、そんな手には乗らない。  あの手この手を使って、税金を払わないで済む ようにしてしまう。貧乏人よりも、少ない税金し か払っていない、ということもよくあるのだ。  実際、私か税務調査をした会社経営者には、私 よりはるかに収入が多いのに私よりもはるかに少 ない税金しか払っていない人たちもたくさんいた。  金持ちというのは税金にとても詳しい。調査官 や税理士が歯が立だないこともあるくらいだ。金 持ちは税金に関してものすごく研究をしているの だ。税金を払わないためなら、努力を惜しまない。  かの田中角栄も、国税庁が総力をあげても敵わ ないほど税金に詳しかったそうである。  節税とは「法の穴をつくこと」である。  法の趣旨にしたがっていれば、金持ちはたくさ ん税金を取られる。だから目を皿のようにして、 税法の抜け穴を見つけ出すのだ。このようにして 金持ちは、税を逃れてきた。  ならば金持ちでない我々は、金持ちと同等かそ れ以上に、税金に関して敏感にならなければなら ない。そのために、我々は「正しい脱税」を学ぶ 必要があるのだ。   箏「正しい脱税」とは何か?  ここで本書の趣旨としている「正しい脱税」と はなんぞやということをご説明したい。  「正しい脱税」というのは、ざっくり言えば「違 法行為ではない脱税」のことだ。  ではどういうことが「違法行為の脱税」になる のか?  「違法行為の脱税の条件」というのは、ざっくり 言うと、  「税金の申告において不正を行い」 「逃れた税金が多額であること」  なのだ。 「違法行為の脱税は節税の延長」  などと言われることもある。しかし、実は「違 法行為の脱税」と節税の間には明らかな一線があ る。  それは税の専門家じゃなくても、簡単に判別で きる。  ただ、世間一般では、申告した税金が過少だつ た場合、すべてをひっくるめて違法行為としての 脱税と呼ぶ傾向がある。が、税務上の取り扱いに おいては、おなじ過少申告であっても、合法的か 非合法的かで税務上の扱いは異なるのだ。  過少申告、いわゆる課税漏れには、2種類ある。  「悪質なもの」と「悪質でないもの」である。  「悪質なもの」というのは、売上を隠したり、経 費を水増ししたりするなどの「不正工作」を行な うことだ。  「悪質でないもの」というのは、税法を知らな かったためにうっかり申告漏れになっていたり、 計算ミスをしたりしたような場合である。  税務上の取り扱いにおいて、両者には差がある。  「悪質でないもの」はたとえば単なる経理ミスや 税法の解釈誤り、または違法とは知らずに勘違い で行なった申告漏れに関しては、税務上は「過少 申告加算税」というものが課せられる。これは、 追徴して払う税金を10%増しにするというものだ。  一方、悪質なもの、税逃れのための不正工作を していた場合には、追徴して払う税金は35%増し になる。  これは「重加算税」と呼ばれている。この重加 算税がかかる申告漏れのことを「不正行為」と呼 ぶのだ。  そしてこの不正工作をしていて、なおかつその 金額が巨額のものが税法違反として起訴されるの だ。それが違法行為としての脱税である。  巨額というのは、どのくらいのものを言うかと いうと、追徴税額としてだいたい1億円くらいと されている。しかし、あまりに悪質な場合は、そ れより少ない額でも起訴されるケースもある。  本書が目的としている「正しい脱税」というの は、悪質な行為と認定されない節税、つまり税法 違反につながらない節税のことである。  しかし、巷の税金マニュアルにあるような通り 一遍の節税ではない。税法の抜け穴をついたり、 税法のギリギリをつくような「攻めた節税」なの である。が、「攻めた節税」と言っても、そう難 しいものではない。誰もが簡単にできるものばか りなのである。  章 正しい脱税を行なうための J一基本の9ヵ条   箏「正しい脱税」のための9ヵ条  「正しい脱税」をするコツのようなものがある。  本章では、そのコツとなることを9ヵ条にまと めた。それは以下の通りである。  一、ほんのわずかな知識で税金は劇的に安くな る  一、税法を味方につけるべし  一、税務署、税理士の言うことを鵜呑みにする な  气生活費を事業の経費に計上すべし  气宗族を最大限利用すべし  一、税金を減らすには予防が大切  一、常にだいたいの税金額を把握しておくべし 一、節税策はズにわせ技”を使うべし 一、脱税で捕まるのはバヵ この9ヵ条を次項以下で順に説明したい。  箏「ほんのわずかな知識で税金は   劇的に安くなる」  まずは「ほんのわずかな知識で税金は劇的に安 くなる」についてである。  一般の人にとって、税金というのは難解なイ メージがありとっつきにくいものだろう。だから、 税金を知ることを諦めたり、税理士や会計担当者 に任せっぱなしになったりしてしまう。  しかし、税金というのはそれほど難しいもので はない。  また税金を体系的に知らなくても、断片的な知 識でもいいので、ちょっとでも知識を持てば、税 金の額は劇的に安くなるのである。  多くの人は、「ほんのちょっとの努力」をせず に、高い税金を払っているのだ。  普通の人は、収入を得るために仕事を頑張るも のである。  事業者であれば、事業の利益を出すために頑張 る。事業というのは、形式上の目的は「利益を出 すこと」になっているので、それはとても正しい ことである。  しかし、せっかく利益を出しても、その4割が 税金に取られてしまうのだ。  これは、事業者にとっては非常に痛いことであ る。  事業の中で、利益を倍に増やすということは、 並大抵のことではない。しかし、もし税金を払わ ずに済むならば、利益を2倍近く増やすのと同じ ことなのだ。節税をするのとしないのとでは、事 業活動はまったく違うのだ。  ずる賢い事業者は、その点をしっかり認識して いる。  だから、無駄な利益は出さないよう、つまりな るべく税金は払わなくて済むように、計算してい る。  税金をなるべく安くしたいというのは、事業者 としては誰もが持っている考えだろう。「喜んで たくさん税金を払います」というような事業者に、 筆者は会ったことはない。  だが事業者が皆、節税のポイントをしっかり押 さえて、巧みな節税をしているわけではない。  ほとんどの事業者は、日々の忙しさのため、な かなか税金にまで頭が回らず、決算が終わってか ら、税金の多さに愕然としてしまう。そして、中 には無理な節税(つまり脱税)に走る事業者もい る。  その点、本当の金持ちは、忙しい中でも、常に 頭のどこかで税金を計算している。そして、本当 に「効果のある節税策」を施しているのだ。  私は自営業者や、会社経営者の方と時々お会い することがあるが、税金が高い、という声を必ず と言っていいほど耳にする。事業がそれなりに運 営できている経営者で、税金を負担に思っていな い人はいないともいえるだろう。  でもそれらの人が節税の努力をしているかどう かというのは、また別の話なのだ。  不思議なもので、節税をしている人は、様々な 節税策を日々研究しているが、節税をしていない 人は、まっだくしていない。  税理士に任せっぱなしになっているのだ。  税金というのは、ほんの一手間で、まったく変 わってくる。  ほんのちょっとした節税策を施すだけで、税金 は随分安くなる。今まで、節税策を施してなかっ た人ならば、なおさらである。  税金は、努力がゼロの場合と努力が1の場合の 差がもっとも大きいのだ。  税金は高い、税金は自分の力ではどうにもなら ない、などと思わずに、何か一つでも節税策を講 じるべきだろう。  本書に載っている「正しい脱税策」を一つでも 使いこなせば、本書の代金の何十倍、何百倍の税 金が簡単に節税できるのだ。 箏「税法を味方につけるべし」 次に「税法を味方につけるべし」について説明  実は税務の世界では、グレーなものがたくさん ある。課税になるかならないか、経費として認め られるか認められないか、明確な線引きがされて いないものが多いのだ。また個別の事情によって、 線引きは変わってくることもある。つまり、税務 には微妙なものが多いのだ。  たとえば交際費である。交際費というのは、非 常に線引きが難しい。どこからが会社の交際費で どこからがプライベートの費用なのかはなかなか 判別がつかない。  その場合、どうすればいいのか?  納税者側か自分で判断をすればいいのだ。  囗本の税制では申告納税制度という建前をとっ ている。これは「税金は納税者が自分で申告して 自分で納める」というものだ。税務当局は、申告 に明らかな誤りがあったときにのみ、是正できる のだ。  だから申告で不審な点があった場合、納税者は 「それが潔白だ」という証明はしなくていいのだ。 もし不審点を否認するのなら、税務当局側(つま り税務署)に「それが黒だ」と証明する必要があ るのだ。  しかし、納税者の多くはその権利を知らない。 税務署は、納税者がそれを知らないことをいいこ とに、無理やり言いくるめて税金を取ろうとする こともある。そして残念なことに、こういう税務 署員はけつこう多いのだ。   たとえば、よくあるケースで、こんなものがあ る。  とある会社で、ゴルフ代を会社の経費で認める かどうかで、調査官が追及している。  「社長! このゴルフ代はだれと行ったんです か」  と調査官が社長に聞いた。 「以前から取引のあるYさんと行きました」  社長が答える。すると、調査官はこう聞き返し た。  「Yさんとは今も取引があるんですか?」  「最近はあまりないです」  と社長は答えた。  それを聞いた調査官は、こう言った。  「Yさんは取引先じゃなくて、普通の友人でしょ う? 友人と一緒にゴルフに行ったんでしょう? これは会社の経費とは認められませんね」  こういうやりとりは、税務調査の中では、普通 にある。でも、これは明らかに法的にはおかしい のだ。  というのも、交際費(会社の経費)に該当する かどうかの判断を、調査官がする権利などはない。 かつての取引先とゴルフに行つだのであれば、今 は取引はなくても、いずれ取引が再開するかもし れないし、ビジネスに関する有用な情報を得るこ ともあるはずだ。だから、この社長が「交際費に 該当する」と判断すれば、それは尊重されるべき なのだ。  もし納税者側か異議申し立てをしたり、行政裁 判を起こせば、税務署は負けるだろう。   箏「税務署、税理士の言うことを     鵜呑みにするな」  次に「税務署、税理士の言うことを鵜呑みにす るな」について説明したい。  囗本の国民は素直な人が多いのが特徴である。  政治家や役人の悪口を言いながらも、最終的に はしたがってしまう。彼らもそれなりに考えて やってくれているのだろう、と思ってしまうよう だ。  でも、こと税金に関する限り、それは通用しな いといっていい。 「税金は声の大きいものが得をする」  そういうふうになっているのである。  税務署というと、企業や市民が脱税をしていな いかどうかを見張っているところ、皆に公平に税 金をかけるように日々努力している、正義の味方 的な存在だと思っている人も多いかもしれない。  でも、税務署というものは、実はただの「税金 取り」に過ぎない。一般企業のセールスマンと同 じように、少しでも税金を稼げばそれでいい、と いうタイプの人だちなのだ。前項で述べたように、 納税者の無知に付け込んで、適当に言いくるめて 税金をふんだくるということを平気で行なうので ある。  また税理士に申告を頼んでいる会社やフリよフ ンサーの方も多いだろう。税理士は、税務署に比 べれば、節税策を指南してくれる機会は多いとい える。しかし、これも、必ずしも万能ではない。  税理士に頼むといっても、期末の申告書作成だ けをお願いしているのであれば、機械的に申告書 を作成されるだけの場合がほとんどである。  税理士に定期的に指導してもらっている場合も、 税理士の能力、日ごろの勉強の度合いなどで、効 果的な節税策を指南してくれるか否かは、大きく 違ってくる。税理士によっては、最近の税務事情 に疎い場合もあり、そういう税理士は、節税策に ついての知識も乏しいのだ。  ただし、税理士も顧客から尋ねられたことにつ いては、勉強をしてくるものである。だから、税 理士には積極的に節税策を尋ねた方がいいだろう。  それも、ただ漠然と「どうすればいい節税にな りますか」という聞き方ではなく、「人件費で節 税したい」「交際費で節税したい」などと具体的 な項目を尋ねてみた方がいい。  「税理士に任せているのだから、節税はそれで0 K」 などと思ってばならないのだ。  箏「生活費を事業の経費に計上す   べし」  次に「生活費を事業の経費に計上すべし」につ いて説明したい。  事業の税金を安くする方法は、実は二つしかな い。  売上を減らすか、経費を増やすか、である。  事業の税金は、利益にかかってくるものである。 だから、税金を減らそうと思えば、利益を減らす しかない。そして利益を減らすには、売上を減ら すか、経費を増やすしかないのだ。  しかし、この二つの方法のうち、売上を減らす 方法は、あまり使えない。  というのも、売上というのは、相手(顧客)が あってのことなので、恣意的に増減することはな かなか難しい。  売上というのは、下手にいじると大変なことに なるからだ。無理やり売上を減らすと、顧客が離 れてしまい、今度は売上を上げようと思ったとき に上かつてくれなくなる恐れがある。そうなると、 税金を安くするどころか、事業自体が危ぶまれて しまう。だから、売上は故意に減らそうなどと考 えない方がいいのだ。  となれば、残りは経費を増やす方法だけである。  経費というのは、経営者の意思によって簡単に 増減できる。経費を増やしたところで、顧客が離 れる心配はない。だから、恣意的に税金を安くし ようとする場合には、経費を増やすしかない、と いうことになる。  しかし、まったく無駄な経費をどんどん増やし ても、税金は減るけれども事業の経理状態は悪化 していく。これでは、本末転倒だといえる。  ではどうすればいいか?  自分の生活費となるものなどを事業の経費とし て計上し、税金を安くすることである。  そうすれば、自分の生活費も浮くし節税にもな る。  もちろん、本来は、自分の生活費を事業の経費 に計上することなどはできない。  が、自分の事業と関連付けさえすれば、生活費 であっても経費に計上することができるのだ。詳 しくは後述するが、たとえば、家賃、通信費、光 熱費なども一定の手順を踏めば事業の経費に計上 できるのである。 箏「家族を最大限利用すべし」 次に「家族を最大限利用すべし」について説明  中小企業が税金を逃れる上でもっとも手っ取り 早く、効果のある方法は、身内を事業の中に入れ ることである。  役員や従業員として、妻子や親兄弟を会社の一 員にしておくのだ。  身内を役員や従業員にすると、通常の節税にも なるし、利益が急に増えたときの緊急の節税にも なるのだ。  囗本の所得税は累進課税になっており、所得が 大きい人の方が税率が高くなるという仕組みに なっている。だから所得(給料や報酬)は、一人 でたくさんもらうより、宗族で分散した方が、全 体の税金を安くすることができる。  たとえば、1000万円の所得を経営者1人の 報酬として受け取った場合と、家族4人に分散し た場合を比較してみたい。  1000万円を一人でもらった場合、所得税だ けで200万円程度はかかる。住民税を合わせる と、300万円ほどになる。  しかし、1000万円を経営者が400万円、 妻が300万円、両親などの親族が150万円ず つ給料や報酬として受け取った場合は、所得税、 住民税を合わせてもだいたい50万円以下で済むの だ。  実際に、このような節税策を施している事業者 はいくらでもある。  詳しくは後程述べるが、家族の場合は、従業員 としても使いやすい。ちょっとした仕事があれば 従業員にできるし、給料が払えなくなれば、簡単 に給料を下げることができるし、辞めさせること もできる。  また、会社が急に儲かって、このままでは多額 の税金を課せられるというときに、社員になって いる宗族にボーナスを払って会社の利益を吐き出 すことができるのだ。  さらに大きな税金を減らしたいときには、非常 勤役員にしている宗族を辞めさせて退職金を払う という大技もある。   箏「税金を減らすには予防が大    切」  次に「税金を減らすには予防が大切」である。  事業者にとって税金を払うことほどバカバカし いことはない。せっかく儲かっても、税金で4割 が取られてしまうのだ。  これまで、利益を出すことに四苦八苦して、 やっと利益が出たと思えば、その大事な大事な利 益が税金に取られてしまうのだ。  だから、事業者としては、利益を出すことも大 事だが、その先のことを考えなければならない。  思った以上に利益を出すことは、事業者として は、避けるべきなのだ。自分が想定している以上 の税金は、払うべきではない。税金とは費用対効 果がまったく認められない支出なのだ。  税金で痛い思いをする人(経営者)の特徴とし て、「税金が高いということを、決算期が終わっ てから気づく」というものがある。  税金は、通常、決算期が来たときに確定してし まう(個人事業者であれば12月末)。  税金というのは、確定してしまった後からはな かなか減らせないようにできている。だから節税 策というのは、税金が確定する前に施すのが基本 なのだ。  そんなことは当たり前じやないか、と思う人も いるかもしれない。  でも多くの人は、この当たり前のことがなかな かできないのだ。  脱税で捕まる人に、賢い人はほとんどいない。  税金が確定するまでそれを放置していて、税金 が確定してからその大きさに驚いて、無理やり税 金を少なく申告してしまう。それが脱税となるわ けだ。実際、税務署が摘発する脱税のほとんどは、 駆け込み型の脱税なのだ。  なので、節税をするならば、遅くとも決算期ま でにしなければならないのだ。決算期を過ぎても、 貸倒引当金の設定など、節税方法もあるにはある けれど、大半の節税策は使用不可能になる。  だから、なんとか、決算期が来る前に動き出す ことである。  事業者は、日々の経営に忙しく、税金のことが 意識からすっぽり抜け落ちていることが多い。  しかし、そういうことがないように、大きな利 益が出れば、それに相応する大きな税金を払わな ければならないことを、念頭に置いておきたい。  箏「常にだいたいの税金額を把握   しておくべし」 次は「常にだいたいの税金額を把握しておくべ し」である。  中小企業の経営者、フリーランサーの方々とい うのは、日々の事業運営に忙しいものである。  営業のこと、仕事の進行のことで、頭がいっぱ いだと思われる。  だから、実際自分が今どのくらい儲けているの か、利益が出ているのか、わからなくなっている ことも多いようだ。  金がないときは金策に走り回り、お金がたくさ ん入ったときには、会社がやたら儲かっているよ うな気になって、無造作に使ってしまう。  そのことが「後で税金のことで頭を悩ませる」 要因になることが多いのだ。  先はども述べたように「正しい脱税」の第一は 予防である。  でも、この予防がなかなかできにくい。  経営者というのは、会社の日々の運営、資金繰 りで精一杯であり、税金のことまで頭が回らない ことが多いからだ。  だから本書は、日ごろ節税をしていなくても、 決算ギリギリになってもできる節税方法も紹介し ている。  ただし、ギリギリになればなるほど講じられる 策は隕られてくる。  決算期を過ぎると、節税策はほとんどなくなる。  税金は一度確定すると、もう変えようがないの だ。  だから、少なくとも決算期まで、個人事業者の 場合には12月末までには、何らかの策を講じるべ きなのだ。  経営者、フリーランサーの方は忙しいだろうけ れども、少なくとも、今、自分がどのくらい儲 かっているのかくらいは把握しておきたい。  具体的に言うならば、簡単な損益計算書くらい は、毎月つけておくべきだろう。  これがあるのとないのとでは、税金対策がまつ たく違ってくる。  このままいけば税金がどのくらいになるのかだ いたいの推測がつくので、早めに税金対策を行な うことができるのだ。  損益計算書といっても、ちゃんとしたものをつ くる必要はない。今、売上がいくらくらいになっ ていて、経費がいくらくらいかかっているか、と いうことがわかればいい。小遣い帳と同じである。 それをいつでも見られるようにしておくのだ。  また損益計算書を作ると、経営や金策の方法に も大きな違いが出てくる。  データを見ると、事業が客観的に見えてくるも のだ。  自分の頭に入っていると思っているデータでも、 実際に表を作ってみると、今まで気づかなかった ことが出てきたりするものだ。  事業の利益が上がらないときは、えてして営業 力や仕事の能力のせいばかりにしてしまいがちで ある。でも損益計算書などのデータを眺めている と、意外な要因に気づいたりするものだ。全然利 益の上かつていない取引が見つかったり、経費の 中で無駄に高いものがわかってきたりするのだ。  小遣い帳や家計簿をつけるようになると、無駄 遣いをしなくなるのと同じことである。  データを作るということは、そういう効果もあ るのだ。節税のうまい経営者というのは、必ずそ ういうデータを持っている。  箏「節税策はぶ口わせ技”を使う   べし」 次に「節税策はズロわせ技”を使うべし」につ いて説明したい。  節税策というのは、一つ一つではあまりたいし た額ではないものが多い。  「500万円の所得をすぐに減らすこと」  などは、なかなかできない。  しかし100万円くらいの所得をすぐに減らせ る節税方法はいくらでもある。それを三つ四つ組 み合わせれば、500万円の所得を消すことにな る。  たとえば、「10万円未満の固定資産」「消耗品」 「前払い費用」、この三つの節税方法はいずれも、 せいぜい200万円までが限度である(この三つ はいずれも後述)。しかし三つをみな使えば、 500万円くらいまでの節税は十分に可能なのだ。  つまりはたった一つの節税方法で、節税を完成 させようと思っては駄目だということである。  