物語思考_けんすう(古川健介)  「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャ  リア設計術             けんすう(古川健介) 物語思考「やりたいこと」が見つからなくて悩       む人のキャリア設計術 《本書の使い方》 世の中のことはだいたい(ウツーどお 「やりたいことが見つからない」といって悩んでい る人がとても多いと感じます。特に若い人たちは、 やりたいことを探すことに一生懸命に見えます。  そもそも、なぜ「やりたいこと」を追い求めてし まうのでしょうか?  それは、おそらく「やりたいことを見つけて、ま わりの目を気にせず、ごちゃごちゃ考えることなく、 夢中になってそれに人生を懸けたい」という理想が あるからだと思います。  逆に「お金がほしい’・」とか「いい車に乗って、 いい時計をつけてモテたい’・」という人は最近は少 ないんです。とにかく「夢に向かって全力で人生を 生きたい!」というニーズのほうが強いんですね。 平和で豊かな社会でよかったです。  ぼくはインターネットでよく発信をしていること から、そういった悩み相談を受けることが多いので すが、そういう人へのアドバイスとして、このよう なことをよく言っていました。  「泳ぐ前に泳ぐのが好きかどうかはわからないです よね? 一度泳いでみたほうがいい。それと同じで、 興味がありそうなものをとりあえずやってみたらど うですか?」と。  これはビジネス書とかでよく見る「まずは行動し てみたら」系の提案です。しかし、こういうアドバ イスを聞いた多くの人は、「そうか!」となって一 瞬やる気が出るんですが、しばらくすると「不安で 行動できない」という悩みが出てきます。  じやあ、どうすればいいか……と考えたのですが、 まず、その「不安」の種類としては、次の3つがあ るのだと思いました。  1つ目は「人から変に思われるんじやないか」 「やってみたけど、自分に合わなくてすぐあきらめ たりしたら、バカにされるんじやないか」「うまく いかなかったら恥ずかしいんじやないか」といった 「人の目が気になる系」です。  2つ目は「食いっぱぐれたらどうしよう」「将来 それでお金が稼げずに貧乏になったらどうしよう」 のような「将来が不安系」です。  3つ目は「変化するのが怖い」という「現状維持 したい系」です。  逆に言うと、これらの不安を乗り越えて行動でき れば解決するんじやないかと思ったので、その答え を提示するためにこの本を書き始めました。 多くのビジネス書は使い勝手が悪い  世の中には、「やりたいことを見つけたい」とい う人向けの本はたくさんあります。  そして、その多くが「好きなものを見つけろ!」 「夢中になれ!」「リスクを恐れずに行動せよ!」み たいな感じだったりしますよね。そういう本を読ん で「よし、やるぞ!」と思うのは数日くらいで、す ぐに元の生活に戻ってしまう人も多いと思うんです。  そういうビジネス書やノウハウ本は、一時的には テンションが上がるので「栄養ドリンク」のような 感じで使うにはいいと思います。でも、長期的な視 点で見ると、いまいち使い勝手が悪いのです。  本書はそういう「やりたいことを見つけろと言わ れても、見つけ方がわからない」という人や「行動 しろと言われてもできない」という人を対象にして います。  どうやればいいかわからない人への「マニュアル 本」であり、身も蓋もなく「やり方」を提供する本 です。なので、精神論などはほとんどありません。  「ぼくはこうやるといいと思いますよ」という、た だのハウツーです。栄養ドリンク的なビジネス書の ように、やる気が出たり、救われた気持ちになった りする効果は皆無です。説明書を読んでもテンショ ンが上がらないのと一緒ですね。  なので、すでに夢を見つけている人や、ガンガン 行動できる人にとっては、死ぬほど回りくどい本だ と思います。 ぼくも動けない人間だった  申し遅れましたが、ぼくは「アル」というクリエ イティブ系のインターネット会社をやっている古川 健介と申します。インターネット上では「けんす う」という名前で活動しています。  なぜぼくが「やりたいことを見つけられない」 「行動できない」人に向けて本を書いているのかと いうと、ぼく自身がまったくそのとおりの人間だっ たからです。  ぼくは小学校の頃から、勉強はできない、運動は ぜんぜんダメ、美術や音楽もかなり成績が悪い、と 基本的に「何をやらせてもダメ」なタイプでした。 性格も明るくないし、社交性もなく、将来がとても 不安な子でした。  高校生になって、さすがに自分でもこのままで大 丈夫かな……という気になったので「よし、正社員 を目指そう」となんとなく目標を立てました。大き な夢なんてなかったのですが、「とりあえず大学に 行って、就職をすればなんとかなるだろう」くらい の感覚です。  勉強はできなかったので、とりあえず予備校に行 きました。そこでの体験が、結構強烈だったんです。  いつも勉強を教わっていた学校の先生は、「学問 とは何か」についてとうとうと語ったり「将来役立 つから勉強することは大事だ」と言ったりする人ば かりだったので、そういうものだと思っていたので すが……。  予備校の先生は、「とにかく受験で点数をとって 合格すればいい。だから、点数をとれるマニュアル を教えます」という感じだったんです。  それまでぼくは、勉強は「その学問の本質」とか 「学ぶことのすばらしさ」などを知らないといけな いと思っていました。でも、予備校は「大学に受か るために、点数をとるだけ」という身も蓋もないや り方を提供してくれたんです。それがぼくには、と ても心地よかったんです。  そして、そのとおりにやってみると、悪かった成 績もみるみる上かっていきました。古文では「この 助詞があった場合は主語が変わる」とか、英語だと 「主語と補語は当然イコールだ。ということは、構 造が似ている場所をチェックすれば、言い換えてい る内容がわかる」といった、点数をとるための「八 ウツー」を学んだおかげです。  そこから「そうか、世の中のことはだいたいハウ ツーどおりにいけば大丈夫だな’・」と考えるように なりました。  結局、現役では志望校に受からなかったので浪人 したのですが、そのときも「とにかく受験に合格す るための情報を集めれば勝ちだな」と思っていたの で、勉強するよりも先に、大学受験生用のコミュニ ティサイトを作りました。当時は、受験情報なんて ネット上にほとんどなかったので、受験のノウハウ をユーザー投稿できる仕組みを作ってみたのです。  ニーズがあったのか、そのサイトはI囗に 5000件以上投稿があるサービスに成長しました。 そして、そこでの情報をもとに、大学受験では私大 最難関の第一志望校に合格できました。  社会人になってからもノウハウ本を読みまくり、 仕事力をつけていっだのですが、そのハウツー熱は とどまるところを知らず、2009年には「ハウ ツーを作る」というコンセプトの会社を立ち上げま した。  その会社で作ったサービスは、ピーク時で月に 2500万ユーザーが訪れるほどになりました。 