出版は企画が9割_山田稔 はじめに 「出版したらビジネスが加速します」「名刺代わ りに出版しましよう」などと吹聴している人が いますが、たんに出版しただけでは、なかなか ビジネスにはつながりません。むしろ、内容に よっては逆プランティンクになってしまうこと もあります。  出版してビジネスを加速させるためには、読 者の悩みにしっかり応え、信頼を獲得しなけれ ばなりません。ところが、名刺代わりの出版で 果たして読者の信頼は獲得できるでしょうか? もちろん、答えはノーですよね。  ただ、逆に言えば、読者の悩みにしっかり応 え、読者の信頼を獲得できるような企画で出版 することができたのであれば、出版してビジネ スを加速させることは可能です。ただし、出版 してビジネスを加速させるためには、それなり の企画を立てる必要があります。つまり、出版 してビジネスを加速させるためには、企画が9 割ということです。  もし、本気で出版してビジネスを加速させた いのであれば、その企画の立て方を知りたいと は思いませんか?  それとも、まだビジネスにつながらないばか りか、逆プランティンクになってしまいかねな い出版を目指しますか?  私は、高校生の時から出版社の書籍編集部で アルバイトをしており、25歳で独立してか ら25年もの問、書籍編集者として1000幵以 上の出版に関わってきました。15年前からは書 籍編集者の傍ら、出版実現コンサルタントとし ての活動も開始し、全国津々浦々から200人 以上の著者を輩出してきました。  今回、この本には、そんな私か培ったノウ( ウの中から、出版してビジネスを加速させるた めに必要なノウ(ウを抽出し、それを初心者に も分かりやすく体系化してまとめてあります。 これまで、「出版したらビジネスが加速します」 「名刺代わりに出版しましよう」などと吹聴して いる人にそそのかされ、意味のないどころかマ イナスになるような出版をしてきた人をたくさ ん見てきました。今後、そんな不幸な著者が生 まれないようにこの本を書きました。  逆に言えば、この本は出版してビジネスを加 速させたい人に向けた本であって、出版してベ ストセラー著者になりたいという人にはあまり 意味がありません。出版してビジネスを加速さ せたい人だけお読みいただけたらと思います。  個人的には、そこらへんの高額な出版コンサ ルティングの内容より濃い内容を書いた白負か あります。  これだけ胸を張って、出版してビジネスを加 速させるための方法を書いたといっている以上、 私か読者の悩みにしっかり応えずに、信頼を獲 得できないような本を出版するはずはありませ んからね。それだけに期待して読んでいただけ たらと思います。  そして、しっかりとビジネスを加速させられ る企画を立てて、出版を実現してくださいね。              2021年H月吉日                   山田 稔 SECT−ON01 商業出版で ビジネスを加速させるために ●商業出版を目指す前に知っておいて欲しいこ  商業出版を目指すのであれば、まずは出版物 について知りましょう。「商業出版」とひと言で いっても、出版物にはさまざまなジャンルやカ テゴリがあるのをご存知でしょうか。  次ベーダの図のように、雑誌や写真集、漫画、 文芸書、エッセイ、学習参考書は、これから本 書で取り上げる実用書と同じ出版物です。しか し、同じ出版物でありながらも、それぞれ、企 画の考え方や本の作り方、販促方法などがまっ たく違います。  出版社の中は、制作する出版物の種類によっ て編集部が分かれています。雑誌の編集部、漫 画の編集部、一般書の編集部などがあり、各編 集部の中に、編集長や編集者が在籍しています。  ここで皆さんに知っていただきたいのは、編 集部が異なると、同じ出版社の編集者であって も、部署の垣根を超える話に関してはよくわか らないということです。よく勘違いされるので すが、編集者だからといって出版についてなん でも知っているわけではありません。  私は約20年以上にわたり書籍の編集を行なっ ていますが、手掛けた出版物の多くは実用書で す。ですから、実用書に関することであれば大 抵のことは把握していますが、それ以外の出版 物となると話は別です。実用書で通用するノウ (ウも、他の出版物では通用しないでしようし、 実用書以外の出版物を手掛ける編集者と知り合 う機会も滅多にありません。事実、実用書や実 用書に近い一般書を作る編集者とは交流があり ますが、絵本の編集者とは未だかつてお会いし たことがありません。いくら同じ出版業界で あっても、出版物や編集部が異なるということ は、まったく別の世界の話になると思っていた だいてもいいくらいです。  もしあなたが商業出版を目指されるのであれ ば、今お伝えしたように、出版物にはカテゴリ やジャンルによって編集部が異なることを覚え ておいてください。そして、それぞれの持つ企 画の立て方などのプロセスがまったく違うこと も知っておいてください。その上で、白分かど のカテゴリで出版したいのかを考え、目指すべ き出版物に相応しい戦略を練っていってくださ rv ●一般書と実用書は共存しない  出版物はカテゴリによってプロセスやノウ( ウがまったく違うとお伝えしましたが、その中 でも一般書と実用書は、一部似ているところが あります。  一般書と実用書の違いについては出版業界の 中でも意見が分かれるところです。結論の出な いテーマではありますが、私は、この2つは似 て非なるものであると捉えています。そう考え る理由は全部で5つあります。  まず、一般書と実用書が異なるところは、書 籍に付けられるタイトルの傾向です。  一般書には、書店に訪れたお客さんの興味を 引きつけられるようなインパクトのあるタイト ルが付いています。一般書の内容は、面白そう な本を探しに書店に訪れた人の好奇心を満たす ように作られますから、書籍のタイトルを見た 人が「面白そう」「なんだろう?」と、瞬間的に 感じるようなタイトルが付けられています。  一方、実用書は、ベネフィットや読後に得ら れる効果が伝わるようなタイトルが付けられて います。実用書は、悩みや欲求を解消したくて 書店にヒントを探しに訪れた人へ向けて作られ ますから、書籍のタイトルは、フ』れで悩みが解 消されるかも」フ』の本を読めば○○ができるよ うになるかもしれない」と感じさせられるもの が付けられるのです。  次に、売れ方においても違いがあります。  一般書を売る際に重要なのは、その書籍が世 間で話題になるかどうかです。なぜなら一般書 の場合は、できるだけ多くの人の興味関心を引 きつけ、その引きつけられた人々が気になって 書籍を買うというようなプロセスで売れていく 傾向があるからです。ですから、書店以外の場 所でもどんどん露出するように仕掛けられます。 例えば、雑誌やテレビで取り上げてもらえるよ うにするとか、ネットでバズが起こりやすくす るといったことです。  それに対し実用書の内容は、悩みや欲求に訴 求したものですから、「○○がしたい」など、悩 みや欲求を抱えた人が、Amazonのようなネット 書店やリアル書店で、書籍を見つけて買ってい くというプロセスで売れていきます。  3つ目は、本の作り方や企画の立て方におけ る違いです。  一般書の場合は、どちらかと言えば切り囗勝 負です。ここでいう切り囗とは、簡単にいうと 面白いかどうか。ある特定のテーマを、いかに 好奇心をくすぐる形にして打ち出せるかという ところが勝負所です。 「○○するなら▲▲をやめなさい」のように、命 令調かつ意外性を打ち出すようなタイトルがつ いた書籍を見たことがあると思います。同じこ とを伝えるにしても、少し煽るようなタイトル だったり、命令調なタイトルだったりすること が多いのが一般書です。  では、実用書の場合はどうでしようか。実用 書の場合は、面白さよりもわかりやすさが勝負 です。例えばマイクロソフト社のワードの使い 方を伝えるのであれば、どれだけわかりやすく 伝えられるかが重視されます。  ここに、「はじめてでも一週間でわかるワー ド」というタイトルの書籍があったとしましよ う。この場合、書籍を購入する人は、おそらく 初めてワードを使う人です。なので、書籍に求 められることは、ワードのことをまったく知ら ない人でもきちんと使えるようになること。丁 寧に解説し、タイトルで約束したレベルまでは、 読者をきちんと導いてあげることです。  4つ目、本の著者にも違いがあります。  先はどもお伝えしたように、一般書は話題に なることで買われる仕組みになっています。と いうことは当然、著者選び七重要になるわけで す。既に影響力のある大や知名度のある大が著 者になれば、それだけで書籍が売れることもあ りますし、帯にも著名な人の顔写真やコメント が掲載されていれば、より書籍は売れやすくな ります。一般書の読者が、好奇心を刺激されて 書籍を購入することを考慮すると、話題性のあ る人や著名な人が著者になっていたり、帯に出 ていたりすることは、書籍の売れ行きに大きく 影響する大切な要素なのです。  一般書は既に影響力のある人が著者になりや すいのに対し、実用書の場合は必ずしもそうで はありません。実用書の場合は、何かのテーマ に特化していることが大事なので、特定のテー マの専門家であれば出版する権利があると言え ます。要するに、あなたが今の時点で有名では なかったとしても、そのテーマにおいては専門 家だと言えるのであれば、著者になれる可能性 があるというわけです。  5つ目は、編集者の考え方や期待における違 いです。  これまで何度かお伝えしていますが、一般書 は、多くの人の話題になることで買われる仕組 みです。ですから一般書の編集者としては、作 る段階からその書籍がベストセラーになること を期待します。  でも実用書の場合は、一般書のように勢いよ く売れません。ですから編集者は、手堅く買わ れていくことを考え好奇心を刺激するような面 白さよりも、読者の人の悩みや欲求に寄り添い、 読者から感謝してもらえるような書籍を作ろう とします。  このように、一般書と実用書では似ているよ うで異なる点が多くあります。  ベストセラーを狙う一般書と手堅く売れるこ とを考える実用書では、基本的に考え方が違い ます。ですから、この2つはまったく別のもの であると考えてよいと言えます。  商業出版を目指される人の中には、まれに 「ベストセラーとなる本を書いて、仕事にもつ ながる本が作りたい」と言う大がいますが、そ れは難しいです。でも、出版のタイミングと世 間から注目されていることが合致した場合など で、実用書でも運よくベストセラーになること もあります。あるいは、一般書でベストセラー を狙って作った書籍が、たまたま仕事にもつな がったといったことも、もちろん起こり得ます。 そんなラッキーに恵まれることもありますが、 それは狙ってできることではありません。 ●一般書と実用書のビジネスへのつなげ方の違   い  出版することでビジネスを加速させていこう というのが本書の狙いですが、実際、出版した 後にビジネスでどのような変化が起こるのかが わからない人もいます。なのでここでは、一般 書と実用書におけるビジネスへのつながり方の 違いについてお伝えします。  一般書も実用書も、ビジネスにつなげること ができます。ただ、この2つはそれぞれ、つな がる先が違います。つながる先が違うとは、ど ういうことでしょうか。  一般書の場合は、繰り返しお伝えしているよ うに多くの人の好奇心をフックにして買っても らうような仕掛けですから、やってくる仕事と しては講演会やテレビのコメンテーターのよう な仕事が多くなります。「切り囗の面白い書籍の 著者なので、面白い話をしてくれそう」あるい は「この先生なら、いいコメントをくれるので は」という期待のされ方をするので、メディア に関する仕事が増えるのです。他にも、講座の ような短期間で多くの集客を必要とするビジネ スにつながることもあります。  ベストセラーを狙う一般書の場合、瞬間風速 的に売れるような本の作り方をしますから、そ の一気に集まった人たちの中から、集客できる のです。  しかしながら、集まってきた人たちの熱量と いうのは、好奇心からくる場合がほとんど。必 ずしも、自分のビジネスのテーマに関心のある 人だちとは限りません。一般書をビジネスにつ なげることは不可能ではありませんが、そうし たギャップをどのように埋めるのかは考えなく てはならないところです。  一方実用書というのは、悩みや欲求に対して 訴求します。そのため、仕事につながる先とし ては、セミナーや研修が多くなります。呼ばれ た先のセミナーや研修で、きちんと自分の持つ コンテンツやノウ(ウをしっかり伝え、お客様 に満足してもらい、ファンを少しずつ増やして いくというようなビジネスのつながり方になり ます。  では実用書を出版すると、一般書のようにメ ディアヘの出演オファーはないのかというと、 決してそういうわけではありません。実用書を 出版してメディアからのオファーが増えるとい うことは、余程ニッチなテーマの専門家であり、 かつそのテーマに関する何かニュースが発生し た時に限ってオファーされるケースが多いです。 そのような場合は、おそらくコメンテーターと して出演することになるのでしょうが、コメン テーターの仕事は単発的なものがほとんど。そ う考えると、安定的に仕事が発生するとは言い 難いですね。  このように、実用書の出版からつながるビジ ネスは、自分の今の仕事に直接関連する仕事の オファーになりやすいです。それはやはり、そ もそも実用書というものが、悩みや欲求を抱え ている読者に対し、その答えを本の内容として 提供するものだからでしょう。  仮にあなたが、自分の集客について悩んでい たとします。頑張っているのになかなか周囲に 理解してもらえないとか、営業して話は聞いて もらえるけれど、成約できない。そんな悩みを 抱えていたとします。そのような時に、書店で 自分の悩みが解決できそうな書籍を見つけます。 そして、その書籍の内容に沿って行勣したら改 善できた。でも、本当にこれで大丈夫なのだろ うか。もう少しきちんと知りたいので、この著 者の人の講座を受けてみよう。と、なったりす るわけです。  この段階では、既に書籍に書かれている内容 を実践したことで悩みは改善したわけですし、 読者のほうにはそのことに対する感謝が生まれ ています。「白分かずっと悩んでいた悩みを、 本I幵で解決するなんて、この先生はすごいな あ」というように、読者から信頼もされていま す。  この話はもちろん作り話ですが、似たような ことは現実として起こっています。  事実、私のところから出版した著者たちも、 書籍の読者からオファーをもらい、出版を機に ビジネスを加速させていっています。実用書は、 一般書のように短期で一気にかつ大量に集客す るようなことは難しいです。その代わり、その 時その時に悩んでいる人たちが読者になってく れます。勢いには欠けるかもしれませんが、長 期的な集客をしたい場合には、強みを発揮しま す。 ●一般書と実用書では刊行後の売れ方も違う  一般書と実用書のビジネスへのつなげ方の違 いに関して、一般書は短期的に人を集めるのに 向いており、実用書は長期的に人を集めるのに 向いているということをお伝えしました。ここ では、その理由について、もう少し詳しく説明 していきます。  一般書と実用書で集客の仕方に違いが生じる のは、両者における刊行後の売れ方が関係して います。繰り返しお伝えしているように、一般 書の場合はより多くの人に手に取ってもらえる ように作られますから、刊行後の売れ方のイ メージとしては、次図のように瞬間風速的なも のになります。  一般書は露出することで売れていく類の出版 物です。ですから極論を言えば、いかにして露 出させるかが大事になります。出版の世界は、 毎日何幵もの書籍が発刊されるので、売れ行き が収束し始めると、たちまち書店に置かれなく なっていくというシビアな世界でもあります。 ですから、売れるときに勢いよく売っておかな ければならないのです。  ただ一般書の場合は、たとえ一回収束してし まったとしても、メディアで再び話題になった り、インフルエンサーが拡散させたりすれば、 また勢いよく売れることがあります。露出して いる問は売れるけれど、露出しなくなって話題 性がなくなると途端に売れなくなっていく……。 それが一般書の売れ方の特徴です。  出版社もこのような特徴を熟知していますの で、最初からこうした特徴を踏まえた売上計画 を立てていきます。その上うなこともあり、一 般書の多い出版社の場合は、瞬間的でも話題を さらえるような煽りタイトルをつける傾向が多 くなるのです。  それに対し、実用書の場合はどうでしようか。  実用書の場合も、一般書と同様、新刊の問は ある程度勢いよく売れていきます。ですが、あ る程度期間が経つと売れ方は緩やかになります。  ただ、ここから先が一般書と実用書の違い。 一般書の場合は、話題性がなくなり売れ行きが 収束すると、書店から置かれなくなるとお伝え しました。でも実用書の場合は、実際の読者の 悩みや欲求に訴求した普遍的なテーマで書かれ ることが多いので、長期でジワジワ売れます。 爆発的には売れるような派手さはないけれど、 手堅く長期で売れていくため、次図のようなイ メージになります。  一般書と実用書、どちらの売れ方がよいのか という点については、正直どちらも一長一短あ ります。どちらの本をたくさん手がけるかは、 出版社によって方針が異なりますし、むしろそ の選んだ方針こそが、出版社のカラーになって いるともいえるからです。 SECT−ON02 ベストセラーを狙う一般書より 手堅い実用書が狙い目 ●大変なわりに意外とおいしくない一般書  一般書と実用書は、どちらも一長一短だと言 いました。でも、あなたが商業出版をしてビジ ネスを加速させていこうと考えるなら、私は一 般書より実用書の出版の方が有利だと考えてい ます。なぜなら一般書は、皆さんが想像される よりもはるかに大変で、しかも大変なわりに実 利につながりにくいという現実があるからです。  大変なわりに実利につながりにくいと考える 理由は3つあります。まず、参入障壁が高いこ と。次に、読者が増えても本業の実利にはつな がりにくいこと、そして3つ目は、多くの著者 が一発屋で終わってしまい、継続して出版する ことが難しいことです。  まず、参入障壁が高いとはどういうことで しょうか。  通常一般書を作る場合、編集者はベストセ ラーを狙って作るわけですが、ベストセラーを 狙うというのは簡単なことではありません。も しも、ベストセラーにするための確固たるノウ (ウがあるのだとしたら、現在の出版不況とい う事態は免れていたはずでしょう。  つまり、再現性がない。いわゆる博打的な要 素がかなりあるというのが、ベストセラーの本 質なのです。狙ってベストセラーが出せるわけ ではなく、あくまでもベストセラーを狙おうと するチャレンジの中で、世の中の動向や著者の 影響力、タイミングなど、さまざまな条件がい い具合に絡み合った結果として、偶然生まれる ものと考えた方がよいでしょう。  博打的要素があるということは、作った書籍 がベストセラーになれば得られるものは大きい ですが、当たらなかった時のダメージも大きい ということです。ベストセラーが偶発的に生ま れるものだとするなら、ビジネスとして出版を 考える上では、あまりにリスクが大きいのでは ないか。出版したことで得られる効果を考える と、私は意外と一般書はおいしくないのではと 思うわけです。  編集者が一般書を作る時、失敗のリスクを少 しでも減らし、I幵でも多く売れるような著者 を探します。ベストセラーを狙うための企画は 編集者が考えますが、自分は編集者ですから、 自分か著者になったところでベストセラーは狙 えません。ですから、考えた企画に対して適任 の著者を探してオファーするというのが通常の 流れです。  企画の斬新さは売れ行きには影響しますが、 著者の知名度や影響力も売れ行きを左右します。 ということは、あなたが現時点でそれなりに知 名度があるとか、影響力があるというのであれ ば話は別ですが、そうでないなら、一般書の著 者になるというのは、参入障壁がかなり高く なってしまうというわけです。  ただ、まったく参入できないわけではありま せん。知名度や影響力のない人が、一般書の著 者になる道もあります。その道があるとするな ら、それはやはり企画力です。  編集者が思いつかないような企画を自分で考 え、出版企画書にまとめて提案すれば、場合に よっては出版に結びつく可能性があります。で も、どちらにしてもかなり高いレベルが要求さ れる話です。このように、一般書の著者になる には、かなり高いレベルが求められるのです。 にもかかわらず、自分の本業につながっていく かというと、実際はそこまででもありません。  この理由は明白で、一般書の読者の大半が好 奇心を満たされるだけで終わってしまうからで す。何度かお伝えしていますが、一般書は読者 の好奇心を掻き立てるように作り、たくさんの 人に買ってもらうことで売上につなげていきま す。ですから、読者が満たされるのは好奇心の み。書籍を買って読み「面白かった」と感じた からといって、その書籍の著者に仕事を依頼し ようとはなりにくいですよね。同じ著者が書い ている他の本を読んでみたいとか、講演会に 行ってみようといった願望は起こるでしょうが、 著者の本業のビジネスに興味を持ち、実際に仕 事のオファーをするという読者は、かなり隕ら れてしまいます。  ベストセラーになり、多くの人に買ってもら えるということはあるかもしれませんが、その 先で自分のビジネスの実利につながるかという と、なかなか難しいのが現実です。  苦労してベストセラーにしても、たった1回 だけでは先細りしてしまいます。ベストセラー が出せることはもちろん素晴らしいことですが、 それを連発できる人はほんのひと握り。  実際には多くの著者が一発屋で終わってし まっています。ベストセラーになったことを機 に、それまでの本業を捨てて作家に転身しよう とする人もいますが、その方法で成功している ケースはほとんどありません。  書籍を出版することで得られるプランティン ク効果は、およそ3年と言われます。3年以上 経過して、名刺交換の際に「実は、私は著者な んです」と言って3年以上前に出版された書籍 を差し出されても、相手からの反応は薄いもの になってしまうでしょう。  たったI回ベストセラーになったくらいでは、 プランティンク効果も長期ではあまり期待でき ませんし、ビジネスを安定させるのも難しいの です。高い(Iドルを乗り越え、苦労して出版 に漕ぎ着けたとしても、その効果はたっ た3年……。この現実をどのように受け取るか は個人の自由ですが、ビジネスにつなげること を考えるのであれば、一般書はあまりおいしく ないと私は考えます。 ●人知れずビジネスにつなげられる実用書  ビジネスを加速させるために出版を活用する なら、一般書よりも実用書の出版がよいという のは間違いありません。それは、単に一般書の 出版が大変だからという理由だけではありませ んし、私か実用書の編集者だからという安易な 考えからでもありません。  仕事として多くの実用書を手がけるうち、実 用書には一般書にはない特徴やメリットがある ことに気付き、それをうまくビジネスにつなげ ていくことで本業のビジネスを加速させられる ことが明らかになったからです。しかもその方 法は、再現性が高いのです。  再現性が高いということは、誰にでも適応で きるということ。誰にでも適応できるというこ とは、つまり参入しやすいということです。実 用書に求められることは、面白さよりもわかり やすさであることは、既にお伝えした通りです。 ということは、ある一定の専門知識さえあれば、 あとはどれだけわかりやすく伝えられるかどう かです。  例えば、何度か例として挙げているマイクロ ソフト社のワードの使い方を解説する書籍を作 る場合、読者から求められていることは、それ を読んできちんとワードが使えるようになるこ とのみです。著者がワードの資格を持っていよ うがいまいが、読者にはあまり関係がありませ ん。  誰彼も著者になれるわけではありませんが、 それでも一般書の著者になることと比較した場 合、実用書の著者になることはそれほど難しく ありません。私かこれまで手掛けてきた実用書 の著者たちの多くも、無名な状態からスタート した人がほとんど。そう考えると、実用書は参 入しやすいと考えてもいいはずです。  参入しやすいだけではありません。実は、増 刷がかかりやすいのも実用書のよいところです。 先ほど、多くの著者が一発屋で終わってしまう という話をしましたが、著者であり続けるには、 やはり書いた書籍がきちんと売れていることが 原則です。  書籍が売れるとは、増刷されるということで す。書籍が増刷されれば、その分は出版社の利 益になります。ですから、何度も増刷のかかる 著者は、「売れる著者」として扱ってもらえるよ うになります。売れる著者として認知してもら えるようになると、他の出版社からも優先的に 声がかかるようになり、結果として息の長い著 者になれるというわけです。  出版社の編集者が、その著者を「売れる著 者」かどうかと判断する基準は、書籍の最後に ある奥付というページに刷られている増刷回数 です。その著者が出した書籍は、初版止まりな のか、それとも増刷されているのか。増刷され ているとすれば、どのくらいの期間で何回くら い増刷されているのか。といったところを最初 に確認します。ということは、編集者から「売 れる著者」と判断してもらいオファーをもらえ るようにするには、増刷がかかりやすい書籍を 書いた方が有利だということです。  ちなみに、一般書の初版部数はどのくらいか 想像できますか?  書籍によって数は異なりますが、一般書の平 均的な初版部数は、1万部くらいです。それに 対し、実用書はどうでしようか。実用書の場合、 一般書のように爆発的には売れないことがあら かじめわかっていますから、初版部数は400 0部くらいです。ここでポイントなのは、編集 者が確認する奥付に記載される増刷回数は、あ くまで増刷された回数であって、実際に何部刷 られたのかはわからないという点です。  一般書でI回増刷された人と、実用書でI回 増刷された人では、同じような見られ方をしま す。編集者としては、増刷されている著者の方 がいいに決まっていますから、初版部数が少な く増刷がかかりやすい実用書を選んだ方が良く ありませんか? 長く著者であり続けることを 考えると、実用書の方があなたにとって負担も 少ないはずです。  その他、自分のファンを増やし、ビジネスを 加速させていくという点でも有利です。  悩みや欲求に訴求して作られる実用書は、何 か困りごとを抱えている読者に対して、その悩 みの答えを提供するものです。