私は元国税調査官で、中小企業の税務調査をた くさんしてきたが、数十万円、数百万円の所得を 危ない方法で誤魔化す経営者に限って、オーソ ドックスな節税さえしていないことが多いのだ。  自分にできる方法をしっかり利用すれば、かな り税金は安くなるのだ。  また税金を逃れるには、「緊急避難型」と「恒 久型」の2種類がある。  「緊急避難型」というのは、今期の利益を翌期以 降の利益に振り替えるなどをして、とりあえず当 座の税金を少なくするというものである。  たとえば、経営セーフティ共済などがこれにあ たる。  経営セーフティ共済というのは、取引先の倒産 などに備えるため、毎月20万円を限度に、総額 800万円までを積み立てることができるという 共済である(詳細は後述)。共済の掛け金はすべて 事業の経費に計上することができる。また前払い もできるので、決算月に1年分の前払いを行えば、 240万円もの所得を一気に削ることができる。  しかし、この経営セーフティ共済は、積立金を 払いだしたときには、所得に加算しなければなら ない。だから、所得の先送りをしているにすぎな いのだ。だから、一時的に所得を減らす「緊急避 難的な節税」というわけである。  一方「恒久型」の節税策というのは、本質的な 節税であり、すでに完結したものである。  たとえば家族従業員への給料の分散などである。  会社の利益を、給料として家族従業員に分散し て支給すれば、会社や個人事業者の節税にもなる (詳しくは後述)。そして、これは完結した節税策 なので、経営セーフティ共済のように、後で所得 に加算されるということもない。  もちろん、節税策としては「恒久型」の方が優 れているといえる。けれど「恒久型」の節税策は ある程度準備が必要なので、期末に即効性が必要 なときにはあまり役には立だない。  しかし、「緊急避難型」と「恒久型」をうまく 組み合わせることで、急なときにも対応できるし、 長い目で見ても税金を安くすることができるのだ。 「緊急避難型」で当座の税金を回避しておいて、 後でゆっくりと「恒久型」の節税策を施せばいい というわけだ。  箏「脱税で捕まるのはバカ」 最後に「脱税で捕まるのはバカ」について説明  当然のことながら、本書では違法行為としての 脱税を推奨するわけではない。  よく、「節税の延長が脱税」などという人がい るか、この言葉は事実ではない。  法律上の「脱税」と節税の間には明らかな一線 があるのだ。  それは、法を犯すかどうかということである。  本当に悪い奴は、法律のギリギリをついて税金 を安くする。脱税で捕まる人というのは、節税を する知識やテクニックがないのだ。  そして筆者の経験上、脱税で捕まる大というの は愚かな大が多いものである。  脱税で捕まるというと、頭のいい人のような印 象があるが、本当はそうではない。経理に疎い大 が、やむにやまれず手を出してしまった、という ものがほとんどなのだ。  たとえば、私か税務調査に行ったところにこう いう会社があった。  その会社は、健康食品の販売業。  健康食品というのは、妙な商品である。  流行すれば、すごく売れる。しかし流行しなけ れば、まったく売れない。いわばバクチ性の高い 業態である。  そして健康食品は仕入値がすごく小さいものが 多い。だから、一発当てれば、すごく儲かるのだ。 ただし、なかなか当たらない。  その健康食品会社も、それまでずっと当たって いなかったのだけれど、前年くらいにすごいヒッ ト商品が出た。ヒットが出たら、莫大な利益が出 る。  そうなると、当然、税務署が目をつける。税務 署というところは、その点、目ざといのだ。  しかし、その会社は、今までずっと儲かってい なかったので、税金対策の知識はほとんどなかっ たのだ。  そして、その会社の社長は決算期になって、莫 大な税金が課せられることに気づき、唖然とする。  「これではたまらない」  と思った社長は、無茶な節税をしてしまった。 つまりは、違法脱税である。  この社長のとっだ。節税策”というのは、近所 の神社に広告を出したなどとして、多額の架空の 経費を計上するというものだった。  こういうものは、税務署が相手先に確認すれば、 簡単に発覚してしまう。調査官が神社に行って、 「○○さんから800万円もらいましたか?」と 聞けばいいだけなのだ。神社側も、もらった額を 正直に言わなければ、自分が隠しているのではな いかと疑われてしまうので、正確な金額を教える。  これは極端な例ではあるが、税務署から指摘さ れる脱税というのは、だいたいこんなヶIスが多 い。  章 Q》寺の住職に学ぶ究極の脱税術  第   箏住職は脱税の常習犯  「正しい脱税」の具体的な手順をご説明する前に、 寺の住職や、やり手の社長を例にとって、「正し い脱税」とはどういうことなのかを、実感してい ただこうと思う。 「正しい脱税」をする際には、モデルケースとし て寺の住職がある。寺の住職の経済を真似すれば、 「正しい脱税」が可能なのだ。  信じられないかもしれないが、実は、寺の住職 は脱税の常習犯なのである。  寺の住職というと、仏に仕える身であり、脱税 なんて絶対やらないというようなイメージを持っ ている方も多いかもしれない。  でも事実はまったく逆なのである。  寺の住職というのは、他の業種に比べて非常に 脱税が多いのだ。  寺を税務調査した場合、80~卯%の割合で、課 税漏れが見つかるのである。業種全体の課税漏れ の平均値が60%台なので、寺は平均よりも20ポイ ントも脱税率が高いといえる。  寺の場合、脱税する総額がそれほど大きくない ので、起訴まではされず、ニュースなどにはあま り取り上げられない。が、実際は非常に脱税の多 い業種なのである。  寺の住職というのは、非常に脱税をやりやすい 状況にある。  寺の最大の収入源であるお布施というのは、領 収書を発行することはほとんどない。領収書を発 行しないということは、取引記録が残らないとい うことだ。  またそのやりとりは密室で行われるので、外部 にはまったく見えない。  脱税というのは、こういう状況のときにもっと もやりやすいのである。  つまり住職が檀家でお布施をもらい、そのまま ポケットに入れてしまえば、脱税は簡単に成立し てしまうのだ。  つまりは、住職という職業は脱税の。誘惑”が 多いところなのである。  「脱税の誘惑」が多いといっても、住職は仏に仕 える身、そんな誘惑に負けてほしくないものであ る。しかし、住職も所詮、生身の人間であり、こ の誘惑には勝てないようなのである。  筆者は、この住職の脱税自体を推奨するわけで はない。これは完全に違法行為だからだ。これを 真似すれば、税務署にこつひどく絞められてしま  が、寺の住職には、そういう「悪い脱税」とは 別の「正しい脱税」のスキームもあるのである。 それを順次ご説明していきたい。   箏寺の税金  そもそも寺の税金とはどうなっているのだろう か?  寺の税金というのは、ちょっと複雑な形態に なっている。  寺というのは、ほとんどが宗教法人という組織 になっている。そして寺(宗教法人)の宗教活動 には、税金はかからない。寺の主な収入は、お布 施や戒名料などだが、これには税金は課せられな いのである。それらは宗教活動だから、寺本体に は税金がかからないことがほとんどなのだ。  そして寺の住職というのは、その寺(宗教法人) から雇用され、給料をもらっているという形に なっている。そのため、その給料については、一 応、税金がかかることになっている。つまりは、 寺の住職は、税務上はサラリーマンに過ぎないの である。  住職は、その寺の収入の中から、毎月、決まっ た額を給料としてもらうことになっている。その 給料には、当然、税金がかかり、寺は、会社と同 じように住職の給料から税金を天引きして、税務 署に納めなければならない。  しかし寺の多くは、住職が「経営者」となって おり、会計などは住職の意のままである。  宗教法人の税務申告は次のようになっている。  収益事業を営む公益法人は、毎事業年度終了後 2ヵ月以内に、確定申告書を所轄の税務署長へ提 出しなければならない。宗教活動の他、駐車場や 不動産、物品販売などの「収益事業」を行なって いれば、税務署に申告書を出さなければならない わけだ。  その確定申告書には、収益事業にかかわる貸借 対照表、損益計算書だけでなく、収益事業外の全 体の貸借対照表および損益計算書を提出しなけれ ばならないこととなっている。つまり、「収益事 業」を営んでいる宗教法人は、その宗教法人全体 の貸借対照表と損益計算書を添付しなければなら ない。  が、裏を返せば、収益事業を行なっていない宗 教法人は、その必要はないのである。  本来、宗教法人は、その事業年度の収支計算書 を原則として、事業年度終了の日の翌日から4ヵ 月以内に所轄の税務署長に提出しなければならな い。  が、年間収入8000万円以下の小規模な法人 などについては、収支計算書の提出を要しないこ ととしている。そして、8000万円の収入金額 は、事業年度毎に計算した基本財産などの運用荷 会費、寄付金、事業収入などの収入の合計額によ るものとされ、土地建物などの資産の売却による 臨時的に発生する収入は8000万円の判定に含 めないこととされているのである。  つまりは、普通の年間収入が、8000万円を 超えなければ、申告書を出す必要はないのである。 寺などの小さな宗教法人は、この8000万円 ルールに守られ、申告も収支計算書の提出も不要 とされているのである。  寺の会計などは、一応、檀家などがチェツクす ることになっていたりはするが、それも形式的な ものである。  だから住職が寺のお布施の一部を抜いても、誰 にも気づかれないし、とがめられることはないの である。   箏なぜ小さな寺の住職がベンツに    乗っているのか?  さて、ここからが本題である。  辺鄙な寺の住職が、ベンツなどの高級車に乗っ ているのを見たことがないだろうか冫・  よくテレビ番組などでも、地方の古い寺の住職 がありかたい話を聞かせた後、高級車で芸能人を どこかに案内する様子が出てきたりする。そうい うのを見て、違和感を覚えた人も多いはずだ。  なぜ寺の住職が高級車に乗ることができるのか、 と。  そこにはお寺の住職の「正しい脱税」のスキー ムがあるのだ。  そもそも寺の住職は、経済的に非常に恵まれて いる。  住職の住居は寺の中にあるので、住居費はほと んどかからない。普通のサラリーマンであれば、 自分の給料から賃貸住宅の家賃を払ったり、購入 した家のローンを払ったりする。その給料には、 当然、税金が課せられている。つまり、税金を 払った残りの給料で、住居費を賄っているのであ る。  しかし、住職の場合、寺に備えられた住居は無 料であり、税金も課せられない。「寺に住むのは 宗教活動の一環」とみなされ、非課税とされてい るのである。  そして、もし住居に不具合があれば、寺のお金 で修繕したりできる。  家具などの調度品も、寺の金から出すことがで きるのである。日々の生活でも、光熱費などは、 お寺と同じ建物なので、相当部分は寺の金で出し ているものと思われる。  食べ物も檀家からもらったりするものもけっこ う多いので、普通の人よりは食費は安い。  また車なども、住職が乗っている車のほとんど は寺の金で買ったものである。高級車なども、実 は寺の金で買ったものであり、住職は一銭も払っ ていないのである。  つまり、住職の生活の大半は、寺のお金で賄っ ているのである。  そして、寺というのは、けっこう収入が多いも のなのである。  信心深い檀家ではないごく「普通の家」でも、 年に数回は法事などをする。一回あたりだいたい 5000円以上のお布施がもらえる。一つの檀家 から年間数万円の収入を得ることができるのであ る。檀家が200人もいれば、定期的な法事だけ で、300~400万円の収入が得られる。  さらに、お葬式という臨時収入もある。葬式の お布施や戒名などは、普段のお布施よりもI、二 桁違ってくる。それらの収入を合わせれば、檀家 が200人もいれば十分にやっていけるのである。  地方の辺鄙な寺の住職が、ベンツに乗っていた りするのは、このためなのである。   箏フリーターより安い住職の税金  このように、けっこう豊かな経済生活を送って いる住職たちだが、では税金をどのくらい払って いるかというと、これが本当に微々たるものなの である。  先に述べたように、寺の住職というのは、税務 上は「寺という宗教法人に雇われた従業員」とい う扱いになる。つまりは、サラリーマンなわけだ。  そして、住職は寺から給料をもらっているとい う建前になっており、この給料は普通のサラリー マンと同じように税金が源泉徴収されるのである。  この源泉徴収される税金というのは、給料の金 額に応じて決められる。給料が多ければ源泉徴収 額も多いし、少なければ少ない。そして住職とい うのは、名目上の給料は非常に低いのだ。  というのも、住職の生活費全般は寺の経費で賄 われるからだ。住居から光熱費、自動車まで寺の お金で整えられる。友達と飲みに行った費用も、 交際費として寺のお金で支払われていることもあ る。  となると、住職自身がもらう給料というのは、 少なくて済むわけだ。ほんの小遣い程度の給料で あっても、生活は十分に成り立つし、平均以上の 生活が送れるのだ。  小遣い程度の給料しかもらっていないというこ とになっているので、必然的に税金も非常に安く なる。フリーターよりも税金が安い、という住職 もたくさんいる。  筆者が言う「正しい脱税」とは、このことだ。  生活費全般を誰かに出してもらうことで、自分 の給料自体は低く抑え込み、税金を安くする、こ れこそが究極の「正しい脱税」なのである。  「でも自分は寺の住職じゃないのでそんな脱税は できない」  と思った方もいるだろう。  しかし、この住職の脱税スキームは一般の方に も応用が可能なのである。  実際に、企業の経営者や資産家などでも、自分 の名目上の収入は低く抑え込んで税金を極力安く しているという人はかなりいる。   箏税金を自由自在に操る経営者  筆者の国税での生活の中でも、税務署員でも舌 を巻くような、超絶スキルを持っていた経営者を ここでご紹介したい。守秘義務があるので、設定 等は若干のデフォルメをしている。  この経営者は、寺社などの修理を請け負うTと いう会社を経営している。この会社では、毎年10 万円程度の法人税を払っていた。  会社というのは、毎年、業績の良しあしがある わけだ。業績のいいときは、税金が高くなるし、 悪いときは低くなるものだ。しかし、T社では、 毎年同じような税金となっていた。  これは、絶対おかしい、何か不正な操作をして いるんじやないか、そう思って私は税務調査に 行った。  しかし、私の思惑は大きくはずれてしまった。 このT社の社長は、税金に非常に詳しく、税金を 自由自在に操っていたのだ。  T社の社長は、別に簿記や会計士の資格を持つ ているとか、有名大学の経営学部出身などという わけではない。工業高校を出て、職人になってか ら、独立をして会社をつくった人である。  T社の社長は、事業をやっていく上で、税務上 の様々な知識を身につけ、調査官も舌を巻くほど の「節税の達人」になったのだ。  彼は、決算書を正確には読めない。しかし、原 価計算や、損益計算などは、きっちりできる。そ して、自社の利益や、税金に関する計算は、非常 に綿密に行うのだ。  なので、税金を自由自在に操ることができるの である。   箏「儲かれば税金がかかる」とい    うことを頭に入れておく  T社の経営者が、税金に強いのには、秘訣が あった。彼は小さな手帳をいつも持ち歩いていた。  その手帳には、ぎっしりと数字が書いてあった。 毎月の損益計算、一つ一つの仕事にかかった経費 などが、細かく書かれているのだ。その手帳を元 に、現在の利益ならば、どのくらい税金がかかっ てくるのかを常に計算していて、税金が高くなり そうな場合は、いろんな節税策を施して、税金を 抑えていたのだ。  そのため、毎年10万円程度の税金を払っていた のである。  いっそのこと、税金を払わなければいいと思う のだが、社長によるとそれはダメなのだそうだ。 T社は、別に銀行からの借り入れなどがないので、 赤字にしたっていいはずだ。  「そのうち公共事業をするかもしれないので、赤 字だったら困る」  ということなのだ。  T社が、自由自在に税金を操っている最大の要 因は、この毎月の損益計算にある。T社の経営者 は、自社の利益がいくらか常に頭に入っている、 税金の額も頭に入っている、それが節税につなが るのだ。  というのも、節税が下手な経営者というのは、 えてして期末になってはじめて、莫大な税金がか かることに驚き、あわてて節税をする、という ヶIスが多いからだ。  経営者ならば、いつの時点でも、今、現在どの くらい利益が出ていて、税金はどのくらいになる のかを把握しておきたい。  「利益の額」は細部まで明確になった「完全な数 字」を出す必要はない。だいたいでいいのだ。  「今の時点で、今年は500万円くらい儲かって いる、だとしたら、税金は150万円くらいかか るなあ。なんとかしなければ」  という具合に、である。  もちろん、正確に越したことはないが、大切な のは、今期の収益のおおまかな流れをつかむこと なのだ。  そして、流れをつかんだなら、税金が多くなり そうなときには、上手に節税策を施すのだ。  次項からは、T社が施していた節税策の数々を ご紹介していきたい。 箏家賃や保険料を1年分前払いす   る T社の帳簿を見ていると、私は妙なことに気づ いた。  T社では、年間ずっと高い利益が出ていたのだ が、期末になるとその利益ががくんと下かつてい るのだ。  なぜ、急に利益が下がったのか、私は原因を探 した。すると、あることに行き当たった。期末に 多額の家賃や保険料が、計上されているのだ。  私は、さっそく社長にこのことを追及した。  「なぜ期末になって、家賃や、保険料がこんなに たくさん計上されているんですか? 日ごろは、 家賃の計上なんかないのに」  社長は何食わぬ顔で答えた。  「それは事務所の家賃と火災保険料ですよ。1年 分前払いしたのです」  私はびっくりした。  普通、経費というのは、その年にかかったもの しか計上できない。翌年の経費は、翌年に計上す べきである。  だから、もし前払いしたのなら、それは翌年の 経費に計上させるべきなのだ。会計の基本中の基 本である。こんなことも知らないのか、と私は社 長を問い詰めた。  「社長さん、前払いの家賃は、今期の経費には計 上できませんよ。来期の経費にしていただかない と」  すると社長は、「えつ」というような顔をして、 私を見つめた。  『1年分の前払い費用ならば、経費に計上できる はずですが……y』れは税理士の先生も言っており ましたし、今までの税務調査でもとがめられたこ とはありません」  私は、面くらっだ。  そういうことがあるのか?  私は、当時まだ経験も知識も浅い駆け出しの調 査官たった。その年の経費は、その年に計上する ということは、常識だと思っていたので、まさか、 そんな経理処理があるとは、思ってもみなかった。  そんなはずはない、と思ったが、社長の微塵も ゆるぎない表情を見ると、なにか自分が間違って いるような気持ちになってきた。  「税務署に帰って検討してみます」  私は、ようやくそれだけ言い返した。  税務署に戻って、先輩に聞いてみると、確かに 一年分の前払いは、その年の経費に計上できる場 合もあるということだった。  経費勘定の中には、1年分前払いすれば、それ が経費と認められる項目がいくつかあるのだ。家 賃、火災保険料、信用保証料などだ。  これらの経費を1年分前払いすれば、当期の経 費が増えて、税金を安くすることができるのだ。  たとえば、会社の家賃12万円を期末に1年分前 払いしたとする。合計144万円が、その期の経 費に計上できるのだ。  ただしこの経理処理には、いくつかの条件があ る。  まず、1年を超える前払いは経費としては認め られない。もし、1年を超える前払いをしていれ ば、単に1ヵ月分のみの経費としかできないのだ。  また決算期後にこの操作をしても、前払いとは 認められないので、決算期前に行わなければなら ない。  そして一度この会計処理をすれば、毎年同じ会 計処理を行わなくてはならない。つまり家賃を1 年分期末に前払いすれば、翌事業年度も期末に1 年分前払いしなければならないのだ。翌年は節税 でもなんでもなく、単に1年分の家賃が経費に計 上されるだけである。  T社では、この条件をすべてクリアしていた。  つまり、T社は、合法的な節税方法で、期末の 利益を大幅に節税していたのだ。  箏家族に給料を分散する  T社は、法人税を安く抑えているだけではなく、 社長個人の所得税も非常に安かった。  でも家はけっこう大きくて、車もいいのを持っ ている。生活レベルとしては、全然、私よりは上 で、金持ちといってもいい。  なぜこういうことが起きるのか、というと……。  このT社は、宗族企業の利点を十二分に生かし ていたのだ。  家族企業の最大の利点は、家族をみな社員にし て人件費を分散させることである。個人の税金は、 所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」と なっている。だから、一人が高い給料をもらうよ りも、少ない給料をたくさんの人数でもらう方が、 税金は断然安くなるのである。  T社では、経営者と経営者の妻、父、母と4人 の宗族が社員となっていた。これで、給料は4者 に分散されるわけだ。一人に200万円払ったと しても、社長の報酬と合わせれば合計で1000 万円である。さらにこの会社では高校生と中学生 の子供が、休みのときにはアルバイトにくる。子 供の小遣いも会社が賄っているというわけだ。  1000万円といえば、一介のサラリーマンな らば高給取りの部類に入る。でも一人一人の収入 は少ないので、税金はあまりかからない。この宗 族の税金の合計は、私ひとり分の税金よりも少な かったのである。  なんとも癪にさわる話ではある。  