マニュアルどおりやれば誰でもうまく いく  どうしてぼくがこんなにハウツーが好きかという と「マニュアルどおりにやれば、誰でもうまくいく 可能性が高い」からです。料理の素人がハンバーグ を作るなら、まずはレシピを参考にすべきでしょう。  レシピ本を読まないまま、「ハンバーグの作り方 がわからない……」と言って悩んだり、失敗して 「自分には料理の才能がないんだ」と落ち込むのは ムダなんです。  また、本を参考にするにしても、「食べてくれる 人の笑顔がいちばん大事」という心得について書か れた本や、「レシピどおりに作るだけじゃなく、自 分で考えるオリジナリティが大事」という応用的な 本を読んでも、意味がないわけです。  それらも大事ではありますが、今の課題解決に適 した本を読まなければ、現状は変わりません。  何かを成功させるためのコツは、「最初は自分の 頭で考えない」ことです。多くの場合、すでにノウ ハウは存在するので、まずはそのとおりにやってみ るんです。本当に自分の頭で考えないといけない領 域までは、なるべくハウツーを使って最短距離で進 むのがおすすめです。  まずはハンバーグのレシピを覚えて、作れるよう になってから、本質的な価値を見出すことや、自分 の頭で考えることをしたほうがいいんです。どこか で絶対に、自分の頭で考えないといけないシーンは やってくるので、そこまでは最短距離で人の知識に 乗っかったほうがいいはずです。人類はそうやって 進化してきたので……。  というわけで、「やりたいことを見つけて、行動 できるようになりたい」という大向けのレシピみた いなものを目指して、この本を書きました。  具体的に、本書『物語思考』を読んでほしい大は、 ・「行動したほうがいい」のはわかるけど、なかな か行動できない大 ・やりたいことは特になく、あったとしても自信が ない大 ・何をやればいいかわからないけど、情熱的で充実 した人生を送りたい大  みたいな感じです。  そういう人のために、構成としては、以下のス チップで説明していきます。 @自分を制限している頭の枷をとる Aなりたいキャラクター像を設定する Bそのギャラを実際に動かす Cそのギャラが活きる環境を作る Dそのギャラで「物語を転がす」  もちろん、こんな本を書くからには、「『物語思 考』を多くの人が実行して、こうなってほしい」と いう理想像があります。それは、シンプルに「多く の人がプロセス自体を楽しめるようになっている状 態」です。 幸せと成功は違う  ぼくは、人生で目指すべきは「自分が幸せな状態 であること」だと思っています。これに関して、異 論を持ち出す人は少ないはずです。みんな、幸せな ほうがいいはず。  ただ、多くの人は、幸せになる=成功する、と考 えがちです。  「成功する」とは、辞書的な意味だと、「普通では 困難な目的が成し遂げられること」を指します。た とえば「お金持ちになる」とか「大きな会社の社長 になる」とかですね。  それはそれで素敵なことではあるんですが、それ 自体が幸せにつながるかどうかはわかりません。と いうのも、その状態は「ゴールを達成した」だけだ からです。  極端な例を出しますが、たとえば会社で出世して 社長になるのが夢だという人がいたとします。毎日 激務で、プライベートも犠牲にして、同僚から疎ま れながらも出世街道を突き進み、いろいろな人を蹴 落として社長になったとして……、それが「幸せ か」と言われると、ちょっとわかりません。  しかしぼくらは、「成功は、苦労して努力して、 苦難の道を乗り越えて、たどり着くもの。だからこ そ幸せなんだ」というふうにイメージしてしまった りします。なんとなく「苦労の対価として成功があ り、成功すると幸せがくる」みたいな図式をイメー ジしているのかもしれません。  しかし、「いい大学に入るぞ」とがんばって合格 したにもかかわらず、受験で燃え尽きてしまって精 神的に落ち込み続けた大学生活を過ごす人もいます し、一生働かなくていいほどのお金を手に入れたは いいものの、日々の退屈が苦痛で仕方がない、とい う人もいます。  つまり、ゴールに到達し、ある意味で成功したと して、それが必ずしも幸せにつながるわけではない ということです。 幸せとは、今(プロセス)が充実して いる状態  何かを成し遂げるのに、苦労や嫌なことがあるの は当たり前です。ぼくは会社経営やサービス作りを しているわけですが、その活動のうち7〜8割はや りたくないことや憂鬱なこと、面倒なことです。  しかし、「この先にきっといいことがあるから今 は我慢する」という感覚で取り組んでいるわけでは ありません。どちらかと言うと、「日々、嬉しいこ とや喜びも、嫌なことや苦労も、どちらも無数にあ る」ことを、そのまま受け入れているような感じで す。  プロダクト作りで言えば、日々、大変なことが起 こり、苦しみ続けている一方、商品が売れたことや、 お客さんが喜んでくれることに伴う、ものすごく大 きな嬉しさを感じられる瞬間もあるわけです。  そして、そのような喜びと苦しみが混ざり合った 日常こそが、もっとも充実感があり、幸福度の高い 過ごし方だと、ぼくは捉えています。  「1年間ずっと嫌なことをやり続けて、なんとか ゴールにたどり着いたら、その先はずっと幸せ」み たいに、パチツと切り替わるものではないんです。  つまり、何か起ころうとも「今が充実している」 と感じられる状態こそが、目指すべきものだと思っ ています。  この本では、「物語思考」の考え方をインストー ルしてもらうことで、ゴールにたどり着くかどうか よりも、「今の状態が楽しい」「今やっていることが 充実している」と感じられる人が増えるといいなと 考えています。  これは、単に快楽を得るための手法とはまったく 異なる話です。おもしろい作品を観たり、ゲームを 楽しんだり、おいしいものを食べたり、好きなもの を買ったりすることで、人間は快楽を得られます。  そういった快楽はお金で買えますが、「一人のお 客さんが5000円の商品を買ってくれた」という 喜びは、お金では買えません。それが、仲間と一緒 にがんばって、知恵を絞って得られた結果であれば、 なおさら嬉しいんですね。  そういう「今」があるからこそ、幸せを感じられ るわけです。 成功者ではなく、幸せな人を多くする 本  その意味で、この本は一般的な「成功本」ではな いですし「自己啓発本」ともちよつと違います。  本書で言いたいのは、自分を高めたり成長させた りする、というよりも「思考の組み立て方を少し変 えるだけで、人生が生きやすくなるし、幸せな状態 に移行することができる」ということです。  成功する人を増やしたりするのは大変かもしれま せんが、幸せは自分の状態を変えるだけなので、実 現しやすいと思っています。また、不幸を感じてい る人がいきなり自分を100%の幸せに持っていく のは難しくても、100の不幸が80になって、最終 的に50くらいになるのも、立派な前進だと思ってい ます。  ということで、まとめると、『物語思考』は、 ・今に充実感を持てるようになり、幸せになる大を 増やす ・そのための方法を紹介する ・その方法とは、考え方をずらしたり、生きやすい 道を見つけたりすること ・実践しやすいように具体的な内容にする  という本だよ……という話でした。