ですから、その 中身さえきちんとしていれば、悩みや欲求を解 消できた読者から感謝されますし、信頼もされ ます。感謝や信頼が生まれるので、「この先生の おかげでできるようになった」というように、 自然とファンも増えていくのです。  ビジネスを安定させるには、いかにファンを 増やし繰り返し購入してもらえるようにするか が大切だといわれます。  初めての人に商品を売るよりも、既に自分の ことをよく知っている人や商品の良さを理解し てくれている人に売る方が簡単だからです。と いうことは、書籍を通して自分のファンになっ てもらえれば、自分か提供する商品やサービス を購入してくれる確率も高まるはず。それはす なわち、ビジネスが加速していくということな のです。  ただ、出版することであまりに目立ちすぎる と、そのやり方を真似する人が出てきます。悩 ましいことですが、これはどのビジネスにも言 えることです。出版業界においても、よく売れ る書籍が出ると、それに追随して、似たような 企画やタイトルの書籍がどんどん出てきます。 真似されること自体にあまり神経質になっても 仕方がないような気がしますが、できることな ら無用なストレスは減らしていきたいですよね。 そういう意味でも、実用書は最適です。  実用書の売れ方は、一般書と違って緩やかに ゴツゴツと売れていきます。一般書のように週 刊ランキングにランクインするようなことは滅 多にありませんし、カテゴリランキングでも上 の方にくることはほぼありません。目立った売 れ方をしないので、他の出版社から気付かれに くいですし、気付かれないので、独走状態で長 期にわたって売れ続けるということも可能です。  私か過去に手掛けた書籍でも、ずっと水面下 で売れ続け、最終的に10万部売れたものもあり ます。ただ、それだけ売れたと言っても瞬間的 に勢いよく売れたわけではなくて、10年ほどか けてそこまで伸びました。このように、一般書 のようには勢いよく売れないけれど、人知れず ゴツゴツ売れていくのが実用書です。  端から見ると売れていそうには見えなくても、 実際に書籍が売れているかどうかは書店員だっ たらわかります。書店員さえ「この本はコツコ ツ売れるな」と感じてくれれば、書店に並べて もらえますから、継続してその時その時で読者 に手に取ってもらえるようになるのです。  参入しやすくかつ息の長い著者であり続けら れる確率が高い。そして、手堅くファンを増や していくことで、本業のビジネスを加速させら れる。これが、実用書のよいところです。 SECT−ON03 出版社はビジネスで 書籍を出版している ●多くの人が出版したいのに出版できない理由  実用書の出版は、ビジネスを加速させるのに 効果的ですし、今のあなたにそれほど知名度が なくても、これから著者になれる可能性は十分 にあります。  とはいえ、出版社はあくまでもビジネスとし て書籍を作り売っているのであって、ボラン ティアでやっているわけではありません。です から、誰でも著者になれるわけではないという ことは、よく理解していただきたいところです。  私のところには、年中いろんな人からの企画 書が持ち込まれます。でも、その多くがとても 出版社へは売り込めないようなものばかりです。 出版社へ売り込むことができない企画書とはど のようなものでしょうか。それは、出版社がな んのために書籍を出版するのかがまるで理解さ れていない企画書です。出版社はあくまでもビ ジネスとして書籍を作り売っているわけですか ら、出版がビジネスである以上、書籍を売るこ とで利益を出していかなければなりません。そ のことが、送られてくる企画書からは感じられ ないのです。  書籍を作るのに、I幵あたりおよそ300万 円かかります。出版社がそれだけの費用をかけ て書籍を作っている中、「本を出したい」と言っ て出版企画書を持ち込むということは、その企 画書に対して300万円出してくださいと言う ようなものです。  書籍の価格を1500円とし、初版で400 0部刷る場合、出版社のI幵あたりの取り分は 大体67%くらいだと言われています。この基準 値は、出版社と取次の関係性や、発刊点数など さまざまな条件によって変動しますが、大体こ のくらいの数字です。  出版社の取り分か67%ということは、I回の 出版に対する損益分岐点は、一体どのくらいで しようか。  これは、実際に計算していただくとわかりま すが、およそ3000部が損益分岐点の目安で す。つまり、4000部刷ったうち3000部 以上が売れて、そこではじめて出版社に利益が もたらされるというわけなのです。ですから出 版社側も、「この企画は本当に300万円を出す 価値があるものなのか」と、企画の持つ可能性 を見極めようとします。こう考えると、出版企 画書は、投資案件のようですね。もしかしたら、 そうだと捉えていただいた方がわかりやすいか もしれません。  ビジネスや投資案件だと捉えると、出版企画 書に絶対必要な情報は、面白さや斬新さだけで はないことがわかります。面白さというよりも、 確実に3000部売れそうなのかどうかという 期待感とその根拠となる情報が必要です。にも かかわらず、皆さんが書かれる出版企画書には、 そうした期待感も、根拠となる情報もまったく 書かれていないことがほとんど。自分の想いや 熱意しか書かれていない、独りよがりな企画書 が多く散見されます。  出版社はビジネスとして出版しているのです から、きちんと利益を出し続けられるように努 力しています。そうした背景まで汲んで作られ ていないと、いくら出版企画書を書いても採用 されるはずがないのです。 ●出版社に自分の企画への投資をしてもらうた  めに  では、一体どのような企画であれば出版社か ら投資をしてもらい、出版できるのでしょうか。 その答えは実に簡単です。それは、あなたが自 分で書籍の売れ行きを担保できる企画であれば、 企画は通してもらえます。もっとわかりやすく 言うと、自分の企画に対し「最低3000部は 絶対に売ります」と確約できればいいというこ とです。  これは決して、あなたに対し出版にかかる費 用を負担してくださいとか、書籍を全部買い 取ってくださいと言うわけではありません。買 い取ったとして、その先で自分のお客様に配っ てもいいですし、献本することで人とのつなが りを作り、その先で費用を回収したっていいわ けです。  やり方はいろいろありますから、正直そこは 大きな問題ではありません。大事なことは、出 版社から投資してもらえるかどうかではなく、 投資してもらって出版することで、自分のビジ ネスが加速すること。言い換えれば、そうなる ような企画に対して投資してもらうことです。 そのためには、企画の主体性をあなたが持てる ようにしなければなりません。企画に主体性を 持つとは、自分の企画にこだわり、最後まで責 任を持つということです。  なぜこのようなことを言うかというと、編集 者の言われるままに出版し、ビジネスを加速さ せられないことがままあるからです。ありかち なのは、企画を持っていった出版社の編集者か ら、「あなたのプロフィールなら、こういう企画 よりも、こちらの企画のほうがいいと思いま す」と言われ、自分のビジネスにつながらない ような企画で出版してしまうケースです。もち ろん、これは編集者が悪いのではありません。 編集者は自社がきちんと利益を出せるような企 画で書籍を出版することが仕事なのであって、 その書籍で著者のビジネスが加速するかどうか は仕事ではありません。  でもあなたとしては、出版することでビジネ スを加速させたいわけですよね。  書籍を読んでくれた読者が、最終的になんら かの形であなたのビジネスに関わってもらえる ようにしたいはずです。なので、たとえ編集者 から他の企画を提案されたとしても、それが自 分のビジネスを加速させそうなものでないとし たら、その提案を跳ね除けられる強さが大事な のです。「そういう企画にするのであれば、私は 御社から出版をしません」と言えるかどうかで す。  でも、多くの人が「せっかくのチャンスを逃 したくない」というような想いで、相手の言う ことをのんでしまいます。非常にもったいない 事ですよね。そうならないためにも、、自分の企 画に対し売れるという自信を持つことです。も ちろん、ただ自信があるだけではいけませんか ら、出版社が首を縦に振ってくれるよう、その 自信の根拠として売れ行きを担保することが重 要です。  たったこれだけのことですが、実際はできな い人のほうが多いです。企画を持ち込み、編集 者から「買い取れますか?」と聞かれた途端、 「いや、無理です」と答える大ばかり……。編集 者は、何も本気で買い取らせようとしているわ けではなく、著者の覚悟が知りたいだけで聞い ているのですが、「商業出版を目指したいのでお 金を出したくない」と言うのです。  もし著者として本当に売れる自信があるので あれば、「売れなかったら買い取ってもいいから、 出させてください」と言えるはずです。編集者 はそう言い切れるような、売れる企画を持って きて欲しいのです。自分かお金を出す気にもな らないような、売れる自信のない企画なら、最 初から持ってこないで欲しいというのが出版社 の本音だったりします。 「出版って厳しいんだな……」と思われた人もい るかもしれません。でも、これは別に出版に 隕っだ話ではありません。  もし、あなたの友人が会社を設立すると言っ て、あなたに300万円を出資してくれないか と言ってきたとします。それに対してあなたが 「もし会社が潰れたらどうするの?」と聞いた 時、友人から「潰れたら、その時はその時。そ れが投資ってもんでしょう」と言われたらどう 感じるでしょうか。「もしものときはちゃんと白 分か責任を持ちます」と言う人と、「失敗したら その時は残念だったね、ということで」と言う 人がいたら、どちらの人に投資したくなるかと いう話です。お金は出して欲しいけど、失敗し た時の責任は取りたくないというような人に、 果たして誰が協力したくなるでしょうか。それ を考えれば、出版社側の気持ちも理解できるの ではないでしょうか。  出版企画書が優れていることは大切なのです が、それだけでは企画に主体性を持って話を進 めることは難しいです。もしもの時の責任を、 著者である白分かきちんと引き受けること。そ してその根拠として、書籍の売れ行きをきちん と担保すること。最低でもこの2つがあれば、 出版社からOKをもらえる確率はグンと高くな ります。 ●自分で買い取るという選択肢を持てるのか  売り上げを担保すると言っても、実際どのく らいの金額を担保できればいいのかがわからな ければ、当然不安になりますよね。なので、こ こでは少し具体的な金額や買い取りに関する話 をします。  一般的な話になってしまいますが、実用書で あれば、最低400部。多くても2000部く らい担保できればOKが出ます。実際の数字は 出版社によって異なりますが、大体このくらい を目安に考えればよいでしょう。400部を担 保する場合、金額にして60万円くらい。著者が 書籍を購入する場合は、著者購入ができるので、 実際はそれよりも安く購入できます。  書籍の買い取りに関しては、さまざまな意見 がありますが、個人的には、その選択肢も最後 の手段としてはありだと思っています。  なぜなら、商業出版を自分のビジネスを加速 させるための戦略だと考えれば、きちんと書店 に並びますし、一般の読者にきちんと手に取っ ていただけるようになるわけです。それだけで なく、著者としてのプランティンクもできます。  もしこれが、書店に並ぶこともなくただ買い 取って終わりという話なら、出版の意味はあり ません。でも、きちんとした出版を行い、その 結果として売れなかった分の責任をとるという 話であれば、ごく真っ当な話だと思うからです。 せっかく作っても、結局家の倉庫で眠っている とか、会社の片隅に置かれてしまうくらいなら、 出版しても意味はありません。でも、そうじゃ ないのなら買い取りもあり。「買い取り」という 言葉だけで腰が引けてしまう人も少なくありま せんが、著者の中には、書籍を買い取り、うま く自分のビジネスにつなげ、結果的にビジネス を加速させている人もいます。  ケース事例として、3つほど紹介します。 ・ケースーー買い取った本でサイン本プレゼン  トのキャンペーン行う  Facebookなどで、サイン本をプレゼントする キャンペーンを行うという広告を出稿し、集 まった人たちにプレゼントする方法です。書籍 は著者購入であれば、1500円の書籍を12 00円で購入できますから、浮いた300円は 広告費として使えます。  読者はサイン本をプレゼントしてもらえるの ですから、お得だと感じて喜んでくれそうです し、それならと、メールアドレス以外にも住所 や電話番号なども入手することができそうです。 300幵ぐらいなら、簡単にはけてしまいます。 ・ケース2一全国の商工会議所に献本する  商工会議所は全国に500箇所以上あります。 まずは著者購入で500部購入して、そのすべ てを商工会議所に対し、セミナー企画書と一緒 に献本するという方法もあります。商工会議所 でのセミナーの場合、講師料が5万円〜10万円 の場合がほとんどです。著者購入であれば12 00円×500部なので、60万円の経費はかか りますが、献本の結果、セミナー講演6〜12件 のオファーがあれば回収できます。セミナーを する中で、コンサルの依頼などが発生すること もありますのでやってみる価値は大いにありま す。 ・ケース3一買い取った本を使ってオンライン  サロンに集客する  書籍を買い取り、オンラインのメンバーにプ レゼントして根強いファンを獲得している人も います。オンラインサロンを月額5000円 で15人集めることができたら、年間卯万円の売 上があります。その卯万円で750幵を購人し たら、ほぼ問違いなく出版は可能です。その買 い取った750幵は、すでにいるオンラインサ ロンのメンバーにプレゼントし、残りの735 幵を興味がありそうな人にプレゼントします。 735幵全部配布できたとして、そのうちの 1%、7人がサロンに加入してくれたとしたら、 サロンの売り上げは年間132万円になります。 このように、雪だるま式で出版や集客を繰り返 し、利益を出していくという方法もあります。  商業出版をして自分のビジネスを加速させた いのなら、出版することばかりに意識を向ける のではなく、出版のその後のことまでトータル 的に考えなくてはいけません。今紹介した3つ のケースのように、自分の売り上げ予測をする ことで、商業出版を投資として捉えることもで きます。  あなたに必要なのは、出版することを、ビジ ネスを加速させるための戦略のひとつとして考 え、自分のビジネス全体を俯瞰してみることで す。それができれば、先はどの話も悪くないと 思います。あなたがその覚悟を持てるようにな れば、出版社の人ともより話がしやすくなるは ずです。  ただ、買い取りには十分注意してください。  中には、買い取り条件が既に外に知られてし まっている出版社もありますから、買い取り部 数や条件だけを見て決めてしまうと、プラン ティンクという観点で考えた時に思ったような 効果が得られない場合があります。たとえ読者 は気付かなくても、出版業界にいればわかって しまうことなので、2冊目以降の出版につなが るかという点で、微妙になることもあります。 あなたが自分のビジネスを加速させるために、 売り上げを担保したり、買い取ったりするとい う考えを持つことは大切なのですが、だからと いって闇雲に買い取ればいいという話でもない のです。 SECT−ON04 商業出版を目指すなら 電子出版に手を出さない ●電子出版をすると商業出版の足枷になる  日頃、電子書籍を読んでいる人も多いと思い ます。電子書籍の出版も、出版であることには 変わりありません。紙の商業出版が無理なら、 電子出版をしようと考える人の数も、以前より 増えてきたように思います。中には、電子出版 を商業出版と同様に捉え、「出版しました」と 仰っている大もいますが、はっきり申し上げ、 電子出版は商業出版の代わりにはまったくなり ません。  ここで、電子出版という言葉の定義をしてお きましよう。本書でいう電子出版とは、商業出 版されている出版物の電子化ではなく、電子出 版だけしかされていないもののことを指します。  電子出版は商業出版の代わりにはならないと お伝えしましたが、電子出版がダメだという意 味ではありません。電子出版はその特徴を活か した別の使い方があると思いますし、実際に電 子出版を活用して、リストを獲得したり、毎月 何十万円も稼いだりしている著者もいます。  商業出版の代用にはならないが、ビジネスに は使える。それが電子出版です。私かそう考え る理由としては、次のようなことがあります。 ・編集者が介在しないクオリティになる  電子出版しかしていないものを見てみるとわ かるのですが、どれもレビューが低評価もしく は荒れています。その理由は明白で、キンドル 出版に代表されるような電子出版の場合は、出 版物に編集者が介在していないからです。  例えばキンドル出版の場合、著者が原稿料を 提供し、かつその制作費に関しても著者が負担 するケースが多いです。編集者がほとんど介在 しないので、書いた原稿がそのまま掲載されて しまいます。ということは、著者に編集者とし ての企画力や執筆力も求められるということ。 これまで、一度も修正なしで原稿がOKになっ た著者はひとりもいませんし、プロのライター が書く原稿であっても、書き直しが発生しない なんてことは、ほとんどありません。  編集者が介在し、書き手と編集者が切磋琢磨 しながら作りあげられることが商業出版のクオ リティを担保しているのに対し、キンドル出版 の場合は、編集者が介在しないのでクオリティ の担保ができません。  編集者を介在させることは可能ですが、その 分コストがかかります。コストは著者が負担す ることになりますから、負担するコストが増え れば増えるほどキンドル出版をしたいという人 が減ってしまう恐れがあります。  著者白身も、コスト負担を少なくしたいので、 「ま、いっか」となってしまい、結果低品質のコ ンテンツができてしまうのです。どれもレ ビューが低評価な理由は、おそらくそんなとこ ろでしょう。 ・プランティンクになりづらい  電子出版は、プランティンクをするという意 味でもイマイチです。というよりも、ほとんど その効果は得られないと言っていいでしょう。 声を大にして言いたいくらいですが、商業出版 の最大の価値は、自分の書いた出版企画書に対 し第三者からの認定が行われることです。要す るに、商業出版は、あなたの持っているノウ( ウに対し、他人から300万円の投資をする価 値があると言われたという証明です。  自分でお金を出して作ったものに対し、いく ら「出版した」と言っても、「お金を出せば誰で もできるよね」と思われておしまいです。そう いう意味で、電子出版でプランティンクするこ とは不可能です。  その上、電子なので相手に直接見せたり渡し たりできないのも、説得力に欠けます。商業出 版のように紙の書籍があれば、相手に「これが 私の本です」と見せることができますが、電子 出版ではできないのです。 ・お金を出して出版したというレッテルが貼ら  れてしまう  これは、出版社からどう見られるかという話 になりますが、先はどもお伝えしたように、電 子出版は自分でお金を出して出版する形態のも のです。ということは、第三者から見たあなた は、自分でお金を出してでも出版がしたいと考 える人だと思われてしまうということです。自 分でお金を出して電子出版するくらいなので、 商業出版ならもっとお金を出せるはずだろうと、 足元を見られてしまうこともあります。  でも、こればっかりは自分で撒いた種ですし、 どうしようもありません。ですから、商業出版 を将来的に考えるのであれば、安易に電子出版 に手を出すのは控えるべきです。ただ、ビジネ スを加速させるためのツールのひとつとして、 相乗効果を狙えるような形にするのであれば、 それもひとつの方法としてはアリなのかなと思 います。 商業出版でビジネスを加速させ る方法 回H− 継続して出版することで高まる権威性。 周囲からの評価が変わり、有名企業の仕 事も舞い込むように。         田村憲孝 概 私は現在、ソーシャルメディアの専門家とし て、企業や地方自治体向けにソーシャルメディ アの運用や担当者育成をサポートしています。 一般社団法人ウェブ解析士協会では、ソーシャ ルメディアマネジメント研究会の代表として、 講座などの講師も務めています。  コンサルティングや講演などのお仕事をさせ ていただいている私ですが、もともとは不動産 の営業として働いていました。不動産営業と言 えば、訪問営業や電話営業をひたすら繰り返す 毎日。斷られることの方が多い大変な仕事です。 この大変さを少しでも軽減したくて思いついた のが、ネット集客。これが思った以上にうまく いき、社内で教えるだけでなく、他の業種から のオファーまでいただけるようになりました。 「もしかしたら、これで食べていけるかもしれな い」と一念発起し退社。個人事業として開業し、 ネットやソーシャルメディアを活用した集客ア ドバイスを始めたのですが、現実はそこまで甘 くありませんでした。まずは知ってもらわなけ ればと思い発信するのですが、読んでくれる人 は増えてもなかなか受注にはつながりません。 そんな状況を打破したくて、集客についてより 深く勉強するためセミナーや勉強会にも積極的 に参加していました。  今振り返ると、自分のその行動は、自分のビ ジネスを加速させるための種まきのようなもの だったと思います。ゴツゴツ撒いたチャンスの 種は、しばらくしてとても大きなチャンスを私 にもたらしてくれました。  当時私かよく参加していたセミナーは、有名 な著者である中嶋茂夫先生のセミナー。何度も 参加するうちに私のことを覚えてくださり、た またまソーシャルメディアの本が書ける人を探 されていた山田稔氏に、この私を推してくだ さったのです。  執筆することに関しては、ブログをひたすら 書いていたこともあり、それほど苦労しません でした。でも、I幵分となると文字数にして 約10万文字です。それをきちんと体系化し、一 気通貫で仕上げなくてはなりませんから、ブロ グのように簡単にはいきませんでした。せっか く書いたと思っても、執筆中に仕様変更があっ たりしてまた書き直すということも度々起こり ました。  ようやく書き上げた書籍が、実際に近所の書 店に並んでいるのを見て、ようやく「自分は本 当に本を書いたんだ、著者になったんだな」と 実感するような感じでした。まさか自分か著者 になるとは夢にも思っていませんでしたし、出 版すること自体、どこか特別な世界の話に感じ ていたこともあります。ただひとつ言えるのは、 その世界に一歩足を踏み入れると、見える景色 は一変します。断言してもいいでしょう。  著者になった途端、周囲からの扱われ方が変 わりました。  それまで数万円でセミナーを引き受けていた のに対し、10倍以上の報酬を提示してくださっ た時は、正直驚いてしまいました。著者という ことで、相手がそれだけの心づもりをしてくだ さるのです。  仕事の規模も大きく変わりました。もともと 京都を中心に活動していたのですが、出版のお かげで東京に進出することも可能になりました し、それまで地元のカフェや美容院など個人店 の集客のお手伝いが中心だったのが、誰もが 知っている大企業からのオファーが舞い込んで くるようにもなっています。正直なところ、何 度も増刷されるまでには至っていませんが、何 幵も出版させていただけることで、プランティ ンクがより強固なものになっているなと感じま す。  ただその代わり、周囲が私白身に求められて いる期待も大きくなっているはず。ということ は、私白身が著者としての役割を白覚し、私に チャンスをくださった人たちや信頼してくださ る読者やお客様を裏切ることのないようにせね ばなりません。なお一層気を引き締め、今後の 仕事に取り組んでいきたいと考えています。 ■‥MI 無名だった自分の地位を一気に引き上げ た出版。 今では。全国からのオファーが絶えませ ん。         株式会社PROPO中尾豊    ’鰯 巍髓 出版前の私は、リスティング広告の運用代行 を生業にしていましたが、当時はほとんど需要 がなく、どこへ行っても門前払いされるような 状態でした。  都会では当たり前のように広告運用が行われ ていたのですが、私の住む福井では、ほとんど 認知されていません。そもそもホームページや ネットショップを所有する企業自体が少なく、 広告運用よりも制作の需要の方が多かったので す。  そのような状況の中で、とくに目立った実績 も実力もない私か営業に行ったって、誰も耳を 傾けないのは、今思えば当然のこと。「そんなに 言うなら、何か提案してよ」と言われてプレゼ ンをしたら、そっくりそのまま提案だけ抜かれ てしまい成約できなかったという苦い経験も一 度や二度ではありませんでした。  ただ、このままではいけない。何か戦略を考 えなくてはI。と、地元の人に受け入れて もらうための戦略を考えました。その戦略とは、 「県外で活躍していることが伝われば、地元でも 受け入れられるのではないか」というものです。  そう考えると、権威性を高めるのに最も効果 的なのは出版することです。ですから、「今は無 理でも、いつかは出版する」という気持ちは ずっと持っていました。  そんな中、知人が出版したいと言い出しだの を機に、当時アメブロで情報発信をされていた 出版プロデューサーの山田稔氏のセミナーへ参 加することになります。  今でも最初のセミナーで味わった高揚感を覚 えているのですが、それは何だったかというと、 もしかしたら自分にもチャンスがあるかもしれ ないという期待と、この大と仕事ができるよう になりたいという2つの気持ちです。山田氏の 他にも出版プロデューサーを名乗る大はいまし たが、山田氏はロジカルな考え方をしていて、 かつ自分のまとまらない考えを瞬時に言語化し てくれました。その実力は、自分と比べ圧倒的 な差があり、素直に「この人の考えを知りた い」と思えたのです。  衝撃を受けた最初のセミナーから2、3年後。 ついに白分ち出版することができました。ただ、 出版すると決まったのはいいものの、執筆でき るのは業務時間外。書きたいことが山ほどあり、 なかなか前に進みませんでした。それでもなん とか出版することができたのは、出版社の方や 山田氏、編集の方の力添えがあったからです。  出版後のビジネスはというと、出版前に想像 していた以上に加速しました。通常の仕事の依 頼だけでなく講演の依頼も増え、追いつかなく なるほど舞い込むようになりました。たっ たI冊の出版によって、無名だった自分の地位 があっという問に引き上げられた感じがしまし た。  