芸能人が売れてくると、自分で会社をつくって 身内を社員にするのは、この節税方法を使うため 箏期末に利益が出たら家族社員に  ボーナスを出す  このT社、さらに賢いことには、期末に利益が 出た分だけ家族の社員にボーナスを払っていたの である。  経営者がボーナスをもらえば、役員賞与という ことになり、税務上経費とはできない。会社で働 いている妻にボーナスを払おうと思うかもしれな い。が、これもNGである。妻の場合、役員に なっていなくても、会社の経営に関与していると みなされ、妻へのボーナスは、役員賞与とされる 傾向にある。特に、妻が経理を担当しているよう な場合は、妻にボーナスを払うことはまず無理で ある。  その代わりに、自分や妻以外の社員にボーナス を払うのは問題ないのだ。役員ではなく、経営に 関与していない宗族ならば、普通に社員として扱 われるのである。  そのためにも、家族を会社の社員にしておくと 便利なのである。利益が出たときには、家族社員 に対してトーンとボーナスを出せばいいのだ。  これは中小企業としては、必須の節税策ともい える。  ただし、気をつけなくてはならないのは、宗族 以外の社員がいる場合、宗族社員にだけボーナス を出せば、それは否認される可能性が高い、とい うことだ。給料、ボーナスは、すべての社員に公 平な条件で支給しなければならない。歩合や業績 を基準にするという手もあるが、それをしたとし ても、宗族社員にだけ支給というのは、ちよつと 難しい。   箏税務署に文句を言わせない家族     への給料  中小企業では、宗族を社員にして給料を分散す るべしと述べてきたが、気をつけなくてはならな い点もある。  昨今では、経営者の身内に対する給料が、厳重 にチェックされるようになっているからだ。まっ たく仕事をしていないのに給料を払っていたり、 仕事の割に不当に高い給料を払ったりしていれば、 税務署から否認される恐れがある。  でも怖がる必要はない。  ちゃんと手順を踏んでさえいれば、税務署は否 認できないからだ。  家族に給料を払う場合は、なんらかの業務を与 え、仕事をしているという証拠を明確に残してお かなければならない。普通に社員を雇うときと同 じように、である。  この会社の場合、現場は社長と父親の二人で やって、経理は妻がしており、母親が事務所の清 掃やお茶だしなどをしていた。  で、仕事の内容に比べて給料が高いかどうかの 区分だが、実は、税務上、明確な区分はない。儲 かっている会社ならば、ちょっとした仕事でも多 額の給料を払っている場合もある。仕事に対して どのくらいの給料を払うべきか、という明確な基 準はないのだ。税務署としても、よほど世間的な ずれがない限り、給料が多すぎるということで否 認するのは難しいのだ。  考え方としては、「その仕事で人を雇った場合、 どのくらいの給料を払うか」ということになる。 些細な仕事で1000万円などを払っていれば、 それは高いということになるが、200~300 万円程度ならば、ほとんど問題にならない。「お 茶くみ」とか事務所の清掃程度の仕事であっても、 もし派遣社員などを雇えば、そのくらいの給料を 払わなくてはならないからだ。もっと内容のある 仕事、会社の業務に従事したり、経理、秘書的な 役目をしていたりすれば、もっと高い給料を払っ ても問題ない。  要は、その業務を家族以外の人に頼んだ場合、 どのくらいの給料がかかるか、ということを参考 にすればいい、ということである。そして、その 額を若干上下するくらいなら、税務署は否認でき ない、ということだ。  箏報酬や退職金でこんなに節税。   身内の非常勤役員を賢く使う さて、このT社はさらに、さらに賢いことに、 叔父を監査役として非常勤役員にしていた。  毎月10万円、年間120万円。この程度の報酬 であれば、会社にほとんど来ないとしても、税務 署としては文句のつけようがない。  会社に非常勤役員を置いておくことは、非常に メリットがあることなのだ。  この会社の場合、報酬だけで会社の利益を 120万円も減らすことができる。この120万 円は身内に行くわけだから、身内に会社の金を残 すことができるわけである。  小さな会社であれば、120万円も利益を減ら せば相当な節税になる。  また会社が予想以上に大きな利益をえた場合は、 非常勤役員を退職させ、その退職金を払うことで 節税する、という方法も使える。非常勤役員でも 退職金ならばそれなりの額を出すことができるの だ。  勤務年数にもよるが、10年程度勤務していれば、 1000万円程度は出せる。なので、会社をつ くつたときに、家族や親族など近しい人を自社の 非常勤役員にしておきたい。   箏役員報酬は多めが基本  中小企業の経営者の方というのは、えてして自 分たちの報酬を低く抑えがちである。  会社を始めたばかりのころは、会社が軌道に乗 るか不安を持っている。報酬を上げると、会社が 苦しくなるように思ってしまう。  だから自分の報酬は低く抑える。自分の報酬を 上げるのは会社が軌道に乗ってからでいい、とい うわけだ。  でも、これは税務上、非常にバカバカしいこと なのだ。  社長報酬というのは、年度の途中で増額するこ とはできない。  会社が軌道に乗って儲かってから自分の報酬を 上げようと思っても、次の年度まで上げられない。  ということは、会社が儲かると、その儲かった 分はすべて利益に計上されてしまう。そして利益 の30~35%は、税金で持っていかれる。  つまり、せっかく儲かっても、儲かった分の3 割以上を税金で取られてしまうことになるのであ る。  だから「正しい社長報酬」というのは、額を少 し多めにしておくことだ。会社の最低限の業績を 基準にするのではなく、会社がマックスで儲かっ たときを基準にして、社長報酬の額を決めるので ある。  会社の事業が思ったよりうまくいかずに「こん なに高い報酬は払えない」という状態になれば、 減額するか未払いにしておけばいいのである。社 長報酬を減額するのも、一定の手続きが必要だが、 税務署がそれをとがめることはまずない。経営が 厳しい企業が役員報酬を下げるのは当たり前のこ となので、税務署もこの点は厳しいことを言えな いのである(ただし、減額した場合でも、その期中 は一定の額にしておかなくてはならない)。  役員報酬を多めにしておけば、会社が思った以 上に儲かったとき、急に税金で悩まなければなら ない、というようなことがなくなるわけだ。   箏社長の税金を減らすウラ技「小    規模企業共済」  さて、先はどから紹介しているT社の社長、家 族に給料を分散しているといっても、400万円 の報酬をもらっている。年収400万円で、奥さ んも働いているのであれば、普通はそれなりに税 金がかかる。  でもこの社長さん、当時、安月給の国家公務員 たった私よりも税金は少なかったのである。  なぜかというと、中小企業の社長の税金を減ら すウラ技を使っていたのである。どういうことか というと、「小規模企業共済」に人つていたので ある。  小規模企業共済というのは、小規模企業(法人 や個人事業者)の経営者の退職金代わりに設けら れている共済制度である。  毎月、お金を積み立てて、自分が引退するとき や事業をやめるときに、通常の預金利子よりも有 利な利率で受け取ることができるものである。自 営業者を対象としたものである。が、中小企業の 経営者、役員やフリーランサーやSOHO事業者 も当然加入できる。  この小規模企業共済は、月に1000円から7 万円まで掛けることができるのである。しかも、 掛け金の全額を所得から控除できるのだ。  この社長は、月7万円を掛けていたので、年間 84万円が所得控除されていた。だから、年収 400万円引く84万円で、316万円の収入とい うことになっていたのである。  この小規模企業共済は前納することもできる。 そして1年分以内の前納額は全額が支払った年の 所得控除とすることができるのだ。  だから年末に月々7万円の掛け金で加入して、 1年分前納すれば、84万円もの所得を年末に一気 に減らすことができるのだ。  小規模企業共済の難点は、預金と違って自由に 引き出すことができない、という点である。原則 として、その事業をやめたときか、退職したとき にしか受け取ることができない。  事業が思わしくなくなったときや、いざという ときには、事業を廃正したことにすれば、もらえ る。事業を廃正しなくても解約できるが、その場 合は、給付額は若干少なくなる。  また、事業を法人化したときにも受け取れるの で、法人化への資金として貯蓄する場合にも使え る。  掛け金の7~9割程度を限度にした貸付制度も あるので、運転資金が足りないときには活用でき る。また共済金を受け取った場合は、税制上、退 職金か公的年金と同じ扱いとなり、ここでも優遇 されている。  章 個人事業者は 4どんぶり勘定で税金を逃れろ!  箏どんぶり勘定は個人事業者の特    権?  本書は、個人事業者や会社経営者などの「事業 家」の正しい脱税方法を指南することを趣旨とし  事業家には、大きく分けて二つの種類がある。  個人名義で事業を行なう「個人事業者」と、会 社をつくって行なう「会社経営」である。  実態としては、この二つの形態には違いはない。 たとえば商店などで、それが会社になっているの か、個人事業としてやっているのか、外からはそ の違いはまったくわからないはずだ。  両者の違いは、会社の登記をしているかいない かだけである。  実態としては登記をしているかしていないかの 違いに過ぎないが、税金の取り扱いは大きく違う。  両者は、課税される税金の種類から違ってくる のだ。  個人事業の場合は、その事業者の個人の所得楫 住民税がかかる。しかし法人事業(会社)の場合 は、法人税、法人住民税などがかかる。  だから、両者の正しい脱税方法を伝授するには、 分けて説明しなければならない。  そのため、本章でまず個人事業者の方の正しい 脱税を紹介していきたい。  事業を始める場合、最初は個人事業者で行なう のが、もつとも無理がない。会社登記をするのは それなりにお金がかかるし、経理などの準備が大 変だからである。  会社登記をせずに事業を始めれば、自動的に個 人事業者という扱いになる。  個人事業者と会社の税務において、一番大きな 違いは煩雑さだといえる。  会社をつくつた場合、経理や税務が非常に複雑 になり面倒になる。会社をつくれば、節税策も増 えるのだが、まず煩雑さをクリアしなければなら ない。  しかし、個人事業者はそれほどではない。会社 と比べれば税務署に提出する書類なども圧倒的に 少ない。  また税務署の方も、会社に対しては「経理が きっちり行われているもの」として内容を厳しく 精査する。しかし個人事業者に対しては、「それ はどきっちり経理は行われていない」ということ を前提に申告書を精査する。  個人事業者の中には、帳簿らしい帳簿をつけて おらず、ほとんどどんぶり勘定で申告をしている 者もいるのだ。  さすがにそれは真似はできないにしても、個人 事業者は会社よりも経理に関して緩いことは間違 いない。経理の緩さは、個人事業者の特権ともい えるのだ。個人事業者はこの特権をうまく使うべ きだろう。   箏白色申告のススメ  個人事業者として事業を行なう場合、青色申告 にするか、白色申告にするかという問題がまず出 てくる。  国や税務署は、青色申告を薦めている。税金入 門書のほとんども、青色申告を薦めている。だか ら、個人事業者の中には、何の疑問も持たずに青 色申告を選択している人も多いようだ。  しかし、税務の現場にいた者から言わせてもら えば、小規模事業者は、青色申告よりも白色申告 の方が有利だといえる。  なぜなら青色申告というのは、「きちんと帳簿 をつける見返りとして、若干の税金割引をしま す」という制度だからだ。この「きちんと帳簿を つけること」というのが、経理初心者の人には非 常に大変なのだ。  たとえば、あなたは複式簿記とはどういう意味 かわかるだろうか?  会計の勉強をしたことがない人はわからないた ろう。  青色申告の場合、原則としてこの複式簿記をし なければならないのだ。  普通の人が、経理としてイメージしているのは、 売上から経費を差し引いて利益を算出するという ものである。小遣い帳とだいたい同じ要領である。 これならば、普通の人でも、できないことはない だろう。しかし、この帳簿は複式簿記ではなく単 式簿記である。  複式簿記というのは、単式簿記に加えて、資産 の増減を取引ごとに記帳し、最終的な資産残高を 算出するのだ。そして、資産の増減と利益額がぴ たりと一致するようにしなければならない。  もし、これを読んで何がなんだかさっぱりわか らない、と思つだのなら、青色申告はやめた方が いい。  白色申告ならば、とりあえずそんな面倒な帳簿 はつけなくていいのだ。そして、白色申告の場合 帳簿が不備であっても、ペナルティーがあまりな いのだ。   箏青色申告のメリットとデメリッ  青色申告と白色申告の具体的な特徴を簡単に説 明したい。  青色申告というのは、一定の要件を満たした納 税者が、自分で「青色申告を選択します」という 届出を出して、税務署からそれが認められた場合 に可能となる申告方法である。  白色申告とは、青色申告の届出をしていない人 の申告方法である。本当は白色申告という呼び名 はないのだが、申告書が白なのでそう呼ばれてい るのだ。  青色申告の主なメリットは、次の通りである。  ①65万円の所得控除が受けられること(電子帳   簿の作成もしくは電子申告をしていない場合は55   万円。簡易記帳の場合は10万円)  ⑦家族を従業員にした場合、その給料が普通に   払えること(自色の場合は86万円まで)  ③事業の赤字を3年間繰越できること  このメリットを順に説明していきたい。  ①の所得控除の65万円というのは、単純に所得 から65万円を差し引けると言うことである。が、 それほど魅力的なものではない。  税率10%の人ならば、節税額は6万5000円 であり、住民税と合わせても10万円程度である。 青色申告の場合、経理に大きな負担がかかり、場 合によっては税理士に頼まなくてはならないので、 10万円の節税では元が取れないのだ。  ②の家族に給料が払えることはけっこう魅力が ある。宗族に給料を払って収入を分散すれば、税 金は大きく軽減できるからだ。  また③の事業の赤字を3年間繰り越せるという のも、それなりに魅力がある。以前に大きな赤字 があれば、それを繰り越すことで税金を大幅に減 らすことができるからだ。  青色申告のメリットは、この二つに絞られると いえる。  次に青色申告のデメリットを述べたい。  ①記帳が大変であること  ⑦税法の制約が厳しくなること  以上の2点が青色申告の大きなデメリットであ る。  ①記帳の大変さについてだが、青色申告は原則 として複式簿記を行い、関係帳簿をほぼ完全に整 備しておかなければならない。  これは、会計初心者にとっては、かなり大きな 負担である。税務署や青色申告会(税務署が肝い りで作った会計指導団体)などでは、記帳の指導も 行なっているが、複式簿記を素人が自分だけで作 るのは事実上無理であり、税理士に頼む必要が生 じると思われる。  青色申告の制度には、簡易な記帳の方法も認め られているが、これもそれなりに難しい。そして 簡易な記帳では、所得控除の特典が65万円ではな く、10万円になってしまう。つまり税率が10%の 人ならば、たった1万円の節税にしかならない。  青色申告で簡易の記帳を選択するくらいならば、 正式の青色申告にした方がいいだろう。  また⑦の税法の制約が厳しくなることについて だが、これはどういうことかというと、青色申告 の場合は、きちんと帳簿をつけているというのが 原則なので、ちょっとした誤りでも、不正計算と みなされ、重加算税の対象となりやすくなるのだ。  白色申告ならば、「うっかり忘れていました」 という言い訳が可能だが、青色申告の場合は、そ ういう言い訳ができず、故意に税金を逃れたとし て重加算税などをかけられる可能性が高くなる。  このように青色申告はいいことばかりではない のだ。  箏白色申告のメリット  では次に白色申告のメリット、デメリットをご 紹介したい。  白色申告の最大のメリットは、なんといっても 記帳や経理の負担がそれほど大きくないというこ とだ。  白色申告にも記帳の義務はあるが、売上や経費 に関するものだけであり、小遣い帳をつける程度 のレベルで可能である。青色申告の複式簿記と比 べれば段違いに負担は小さい。また電子帳簿作成 などの義務もない。  これは事業を始めたばかりの人や小規模事業者 にとっては非常に利点だ。小規模事業者にとって、 記帳や税金の計算にまではなかなか手が回らない からだ。  白色申告のデメリットは、赤字の繰り越しがで きないこと、家族への給料支払いが限られている こと、である。  白色申告でも、宗族従業員への給料は一定額認 められている(妻の場合は86万円まで、妻以外の家 族では50万円まで。ただし家族への給料は、事業所得 の半分以下とすること)。  ただ宗族への給料を規定以上に支払った場合、 経費として認められない代わりに、もらった家族 には事実上税金がかかってこない。だからどんぶ り勘定でやっている宗族事業者などは、白色申告 の方が有利になっているケースが多いのだ。  このように白色申告は、青色申告に比べて決し て不利だとはいえないのだ。  青色申告を選択する要件として、次の3点を挙 げられる。  ①記帳や経理について、しつかりできるという   メドがついており、細かい節税策を講じる用   意がある  ②多額の所得が見込まれ、家族にたくさんの給   料を払いたい  ③赤字が見込まれる年が頻繁にある  この3点のうち、一つでも該当するものがあれ ば、青色申告は有利であり、そうでなければしば らくは白色申告でいいのではないか、と筆者は考 えている。   箏青色申告は税務署の利権  税務署が青色申告を強く推奨するのは、帳簿を きちんとつけさせたいということとともに、もう 一つ大きな理由がある。  それは税務署の利権を確保したい、ということ である。  青色申告を選択すれば、自分では決算を組むこ とができずに、税理士に依頼することになる場合 が多々ある。実は税務署はそれを狙っているのだ。  というのも、税理士の半分以上は税務署のOB なのである。  税務署員は、23年間税務署に勤務すれば、税理 士の資格をもらうことができる。だから、ほとん どの税務署員は定年後、税理士になる。  税理士という職業自体が、税務署OBの定年後 の仕事を確保するためにつくられた資格だともい われている。  もともと会計のプロには「公認会計士」という 資格がある。公認会計士は、あらゆる企業の決算 書を作ったり、税務申告をしたりする資格を持っ ている。だから、普通に考えれば、会計の資格は 公認会計士だけで済むはずだ。なのに、わざわざ 税理士という資格をつくっているのは、特別な理 由があるのだ。まあ有体に言えば、税務署OBの 収入を確保するために、中小企業専門の会計士と して「税理士」という資格をつくったのだ。  諸外国でこんな制度をもっているところはほと んどない。たいがいの国は、会計士だけである。  しかし、税務申告が簡単で誰にでもできるもの であれば、税理士の仕事はなくなってしまう。だ から、わざと申告をややこしくして、税理士の仕 事をつくっているのだ。事業者側から見れば無駄 な事この上ない。  だから、小規模事業者が無理をして、青色申告 にするということは、税務署の罠にまんまとひっ かかるようなものなのだ。  箏売上1000万円以上の人は青   色申告をしよう 本書では、これまで白色申告を薦めてきた。  しかし、事業規模がどんどん大きくなっていく と、いつまでも白色申告では不利になることもあ る。  事業が拡大して、売上が増えれば、白色申告と いえども記帳をきちんとしなければならなくなる。 つまり、白色申告の最大のメリットである「テキ トー」ができにくくなるのだ(それでも青色申告よ りは楽だが)。  どうせ記帳をきちんとしなければならないのな ら、いっそ青色申告にしてしまった方がいいとい うものである。  また、個人事業の青色申告を通り越して、会社 組織にするという手もある。筆者の感覚から言う ならば、青色申告にするくらいなら会社組織にし た方がいい。どうせ経理の手間は同じくらいかか るので、節税の幅が広がる会社組織の方が有利だ といえるのだ。  なにはともあれ、白色申告をやめるメドは、だ いたい売上が1000万円を超えるとき、と考え   箏売上帳は簡易なもので可  白色申告であっても、税務申告はしなければな らないわけで、一応の決算書らしきものも作らな ければならない。  経理初心者の人にとっては、非常に面倒くさい 話かとは思われる。ただ、白色申告で必要な決算 書はそう難しくない。小遣い帳をつける程度の難 易度といえる。  まずしなければならないことは、1年間の売上 をきっちり把握することである。  事業者の税金というものは、基本的に「売上」 から経費を差し引いた「利益」に対してかかって くる。だから、まずは売上をきちんと算出しなけ ればならないのだ。  まあ、売上というのは、経営者が一番気にして いる数字だから、大方の事業者の方は、言われる までもなく、売上については把握されていると思 われる。  しかし、もし、自分が今年どのくらい売上が あったかわからない、という人は、まず自分の売 上をチェックしてみてほしい。売上は、税金の申 告をする上で、最低限の必要情報である。これが わからなければ、申告をするのは難しい。  また売上がどのくらいあったかというのは、今 後事業を続けていく上でも大切な情報である。だ から、まずは売上をきっちり把握しておきたい。  やり方は簡単である。  売上があった時点で、その数字をどこかに残し ておけばいいのだ。そして1年が終わった後、そ れを集計するのだ。  もし売上が、銀行振り込みになっている人は、 売上振込用の口座を一つにまとめると、その通帳 が売上帳代わりとなる。収入が銀行振り込みでは なく、現金商売などの人は、売上金を一つの通帳 に預金しておくといい。