少しでも、や りたいことを見つけたい大や、行動できないと悩ん でいる人の参考になれば幸いです。  この本で目指しているのは、「物語思考」という 考え方を使って、頭の枷を取り外し、自分のギャラ を作ることで行動しやすくして、今を充実させる、 というものです。  では、いったい「物語思考」とはなんでしよう か?  匸言でいうと「自分の理想どおりに人生を過ごす ためには、いっそ一つの物語を作るように考えたほ うがいいよ」ということです。  自分を主人公にして「物語を進めるように」人生 を送ること。これが「物語思考」です。  若干うさんくさいというか、気持ち悪い自己啓発 本のように見えてしまうかもしれませんが、身も蓋 もないことを言うと「自分を客観視しやすい状態に しておいたほうが、本質的な対策を打ちやすい」と いうことです。  みんな「やりたいことがない」と悩んでいたり、 「仲間が見つからない!」という障害があったり、 「チャレンジするのが怖い」という不安を持ってい たりしますよね。でも、「物語思考」で考えるだけ で、いい意味で他人事感が出て、多くのことを楽し みながらクリアしていけるようになります。  チャレンジや失敗は、普通に考えると怖いもので す。明日から突然海外に行って働くとなったら、も のすごく怖い。それよりは、ある程度の不満があっ たとしても現状維持のほうが安心ですよね。  でも「物語思考」だと、チャレンジや失敗をしな いほうがリスクになります。なぜなら、何も起きな い人生は物語としてぜんぜんおもしろくないからで す。主人公が今いる街から出ようとしなかったら何 の冒険も始まりません。仲間も増えないし、ただの つまらない日常が流れていくだけになります。  つまり、「物語思考」とはイメージとして「小説 を書く」みたいな感じに近いです。  自分という「主人公」のなりたい姿を決め、 「ギャラ」を設定します。それから、ギャラが活き る環境を作って、物語を「転がして」いきます。自 分を物語のギャラとして扱うことで、他人事化して、 客観的に見ていくことができます。  自分自身のことだと怖くてたまらないことでも、 自分が書く物語のギャラにすぎない、と思うと、 「あ、ここでこういう行動をさせたほうがいいな」 とかがわかったりする、ということです。  といっても「人生を物語のように考えよう、と言 われてもどうしたらいいかわかんないよ!」となる と思うんですが、その方法をくどいほど説明してい くのが本書です。 物語という「過程」を楽しむ日本人  ぼくはこの「物語思考」は、日本人に合っている やり方なのではないかな、と思っています。ありか たいことに、ぼく宛てに「本を書きませんか」、と いう依頼がよくきていたんですが……、そのたびに 「世界中のいろいろな良いビジネス書があるから、 ぼくが書かなくてもいいじやん」と思っていたので すね。  しかし、「物語思考」については、日本のような 国からしか生まれない発想なのではないかと気づき、 書いてみようと思ったのです。なので、おそらく日 本の読者の方には実践しやすいんじやないでしょう か。  その理由は2つあります。  1つ目は、日本人は、ゴールを達成するよりも、 その過程のほうを愛する傾向があることです。め ちゃくちゃざっくり言うと、欧米は「神から与えら れたミッション」があって、それを達成するには手 段を選ばない、という考え方をしているんですね。 中国も「天からの使命」みたいなイメージを持つら しいです。  今っぽく言うと、アメリカや中国は「ハッカー文 化」。成し遂げたい使命のためだったら、手段は選 ばない、達成することが大事だ、という考え方です。  一方で、日本の伝統芸能は、茶道や武道など、 「道」という言い方をすることがあります。これは 「ゴールがどこか」よりも、「どうやるか」という過 程のほうが大事ということの表れなのではないかと 思っています。  道には基本的には終わりがありません。こうした 点からも、日本人はゴールすることよりも、ゴール までの道のりを極めるほうが好きなのではと思うの です。欧米や中国が「ハッカー文化」だとしたら、 日本は「オタク文化」と言えます。  アメリカでは一流の芸能人は「セレブ」と呼ばれ たりして、完成されきっている人が、プロとしての 実力を見せて、人を楽しませますが、日本では、未 完成でも応援したくなるようなアイドルが人気に なったりします。  これは、がんばっている姿をみんなで応援すると いう「過程」を楽しんでいるわけですが、それも似 た事例と言えるのではないでしょうか。  そして2つ目は耳慣れない言葉ですが、「依代文 化」です。日本は欧米のように「自分という強固な アイデンティティがある」というよりも、場所に よって、自分のギャラを変えがちです。  日本人はSNSなどにおいても、アカウントをた くさん持つ傾向にあります。アイデンティティは一 つではなく、人との相対的な距離感で自分のギャラ が決まったりしがちです。家の自分と、学校や会社 の自分、友だちといるときの自分でギャラが全然違 うという人も少なくありません。  また、似た話で言うと、ロボットに対する価値観 も、欧米と日本では大きく違います。欧米の人は、 司令塔から遠隔操作したほうがいいという発想です。 危ないですからね。また、「ロボットは人ではない」 という感覚が強烈にあるとも聞きます。一方、日本 は『機動戦士ガンダム』のようにロボットの中に人 が入って操作する創作物が多くあります。  このように日本人は過程を大事にする傾向がある のと、自分のキャラクターをある程度自在に変える ことができるので、欧米的な「自分のミッションを 決めて、それに向かって邁進する」といった方法論 よりも、「自分のギャラを決めて、それを演じきる」 という「物語思考」のほうがしっくりくるんじやな いかなと思っています。  囗本の若い人が、「自分の個性やアイデンティ ティを認識した上で、自分の人生のミッションを決 め、それに邁進する」というのは実は難しい。やり たいことをやれ、と言われても、それがわからない からずっとモヤモヤと「何かやりたいんだろう な……」と探して悩む、ということになってしまっ ているのが現状ではないでしょうか。  なので、「物語思考」では「やりたいこと」を設 定するのではなく、まず「なりたい状態をイメー ジ」することからスタートします。「何をしたいか」 ({}O)を考えるのは難しくても、「どうありたいか」 (爾)はイメージしやすいんですね。  将来の夢を聞いたときに「かっこいい大人になり たい」「土方歳三のようになりたい」などであれば、 スラスラ答えられる人も多いのではないでしょうか。 そんなイメージです。  そんな感じで、なりたい状態を想像した上で、 ギャラを決める、というのが本書の超基本的な原則 です。 この本の流れについて  ここで、この本の流れをもう少し細かく説明しま す。  まずステップーでは、自分のなりたい状態を想像 しながら、「頭の枷」をとる作業をします。ほとん どの人はいきなり行動できません。挑戦するうえで は、無意識に脳内にある枷が障害となってしまうこ とがたくさんあるので、それを一つひとつ取り除い てみます。  ステップ2ではあなたの「ギャラ」を作ります。 