その後も2冊出版させていただき、実は今 も4冊目の書籍を執筆中です。出版する度に、 自分の著者プロフィールの権威性が高まってい ますし、事実、オファーをくださる企業や団体 の規模もどんどん大きくなっています。地元で 受け入れてもらえるようになったのはもちろん のこと、全国各地からも声をかけていただける ようになりました。  業界内の大きなイベントで、かつて自分か勉 強のために読んでいた書籍の著者と肩を並べて 講演するなど、あの頃の白分からはまったく想 像できません。地方でのトップを狙うことに よって、業界のトップと話ができるようになる のですから、知名度はやはり大事だなと感じま す。出版という選択を選んだのは、大正解でし た。これで終わりにせず、これからも信用して オファーしてくださる人たちの期待以上のもの が提供できるよう、著者として身を引き締めな がら精進したいと思っています。 圃‥MI 出版して約1ヵ月で重版し、2冊目を 出版。 これまでになかった高額な仕事も任せて いただけるようになりました。     株式会社MARKEL−NK 堤建拓  詰 詰 私には、高校生の頃に立てた3つの夢があり ました。  起業すること、出版すること、豪邸に住むこ と、この3つです。起業は自分の力で叶えるこ とができましたが、2つ目の夢である出版はな かなか叶えることができませんでした。出版を 実現させるために、出版スクールにも通ったの ですがなかなか出版には至りません。どうにか ならないものかと、既に著者になっていた知人 に相談したところ、私を出版へ導いてくれた山 田稔氏を紹介してもらえたのです。  私か出版しようと考えた理由は、出版すれば 自分のビジネスを加速させられるだろうという 考えがあったからですが、もうひとつ、幼い頃 から本を読んだり文章を書いたりすることが好 きで、「いつか自分の本が出せたらいいな」とい う思いがあったからです。  紹介していただいた山田氏からは、「堤さんは 何か書けるんですか?」と問われ、当時LIN E公式アカウントの制作・運用代行をビジネス としていた私は、即座に「LINEのことだっ たらなんでも書けます」と答えました。ちょう どその頃、LINE公式アカウントの運用は優 秀な集客ツールとして注目されている時たった こともあるのか、私の出版はほぼその場で決 まったような勢いがありました。  出版が決まった年は法人化I期目だったので すが、その頃の売上は頑張っても月に200万 円くらい。それが、出版をすることで一気に加 速し、今では売上高で3億円まで伸ばせるよう になりました。短期間でここまで売上を伸ばす ことができたのは、出版の影響がかなり大きい ですし、現にこれまでなかったような仕事のオ ファーも舞い込むようになっています。  わかりやすい例としては、企業研修です。  出版するまでは、セミナーなど小さな規模の ものを自分で主催することはありましたが、声 をかけていただいて行うことはほとんどありま せんでした。それが出版すると、県外の企業か ら声をかけてもらえるようになったのです。本 をきっかけとして声をかけてくださったあるブ ライダル会社での研修では、私か婚約したばか りであることを知り、研修後にサプライズで結 婚式さながらのパーティーを用意してくださっ ていたこともありました。  周りからはよく「堤のお客さんは熱い人たち が多いね」と言われるのですが、もしかしたら それは、私白身がひとつひとつの言葉を選びな がら、必死で原稿と向き合っていたからかもし れません。自分のビジネスを加速させるという 目的は持っていたものの、やはり出版社に損を させてはいけないという気持ちはありましたし、 出版するチャンスをくださった方々に恩返しを したい、期待に応えたいという強い思いがあり ました。そのためには、読者を絶対に満足させ なければいけない。そんな風に自分で自分にプ レッシャーを与えながら取り組んだ私の思いが 届いたからなのかもしれません。  執筆に関しては、言葉通り印刷所に入稿する ギリギリまで粘りました。山田氏とああでもな い、こうでもないとやりとりを重ね続けました が、いよいよ締め切り最終日には「このままで は終わらないから、東京まで来てください」と 言われ、仕事を全て変更してもらって新幹線で 即向かいました。最終列車のギリギリまで推敲 を重ね、入稿後に「久々にこんなに頑張ってく れる著者をみました」と言っていただけたこと は、とても嬉しかったです。  販促では、事前にセミナーなどで出版するこ とをアナウンスし、少しずつLINE公式アカ ウントに登録してもらうということを積み重ね ていきました。その結果、刊行後約1ヵ月で目 標たった部数を売り切ることができ、増刷もさ れました。I冊目の刊行後すぐに増刷したこと もあり、立て続けにオファーをいただきました。 この短期間に合計4冊も出版できたのは、正直 私白身も驚いています。  出版したことによる良い影響は、数え切れな いくらいあります。明らかに権威性が高まり、 「あのLINEの本の人だ」と言っていただける ようになりましたし、1千万円以上の仕事をオ ファーしていただけたこともあります。また、 この短期間で2冊目も出版させていただけたこ とで、ますますビジネスが加速しています。で すが、まだまだ私白身はこれから。現状に甘ん じることなく、皆さんの力になれるように自分 白身七日々アップデートしていきたいと思って います。 SECT−ON01 そもそもビジネスを加速させる 出版企画とは ●まずは出版企画のコンセプトを考える  出版すればビジネスが加速すると思い込んで いる人がいますが、ただ単に出版しただけでは ビジネスを加速させることはできません。出版 することで自分のビジネスを加速させたければ、 加速させられるような企画を立て、出版社にそ れを採用してもらうる必要があります。ですか らここからは、あなたのビジネスを加速させる 出版企画の考え方について学んでいきましょう。  そもそも、出版企画というのはどのようにし て作られているのでしょうか。  出版業界は他の業界と比べやや閉鎖的なとこ ろもあるせいか、出版に結び付けるための企画 ノウ(ウはほとんど知られていません。だから こそ、何か特別な考え方があるのではないかと 思われがちなのですが、出版だってビジネスで す。ですから、企画の基本的な考え方は他のビ ジネスと同じだと思ってください。  では、一般的なビジネスとして何か企画を立 てる際、最初にやるべきことは何でしょうか。  それは、これから立てる企画のコンセプトを 考えることです。コンセプトとは、商品やサー ビス、あるいはプロダクトの基礎となる考えの ことです。商品やサービスをどう作り上げるの かを考える際の、判断軸のような役割がありま す。  あなたが企画担当者として、新商品の開発を 任されたと仮定して考えてみましょう。  商品開発においても当然、コンセプトを定め ていくわけですが、もしコンセプトを考えずに 商品を開発しようとしたら、一体何か起こるで しょうか。おそらく、何を作っていいかもわか らず手が止まってしまうことでしょう。今、何 を作るべきなのか。そして、どう作るべきなの か。それを考えるときのヒントになるのが、コ ンセプトだからです。  他にも、開発途中で試作品ができた時など、 上司や周囲に試作品を見せてプレゼンする機会 があります。その試作品に対して「もっとこう してほしい」「これを加えよう」など、そこにい る人たちがさまざまな意見を言ってきます。で も、それらの意見を全部聞いていたら、いいも のはできません。どの意見を採用するか、ある いはしないのか。それを判断する基準も、コン セプトにあります。書籍だけでなく、家づくり にも芸術作品にも、世の中のありとあらゆるも のにコンセプトがあります。それほど、コンセ プトは大事なものです。  話を出版企画に戻します。出版企画を考える 際、最初に考えるべきことは、やはリコンセプ トを決めることです。コンセプトを決めるとき は、売れる出版企画に絶対に欠かせない3つの 要素を必ず含まれているようにしてください。 その3つの要素とは、「対象」と「感情」そして 「行動」です。  図のように、この3つの要素は、企画そのも のを支える柱のようなものです。売れる企画が 立てられるかどうかは、それぞれの要素がどれ だけ丁寧に考えられているかによります。 一 一  それではこの3つの要素を、それぞれどのよ うに考えていけばいいのかについて順に説明し ていきましよう。  まずは、「対象」から考えていきましよう。  対象とは、ターゲットのことです。出版企画 における対象は当然、読者です。ですから、対 象となる読者はどんな人にすべきなのかを考え てください。対象となる読者を考える際、年齢 や性別などの属性で考えることはやめましよう。 実用書の役割を考え、相手がどのような悩みを 持っているのか、あるいはどんな欲求があるの かというふうに考えてみてください。  次は「感情」です。  人は、感情を動かされないと行動できない生 き物だといわれます。説明は論理的にされる方 がわかるのですが、書籍を読んだ後に読者に行 動してもらうことを狙っていますから、論理的 に説明するだけではいけません。  読者が読後にどのような感情になっていれば、 その次の行動に移したくなるのかを考えてくだ さい。例えば、あなたが投資の書籍を作るとす るなら、その書籍を読んだ読者が、読後に投資 がしたくてしようがなくなるようにするには、 どうすればいいのかを考えるのです。  最後に「行動」です。行動のところでは、読 後にどのような行動を取ってもらいたいかを考 えてみてください。本書の場合は、読後に自分 のビジネスにつなげ、ビジネスを加速させると 言う目的がありますから、自分のどのビジネス つなげるのかを考えましよう。  読後に「なるほど、ためになった」と思わせ ただけでは足りません。読者が「早速やってみ よう」などと、読後に行動に移したくなるよう な仕掛けになっていてはじめて、あなたのビジ ネスが加速していきます。  出版すればなんとかなるだろうと安直に考え てしまう人は多いですが、冒頭でもお伝えした ように、残念ながらそんなことは起こりません。 少なくともビジネスとして考えられるのであれ ば、狙った目的が達せられるよう書籍を通して 意図的に伝えていく必要があります。あやふや な設計図でまともな家が建だないのと同様、 しっかり考えられていない企画では、せっかく 出版しても得られる効果は少なくなってしまい ます。だからこそ、企画の大元となるコンセプ トをしっかりと固めておくことが大事なのです。 ●ビジネスを加速させる出版企画を考える流れ  出版企画のコンセプトを考えることができた ら、次にそのコンセプトを出版企画に落とし込 んでいきましよう。単に出版するだけでなく、 きちんとビジネスを加速させるための出版企画 の考え方は、次のような流れで考えていきます。 ・あなたがつなげたいビジネスはつ・・ ・ ・ @  既に何かビジネスをされている人でしたら、 自分の商品やサービスがあると思います。コン サルティングや制作、カウンセリングなどさま ざまなものがありますよね。そのうちの、どの 商品に読者からの申し込みを集めたいでしょう か。 「とりあえず、どれでもいいから自分のところへ 申し込みがあればいい」というようなぼんやり した感じで考えてしまうと、申し込まれるもの も申し込まれません。  考え方としては、I幵の書籍に対して1つの 商品やサービスにつなげるという考え方をした 方が、集客する上ではオススメです。出版する ことでいろいろな効果を得ることはできますが、 あれもこれもと考えず、「この本を読んだ読者に は、このサービスに申し込んでほしい」と決め てしまうのです。  ターゲットとなる読者をどこへ誘導したらい いのか。あるいは読者にどうなってほしいのか。 きちんと出口を設定し、ピンポイントで決めて しまいましよう。そうしなければ、企画全体が 抽象的でふんわりしたものになってしまいます。 ・それを必要としている人の悩みと欲求 はつ・・ ・ ・ A  読者を誘導する出口さえはっきりと決まって しまえば、「この商品を買えばこうなれます」と いうように、読者の悩みや欲求に対して的確に 訴求できるようになります。ですからあなたが 次にすることは、出口にある商品やサービスを 求めてくれる人たちはどのような悩みや欲求を 抱えているのかを考えることです。  いきなりターゲットの悩みや欲求を考えるこ とが難しい場合は、まずあなたのビジネスに申 し込むことで得られるベネフィットはなにか、 書き出してみるといいでしょう。  ベネフィットとは、ビジネスに申し込むこと で得られる効果のことです。この時、いきなり 漠然とターゲットの悩みを考えてもなかなかう まくいきません。ですから、自分のビジネスに つながるよう、逆算的に考えてみることをオス スメします。 ・その人はどんな情報を探しているの かっ・・ ・ ・ B  ターゲットの抱える悩みや欲求を考えること ができたら、その人たちは、書店でどのような 情報を探すのかと考えてみましよう。  例えば投資に関連する情報を探している人で あれば、投資について基本的なことを知りたい と思っているのか、(イリスク(イリターンの 儲かる情報を探しているのか。それとも、少し の手間で手堅く稼ぐ方法を知りたがっているの かということです。  ここで大事なのは、悩みや欲求の答えを書籍 に求めるかどうかです。あくまで今考えている 企画は、商業出版の話ですから、書籍を購入す る人たちが対象になります。いくら情報を探し ているとはいえ、パソコン修理の方法を書店で わざわざ探そうとする人はほとんどいないはず。 そんなことをするよりも、修理店へ駆け込んだ 方が圧倒的に早く悩みが解決するからです。 「そんなの当たり前」と思われるかもしれません が、案外自分のビジネスについて考えるとうま くいかないものです。視野が狭くなり、自分都 合で物事を考えてしまいがちです。その点に注 意しながらあなたの考えたターゲットが、悩み や欲求の答えを書籍に求めるかどうかを考えて みてください。 ・その人はどう思ったら申し込みたくなるの かつ・・ ・ ・ C  最後に、ターゲットとなるその人たちは、自 分の悩みや欲求を解消する方法が書かれている 書籍を読み、どのように感じたらサービスに申 し込みたくなるのかを考えてみましよう。企画 のコンセプトを考えるというところでは、読後 に「なるほど、ためになった」と思わせただけ では足りません。とお伝えしました。  人が行動するのは、決まって自分の感情が動 かされたときです。ですから、書籍を最後まで 読んでくれた読者が、最後にどのような感情に なれれば次の行動に出てくれるのか、そこをき ちんと考えておく必要があります。 ●出版企画のコンセプトを一文にまとめてみる  さて、ここまででかなり出版企画の骨格が出 来上かってきたかと思います。  企画のコンセプトを決め、それを元に先ほど お伝えしてきた流れに沿って考えることができ たら、これまで考えてきたことを一文にまとめ、 コンセプトコピーを作ってみましよう。一文に することで、あれこれ浮かんでいたいくつもの 思考がすっきりし、白分かどのような企画で出 版するのかが明確にわかるようになります。  次の文章の( )に、先ほど考えた内容を当 てはめていくと、簡単にコンセプトコピーがで きます。 (Aで考えたこと)に悩んでいるか求めている人 に (Bで考えたこと)の内容で出版すると、 (Cで考えたこと)という状態になり、     二 (@で考えたこと)が叶うあなたのビジネスに申 し込む  これだけではわかりにくいと感じる人もい らっしやるでしょうから、ひとつ例を出して考 えてみましょう。ここでは、本書で何度か例と して出てきている投資をテーマに取り上げてみ ます。 (例)  あなたは投資の専門家として、講座で投資の 方法を提供しています。  あなたのバックエンド商品は、投資講座(@)。 その講座を受講したいと考える人たちは、働か なくてもお金が得られるようにしたい。あるい は、毎月あと10万円くらい収入が欲しい。でも、 できれば楽をしたい。という欲求を持っている と考えられますから、バックエンド商品である 講座のベネフィットは、「毎月10万円程度の不労 所得が手に入る」としますA。そしてその人た ちが書店でどのような情報を探そうとするかと いうと、小資本で投資を行う方法や、毎月10万 円を投資で手堅く稼ぐ方法などですB。その人 たちは、「これなら、投資のためのお金をたくさ ん用意できない自分でも、失敗せずにできそ う」と感じれば、バックエンドの講座に申し込 もうとするのではないかC。と、このように考 えました。  では、これらを先はどのコンセプトコピーに 当てはめていくとどうなるでしょうか。 (働かなくてもお金が得られるようにしたい)と 悩んでいる人に (小資本でも毎月手堅く稼げる投資)の内容で出 版すると、 (初期投資がたくさんできない自分でも、失敗せ ずにできるかもしれない)という状態になり、 (毎月10万円程度の不労所得が得られること)が 叶うあなたのビジネスに申し込む  と、こうなります。  出版企画で大切なことは、「誰に何を伝える か」ということです。  これは、出版に隕らず、どんなビジネスにも 通ずる話です。逆にいえば、基礎となるこの部 分が曖昧になっていると、ターゲットも伝えた いことも定まりません。  誰の心にも響くことのない企画を作ったとこ ろで、あなたのビジネスが加速するはずもあり ませんし、それ以前に出版企画が採用されるこ ともないでしょう。ですから、時間をかけて しっかりと練り上げてください。 SECT−ON02 あなたのビジネスを 加速させることを目的にする ●ビジネスを加速させる場合、目的が一番大事  目の前のことに必死になるあまり、白分か今 どこに向かっているのか、そもそもなんのため に必死になるのかがわからなくなる人がいます。 ここまであなたには、出版における企画の考え 方について学んでもらい、その考え方から、出 版企画のコンセプトコピーを作るところまで 行っていただきました。  ここから先は、企画の考え方についてさらに 理解を深められるよう解説していきますが、こ こで今一度、あなたに再確認していただきたい ことがあります。どんなことかというと、なぜ 出版をするのかという目的です。あなたが出版 する目的は、あえて言うまでもなく、自分のビ ジネスを加速させるためですよね。これまで以 上に仕事のオファーを増やしたいとか、プラン ティンクを強固にしたいとか、さまざまな願望 があるかと思います。  でも、繰り返し言っていますが、出版するこ とで結果的にこれらの願いが叶えられていくこ とはあるでしょうが、ただ単に出版しただけで はビジネスは加速しないのです。では、出版で ビジネスを加速させるために必要なのはなんで しょうか。  私の考える答えは、「信頼」です。信頼と信用 を間違えている人がたまにいらっしゃいますが、 書籍の出版で得られるのは信頼ではなく信用の 方。出版しているという事実によって可能にな るのは、まったくあなたのことを知らない人か ら「本を出しているのだから、変な天ではなさ そう」と信用してもらいやすい状態を作るとこ ろまでです。  見ず知らずの人から信用されることは、実際 とても難しいことですし、信用力の有無はビジ ネスをスムーズにする上で大事です。そういう 意味では、出版は絶大な効果をもたらしてくれ ますし、即効性もあります。ですが、それだけ ではビジネスを加速させることはできません。 ビジネスを加速させるのに必要なのは、信用よ りも「信頼」。つまり、ただ出版するだけではダ メで、書籍を通して、著者と読者との関係性の 中でいかに信頼関係が作るかが大切なのです。  まれに、書籍の本文の中で、自分のビジネス の宣伝をしたり自慢話ばっかりしたりするよう な人がいらっしゃいます。でも、そういうこと をする人たちが、果たして本当に読者から信頼 してもらえるでしょうか。  例えば、読者に書籍を購入させたにもかかわ らず、ノウ(ウの一番大事なところを書くこと なく「続きは罵ごで」と、高額商品の販売ベーダ やメルマガに登録させようとする書籍もあった りします。そうした書籍の良し悪しについては、 あえてここではふれませんが、そのような書籍 は等しくAmazonなどのレビューが荒れています。  幾ばくかの売り上げは立つかもしれませんが、 レビューが荒れることにより、結果的に長期で は売れにくくなっていきますし、逆プランティ ンクにもなりかねません。ですから、やはりこ こは真っ当に、読者に対して誠実に向き合うべ きというのが私の考えです。 ・ビジネスにつなげることだけにこだわらない  出版によってビジネスを加速させ、その効果 を長期にわたって享受したいのであれば、まず 読者から信頼してもらえるように書籍の中で出 すべき情報はしっかり出し切りましよう。  情報を出しすぎて書籍だけで満足させてし まったら、商品に申し込んでくれる人が少なく なってしまうのではと恐れる人もいます。その ような心配もわからなくはありません。でも、 「ここまで教えてくれるなんて」とか「こんなに 丁寧に解説してくれるなんて」と読者を感動さ せるような内容になっているのであれば、おそ らく多くの人があなたのファンになってくれる はずです。  たとえ書籍の中でその人の悩みが解決されて しまったとしても、あなたに対する信頼が生ま れていれば、次の書籍を出版したときに応援し てくれるかもしれませんし、知り合いに紹介し てくれるかもしれません。必ずしも最初にあな たの書籍を手に取った大だけがお客さまになる わけではなく、そこから派生していくことだっ て考えられるのです。  読者から信頼され、心をわしづかみにできる ような書籍を出版することができれば、それは 未来への布石になります。出がらしのような情 報で満足させようとするのではなく、あなただ からこそ言えることをしっかり伝え、読者から の信頼を獲得してください。 「ひとりのお客も逃したくない」というよこしま な考えは捨て、「今じゃないと思うなら、それで もいい」と考えておくくらいでちょうどいいと 思います。あなたのファンになった読者は、 ちゃんとあなたの見込み客になるのです。です から、ビジネスを加速させることだけにこだわ らず、長期的な視野で考えれば、ファン作り だって、出版の目的のひとつになり得ます。 ・専門家としてのプランティンクすることで発 信力も増す  出版することで、そのカテゴリやジャンルの 専門家としてプランティンクすることを目的に することもできます。  実用書を出版する場合、とくに専門家じゃな くても出版することが可能だと言いましたが、 出版すると専門家としてプランティンクがかか ります。これって、少し不思議で面白い話です よね。  出版の目的は、何も自分のビジネスへの集客 だけが目的になるわけではありません。出版し て特定のカテゴリの専門家としてプランティン クすることを目的にしてもいいでしょう。実際、 本書の中でも事例として紹介している著者の中 には、専門家としてプランティンクすることを 目的として出版した人もいます。  さらに、出版してプランティンクすることで、 あなた白身の発信力も自然と増します。 ●自分のことばかりを考えずに、三方よしを狙  書籍を通して読者との問に信頼関係ができれ ば、おそらくあなたのビジネスは加速するはず。 いや、むしろ私は、あなたにその目的を達成し てもらうために今こうして本書を書いています。 でも、いくら自分のビジネスを加速させたいか らといって、最初から最後まで自分のことしか 考えないようではいけません。I章でもお伝え したように、出版社があなたに出版させるとい うことは、あなたの出版企画に対し300万円 を投資するということです。信用して投資した 相手が、出版した途端手のひらを返すようなこ とをしてきたらどうでしようか。  自分のことしか考えていない人は、最初はよ くても次第に誰からも応援してもらえなくなり ます。そんなことあるわけないと思うかもしれ ません。でも、事実そうなっていった著者はご まんといます。せっかく出版をするのですから、 大勢の人からいつまでも求めてもらえるような 幸せな著者になってもらいたいものです。その ために一番いいのは、三方よしの考え方を取り 入れることです。  三方よしは、もともと近江商人の経営哲学と して知られています。売り手と買い手が潤うだ けでなく、社会にも貢献できるような商いをす るのがよいというものです。  私は、この考え方を取り入れ、読者と出版社 そして著者であるあなたも幸せになれる方法を 考えることを提唱しています。  では、読者と出版社そして著者であるあなた 白身に対して、具体的にどのように考えれば三 方よしの状態が作れるのでしょうか。それぞれ の立場から考えてみましょう。 ・読者に対しては・・。  読者は、書籍を読んで情報を得るだけだと 思っている人もいますが、情報を得る前に必ず 書籍代を支払います。書籍I幵あたり大体15 00円だと考えるとすれば、少なくとも150 0円以上の価値のある情報を提供するのが当た り前です。書籍の値段というのは、ある意味読 者との約束だと捉えることもできます。少なく とも、書籍代を支払う価値ある情報だというこ とを約束するわけです。  ただ、1500円くらいの価値ならこのくら いと言って出し惜しみするのはやめましよう。 その理由は、再三お伝えしてきた通りです。 たった1500円くらいで……と思う人もいる かもしれませんが、書籍を購入するために書店 へ足を運ぶなど、購入までの手間もありますし、 その書籍を読む時間も含めた価値を提供しま しよう。 ・出版社に対しては・・。  出版社に喜んでもらうにはどうすればいいで しょうか。それは当然、書籍が売れ、利益が出 るようにすることです。とはいえ、どんな書籍 も青天井で売れるわけではありません。ですか ら、著者としてできることは、少なくとも損益 分岐点までの責任を負うことです。出版するま ではすごくいい人のようでも、出版した途端、 態度が変わってしまう大もいます。いざ売れ 残ってしまった書籍をどうするかという話に なった時に、急に連絡がつかなくなる人もいま す。  出版社は、少なくともあなたを信じ、あなた に投資をしてくれるわけです。そう考えると、 少なくとも出版社に損はさせないようにしてほ しいものです。 ・著者(自分)に対しては・・・  読者や出版社だけでなく、当然あなたにも良 いことがなくてはいけません。あなたにとって 良いこととは、もちろんビジネスが加速するこ とでしょう。ただ、あなたを信じた出版社に対 し、損をさせないようにしなくてはなりません から、白分か売りたくなるような書籍を出すこ とが大事です。「この本が売れれば、ビジネスに つながるかも」とか「本が売れれば、権威性が 高まるかも」と思えば、本気で売る気にもなれ るというもの。だからこそ、私は出版でビジネ スを加速させる事を推奨しているのです。  