そうすれば、その口座の 通帳がそのまま売上帳となるからだ。  またその通帳から経費の振り込みをしたり、水 道光熱費などを銀行引き落としにすれば、わざわ ざ領収書を集めなくても、その通帳が帳簿代わり になる。  もちろん、日々の売上を集計して、毎日売上帳 をつけるのも可である。ここで言う売上帳は別に、 「正しい帳簿」じゃなくて大丈夫である。ノート とかメモ帳に記しても構わない。ただ、「何月何 日が何円」というのが明確にわかるようにしてお かなければならない。  税務申告の際には、この売上だけは、きちんと 正確に計上しておかないとならない。もちろん、 本来は他のことも正確にしなければならないのだ が、優先順位からいうならば、売上は絶対に最上 位になるのだ。他のことは、いい加減であっても、 売上だけは、きちんと計上すべきなのだ。  というのは、税務署は売上に関しては、広く情 報を収集している。あなたの取引先からも資料を もらっていて、あなたに対する支払いの情報を 持っているかもしれないのだ。だから、売上をご まかした場合は、発覚する可能性が高い。  そして、売上をごまかした場合、税務署は非常 に厳しい。  もし1個でも、売上に計上していない収入が税 務署に見つかった場合、税務署は「他にもあるだ ろう?」ということで、血眼になってあなたの商 売を調査する。そんなことになると、非常に面倒 である。だからくれぐれも売上は正確に把握し、 正確に申告するべきなのだ。   箏個人事業者は交際費が使い放題  個人事業者が税金を逃れようというとき、まず 活用したいのが「接待交際費」である。  接待交際費というのは、その名の通り仕事に関 連した接待交際にかかる経費のことである。  事業者が、税金の上でもっとも得になるのがこ の接待交際費といえる。特に酒好き、社交好きの 人は、自分の遊興費の多くを「接待交際費」とし て事業の経費に計上できるので、要チェックであ る。  接待交際費を自由に使うというのは、サラリー マンにはできない特権のようなものだ。サラリー マンは、なかなか会社の金で飲み食いをすること はできない。自営業者や経営者だけが、事業の経 費を自由に使って飲み食いできるのだ。  「接待交際費といっても、うちは取引先を接待な んかしない」  という事業家もいるかもしれない。  しかし、接待交際費というのは、直接的な取引 先の接待だけに隕られたものではない。少しでも 仕事に関係する人と会食したりしたときには、使 うことができる。同業者や従業員を飲みに連れて 行ったり、友人と飲んで、仕事の情報を得たりす るときは、接待交際費の対象となるのだ。  知人と会食したり、ゴルフをしたりするときも、 少しでも仕事に関係する相手ならば、接待交際費 とすることができる。  また社会的付き合いから、やむを得ず参加しな ければならない会合などの費用も当然、接待交際 費に含めていい。  そして、ここが大きなポイントなのだが、個人 事業者の場合、この交際費の制限がないのだ。  会社の場合、原則として交際費は税務上の経費 にはできず、中小企業でも800万円までしか全 額経費にはできない。資本金100億円以下の法 人は、交際費の半額しか経費に計上できず、資本 金100億円を超える法人やその子会社は、交際 費をまったく経費に計上できないのだ。  しかし、個人事業者にはそのような制限はない。 つまり、理屈の上では、個人事業者は交際費を無 制限に使えるのだ。  この点に気づいていない個人事業者はかなり多 い。営業が主体で接待交際費が多い事業などでは、 あえて法人化せずに個人で事業を行なうというの もアリだと思われる。  箏税務署に文句を言わせない交際   費 ただし、この接待交際費という経費は、税務署 と見解の相違が起きやすいものでもある。  税務署としては、私的経費が含まれているので はないかと常に疑いの目を持っている。仕事とは まったく関係のない、私的な接待交際費であれば 経費にできないので、税務署はそれを見つけたい のだ。そしてあの手この手で接待交際費を否認し てこようとする。  が、先はども述べたように、接待交際費は少し でも仕事に役に立ちそうな交際であれば大丈夫な のだ。  また接待交際費が仕事に関連するかどうかの明 確な基準はない。  その場合、何か判断基準になるかというと、ま ずは納税者が「交際費と判断したかどうか」とな る。  日本は申告納税制度を採っているので、原則と して納税者の申告は認められるのだ。税務署側か、 その交際費を否認するための明確な証拠を持って いない限り、否認することはできない。  また税務署は、「接待交際費が多すぎる」など と文句を言ってくることもある。が、接待交際費 が多すぎるからといって否認できるものではない。 一つ一つの接待交際費が、接待交際費に該当して いるのであれば、多すぎるからダメなどというこ とはあり得ないのだ。  だから、税務署が文句を言ってきた場合は、 しっかり主張しよう。そして、税務署の口車に乗 らないようにしたい。  ただし接待交際費について、税務署の目が厳し いことは確かなので、領収書や相手先などの記録 はきちんと残しておく必要がある。   箏「二次会費用は交際費にできな     い」という都市伝説  前述したように交際費というのは、明確な線引 きはない。どんな費用が交際費で、どんな費用が 交際費にならない、という明確なガイドラインと いうのはほとんどない。  唯一の基準が「事業に関連している」というこ とだけなのだ。  税務署の調査官によっては、「一次会の費用は 認めるけれど、二次会の費用は認めない」など と言う人もいる。だから、会計の都市伝説として、 「一次会の費用は交際費にできるけれど、二次会 の費用はできない」というようなものも出回って いる。これは会計の世界では、昔からよく言われ てきたことのようである。インターネットでも、 こういうことが時々言われているようだ。  しかし、実は、「二次会以降の費用は会社の経 費で落とすことができない」というのは、都市伝 説に過ぎないのだ。  取引先などを接待するときの「接待交際費」の 条件は、「仕事に関係する接待」ということであ る。少しでも仕事に関係する接待ならば、接待交 際費に計上することができるのだ。  税法上でも、一次会であろうと二次会であろう と、接待交際をしていれば、立派に接待交際費と して計上できるのだ。「二次会だけは認めない」 ということなど、税法にはまったく書かれていな いし、接待交際費の意義から見ても二次会だけ認 められないはずはないのだ。  そして、接待交際において計上できる費用とい うのは、「接待交際においてかかった費用」であ る。  「一次会はいいけれど、二次会はダメ」などとい う縛りはまったくない。だから、取引先などに一 次会で飲食を饗応し、二次会でキヤバクラに案内 したような場合、その費用はすべて接待交際費に 入れることができる。  接待をするときに、一次会だけで終わり、とい うようなことは少ないはずだ。二次会がある方が 普通だといえるだろう。  二次会からは、自腹で払わなければならない、 などというのは、絶対におかしい話なのだ。  だから、税務署の調査官から文句を言われても 納税者側が「それはおかしい」と指摘すれば、調 査官はそれ以上突つ込めない。そして、交際費か どうかの判定というのは、それが本当に「接待交 際」かどうか、ということだけなのだ。  その接待が事業者にとってなんらかの意義があ るかどうかなのだ。  取引先を二次会でキヤバクラに招待して意義が ないことはないはずだ。  また実際、取引先を高級クラブで接待して、接 待交際費で落とすということは、どこでもやって いることなのだ。  高級クラブがOKで、キヤバクラがNGという ようなことは、一般常識から見てもあり得ないと いえるだろう。だから、判断基準として、「その 接待が会社にとってなんらかの意義があるかどう か」ということを頭に入れておいてほしい。  それさえクリアしていれば、二次会の費用も事 業の経費で落とすことができるのだ。  それにしても、なぜ「一次会はいいけれど、二 次会はダメ」などという都市伝説が広まったのだ ろうか?  昔は、税務署員や会社の経理担当者たちは、 けっこうルーズな処理をしていたことがあった。 接待交際費なども、社長や社員の遊興費を適当に ぶち込んでいたりしたのだ。  税務署員も、それを一つずつチェックするのは 面倒だから、二次会と思われる領収書だけを チェックし、「これは本当に接待交際費?」など としつこく問い詰めたりしたようである。  また一つ一つの取引を精査するのではなく、交 際費の総額を見て、 「交際費が少し多すぎるんじやない?」  などと追及したこともあったようだ。  そういうことが、「二次会の費用を計上すると 税務署から否認される」というようにエスカレー トしていったのだろう。  だが、こういう税務調査というのは、本来の税 法から外れたことなのだ。  税法上、接待交際費に該当するかどうかが問題 であって、接待交際費が多すぎるかどうかは、税 務署がとやかく言える筋合いではないのだ。  多すぎであろうとなかろうと、交際費に該当す る経費であれば交際費に計上していいのだ。  今の税務署員は、世間の目もあるので、昔のよ うに「無茶な文句」は言わなくなっている。もし 無茶な文句を言ってきたりすれば、ネットでさら されたりするからだ。  あくまで法律に基づいた仕事をしているはずだ。  しかし、稀に今でも無茶なことを言ってくる税 務署の調査官もいる。そういう調査官にはきちん と正論で反論した方がいい。  正論で反論されれば、調査官はそれ以上は言っ てこない。   箏新しいパソコンや、いろんなも     のを買おう!・  前項では、儲かったときには接待交際費を使い まくれと述べたが、自分の欲しかったものなどを 買いまくるという方法もある。  要は、儲かった年には、自分が欲しかった ちょっと高い買い物をして、経費を膨らまそうと いうわけだ。  所得税法では、10万円未満のものは、買ったそ の年に一括して経費で落とせることになっている。 だから、パソコンを買ったり、机を買い替えたり、 事業に関係のあるものをバシバシと買いまくるの だ。ローンで買えば、お金は出ていかないのに、 経費は計上できるということになる。  気をつけなくてはならないのが、セットで使う ものはセットで10万円以上になったらダメという ことだ。たとえば、ソファセットを買った場合、 ソファとセットのテーブルが、単独ではそれぞれ 10万円未満になっていても、セットで10万円以上 になっていれば、固定資産にしなければならない。 セットで使用するものは、セットでいくらかが問 われる。  で、経費で買い物をするとき、どこまでが経費 として認められるかわからないという人も多いだ ろう。  その点をちよつと説明しておきたい。基本的な 考え方としては、事業に関連するものであれば経 費と認められ、関連しないものであれば認められ ないということである。そして、関連するかどう かは、直接的に関連するものだけではなく、間接 的に関連するものでもOKなのだ。  たとえばテレビ。普通だったら、テレビは個人 で楽しむものなので、事業用とはいえない。  でもオフィスか、仕事をする部屋に置いておき、 仕事中につけたり、来客のときにつけたりしてい るのなら、事業で使っているということもできる。 また自分の部屋に置いていても、事業の研究に 使っているのであれば経費とできる。  オーディオ機器などでも、仕事中に、FMラジ オをつけたりBGMを流したりしているのなら、 大丈夫である。  という具合に、経費で落とすコツは、うまく事 業に関連付けることである。   箏消耗品を購入する  もっとも手っ取り早く、安全に税金を減らせる 方法として、消耗品をたくさん購入するという方 法もある。  消耗品は原則としてその年に使ったものだけが 経費となるが、毎年だいたい一定額の消耗品を 使っている場合は、購入した年の経費とできると いう特例があるのだ(所得税基本通達37‐30の3)。  ただし、この特例を使う場合、消耗品は毎年同 じような経理処理をしなければならない。つまり、 その年に購入した消耗品は全額その年の経費に計 上することになるのだ。  年末に、あまりにもたくさんの消耗品を購入す れば、不自然な利益調整として、税務署からとが められることもある。が、通常より少し多い程度 ならば、問題ない。  消耗品については、中小企業はその期に購入し た分はすべてその期の経費で落としている。それ を税務署が否認したヶIスもほとんどない。 「消耗品なんてたかが知れている」  と思われるかもしれない。  しかし、事業で使っている消耗品をすべて積み 上げれば、けっこう大きい額になるものだ。たと えばパソコン関係のサプライをちょっと充実させ れば、すぐに数万円、数十万円になる。他にも事 務関係、台所関係を見回せば、けっこう消耗品は あるものだ。  消耗品は必ず使うものだから、たくさん買って も損はないのだ。節税策の一つとしてぜひ頭に置   箏家賃、光熱費を経費に計上する    方法  では次に、経費を積み上げて税金を逃れるため の具体的な方法をご紹介したい。  まずは家賃や光熱費など、生活にかかわる経費 からである。  事業者の醍醐味はなんといっても、自分の生活 に関連する費用を事業の経費に計上できる、とい うことだ。  家で少しでも仕事をしていれば、家賃や光熱費 なども、事業の経費で落とせる。都会で生活して いると、生活費の中で家賃の割合が圧倒的に高い ものである。その高い家賃を、事業の経費で落と せるのだ。  ただし、個人事業者の場合、家賃全部を計上で きるわけではなく、仕事として使っている割合に 応じて按分しなければならない。  「うちは仕事場として事務所を借りてるから自宅 の家賃は経費にできない」  という人もいるかもしれない。  しかし、仕事場や事務所を別に借りているから といって、自宅の家賃が経費で落とせないわけで はない。事務所や仕事場があるとしても、自宅で も仕事をすることがあるのなら、自宅の家賃も経 費に計上できるのだ。  忙しい自営業者、フリーフンサーの皆様のこと、 仕事を自宅でされる場合も多々あるはずだ。たと えば経理の作業や確定申告の作業などは、自宅で やるようなこともあるだろう。  そういう場合、自宅は立派な仕事場なのだから、 家賃は経費に計上できるのだ。仕事場という名称 がなくては、家賃に計上できないものではない。 仕事をしている場所にかかる費用はすべて経費に 計上できるのだ。  だが自宅はプライベートで使っている部分もあ るので、全額経費というわけにはいかず、按分し なければならない。   箏家賃、光熱費を按分する方法  では、家賃や光熱費を事業経費とプライベート 費用とで按分する方法をご説明したい。  これは実は少しややこしい問題であり、明確な 基準はないのだ。  原則からいうならば、仕事で使っている部分と、 プライベートの部分を明確に分けて、その割合に 応じて家賃を按分する、ということになっている。  たとえば、30平方メートルの賃貸マンションに 家賃10万円で住んでいる人がいたとする。仕事に は18平方メートルを使っているので、30分の18で 60%、つまり10万円の60%なので6万円を経費に する。これが、もっとも原則的な計算式になる。  しかし、仕事部屋と居室が明確に分かれていれ ばいいが、なかなかそうもいかない。居間でテレ ビを見て情報収集をすることもあるだろうし、仕 事部屋だけでは狭くなって、居間で仕事をしたり、 居間に仕事の道具を置いたりもするだろう。  そういう場合はどうすればいいかと言うと、平 たく言えば、だいたい家賃の6割程度だったら、 普通は税務署から文句は出ないということだ。な ので、もし仕事部屋とプライベートを明確に分け ることができなければ、6割を目安に経費計上す ればいいということになる。  ただこれは法律で確定していることではないの で、例外はもちろんある。非常に広い部屋に住ん でいて、明らかに仕事で使っている部分が小さい というような場合などである。たとえば、100 平方メートル、家賃50万円の部屋に住んでいて、 仕事はその中の10平方メートルだけを使っている、 というような場合。これは家賃の6割、30万円も 経費に入れるのはちよつとまずい。  逆に60%以上の家賃を経費に計上できることも ある。すごく狭い部屋に住んでいて、部屋のほと んどが仕事部屋として機能している場合などだ。 たとえば15平方メートルのワンルームに住んでい て、そこで仕事をしている場合、仕事のスペース は8割と計上しても文句は出ない。  その辺は、常識の範囲内で柔軟に対応したい。  また、別に住居があって、仕事のために部屋を 借りているような場合、それは全額を経費として 計上できる。仕事部屋に寝泊まりすることがあっ ても、それはプライベートな居室とはいえない。 仕事部屋での寝泊まりは、仕事のために寝泊まり しているわけで、仕事がなければ、自宅で過ごし ているわけなので、仕事部屋にかかる経費はすべ て事業の経費とすることができるのだ。  いずれにしろ、合理的な算出基準であればいい、 ということだ。そして光熱費も、家賃と同じ割合 で、按分していれば問題ないといえる。   箏専従者控除を使おう  税金の初心者でも簡単にできる節税の一つに 「専従者控除」というものがある。  専従者控除というのは、妻や親、子供などが、 その事業の手伝いをしている場合、給料を出して 経費計上できるというものだ。  青色申告をしている場合は限度額はなく、いく らでも専従者への給料を出せる。  白色申告でも配偶者ならば86万円まで、他の親 族ならば50万円までは、給料として事業の経費に できる。  ただし、これには条件がある。  専従者控除を受ける専従者というのは、事業者 と宗族でなければならない。また専従者の年齢は 15歳以上でなければならない。  専従者控除を受けるには、専従者として働いて いるという建前があるので、他の仕事をしたり、 学校に通ったりして、1年間のうち6ヵ月を超え る期間、従事できない場合は、対象とはならない。  また、専従者の給料を差し引く前の事業所得が、 専従者の数に1を足した数で割った金額よりも、 多くなってはいけない。  たとえば、専従者の給料を差し引く前の事業所 得が100万円で、専従者の数が1人たった場介 100万円割る2で、50万円。専従者には50万円 以上の給料は払えない、ということである。専従 者控除を満額の86万円にしようと思えば、専従者 控除前の事業所得が、その倍の172万円以上な いと不可ということだ。  というように、ちょっと面倒な条件があるが、 86万円もの配偶者への給料が認められているんだ から、これは有効に使いたい。  「俺は妻や宗族に仕事を手伝ってもらったりして いないからなあ」  などと思った方もおられるだろう。  でも、そう難しく考えなくてもいい。  フリーランスの仕事や事業をしていると、配偶 者や家族に何かと雑用をしてもらうことが多いも のだ。  業務や経理を直接手伝うこともあるし、間接的 な仕事をしてくれることもあるだろう。仕事中に お茶を入れてくれる、仕事部屋を片付けてくれる、 仕事の電話がかかったら応対してくれる、仕事の 雑用をこなしてくれる等々である。  こういう仕事への対価として妻や宗族に給料を 出すことができるのだ。  86万円の給料ならば、配偶者は所得税はかから ないので、配偶者の税金が増える心配もない。  この専従者控除というのは、年が変わってから (その年が終わってから)、経費にするということも できる。厳密にいうとダメなのだが、領収書の受 け渡しがあるわけではないし、配偶者とは財布が ほとんど一緒なので、後から専従者控除を受ける ことも可能なわけだ。  12月末に収支決算をしてみて、思ったよりもた くさん利益が出ていたときに、専従者控除を使っ て86万円を利益から差し引くことなどもできるの だ。  専従者控除は、条件に該当してさえいれば、 使っても使わなくても構わないものである。だか ら儲かったときには節税のために使い、儲かって いないときには使わない、ということもできる。 箏収入の波が大きい業種に適用さ   れる「変動所得課税制度」と   は?  フリーランサーの中には、浮き沈みが非常に激 しい職業もある。たとえば作曲家や小説家、ライ ターなどである。  こういう人たちは、売れるときは非常に大きな 収入を得ることができるが、そうでないときは非 常に低い所得となる。急に売れたら莫大な税金が かかるけれども、将来の保証がないので、不公平 感がある。  その不公平感を解消するために、所得の変動の 大きい業種の人には、特別な税金の計算方法があ る。  それが「変動所得の計算」というものだ。  変動所得の対象となるのは、原稿料、作曲の報 酬、著作権による所得、漁獲、のり採取、養殖 (ほまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、 または真珠)による所得である。  この「変動所得」は簡単に言えば、急に所得が 増えた場合は、過去2年の平均所得をベースにし て、その平均を上回って増えた所得は、5年で振 り分けたことにして税率を決めましようというも のである。  少しややこしいので、具体的な例を挙げたい。  過去2年間は、平均150万円の所得しかな かったライターが、今年は急に売れて600万円 の所得があったとする。  つまり例年の4倍も所得が増額したわけだ。  増額分450万円を過去5年に振り分けると、 1年あたり卯万円の所得増になる。つまり税務計 算上、この人の5年の平均所得は240万円とい うことになるのだ。  所得が240万円では、所得税率は10%である。  なので今年の所得税は、この10%の税率でいい というものだ。  その結果、600万円の所得に10%の税率をか け、9万7500円の控除をした金額50万 2500円か、この人の所得税になるのだ。  所得税は累進課税になっているので、本来であ れば600万円の所得があれば約80万円の所得税 がかかる。