ここが一番重要です。ギャラといっても、「明るい ギャラ」「破天荒なギャラ」みたいな感じで解像度 の柢い「ギャラ」だとうまくいきません。というわ けで、このステップではギャラの作り方を割と丁寧 に解説します。  ステップ3では、そのギャラを行動させる方法を 考えます。行動させることで、ギャラが強く定着し ていくので、じっくりとやります。  ステップ4では「環境の作り方」を考えます。人 間は弱い生き物なので、ギャラを作り行動し始めて も、環境の力でよくも悪くもなります。  環境が人を決めると言っても言いすぎではないく らいです。なので自分が設定したギャラを無理なく 続けられる環境にいかに飛び込んでいくかという話 をします。真正面からいくだけでなく横道からチャ ンスを掴む方法も教えます。またSNSで応援して くれる人を増やす方法についても解説します。  ステップ5は「物語の転がし方」です。なにかに チャレンジして人生を進めていくことをぼくは「物 語を転がす」と言っているのですが、その具体的な 方法をお伝えします。大きなチャレンジをして、時 に失敗しながらも壁を乗り越えていく物語が最高な んですが、普通は恐怖や不安のほうが勝ってしまい ますよね? その乗り越え方をいろいろな角度から 伝授していきます。  エンディングは「物語にゴールはない」という話 です。「本書の使い方」でも書いたように、今が充 実している状態が一番楽しいので、ゴールを設定す るのではなく、楽しく続けられる物語を生きること が「物語思考」の本質です。  では、さっそくステップーにいってみましよう。 頭の枷を外して自分の「なりたい状態」 を見つけよう  ステップーに入るまでに、結構なページを割いて しまいました。事前に言っておきますが、この本は 基本的に前置きが長いです。その方法をとる理屈が あったほうがイメージしやすいからです。  正しい理屈も、怪しい理屈も、こじつけの理屈も ありますが、全体を読んだときに、本から学んだこ とを自分の糧にしやすいほうがいいと思っているか らこういう形態をとっているので、長いなと思った ら適当に飛ばしながら読んでください。  さて、ここからはようやく「物語思考」を実践す る具体的な方法をお伝えしていきます。このステッ プーでは行動できない人の「頭の枷を外す」方法を お伝えします。  「何をしたいか/やりたいこと({}O)」ではなくて 「どうありたいか(汐)」を作ったほうがいいよね、 ということを先ほどお話ししました。行動をイメー ジするのは難しいのですが「なりたい状態」を想像 するのは意外と簡単だからです。  しかし、多くの人がこれをやろうとすると、とて も現実的な範囲で想像してしまいます。以前、相談 してきた方に「何の制限もなかったとしたら、どう なりたいかを書いてください」と言ったときに出だ のが「年収600万円」だったのですね。何の制限 もないのであれば、1000万円と書いてもいいし、 1億円と書いてもいいはずです。しかし、勝手に自 分の限界を決めてしまっているわけです。  これをぼくは「頭の枷」と呼んでいます。枷とは、 手足の自由を拘束するもののことです。これがある と、そもそも「物語として全然つまらないものを目 指してしまう」ので、ワクワクしないんですね。  なので、頭の枷を取り除いた状態にして、そこか らなりたい状態を考えるのがステップーです。  「なりたい状態」こそが行動に影響を 与える  「なりたい状態」を言語化する方法をこれから紹介 したいと思うんですが……。その前に、なぜ「なり たい状態」を自分で把握して、言語化しておくのが 大事なのか? という話をしておきます。  それは「過去からの積み重ね」よりも「未来に なっていたい状態」のほうが、現在の行動に影響を 与えるからです。  多くの人は「過去からの積み重ね」によって今の 自分がある、と考えがちです。「昨日までこうして きたから、今の自分がある」と感じます。  これは学校教育を受ける中でもよく言われること です。「毎日勉強をした努力は裏切らない」とか 「今までやってきたことは無駄じゃない」とか、そ ういうことをよく言われますよね。だから、この考 えは間違っていないような印象があります。  しかし実は、過去からの積み重ねよりも「未来の 状態」を設定することのほうが、現在の行動への影 響度は高いんです。  想像してみると簡単です。  「10年間、毎日野球をやっていた」という人がいる とします。10年間やっていたのだから、過去からの 積み重ねで考えると、今日も野球をやりそうですよ ね。  しかし、その人がよく考えた結果「将来はプロの テニスプレイヤーになりたい」と本気で思ったら、 どうでしようか? おそらく、今日は野球ではなく てテニスの練習をすると思うんです。  人間、過去にやってきたことを惰性で今日してし まうことが多いから、なんとなく過去の自分のほう が今の自分に影響を与えそうな感じがしますが、現 在の行動には未来になりたい自分像のほうが影響を 与えるんですね。  というように「未来にこうなりたい」ということ が決まっていると、現在のやるべき行動が決まるの です。  過去にどれだけ勉強していなかったとしても「東 大に行きたい」という人は、今から勉強をするで しょう。「将来、大金持ちの成功者になりたい」と いう人は、それに向けての行動をするはずです。  「なりたい状態」を言語化しよう  このように過去から今までやっていたことは、意 外と今の自分の行動に影響を与えません。でも未来 の「なりたい状態」は、今の自分の行動に影響を与 えます。  もちろん、過去が無駄だとは思いません。先ほど の例だと、野球を10年間やってきた人の基礎体力や、 野球の経験は、きっとプロのテニスプレイヤーを目 指すときにも役に立つはずです。  しかし、今まで勉強してこなかった大に対して、 「勉強は積み重ねだからね、今からやっても無理 じゃない?」と言っても、やる気がなくなって勉強 しなくなりますよね。だから「未来のなりたい像を 決めて、それから逆算して自分の現在の行動を変え よう」と言うほうが合理的なはずです。  「だけど、過去から今まで何もしていなかったから、 きっと無理ではないか……」と思う人もいると思い ます。  でも論理的に考えてみてください。まず、「過去 は変えることはできない」というのは動かしようの ない事実です。さらに、「何かをやるなら、人生で いちばん若いうちから行動を始めるのが、いちばん 有利」というのも自明です。この2つを踏まえると、 「やらなかったことを後悔する」というのは無駄な 行為であり、それよりも「将来像を決めたうえで、 たった今から行動を始める」ほうが合理的なんです。  たとえば今が30歳だとして、5年がんばれば、何 かを成し遂げられるとします。100歳くらいまで 生きるとしたら、残りの人生はおそらく70年くらい あるわけです。今、何もしなかったら、残りの70年 間ずっと「あI、30歳からやっておけばよかった」 とか「うわ、40歳からでもやっておけばよかった じやん」と思うことになると思うんですね。  だから「過去に何もしていなかったから……」と いう気持ちは忘れたほうがいいです。  