出版プロデューサーの中には、ベストセラー を出そうと推奨する人も中にはいますが、本書 でお伝えした通り、ベストセラーは狙ってでき る類のものではありません。でも、出版社に少 なくとも損をさせないことができていれば、出 版社からの皆さんに対する信用もたまっていき ます。そうすれば、もしかすると2冊目、3冊 目の出版のチャンスをいただけるかもしれませ ん。皆さんにとっても、そのほうがいいのでは ないでしょうか。 SECT−ON03 ターゲットは 抱えている悩みか欲求から考え るといい ●あなたのビジネスのベネフィットは?  出版する目的を再確認したら、次はベネ フィットを考えてみましよう。  ベネフィットとは、「このビジネスに申し込め ば、こうなれます」というもの。「○○になれ る」がベネフィットだとしたら、お客様になる 人は○○になりたい人ということになります。 「○○になりたい」というのはまさに欲求ですし、 そこに悩みも存在するはずです。  例えば、投資の方法を教えている人が、バッ クェンドとして講座を売りたいと考えたとしま しよう。投資の講座を受けることで得られるベ ネフィツトは、「不労所得が手に入る」や「お金 の心配が減る」などが考えられます。  天は、商品やサービスを購入する際、今より もいい未来を手にしたいという思いが根底にあ ります。先はどの例でいうと、「不労所得が手に 入る」や「お金の心配が減る」の他に「お金持 ちになって、人から羨ましがられたい」とか 「すごいと言われたい」といった未来を手にし たいと考えていることもあるでしょう。  ベネフィットを考えることができたら、その ベネフィットを享受したい人たちは、今現在ど んな悩みを抱えているのかを考えてみてくださ い。「不労所得が手に入る」や「お金の心配が減 る」というベネフィットから考えるとすると、 このようなことを期待する人たちはおそらく、 「現時点でお金に困っている」とか「金ができる ほどの余裕がない」という悩みを抱えているで しようし、他にも「今の仕事から解放された い」とか「働きたくない」という欲求もありそ うです。 ●ターゲットの悩みや欲求を客観視してみる  ベネフィットを考え、ターゲットの悩みや欲 求には何かあるのかを考えることができたら、 今度はそれらを客観視してみます。果たして、 先ほどあなたが考えたことを求めているお客さ んは、本当にいるのでしょうか。いるとしたら、 どのくらいいるのでしょうか。そんな事を考え てみてください。  初版がすべて売れると仮定するなら、最低で も4000人以上の市場規模がないと難しいで しょう。より具体的に数字を算出したいのであ れば、関連省庁のサイトなどを参考にして数字 を参考にするとわかることもあります。 「このビジネスなら、このくらいのお客さんはつ くのではないか」という考えは、身につけて損 はありません。市場を見極めることは、ビジネ スを成功させる上で欠かせない力なのです。  市場を見極める際に、ひとつ注意していただ きたいことがあります。それは何かというと、 書籍を通して啓蒙活動はできないということで す。  啓蒙活動とは、世の中に対して自分の考えを 知らせようとすることです。実用書は、ター ゲット悩みや欲求に対して作られます。ですか ら、読者が既に自覚している悩みについて書か れていなければ、書籍が売れることはありませ ん。読者が悩みや欲求を自覚し、しかもその悩 みを解決したいと思っているかどうかが重要で す。しかも、その悩みを解決するために、向か う先が書店であることも忘れないでください。  さて、どのくらいの市場規模なのかを客観視 してみて、万コ市場があまり大きくないこと がわかったら、その市場を諦めるか、間接的な 集客ができるかどうかを考えましよう。  通常は、きちんと市場のあるところへ商品を 提供し集客していくという直接的集客を行いま す。でも、市場規模が小さい場合は、いくら商 品を提供したって売れるはずがありません。で すから、お客さんを違う市場から自分のビジネ スにつながる市場へと連れてくる必要がありま す。それを、私は間接的集客と呼んでいます。  私は普段編集者として仕事をしていますが、 その傍ら出版社と出版したい人をつなぐ出版プ ロデューサーの仕事もしています。この出版プ ロデューサーの仕事におけるベネフィットは、 ずばり商業出版できること。「ビジネスを加速さ せるための出版が可能」というのがベネフィッ トになります。  でも、もし商業出版することでビジネスが加 速することに気づいていない場合は、直接的集 客することは無理ですから、間接的に集客する ことを考えなくてはなりません。 例えば、自分の持っているコンテンツを活かし て起業する方法を伝え、その中で商業出版する ことでビジネスが加速することに気付かせてあ げる、という感じです。  このように、顕在化しているニーズの市場規 模が小さい場合は、似ているけれども違うカテ ゴリの市場から、お客さんを移管させる戦略を 立ててみましよう。 ●顕在ニーズのさらに奥にある潜在ニーズを探  る  ターゲットの悩みや欲求に、ある程度のニー ズがあるかどうかを確認することが大事だとい うことはおわかりいただけたと思います。出版 でビジネスを加速させるのであれば、まず書籍 を購入してもらわなければ始まりません。書籍 を購入してもらうには、ターゲットがそもそも 悩みや欲求に解決しようと考えている状態であ ることが必要条件です。解決したい悩みでなけ れば、ターゲットはお金を払ってくれないから です。  こうしてニーズがわかり、そのニーズの市場 もあることが確認できたら、早速その内容を企 画書にしていきたいところです。でも、あなた の立てた企画をより良いものにし、より売れる 書籍にしていくために、企画をさらに磨いてみ ましよう。  例として、こんなことがあります。  口臭が気になるのをどうにかしたいという悩 み・欲求を抱えているターゲットに対して書籍 を作ろうとした時、普通だったらそのまま口臭 予防の書籍を出してしまいがちです。でも、口 臭予防の書籍は既刊書も多いですし、普通に出 版しても売れにくいです。ですから、差別化を 考える必要があります。  そこでヒントになるのが、ターゲットの潜在 的なニーズを探る方法です。潜在的なニーズと は、いわゆる「本音」です。口臭を解決したい と思っている人の本音は、「今度予定されている 彼女とのデートのためにどうにかしたい」とい うものかもしれません。ですから、単に口臭予 防の企画を考えるよりも、短期間で効くことを 訴求するとか、異性と話すときに気にならない みたいなベネフィットを打ち出してみるなどの 工夫をしてみてください。そうすることで、類 書との差別化ができるだけでなく、ターゲット が本当に欲しがっているものを提供できるよう になります。  このように、既に市場にライバルがいる場合 は、ターゲットの悩みや欲求を漠然と捉えるの ではなく、より具体的に訴求することで買われ やすい仕掛けを作ることができます。  一見するとこれは、市場を狭くする話ではあ りますが、ニーズを深める話でもあります。 ニーズを深めるとは、つまりターゲットがより 強く求めているところへ訴求できるということ です。読者の悩みが強いものであればあるほど、 それを解決すれば読者から感謝されます。「あん なに悩んでいたのに、この本のおかげでよく なった」という感想が生まれれば、書籍や著者 であるあなたの価値も高まるというわけです。 ●ターゲットを決めるときの落とし穴に注意  人のことはよくわかっても、自分のこととな ると急にわからなくなるもの。 「あの人はこうすればうまくいくのに」と人に対 して気づけることはあっても、いざ自分のこと になると、どうすればうまくいくのか悩んでし まいがちです。  ビジネスをする上では、誰かに自分の商品を 購入してもらう必要がありますが、その際に必 ず「誰に売るのか」と、ターゲットを決めます よね。ターゲットを決めるとき、みなさんがよ く陥りがちなことがあります。何によく陥って いるかというと、白分か狙うべきターゲットを 見誤ってしまうことです。  研修講師の人を例にして考えてみましよう。  普段、研修をしている人たちは、管理職や新 入社員あるいは中堅社員向けなどさまざまな階 層に向けて研修を行なっていますよね。そうい う人が、書籍の企画を立てる場合、ターゲット は一体誰にしたらいいと思いますか?  実は、研修講師の人がターゲットとして狙う べきなのは、社長など決裁権のある人物です。  ですから、研修講師の人は、社長もしくは決 裁権のある人がどのような悩みや欲求を抱えて いるのかを考え、そこにリーチする解決策とし て書籍の企画を立てていく必要があります。  いつもの研修では、社員に向けてサービスを 提供するので、ついつい社員向けの書籍を作ろ うとしがちです。でも、いくら社員の手元に書 籍が渡ったところで、決済者があなたに仕事を オファーしなければあなたのビジネスは加速し ません。  このように、商業出版を通してビジネスを加 速させたい場合の企画は、普段提供している相 手がターゲットになるとは隕らないことを覚え ておいてください。 SECT−ON04 ターゲットが探している情報を 先回りする ●書店ではジャンルごとに書籍が並んでいる 「なんかいい企画、ない?」という言葉、出版業 界では日常的に飛び交っています。  もしかしたら、あなたも自分の本業をしてい る中で、そんなことを言われたことがあるかも しれません。いい企画というのは、パッと閃く ものだと思われがちですが、企画が閃くには、 それなりにあらかじめ情報を集め、それらを自 分の中に蓄えておかなくては難しいです。材料 が何ひとつ揃っていないのに、なにか美味しい 料理を作ってくださいと言うようなものです。  企画を考えるのに必要な情報は、何よりター ゲットとなる読者に関することです。ターゲッ トのことを知り、その人たちが何を求めている のかを把握できなければ、当たる企画にはなら ないからです。ターゲットのニーズにきちんと 刺さる企画を立てられるようするため、あなた が考えるべきことはなんでしようか。ここでは、 そのことについてお伝えしていきます。  書店へ行くとわかりますが、書籍はジャンル 別に棚に置かれていますね。書店を訪れたお客 さんがわかりやすいよう、そのような置かれ方 になっています。  企画を考えるときは、まずへ書店へ行ってみ てください。書店に行ったら、ここで、自分の 立てた企画で出版するとしたら、書籍がどの棚 に並びそうなのかをチェックしてみてください。  主婦の人へ訴求したいのであれば、主婦の人 が行きそうな棚をチェックします。書籍がジャ ンルごとに置かれるということは、その棚にく る人たちが、自分の想定するターゲットと合致 しているのかが重要です。ですから、企画も狙 いたいターゲットが訪れる棚に置いてもらえる ような企画にする必要があります。  意外と知られていないのですが、書籍をどの 棚に置くかを決めるのは、書店員の采配です。 こちら側から各書店に対し「この書籍はこの ジャンルの棚に置いてください」とコードで指 示はしているのですが、ほとんど見られること もなく書店員の采配で置かれます。ということ は、書籍を並べる時に、どう判断されるかとい うことも踏まえて企画を考えなくてはならない のです。アフィリエイトのことが書かれた書籍 であれば、パソコン書の棚を狙うのか、副業の 棚を狙うのか、どちらの棚に置いてもらいたい かを考えてみてほしいのです。  書店に訪れる人たちは、それぞれがどういう 悩みを持っているのかによって、向かう棚が違 います。あなたがバックエンドとしてアフィリ エイトを教えたいと考えているとしても、パソ コン書の棚に置かれることがいいとも限りませ ん。まだアフィリエイトという選択があること を知らない人だっているでしようし、間接的集 客を狙い、副業の棚に置いて気付かせるという のもありでしよう。このように、自分はどの ジャンルを狙うべきかを考えるときは、ター ゲットの欲求や悩みからジャンルを考えてみて ください。  また、書店の棚をチェックされるときは、そ の棚に並ぶ書籍が、どのくらいのペースで入れ 替わっているのかを定期的に確認するようにし ましよう。入れ替わりが激しい場合は、それだ け参入余地があるということです。一方で、な かなか書籍が入れ替わらず、ずっと長期で同じ 書籍が並んでいる場合は、その棚の参入余地は あまりないかもしれません。  書店を訪れる人の多くは、目的を持って訪れ ることが多いです。要するに、どの棚へ向かう のかが予め決まっているということです。近く にどんなにいい書籍が並んでいたとしても、自 分の目的と違う棚にあるものは見向きもせず、 目的の棚ヘー直線で向かいます。  ですから、自分のビジネスのターゲットとな るお客さんが、狙った棚にきちんと来るかどう かを考えてください。ターゲットとなるお客さ んが、必ず立ち寄るようなジャンルの棚に置か れるような企画になっていることが大切です ●狙ったジャンルの中で一番いい書籍を企画す  る  毎日何幵もの書籍が発刊されるわけですから、 それに合わせて書店に並ぶ書籍も日々入れ替 わっています。当然、売れていない本は差し替 えられていきますから、今現在棚に並んでいる 既刊書は、ある意味熾烈な競争を勝ち抜いた精 鋭だちともいえます。  そんな競争を勝ち抜いた既刊書たちの中に、 あなたの書籍は参入していくことができるで しょうか。参入し、できるだけ長く棚に置いて もらえるようにするため、既刊書の隙間を狙え ないかどうか考えてみましょう。  いくつか既刊書の中身を見てみると、いろい ろなヒントが浮かんできます。月に一度でもい いですから、必ず書店に足を運び、定点観察を してみるといいでしょう。実際私も、いまだに そうしています。自分の書籍が定番本として置 かれるにはどうすればいいのか? あるいは、 長く書店に置かれるにはどうすればいいのか? ということを考えてください。一冊一冊を手に 取り、丁寧に見てみるのも良いですが、棚全体 を俯瞰して見ることも忘れないようにしましよ ●ターゲットが検索で使うキーワードを考える  多くの人が書店で書籍を購入しますが、近年、 Amazonなどのネット書店で購入する人も随分増 えました。ネット書店を利用する人たちは、あ らかじめ購入する書籍のタイトルが決まってい る場合もありますが、抱えている悩みから検索 して書籍を探すケースもあります。  実用書の場合、悩みや欲求にリーチする内容 で作られますから、このような検索されるとき にヒットさせて気付いてもらうということがで きます。ですから、書籍のタイトルに、ター ゲットが使う検索キーワードを含んでおくと、 ネットで見つけてもらいやすくなります。  ちなみに検索キーワードを考えるときは、複 数のキーワードで考えられると尚良いです。 キーワードが増えれば増えるほどターゲットを 絞り込むことができ、検索する人に「自分のた めの本だ」と気付いてもらいやすくなるからで す。  どんな検索キーワードを使ったらよいのかは、 キーワードツールを使って調べてみましよう。 初心者でも使いやすいツールとしては、「ラッコ キーワード」と「Araヨ叫言ke」というツールが あります。ツールを使って調べ、大体月に50 00回くらい検索されているキーワードであれ ばいいでしょう。  たとえ本が知られていなくても、検索して買 われることがあるのが実用書のメリットです。 書籍のタイトルだけでなく、商品説明のところ にもキーワードが入っていることで、検索で見 つけてもらえ、購入してもらえることがありま す。 ●ターゲットが求めている内容で企画を考える  企画を考える際、多くの人が自分の書きたい ことを書いてしまいがちです。でもそれは一般 書の考え方であり、実用書の企画の考え方では ありません。あくまで実用書として出版を狙う 以上、読者の悩みや欲求に訴求したものでなけ れば買ってもらえないからです。  悩みや欲求に訴求した内容を企画にする場合、 あなたがどのような立場としてその書籍を書く のかによって、伝え方が異なります。実用書の 場合、著者としての立場は、「実践者」あるいは 「専門家」の2つのパターンがあります。  あなたが「実践者」として書くのでしたら、 何か特別な資格を持っているとか、専門の学校 を出ているというようなしっかりした肩書きが なくても構いません。実践者ですから、重視さ れるのはあなたの実績。読者から納得してもら えるような実績があればいいのです。  一方、「専門家」として書く場合はどうでしよ うか。専門家としてなら、やはりそのカテゴリ やジャンルにおいて有名な資格を所有している など、客観的に誰もが認めてくれるような肩書 きを持っている必要があります。  実践者か専門家、どちらの立場で書いた方が いいのかは、もし白分か深刻な病気にかかった らどういう行動をするのかを考えてみるとわか りやすいです。  白分か病気になった時、頼りたいのは専門家 であるお医者さんですよね。実践者である同じ 病気を克服した人の話を聞くことがあるかもし れませんが、その際は、あくまでも参考として 話を聞かれると思います。このイメージが、実 用書における、実践者と専門家の違いです。 SECT−ON05 ターゲットから信頼される 企画にするために ●一番の基本は、ターゲットの一冊目需要を狙  出版不況と言われ数年経ちますが、それでも 出版ビジネスがなくならないということは、そ れなりに書籍を求める大たちが存在していると いうことです。  では、あなたがこれから出版しようとする実 用書を求める大たちは、どのような大たちで しようか。書籍を購入する人の傾向はある程度 隕られていて、それらはデータでもはっきりと 示されているものがあります。実用書の場合、 書籍を購入する大は、それぞれのジャンルの初 心者か専門家のどちらかに偏っている傾向かあ ります。  初心者というのは、これからそのジャンルの ことを学ぼうとする人のことです。  初心者は、何か特定の悩みを抱えているとい うよりも、広く浅くでもいいからそのジャンル のことについて知りたい。という欲求を持って います。広く浅く学ぼうとするなら、そのジャ ンルにとって大切なノウ(ウが体系的にまとめ られている書籍を使って学ぶ方が圧倒的に早い からです。  一方、専門家はどうでしようか。専門家の場 合、既にそのカテゴリやジャンルのことはある 程度知っている人たちです。体系的には理解し ていますが、そこからさらに細分化されたこと を知りたいなどと、より高度な知識を求めてい ます。知識は、高度になればなるほど、理解す るまでが大変です。そういったことを理解する 媒体としては、いくら動画が流行っているとは いえ、書籍から吸収するのがもっとも効率的で す。  このことを踏まえると、あなたはどちらで出 版すべきでしょうか?  少なくとも出版の目的をビジネスの加速にお いている点では、初心者向けに出版した方が明 らかに有利です。それは、次の図のように専門 性が高くなればなるほど、実践者が少なくなり 市場が小さくなっていくからです。初版部数を しっかり売っていきたいと考えるなら、市場の 大きい初心者に向けたものが良いといえます。  そして、企画を立てるなら、読者のI冊目需 要を狙える企画を立てるようにしてください。 初心者の中にも、紙の書籍を読んで安心したい という人は一定数存在しますから、その人たち が最初に手に取る書籍になろうということです。 2冊目、3冊目に買われる書籍は、多くの場合 がI冊目の内容を補完するために買われていき ます。  できるだけたくさんの人に書籍を購入しても らうことを考えるなら、やはりI冊目に買って もらえるようにするべきです。書店の棚に並ん でいる既刊書と比較して、よりわかりやすく、 より簡単に書かれている方が手に取られやすく なります。 ●切り口をいろいろなパターンで考えてみる  現在書店に並んでいる既刊書の中から、自分 の書籍を手に取ってもらいやすくするためには、 差別化が必要です。差別化というと難しく考え すぎてしまう人もいて、突飛なことを考えよう とする人もいますが、同じテーマでも企画の切 り囗次第でいろいろなパターンを生み出すこと ができます。企画を考えるときのパターンは本 当にいくつもあるのですが、今回はその中でも よく使われる5つを紹介します。 ・強みを強調して落差をつける 「○○でも▲▲になれる」のように、ギャップを 打ち出してみる方法です。読者が想定していな いような意外性のあるものだと、興味をそそら れて手に取ってもらいやすくなります。  とくに前半部分の○○の部分には、「働かなく ても」など(Iドルが低く感じる言葉を当ては めます。そして後半の▲▲の部分には、「月収○ ○円」という理想の未来が想像できるような言 葉を当てはめるといいです。 ・視点の高さを変えてみる  そのテーマについて、視点の高さを変えて伝 えるという方法です。  視点を高くすれば、情報は浅くなってしまい ますが、入門書のようなものであれば、テーマ について広く浅く全体を知りたいという人の ニーズを満たすことができます。反対に、ある 特定の話題に特化し間口を狭くすることで、深 い情報を与えることも可能です。 ・業界の内外で考えてみる  隕られた知識を持っている人が、一般向けに 広くノウ(ウを提供するという切り口も面白い です。例えば、書籍編集者だけが知っている売 れる企画の作り方みたいなものであれば、見た 人を「なんだろう?」という気持ちにさせられ ます。テレビのバラエティ番組でも、ドラマの NG集を取り上げていることがありますよね。 あのように、人がなかなか立ち入れない領域や、 表に知られていない情報に興味を抱く人は、常 に一定数いるものです。 ・テーマ同士を掛け算してみる  違うテーマ同士を掛け算することで、まった く新しいものだと思わせることもできます。  例えば「フェイスブックでプランティンクす る」という切り囗があります。フェイスブック とプランティンク、この2つはまったく異なる テーマですが、掛け合わせることで新しいジャ ンルを作り出すことができます。 ・シリーズを狙ってみる  実用書の場合、シリーズとして出版を狙えな いか考えるのもありです。  実のところ出版社は、作った書籍ができるだ け長く書店に置いてもらえるよう、シリーズを 増やしていきたいという思いを持っています。 これは書店員がどう感じるかを狙っているとこ ろもあります。書店員としては、シリーズ本を 置くと棚が綺麗ですし、書店に訪れるお客さん の中にはシリーズで揃えたいという欲求を持っ ている人がいるからです。  シリーズを狙うことのメリットは、既に出版 されている他の書籍があるので、書き方のイ メージもできるという点。初めて書籍の原稿を 書く人は、書き方がわからず苦労しますが、参 考となるシリーズ本があれば、原稿を書く上で も取り組みやすいでしょう。  もうひとつ、シリーズ本のメリットがありま す。  それは、売れ行きがよくなく一度平積みから 棚差しになってしまった書籍でも、後発として シリーズ本が発刊されることにより、再び平積 みに戻る可能性が高くなることです。棚差しよ りも平積みの方が圧倒的に目立ちます。 ●考えた切り口をいくつかの視点でチェックす   る  企画の切り囗が固まったら、本当にその企画 で良さそうか、客観的にチェックしてみましよ う。書籍の代金はおよそ1500円くらいです が、その価格に対して寄せられる期待以上の価 値は提供できそうでしょうか? 自分だけが満 足しているだけではいけません。少なくとも、 その悩みや欲求を持っている人たちが、お金を 出してでも買いたくなるような企画になってい る必要があります。  また、人に教えたくなるような内容になりそ うかもチェックしてください。読んで「よかっ た」と感じてもらうだけでなく、人にも「これ がオススメー」と言ってもらえるようなものが できれば、囗コミなどでも広がっていきます。 今はSNSがありますから、自分の書籍をシェ アしてもらうことで、加速的に広がっていくこ とが期待できます。  他にも、お客さんがその書籍を堂々とレジヘ 持っていけるかどうかも、案外大切です。「レジ の人に見せたらどう思われるのかな?」と買う ことを思いとどまってしまうような企画は、い くら面白くても考えものです。  別れた恋人と復縁したいと考えるとき、女性 は書店で復縁本を購入する人も多いですが、男 性はなかなか恥ずかしくてできないようです。 今はネット書店もありますから、そちらで購入 してもらえればよさそうですが、売れ行きをみ ると、やはリリアル書店の総数にはかないませ ん。書店で買いやすいタイトルにするというこ とは、その分購入してもらえるチャンスも増え るのです。 SECT−ON06 セミナーを開催して 商業出版を目指してみる ●セミナーを開催していると商業出版はしやす  あなたの考えた企画がターゲットから受け入 れられるかを確認する方法として最適なのは、 その内容でセミナーをすることです。セミナー の実績があれば、出版企画は通りやすくなりま すから、一石二鳥です。  セミナーをするときは、自分のセミナーの ターゲットと出版した時の読者ターゲットをイ コールにしてみてください。まずは誰に向けて 何を伝えるのかを考え、ターゲットを明確にし ていきます。ターゲットが明確になったら、そ の人たちに向けて、ブログやSNSなどを活用 してきちんと情報発信をしてください。  情報発信することで集まってきた読者をその ままにせず、メルマガヘの登録を促すなどして、 ひとつの場所できちんとコミュニケーションが 取れるようにしておきましよう。その中で、あ なたの考えたことをいろいろ提案してみるのも、 相手の反応がわかりやすいのでオススメです。 もし相手からの反応が良くなければ、何かよく ないかを考えて修正していきましよう。  発信し、修正し、また発信する……。何か企 画を思いついたら、それが実際に受け入れても らえそうなのか、PDCAサイクルを回しなが ら精度を高めていってください。 SECT−ON01 出版社に採用される出版企画と は ●一般的な出版企画書の仕様について  出版企画の考え方は、一度できるようになつ てしまえば、扱うテーマやジャンルが変わった としても応用が効きます。出版企画は書籍の編 集者にしかできないことではありませんし、何 幵も出版している著者の中には、私も「いい ね!」と即答できるようないい企画を立てられ るようになってくる人もいます。  さて、企画のコンセプトが固まり、自分の出 版企画が出来上がったら、次はいよいよ企画書 を作成していきます。ここでは、一般的な出版 企画書の書き方について説明します。まず、出 版企画書に必要な項目は、次のとおりです。 ・書籍のタイトル ー企画概要 ・著者プ囗フィール ー構成案(書籍の目次のこと) ・読者ターゲット ー類書 ・販売促進 ・仕様  私のように普段から編集者として書籍作りに 携わっている人間であれば、必要な項目として タイトル企画概要、著者プロフィール、構成案 があれば、話を聞いてもらうことができます。 皆さんが出版社へ直接売り込みに行かれる場合 は、これだけでは不十分です。読者ターゲット や類書のほか、どのように書籍の販促を行う予 定なのかなども具体的に示しておきましよう。  企画書を作成する上でのポイントは、A4の 紙2枚に収まるように作成することです。企画 書は、多すぎても少なすぎてもいけません。企 画書の中に自分の考えや想いをとことん詰め込 んだところで、その企画書を受け取るのは、あ なたのことを何も知らない編集者です。出版社 側としてはビジネスで出版するわけですし、他 人から突然長文の企画書を送られてきても困っ てしまいます。少なすぎてもいけないのは、そ の企画に対するあなたのやる気が伝おりにくい からです。やはり300万円という大金を投資 するわけですから、あっさり簡単とまとめられ たような企画書を見たところで、投資したいと いう気持ちは起こりにくいです。  企画書を読む相手の負担にならない程度の量 であり、かつあなたの本気度が伝わるような量 が良いでしょう。  出版企画書の書式についての質問も度々あり ますが、ベストはテキストファイルです。ワー ドファイルやPDFファイルでも構いませんが、 編集者が社内の会議用に書類を作成する際の手 間を考慮すると、フォントデータなどに影響さ れないテキストファイルが一番ありがたがられ ます。テキストファイルでなければダメたとい う話ではなく、そのような配慮ができる人だと 伝われば、あなたに対する印象がよくなるとい う話です。 ●出版企画書を書く前に知って欲しい心構え  続いては、出版企画書を書く時の心構えにつ いて説明していきます。  ときどき、「出版して世の中をよくしたい!」 と出版することに意気込まれる天がいらっしゃ います。でも残念ながら、それは無理です。そ もそも出版社は、そのような意気込みで出版し ているわけではありません。本書の中でも再三 書いていますが、出版社はあくまでもビジネス として書籍を作っているのであって、文化を作 ろうとか世の中を変えようという意識でビジネ スをしているわけではないのです。  たくさんの人から書籍が購入してもらえるよ うな書籍を目指した結果、書籍に影響された人 たちが増えた。その人たちの影響で、流行が生 まれた。というような流れは、確かにあるかも しれません。でも、あくまでも起点はビジネス であり、世の中のためではありません。  ビジネスですから、利益を出すことを目指し ます。より売れる書籍を作るために、読者の求 めていることを提供し続けなくてはならないの です。  それから、世の中には私と同じように出版プ ロデュースを仕事にしている人たちがいます。 その人たちの中には、「出版して自分の名刺を作 ろう」とセミナーなどで謳っている人もいます。 出版社の人たちも、現にそのような人たちがい ることを知っていますから、企画書の中に、あ まりに独りよがりなことを書いたりしてしまう と、「この人は出版社のお金で、自分の名刺を作 りにきたんだな」と捉えられかねません。通る 企画書を作りたいなら、出版社の立場を考えて 作るのが一番近道です。出版企画書を提案書だ と思っているかもしれませんが、企画書を投資 案件として考えれば、感覚としてわかりやすい と思います。 SECT−ON02 出版企画書を 自分で書く場合の注意点 ●出版企画書を読むのは100%編集者  300万円という大きな金額を扱う仕事をす るなら、どんな人と一緒に仕事をしたいでしょ うか。私なら、最低限の条件として、少なくと も社会人としての常識やマナーがあり基本的な ビジネススキルを持っている相手を選びたいと 考えます。  あなたの出版企画書を読む編集者も、おそら く同じことを考えているでしょう。でも稀に、 今挙げたようなことが足りていない人がいるの です。あなたが送った出版企画書を最初に手に 取るのは、ほぼ100%編集者です。その編集 者というのは、常に複数の案件を抱えており、 連日深夜まで働いている人がほとんど。端的に、 多忙な人なのです。  多忙ですから、サクサクと仕事を進めていき たいと常に思っていますし、制作物の品質に関 わる創造的な作業にできる限り時間を費やした いと考えていますから、メールチェックなどの 事務仕事は、要不要を瞬時に見分け作業してい きます。ですから、そのような多忙な編集者に 白分か送ったメールを見てもらえるかどうかは、 実は送る段階から既に勝敗が決まっています。 メールを丁寧に見るか見ないかの判断基準は、 メールアドレスや連絡先、それからメール本文 に書かれた文面から読み取れます。「仕事のでき る人かできない人かどうかは、メールを見れば すぐにわかる」と言う人がいますが、それには 私も同感です。  編集者として、いろいろな人からメールをい たたいていますが、確実に読まないメールは決 まっています。それは、フリーメールを使った メールアドレスから送られてきているもの。そ して、きちんとした連絡先の記載がなく、どこ の誰だか判別できないもの。さらに、ビジネス メールの基本的な挨拶がされないものや友人同 士のやりとりを思わせる文面のものです。どの ようなメールを送ればいいかどうか、ここでは 敢えてふれません。  自信がない人や実はよくわかっていないとい う人は、ビジネスメールや文書の方法が書かれ た書籍を購入し、自分で調べましよう。少なく とも、そのくらいのことが普通にできる人でな ければ、相手にしてもらえないからです。 ●編集者は出版企画書から何を読み取るのか  出版企画書の良し悪しの判断基準が明確にあ るわけではありませんが、編集者ならではの視 点があります。その視点とは、主に次のような ことです。 ・どんな書籍が出来上がるのか?  出版企画書に書かれている内容を見て、どの ような書籍になりそうかをイメージします。書 籍の大きさや厚み、中の誌面イメージなどを想 像するのです。この時に、編集者が想像できな いような情報しかないとしたら、あなたの企画 書がよくないということです。  出来上がりイメージとは、(Iドカバーにし て欲しいとか、こういう印刷にして欲しいなど という仕様の細かさのことではありません。大 まかに「あの○○という書籍のようなイメージ かな」ということが想像できるかどうかが大事 だということです。 ・書店でどの棚に置かれるのか?  次に、書店のどの棚に置いてもらえる書籍に なるのかについても考えます。既に述べました が、書店にはジャンルやテーマごとに棚が分か れています。新刊として出たすぐは、平積みに される書籍も多いですが、時間が立つと棚差し と言って、書棚に並べられるようになります。 書籍が平積みから棚差しに変わる際、どこに置 かれるのかが非常に重要です。  書店員七日頃からたくさんの書籍を扱ってい ますし、忙しいですから、書籍の整理の時にい ちいち書籍の中身を見て確認してから棚に差す というようなことはしません。パッと表紙や夕 イトルを見て、そこから連想されるジャンルの 棚に並べていくのです。  それを考えると、きちんと書籍のターゲット となる人と、書籍が置かれるであろう棚が一致 しているかどうかが重要です。極端な話、経営 者向けの書籍が女性の恋愛系書籍の棚に置かれ ていたら、その書籍はターゲットとなる人だち から気付いてもらえません。気付かれなければ、 売れることもないですから、ゆくゆくは売れな かった書籍として返本される可能性が高くなっ てしまうのです。 ・きちんとその書籍を購入してもらえるのか?  書店を訪れた人が、その書籍をちゃんと手に 取ってくれそうか。あるいはレジに持っていき やすいかどうかも重要です。例えば似たような 書籍が並んでいたら、それだけで選ばれにくく なりますよね。似たような切り囗の書籍があり、 ライバルの著者が有名な人だとしたら、著者と して無名なあなたの書籍が買われていくことは 少ないはず。ということは、同じ棚のライバル となる書籍の中から、「これにしよう」と選んで もらえるだけの何かがないといけないのです。 SECT−ON03 出版企画書の必須項目ごとの書 き方 ●まずはコンセプトコピーからタイトルを考え  出版企画書のコンセプトを考えましたが、そ の考えたコンセプトコピーをもとに、書籍の夕 イトルを考えていきましよう。ここであなたが 決めた書籍のタイトルは、実際に出版されると きのタイトルになるとは限りません。ですが、 編集者にきちんと読んでもらえる企画書に仕上 げるためにも、タイトルは重要です。思わず編 集者が作業の手を止めてしまうような、興味を ひくタイトルを考えてみましよう。  タイトルの付け方としては、【○○なのに、 △△した☆の方法】というコピーをベースに考 えると外しません。それぞれの記号のところに 入れる内容としては、次の通りです。 ・○○には、対象(ターゲット)や手法などを 入れる。 「初心者」「運動音痴」「主婦でも」のような読者 ターゲットを連想させる言葉や、「サルでもわか る」あるいは「朝たった10分でできる」といっ た、手法を入れましよう。 ・△△には、読後の到達点を入れる。  読者が書籍を読んだ後にどうなれるのか、そ の到達点を入れてください。例えば、「月収10 0万円」とか「マイナス10キロ」などがありま す。 ・☆には、数字を入れる  実は編集者は、数字の入ったタイトルが大好 きです。これはもちろん、編集者の個人的な趣 向ではなく、数字を入れた方が読者に具体的に 伝わりやすく、書籍が売れやすいからという理 由があるからです。  無理に数字を入れようとしなくてもいいので すが、もしも数字を入れるのであれば、どこか 1箇所に入っていれば十分です。○○のところ に入っているのなら、△△のところには数字は なくて構いません。  その他やった方がいいことは、タイトルコ ピーの中のどこかに、ターゲットが検索しそう なキーワードを入れておくことです。ここでい うキーワードとは、ネット書店で検索するとき に使うキーワードになりますし、書店員が棚を 選ぶ際にも影響します。  例えばアフィリエイトに関する書籍であれば、 それが間違ってまったく違う棚に置かれてしま わないよう、タイトルのどこかにアフィリエイ トというキーワードを入れておくと良いです。 ●企画の魅力を編集者に伝えるための企画概要  企画概要とは、その企画がどのような内容な のかを伝えるためのものです。企画概要をタラ タラと書く必要はありませんが、それを読んだ 出版社が300万円の投資をしたくなるような 内容にする必要があります。企画概要に求めら れる要素としては、主に次のようなことがあり ます。 ・今、その書籍が必要な理由  編集者から「それは今出さなくてもいいので は?」と思われてしまったら、先延ばしにされ てしまいます。連日、どんどん出版企画書が送 られてくる編集者が一度先延ばしにした企画書 は、二度と戻ってこないくらいに考えてもいい と言っても過言ではありません。ですから、「こ の企画は、今だからこそ売れる」と言えるよう な理由や根拠が必要です。そのような理由や根 拠を作るためには、時事ネタを引き合いに出す のがオススメです。 ・切り口や書籍の存在意義  あなたの企画は誰(ターゲット)に向けられ たものであるのか。そしてその人たちのどんな 役に立てるのかについて書きましよう。この時、 先はどの時事ネタから起因したターゲットであ ることが大事です。 ・その書籍が売れる理由や根拠  いくらあなたが「今出版すべき」と訴えたと しても、やはり出版社側としてはビジネスとし て行っているわけですから、その発言に根拠を 求めたくなります。何をもってそう言えるのか を知らなければ、良し悪しを判断することすら できません。  出版社に対し「今出版するべき」と説得する のであれば、理由や根拠として必要なことは、 類書との差別化をどうするのか、その企画の テーマにおける市場規模など、売れる根拠をで きるだけ数字を使って説明してください。 ・書籍のイメージや特徴 次に、書籍のイメージや特徴です。「スリース テップで解説する」とか「手順を一切省かずに 解説」など、書籍の特徴やイメージが掴めるよ うな説明を入れましよう。  企画概要で大切なのは、この企画で出版する と売れると言える、その根拠と現実性です。今 まで説明した企画概要は、10行くらいで簡潔に まとめましよう。 ●書籍を買ってくれそうな読者ターゲット  読者ターゲットを考えましようと言うと、性 別な年齢、職業などで想定しようとする人が多 いのですが、属性で判断するよりも、ターゲッ トの思考にフォーカスして考えた方がうまくい きます。属性で考えるとは、先ほど挙げたよう に「20代の女性」とか「40代のサラリーマン男 性」という括りで考えることです。一方、ター ゲットの思考にフォーカスして考えるというの は、「○○を解決したい人」とか「○○を手に入 れたい人」のように、ある悩みや欲求で括るこ とです。  副業で稼ぎたいという欲求を持っている人が、 その解決策を求めて書店に訪れたと想定しま しよう。この場合、ターゲットは「副業で稼ぎ たいと思っている人」であり、性別や年齢、職 業などの属性は一切関係ありません。20代の女 性でも50代の男性でも、サラリーマンでも白営 業者でも、同じ悩みを抱える可能性は十分あり ます。  この時、ターゲットを「副業したい20代の女 性」と絞ってしまうと、それは絞りすぎです。 限定することで、ターゲットに強く訴求できる とはいいましたが、この場合はただ市場を小さ くしているだけ。具体的にしすぎて市場を自ら 小さくしてしまい、結果売れないと判断される ものを作ってしまわないようにしましよう。  そもそも実用書とは、ターゲットの悩みや欲 求の答えを提供するものでした。このことを踏 まえると、読者ターゲットとして定めるのは、 やはり属性ではなく、特定の悩みや欲求に該当 する人とした方が、実用書のそもそもの目的と 合致します。どんな悩みや欲求を抱えた人を ターゲットにするのかは、みなさんの企画内容 によってさまざまあると思いますが、その市場 規模は少なくとも3000人以上のポテンシャ ルを感じることが何より大切です。  そしてその悩みや欲求を解決しようと行動を 起こす先が、書店であることも重要です。これ も既にお伝えしていますが、緊急性が高いもの などは、解決するために書店に向かわず、直接 お店に向かったり、インターネットでサービス を検索したりするからです。 ●読者に分かりやすく伝えるための構成案  出版企画書に書く構成案とは、いわゆる書籍 の目次のことです。  書籍の目次は、章・節・項と呼ばれるまとま りに分かれています。章や節までは、ビジネス 書類でもよく使われるので馴染みがあるかと思 いますが、項まではあまり見かけないという人 もいるかもしれません。章・節・項は、次ぺ1 ジの図のようなイメージで、項へいくに従って、 扱う話題の範囲がどんどん狭くなっていきます。  例として、今あなたが読んでいるところを取 り上げてみましよう。  この章のタイトルは、「出版社に採用される出 版企画書の作り方」です。そして節タイトルは、 「出版企画書の必須項目ごとの書き方」。項タイ トルは「読者に分かりやすく伝えるための構成 案」です。  この章で伝えたいことは、文字通り出版企画 書を作る方法です。私のような編集者の作る企 画書ではなく、一般の人が出版社に企画書を持 ち込む際に必要なことを伝える章です。  次に、この章は、4つの節に分かれています。 章が大テーマだとしたら、節は中テーマです。 この節タイトルは、出版企画書の必須項目ごと の書き方とありますから、企画書に必要なそれ ぞれの項目について、どのように書くべきかを ひとつひとつ丁寧に解説しています。  書籍の大まかな構成が理解できたら、次は、 それらを全体としてどのようにまとめたらいい のかを説明します。読者にとってわかりやすく、 かつ読後にきちんと満足感を得てもらえるよう な構成としては、次のページの図を参考にして ください。  一般的に、書籍の目次は大体6章立てで作ら れます。書籍の中でI章になる部分というのは、 その書籍を読むモチベーションを高めさせる役 割があります。ですから、読者が「なるほど、 そうなのか」と納得し、「最後まで読んで勉強し よう」という気持ちになってもらえる内容にす る必要があります。I章で書くべきことは、著 者がどのようにしてそのノウ(ウを身に着けた のか。そしてそのノウ(ウが良いと言える根拠 です。  I章で読者のモチベーションを高めさせたら、 次にすべきことはそのノウ(ウの全体像を見せ てあげることです。勢いよく始めても、全体像 がなかなか見えないと人は不安になってしまう もの。登山に例えるとわかりやすいですが、白 分か今どのくらい進んでいるのかがわからない ので、不安になり途中で挫折してしまうのです。 ですから、2章では書籍に書かれているノウ( ウの全体像を説明し、それに取り組むために必 要なことがあればそれを解説していきます。  3章では、ノウ(ウの全体像を理解しても らった後にまず取り掛かることを説明します。 そして4章、5章ではさらに読者がやるべきこ とを伝えます。最後6章では、それまでに学ん だことのまとめを行い、ノウ(ウを実践する上 での注意点を伝えていきます。  構成を考える上で最も大切なことは、なんと いっても読者との約束が守れているかどうかに 尽きます。読者との約束とは、書籍のタイトル に書かれていることです。書籍をひと通り読ん だ読者が、タイトルに書かれている状態になれ なければ、書籍やそれを書いたあなたに対して がっかりした気持ちになるでしょう。中には 「損をした!」と怒る人さえいます。タイトル 通りの内容になっているかどうか。内容を出し 惜しむことなく読者の満足だけを考えましょう。 ●出版できる根拠を書く著者プロフィール  出版企画書に書く著者プロフィールは、その ノウ(ウを書くにふさわしい人物かどうかを見 定める根拠です。  出版社の人から、そのノウ(ウを執筆するの は他の天でもいいのではないかと思われてし まったら、あなたの出版のチャンスは遠ざかっ てしまいます。ですから、白分かなぜ書く必要 があるのか、その根拠の部分までしっかり伝え ましょう。  著者プロフィールに必要な内容には、次のよ うな内容が含まれているといいでしょう。 ・あなたの肩書きは何ですか? ・なぜ、この仕事を始めましたか? ・いつ、ノウ(ウを身につけましたか? ・身につけて何が変わりましたか? ・ノウ(ウ関連で、誇れることは? ・実践した人はどうなりましたか? ・今後、どんな活動をする予定?  出版企画書に必要なプロフィールは、その書 籍を出版するのにふさわしい人物であるかどう かがわかることが重要です。なので、何も自分 のこれまでの人生の全てを書かなくても大丈夫 です。自分か凄い人であることを無理に伝えよ うとして、人生の紆余曲折を事細かに書かれる 人もいらっしやいますが、まったくその必要は ありません。 ●必須項目ではないが入れた方がいい項目  みなさんが自分で出版社へ企画を売り込む際 に、企画書に含まれていた方がいい項目として は、次の3つがあります。その3つとは、類書、 書籍の仕様、そして販売促進に関することです。 ・類書について  類書とは、あなたが提案する企画のライバル となる書籍です。類書を挙げることで、編集者 は書籍のイメージがしやすくなりますから、一 番売れていそうな類書を挙げてください。  類書がわかれば、書店のどこの棚に置かれる のか、あるいはどのくらい売れそうなのかを検 討でき、その企画に投資する価値の有無を判断 できます。売れていそうな類書を挙げ、その上 でその類書との差別化をどのようにするのかを 書いてください。 「白分のつくる書籍に類書はありません」と仰る 人もいますが、これだけ多くの書籍がある中、 類書がないとはどういうことなのかを一度考え てみてください。まったく新しいカテゴリや ジャンルのものであれば話は別ですが、そうで ない場合、市場規模が小さすぎるなどの理由が あるはず。出版社が出版をビジネスで行ってい る以上、類書がないということは、それなりの 理由があるのではないでしょうか。 ・書籍の仕様について  仕様とは、書籍の完成イメージのことです。 書籍のサイズやページ数などを書いてください。 扱うテーマによって書籍の作り方は異なります が、書籍の中身がどのようなものになるのか、 できるだけイメージできるようにしてください。 書籍のカバーのデザインまでされる人もいます が、カバーは出版社が考えますので、あまり やっても意味がありません。ですが、書籍の帯 に著名な人からのコメントがいただけそうな場 合は、それを書いておくと有利です。  出版企画書というのは、あなたが出版社に対 して「こういう企画で出版させてください」と 提案するものです。ということは、出版社があ なたの企画書を受け取った時、「この人はこうい う本が出したいんだな」というスタンスで企画 書に目を通します。  ですから、あなたの希望をあまりに書きすぎ ると、それだけで通らなくなる可能性もありま す。例えば、仕様のイメージとしてあなたが 「「Iドカバーだったらいいな」くらいのつも りで、「「Iドカバー」と書いたとします。でも、 その企画を受け取った編集者が「企画の内容は 良いけど、「Iドカバーは難しいな」と思った 場合、その希望を通すことができないので、企 画は流されてしまいます。  このように、いくらあなたが「こうだったら いいな」程度のつもりで書いたとしても、企画 書に書かれているものは条件として捉えられて しまいます。あまりに細かく条件をつけすぎる とチャンスが遠ざかってしまいますから、気を つけてください。 ・販売促進について  販売促進とは、書籍刊行後の販促をどのよう に考えているのかという計画のことです。  綿密な計画を書かなくてもいいですが、「○○ という媒体に広告出稿します」や「Amazonキャ ンペーンを行います」などと、どのくらい自分 が書籍を売るために努力できるのかを示してく ださい。著者としてどのくらい売るつもりなの か。ある意味販売促進の項目は、あなたの出版 に対する本気度が見えるところでもあります。 この項目の中で、損益分岐点となる300万円 分は売れるだろう。それ以上も見込めそうだと いうことがわかれば、出版社も企画に対し前向 きになれます。 SECT−ON04 「まえがき」は 先に書いておくとブレなくなる 「まえがき」を先に書いておいた方がいい理由  出版企画書を送ると、送った先の編集者から 「まえがきを書いて送ってください」と言われ ることがあります。なので、先に書いておくと すぐに対応できるのでオススメです。  また、「まえがき」を先に書いておけば、実際 に書籍の原稿を執筆する際にも役立ちます。  書籍の原稿は、文字にして大体10万字程度あ りますし、執筆期間にI〜2ヶ月かかる人も少 なくありません。書籍の執筆だけに集中するこ とはできず、おそらくあなたは、業務の合間に 執筆することになるでしょう。でもそうなると、 執筆途中で方向性を見失ってしまったり、前半 と後半で伝えたいことがぶれてしまったりする のです。最初から最後まで言いたいことをブレ ずに書きあげるのは、至難の技です。  そんな時、まえがきは非常に役立ちます。ま えがきとは、ある意味その書籍のコンセプトが 詰められたものと言ってもいいでしょう。もし もあなたが「何を伝えたかったんだっけ?」と 手が止まってしまった時でも、まえがきを見れ ば思い出せます。まえがきは、道に迷ってし まった時に、あなたが進むべき方向を指し示し てくれる、とても心強い存在となるはず。だか らこそ、出版企画書ができたら、まだ企画のコ ンセプトなどをしっかり覚えているうちに、「ま えがき」まで書いてしまうことをオススメした いのです。  まえがきの書き方のヒントとなるのは、ラン ディングページです。ランディングページは、 主に商品やサービスをターゲットに売る時に作 るものですが、書籍の場合も、まえがきを読ん で購入するかどうかを決める人がたくさんいま す。ですからまえがきには、著者の熱量や読者 の感情に訴えかけるような内容にしておく必要 があります。  まえがきで伝えるべき要素としては、次のも のがあります。 ・読者の悩みに共感する  実用書の読者は、基本的に何かの悩みや欲求 を抱えた人たちです。ですから、「このような悩 みはありませんか?」や「実は私も○○のよう なことで困っていました」などと、読者が抱え ていることに共感してあげると、話を聞いても らいやすくなります。この時、カッコつけて白 分のことを最初から凄い人であるかのように書 いてしまう人がいますが、それはやめた方がい いでしょう。  実用書の読者というのは、「変わりたい」とい う欲求を持っていますが、同時に「このままで 大丈夫だろうか」という不安も抱えていたりす るわけです。そのような人たちに向け、最初か ら凄い人であったかのように書いてしまったら、 読者はどのように受け取るでしょうか。そんな 読者の複雑な心理を汲み取りながら、寄り添う ように書くといいでしょう。 ・書籍を読むことで得られること、到達点を伝 える  寄り添うだけでなく、きちんと読後に何か得 られるのかを伝えることも大事です。1500 円という書籍代を支払って得られるものはどう いうものなのか、読んだ人はどうなれるのかを 明確に伝えてあげてください。  手に入れられる事がはっきりしないものに対 して、お金を出す人はほぼいません。ですから、 明確な到達点を示すことが大事。もちろん、示 した以上はそれが読者との約束です。約束をし たのですから、あなたは書籍を通して読者を約 束した到達点まで連れて行けるように、しっか り書いてください。 ・他の書籍との違いを伝える  他の書籍との違いを伝え、あなたの書籍を読 まなければならない理由を書きましよう。例え ば、「既に○○に関する書籍はたくさんあります が、本書では他の書籍ではふれられていない* *について丁寧に解説しました」というような 感じです。  他の書籍を読んでも書かれていない内容があ ることは、読者があなたの書籍を読む動機とな るのです。 SECT−ON01 とことん商業出版に こだわるべき理由 ●商業出版とは違う出版形態には要注意  商業出版と対になって話される出版形態が、 自費出版です。自費出版とは、文字通り自分で お金を出して書籍を出版するというものです。  自費出版だと書店には書籍を置いてもらえな いという人もいますが、そんなことはありませ ん。書店によっては、自費出版コーナーを設け ているところもあります。それはどういうケー スかというと、自費出版をしている出版社が、 書店の一部を、お金を出してレンタルしスペー スを確保しているのです。自費出版は著者が自 分でお金を負担して出版するのですから、もち ろん自分の好きなことを書くことができます。 