しかし、この変動所得の計算を利用す れば、30万円も所得税が安くなるのだ。  この「変動所得の特例」は、所得の増加が大き い人ほど、そのメリットは大きくなる。  筆者は一応、ライターという仕事をしている。 ライターというのは一般の人よりも収入の低い人 が多いのだが、売れ出すと突然、大きな金が入っ てくることもある。ライターの中には、税金に頭 を悩ませている人も多い。  だから印税で収入を得ている人は、要チェック の節税方法である。  またこの方法は、その年が終了した後、申告書 の作成過程で行える節税方法である。  つまり、ライターなどの人が、今年だけ急に売 れて、節税策を何もしてなかった、どうしよう、 という場合でも、この変動所得の特例を使えば、 税金が安くなるというわけだ。  年度が終了した後、可能な節税策というのはあ まりないので、非常に特殊な、使い勝手のある節 税策といえる。  章 会社だからこそ使える 4税金を安くするためのウラ技   箏芸能人の節税スキーム  「会社をつくれば税金は安くなる」  そう聞いたことがある人も多いだろう。  しかし、一体なぜ会社を経営すれば税金が安く なるのか冫・  普通の人にとってはなかなかわかりづらいもの である。  税金というのは、不可思議なものである。杓子 定規に有無を言わさず冷酷に取り立てる反面、 ちょっとした手続きを踏めば、驚くほど安くなっ たりするものである。  芸能人が売れ始めると、会社をつくる、という ことを聞いたことがある人もいるだろう。なぜ芸 能人が会社をつくるのかというと、最大の目的は 節税である。  芸能人が会社をつくって税金を安くするスキー ムを、Kという架空の芸能人を例にとって簡単に 説明したい。  Kは、何曲かヒット曲を持つ中堅アーティスト である。最近はヒットチャートをにぎわすことも 減ってきたが、作詞作曲も手がけるため収入はか なり多い。ここ数年ほど、年収は5000万円程 度で推移している。  Kはデビューして5年後に会社をつくった。K のマネージメントや、楽曲の管理をする会社であ る。自分の親に社長をしてもらい、自分はヒラの 社員ということになっている。  Kの稼いだ金は、すべて会社の収入となる。そ して、Kの稼いだ金を、会社の経費という形で、 様々に費消する。Kの自宅も会社名義となってお り、自宅内につくられたスタジオもすべて会社の 経費から出されている。また高級外車のフェラー リも会社の所有となっている。  ここが芸能人の節税スキームのキモである。  収入5000万円を丸々Kが受け取ったならば、 5000万円の収入に丸々税金が課せられること になる。所得税、住民税を合わせると概算で 2500万円以上の税金を払わなければならない。  しかし、会社をつくることにより、Kの収入は 一旦会社の売上として計上される。そして会社が 様々な経費を計上することにより、「税金がかか る収入」を大幅に減らすことができる。  K自身は、会社から800万円の給料をもらっ ているサラリーマンに過ぎない。囗本の所得税は 累進課税となっているので、収入が大きくなるほ ど税率は高くなる仕組みになっている。  年収5000万円ならば、税率は最高税率の55 %(所得税、住民税含む)となる。しかし、自分の 報酬を800万円程度に収めれば、税率は20~30 %で済む。  実に税率は半分程度になってしまうのだ。  売れ始めた芸能人が会社をつくるのはこのため なのである。   箏「会社をつくれば税金が安くな    る」とは?  なぜ会社をつくれば税金が安くなるのか、もう 少し詳しく説明しよう。  前述したように、会社というのは、登記さえす れば誰でもつくることができる。そして登記しな いまま事業を行えば個人事業者ということになり、 登記をすれば会社ということになる。この個人事 業者と会社では、税金の計算方法が違ってくるの だ。  個人事業の方は、単純である。売上から経費を 差し引いた額が「所得」ということになり、その 所得に対して税率がかけられる。  法人(会社)の税金も、個人事業と同じように、 基本的には売上から経費を差し引いた額「法人所 得」に対して、税率がかけられる。ただし、法人 の場合、役員への報酬も経費の中に含めることが できる。  つまり法人(会社)の場合、社長も社員もみな、 会社から報酬を受け取っているという建前になる。  個人事業者は、事業の利益はすべて事業者のも のという形になり、事業の利益自体に税金が課せ られることになる。  しかし会社の場合は、事業の利益からさらに社 長本人の報酬を差し引いた残額に対して税金が課 せられるということになるのだ。  このシステムをうまく使えば、会社は非常に税 金を安くすることができる。  たとえば、売上が2000万円で、経費が 1500万円の事業があったとする。利益は 500万円のはずだ。これを個人事業でやったな らば、利益の500万円がそのまま所得となり、 この500万円に対して所得税がかかってくる。  しかし、同じ事業を会社で行なった場合、利益 となるはずの500万円を社長の報酬とすれば、 会社の所得は差し引きゼロになってしまい、会社 の税金は無しになるのだ。  会社の税金が無しになっても、社長は報酬を 500万円もらうのだから、社長個人の所得税が かかる。  しかし社長が報酬としてもらう500万円は給 料という扱いになり給与所得控除というものが受 けられる。そのため、500万円を個人事業の所 得として受け取るよりも、かなり税金は安くなる。  また社長が報酬としてもらう500万円も、自 分一人ではなく宗族に分散したりすれば税金は限 りなくゼロに近くなる。つまりは、税金を払わず に済むというわけだ。  会社をつくれば税金が安くなる、というのは、 簡単にいえばこういうことである。  箏会社経営者は税務上は「サラ   リーマン」 前項で少し触れた「給与所得控除」というもの を説明したい。  会社経営者というのは、税法上の定義ではサラ リーマンということになっている。自分の資金で 会社をつくった場合でも(つまリオーナー社長の場 合でも)、税法の上ではサラリーマンとなるのだ。  社長というのは、会社から報酬をもらう「雇わ れ人」という形になるのだ。そしてその報酬は、 サラリーマンの給料と同じ扱いになる。だから、 社長はサラリーマンということなのだ。  そしてサラリーマンというのは、実は、自営業 者などにはない税法上の恩恵がある。  それが「給与所得控除」なのだ。  給与所得控除というのは、給料に対して全額が 税金の対象になるのではなく、一定の金額を割り 引いた残額に税金をかける、という制度である。  給与所得控除の金額は、次の表の算式によって 求められる。  たとえば、年間給料の額が600万円の場合、 収入の20%プラス44万円なので、164万円とな る。この164万円が給料の額から差し引かれる ので、600万円マイナスー64万円で、436 万円が税金のかかる収入ということになるのだ。  つまり、サラリーマンは600万円の給料をも らっていても、税金の対象となるのは436万円 で済む、ということである。  なぜこのような制度があるのか、というと、サ ラリーマンは他の事業者のように必要経費が認め られていない。普通、税金というのは、収入から 必要経費を差し引いた残額に課せられるものであ る。  しかし、サラリーマンは、必要経費が認められ ていないので、収入にそのまま税金が課せられて しまう。それでは不公平なので、サラリーマンも 一定額を必要経費として認めましよう、というこ とになった。  それが給与所得控除というものである。  サラリーマンであれば、だれでも、必要経費が 多いものも少ないものも、表の算式に応じて、控 除が受けられるのである。  そして、会社経営者の場合は、建前の上では会 社から報酬をもらって仕事をしているサラリーマ ンであるから、当然、この「給与所得控除」とい うものが受けられる。つまり、会社経営者も他の サラリーマンと同じように、給料の全額に税金が 課せられるのではなく、一定の金額を差し引いた 残額に税金が課せられるのだ。  だから会社経営者の場合、自営業者と同じよう に会社で様々な経費を計上できる上に、サラリー マンの特典である「給与所得控除」も受けること ができる。  つまり、自営業者の税法上の恩恵と、サラリー マンの税法上の恩恵、両方を受けられるというの が、会社経営者なのである。  箏会社には様々な「経費」の恩恵   がある 会社には様々な経費を計上できるという恩恵も ある。  会社の税金(法人税、法人事業税)というのは、 会社の利益に対して課される税金である。利益と は、簡単にいえば売上から経費を差し引いた残額 のことである。だから経費が多ければ多いほど、 税金は安くなるということになる。  会社の業務というのは様々な経費を計上できる。 そのため、税金のかかる収入が低く抑えられ、税 金が安くなるのだ。  個人事業者も、経費を計上して利益を下げるこ とができる。  しかし、会社の方が個人事業者よりも経費とし て認められる範囲が広くなる。つまり、会社の方 がよりダイナミックな節税ができるのだ。  たとえば、福利厚生費である。  個人事業者の場合、税務署は本人の福利厚生贄 を認めない傾向にある。従業員がいれば従業員の 福利厚生贄を認めるが、事業者本人の福利厚生贄 は認めたがらないのだ(これは税法上、認められて いないということではなく、あくまで税務署の運用の 話である)。  しかし、会社の場合、経営者本人の福利厚生贄 も認められるのだ。  福利厚生贄を使えば、非常に大掛かりな節税を 施すことができる。  たとえば自宅の賃貸マンションを会社の借り上 げにして、家賃の大部分を会社の経費で落とすこ ともできるのだ。  社用車にしてもしかりである。何百万円もする 高級車に乗っていても、社用車として購入し、社 用車としての条件を満たしていれば、全額を会社 の金で購入することができるのだ。  「高級車は会社には関係ないのだから、会社の経 費で買うのはおかしい」  と普通の人は思うかもしれない。  確かに個人的に使う高級車を会社の金で買うこ とは、世間一般的には許されるものではない。  しかし、その車が会社の名義であり、会社の業 務で使っているならば、立派に社用車として通用 してしまうのが、今の税制なのである。  それらの様々な経費を駆使すれば、税金は驚く ほど安くなるものなのだ。  箏会社をつくればかえって税金が   高くなることも 「会社をつくれば税金が安くなる」  といっても、ただ会社をつくりさえすれば税金 が安くなるというものではない。  というより、下手をすれば会社をつくったこと によって税金が高くなる場合もあるのだ。会社を つくるということは、会社の税金(法人税など) がかかる上に、経営者本人にも所得税、住民税が かかることになる。  つまり、会社をつくれば、新たに課せられる税 金の種類が増えるわけである。個人事業をしてい る間は、個人の税金だけでよかったものが、会社 をつくることによって法人の税金も払わなくては ならなくなるのだ。  「それならば会社をつくった方が税金が高くなる じやないか?」  と思った人もいるだろう。  確かに、普通にやっていれば、会社をつくれば 税金は増えてしまう。  会社にかかってくる税金のほとんどは、会社の 利益に対してかかってくるものである。だから利 益をゼロにしたり、赤字にしたりすれば、会社で の税金はほとんどかからなくなる。  しかし会社というものは、思ったよりも利益が 出たような場合は、逆に税金を多く払わなければ ならない羽目になる。  利益が出たからといって、社長がボーナスをも らうわけにはいかない。会社の社長というのは、 あらかじめ決められた額の報酬しかもらうことが できないようになっているのだ。もし会社の利益 を社長がもらう場合、法人税と所得税の二重の税 金が課せられることになっているのだ。  利益をゼロにしたり、赤字にするには、それな りのテクニックがいる。  きちんと事業をやっていきつつ、会計上の利益 を出さない、ということなのだから、会計上の知 識も必要である。だから、何の知識もない人が、 無計画に会社をつくっても、税金は増えるだけで  箏家族に所得を分配する 会社をつくつて税金を安くする方法として、ま ず挙げられるのが家族を従業員にして自分の収入 を家族に分散するというものである。  芸能人も会社をつくったとき、たいていの場合 宗族を会社の役員などに据える。親に社長になっ てもらったり、妻に取締役になってもらったり、 である。  これにより家族に恩恵を施すとともに、大幅に 節税ができるのだ。  囗本の所得税というのは、所得が多くなるほど 税率が高くなる仕組みになっている。  たとえば、所得が195万円以下の人の所得税 率は5%である。しかし、1800万円を超える 大は40%となる。  だから、たくさんの所得をもらうとたくさんの 税金を払う羽目になるのだ。逆に言えば、たくさ んの所得のある大が、それを家族に分散すると、 税金は安くなる。  たとえば、500万円の収入がある事業者がい たとする。  もしこの人が、個人事業者としてそのまま申告 をすれば、所得税、住民税を合わせてだいたい 100万円以上の税金を払わなければならない。  しかし、会社をつくつて自分と両親と弟と妻の 5人に分散したとする。  すると、一人あたりの給料は100万円になる。  100万円というと、所得税も住民税も課税最 低限以下ということになる。つまり、所得税も住 民税もかからない、ということである。  それが5人ともである。  つまり、会社をつくれば100万円の税金がゼ ロになるということなのだ。  まあ、現実にはそう単純ではないが、簡単にい えば、こういう仕組みである。似たようなことを している「会社経営者」は囗本にはごまんといる。  個人事業者でも(会社をつくらなくても)、所得 を分散することはできなくはない。  しかし、前述したように白色申告の場合は支払 える給料に限度額があるし、青色申告の場合もい ろんな条件がある。  会社をつくつた方が、スムーズに所得分散がで きるのだ。   箏経営者、役員にはボーナスは払    えない  会社の経営者や役員の報酬というのは、原則と して会社の経費で支払われることになる。  そしてその報酬の額はあらかじめ決められた額 しか出すことができない。経営者や役員の報酬は。 株主総会などであらかじめ決められて、それ以上 の額を出すことは原則としてできないのだ。  だから、会社の経営者や役員は会社が儲かった からといって、自分の報酬が増えることはない。  会社の利益が出たときにボーナスとして経営者 に報酬が支払われることもあるが、それは法人税 法上、損金経理(経費計上)ができない。つまり、 経営者や役員のボーナスは、会社に利益が出て税 金も払った後、その残額から支払われるという形 になるのだ。  会社の利益というのは、経営者のものではなく、 株主のものという建前になっている。だから経営 者が勝手に自分のものにするわけにはいかないの だ。   箏家族を社員として雇用するとき    の注意事項  「会社から家族に給料を払う」のは非常に簡単で ある。  家族を会社で雇用し給料を払えばいいだけだ。  経営者が自分の家族を会社の役員や社員にした 場合、税務署から文句を言われないかという懸念 を持つ人もいるだろう。  もちろん何も働いていないのに、家族に高額の 報酬を出したりすれば、税務署も指摘する。  しかし、社員として給料をもらう条件をクリア していれば、税務署もそうそう指摘はできない。  その条件とは次の二つである。  ・ちゃんと仕事をしていること  ・給料の額が妥当  妥当な給料の額というのは、その仕事を第三者 に依頼したときにどのくらいの給料を払わなくて はならないか、ということである。  たとえば、ちょっとした雑用であっても、これ を他人にしてもらうためには、それなりの給料を 払わなくてはならない。その給料が妥当な給料の 額ということになる。  その程度の給料であれば税務署は何も言えない のだ。また世間並みよりも若干待遇がいい、とい うような程度ならば、税務署も文句は言えない。 そういう企業はいくらでもある。   箏家族社員にはボーナスが出せる  家族を社員にした場合、その家族社員にはボー ナスを出すこともできる。  前述したように、会社の経営者や役員というの はボーナスをもらうことができない(法人税がか かる)。だから、会社に利益が出たからと言って、 そうそう報酬を増額するわけにはいかない。  しかし、宗族社員の場合は、普通の社員と同様 にボーナスを支給することができる。だから、会 社に利益が出たとき、決算期前などに家族社員の ボーナスを出し、会社の法人税を減らすというよ うな方法が使える。  箏経営者の配偶者は経営者と同等   にみなされる? ただし、経営者の配偶者を社員にする場合は注 意が必要である。  というのも、条件によっては経営者の配偶者の 場合は、普通の社員として雇用されていても、経 営者と同等にみなされ、ボーナスなどを支払えな いこともある。それを「みなし役員」という。社 員であっても役員とみなします、という意味であ る。  この「みなし役員」になる条件とは以下の通り である。  ・経営に関与していること  ・その人の持ち株割合(配偶者分含む)が5% を超えている  ・その人の同族グループ(血族6親等、姻族3親 等以内)で持ち株割合が10%を超えている  ・同族グループ3位までの持ち株割合が50%を 超えている  この条件のうち「経営にタッチしているか」ど うかについては、具体的な線引きはない。  が、国税側では、だいたい「経理をしていれば アウト」というような考え方をしている。つまり、 奥さんが経理をしているのなら、会社の経営に携 わっている(‥みなし役員)と考えるということ だ。  箏常勤していない家族に給料を払   うウラ技 常勤していない家族に給料を払う方法もある。  それは家族を「非常勤役員」にするということ である。  非常勤役員というのは、その名の通り、常勤し ない役員のことだ。経営に関する助言を与えたり、 いざというときに交渉その他をするための役員で ある。  非常勤役員は、毎日出社する必要はないし、こ れといった業務をしていなくても大丈夫である。 だから、非常勤役員にするための条件は、普通の 役員や従業員よりも、かなり(Iドルが低いとい える。  ただし非常勤役員の場合も、家族を従業員にし たときと同様、まったく会社の業務に関与してい ないのであれば、税務署からお咎めを受けること もある。  でも、時折、会社に来て会議に参加などをして いれば、税務署がそれを否認するのは難しいのだ。  大企業などでも、ほとんどの非常勤役員は、そ ういう仕事しかしていない。大企業では、有名夕 レントや有名スポーツ選手が形ばかり、非常勤役 員になっているケースも多々ある。  だから、税務署が非常勤役員を「仕事をしてい ない」として否認するのは、宗族従業員を否認す るよりも難しいのだ。 箏税務署に否認されない家族への   給料とは? ここまで読んできてもなお、  「家族を社員にして給料を分散すれば、税務署か ら否認されるんじやないか」  と思った方もいるだろう。  確かに、宗族が社員になっても、それは名ぽか りでまったく仕事をしていないのであれば、税務 署は否認する。しかし、なんらかの仕事をしてい れば、税務署がそれを否認するのは非常に難しい のだ。  囗本の税制では申告納税制度というシステムを 採っている。申告納税制度というのは、税金は、 納税者が自分で申告して自分で納める、というも のだ。  税務署が、追徴課税を課したりできるのは、当 局側か誤りを見つけたときだけなのだ。  つまり、納税者はその申告について潔白を証明 する義務はなく、もし税務署が誤りを指摘するな らば、税務署側がその証拠を出さなければならな いのだ。  宗族への給料を否認することは、税務署にとっ て非常に(Iドルが高い。  税務署が、家族社員への給料を認めるかどうか の判断は、その給料に見合った仕事をしているか どうか、ということである。  何も仕事をしていないのに給料を払っていれば、 それは不当に所得を分散したと税務署にみなされ る恐れがある。普通に考えても「仕事をしていな いのに給料を出していればそれはおかしい」、と いうことになる。  しかし、なんらかの仕事をしている形跡があり、 相応の給料ならば、税務署はそう目くじらを立て ることはない。  それは社員でも役員でも非常勤役員でも同様で ある。  会社の非常勤役員というのは、普通の会社でも、 どういう仕事をしているのかよくわからない人も たくさんいるわけだ。だから、会議に出たり、書 類をチェックしたりなど、ちよつと役員らしいこ とをしていれば、税務署がそれに文句を言うこと は非常に難しいのだ。  簡単に言えば、世間相場からあまりにかけ離れ た待遇をしていなければ、いや世間並みよりも若 干待遇がいい、というような程度ならば、税務署 も文句は言えないのだ。  そういう企業はいくらでもある。  ただし、会社の中に宗族以外の社員がいる場合 は、さらに注意が必要である。宗族以外の社員と 比べて、明らかに待遇が違う場合は、問題とされ るからだ。  たとえば、同じような仕事をしているのに、家 族社員だけ給料は非常に高かったり、宗族社員だ けにボーナスが出る、などという場合は、まずい。 また福利厚生などで家族だけが優遇されていると いうのも問題となる。  会社の中で、社員が家族しかいなければ、比較 の対象がないから、他の社員との兼ね合いは気に しなくても構わない。  家族を社員にしたときの給料は、  「一定の仕事をしている事実があること」  「給料の額は、その仕事を人(業者)に頼んだ場 合の費用よりかけ離れたものでなければ大丈夫」  ということなのだ。  箏税金を安くする魔法の杖「福利   厚生費」 次に会社の税金のもう一つの武器である「福利 厚生費」についてご説明したい。  福利厚生費というのは、会社の従業員の福利厚 生などにかける費用である。ご存知の方も多いは ずだ。  この福利厚生費は、実は税法上けつこう広範囲 に認められている。  