それでも「いやいや、もう今さら私か何かをやる のは、さすがに遅いですよ」と思う人もいると思う ので、もう一つだけ、具体的なエピソードを紹介し ます。  野球選手のダルビッシュ有さんが、インタビュー でこんなことを言っていました。ダルビッシュさん は、とある試合のあと「このままでは俺は二軍の選 手になってしまう。何かを変えないといけない」と 思ったそうです。そのときに「今までの人生は約20 年間だったけど一瞬だった。40歳になるまでもまた 一瞬だろう」と思ったらしいんですね。  そこで、もし40歳になって、選手をクビになって 何も仕事がない状態のときに神さまが現れて「一回 だけチャンスをあげるから20歳のときに戻っていい よ」と言われたらどうか? と想像したらしいんで す。「今、神さまに言われて20年前に戻ってきたん だ。そうしたらどうするか?」と考えると「絶対に 努力するよな」と思って、がんばろうと思えたのだ そうです。  というわけで、「未来になりたい姿を言語化して おいて、現在の行動を変えるといいよ」という話で した。  とはいえ、「何かを始めるのはものすごいパワー がいるし、だいたいの人はやろうと思っても長くは 続かない」という問題はあります。というわけで、 頭の枷を外しながら自分のなりたい状態を思い浮か べる具体的な方法を教えます。  「10年後になりたい状態」を100個 書く  それではどうやって未来の自分を想像するので しょうか。  それにはまず「10年後に自分がなりたい状態を、 制限なしに100個くらい書く」のがおすすめです。  できればカフェなどで、がっつり時間をかけて書 き出してみるといいと思います。粒感はなんでもい いです。「エルメスのバッグを持つ」でもいいです し「膝が悪いので病院に行く」みたいな「それタス クじゃない?」というレベルでも、とりあえずは大 丈夫です。  どうせ誰かに見られるものでもないですし、笑う 人もいません。自分がワクワクするようなものを書 きまくる、というのがいいです。では、書いてみま しようI  ヒントとして、左の項目を参考にしてください。  10年後になりたい状態を100個書き出し てみよう  10年後にいくらくらい年収があるといいか?  10年後にいくらくらい資産があるといいか? 始めたい趣味は? 興味があるスポーツは? 健康維持のためのトレーニングはしている? どんなライフスタイルがいい? いつか欲しいものは? いつか住みたい場所は? いつか行きたい場所は? 旅行するとしたらどれくらいの頻度? いつか会いたい人は? 体験したいイベントはある? どんな家に住みたい? どんな職場で働きたい? どんな職業につきたい? どんなスキルを身につけたい? 仕事ではどんなポジションがいい? どんな成果を出したい? どんな社会的地位を目指したい? 果たしたい役割などはある? 積みたい経験はある? どんな人と付き合いたい? 今の恋人と10年後も一緒にいたい? 結婚はしたい? 子どもは欲しい? どんな家庭を持ちたい? 家族とはどんな関係になっていたい? どんな人と友だちになりたい? 所属したい組織やコミュニティはある? 自分の時間は何に使いたい? ……隶Eけたでしょうか?  たぶん、ほとんどの人が書かずに先に読み進めて いると思いますが大丈夫です。そんなものです。ぼ くも、こういう本を読んでいる最中にいきなリワー クを入れられたら、あとでやろうかな、と思って飛 ばしちやうので、それでいいです。暇なときに思い 出したらやってみてください。  すべてのワークは各ステップの最後についていま すので、読みながらやるもよし、読み終わってから やるもよしです。  多くの人は、30〜50個書いたらネタが尽きてしま います。そのときは、無理やりでも100個まで書 いてみるのがおすすめです。あとから読み返したら、 最初のほうに書いたものは実はどうでもよくて、最 後のほうに無理やり書いたもののほうが意外と大事 だったりすることもあるんです。  もし書けなくても大丈夫です。暇なときに考えて みて、思いついたら書き加えていけば大丈夫です。 何を書いてもいいので、楽しんでやっちやってくだ さい。  「こうはなりたくない」から考えるの もアリ  やってみて、フなりたい状態”も出せない……」 と困ってしまう人もいるんじやないでしょうか。  そういう人には、順番として、「こうなっていた らイヤだな」というネガティブな状態を先に挙げて みて、それからその「逆」を考えることをおすすめ しています。  多くの人は、ネガティブなことのほうが思い浮か べやすいんです。今日食べたいものを考えるのは難 しくても、今日食べたくないものを考えるのは意外 とかんだんです。少なくとも、自分が食べたくない ほど苦手なものは、今日食べたくないものになるは ずなので。  たとえば、「明日ごはんを食べるお金がないとイ ヤだな」とか「毎日、好きじゃない上司の下で怒ら れながら仕事をするのはイヤだな」などは思いつき やすいはずです。  嫌なものを書けるだけ書いてみて、眺めてみて、 そこから逆のことを書くことで、「なりたい状態」 を出してみてください。  「ブレーキ」を外す  ……で、これをやってもらうと、多くの人が「制 限なしに書いて」と言われたのに、勝手にブレーキ をかけて書いちやうんですね。  「年収は1000万円で」とか「いまの会社で部長 になる!」と書いた人もいると思うんですが、制限 なしなので、たとえば「年収1億円」でも「社長に なる」でもいいわけです。なのに、なぜ1000万 円にしたのか? つまり自分の中で勝手に「これは さすがに無理だろうライン」を引いてしまっている わけです。これが「頭の枷」です。  そこで、次のステップでは「勝手に制限をかけて いないか?」をチェックします。「そう言われてみ れば、年収は1億円のほうがいいな」と思ったら、 それをリストの横にメモしておきます。  制限を突破するヒントとしては、「数字を2倍に したらどうだろう」とか「数字を半分にしたらどう だろう」とかで考えてみるといいです。年収 1000万円と書いたけど、2000万円のほうが 嬉しくないか? とか、労働時間を週に30時間にし たい、というのを15時間にする、だとどうか? な どと考えてみます。  注意してほしいのは、頭の枷を一気に取り外そう として「じやあ年収1兆円を目指します!」と言う 人が出てくることです。これは単に極端な例を言っ ているだけなので意味はありません。そんな人は存 在しないし、現実的ではないからです。  そういうことをするのではなくて、あくまで自分 の現実的な感覚の中で、理想の形を拡張していく、 というのが大事です。「難しいかもしれないけど、 こうやってみると、このくらいはいけそうだな」と いう自分の中での納得感がないと意味がありません。  たとえば、年収1000万円以上の人は日本人の 全体の4〜5%いるので、あり得そうですし、年収 1億円だとしても、日本に2万人いるので、「絶対 にあり得ない」というわけではありません。  それでもイメージがつかない、という人のために 一つ例を出します。  アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコの エンジニア給与の平均は2022年1月時点で、14 万3766Vドルらしく、日本円にして1800 万円くらいです。