しかしながら、自分の書きたいことを書いたか らといってビジネスが加速するわけではありま せんし、商業出版の一番のメリットとなる、第 三者からの認定かありません。ですから、いく ら出版したと言って見せたところで、他人から 「すごい」と思ってもらったり、仕事を頼みた いと思われたりすることはほとんどありません。  既にお伝えした電子出版も、先はどの自費出 版と同様の形態です。商業出版された書籍の電 子化ではなく、制作費を負担して出版する電子 書籍の価値は、やはり自費出版とほぼ同じです。  他には、オンデマンド出版という出版形態も あります。オンデマンド出版は、受注生産で行 われ注文が入る毎にI幵ずつ印刷されます。ま た、書店に流通することはなく、yヨ悶呂のみで の販売です。  今紹介した3つの出版形態は、どれも自分で お金を負担して出版するもの。自分でお金を負 担して出版することはダメというわけではあり ませんが、プランティンクという観点から出版 を捉えるならば、やはり第三者からの認定があ ることが重要です。  第三者から認定があり、きちんと編集者が介 在して書籍が作られることで信用や信頼が得ら れるわけです。そしてその得られた信用や信頼 によってビジネスが加速していくわけですから、 いずれにしてもこの3つの出版形態では、ビジ ネスを加速させることは難しいといえるでしよ ●一見、商業出版の出版社なのに…  一見すると商業出版のように見えるけれど、 実は著者側に費用を負担させる方針の出版社も あります。ケースとしては、次のようなものが あります。 ・印税がもらえないケース  書籍が売れないと、出版社は赤字になります。 そのリスクをできるだけ最小限にするため、印 税の支払いを少なくすることでカバーしようと する出版社は少なくありません。  これまでの出版印税は、初版10%が平均的で した。しかし現在は、出版不況の影響によって 印税率は下がりつつあります。それでも平均 は8%。大体6%から10%の問に収まるのが最 近の一般的な傾向です(もちろん、著者の知名 度などによって変わります)。  でも近頃は、その印税が、I〜2%という出 版社も出てきました。他にも、初版の印税 をO%にし、増刷印税を10%と設定するケース、 あるいは実売印税といって、印刷した分の印税 ではなく、実際に売れた分だけの印税を支払う というケースもあります。  書籍がなかなか売れないという現実があるの で、少しでもリスクを抑えるために印税の支払 いを少なくしたいという出版社側の意向も理解 できます。しかしながら、印税を削ることで出 版することのリスクを抑えようとする考え方を してしまうと、刊行後にしっかり販促する意欲 が湧きませんよね。そう考えると、その出版社 が皆さんの書籍を頑張って売ろうとしてくれる のか、少し疑問が生じてしまいます。 ・費用負担を迫られるケース  商業出版の体裁はありながらも、制作コスト を著者側か負担することで出版させてもらえる 出版社もあります。誰がみても商業出版にしか 見えないので、対外的にはいいのかも知れませ んが、事情を知る人間が見ればすぐにわかりま す。 ・買い取りを強要されるヶ−ス  他には、買い取りを条件に出版させてくれる 出版社というのもあります。表向きには商業出 版に見えますが、先ほどと同じく出版業界では、 そのような方針をとっている出版社は既に知ら れています。  著者の買い取りが条件ですから、初版の部数 も少なめで1000部くらい。初版1000部 というと、一体どのくらいの書店に置いてもら えるのでしょうか? というくらい少ないもの です。  書店に置かれない書籍を出版しても、果たし てビジネスが加速するでしょうか。ビジネスの 戦略のひとつとして出版を選ぶのであれば、た くさんの書店に置いてもらい、できるだけ多く の読者の手に取ってもらうことを考えるべきで しょう。 SECT−ON02 あなたの書籍を 出版してくれる出版社を選ぶ ●出版社の知名度によるメリットーデメリット  出版企画書が出来上かってきたら、次は出版 社に売り込みに行くことを考えましよう。 「出版してもらえるなら、どこでもいい」と思わ れるかもしれませんが、その考え方はオススメ できません。また、「せっかく出版するのだから、 少しでも大きな出版社から出版して「クをつけ たい」と考える人もいます。そう考えたくなる のもわかりますが、私は、必ずしも大きな出版 社から出版させてもらうことが正解だとは思い ません。  それはなぜでしょうか。理由は、出版社にお ける書籍の発刊点数が関係しています。知名度 のある大きい出版社というのは、書店に対する 影響力が大きく、平積みにしやすく展開しても らいやすいというメリットはあります。しかし ながら、出版社の規模が大きければ大きいほど、 毎月の発刊点数も多くなります。  ということは当然、注力商品とそうでないも のがあるわけです。注力商品とは出版社からそ れなりに「売れるだろう」と期待され販促に力 を入れる書籍のことです。ですから、販促にか けるコストやリソースも注力商品の方へと流れ ていきます。  一方、それほど規模の大きくない出版社は、 毎月の発刊点数は少ないものの、I幵I幵に対 してきちんと販促のリソースを割いてくれよう とします。著者としてまだ無名のあなたの書籍 がどのように扱われるかを考えると、一概に大 きな出版社の方が良いとはいえないのかな、と 私は考えます。 ●自分の出版企画のテーマと切り口で考える  出版社を選ぶときは、あなたの出版企画の テーマから考える方法があります。  例えば一般書であれば有名な出版社がいくつ かありますし、主婦向けのレシピ本やクラフト フト系のテーマが得意な出版社もあります。私 はパソコン書の編集を得意としていますが、や はリパソコン書に強い出版社というのは何社か あります。  他には、企画のテーマだけでなく切り囗で出 版社を選ぶこともできます。  書店へ行ってもらえるとよくわかるのですが、 例えば投資関係の書籍であれば、投資の書籍を よく出版している出版社がいくつかあります。 でも、みな同じような切り囗で書籍を作ってい るわけではなくて、それぞれ独白の切り囗で書 籍を作っています。その切り囗は、出版社のカ ラーです。例えば、「ゼロから学ぶ○○」のよう に、投資に関する知識習得をメインにする出版 社もあれば、「ほったらかしで月○○円」のよう に、(イリスク(イリターンの胡散臭さを意図 的に醸す出版社もあります。  ここで言いたいのは、同じテーマであっても 切り囗次第で、手に取る人の傾向が変わるとい う点です。これを間違えてしまうと、自分に合 わないお客さんを誘導することになりかねませ ん。 SECT−ON03 出版社にアプローチして 出版企画を売り込む ●出版企画の売り込みを誰かに頼んでみる  出版企画書が書け、売り込みたい出版社を決 めることができたら、次はいよいよ出版企画書 を売り込むという段階になります。  ただ、一般の人がいきなり出版社に売り込む のはなかなか(Iドルが高いです。そこでオス スメなのが、自分の企画書の売り込みを誰かに 依頼する方法です。もともと閉鎖的な業界でも ある出版業界で話を通したいと思ったら、知人 の紹介などで話を進めるのが最もスムーズです。  例えば、あなたの知り合いに著者がいれば、 その人に頼んで編集者とつないでもらうのが良 いでしょう。すでに書籍を出版している人であ れば、必ず編集者と一緒に仕事をしているはず ですし、そこに信頼関係ができているはず。信 頼関係ができている人からの紹介なので、少な くとも企画書に目を通すことくらいはしてもら えるというわけです。事実、I章の事例で紹介 した著者の中には、著者からの推薦で出版の チャンスを掴み取っています。  ただし、著者であれば誰でもいいわけではあ りません。その著者の書籍が売れていることが 大事です。少なくとも一度以上は増刷していた 方が良いです。  知り合いに著者がいない場合は、出版プロ デューサーに依頼する方法もあります。 私も出版プロデューサーではありますが、みな さんそれぞれ得意不得意なジャンルがあります から、あなたの企画のジャンルに強そうな人を 選ぶと良いです。ただ、出版プロデューサーを 頼る場合は注意も必要です。中には悪徳な人も いて、出版社に売り込む代わりに高額なお金を 請求する人もいます。  出版プロデューサーを頼る以外には、編集プ ロダクションに売り込むと、チャンスを掴める ことがあります。編集プロダクションは、広告 物の制作を行うこともありますが、出版社の下 請けとして書籍や雑誌を制作しています。彼ら は出版社に対して常に企画をプレゼンしていま すから、編集プロダクションの人の目にとまれ ば、自分の企画を代わりに売り込んでくれる可 能性があります。  編集プロダクションから提案した企画が出版 社で採用されれば、編集プロダクションは出版 社から制作費をもらうことができますし、自分 たちの売り上げにつながります。ですから、あ なたの企画に対しても親身になってアドバイス してくれたり、売り込みをしてくれたりする可 能性が高いです。 ●自分で出版社に売り込むための2つの戦略  人を頼ってばかりではなく、自分の力で企画 を売り込みたいという人もいるでしょう。自分 で出版社に売り込むには、2つの戦略がありま す。ひとつは「攻めの営業」、もうひとつは「守 りの営業」です。 「攻めの営業」とは、あなたから出版社に対して フ』の企画書を見ていただけませんか」とお願 いする営業のことです。「攻めの営業」の良いと ころは、編集者が「○月○囗の会議で出してみ ます」などと、見通しを教えてもらえることで す。企画が通ったかどうかの判断がつきやすい ので、ダメたった時に次を考えるタイミングが 分かりやすいのです。  一方「守りの営業」は、あなたがお願いされ る側になります。つまり、出版社から「うちで 出版してください」と言われる立場になるとい うことです。お願いされる立場になるのですか ら、当然こちらに主導権があります。ただ、欠 点は「攻めの営業」と違って、いつ出版のオ ファーをいただけるのかわからないところです。 待っていたらすぐチャンスがやってくる可能性 もありますが、一生こないことだって十分あり 得ます。  どちらが良いというわけではありませんが、 私はどちらも行っておくと良いと考えています。 ●攻めの営業は、編集者といかに知り合うか  ここでは、「攻めの営業」として具体的に何を すれば良いのかを説明していきます。 「攻めの営業」のポイントは、いかにして書籍の 編集者と知り合うかというところです。  書籍の編集者と知り合う方法としては、大き く分けて3つあります。  ひとつ目は知り合いの著者や出版業界に知り 合いのいる友人から紹介してもらう方法。ふた つ目は、編集者がいそうなイベントに参加する 方法。そして最後は、出版社の編集者に直接売 り込む方法です。  出版社の編集者と知り合うのは難しくても、 フリライターやフリーエディター、あるいはフ リーデザイナーとして仕事をしている人たちの 中には、出版社の人だちとの繋がりを持ってい る人もいます。ですから、編集者の友人・知人 はいなくても、フリーライターをやっている人 を知っているというのでしたら、そこから声を かけてみると、きっかけが掴めることもありま す。  次に、編集者がいそうなイベントに参加する 方法です。編集者がいそうなイベントとしては、 出版記念パーティーや著者主催の飲み会です。 出版記念パーティーであれば、パーティーの中 で編集者のことを紹介するでしょうから、名刺 交換などをしておくと接点を作れます。著者主 催の飲み会も同様、ときどき編集者が呼ばれて いることがありますから、気になる著者がいれ ば、飲み会情報などをチェックして見てくださ し  ただこの時、編集者との接点の作り方が重要 です。企画を見てもらうことだけが前面に出て いると、当然編集者から嫌われます。いくら編 集者とはいえ、自分という人間に興味があるの ではなく、自分の繋がりを利用して出版したい のだとわかると、途端に嫌気がさしてくるとい うもの。あくまでも人とのつながりを大切にし、 関係を育てていけるように心がけてみてくださ  (Iドルが高そうだけど、案外あっさり話が できてしまうのは、直接売り込む方法です。門 前払いされてしまいそうですが、そんなことも ありません。  一度企画を送ってくださいと言ってもらえた り、企画書を見せてくださいとアポが取れたり することがあります。ただ、大きな出版社だと、 受付から書籍の編集部に繋がるまでにひと苦労 です。でも小さな出版社であれば、比較的ス ムーズに書籍の編集部に繋がる可能性がありま す。  編集者と言っても、手がける媒体は人それぞ れです。書籍の編集者もいれば、雑誌やフリー ペーパーの編集者もいます。最近だと、Web メディアの編集者もいます。どの人も名刺の肩 書きは編集者であることを理解しておきましよ  出版を目指すあなたが知り合うべきは、出版 社に勤めている編集者もしくは、書籍を手掛け ている編集者です。一度も書籍を手掛けていな い編集者やWebメディアでしか編集経験のな い人といくら知り合っても、企画書を売り込ん でもらえることはないでしょう。人脈を増やす という意味ではさまざまな人と知り合うのは良 いことですが、あくまで企画を売り込むという 目的を考えると、編集者がどのような仕事をし ているのかも知っておくと良いでしょう。 ●守りの営業は、ネットでの露出を増やして質  と量  守りの営業は、出版社の人から声をかけても らう営業のことでしたよね。でも、どのように したら出版社の人から出版のオファーをしても らえるのか、なかなかわからないという人の方 が多いのではないでしょうか。  出版社の人から出版のオファーをもらうには、 まず出版社の人から見つけてもらい、評価して もらい、オファーをしてもらうという三段階が 必要です。  まずは見つけてもらうことが必要ですが、見 つけてもらうにはネットでどんどん露出してい くのが良いでしょう。中でも絶対にやった方が 良いのは、SEO対策です。  編集者は、自分で企画を考え、考えた後でそ の企画にふさわしい著者を探します。著者探し は、知人の中から探すこともありますが、なか なか見つからない場合は、ネットで検索して探 します。ですからこの時に、専門家としてあな たのブログやホームページが上位表示されてい て、尚且つコンテンツもしっかりしたものがあ れば、オファーしてもらえる確率が高くなると いうわけです。  SEO対策では、サイトのタイトルに自分の 企画のジャンルと、そのジャンルの専門家であ ることを表すようなキーワードを入れておくこ とが大事です。SEO対策といっても、何 も1位を狙う必要はありません。大体2ベーダ くらいまでは、いろいろなサイトをチェックし ますから、そのくらいまでに入っていれば良い でしょう。  また、ブログランキングなどもチェックしま す。アクセスの多いブログは、人気が高い証拠 ですから、その読者の何割かは書籍を購入して くれるだろうと予想を立てるわけです。有名な ブログランキングは、登録しておくことをオス スメします。  図には、ブログ記事の質と量という書き方を しましたが、質とはそのノウ(ウの面白さや新 しさなどのことです。斬新で「なるほど」と思 えるようなノウ(ウが書かれていれば、編集者 も興味を持ちます。  あとは、ブログの記事数やその文章力も大切 です。あまりに記事数がなければ、書籍になる ようなコンテンツが不足しているように感じま すし、文章力がなければ、原稿執筆に苦労しそ うだと思われます。なにも作家のような筆力は 求められていませんが、ある程度、文章として 成立している人の方が、よリオフアーしたくな ります。  最後に、あなたが出版したいという意思があ るかどうかも伝えておくと、よリオファーされ やすくなります。出版したいという意思表示と はどういうことかというと、サイトのお問い合 わせのところに、「原稿執筆依頼はこちら」など と、メディア向けの窓口を用意しておくことで す。メディアで活動する意思表示がされていれ ば、まったく何もない人よりも、オファーがし やすいのです。 SECT−ON04 編集者を味方につけるための 付き合い方 ●ここぞとばかりにカツカツすると嫌われる  何らかのきっかけて編集者と接点ができたか らといって、ここぞとばかりに売り込もうとす ると嫌われます。ここでは、編集者を味方につ けるための付き合い方について説明していきま しよう。  書籍の編集者と知った途端、ダイダイ迫るよ うに自分のことをアピールされる人もいますが、 あからさまにそういうことをされれば、誰だっ て嫌な気持ちになると思います。おべっかや媚 売りも逆効果です。  編集者という人たちは、一般の人だちよりも 人付き合いにおいて苦い経験をしがちです。そ れは、自分のバックに出版があるせいもありま す。ですから、初対面の人との付き合いにおい ては、人一倍慎重なのです。(もちろん、そう じゃない人もいます。あくまで傾向です)  次に大切なことは、あなたの素直さです。  編集者と仲良くなり企画の話もできるように なった時は、素直に編集者のアドバイスを聞き、 もらったアドバイスに対して言い訳せず受け入 れることも大事です。  編集者に出版のことを尋ねると、親切に答え てくれる人も多いです。自分の立てた企画に対 して、企画がより通りやすくなるようにアドバ イスをくれる人だっています。それなのに、「で も」や「だって」などと言い訳されたら、良い 気分にはなれません。編集者は、出版について よく知っている立場で話すわけです。ある意味、 出版の専門家からアドバイスをもらっているに もかかわらず、その相手に対して「そう言うけ れど、現実は違うんです」と説き伏せようとし ても意味がありません。  それに、せっかくアドバイスしている編集者 も、面倒になってしまいますよね。アドバイス を聞いて、それを素直に聞き入れて、どんどん 企画書をブラッシュアップしていきましよう。 それを積み重ねることで、最後は編集者白身も 納得する企画書が出来上がるはず。そこまでく れば、流石にその編集者も企画書を通さないわ けにもいかなくなりますしね。 ●編集者に媚びずに喜んでもらうことを考える  編集者がされて嫌がることをお伝えしました ので、今度は喜んでくれそうなことは何かをお 伝えします。編集者が喜びそうなことは、次の ような3つです。 ・ネタの面白さで編集者の興味をひく  いきなり自分の企画の内容をアピールすると、 編集者から引かれてしまいます。でも、編集者 というのは根本的に好奇心が旺盛で面白いもの が大好き。新しいことなど、なかなか聞いたこ とがない話も大好きです。ですから、企画の具 体的な内容よりも、あなたの仕事の内容や得意 なジャンルの話題など、雑談から話を始めて、 相手に興味を持ってもらう方が良いでしょう。 面白ければ、「出版しましょうよ!」と言っても らえることもあります。出版の企画は雑談から 生まれることもたくさんあるのです。 ・自分の知名度で販売力をアピールする  自分のことを紹介する際、自分の知名度や販 売力をアピールするのも良いでしょう。  例えば、T witterやinstagraヨのフォロワー数、 ブログの読者数などです。編集者に対して、直 接的に出版したいことをアピールしても、抵抗 感を持たれてしまうだけですから、そういうこ とはせずに、自分のことを話すついでに、拡散 力あるいは販売力があることをさりげなくア ピールする程度が丁度良いです。 ・その出版社の書籍を題材に話をする  自分のことだけでなく、相手の編集者が勤め る出版社から出版されている書籍を話題にする のも良いです。  その編集者が、話題にした書籍を手掛けてい なかったとしても構いません。他人から、自分 の家族や友人などを褒められると嬉しくなるも のですが、感覚としてはそれに似ています。本 好きじやないことを公言する編集者も中にはい ますが、大抵の人が根っからの本好きです。そ の編集者が手掛けた書籍のことをいろいろと聞 いてみると、企画の切り囗や出版の方法など、 さまざまなヒントが得られることもあります。 SECT−ON01 書籍の原稿には書き方がある ●原稿はいきなり最初から書き始めると失敗す  原稿は、いきなり最初から書こうとすると失  これまでに何人もの著者の原稿を見てきまし たが、いきなり最初から書き始める人ほど、途 中で挫折しています。原稿の書き始めは、やは リモチベーションも高まっていますし、読者に 伝えたいこともたくさん頭の中に浮かんでくる ので、一時的に筆が走ります。なんとなくその 勢いで最後まで書けてしまうのではと思ってい ますが、書籍の原稿は大体10万字。最後までそ のペースを維持して書き続けることは、まずあ り得ないでしょう。  多くの人の傾向として、前半ほどたくさんの 情報があり、後半が尻つぼみになっていきます。 段々と書くことが尽きてくるのか、読めば読む ほど、薄い内容になっていく原稿が多いです。  また、同じ話が繰り返されるようなことも起 こりがちです。  10万字という大量の文字をたった1囗で書け る人はいません。ということは、何日にも分け て原稿を書くわけです。例えば、今日は1章を 書き、明日は2章、次の週には3章を書く……。 という感じです。多くの著者が、自分の本業を しながら書籍の原稿を執筆していますから、執 筆そのものに取り掛かれる時間が隕られている のですね。  そうして長い時間をかけて原稿を書いている と、数日前に自分か何を書いたのかを忘れてし まいます。忘れたまま、また原稿の続きを書こ うとしますから、同じ話が何度も繰り返される ようなことが起きてくるというわけです。  思いついたままを書くことで、話がどんどん 逸れていく人も多いです。ゴールを見定めずに 思いのまま書いてしまうので、どこへ向かって 話を進めていいのかわからないのです。思いつ いたまま書くという事に対し、感性が豊かで良 いなどと感じる人もいるかもしれませんが、実 用書は気ままに綴るブログではありません。  実用書の原稿というのは、あくまで読者の悩 みや欲求を解決するために書かれるもの。とい うことは、自分の思いのままに書いていいわけ がないのです。しかもブログとは違い、読者か らお金を出してもらって提供するコンテンツで す。ということは、内容にも相応の質が求めら れて当然です。  原稿執筆におけるさまざまな失敗を防ぐには、 原稿全体を俯瞰して見る力を持つことが大切で す。全体を俯瞰し、重複のないように、そして 読者と約束したゴールに向かってきちんと話が 流れているかを、あらかじめ設計しておく必要 があります。 ●原稿執筆は段取りよく取り組むと意外と簡単  では、全体を俯瞰して原稿を執筆するにはど うすれば良いのでしょうか。実は、そんなに難 しい話ではありません。原稿執筆に取り掛かる 前にしっかりと、ある準備を行えれば、大変と 思われる原稿執筆も意外とスムーズに進みます。  私白身も書籍の原稿を執筆することがありま すが、大体準備に2週間くらい使います。そ の2週間の問にきっちり執筆のための準備を行 うことで、その後の執筆作業がスムーズになり ます。さらに執筆はそこから2週間ほど。こう すると約1ヶ月もあれば、原稿は書けてしまい ます。  では実際、どのようにして原稿執筆を行うの でしょうか。まずは、原稿執筆全体の流れにつ いて説明しましょう。  最初にすべきことは、出版する目的を再確認 することです。あなたは何のために出版し、そ のためには読者に何を伝えるべきなのか。そん なことを思い出してみて欲しいです。  次に、原稿執筆の準備をします。先はどもお 伝えしましたが、原稿はいきなり書き始めても うまくいきません。原稿を書き慣れている私白 身でさえ、準備なしに原稿執筆に取り掛かった ら、かなり時間がかかってしまうでしょう。  準備ができたら、一気に最後まで原稿を書き 上げてしまいます。この時、途中で推敲などは しないでください。とにかく最後まで、振り向 かずに書くこと。これを意識しましよう。  最後まで一気に書き上げることができたら、 ここでようやく推敲作業です。  書き上がってからすぐに推敲するのではなく、 少し寝かしてから行うのがオススメです。頭の 中がピートアップしている時に推敲を行っても、 見落としが多かったり主張に偏りがあったりす るのに気付けません。一度、熱した頭を冷やす ことが大事なのです。 SECT−ON02 原稿執筆の準備を整える前に 用意しておくこと ●出版する目的を再確認し、プレさせないよう  原稿執筆は準備が大事だと言いましたが、そ の準備を始める前にやるべきことがあります。 それは、出版する目的を再確認し、ブレさせな いようにすることです。 ・出版する目的を再確認する  企画書を作成する段階で、何のために出版す るのかということは考えていただきました。  でも、企画書が完成してから実際に書籍の原 稿を執筆するまでには、随分時間も経っている はずです。ここで改めて、自分か出版する目的 を思い出しましよう。  あなたが出版するのは、あなたのビジネスを 加速させることが目的だったはず。啓蒙活動で もなければ、思い出作りでもないはずです。そ して、出版することでビジネスを加速させるに は、読者から信頼してもらうことが必要でした。  自分よがりな論理展開で、伝えるべきことを 伝えないと、読者から信頼を得るどころか逆プ ランティンクになりかねないということもお伝 えしました。「この著者は、こんなことまで教え てくれるのか!」と感動させられるような内容 をしっかり伝えることによって、初めて読者か らの信頼を獲得できます。そうして獲得した信 頼が、あなたのビジネスを加速させます。 ・コンセプトを見直そう  次に、企画書のコンセプトを見直してみてく ださい。  企画書を作成する段階で、出版の目的やコン セプトはしっかり決めたと思いますが、時間が 経っているせいで忘れてしまっていることもあ るはずです。それだけでなく、企画書を作成し てから、編集者の人と話し合いで決まったこと もあるでしようし、当初考えていたことから、 変更が生じた部分もあるはずです。ですから、 コンセプトを見直してみて、誰に何を、どのよ うな順番で伝え、読後にどのような感情になっ てもらうように書けば良いのか。そこがブレな いように定めてください。 ・ 「はじめに」を完成させよう  出版の目的とコンセプトを見直すことができ たら、再びあなたには、いよいよ出版するんだ という意欲が湧き上がってきているはず。読者 に伝えたいことが次々と浮かび、ワクワクして いる人もいるはずです。振り返れば、この出版 というステージにたどり着くまでには、さまざ まな苦労をされてきたかもしれません。おそら くあなたの中には、さまざまな感情が入り交 じっていることでしょう。今のあなたは、情熱 とモチベーションが最も高まっている時です。  