福利厚生というと、健康診断や慰安旅行などし か思い浮かばない人も多いかもしれない。  でも福利厚生の範囲はそんなものではない。  コンサートのチケット、スポーツジムの会費な どのレジャー費、アパート、マンションなどの住 居費などもOKなのだ。  はては夜食代や昼食の補助まで適用されるので ある。  社員の衣食住の大半は、福利厚生で賄えると いっても過言ではない。つまり、福利厚生費をう まく使えば、衣食住の大半を会社の経費で落とす ことができるのだ。しかも、レジャー費まで、経 費で落とせる。私生活の大半の支出は、会社から 出すことができるのだ。  そして、この福利厚生費は、会社であればどん な規模であっても使えるのだ。  社長が一人でやっている会社や、社長とその家 族だけでやっている会社であってもである。  個人事業者にも、福利厚生費は認められている が、税務署は個人事業者の場合は、従業員への福 利厚生費は認めるが、事業者自身や事業者家族へ の福利厚生贄は認めない傾向にある。税務署が、 個人事業者自身や家族への福利厚生贄を認めない というのは、実は税法上の根拠はない。しかし、 これまで税務署が認めてこなかったので、これを 覆すためには、裁判を起こすなどをしなければな らない。そういう負担に耐えられる事業者はなか なかいないので、個人事業者は実質的に自分自身 への福利厚生贄が使えないのだ。  しかし、会社組織にしていれば、オーナー社長 であっても、福利厚生贄の対象となる。  つまり、会社組織にしていれば、思う存分福利 厚生贄を使えるということである。  会社をつくる醍醐味の一つはここにあるのだ。   箏自宅の家賃を会社に払ってもら    う  福利厚生費がいかに使えるものなのか、一番、 わかりやすいのは「家賃」である。  おそらく、ほとんどの方は、衣食住のうち 「住」に一番お金がかかっているのではないだろ うか? 特に都会に住んでいる方は、住居費にす ごくお金がかかっているはずだ。  この住に関する支出は、会社の福利厚生費で出 すことができるのだ。  というのも、一定の条件を満たせば、従業員 (役員を含む)の家賃を福利厚生費として支出する ことが認められているのだ。  つまり福利厚生費では、一定の手順を踏めば社 員のために住居を提供するということもできる。  従業員(役員含む)が賃貸のアパートやマン ションに住んでいる場合、その家賃の大半を会社 が肩代わりすることができるのだ。  これは、借り上げ住宅といって、簡単に言えば、 役員や社員が住んでいる家(部屋)を会社の借り 上げにして、社宅として役員や社員に貸す、とい うものである。  当然、会社が家賃の大部分を負担する。  通常、会社が社員(役員含む)に経済的恩恵を 与えた場合は、それは給料に加算されることに なっている。だから、会社から経済的恩恵を受け た役員、社員は、給料を増額されたのと同じよう に、税金も加算されるわけだ。  しかし、一定の要件を満たした「経済的恩恵」 であれば、給料とはみなさなくていい、という制 度があるのだ。  つまり、会社から経済的恩恵を受けても、役員 社員の税金は加算されないということである。  それが、税法上の。福利厚生費”なのだ。  そして、住宅の借り上げというのも、税法上の 福利厚生費として認められているのだ。  一定の要件を満たしていれば、会社が役員、社 員に住宅を提供しても、それは給料とはみなされ ず、会社の福利厚生費で落とすことができるのだ。  一定の要件というのは、従業員は会社に対して 15%程度の家賃を払っていることだ。さすがに家 賃の全部を会社が払ってやるのは、恩恵が大きす ぎるということで、15%程度は払わなくてはなら ないことになっているのだ。役員の場合は30%程 度の家賃を払っていなければならない。  つまり、従業員が15%程度、役員は30%程度の 家賃を払っていれば、会社は福利厚生費として損 金計上できる上に、社員にも税金の加算がされな い。  たとえば、ある会社の役員が家賃15万円のマン ションを借りているとする。  このマンションを会社が借り上げて、「社宅」 として役員に貸し与えていることにする。役員は、 15万円の30%、つまり4万5000円程度払って いれば、会社が払っている家賃は役員報酬とはみ なされないのだ。  つまり会社が肩代わりしている家賃月10万 5000円は、「税金のかからない給料」なのだ。 年間にすれば、126万円である。  ということは、この役員は、正規の報酬の他に、 会社から126万円の報酬をもらっているのと同 じことなのだ。  しかも、この126万円は、役員の所得税、住 民税の対象からもはずされる。  法的な福利厚生費で受けた経済的利益は、所得 税や住民税の対象にならないことになっているか らだ。  もし、この126万円を正規の報酬としてもら えば、少なくとも30万円くらいは税金として徴収 される。その税支出がまっだくなくなるのだ。  この住宅借り上げ制度は、社長一人の会社だっ たり、家族だけでやっている会社でも適用される。 社長一人の会社であっても、社長の住居を会社が 借り上げ、社長は家賃の3割程度を会社に払って おけばいいのだ。  つまり、福利厚生費を使えば、社長が払う自宅 の家賃は、3割程度でいいということである。   箏夕食代も福利厚生費で落とせ  福利厚生費というのは、住居ばかりではない。  食についても、相当な部分で支出することがで きる。  その究極のものが、「夜食代」である。  ざっくり言えば、夜食代を会社の金で出せる、 ということだ。  どういうことかというと、残業した人の食事代 を会社が負担した場合、それは福利厚生費として 支出できるのだ。  どんな会社でも、夕食時間にずれ込むくらいの 残業はあるものだ。そういう残業をしたときに、 会社は福利厚生費から夜食を出すことができるの である。  またこれも会社の人数に制限があるものではな いので、経営者一人しかいない会社でも適用でき る。  たとえば社長一人でやっている会社で、社長が 夜9時くらいまで仕事をしていたとする。8時ご ろ、腹が減って、出前を取った。これは、会社の 福利厚生費から出すことができるのだ。  また夫婦でやっている会社があったとする。  夫婦ともに、毎日、夜遅くまで働いている。そ して奥さんが、近所のスーパーで惣菜を買ってき て、夜食として出した。この夜食代も、会社から 経費で出すことができるのだ。  だから、いつも残業しているような会社では、 「夕食代は福利厚生費で出す」ということができ るのだ。  極端にいえば、夕食代のほとんどを福利厚生費 で出すことができるのだ。もちろん、残業をして いたら、という話ではあるが。  ただし、この夜食はあくまで会社が支給したと いう形を取らなくてはならない。  夜食は、会社が自前でつくるか、会社が仕出し や出前をとつだものを社員に提供しなければなら ないのだ。  もし夜食代を現金でもらえば、それは従業員 (役員も含む)の給料として加算される。それは会 社の経費として算入されるが、従業員にとっては 給料という扱いになるので、所得税の対象となる。 また役員の場合は、役員報酬とみなされ、会社の 経費にさえならない。  だから夜食はあくまで現金ではなく、現物を会 社が用意しなくてはならない。  また夜間勤務の場合、出前などは取らなくても、 一回300円までの食事代の現金での支給は福利 厚生贄の範囲内となる。   箏昼食代も月3500円まで会社    が出せる  前項では、夜食を福利厚生費から出す方法をご 紹介したが、福利厚生費は夜食だけではなく、昼 食も出すことができる。  福利厚生費では、一定の条件を満たせば、昼食 代の補助を出せることになっているのだ。  一定の条件とは、  ・従業員が一食あたり半分以上払うこと  ・月3500円以内であること  である。  つまり毎月3500円までは、昼食代として支 出できるのだ。  年間にすると、4万2000円になる。  ただし、夜食と同様に3500円を単に現金と してもらえば、社員に対する課税となってしまう。 非課税となるのは、会社を通じて仕出しや出前な どを取ってもらった場合のみである。  たとえば、ある会社で、社員(役員含む)が会 社で20回、昼食をとっているとする。社員は会社 を通じて出前を頼む。  そして、会社は一回あたり175円を出す。だ から700円の親子丼を注文すれば、社員は 525円を出せばいいというわけだ。  また宗族でやっている会社が、昼食をつくって 社員に支給したとする。  その場合、材料費のうち月3500円までを会 社から出し、社員からは昼食費として3500円 以上を徴収すればいいのだ。  夜食代だけではなく、昼食代も、会社から出す ことができれば、もう食事代の大半は、会社から 出すことができる、というものである。   箏スポーツ、ライブチケットを会    社の金で買う  これまで、衣食住の費用を会社の経費で落とす 方法をご紹介してきた。  しかし福利厚生費で出せるのは、生活関連の費 用だけではない。  レジャー費も出すことができるのだ。  福利厚生費というのは、従業員の生活や健康を 向上させるのための費用だからだ。レジャー、レ クレーションなどの費用も当然、含まれるわけで ある。  しかもレジャーというとかなり範囲が広くなる。  遊び全般は、レジャーといえるからだ。遊び全 般の費用が、福利厚生費で出せれば、こんなにい いことはないだろう。  そして法的にレジャー費は、どこからどこまで ならば福利厚生費として認められるのか、という と、実は明確な基準はない。  世間一般で福利厚生として認められる範囲とい うことになっている。福利厚生というのは、時代 とともに変わるものである。たとえば、昔は会社 の慰安旅行で海外旅行は認められていなかった。 しかし、現在は海外慰安旅行も福利厚生贄として 認められている。  時代の趨勢で、福利厚生贄の範囲は広かつてい くといえる。  ただし、どこまで広かつているのか明確な基準 がないだけに、会社としては使い辛い面もある。  が、大企業、官庁で取り入れられている福利厚 生ならば、まず大丈夫である。  スポーツ観戦、コンサートチケットなどは、大 企業や官庁などで、普通に福利厚生として支給さ れている。  なので、十分に福利厚生贄の範疇と考えていい だろう。  つまり、スポーツ観戦やコンサートのチケット の代金を会社の金で出すことができるわけである。 スポーツファンや音楽ファンの経営者にはたまら ないはずだ。  ただ、あまりに何回も行くとマズイといえる。  福利厚生費は、「世間一般の常識の範囲内」と いうことなので、毎週コンサートに行ったりする のは、ちょっと常識から外れることになるからだ。  年に数回というところが妥当だろう。  また福利厚生費で気をつけなくてはならない点 は、一部の社員のみが対象になっていてはダメ、 ということである。だから、社長一人しかいない 会社では、社長一人で行ってもいいわけだ。  ただし他に社員がいる場合は、皆に同等の福利 厚生をしなければならない。  またこのチケット代は、会社が購入し、それを 社員(役員)に配布するという形を取らなくては ならない。社員(役員)が自分で購入し、会社は その代金を後から支給するという形であれば、社 員(役員)に対する給料(報酬)という扱いにな るのだ。  だから、「会社が購入↓社員に配布」という形 は、崩してはならない。  社長一人の会社などでは、結局、自分で買って 自分でもらう、ということになるだろうが、形式 は守らなくてはならない。領収書なども、個人宛 ではなく、会社宛でもらっておいた方がいい。  とにもかくにも、レジャーの費用の多くも、福 利厚生費から出せるということである。   箏スポーツジムに会社の金で行く  前項では、スポーツ観戦、観劇などの費用を福 利厚生費で落とせることを紹介したが、スポーツ ジムなどの会費も落とすことができる。  昨今では健康志向もあり、仕事が終わってから スポーツジムに行くというビジネスマンも多いよ うだ。スポーツジムの会費は、最低でも月1万円 くらいする。これを会社の金で負担できるわけだ。  スポーツジムの会費を福利厚生で出している企 業はいくらでもあるし、官庁でもスポーツジムの 法人会員になっているケースもあるので、もうこ れは堂々と使えるものだといえる。  ただ月々の会費は、福利厚生費として損金処理 することができるが、入会金は資産として計上し なければならない(あとで返却されないものは、加 入期間で償却する)。  これは、経営者一人の会社でも当然適用できる ものである。  ただし、役員など特定の大しか利用できない場 合は、その特定の人の給料になり、所得税がかか る。経営者一人の会社では、必然的に経営者一人 しか利用していないことになるが、もし社員が 入ってきた場合、その社員も利用できることに なっていれば、大丈夫だ。   箏旅行費用も会社の経費で  福利厚生費では、旅行の費用を出すこともでき る。  いわゆる「会社の慰安旅行」である。  税制上一定の要件を満たせば、会社の慰安旅行 は、福利厚生費として損金経理できる上に、社員 も給料としての加算はない。  慰安旅行の条件というのは、4泊5囗以内であ り、社員の50%以上が参加するというものである。 海外でも現地泊が4泊5囗以内であればOKだ。  「会社の慰安旅行」も、家族だけでやっている会 社であってもできる。ただし、社員以外の宗族が 一緒に行く場合は、その分の旅費は出せない。た とえば、子供を連れて行くなど、である。  社長一人の会社だと、ちょっと難しいかもしれ ない。慰安旅行は従業員の親睦という意味がある からだ。   たとえば、香港に宗族社員5名で4泊5囗の社 員旅行をしたとする。  旅費の一人12万円、合計60万円は、もちろん会 社持ちである。  これをもし、自分の金で行ったとすると、その お金は自分の給料から出すわけなので、税金、社 会保険料が一人3~4万円かかっていることにな る。  しかし、会社から慰安旅行として出してもらえ ば、この3~4万円は出さなくていいのだ。  宗族企業などの場合は、それが即、宗族の収入 増につながるわけだ。  もちろん宗族企業じゃなくても、慰安旅行は会 社と社員両方の節税になるし、社員の勤労意欲増 進にもつながる。   箏会社の金でプライベート旅行を    する  前項では、慰安旅行のご紹介をしたが、慰安旅 行には若干の制約があるので、純然たるプライ ベート旅行に会社の金で行きたい、と思う人もい るだろう。  実は、福利厚生費では、純然たるプライベート 旅行費用も支出することができる。  一定の条件をクリアすれば、純然たるプライ ベート旅行に、会社が補助的なお金を出すことも 可能なのだ。  全額は無理だが、ある程度は大丈夫だ。そして、 社員にとっても給料には加算されず、税金や社会 保険料がかからない。  大企業では、保養施設を持っているところも多 い。そういう企業の社員は、観光地や保養地で格 安で宿泊することができる。また公務員なども公 務員用の保養施設があり、同じような恩恵を享受 できる。  会社が自前で保養施設を持てれば、それに越し たことはない。福利厚生費として、保養施設につ ぎ込めば、社員は大きな経済的メリットを受ける ことができる。  でも、中小企業ではそうそう保養施設など持つ ことはできない。それでは不公平である。それを 補うために、社員がプライベートの旅行をした際 に、その宿泊費を補助することもできることに なっているのだ。  たとえば、社員が観光旅行などをした場合、一 泊につき5000円は会社から補助を出すのだ。 家族にも同様の補助を出す。それを年間20回(人 数y宿泊)まではOKというような規定を作って おく。そうすれば、年間10万円の観光費用を会社 が負担してくれることになる。  ただし、この方法を使う場合は、気をつけなく てはならない点がある。それは、宿泊の補助を社 員に手渡すのではなく、会社がホテルや旅館など に直接申し込み、社員が会社に残りの宿泊費を払 うという形態を取らなくてはならない、というこ とだ(国税局相談窓口に確認済み)。  社員が、自分でホテルや旅館に宿泊の申し込み をし、補助金を会社が出すという形態では、給料 として扱われてしまう。  箏「福利厚生」の注意事項  これまで福利厚生のことをご説明してきたが、 「けっこういろんな範囲が使えそうだけれど、今 一つ福利厚生として認められるものの基準がわか らない」という方も多いだろう。  なので、ここで福利厚生の基準について、おさ らいをしておきたい。  福利厚生には、大まかに言って次の三つの基準 があると思ってほしい。  1 社会通念上、福利厚生として認められるも の  2 特定の社員だけが享受できるものではなく。 社員全体が享受できるもの  3 会社が購入したモノ、サービスを社員に支 給するという形を取る  一つ目は、「社会通念上、福利厚生として認め られるもの」である。  実は福利厚生費の範囲というのは、それほど厳 密な線引きはされておらず、世間の価値観に委ね られている。だから、大企業などを参考にして、 それにかけ離れていないものならば大丈夫という ことである。  二つ目は、社員のだれもが同様に享受できるも のであることである。役員など、ごく一部の人し か使えないものではダメということだ。  これは必ずしも、誰もが同じだけ使わなくては ならないということではない。たとえば、スポー ツジムなどの場合、誰もがスポーツジムに行ける 状況さえ整っていればいい、ということである。  社員のある人は毎日行くけれど、ある人はまっ たく行っていなくても、誰もが行こうと思えば行 けることになっていれば、大丈夫ということであ る。  三つ目は、福利厚生はあくまで会社が社員に支 給するという形を取らなくてはならない、という ことである。  社員が自分で何かを購入したリサービスを受け たりして、会社はお金を出すだけ、という形では ダメなのだ。  あくまで会社が購入したものや、契約したサー ビスを社員に支給するという形を取らなければな らない、ということである。  この三つを守っていれば、福利厚生費として認 められるといえる。  章 個人事業者も経営者も使える 嵋最強の節税アイテム  箏会社も個人事業者も使える逃税    アイテム  これまで述べてきたように、個人事業者と会社 では、税金を逃れる方法は若干違う。  しかし、基本的な税務思想である「事業に関連 する支出は経費として認められる」ということは 同じである。  この章では、会社でも個人事業者でも使えて、 しかも非常に有効な逃税アイテムを紹介したい。  「こんなものまで経費で落とせるのか?」  と思われる方もいるはずだ。  具体的に言えば、旅費、高級車、共済などであ る。  旅費は、「第5章」で福利厚生費として経費で 落とす方法をご紹介したが、これは個人事業者で はほぼ使えない。しかし、「福利厚生」ではなく、 事業の中で旅費を経費として落とすこともできる のだ。  これらのアイテムを使えば、驚くほど税金が安 くなることもある。  箏旅費を使えばかなりの節税にな   る 事業者の強力な節税方法に、「旅費」がある。  旅費というのは、仕事の関係で出張などをした ときの経費のことである。  旅費こそが、事業者の醍醐味といえるだろう。  「旅費といっても、うちの仕事は出張なんてな い」  と思った事業者の方もおられるかもしれない。  しかし、事業での旅費というのは、いわゆる ”出張”のときだけに生じるものではない。個人 的な旅行であっても、仕事関係の情報を仕入れる 目的があれば、「視察旅行」として経費に計上す ることができる。  地方に旅行するとき、その地域で評判になって いる同業者をいくつか見学したり、その地域の サービスの状況をチェックしたりすれば、立派な 「視察旅行」ということになる。また従業員の慰 安旅行などをした場合、これも経費に計上するこ とができる。  たとえば、地方でネット関連の仕事をしている 人がいるとする。ネット関連の情報を集めるため に、秋葉原に視察旅行をすることにする。つまり、 事業の経費を落としながら、東京見物ができるの だ。  ビジネスが国際化している昨今、海外に行こう と思えばなんとでもこじつけられる。「中国に進 出したいので、その視察をした」  「東南アジアの市場を開拓したいので調査のため に」  などということにすれば、それを覆すことはな かなかできない。  ただし、この場合、ただの「見物」ではダメで ある。「視察旅行」という建前があるのだから、 視察や情報収集をしなければならない。もちろん、 秋葉原に行くだけで十分に情報収集にはなると思 われるが、税務署対策として、なんらかのレポー トくらいは残しておいた方がいいかもしれない。  このようにして、工夫次第でいくらでも「旅 費」は使うことができるのだ。  この手法は、政治家や官僚がよく使っているも のである。税金を使って遊びに行きたいけれど、 遊びでは予算が下りない、だから視察旅行と称し て、税金を使って物見遊山に出かけるのだ。  こんな美味しい制度を政治家や官僚だけに使わ れるのはもったいない。自営業者、フリーラン サーの方も、お金に余裕ができたときは、節税を かねてぜひ視察旅行をしよう。税金を使って旅行 に行く人たちに比べれば、自分が稼いだ金で旅行 するのだから、全然、良心的な方だといえるのだ。   箏中古高級外車で税金を逃れて蓄    財する  税金を逃れるアイテムとして、中古高級外車と いうものもある。  車を買えば、耐用年数に応じて「減価償却」し ていかなければならない。  減価償却というのは、「何年にもわたって使う 高額のもの(固定資産)」を購入した場合、冒]つだ 年の費用として一括計上するのではなく、耐用年 数に応じて費用化するというものだ。  たとえば5年の耐用年数がある100万円の電 化製品を買った場合、1年間に20万円ずつ、5年 間にわたって費用計上していくのだ。  この費用計上のことを減価償却費というのだ。 本当はもっと複雑な計算を要するが、仕組みとし てはこういうことだ。  減価償却をする対象となる「固定資産」は取得 価額が10万円以上のものである。