Appleの開発者の平均年収は 2000万円を超えます(indeed調べ)。20代でこ のあたりの年収になる大もゴロゴロいるんだとか。  ということを踏まえると「プログラミングができ るようになって、英語を勉強して働けるようになっ て移住したら、意外と2000万円とかはあり得る のかも」というのがわかります。年収1兆円、とい う単に大きな数字を言ってもどうやればいいのかが わからないので意味がありませんが、今説明した事 例を知るだけでも、「英語とプログラミングができ たら年収2000万円が見える」というのがわかり ます。  「なりたい状態」を思い浮かべるときに、多くの人 が思考停正したリワクワクしたりしないのは、勝手 に自分の限界を決めてしまっているからです。妄想 するのは無料なので頭の枷を外すことが大切なので す。  まあ、このあたりの現実的な感覚とかは、だんだ ん基準も上がってくるので、いまは「なりたい状態 を、もう一段階、理想に近づける」作業だというく らいの感覚で大丈夫です。  こんなのはいくらでも書き直しができるので、最 初から完璧を目指さないほうがやりやすいと思いま す。ぼくらはすぐに完璧を目指して、初めて失敗し ただけで諦めちゃうんですけど、心持ちとしては 「l一一点くらいのものができればいい」といった(I ドルの低さで始めるのがおすすめです。 トラウマやコンプレックスとの向き合 い方  「未来になりたい状態が現在の行動に影響を与える んだ」と言われても、トラウマやコンプレックスに よって、どうしても過去の影響が出てしまうという 人もいるかもしれません。  実際に、そういった質問をもらうことも多いです。 そこで、過去に起因するトラウマやコンプレックス との付き合い方についても書いておきます。  まず前提として、そのコンプレックスやトラウマ の程度によって対策は変わります。PTSDなどの 場合は、然るべき医療機関にかかることから始める べきです。  その上で、たとえば「学歴が高くない」とかの、 なかなか解決できないコンプレックスについては、 事実と解釈を分けることからスタートします。  「○○大学卒業」という事実に対して、「○○大学 卒は高い学歴ではない」と思ってしまうのは解釈で す。さらに「自分は頭が悪い」「ダメな人間だ」と いうのも解釈です。  なので、「自分は○○大学出身だ」という事実だ けを見るようにして、「自分は頭が悪いんだ」とい うのは解釈としておきます。これらを一度、ノート などに書いてみます。 【事実】 ・自分は○○大学を2015年に卒業した 【解釈】 ・自分は頭が悪い ・自分は頭がよくない大学の出身だ ・自分は大学名のせいで損している ・自分は大学名のせいでなめられている  みたいになりますね。また、「えI、○○大学出 身なの? バカなんだね」と昔言われたことがトラ ウマだったりするなら、それも追記してみます。  【事実】 ・自分は○○大学を2015年に卒業した ・△△さんに「○○大学出身なの? バカなんだ ね」と言われた  【解釈】 ・自分は頭が悪い ・自分は頭がよくない大学の出身だ ・自分は大学名のせいで損している ・自分は大学名のせいでなめられている ・△△さんは、自分のことをバカだと思っている  みたいな感じです。「△△さんは自分のことをバ カだと思っている」というのも、事実っぽく見えま すが、それってあなたの解釈ですよね。  言われた言葉は事実でも、相手が本当にそう思っ ているかはわかりません。相手は単に、過去に○○ 大学卒の人から嫌なことをされたから、○○大学卒 の天が嫌いで強い言葉を使っただけかもしれません し、冗談のつもりかもしれませんし、あえて言うこ とで奮起させようとしたのかもしれないですし……。  という感じで、相手の頭の中をのぞくことはでき ないので、真意はわからないわけです。このように、 事実と解釈をしっかり分けるのが第一ステップです。  その上で、その解釈をした理由をノートなどに書 いていってください。 【解釈をした理由】 ・自分は頭が悪い  ……仕事で言われたことを理解できないときがあ る。難しい本を読んだときも理解が追いつかず、何 度も読み直すことが多い。みんなで話しているとき も、頭の同転が遅いせいか、うまく会話に入れない ときがある。  みたいな感じです。ここはなるべく「出しきっだ ぞ」と思えるくらいたくさん書くのがいいと思いま す。  こういうネガティブなことを書くのは、結構みん なスラスラできるので、どんどん書いちやつてくだ さい。  そして次に、ノートの反対側のページに、今書き 出した、「自分は頭が悪い」と解釈した理由に対し て、それぞれ反論を書いていきます。これも、相手 を否定するようなことを書くのは結構誰でも得意な ので、ガンガンと否定していきましよう。  コツとしては、「私は〜」みたいな言い方じやな くて、客観的に、自分の名前を使うことです。「古 川さんは〜」みたいに、呼ばれている名前がいいと 思います。実際に書いてみると。  【反論】 ・「自分は頭が悪い」への反論  ……仕事で言われたことを理解できないのは、人 それぞれ理解しやすい説明の仕方があるので、一概 に古川さんの頭が悪いとは言えない。たとえば古川 さんは、図にすると理解が早かったりするし、時間 をかけると正確な理解をしていることも多い。  難しい本を読んだときに読み返すのはほとんどの 人でも同じだし、だいたいのケースは、知識がない からというだけのことが多い。すでに知っている知 識がベースになっている本を読むときは普通のス ピードになっているので頭が悪いわけではなく、単 に知識がないだけではないか。知識は知っているか 知らないかの違いにすぎないので、頭の良し悪しと は関係がないのではないか。  コミュニケーションについてはまた別の問題であ る。会話においては反射的に答える必要があるが、 これは会話のパターンやコミュニケーションのプロ トコルを知っているかどうかに、かなり左右される。 頭が悪いわけではないが、コミュニケーションのパ ターンの本を読むだけで、通常の会話はだいたいで きるようになる可能性もあるのではないか。  みたいな感じです。  ムカつく相手の理論をボコボコにするようなノリ で書いてみてください。気持ちよく書いちやって大 丈夫です。  こういった作業をやっていくと、いつの間にか多 角的に事実を見られるようになります。  「自分は頭が悪い」と思い込んでいたけど、実はそ うでもないかもしれないし、案外そうとは言いきれ ないな……、みたいに思えてきて、コンプレックス の度合いが下かっていきます。  根強いコンプレックスがあるという人は、こう いった作業を挟むことで、よリブレーキを外して、 なりたい像を書き出していくことができるはずです。  「抽象度」をコントロールして理想に 近づける  というわけで、なりたい状態を書き出せたら、次 は「抽象度を上げてみる」という作業です。  抽象度を上げるというのは「なんでそうなりたい んだっけ?」というのを自分でもう一段、上位の理 由を考えてみるイメージです。  