その情熱やモチベーションが冷めてしまわな いうちに、最初に「はじめに」を完成させてく ださい。「書籍の指針は「はじめに」にありI」 です。 SECT−ON03 原稿執筆はいきなり書き始めず に しっかり準備する ●原稿執筆に取り掛かる前にしっかり準備  原稿の執筆準備の流れは、次の図にあるよう に、3ステップで行います。  最初にやることは、今回の書籍で伝えたいこ とをまずはひたすら書き出してみることです。 どんなことでも良いですし、書く順番も気にし なくて構いません。A4のコピー用紙などでも 構いませんから、余計なことは考えずに、書籍 の中に入れた方が良いと思う情報を次々に出し ていきます。  次に、先ほど出した情報をクルーピンクして いきます。  同じカテゴリもしくは、同じトピックの中で 話せそうなもの同士をまとめていきます。そう してまとめたものには、何かのテーマなどを与 え、カテゴライズしていきます。この作業は、 書籍でいう「章」を作っていく作業です。一般 的に書籍は、6章立てでできていますから、 6つくらいに大きくクルーピンクできていれば 良いでしょう。クルーピンクができたら、それ ぞれのグループの中で階層を作り、順序立てて 流れを作ってみてください。  ここで、書籍の構成について説明しておきま す。構成案については、本書の3章でも図を用 いて説明しましたが、復習としてもう一度説明 します。             る       ズ る   す    t y ″  皿    出 ゴ れ 淹    ゛ テ 流 ■≫    マ77。    Q パ ″ m れ ベ   ビ と   流 流 く  一  化  、 。 。「作 ‐ な の         俯 前 筆 執 稿 原  書籍の構成には、章、節、項というものがあ ります。「章」というのは、先ほどカテゴライズ した大きなテーマであり、小さなトピックの集 合体を示すものです。次に「節」とは、あなた が書き出したもの。そして「項」とは、節の内 容を具体的に説明するための見出しです。  ひと通り書き出した箇条書きのものの内容を 精査しながら、それぞれの「章」となるテーマ の中に分類し、どのような順番で伝えるのか階 層化してみてください。  そうしてできたら、全体を俯瞰してみて、全 体としての流れがスムーズになっているか。あ るいは重複がないかどうかを精査します。 ●書籍に書きたいこと、書くべきことを精査す  る  それでは、具体的にそれぞれの手順を詳しく 説明していきます。まずは、書くべきことを書 き出すというところです。ここでのポイントは、 次の3つです。 ・自分が書きたいことを書き出す  まずは白分か書籍を通して読者に伝えたい、 あるいは伝えなければならないと感じることを 書き出してください。とにかく思いついたもの をひたすら書き出し、箇条書きにしてください。 この段階では、あまり深く考えずに、思いつい たことをどんどん書くことが大事ですから、通 勤途中やお風呂に入っている時、料理を作って いる時など、突然ふと浮かぶこともあります。 その瞬間を見逃さないようにしてください。思 いつたらすぐにメモできるように、いつもメモ 帳を持っておくと良いでしょう。スマホのメモ 機能も良いですが、手書きの方がアイディアが 浮かぶという人もいます。 ・類書の内容もチェック  ひととおり書き出したと思えたら、次は類書 の内容をチェックしてください。企画書を作成 する時には、類書の分析をしたと思いますが、 もう一度確認します。  ここで類書をどのように使うかというと、自 分の書き出した内容の不足を補っていくためで す。類書に載っているのに自分の書籍に載って いない情報があるということは、自分の書籍の 方に不足があるということです。もちろん何で もかんでも掲載すれば良いというわけではあり ませんが、全部自分の中から出し切ったと思っ ていても、忘れていることがあったりもします。  新しく刊行されるあなたの書籍は、後出し ジャンケンと同じで、類書に比べ自分の書籍の 方が劣っているわけにはいきません。  ここで注意していただきたいことは、類書の 内容をそのまま書くわけではないということ。 あくまでも類書を参考にするのは、不足してい る話題、書くべきなのに出されていない話題が ないかどうかを調べ、あればその話題を補うた めに類書を活用するのです。 ・アンケートやネットの情報もチェック  あなたが過去にセミナーを実施され、そこで とったアンケートがあるのなら、そこに書かれ た参加者の声も参考にしてみましよう。セミ ナーの参加者は、あなたの書籍の読者と最も近 い人たちだといえます。ですから、その参加者 の声を書籍の内容として反映させることは、読 者のニーズに応えることにもつながります。  また、ネットの情報もチェックしてみてくだ さい。もしかしたら最新の情報が変わっていた り、新しい話題が出てきていたりすることもあ ります。情報の鮮度でいえば、書籍よりもネッ トの情報の方が新しい情報にふれられます。で すから、書籍に入れた方が良さそうなことがも しあるのなら、それも書き出しておいてくださ ’V ●書き出したものをクルーピンクしてカテゴラ  イズ  ひととおり箇条書きで書き出してもらったも のを、今度はクルーピンクしてカテゴライズし ていきましよう。今あなたの手元には、ただひ たすら書き出した情報だけがたくさんある状態 です。  まずは全体を仕分け、同じ種類のものを集め ます。同じ種類のもの同士を集めたら、次は分 類した上で、カテゴライズしていきます。  書き出しただけの情報をどのように整理して いくのか。続いては、その方法を説明していき ます。 一一緒に説明した方が良いものをまとめる  まずは、書き出してもらったものの中から、 一緒にした方が良い話題をまとめてみましよう。 「これはここで話した方がいいだろう」や「この 話題はこのテーマの中で話そう」というふうに、 同じ話題同士で整理していきます。 ・ジャンルやタイミングで括ってみる  次に、クルーピンクしたものをカテゴライズ していきます。カテゴライズするときの方法は、 ジャンルを細分化して括る方法(並列)と、夕 イミング(直列)で括る方法があります。ジャ ンルやタイミングで括るとは、どういうことで しょうか。  ネット集客しようとした時、Facebookで集客、 アメブロで集客、ツイッターで集客という内容 が入ってくると思います。この3つの話題ほど んな順番で話されても読者にとってとくに問題 はありません。関係ないので、どの順番にして もよいというのが並列の考え方です。  次にタイミング(直列)というのは、その テーマを行う手順や時系列のことです。例えば 本書でいえば、出版してビジネスを加速する方 法というテーマです。このテーマについて説明 するためには、まずは出版の全体像を知っても らい、次に企画書の考え方を説明し、企画書の 書き方を説明するというような手順に沿って説 明する必要があります。つまり直列というのは、 そのテーマを実践するための手順ということで す。 ・重複しているものを消していく  クルーピンクしてカテゴライズできたら、次 は各カテゴリの中において重複するものがない かどうかをチェックしていきましよう。同じこ ともしくは似ていることを言っている情報があ れば、どちらかにするなどしてスリムにしてい きます。 ●さらに階層化と順序立てをして流れを作る  書き出した情報を整理し、きれいにカテゴラ イズできたら、次にすべきことは階層化と順序 立て、そして全体の流れを作ることです。  まずは、カテゴリ単位で考え、全体としてど のような順番で伝えたらいいかを考えましよう。 この時、なるべく企画書の構成案に揃えるのが ベストです。出版社と話をして決めた企画書と、 構成は多少ずれても良いのですが、全体の趣旨 が変わらないように注意してください。  次に、カテゴリの中のものを階層化して、節 や項を決めます。  この時、節や項を決めるためのヒントとして は、話題の大きさが大事です。これ以上細かく できない話題があれば、それは最小トピックで ある項としてふさわしい話題でしようし、話題 として伝えるべきことがたくさんありそうなも のは、節としてふさわしい話題だと考えられま す。  節や項まで決めることができたら、次はそれ らをどのような順番で話をしたら良いのかを決 めてください。書籍全体の話の組み立ては、ま ず章ごとに組み立て、その後に節を組み立てる ようにします。  章の役割は、書籍の大きな流れを作ることで す。そして節は、章と章をつなぎます。例え ば1章から2章へ話をつないでいくための節は、 どういった順番にすれば、話が流れていくのか を考えてみてください。 ●俯瞰してみて、流れや重複などをチェックす  る  そろそろ、くどいと感じる人も出てきている かもしれませんが、ここまでできたらやはり大 切なのは俯瞰的な視点です。出来上がった話の 流れやそれぞれの章の階層を確認してみて、流 れに違和感がないか。あるいは重複している箇 所がないかどうかをチェックしてください。  私か再三、「俯瞰して欲しい」とか「全体とし ての流れを考えて欲しい」というのには、やは りそれなりに訳があります。それは、あなたが 今作ろうとしているものが、「書籍」だからです。 書籍というのは、1幵全体でその価値を問われ ます。というのも、やはり実用書という存在は、 どこまでいっても読者の欲求や悩みに応えるも のであるからです。  書籍1幵をあっという問に読んでしまう人も 世の中にはいますが、実用書の場合は、ある種 手引書とも言えるわけですから、あっという問 に読み切るようなものではありません。  中には、書籍を片手に、実際の作業を行う人 もいます。つまり、あなたは著者として、書籍 の内容を通じて読者に伴走するわけです。  最後までできるようにしてくれると約束した にも関わらず、途中でいい加減になったり、投 げ出してしまったりするような人を信頼したい とは思いません。あなだだって、白分か悩みを 解決するために誰かを頼る際、ムラがあり、い い加減な人に頼みたいとは思わないはずです。 最初から最後まで、バランスよく情報を提供し てくれ、当初約束したところまで導いてくれる 人に頼みたいと思いますよね。  だからこそ、俯瞰力が大事。  読者がつまずくところがあってはいけません し、何度も同じことを繰り返し言われては、 ガッカリもします。各章がまったく同じボ リュームなるようにしなくてもいいのですが、 バランスは大事です。その上で、読者を置き去 りにしないように話を組み立ていくのです。  チェックするときは、階層ごとにチェックし てください。もしここで、不足している情報を 見つけたり、重複しているところを見つけたり したら、その都度修正してください。その際に、 章タイトルは章タイトル、節タイトルは節タイ トルなどと、統一感が出るように見出しを考え ることもしてみましよう。 SECT−ON04 編集者だけが知っている 原稿を書くためのコツ ●原稿はとにかく勢いで一気に書き上げる  次はいよいよ、原稿を書いていきます。  ここまであなたはしっかり原稿を書くための 準備をしてきました。出版の目的を再確認し、 企画のコンセプトを見直し、丁寧に階層づくり も行ってきたはず。ですから、ここまでこれた あなたなら、すんなりと原稿を書き進めること ができるはずです。書籍の原稿は、たった1日 で出来上がるようなものではありません。何日 かに分けて、少しずつ積み上げていくものだと いうことはすでにお伝えしたとおりです。  書籍の原稿執筆は、長距離走のようなもの。 勢いよくスタートしたところで、中盤で疲れ 切ってしまいますし、残りを書ききる体力も無 くなってしまいます。また、ひとつひとつの表 現を吟味しながら書いていると、いつまでだっ ても終わりません。なかなか終わりが見えない ので、やはり疲れてしまって期日までに終わら せられないのです。  とくに書籍の原稿を執筆するときは、ベース 配分を間違えてダウンしないよう、まずはゴー ルを目指して一気に書くことが大事です。途中 で気になる表現があっても、一旦は無視しても らって構いません。気になるところはメモをす るなど後から思い出せるようにしておき、とに かく最後まで走りきってください。表現をどう するか、あるいはこの事実の整合性は? と いった確認は、後からいくらでもできます。毎 囗○文字ずつ書こうと決める大もいますが、私 はあまリオススメしません。なぜなら、囗に よって、人の体調はさまざまですし、急な予定 があるなど、なかなか同じベースで執筆を進め ることは困難なことが多いからです。  それから、執筆する上での著者としてのスタ ンスは決めておいてください。言い回しや文体 などが揃っていないと格好悪いですし、自分の ことを「私」と書いたり「自分」と書いたりな ど、統一されていないと読者を混乱させること になります。用語統一に関しては、別紙に控え ておいて、執筆する際にパソコンの側に置いて おくと便利です。 ●原稿執筆に取り掛かる前に確認しておくべき   こと  書けるときには一気に書くことをすすめます が、それでも1週間以上はかかるはずです。私 たちのようなプロであっても、書籍原稿を1週 間で書ききるのは大変だと感じます。それが皆 さんのような、書き慣れない人であれば、時間 がかかって当然です。  でも、あなたが何日もかけてI幵の書籍原稿 を書いたということは読者にとっては関係のな い話。読者はI幵の書籍として出来上がったそ のものを手にして読むわけですから、当然最初 から最後まで同じスタンスで書かれていないと いけないわけです。途中で主張が変わっていた りすると、そこで読者は読むのをやめてしまい ます。せっかく書いたものが最後まで読んでも らえないなんて、それほど悲しいことはありま せん。読者にきちんと最後まで読んでもらえる ようにするため、書き始める前には「はじめ に」を読むようにしてみてください。 「はじめに」には、その書籍で伝えるべき内容あ るいはあなたが読者に向けた熱い思いが書かれ ています。「そうだ、こういう気持ちだったん だ」と思い起こすツールとして、「はじめに」を 活用しましよう。他には、あなたの身近にいる 誰かひとりをあなたの書籍の読者として想定し て書き進めると、わかりやすい文章が書けます。  文章力について心配される人もいますが、普 通の著者に高い文章力は求められていません。 何も文学作品のようなものを書く必要はないの です。とくに実用書であれば、文章力よりも求 められるのは、わかりやすさ。ですから、学校 で習った基本的な作文技術があれば大丈夫です。 気になるところや、直した方がよいところは編 集者がチェックしてくれます。 ●中学二年生が分かるように書くぐらいが丁度   いい  実用書の原稿に、文学的な文章力は求めてい ませんと言いました。既にお伝えしたように、 実用書に求められているのはわかりやすさです から、できるだけ読者がつまずいてしまうよう な表現は避け、わかりやすい表現を心がけて欲 しいのです。  どのくらいわかりやすく書けばいいのか。目 安としては、中学2年生が理解できるような文 章であればいいと言われます。中には、大人よ りも博識で難しい言葉を使う中学生もいますが、 あくまでも一般的な中学2年生をイメージして ください。  書く際のポイントは、次の3つです。 ・難しい単語は使わないこと  難しい単語やみんなが読めない漢字は避けて、 できるだけ平易な表現を心がけてください。そ れから、専門用語や隠語、略語なども使わない ようにします。専門書の場合は、対象者がその テーマをある程度知っている人ですから、専門 用語を使って解説しなければならないこともあ るでしょう。ですが実用書の読者は一般の人た ち。それも場合によっては、そのテーマの初心 者であることもあります。  どうしても専門用語を使わなければなならな い場合は、本文中できちんと解説するなどして、 とにかく読者を悩ませないようにします。 ・短文構成でテンポよく書く  一文はできるだけ短くし、テンポよく読める かどうかも大事です。  一文をとても長く書いてしまう人がときどき いますが、とても読みにくいです。読んでいる 方が読みにくいだけでなく、書いている本人も 途中でよくわからなくなってしまうこともあり ます。テンポよく読み進められる方が読者に とって負担が少ないですから、最後まで読んで もらいやすくなります。 ・文末の繰り返しに注意する  文末も、毎回同じにならないように注意しま しよう。ある文章の終わり方が「〜ます。」と終 えられていたとします。次の文章も、その次の 文章も同じように「〜ます。」と続いていると、 稚拙な印象を与えてしまいます。  文章力は求められていないとはいえ、多少の 工夫はあっても良いでしょう。同じ文末が繰り 返されると、読者は飽きてしまいますし、著者 としての見られ方にも影響します。稚拙な文章 を書く著者が、自分の悩みを救ってくれるとは 思えない……。そんな風に思われてしまったら、 せっかく出版してもあなたのビジネスは加速し ないのです。 ●読者を悩ます要素はなるべく排除する  I幵分の文章を最後まで飽きさせずに読み 切ってもらうことは、本当に難しいことです。 でも、とにかく読者には最後まで読み切っても らわなければなりません。  もしも途中で挫折してしまったら、「この人の 書いた本は、何か書いてあるのかよくわからな い」とか「いいと思ったけれど、途中でやめて しまいました」なんていうレビューがAmazonに ついてしまうかもしれません。実際にレビュー されるかどうかは別として、最後のページまで きちんと読んでもらうのに大切なことは、読者 を悩ませないこと。これに尽きます。  途中で悩ませ「わからない」と感じさせてし まったら、読者はすぐに書籍を閉じてしまいま す。一度「わからない」と閉じられてしまった 書籍が開かれることは二度とありません。わか らなかったのですから、当然ですよね。ですか ら、読者を悩ます要素は極力排除するようにし てください。  あなたが執筆するのは実用書ですから、何か の解説をすることもあるでしょう。解説をする 中で、何かを選ばないといけない時は、あなた が決めてしまってください。AとBの商品があ る場合、どちらでも大丈夫ですなどと言わず、 「Aを使ってください」と言い切ることが大事で す。  AとBを比較して紹介することもありますが、 それでも最終的にはどちらかを選択しないと、 読者は迷ってしまいます。ただ、複数の選択肢 を提示して、その中の1つを選ばせる場合は、 必ずその選択の理由も伝えるようにしないと、 「なぜそれにするの?」とまた読者に疑問を与え てしまいます。疑問を与えないという意味では、 作業手順を省くこともやめましよう。あなたは 少なくとも著者になれるくらいですから、その テーマにおいては専門的な知識を持っていると 思います。人はある程度知識がつくと、初心者 だった頃の気持ちを忘れてしまいがち。  そうしたことから、「このくらいはわかるだろ う」と作業手順を省いて説明してしまうのです。 「ググればわかる」という考えは、書籍では通用 しません。実用書は、「読んでわかる・できる」 ことが大事なのですから、読者にググらせては いけないのです。読者の手を止めないこと。そ れを意識して原稿を執筆していきましよう。 ●内容に説得力を持たせる文章を書くコツ  読者に疑問を持たせないためには、とことん 「なんで?」をつぶしていく必要があります。 自分で書きながら、「なんで?」「どうして?」 と1人ツツコミを入れるくらいで丁度良いです。 1人ツツコミをすることで、読者が疑問に思う だろう箇所がわかるようになりますし、その箇 所を丁寧に説明するように心がければ、スツと 読者の心に入っていく文章が出来上がります。  人が「なんで?」「どうして?」と疑問を抱く 時は大抵、主張に対しその理由や根拠が示され ていない時です。あなたがいくら「これが必要 です!」と言ったとしても、なぜ必要なのかを 示さなければ、読者はどう思うでしょうか?  読者からしたら、押しつけ以外の何ものでも ありません。ですから、説得力のある文章を書 くには必ずその理由や根拠を添えるようにして ください。  理由や根拠を示す時、著者の立場によって提 示するものが変わります。  実用書における著者の立場には、専門家と実 践者があるというのを覚えているでしょうか。 あなたがこの2つのうち、どちらの立場から書 籍を出版するのかはわかりませんが、その立場 にふさわしい説得の仕方というものがあります。  実践者として書く場合は、理由や根拠として 自分の事例や実績、体験、経験を示すと良いで しよう。「〜は○○です。なぜなら、私は過去に ▲▲ということがあったからです」といったイ メージです。一方、専門家として書く場合、理 由や根拠には、関係省庁の公的資料や学術的資 料を示すと、より専門家らしさが伝わります。 SECT−ON05 書き終わった原稿は 少し寝かしてから推敲する ●原稿の推敲は3日寝かせて、3回チェック  苦労して書いた原稿執筆も、いよいよ終盤で す。書き終わった勢いで「できました!」と編 集者に送ってしまいたい気持ちもあるでしょう が、それはもう少しだけ我慢してください。最 後まで原稿が書き終わったら、次にすべきこと は推敲です。すぐに推敲しても、客観的な視点 に欠けます。ですから、少なくとも2、3囗は 寝かしておきましょう。  原稿の推敲は、全部で3回行います。1回目 は原稿の内容のチェックです。2回目は文章の 細部、文末の表現や表記ゆれ、誤字脱字がない かどうかをチェックします。そして最後に仕上 げのチェックです。 ●最初に原稿の内容のチェックをする  とにかく後ろを振り向かずにゴールを目指し てひたすら書いてきた原稿ですから、おそらく たくさん直したいところが出てくるはずです。 1回目の推敲の時は、読者がつまずくところは ないかどうか、あるいはかゆいところまで手が 届いているかどうかを重点的にチェックしてみ てください。繰り返しますが、読者に疑問を抱 かせるということは、そこで書籍が読まれなく なるということを意味します。最後まで読んで もらえなければ、あなたと読者の信頼関係が結 ばれることはおろか、一番の目的であるビジネ スを加速させることが達成されません。  その目的を達成するためにも、読者に疑問を 抱かせないこと、途中で読むのをやめないよう な内容になっているかどうかを、冷静になって 見直して欲しいのです。 また、読者のかゆいところまで手が届くとは、 どういうことでしょうか。  それは、読者の気持ちになって読んだときに、 きちんと隅々まで理解できるような内容になっ ているかどうかということです。 次の図をみてください。  読者の多くは、あなたが書籍の中で伝えたい ことを何も知らない状態で書籍を手に取ります。 ということは、読者は図のように道の入り囗に 立っているような状態です。入り囗からゴール までにはさまざまな分岐点がありますが、図の 中の分岐点は、読者が陥りやすい悩みポイント を表しています。  あなたは既に専門家となっているわけですか ら、ゴール側からスタート地点を見つめます。 ゴール側から見ると道は一本道に見えますが、 実はところどころに分岐点があるのです。  この図のように、あなたが今のような専門家 という立場になるまでには、あなたにも必ず悩 みがあったはず。ここでは、そのことを思い出 して欲しいのです。  その道のプロあるいは専門家になると、どん なことで悩んでいたかをすっかり忘れてしまい がちです。でも、書籍で解説する時は、その悩 みをきちんと思い出し、それぞれ丁寧に解説し てあげる必要があります。誰ひとりとして、落 ちこぼれを作らない。そんな気持ちでチェック してみると良いでしょう。 ●次に文章の細部をチェックする  原稿の内容がチェックできたら、次は文章の 緇かいところをチェックしていきます。  ここで行うチェックは、文章を読みながら チェックするというよりも、文字の羅列を チェックするというような感覚で見ると良いで す。文章を読むっちりでチェックすると、どう しても言い回しを変えたくなったり、もっと付 け加えたいと思ったりしてしまいます。  それがどうしても必要なものならいいのです が、大切なことは、加えるよりも削ること。で すから、シンプルに文章の細部をチェックする ようにしてください。  文章の細部をチェックするのに必要なことは、 次のようなことです。  チェックリストとしても使っていただけるよ うにしましたので、ぜひ活用してみてください。 口 用語や送り仮名、文体は統一されています  か? 口 誤字脱字や数字表記の揺れはありません  か? 口 外来語や固有名詞は正しいものになってい  ますか? 口 約物の使い方、太字やマーカーのルールは  統一されていますか? 口 漢字を使いすぎていませんか? 口 代名詞が多すぎていませんか? 口 「〜と思う」「〜だろう」が多いなど、頼り  ない印象がありませんか? 口 一文一文が長くなっていませんか・ 口 口語体の文章や、ら抜き言葉がありません  か? 口 不快な表現や行き過ぎた表現がありません  か? 口 引用や写真などの権利関係の確認は済んで  いますか? ●最後に仕上げのチェックをする  ここまでチェックできたら、最後は仕上げの チェックです。仕上げのチェックとしては、次 のようなことを行ってください。 ・書体や組み替えをしてチェックしてみる  原稿の書体を変えてみたり、横書きあるいは 縦書きに変えてみたりすると、執筆時には気付 けなかったことを発見できることがあります。 ・いろいろなパターンで音読してみる  次に、実際に声を出して音読してみてくださ い。音読する時は、少し早めに読んだり、遅め に読んだりしながら、文章のテンポを確認しま す。原稿の書き方を説明したところでは、テン ポよく読めることが大事だとお伝えしました。 実際に読んだときに、自分の原稿がそのように なっているのかどうかを確認しましよう。 ・タイトルにキーワードを入れていく  最後に、タイトルにキーワードを入れてくだ さい。このキーワードとは、読者がネットで検 索するときに入力するであろうキーワードを指 します。章タイトル、節タイトル、項の見出し は、書籍の目次としてネットで表示されますか ら、ネット検索されたときにきちんと探しても らえるように、キーワードを入れておきましよ ●自分で売りたくなる書籍になっていたら完璧  原稿の推敲が終わると、ようやく編集者へ送 ることができます。編集者へ原稿を送ってしば らくすると、あなたの元には「ゲラ」と呼ばれ る原稿が届きます。ゲラとは、あなたが書いた 原稿をもとに、編集者が編集した原稿のことで す。ゲラが届いたら、読者になったつもりで読 んでみましよう。その際に気をつけることは次 の3つです。 ・ビジネスにつながりそうか?  届いた原稿を読んで、あなたのビジネスに申 し込みたくなるかどうかを考えてみてください。 もしそういう気持ちにならないと感じるのであ れば、何をどうすればそうなりそうなのかを考 えます。 ・出口戦略はできているか?  書籍を読んで感情が高まり、何か自分もやっ てみたいと思った読者が行動に移す際、自分の ビジネスに誘導できるようになっているでしょ うか。  書籍の最後に書かれる著者プロフィールに自 分のホームページやブログ、SNSのURLを 掲載するほか、リスト獲得のためのページも用 意してください。あからさまにメルマガに登録 させるようなページを掲載すると、「メールアド レスの取得が目的なの?」と敬遠されかねませ ん。本文中で扱ったワークをダウンロードでき るようにするなど、さりげなく獲得できる工夫 があると良いでしょう。  それから、「終わりに」の本文中で、読者に向 けて親切なメッセージをひと言添えておくのも オススメです。「もし何か困ったら、気軽に質問 してください」と書いておくと、読者も「信頼 できそうな人だな」と思ってくれます。大量に 送られてきても対応できないかもしれないと思 うかもしれませんが、実際は100通くらい届 けば良いほう。対応できないほど送られてくる ことは滅多にありません。 ・冫∃QNOコのレビューもチェックしよう  Amazonなどネット書店のレビューも確認して おきましよう。どんなことが書かれているのか、 その内容をチェックして、自分の書いた内容に も言えるようなことがないかを確認します。も し、「このまま刊行したら、自分ち同じことを言 われそう……」などと思うことがあるなら、そ の要素をきちんと潰しておきましよう。 SECT−ON01 商業出版は 書籍を刊行されて終わりではな い ●書籍は出版するまでより出版されてからが大  事  出版企画書が採用され、無事に書籍の原稿も 書き上げることができた。そこまで来れば、あ なたの著者としての人生の幕開けはもうすぐそ こまできています。できるだけ息の長い幸せな 著者人生を歩むため、そして出版の本当の目的 であるビジネスを加速させるためには、これか らお伝えする刊行された後のあなたの振る舞い がとても重要です。  書籍は、出版するまでよりも出版されてから の方が大事です。というのも、書籍が刊行され た時点では、まだ出版社は完全な赤字状態だか らです。あなたの可能性を信じてあなたに投資 した出版社にきちんと恩返しができるのかどう か。あなたの真価が問われるときだと言っても 過言ではありません。  書籍の原稿執筆は、決してラクな作業ではあ りません。それに、その前段階である企画書を 通すことだってひと苦労。だからなのか、その 成果物として書籍が出来上がってしまうと、そ れでやれやれと満足してしまう人も多いのが現 実です。  しかし、ここでのんびりしていてはいけませ ん。白分か何のために出版をしたのかを思い出 してください。書籍の発刊後、あなたがすべき ことは、ビジネスを加速させられるように、書 籍をとにかく必死で売ることです。  書籍の刊行後、あなたが常に頭に入れておく べきことは3つあります。まずは、出版するこ とだけを目的にしないということを忘れないこ と。次に、とにかく書籍を売ること。最後に、 きちんとビジネスを加速させることです。  出版することだけを目的にしないというのは、 どういうことでしょうか。  私はこれまで大勢の著者を輩出するお手伝い をしてきましたが、中には出版することだけを 目的にしていて、言葉通り出版しただけで終 わってしまう人もいました。出版すれば何とか なると思う人もいますが、本当に何ともならな いことが多いのです。  出版社から300万円という高額な投資を受 けて、晴れてあなたは著者デビューとなったわ けです。でも、著者という肩書きを手に入れた からといって、何もしないでいては、なかなか 書籍は売れませんし、あなたのビジネスだって 加速はしません。  出版の世界というのは、書籍が毎月何百幵も 刊行されていますから、入れ替わりの激しい世 界です。そんな激しい競争の中で、まだ無名の 著者が1幵出版したところで、爆発的に書籍が 売れることなどほぼありません。かといって、 新刊が出たといって著者が頑張れるのは大体半 年くらい。それ以降は、鮮度も落ち、売れ行き が落ち着いてしまいますから、著者がひとりで 頑張ってもなかなか難しいのが現実です。  ということは、刊行されてからの半年間、ま ずは少なくとも損益分岐点まで書籍を売ること に注力すべきなのです。その期間での頑張りに よっては、次の出版につなげられるかどうかも 変わります。 ●著者として書籍の売れ行きが3割以上が理想  次の出版につなげる話をしましたから、ここ で、著者として書籍の売れ行きがどのくらいあ れば2冊目、3冊目と次の書籍が出せるように なるのかをお伝えしていきましよう。  出版業界ではよく、「著者の3割バッターの法 則」と言ったりしますが、書籍の売れ行き が3割以上をキープしていれば次の書籍が出版 できるということです。どういうことなのか、 次の図をみて見てください。  1冊目の書籍がきちんと売れれば、10割のほ うに進みます。もしここでまったく売れなけれ ば、O割なので次のチャンスは当然ありません。 でも、10割の方へ進むことができれば、2冊目 を出版することができます。2冊目もきちんと 売れればいいのですが、もしここで売れなくて も、成績は5割。3割以上をキープできている ので、実は3冊目も出版可能です。では3冊目。 2冊目も売れずにもし3冊目もあまり売れな かったとしましよう。でも、まだここでは成績 は3割3分で、3割以上をキープできているの です。ということは、4冊目の出版も可能とい うわけです。  ここからもわかるように、1冊目はかなり重 要です。もはや1冊目の成績が著者人生を決定 づけると言っても過言ではありません。 ●とにかく出版社に損はさせないことを意識す  る  I冊目を売ることの大切さはおわかりいただ けたでしょうか。 最初の書籍を必死で売ることは、あなたのため でもありますが、出版社への恩返しにもなりま す。無名のあなたの可能性を信じて投資した出 版社に対し、少なくとも損をさせないような努 力はしてもいいはずです。  そうして努力した先、結果的に書籍が売れる とどうなれるのでしょうか。もちろんあなたに も出版社にも利益がもたらされ、あなたのビジ ネスが加速していくことでしょう。でも私は、 著者としての出版の本当の価値は別のところに あると思っています。  それは何かというと、多くの大に書籍を届け た結果、どれだけの人の人生を好転させられた のかということです。どれだけの人の人生を好 転させられたのか、その総量が著者の価値であ ると考えます。ただ出版して自分だけが幸せに なるのではなく、書籍を通してひとりでも多く の読者を幸せにできるような著者を目指して欲 しいところです。 SECT−ON02 出版した書籍は 自分でしっかり販促しよう ●あなたの書籍が刊行されて半年間の販促戦略  著者の力で書籍を売ることができるのは、大 体半年だとお伝えしました。ですから、この半 年間はあなたにとって勝負の時。書籍をしっか り売るために、半年間の販促戦略を立てていき ましよう。まず、刊行されてからの半年間を。 3つの段階にわけて考えます。その3つとは、 予約段階、新刊段階、既刊段階です。それぞれ、 どのような段階であるのか、そして具体的にど のようなことをすればいいのかを順に説明しま す。 ・予約段階  予約段階とは、出版が決定した段階です。す でにファンがいる人は、出版が決定したことを お知らせして、ファンの期待値を上げていきま しよう。書籍の予約ができるようになったタイ ミングでファンに促し、注文数を増やしましよ う。そうすることで、出版社のさらなる期待を 引き出すことができます。出版社の期待値が高 まれば、書籍の販促に力を入れてくれるように なります。 ・新刊段階  新刊段階は、著者の影響力が最も出しやすい 段階です。新刊の時が一番書籍が売れやすい時 ですから、より多くの書店に置いてもらえるよ うにするには何をするべきかを考えます。新刊 として書店に並んだ後、書店の中で動きがあれ ば、書店員も「この本は結構売れているかも」 と気付いてくれ、よりいい場所に陳列してくれ たりすることもあります。 ・既刊段階  新刊段階が落ち着いた後は、既刊段階へと突 入していきます。この段階では、一過性ではな く息の長い長期的な販促を考えるようにします。 できるだけ長く書店に置いてもらえ、定番本と なるようにしていきましよう。 ●ネットを使った販促戦略  今の時代、書籍の販促活動をするのにネット を使わない手はありません。ありとあらゆるメ ディアを使い倒して、書籍のプロモーションを 仕掛けましよう。  ネット使った販促戦略として私かよく使うの は、AmazonキャンペーンとSNSによるプロ モーション、そしてブログ上でのセールスです。 ■ Amazonキャンペーン  Amazonキャンペーンとは、隕られた期間内に 買ってくれた人に特典を用意して、書籍の販売 を促進する方法です。Amazonキャンペーンにつ いては賛否両論ありますが、私の体感としては、 無名の著者が行うプロモーションとして一番効 果的な販促戦略だといえます。  あらかじめ決められた期間内に集中的に買っ てもらうことによって、書籍の人気ランキング が上がっていきます。するとそのランキングを 見た人が、気になって、買ってくれたりします し、実際に上位表示されていることでセミナー や講演の依頼が舞い込んだという著者もいまし た。ランキングの上位を獲得することで、その 後の書籍のプロモーションもやりやすくなりま すし、キャンペーンに申し込んでくれた人たち のリストを集めることもできます。  書籍の購入数が増えれば、増刷されるまでの 期間も短くできるのですから、著者としてはい くつもメリットを享受できます。 ・SNSによるプロモーション  SNSを使ったプロモーションも有効です。 SNSのプロモーションでは、時期を利用して、 クリスマスキャンペーンやお年玉キャンペーン といった形で、書籍の存在をPRします。SN S広告を使ったプロモーションも効果的です。 ・ブ囗グでのセールス  自分のブログがある人は、そのブログを使っ てセールスすることも考えてみましよう。ブロ グのサイドバーなどで直接的なPRをすること もできますが、記事の中で、自然な文脈で誘導 できると、売り込み感が少なくなります。ブロ グの場合は、検索エンジン経由の訪問者もいま すから、書籍に関係する検索キーワードでアク セスしてきた読者に対しては、最終的に書籍の 販売ベーダへ誘導できるように設計しておくと いいでしょう。 ●Amazonキャンペーンのポイント  先ほども伝えましたが、Amazonキャンペーン は、著者主導で行う書籍の販促活動のうち、最 も効果のある方法です。でも、せっかくやるの でしたらきちんとした成果を残したいですよね。 では、成果を出すために、冫ヨ悶目キャンペーン で何をしたらいいのでしょうか。  まずはAヨaz呂キャンペーンを行う流れを理 解しておきましょう。  yヨ悶呂キャンペーンを行うときは、最初に キャンペーンを行う日程を決めてください。日 程のルールはありませんが、ネットがよく見ら れる火曜日から木曜日の問に行うのがオススメ です。Amazonキャンペーンは、書籍を購入して くれた人へ特典を用意することで、よりたくさ んの多くの人に購入してもらう企画です。なの で、何を特典にするかを決め、キャンペーン用 のランディングページを作成してください。  キャンペーンの2週間前になったら、キャン ペーンを応援してくれるグループを作成し、そ のグループへ応援者を集めましよう。あまり早 くから集めてしまうと、肝心のキャンペーン当 日に盛り上がらず失敗に終わってしまいます。 2週間かけて応援者を集めたら、キャンペーン で何をして欲しいのか、徐々に教育していって ください。ちなみに、「応援してください」と言 うだけでは買ってもらえません。「購入してくだ さい」と、相手にして欲しいことをはっきり伝 えてなければ人は動きません。買って応援した くなるような努力は必要ですが、訴求の仕方に も気を配ってください。  先はどの図のような流れでキャンペーンを実 施していくのですが、キャンペーンを行う上で のポイントは次のようなものがあります。 ロランキングも大事だが、実際は部数の方が大  事 口可能なら予約段階で開催すること 口友達がパソコンの前にいるタイミングに投稿  する 口特典は、全員配布と抽選の2種類用意する 口特典の内容は、著者らしさが重要 口友達に買ってもらうだけでは無意味 口友達がシェアしやすい内容を提供する 口心のこもっていないと感じさせるので、定型  文は配布しない 口出版が決まった時から情報発信を始めていく 口2週間前ぐらいから盛り上げていく 口買ってくれた人や紹介してくれた人に感謝す  る  Amazonキャンペーンを成功させるために大切 なことは、まず自分に協力してくれる人たちを、 協力してあげたいという気持ちにさせることで す。そのような気持ちになってもらうためには、 著者であるあなた白身の振る舞いが何より大事 です。  偉そうにしていたり、応援してくれて、買っ てくれて当然というような態度をしていたりで は、誰も協力してあげようとは思いません。政 治家のドブ板選挙のようにとまでは言いません が、それに近いくらい頭を下げてもいいくらい です。あなたはただ、出版しただけ。著者とい う肩書きが増えたからといって、偉くなったわ けではありません。みんなから応援してもらえ るような謙虚な態度を貫きましよう。 ●リアル書店での販促戦略  書籍が売れるのは、もちろんAmazonのような ネット書店だけではありません。リアル書店に も置いてもらえるわけですから、リアル書店で の販促戦略も考えていきましよう。  リアル書店での販促戦略のポイントは、でき るだけ多くの書店において、書籍がきちんと売 れていることを数字として表せるようにする必 要があります。  書店で書籍を購入する際は、その購入者の ざっくりとしたデータがPOSデータに登録さ れます。例えば、男性か女性、年代のような情 報です。他に、購入された日付や時間も登録さ れます。  極端な話、全国の書店で売れた方がいいから といって、あなたがひとりでいろいろな書店を 回って購入したところで、データに偏りが出て しまいます。そうすると、著者の自己買いであ ることがすぐわかってしまうため、結果、その 書籍はあまり売れていないという評価になって しまいます。  いろいろな人から書籍をリアル書店で買って もらう方法としては、著者になったあなたが、 全国でセミナーをするという方法があります。 全国でセミナーをして、そこの参加者の天たち に書店で自分の書籍を購入してもらうように促 すのです。参加者の全員が購入してくれるわけ ではないにせよ、誰も購入しないということは ないでしょう。セミナーで全国をまわる度に宣 伝すれば、全国各地で購入者が出ます。地道だ と思われるかもしれませんが、そのような地道 な活動こそ身を結びます。 ●書店まわりのポイント  リアル書店での販促を行うにあたり、書店ま わりのポイントをお伝えしておきましよう。書 店員は、基本的にとても忙しい人たちです。い つ行っても歓迎されるわけではありません。嫌 われてしまえば、書籍を置いてくれなくなる可 能性も……。書店まわりのポイントはお伝えし ますが、あまり勝手な行動はせず、わからない ことは事前に編集者に相談してみることをオス スメします。  書店まわりをするときは、次のことに注意し てください。 口都内の大型店は忙しいので避ける 口出版社から売上好調店を効く 口地方の書店、地元や出身地の書店 口忙しくない時間帯を狙う(午前中) 口土日は避ける ロレジに人がいるときは話しかけない 口負担になるような手土産はいらない 口簡単なノベルティを作っておこう ロモノより、土産話を持っていく 口POPやサインはダメもとで 口自分の本を売り込まずにお礼を言う 口手短に話す  ときどき、大物著者であるかのように、横柄 な態度をとる人もいるようですが、書店員から したら、迷惑以外の何ものでもありません。忙 しい時にわざわざ自分のために時間を割いてく れているという意識を持ちましよう。  あなたの態度だけで、書籍の展開が決まるわ けではありませんが、書店員だって心を持った 人間です。あなたの印象がよく、頑張っている あの著者を応援してあげたいと思ってもらえれ ば、少し長く置いてもらえたり、POPを置い てくれるなどして販促に協力してもらえること もあります。 SECT−ON03 出版した書籍を使って ビジネスを加速させる ●キャンペーンで集めたリストを使い倒す  無事に商業出版ができたのですから、書籍の 販促活動も行いながら、本来の出版の目的であ る自分のビジネスを加速させられるようにして いきましょう。まずは、書籍の販促活動として 行ったyヨ悶呂キャンペーンで集めたリストを 使って、ビジネスを加速させていく方法です。  キャンペーンで集めたリストは、自分のビジ ネスのプロモーションに使えるでしょう。用意 していたバックエンド商品をセールスして、一 気に商品を売るという発想もありですが、せっ かく出版することで集めたリストを、たったそ れだけのために使用するのは少々もったいない です。定期的なキャンペーンを行うなどして、 自分の読者との接触頻度を高め、固定客(ファ ン)になってもらえるような工夫をしていきま しよう。ときどき有益な情報を発信して、せっ かく書籍を通して作った信頼関係が薄れていか ないようにしてください。 ●書籍を方々に献本してビジネスを加速させる  書籍を献本することで、ビジネスの加速を狙 うこともできます。書籍の献本先として候補に よく挙がるのは、メディアや商工会議所、そし てセミナーの参加者です。  メディアの場合は、雑誌やテレビの制作会社、 あるいはタウン誌、業界紙を制作している会社 などがあります。会社ではなく人に向けて献本 する場合は、書籍の売れ行きに影響しそうな著 名人や、業界の有名人、あるいはメディアで執 筆しているライターや編集者に献本するという 方法もあります。  しかし、献本にもマナーがあります。ある囗 突然書籍を送ってきて、「よければ、私の書籍を 紹介してください」という人もいます。でも、 どんな義理があってそんなことをしなくてはな らないのかを考えてみて欲しいです。自分の著 書が無料で手に入るのだからと、紹介してくれ て当然という態度をする人もいます。いいこと をしたつもりでいるのかもしれませんが、受け 取った側は迷惑に感じることもあるのです。い きなり送りつけることはもちろん、「献本したい ので発送先の住所を教えてください」などと、 突然メールを送るのもやはり失礼です。  失礼だと思われず、自分の書籍を取り上げて もいいと感じてもらえるようにするには、プレ ゼント提供が効果的です。読者プレゼントとし て無料で書籍を提供するので献本させて欲しい、 もしくは取材をしてもらいたい……。このよう に、相手にもメリットがあるような伝え方です れば、全員ではなくても話を聞いてくれる人は いるはずです。  実用書の場合は、商工会議所向けに献本する のも効果的です。例えば、ネット集客の方法に ついて書かれた書籍であれば、それを必要とす る人たちは、何か自分でビジネスをしている人 たちです。商工会議所に集まる人たちの多くは 経営者。要するに、自分でビジネスをしている 社長や個人事業主たちがいる場所に献本しては どうか、という話です。商工会議所の他には、 観光協会や倫理法人会、守成クラブなどもあり ます。  著者の中には、セミナーに参加してくれた人 にプレゼントしている人もいます。セミナーの 参加者に購入してもらおうとする人もいますが、 既にセミナー料金を支払ってきてくれた人たち に、さらに追加でお金を出させようとするのは、 あまり見栄えもよくないものです。  もし、無料でプレゼントするという形を取り たくないのであれば、書籍を購入してくれたら、 セミナー料金から書籍代をキヤツシュバックす るという方法もあります。実際は無料で書籍を プレゼントしていることになるのですが、金銭 の授受が発生することで、お金を出して購人し た感覚やお金を払ってもらった感覚が得られ、 お互い満足するケースもあります。 ●書籍の読者を集めてコミュニティを作ってみ  る  書籍を購入してくれた読者から成るコミュニ ティを作り、そこを起点にビジネスを加速させ ていく方法もあります。よくあるのは、サポー トコミュニティです。  書籍ではわからないところがないように丁寧 に解説する必要がありますが、丁寧に解説して も、実践する途中で不安になってしまいアドバ イスを受けたくなる読者は一定数います。また、 1人だけではなかなか継続できないので、コ ミュニティの中で一緒にやりたいという読者も います。そういった欲求を持っている読者のた めにサポートコミュニティを用意し、コミュニ ティ運営をしながら、自分の実利につなげるこ とも可能です。  最近ではオンラインサロンが人気ですが、読 者をオンラインサロンに誘導し、次回本が出版 された時には、メンバーにプレゼントするとい うやり方は、メンバーから喜ばれファンもでき ます。また、実践会などを開催する方法もあり ます。読者の中からりIダーを募り、全国組織 化や協会ビジネスを狙うことも可能でしょう。 SECT−ON04 二冊目、三冊目の 商業出版を目指そう!・ ●一冊出版して終わる著者が多すぎる現実  せっかく出版しても、I幵出しただけで終 わってしまう著者はとても多いです。1幵出版 しても、その効果は大体3年くらいです。すで にお伝えしたので、覚えていらっしやると思い ます。  出版することでプランティンクやビジネスの 加速につなげるには、I幵出版して終わるので はなく、継続して出版できるようにすることを 考えてください。本書の5章でお伝えしたよう に、「著者の3割バッターの法則」がありますか ら、まずあなたができることは、I冊目の著書 をとにかくしっかり売り切ることです。  ただ、あまりに次の書籍を出版することに囚 われすぎると、インプットとアウトプットのバ ランスが崩れ、書籍のクオリティが担保できな くなってしまいます。書籍のクオリティが担保 されないと、読者の満足度が下がり、結果的に 著者寿命を縮めることにもなりかねません。  1冊目を出版してその売れ行きが良い場合、 他の出版社から声がかかることもよくあります が、インプットとアウトプットのバランスに注 意してください。慌てたところで、いいものが 作れなければ、いい結果にはなりません。書籍 の出し過ぎというのもおかしな話かもしれませ んが、出版の頻度には要注意です。 ●複数の書籍を出版してプランティンクする方  法  たったI幵出版しただけではその効果は限定 的となってしまいますが、複数の書籍を出版で きれば、より高いプランティンク効果を得られ るようになります。 出版したいという人はたくさんいたとしても、 実際きちんと出版を実現させられる人は限られ ます。出版という道を志す途中で挫折してしま う人たちの中には、著者になるという覚悟が持 てずに断念される人も少なくありません。  でも、無事に企画書を通し、書籍の原稿を書 き上げ、さらには刊行後の販促活動もしっかり と頑張ってきたあなたには、その覚悟が備わっ ているはず。複数の書籍を継続的に出版すると いうのは、けっして簡単なことではありません が、きっとあなたなら掴み取っていけるでしよ  複数の書籍を出版することで、プランテイン クする方法としては、次のような3つがありま す。 ・売れやすいカテゴリーから出版する  自分の得意なカテゴリー、書きたいカテゴ リーがあったとしても、その時の流行や類書の 売れ行きによっては、希望のカテゴリーで出版 してもうまくいかないことが予想される場合も あります。そんな時は、まず白分か売りやすい カテゴリー、売れると思えるカテゴリーから攻 略します。複数の書籍を出版していきながら、 徐々に本命のテーマに寄せるという方法です。 ・カテゴリーごとに出版する  カテゴリーごとに出版していく方法とは、大 カテゴリーは同じでも、小カテゴリーでいくつ か出版し、面で攻めるというものです。例えば、 あなたの専門がWeb集客だったとします。こ の時、Web集客という切り囗で出版しても、 やや抽象的な切り囗なのであまり読者に必要だ と思ってもらえない可能性があります。  でも、T witter集客、instagraヨ集客、ブログ集 客などと、Web集客という大きなカテゴリー は同じでも、小さなカテゴリーとしては異なる 書籍をいくつか出版すると、「Web集客に詳し い人」というプランティンクができます。 ・ベストセラーを狙ってみる  実用書は具体的な内容がコンテンツになりま すが、複数の出版ができるようになったら、内 容を抽象化して一般書にチャレンジしてもいい かもしれません。一般書で挑戦する場合は、そ の時に売れている書籍の切り囗やテーマを変え てトレースするイメージで応用し、企画を立て てみるといいでしょう。このように、戦略的に 考えながら複数の書籍を出版し、著者としての プランティンクを強固なものにしていってくだ さい。  私は編集者である側ら、出版プロデューサー でもあります。その出版プロデューサーとして 多くの著者になりたい人たちを接するのですが、 その際にいつも考えていることがあります。そ れは、出版することで幸せな著者になってもら いたいということです。  書籍には、魔力があります。それは、人の人 生を大きく変えてしまう力です。この力は、扱 う大によって如何様にもなります。間違った使 い方をすれば、大を豹変させてしまいますし、 正しい使い方をすれば、より多くの幸せをもた らしてくれます。  多くの著者を見てきて、全ての人に対し同じ 内容のアドバイスを行い、著者としての立ち振 る舞いなど、注意すべきことや伝えられるノウ (ウは包みかくさず全て伝えるようにしていま す。しかしながらその結果は、見事なまでに人 によって違います。  また、書籍によって変わる可能性があるのは、 著者だけではありません。読者にも大きな影響 をもたらします。いくら実用書とはいえ、その 存在は読者の悩みや欲求に対して向けられる内 容です。ということは、あなたの書籍を手に 取った読者が、あなたの書いた内容によって救 われることも大いにしてあるということです。 「救われた」まではいかずとも、書籍をきっかけ に著者と知り合い、人生が変わるような出会い を経験している読者は少なくありません。この ように、出版の向こう側には、素晴らしい人と の出会いや、新しいステージへと引き上げても らえるような仕事との出会いが待っているので す。  幸せな著者になることは簡単ではありません が、決して手の届かない世界の話ではありませ ん。本書を通して正しい出版の方法を知り、正 しい手順で行いさえすれば、必ず実現させられ るはずです。