10万円未満のも のを購人した場合は、全額をその年の費用として 計上していい。  減価償却の方法は、定額法と定率法というのが ある。  定額法は耐用年数に応じて「毎年同じ額だけ」 の減価償却費を計上していく。  一方、定率法というのは、資産の残存価額に一 定の率をかけて、毎年の減価償却費を計上すると いう方法である。  定額法は、毎年同じ額の減価償却ができるのに 対し、定率法は最初のうちは減価償却額が多く、 だんだん少なくなってくるという特徴がある。だ から、早く減価償却費を出したい場合は、定率法 を選ぶべきだろう。  定率法にするか定額法にするかは事業者が自分 で選択することができる(不動産の場合は定額法の み)。定率法にしたい場合は、申告前までに税務 署に届け出書を出さなくてはならない。もし定率 法の届け出を出さなかった場合は、自動的に定額 法になる。  中古高級外車の話に戻ろう。  普通車の耐用年数は6年なので、車の購入費用 を経費として全部計上するまで6年かかる。  もし、120万円の車を購入したならば、1年 間に20万円ずつ経費に計上して、6年間かけて全 額が経費で落ちることになる、そういうことであ る。  しかし、中古車の場合、経過分の期間を耐用年 数から差し引くことができる。耐用年数が短くな るということは、それだけ早く減価償却してしま えるということ、つまり、1年間に経費として計 上できる金額が多くなる、ということだ。  たとえば、2年経過した中古車ならば、耐用年 数は4年になる。120万円で購入した場合は、 1年間に30万円ずつ経費に計上できるのだ。新車 よりも、年間10万円だけ経費計上額が大きくなる わけである。  中古車の耐用年数というのは、次のよう計算方 法で算出される。   (耐用年数‐経過年数)十(経過年数×20%)  たとえば、5年落ち(5年経過)の中古車を 買った場合、自動車の耐用年数6年から経過年数 5年を引く。それに経過年数の20%、つまり1年 を足す。計2年となり、この中古車の耐用年数は 2年ということになる。  1年未満の端数が出た場合は切り捨てとなり、 最短耐用年数は2年である(計算式で2年以下に なった場合は2年が耐用年数となる)。  中古車の耐用年数を並べてみると次図のように なる。  このように4年落ちの中古車になると、耐用年 数が2年になり、中古車の耐用年数は、それ以上 は短くならない。2年が最短なのである。耐用年 数が2年というのは、わずか2年で車の購入費を すべて経費に計上できるということだ。  BMW、ベンツなどの高級車は、中古だといっ てもそれなりに高い。500万~600万円する ものもザラにある。それらが、たった2年で経費 化できるのだ。つまり、中古BMWを買えば、2 年間にわたって500万、600万円の「利益減 らし」ができるということなのである。   箏2ドアのスポーツカーも事業の    経費で落とせる  前項では、中古高級外車がかなり有効な節税ア イテムであることをご紹介した。  高級車の中には、2ドアのスポーツタイプの車 もある。  2ドアのスポーツカーというと、男性にとって はロマンのあるものだが、趣味の世界のものでも ある。これを事業の経費で落とせるなどというこ とは、到底、思えないはずだ。  事実、税理士の多くも、「スポーツカーを事業 の経費で落とせるか」と聞かれれば、ノーと答え るはずだ。  しかし、スポーツカーの購入費が事業の経費と して認められた例が実際にあるのだ。  税務の世界では、こういう都市伝説がある。  「2ドアの車は会社の経費(社用車)にはできな い」  と。これは実は誤解に過ぎない。  2ドアというと、スポーツタイプの車であり、 「カッコいい車」であり、常識的に見れば事業に 使えるものとは言えない。だから、こういう都市 伝説が生まれたのである。  十数年前、『なぜ、社長のベンツは4ドアなの か?』というビジネス書が大ヒットしたが、実は この本はこの誤解に基づいて書かれたものだった ので、内容的にはウソだったのだ。  2ドアの車というのは、後部座席にお客さんを 乗せることができない。事業用の車というものは、 お客さんを乗せるためにあるのだから、2ドアの 車は社用車にはできない、というのがこの都市伝 説の根拠である。  でも、裁判の判例で、この都市伝説は明確に覆 されているのだ。  ある社長がスポーツタイプの2ドアの車を社用 車とし、税務署はそれを否認したために、裁判と なった。この社長は、2ドアの車を、出勤や出張 の際に使っており、「会社の業務で使っているの だから社用車として認められるべきだ」と訴えた わけだ。  そして、判決ではこの社長の言い分か通った。 この社長は、プライベート用に別の車を持ってお り、この2ドアの車は会社のために使っていると いうことが、はっきりしたからだ。  税務署は、「2ドアの高級車を会社の業務で 使っているわけはない」「ほとんどプライベート で使っているはずだから、会社の金で買うのはお かしい」という主張たったわけだ。  でも、この社長は、きちんと会社の業務で使っ ているということが客観的にわかったので、社長 の言い分か認められたのだ。  つまりは、2ドアの車であっても、事業の業務 で使用してさえいれば、立派に社用車として認め られるわけだ。  だから車好きの事業者の方などは、事業で儲 かったときには、2ドアの高級車を買ってみるの はアリなのだ。また実は高級車というのは、税金 を逃れるための非常に有効なアイテムでもある。   箏期末に240万円の利益を一気    に減らす方法  「中小企業にとって、もっとも都合のいい節税方 法はなんですか?」  と聞かれた場合、私は迷わずに「経営セーフ ティ共済」だと答える。私も一応、経営者だが、 私自身もこの節税方法を使っている。  経営セーフティ共済は、いろんなところで紹介 されているので、ご存知の方も多いと思われるが、 この経営セーフティ共済の本当の威力は、あまり よく理解されていないらしく、これを活用してい る経営者の方は、まだまだ少ない。  経営セーフティ共済がどれほど威力があるかと いうと、期末ギリギリであっても、会社の利益を 最高240万円も減らすことができる、というこ とである。しかも、この240万円は、会社に とって。出ていく金”ではなく、蓄積される金な のだ。つまり、一銭も無駄金を使うことなく、利 益を240万円も減らすことができるのだ。  中小企業にとって、240万円の利益を一気に、 それも期末に減らせるというのは、非常にありか たいことのはずだ。  他にこんな効率的な節税方法はない。  夢のような節税方法だといえる。  もし「今期はちょっと利益が多かったので、税 金が怖い」と思っているような経営者、経理担当 者の方は、まず第一にこの経営セーフティ共済を 導入してみてほしい。 箏夢の節税方法「経営セーフティ   共済」とは? では、経営セーフティ共済とは、具体的にはど んなものなのか、どうすれば導入できるのか、と いうことをご説明したい。  「経営セーフティ共済」というのは、取引先に不 測の事態が起きたときの資金手当てをしてくれる 共済である。  簡単に言えば、毎月いくらかのお金を積み立て ておいて、もし取引先が倒産とか不渡りを出して、 被害を被つだ場合に、積み立てたお金の10倍まで 無利子で貸してくれる、という制度だ。  この制度のどこが節税になるか、というと、掛 け金の全額が損金に計上できることである。掛け 金の最高額は年240万円なので、年間240万 円の利益を一気に減らすことができるのだ。  そして、この240万円というのは、掛け捨て ではない。積み立てた金は、不測の事態が起こら なかった場合は、40ヵ月以上加入していれば全額 解約金として返してもらうこともできる。40ヵ月 未満の加入者は、若干返還率が悪くなる。  しかも、「経営セーフティ共済」は1年間の前 払いもでき、前払いの全額が支払った期の損金に 計上できる。だから、期末になって200万~ 300万円くらいの利益を急に減らしたいという ときには、これに加入すれば、240万円の利益 を削ることができるのだ。  もっともいい節税策というのは、「経費をたく さん計上できて、しかもそれを資産として蓄積で きること」だといえる。経費を増やせば、税金が 減るのは当たり前だ。しかし経費を増やせても、 税金以上に会社の資産が減っていっては、意味が ない。  「経費を増やすことができて、しかも資産も減ら さない」  というものを見つけることができれば、それが もっともいい節税策なわけだ。経営セーフティ共 済は、その条件にジャストミートするのだ。  特に忙しい経営者の方、日ごろ節税策をあまり 講じてこなかった会社などには、最適の節税方法   箏経営セーフティ共済は資金面で    も役に立つ  経営セーフティ共済は、節税面以外でもメリッ トが多々ある。  たとえば積立金の95%までは、不測の事態が起 こらなくても借り入れることができる。この場合 は利子がつくが、それでもO・9%という低率で ある(2023年6月現在)。なので、運転資金が 足りないときには、この積立金を借りることがで きる。  つまり、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防 止共済制度)」というのは倒産防止保険がついた預 金のようなものである。金融商品として見ても、 非常に有利なものといえる。儲かったときに、経 営セーフティ共済にお金をプールしておけば、税 金も取られないし、資金繰りにも役に立つのだ。  経営セーフティ共済は、国が全額出資している 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が運営し ており、ほぼ官製の共済だ。だからこの機関はつ ぶれる心配もない。  経営セーフティ共済は、掛け金の額を5000 円から20万円まで自分で設定できる。最高額の掛 け金にすれば、削減できる利益は「240万円」 となる。  そして、掛け金の総額が800万円に達するま で掛け続けることができる。つまり、会社の利益 を、毎年240万円まで、総額800万円までは プールしておくことができるということだ。  また掛け金は途中で増減することもできる。  だから初めの掛け金は、節税のために最高額に しておいて景気が悪くなったら減額する、という 手も使える(減額するには若干の手続きが必要とな る)。  筆者はいたるところで、この経営セーフティ共 済がいい節税方法であることを宣伝しているが、 もちろん、広告宣伝費をもらっているわけではな い(経営セーフティ共済は公的機関なので、そんなこ とはできない)。前にも述べたように、筆者もこの 経営セーフティ共済に加入している。白分かやっ てみて一番いい節税方法だから、勧めているのだ。  加入手続きも非常に簡単なので、240万円程 度の利益(所得)を減らしたいというような場合 は打ってつけの節税策といえる。   箏小規模企業共済を使いこなそう  前項の「経営セーフティ共済(中小企業倒産防 止共済制度)」と似たようなもので、「小規模企業 共済」というものがある。これは、第3章でも少 し触れたが、中小企業にとっては、必須の節税ア イテムである。  「小規模企業共済」というのは、会社の経営者や 個人事業者が毎月いくらかを積み立てておいて、 事業をやめたり退職したときに、幾分の利子をつ けてもらえるという制度である。  つまりは小規模企業(法人や個人事業)の経営 者の退職金代わりに設けられている共済制度だ。  毎月、お金を積み立てて、自分が引退するとき や事業をやめるときに、通常の預金利子よりも有 利な利率で受け取ることができる。自営業者を対 象としたものだが、中小企業の経営者、役員やフ リーランサーやSOHO事業者も当然加入できる。  この小規模企業共済は月に1000円から7万 円まで掛けることができるが、掛け金の全額を所 得から控除できる。  最高額の月7万円を掛ければ、年間84万円が所 得控除される。  しかも、この小規模企業共済も前納することも できる。そして1年以内分の前納額は全額が支 払った年の所得控除とすることができるのだ。  だから年末に月々7万円の掛け金で加入して、 1年分前納すれば、84万円もの所得を年末に一気 に減らすことができる。  小規模企業共済の難点は、預金と違って自由に 引き出すことができない、という点である。原則 として、その事業をやめたときか、退職したとき にしか受け取ることができない。  事業が思わしくなくなったときや、いざという ときには、事業を廃正したことにすれば、もらえ る。事業を廃正しなくても解約できるがその場合 は、給付額は若干少なくなる。また、事業を法人 化したときにも受け取れるので、個人事業者が法 人化への資金として貯蓄する場合にも使える。  掛け金の7~9割程度を限度にした貸付制度も あるので、運転資金が足りないときには活用でき る。  共済金を受け取った場合は、税制上、退職金か 公的年金と同じ扱いとなり、ここでも優遇されて いる。  この「小規模企業共済」も、「経営セーフティ 共済(中小企業倒産防止共済制度)」と同じように、 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が運営し ていて、全国で約162万人が加入している。  問い合わせ先も、「経営セーフティ共済(中小 企業倒産防止共済制度)」と同じである。   箏退職金を積み立てながら節税で    きる「中小企業退職金共済」  中小企業には、「中小企業退職金共済」という 制度がある。この共済も節税策としても非常に有 効なものである。  中小企業退職金共済とは、中小企業がこの共済 に毎月いくらかずつを積み立てて、それを従業員 の退職したときに退職金として支払うという制度 だ。  この中小企業退職金共済のどこが節税になるか というと、積み立てた金額が、全額損金にできる ことである。  現在、囗本の税法では、退職金のための引当金 は認められていない。  退職したときに、従業員に退職金を払うように 就業規則で決められている企業、退職金の支払い 慣習がある企業の場合は、従業員に対して退職金 の支払い義務がある。  しかし税制上はこの退職金の原資を蓄えておく ことができないのだ。企業が退職金のためにお金 を積み立てても、それは税務上損金にできない。 つまり、企業は従業員の退職金を払う債務を負い ながら、それを損金として積み立てておくことが できないということだ。  これは企業にとっては、痛いことであり、囗本 の税制上の欠陥だともいえる。  しかし中小企業退職金共済を使えば、企業が毎 年損金として、退職金を積み立てることができる のだ。  たとえば、中小企業退職金共済を使って、従業 員一人あたり月3万円を積み立てていたとする。 これは会社の経費に計上することができるので、 毎年社員一人あたり36万円の経費計上ができる。 20年後には利子も含めるとだいたい800万円に、 30年後には1200万円くらいになっているのだ。  それだけの備えがあれば、社員が退職したとき に慌てなくてすむだろう。  さらにこの中小企業退職金共済が、節税上有利 なことは、1年間の前納が可能だということだ。  だから期末に1年間前納すれば、期末になって からの節税策ともなる(ただし、一度前納すれば、 その後もずっと前納しなければならない)。  また国からの若干の助成があり、単なる退職積 立金と考えても、有利な制度だ。節税商品として も抜群の内容といえる。  中小企業退職金共済は、資本金5000万円以 下(製造、建設業等は3億円以下、卸売業は1億円以 下)の企業であれば、どこでも加入できる。  中小企業退職金共済の掛け金は、従業員一人あ たり月5000円から3万円までであり、その間 の増額は自由にできる(減額は、理由が必要)。ま た特例としてパートタイマーなどには、一人あた り月2000円から4000円の掛け金もある。  ただ原則として、全従業員に掛けなければなら ない。経営者や役員、宗族従業員は、加入するこ とができないので、経営者の資産形成のためには 使えない。  中小企業退職金共済は、解約するのには条件が あり、全従業員が解約を認めたとき、もしくは厚 生労働大臣が掛け金を払い続ける状態ではないと 認められたときとなっている。  中小企業退職金共済は、主な金融機関の窓口で 取り扱っており、加入の方法も簡単である。従業 員に退職金を払う慣習のある中小企業、払おうと 思っている中小企業は、ぜひこの制度を活用した い(中小企業退職金共済本部/東京都豊島区東池袋 I‐24‐Iニッセイ池袋ビル16階/電話03‐6907‐ 1234)。  章 富裕層が実践している J タックスヘイブンの使い方   箏タックスヘイブンに住めば税金    が格安になる  「正しい脱税」の方法には、海外進出という手も ある。  実際に、昨今、富裕層は、海外を使って節 (逃)税しているケースも多い。  最近、「タックスヘイブン」などという言葉を 時々聞かれるのではないだろうか。  このタックスヘイブンというのは、日本人とし ては「税金天国」と訳してしまいそうだが、直訳 すれば「租税回避地」ということになる。  タックスヘイブンというのは、その名の通り、 税金がほとんどかからない国、地域のことである。  タックスヘイブンに住居地を置けば、税金はほ とんどかからないのだ。  タックスヘイブンの主な国、地域は、南太平洋 の小国、ケイマン諸島、香港などである。  「いくら税金が安いと言っても、南太平洋などに 住むわけにはいかないよ」  と普通の人は思うだろう。  確かに、日本に住み、日本で仕事をしている人 にとって、タックスヘイブンに住むことなど絶対 無理である。だから、普通の人にとって、タック スヘイブンには何の魅力もない。  しかし、海外でも仕事ができるような人や、多 くの資産を持ってリタイアした人にとっては、こ れ以上ないほどの魅力を持っている地域なのだ。  日本で生活する必要のない人、日本であくせく 働く必要のない金持ちは、タックスヘイブンに居 住すると日本のように高い所得税や住民税を払う 必要はなくなるのだ。  また各国を殷にかけている会社が、本拠地をこ こに置いておけば、法人税の節税もできる。  タックスヘイブンに本社を置いて、各国には子 会社を置く。そして、各国の利益は、タックスヘ イブンの本社に集中するようにしておくのだ。  そうすればその企業グループ全体では、税金を 非常に安くすることができるのだ。だから、本社 をタックスヘイブンに置いている多国籍企業も多 い。  特にヘッジファンドと呼ばれる投資企業の多く はタックスヘイブンに本籍を置いている。  かの村上ファンドが、シンガポールに本拠地を 移したのも、シンガポールがタックスヘイブン だったからなのだ。  またブルドックソースを買収しようとした投資 グループ「ステイールーパートナーズ」も、本籍 地はタックスヘイブンで有名なケイマン諸島に なっている。  タックスヘイブンは、税金が安いこととともに、 日本の税務当局の目が届きにくいという利点もあ る。  だから、表向きにできない脱税マネーや裏金な どをタックスヘイブンに移したり、やばい取引を タックスヘイブン経由で行なうケースも増えてい る。  また資産家が自分の資産を少しずつタックスヘ イブンに持ち出すケースも多いといわれている。  莫大な資産を持っていれば、自分が死んだとき、 遺族に莫大な相続税がかかってくる。だから、資 産をタックスヘイブンに移しておいて、囗本の税 務当局に見つからないようにする、というわけだ。  もちろん、これは本当の脱税である。  でも、タックスヘイブンの金融機関というのは、 秘密保持が徹底しており、金持ちにとっては、ス イスなどと同様、貴重な隠し口座となっているの だ。  またタックスヘイブンに連動して、「オフシヨ ア取引」という言葉も最近よく耳にするだろう。  オフショア取引というのは、非居住者が行なう 投資活動のことである。  タックスヘイブンなどにおいて、外国人投資家 が、その国以外の国に投資活動などをすることだ。 だから、当事国にとっては、自国内で、外国人投 資家が外国企業への投資をするということになる。  オフショアとは陸地から「離れた沖合」という 意味で、「国家の関与から離れたところで行なう 取引」ということである。  そして自国の国内市場とは区分して、外国との 取引のみを行なう市場を、オフショア市場という。  オフショア市場は、タックスヘイブンだけでは なく、先進諸国でもつくられている。囗本にもオ フショア市場はある。世界中の富裕層は、世界各 地のタックスヘイブンやオフショア取引を巧みに 利用して、税金を逃れているのである。  このように、富裕層は税金を安くするための努 力を惜しまない。国税庁も目を光らせているが、 富裕層は法の抜け穴をついて、タックスヘイブン を巧みに活用している。しかもこれは一般の人に も頑張れば応用できるものである。彼らはいった い、どのようなウラ技を駆使しているのか? そ の実態を、本章で紹介していこう。  箏イギリスの植民地から始まった   タックスヘイブン 前項では、金持ちの逃税先となっている「タッ クスヘイブン」のことを紹介したが、そもそもな ぜこういう国、地域ができたのか?  税金を安くしたら、その国や地域は大変である。 彼らは何のために、税金を安くしているのだろう か?  もちろん、彼の地には彼の地なりの計算があり、 メリットがあるので、タックスヘイブンをつくつ ているわけだ。  実は、タックスヘイブンの歴史は古い。  19世紀のことである。西洋の列強が、アジア、 アメリカ、アフリカを手当たり次第に食い散らか していた時代。  当時、企業のグローバル化か起こり始めた。今 の多国籍企業と同じように、世界を殷にかけて商 売をする企業が、増えていたのだ。そういう企業 は、当然、税金の安い地域に本拠地を置く。  そういう多国籍企業の一つがある事件を起こし た。  その多国籍企業というのは、ダイヤモンドで有 名なデービアス社である。デービアス社は、長ら くダイヤモンドの世界シェアの9割近くを維持し ていたといわれる、史上最大のダイヤモンド取引 業者だ。  19世紀後半から、西洋各国では税金が上がり始 めた。度重なる戦乱で、各国とも歳入が不足して いたので、企業の税金を上げたのだ。  そこで、デービアス社はある対策を講じた。 デービアス社はイギリス系の会社だが、税金を安 くするために本社を南アフリカに置いたのである。  当時のイギリスでは、植民地への投資を増やす ために、植民地の企業の税金は安くしていた。南 アフリカも税金が安かったのだ。そこにデービア ス社は目をつけたというわけである。  しかしイギリスの税務当局は、デービアス社に 対してイギリスでの納税を課した。デービアス社 の取締役会はイギリスにあり、実質的に経営はイ ギリスで行われているので、イギリスで課税され るべきだ、という判断がされたのだ。  しかし、イギリス税務当局のこの判断は、多国 籍企業に節税のヒントを与えることになった。  「取締役会をイギリスで行なっているから、イギ リスの税金がかかるというのなら、取締役会を植 民地で行えば植民地の税金で済むはず」  というわけだ。  そこでまずエジプトで不動産事業をしていたエ シフトデルタ地帯開発会社が、取締役会の場所を カイロに移したのだ。  イギリスの税務当局は、このエジプトデルタ地 帯開発会社にもイギリスでの課税をしようとした が、今度は裁判所が待ったをかけた。  「エジプトで経営されている事実があるので、イ ギリスで課税することはできない」  ということになったのだ。  この後、イギリスの多国籍企業はこぞって、取 締役会を植民地で行なうようになった。  現在、タックスヘイブンには、イギリスの旧植 民地たったところが多いのは、このためなのだ。  そしてこれはイギリス植民地にとっても好都合 なことだった。  イギリス植民地は、多国籍企業が、たくさん籍 を置いてくれるので税収が上がる。  会社が籍を置けば、それなりの登記費用などが かかるし、また会社はある程度、その地域にお金 を落としてくれる。  イギリス植民地にとって、それは貴重な財源と なったのだ。  だから、イギリス植民地は、第二次大戦後に相 次いで独立した後も、税制はそのままにしておい た。せっかく籍を置いてくれている多国籍企業に 出て行かれないためにである。  また旧イギリス植民地にならって、他の貧しい 国や地域も、税金を安くして多国籍企業や資産家 を誘致するようになった。  それが、タックスヘイブンの成り立ちというわ けである。   箏日本の住民税がかからない  タックスヘイブンに居住すれば、どういう税金 がどのくらい安くなるのか、具体的に説明したい。  まずタックスヘイブンに住んで逃れられるのは。 住民税である。  現在、日本では原則として所得に対して10%の 住民税が課せられているが、海外に住んで「非居 住者」になれば、これが課せられなくなる。海外 ではその地での住民税を払わなければならないが、 タックスヘイブンの場合は、住民税が無料か非常 に安くなっているのだ。  では、囗本の住民税がかからない「非居住者」 になるには、どの程度の期間、海外に住めばいい のだろうか?  税法では、囗本の国内に住所地がない「非居住 者」になるには、1年間のうちだいたい半分以上 海外で生活しておかなければならない、というこ とになっているが、実は厳密な区分はない。半年 以上生活していても、実質的な住所が囗本にある というような場合は、「海外居住」とは認められ ないこともあるし、逆に半年以上日本に生活して いても、「海外居住」が認められるケースもある。  国税庁のサイトでは、日本での「非居住者」と なる条件として次のように述べている。    居住者・非居住者の判定(複数の滞在地  がある人の場合)   1 国内法による取扱い   我が国の所得税法では、「居住者」とは、 国内に「住所」を有し、または、現在まで 引き続き1年以上「居所」を有する個人を いい、「居住者」以外の個人を「非居住者」 と規定しています。  「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、 「生活の本拠」かどうかは「客観的事実に よって判定する」ことになります。  したがって、「住所」は、その人の生活 の中心がどこかで判定されます。  なお、一定の場合には、その人の住所が どこにあるかを判定するため、職業などを 基に「住所の推定」を行うことになります。  「居所」は、「その人の生活の本拠ではな いが、その大が現実に居住している場所」 とされています。  法人については、本店または主たる事務 所の所在地により内国法人または外国法人 の判定が行われますが、その判定に当たっ ては、登記や定款等の定めなどによること になります(これを一般に「本店所在地主 義」といいます。)。  2 租税条約による取扱い  租税条約では、わが国と異なる規定を置 いている国との二重課税を防止するため、 個人および法人がいずれの国の居住者にな るかの判定方法を定めています。  我が国が締結している租税条約の一例で すが、  個人については、①恒久的住居の場所、 ②利害関係の中心がある場所、③常用の住 居の場所、④国籍の順で判定し、どちらの 国の「居住者」となるかを決めます。  法人については、本店または主たる事務 所の所在地、事業の実質的な管理の場所、 設立された場所その他関連するすべての要 因を考慮して両締約国の権限ある当局の合 意により決定する場合もあります。  これをわかりやすく言うと、「国内に住所があ るか、現在まで1年以上囗本に住んでいる人」が 居住者となり、それ以外の人は居住者ではない、 ということである。そして複数の国に居住してい るなど、居住者かどうか微妙な場合は、生活の中 心がどこかで、判断する。  また複数の国に居住している人は、どこの国の 居住者となるか、国同士でもめるヶIスもある。 当事国としては、なるべく自国の居住者にしたい。 自国に住んでもらった方が、いろいろお金を落と してもらえるので、経済的メリットがあるからだ。  だから国同士でもめた場合は、次の条件を順番 に照らし合わせて判断することになっている。  1将来的にどこに住むつもりなのか  2経済関係の中心はどこにあるのか  3固定した住居はどこにあるのか  4国籍  が、これも明確な判断ラインがあるわけではな く、最終的には国同士の話し合いで決着すること になる。必然的に、強い国の主張が通る。  だから、東南アジア諸国と日本がもめた場合は、 日本の主張が通ることが多いが、英米などともめ た場合は、英米の主張が通ることが多いのだ。   箏竹中平蔵氏の住民税脱税疑惑  ところで小泉内閣で総務大臣などを歴任した、 かの竹中平蔵氏には、住民税脱税疑惑というもの がある。  竹中平蔵氏は、慶応大学助教授時代に、住民票 をアメリカに移し日本では住民税を払っていな かったのだ。  住民税というのは、住民票を置いている市町村 からかかってくる。だから、住民票を日本に置い てなければ、住民税はかかってこない。  これが、本当にアメリカに移住していたのなら、 問題はない。でも、どうやらそうではなかったの だ。  彼はこの当時、アメリカでも研究活動をしてい たので、住民票をアメリカに移しても不思議では ない。でもアメリカでやっていたのは研究だけで あり、仕事は日本でしていた。竹中平蔵氏は当時 慶応大学助教授であり、実際にちやんと助教授と して働いていたのだ。  竹中大臣はこの時期、所得税の申告は日本で行 なっている。もし竹中大臣がアメリカに居住して いたということであれば、所得税も日本で申告す る必要はない。  なぜ所得税は日本で申告したのに、住民税は納 めていなかったのか?  これが、国会でも、一時問題になった住民税の 脱税疑惑の根幹である。  住民税は、1月1日に住民票のある市町村に納 付する仕組みになっている。  1月1日に住民票がなければ、どの市町村も納 税の督促をすることはない。だから、1月1日を はさんで住民票をアメリカに移せば、住民税は逃 れられるのだ。  竹中平蔵氏は、どうやらこの仕組みを利用して いたらしい。  竹中平蔵氏は、「住民税は日本では払っていな いがアメリカで払った」と国会で主張している。 日本で払っていなくてもアメリカで払っていたの なら、ともかく筋は通る。  それを聞いた野党は、「ならばアメリカでの納 税証明書を出せ」と言った。でも竹中氏は、最後 まで納税証明書を国会に提出しなかった。  住民税というのは所得税と連動している。所得 税の申告書を元にして、住民税の申告書が作成さ れる。  これはアメリカでも同じである。  国内で所得が発生している人にだけ住民税がか かるようになっているので、アメリカで所得が発 生していない竹中氏が、住民税だけを払ったとは 考えにくい。  税制の専門家たちの中にも、竹中氏は違法に近 いと主張をしている人もいる。  日本大学の名誉教授の北野弘久氏もその一人で ある。北野教授は国税庁出身であり、彼の著作は、 国税の現場の職員も教科書代わりに使っている税 法の権威者である。その北野教授が、竹中平蔵氏 は黒に近いと言っているのだ。  でもこの脱税疑惑は、うやむやになってしまっ た。  さすがにこの脱税方法を一般の人が使うにはリ スクが大きすぎる。しかし、住民票を海外に移せ ば、囗本の住民税はかかってこないということは 知っておいた方がいいだろう。   箏所得税も安くなる  タックスヘイブンに住めば、住民税の他に、所 得税も安くなるヶIスがある。海外に居住してい る人の日本の所得税、住民税は次の図のように なっている。  このように海外居住者であっても、日本から収 入がある人には、日本の所得税はかかるように なっている。  が、海外でもできる仕事をしている人は、海外 に居住すれば日本の所得税はかからないのだ。  その最たる職業がユーチューバーである。海外 から発信できるユーチューバーは、海外で動画を 作成し海外から発信していれば、日本での所得税 はかからない。実際に、そういうことをしている 有名ユーチューバーもいるのだ。某お騒がせ系の お笑い芸人なども、海外に居住しこの仕組みを利 用している。  また日本からの収入があっても、収入が源泉徴 収されている場合は、「源泉所得税」だけでいい ということになっている。印税収入を得ている作 家、作曲家や、報酬から源泉徴収されているデザ イナーなどは、源泉徴収された分だけでいいので ある。  普通、日本国内に住んでいる日本人であれば、 所得税というのは、全所得を計算し、その上で所 得税が課せられる。源泉徴収されていたとしても、 それだけで納税が完了するわけではないのだ。源 泉徴収された分ち含め、年末にすべての所得を計 算しなおして、所得の総トータルに対して所得税 が課せられるのである。  しかし、海外居住者の場合は、源泉徴収された 分だけで納税は完了しており、それ以上の税金は 払わなくていいのだ。  たとえば、売れっ子作家などは、この仕組みに よって、大幅に税金が安くなる。  著書の印税にかかる源泉所得税は、原則として 最大20%である。だから、作家は印税を受け取る 際に、最大20%の税金が引かれている。しかし作 家は、どんなに儲かっていても、もうこれ以上の 税金は払わなくていいのである。数千万円、数億 円の収入があっても、20%の源泉徴収だけでいい のだ。  日本国内に居住している作家であれば、所得税 は累進課税になっているので、数億円の収入があ る人は、通常40%以上の所得税が課せられる。し かし、海外居住の作家は20%だけでいいのだ。  この仕組みを利用している著作者もけっこうい る。  たとえば、2007年、(リーポッター翻訳者 が居住地をスイスにし、日本では確定申告をして いなかったことが発覚したことがあった。この ケースでは、国税当局は「実際は囗本に住んでい た」として、約7億円の追徴課税をしたのだ。が、 逆に言えば、もしスイスに居住の実態があった場 合は、課税は免れていたのだ。   箏投資家はタックスヘイブンで税    金がゼロになる  海外移住することで、逃れられる税金は他にも ある。  海外に住めば、海外での利子所得、配当所得に 税金がかからないのだ。  日本では、外国法人や非居住者の株の売買益に 関する所得には、税が課せられないようになって いる。外国法人や非居住者たちは、本来、居住国 で税金が課せられるからだ。しかし、タックスヘ イブンに籍を置いておけば、税金はかからない。 だから、囗本の株売買をしているような投資会社 が、タックスヘイブンに本籍をおけば、その収益 にはまったく税金が課せられないことになる。  外国企業や非居住者は囗本の株からの「配当 金」については約15%の源泉税だけでいいことに なっている(本来は約20%の税が課せられる)。  また外国企業からの配当や、外国銀行での預金 の利子は、日本に住んでいる限り、日本の税金が かかってくるが、国外に住んでいれば日本の税金 はかからない。  最近、外国企業に投資をしたり、外国の銀行に 預金をする人が増えている。日本は低金利が続い ている。日本で預金したって全然利子がつかない が、外国の預金だったら、5%くらいの利子は普 通についてくるが、この利子に税金がかからない のだ。  もちろん、外国に住めば外国の税金がかかるの で、囗本の税金がかからなくても、それだけで税 金が安くなるとは隕らない。  しかし、タックスヘイブンなどに住めば、配当 や利子にはほとんど税金がかからない。  たとえばシンガポール。この国は、キャピタル ゲインには課税されていない。つまり株式などで いくら儲けても、税金は一切かからないのだ。そ のうえ、キャピタルゲイン以外での収入でも、所 得税は最高でも22%(2024年度から24%)、法 人税は17%と、囗本に比べれば非常に低い。  だからヘッジファンドのマネージャーなどがシ ンガポールに住んでいるケースも非常に多いのだ。  シンガポールは国策として、海外の富豪や投資 家などを誘致しようとしているのだ。彼らがたく さん稼いで、多額の金を落としてくれれば、シン ガポールとしては潤うからである。  そのため様々な便宜を図っているのだ。ちなみ に、シンガポールでは贈与税や相続税もない。  だからシンガポールで稼いで、その金をシンガ ポール在住の子供に贈与すれば、税金はまったく かからないということになる。  世界中から富豪がこの国に集まってくるのも無 理のない話だといえるだろう。  またシンガポールに対抗して、香港でも似たよ うな制度を敷いている。香港にも同じように移り 住む金持ちが増えている。  このように外国企業からの配当などで、大きな 利益を得ている人は、タックスヘイブンと呼ばれ る地域に住んでいたりするケースが増えているの だ。   箏リタイアした人の税金天国  タックスヘイブンで、本当に美味しい思いがで きる人というのは、事業をやめてリタイアした人 である。事業をやめた人だけではなく、サラリー マンで定年退職した人なども、この恩恵を享受す ることができる。  日本は、リタイアしてからも年金にも多額の税 金が課せられるし、住民税は当然のように払わな ければならない。またリタイアした人に加入義務 のある国民健康保険なども、べらぼうに高い。さ らに日本の場合、NHKの受信料、高額な高速料 金など、ステルス的な「事実上の税金」も多々あ る。  それらの高額な税金、社会保険料も、タックス ヘイブンに行けば払わなくて済むのである。  海外で暮らすという事は、経済上の魅力もある。  実は、日本は世界の中で物価が高い国なのであ る。  長い間、日本はコアフレ=物価が上がらない」 と言われてきたが、世界的にみると、決してモノ が安い国ではないのだ。  世界物価ランキングでは、常に上位を占めてい る。戦乱や革命で国内が極度に物資不足に陥って いる国と肩を並べるほど、物価が高い国なのであ る。その上、ウクライナ戦争以降は、世界的なイ ンフレがさらに日本の物価を押し上げている。  だから、日本人は日本以外の国に住めば、だい たいどこに行っても物価が安いと感じることにな る。昨今は、欧米でのインフレが激しいので、欧 米に行けば日本人でも物価が高く感じるが、それ 以外の国はだいたい安く感じるはずだ。  つまり同じお金でも豊かな生活ができるという わけだ。  特にタイやインドネシアなどの東南アジアでは、 日本から比べれば驚くほど物価が安い。  食事でも現地の人と同じものを食べるのなら、 一食数十円くらいで済んでしまう。スーパーやデ パートのレストランで食べても、500円も出せ ばかなりいいものが食べられる。日本食のレスト ランさえ日本より安いこともある。  住む場所も、月5万円も出せば普通に清潔な サービスアパートを借りる事ができる。  だから月20万円もあれば、夫婦でも相当に豊か な生活をすることができるのだ。月30万円も出せ ば、大きな屋敷でメイドさんを雇うような生活が できる国も多い。  また東南アジアのほとんどの国では、一部の政 情不安定国を除けばだいたい先進国とあまり変わ りのない生活をしている。タイなども、街中のあ ちこちにごく普通にセブンイレブンがあるし、き れいな病院や巨大商業施設もいたるところにある。  だから、囗本にいるときとあまり変わらないよ うな文化的な生活が、格安で送れるのだ。  しかも、東南アジア諸国では、日本のリタイア 組を受け入れるために、特別のビザを用意してい る国も多くある。一定の年金収入があったり、一 定の財産がある人を積極的に受け入れているのだ。  リタイア組のための様々なサービスを設けてい たりもする。  リタイア組の日本人を誘致するために、日本人 居住地域をつくったりもしている。たとえばタイ では、避暑地のチェンマイなどに、日本人のリタ イア者向けの移住地域がある。  日本の退職者は、金銭面では安定収入があるの で、どこの国も誘致をしたがっているのだ。  日本では、月20万円の収入しかないというと、 かなり心細いが、東南アジアでは大金持ちの部類 に入る。そういう大金持ちが来てくれることは、 大歓迎なのだ。  もちろん、外国で生活することは、それなりの リスクはある。日本は世界でもっとも治安がいい 国であり、日本以外の国に住むことは、今より治 安が悪いところに住むということを意味する。  また医療サービスなどは、世界ではかなりばら つきがある。医療保険に入っていれば、日本の国 民健康保険よりは格安で医療を受けられることが 多いが、相手国の医療システムを理解していなく ては、大事なときに適切な医療を受けられなくな ることもある。  タックスヘイブンの恩恵を享受するためには、 「海外で普通に生活できるスキル」は必須なので ある。  箏リタイアー年目に海外移住をす   るのがもつとも節税効果が高い リタイア後に海外移住を考えている人に、心得 ておいていただきたいことがある。  それは、リタイアー年目に、海外移住するのが もっとも節税効果が高いということだ。住民税の 仕組みから、そうなっているのだ。  海外移住をした場合、安くなる税金(払わなく ていい税金)というのは、住民税である。そして 住民税は、通常、前年の所得にかかってくるもの である。  サラリーマンの退職金に関する住民税は退職金 をもらうときに完結しているが、通常の所得に対 する住民税は、退職後にもかかってくる。  だからリタイアして無職になった場合、その翌 年は収入がないのに高い住民税を払わなければな らないケースも多いのだ。  3月末くらいでリタイアした人ならば、その年 の年収はそれほど高くなっていないので、翌年の 住民税は大したことはないだろう。しかし12月末 でリタイアした人などは、1年分まるまるの収入 があるので、年収としてはかなり大きな額になっ ている。  住民税は、この年収の10%となる。リタイア翌 年が無職で無収入になっている場合、この住民税 はかなり負担が大きいはずだ。  住民税というのは、1月1囗に住民票がある自 治体からかかってくるものなので、その囗に海外 に住民票を移していればかかってこない。だから 退職後に、長期の海外旅行もしくは海外移住を考 えている人は、ぜひ退職翌年の1月1日以前に住 民票を国外に移すことを考慮しておきたい。  これは、その年の半分以上を海外で過ごしてい れば脱税ではない。  おわりに  本書は「正しい脱税」という過激なタイトルを 付されてはいるか、中小企業、フリーランサー向 けの税金マニュアルでもある。  囗本の経済を支えているのは、中小企業である。  中国や韓国などが急速に経済発展し、大企業の レベルはもうそれほど日本との差はない。大掛か りな工場設備、最先端のデジタル技術などでは、 中国や韓国は、日本を猛追しており、産業によっ ては抜かれてしまったところもある。  が、中小企業のレベルは、まだまだ日本の方が 高い。日本の中小企業は、世界的な技術を持って いたり、その分野で世界一のシェアを誇っている などのことが多々ある。日本の高度な工業技術の 根本を担っているのは中小企業なのである。  しかし中小企業は、昨今、非常に厳しい状況に 置かれている。  政府は、大企業の要望はすぐに応えるが、中小 企業の要望にはなかなか応えない。また、中小企 業は大企業のような政官とのパイプがなく、利権 なども持つていないことが多い。  しかも消費税の増税や、インボイス制度など、 中小企業に負担の大きい政策ばかりが講じられて いる。大企業や富裕層には、バブル崩壊以降、大 減税をし続けているにもかかわらず、である。 ページ数の関係で触れることはできなかったが、 2023年から始まるインボイス制度は、事実上 零細企業を狙い打ちにした大増税であり、日本経 済には百害あって一利なしの大悪政なのである。  このままでは、日本の中小企業は死んでしまう し、それはすなわち日本経済の死を意味する。こ れを防ぐ手立ての一つとして、「正しい脱税」を 使っていただきたい。これまで中小企業がおとな しく税金を払ってきたことが、政府の悪政をエス カレートさせてきたのだから。  最後に、彩図社の名畑諒平氏をはじめ、本書の 作成に尽力いただいた方々にこの場をお借りして 御礼を申し上げます。           2023年猛暑   著者