そうすると、たとえば「1億円がほしいのは、実 は金銭的な自由がほしくて、お金の不安を持ちたく ないからなんだな」となったりします。「今の会社 で部長になる」というのも「自分の思った正しいこ とをやれるようにしたい」と思っていたことに気づ けるかもしれません。そのように抽象化していくと、 より自分の求めていることにフィットした目標に なっていきます。  それを認識したら、また「なりたい状態」に戻っ て具体的に書いてみます。  たとえば「金銭的な自由がほしい」「不安を持ち たくない」というところから考えると「働くことで お金をもらうだけじゃなくて、働かないで必要なお 金を手に入れたいな」と思うようになるかもしれま せん。ということは、単に年収1億円よりも、「不 労収入で年に1億円入るようにする」というほうが 自分の理想に近いかも……、ということなどがわ かってきて、より精度の高い「なりたい状態」を作 ることができます。  ここでやっているのは「なりたい状態をより理想 のものに近づける」という作業です。なんとなくの 「なりたい状態」があるときに、それを言語化する のが難しいので、ちょっと時間をかけてやってみよ うという感じですね。  「解像度」を上げていくと実現に近づ く  そこまで終わったら、あとは解像度を上げていき ます。  解像度を上げるというのは「じやあどうしたらそ の状態になるんだっけ?」というのをより鮮明にイ メージできる状態にする、ということです。  たとえば「不労収入で1億円を得るためには、 持っている資産を5%の利回りで運用するとして、 どれくらいの資産が必要かな」みたいに、具体的な 数字を出していくとやりやすいです。この場合、 「ということは20億円の金融資産が必要になるな」 と気づけます。  じやあ、20億円を10年後に得るには、会社を立ち 上げて、50%の株式シェアを持ち続けて、40億円以 上の時価総額にするところまでがんばればいい……、 などがわかります。  またもう一例をあげると……。NTTがアメリカ のシリコンバレーで最大100万ドル(約1億 100万円)の年俸を提示して研究者を採用してい るというニュースがありました。Googleなどをは じめとする、強いグローバル企業との採用競争に負 けないためです。ということは、英語ができて、今 求められている技術者だと年俸1億円も夢ではあり ません。  ちなみに決算発表のデータから推測するに、日本 でNTTの取締役や社長になっても、おそらく年収 4000万〜5000万円程度なので、NTTの社 長になるよりもはるかに高い額をもらえそうです。  ほしいものがある場合には「エルメスのバッグが 100万円だから、月に2万円貯金するとして、 50ヶ月、4年ちょっとで購入できる。中古の場合は 60万円なので、30ヶ月」というように、計画を作っ ていきます。100万円のバッグを持つなんて無 理! と思っても、中古なら月に2万円貯金するこ とで30ヶ月で達成できる、と言われるとそれなりの 現実的なラインに感じるのではないでしょうか。  また、「本物は実際、どういう感じか?」という のを体験してみるのも有効です。たとえば、ベンツ が欲しいと思っていたら、実際にベンツのお店に いってみて、シートに座ってみて、試乗してみます。 買ったときの感覚を疑似体験できるわけですね。  もう買うつもりくらいの感覚でお店の人に聞いて しまってもいいかもしれません。パンフレットをも らって、車のサイズを調べて、駐車場を家の近くで 探して、駐車料金を調べて……などと行動している と、どんどんリアリティが上がっていきます。  こうすることで、なりたい状態の「解像度」が上 がっていきます。  ここでやるのはあくまで解像度を上げるために知 識を増やすこと、という点に着目してください。年 収1億円の人はどういう人なのか、どこの国で何を やればいいのか、などが明確になればなるほど、自 分かやるべきことがわかってくるのが大事です。  先ほどの例で言うと、「年収1億円目指すぞ’・ だから大きな会社の社長になるぞ’・ NTTのトッ プになるんだ’・」と思っても、年収1億円にいかな いので無理なわけですね。こういう知識を持ってい ると、今やるべき行動は変わるわけです。  この時点で「いやいや、絶対無理だよ」と思って も、あくまで「制限がなかったとしたら」というの を前提に、夢物語として考えるくらいのテンション にしておくことです。そうしないと、「現実的に無 理だよ」と勝手にブレーキをかけてしまいます。  という感じで、まず、なりたい状態を明確にして おくと、本書の「物語思考」が進むイメージが描き やすいはずです。  解像度が上がると、どんどん現実に近づいていき ます。モヤモヤ想像しているだけだと、何も進みま せん。でも解像度が上がると、途端に物事が動き出 すということがよくあります。  先ほどのベンツの例のように、無料でできること はたくさんあります。自分の妄想をはっきりさせる というだけなので、単純に楽しい作業としてやって みるといいと思います。  実際にお店でベンツに乗ってみたら、「あ、実際 にいろいろ検討してみたら、ベンツではなさそう。 もうちょっと小回りがきく車がいいな」となること もあります。それはそれでいいのです。  「年間1億円寄付する」ということをやってみたい なら、まずは1000円を寄付してみます。小さな 規模でやってみて、「これはやりたい」と思ったら、 1億円を目標に置いて、少しずつ規模を大きくして いきます。いきなり1億円を寄付するのは無理でも、 できる範囲で、1500円、2000円と増やして いくこともできるわけです。  そうやって、自分が幸せだと思うゴールを明確に して、少しずつでも前に進んでいくといいと思いま す。  手軽にできる、解像度を上げる作業一覧 欲しいものを見に行って触ってみる 車を試乗しに行く 服や時計を試着しに行く 欲しい家具や家電を店舗で触ってみる 有名ブランドの香水を試してみる 高級ヘッドホンで音楽を視聴してみる 泊まりたいホテルのカフェに行ってみる 住みたい物件の内覧に行く 高級スーパーで献立を考えながら歩いてみる 高級マットレスを店舗で体験してみる  飼いたいペットを実際に見に行ってみる  行きたい学校や会社の近くに行ってみる  憧れている人と同じトレーニングをしてみる  各職種の年収を調べてみる  理想の収入が得られたときの1ヶ月の出費を計算 して、帳簿をつけてみる  お金を寄付する先を探してみる  コンビニでお釣りをすべて寄付してみる  理想の成功者と同じスケジュールでI囗行動して みる  理想の成功者の写真などを集めてみる  理想の成功者に似せた構図で写真を撮ってもらう 要素ごとに数値化してみてもいいかも  自分が幸せだと思う状態を明確化するには、欲求 をジャンルごとに数値化するのもおすすめです。  たとえば、以下のようなルールでやってみると、 自分がどう思っているのか、より理解が深まります。 具体的なほうがイメージしやすいので、ここでは、 ぼくの欲求を例に出して書いてみます。  ルール  ★5段階で、欲の強さを書いてみて、その上で 「どういう感じだとテンションがあがるのか、何に 興味がないのか」を書くだけ。 @金銭系 ・お金  欲の強さI★★★☆☆  お金を稼ぐこと自体にはあまり興味がないんです が、好きなことをやり続けるのにはお金が必要だと 考えると、それなりに欲しいなとも思います。  たとえば「フォードナイトで、自分のキャラク ターを出してゲームにしたい!」とか「それを広告 に出して、100万同プレイされたい」みたいに 思ったりしても、それを実行するとなると、簡単に 100万円くらいなくなってしまいます。  しかも、それを実施するとしても、マネタイズを 考えるのは苦手なので、赤字でも許されるくらいの お金は欲しいなあ、と思いました。  ここで、よく考えてみると、ぼくの場合は「お金 を稼いだことによるスコア感」みたいなものにはあ まりときめかない一方、何かの実験をして、その結 果から何かを発見するのは好きなので、そういう意 味では結構お金を使っちやうタイプなんだとわかり ました。 ・資産運用  欲の強さI★★☆☆☆  普通にやりますが、資産運用をがんばろう、いろ いろやってやろう、みたいなモチベーションはあま りありません。上場株とかで儲けるためにいろいろ 調べる、というのも「結局公開されている情報って 誰でも取得できるしなあ」というので、発見があま りなくておもしろくないと思ってしまうんです。  あるとしたら「お金をある程度効率的に運用して、 最小のコストとリスクで、平均的なリターンを得 る」というのが好きなくらいですね。 A生活編 ・食事  欲の強さI★☆☆☆☆  食事に関して、欲はあまりありませんでした。お いしいものを食べたい’・ いいものを食べたい’・ とかもあまりないです。おなかが空かないなら、何 も食べずに生きたいくらい。  ただ、飲み物は結構好きです。雰囲気のよいとこ ろでお茶でも飲みながら作業したり仕事をしたりす るのは好きなので、そういう欲ば強いなと気づきま した。 ・飲み物  欲の強さI★★★★☆  というわけで、飲み物への欲求は意外と強めにあ りました。最近は、かっこいい急須を買ったので、 日本茶を飲むのにハマつています。あと、クラフト コーラを飲むのも好きです。  コーヒーはカフェインが強いのであまり飲まなく なりましたが、好きです。こだわりはあまりないで す。 ・お酒  欲の強さI★☆☆☆☆  お酒は飲むのをやめました。昔は普通に飲んでい て、ワインも日本酒もハマるといろいろな世界があ るしつながりもできるなと思ったんですが、飲むこ とのマイナスも結構あると思うので、バッサリと断 ちました。 ・睡眠  欲の強さI★★★★★  普通に寝たいです。というか、体力がないから ちゃんと休まないと身体を壊してしまいがち……。 B人間関係編 ・人間関係  欲の強さI★★★★☆  芸能人と友だちになりたい’・ みたいな気持ちは あまりないんですが、一流の仕事をしている人の話 を聞いたりするのは好きなのと、いろいろなつなが りから、いろいろな話をするのは好きなので、その 意味では、結構強いかも。  おもしろい人と企画やアイデアについて話すのが 好きです。起業家とか、とにかく好きですね。 ・恋愛関係  欲の強さI☆☆☆☆☆  結婚しているのでまったくないです。これは外向 けでもなんでもなくて、相当興味が薄いという感じ です。  知り合いで、かなり広く恋愛対象として相手を捉 えている人とかがいたりして、すごいなIと思った りしています。 ・自己顕示欲  欲の強さI★★☆☆☆  X(Twitter)とかでよく発信していて、反応がほ しいので、強いのかな、と思っていたんですが、よ く考えるとちょっと自己顕示欲とは違うようだと気 づきました。街中とかで話しかけられるとすごく びっくりするし、登壇とか取材も、いつも身のすく むような思いになっちやいます。  というわけで、影響力を行使したい、自分を見て ほしい、という気持ちはそこまで強くないみたいで す。SNSなどでの発信で反応が欲しいという気持 ちは、自己顕示欲とはまた別のジャンルの欲求でし た。 ・発見欲  欲の強さI★★★★★  何か新しい考えや、新しい法則みたいなのを発見 して、それを広くシェアして、反応をもらいたい、 みたいな欲求は相当強いみたいです。  こういうサービスを立ち上げたら、こういう反応 があったよ’・ という発見をしたいし、それをとに かく言いたい。その媒体として、X(Twitter)の フオロワー数は大事だし、影響力は大事、という感 じです。  自分で考えたロジックやつながり、考え方、もの の見方みたいなのを広く伝えるのも好きだし、やり たいんだなと。 Cモノ・製品 ・車  欲の強さI★★☆☆☆  移動手段として車を使うことが結構あるのですが、 フェラーりほしいI ポルシェほしい! みたいな のはほとんどありません。プロダクトとしての車に 今のところ、あまり興味がないっぽいです。  移動手段として快適であればいいな、くらいです。 なので、この車ほしいなIみたいなのもあまりない ですね。 ・家  欲の強さI★★★★☆  いい家に住みたいとかはないかなと思っていたん ですが、生産性に直結するので、広かったり、緑が 目に入ったり、空間として心地よかったりするのは 大事なんだなというのがわかってきました。 ・時計  欲の強さI★★★★★  プロダクトとしての時計が昔から結構好きで、興 味があるんですが、これは今もかなり好きです。雑 誌とかも読んじやう。  ただ、高い時計でマウンティングをする、とかは あまり気持ちよくないです。有名なものをつけてい て、話しかけられたり、指摘されたりするのも好き じゃない。自分の好きなデザインのものとかを探し たりするのが好きです。  それでいうと、機械式時計のムーブメントとかに 興味があるわけではなく、あくまでデザインの話か もしれません。工業デザインとアクセサリーとして のデザインが交差しているものなので、そこにとき めきを感じます。  成金趣味の一つとして捉えられることが多いので、 普段、外向けにはほとんど言わない趣味です。 ・その他のモノ  欲の強さI★★★★★  割と「いいものを一生使っていく」みたいなスタ イルに憧れているので、そういうものを探すのが趣 味の一つです。  爪切りとかは、一生使えそうなものをかなり長く 使っています。先ほども書きましたが、最近は急須 や湯のみを探しています。  とにかく「道具」というものが好きで、ず1つと 使える椅子、机、ペン、バッグ、みたいなものを探 し求めるのが好きです。  最少のモノで、とにかく長く使えて、メンテナン スに時間とお金がかかってもそれを使い続ける。新 しいものを消費し続けるのではなくて、大事に使っ ていく、みたいなのが好きなんだと思います。  前述の時計もほぼそれですね。50年後とかにも道 具として使える前提のものが欲しいんだなと思いま す。  一方、コレクター欲ばなくて「いいスニーカーを 大量にほしい」とかは全然ないです。「このバッグ を20年使っています」とか「このカメラで30年やっ ています」みたいなスタイルに憧れがあります。  と、こんな感じでジャンルごとに自分の欲求につ いての分析を書いてみました。これを書いたことで、 たとえば食べ物やお酒にはあまり興味がないけど、 お酒以外の飲み物には結構興味があるんだなと気づ けたりしました。 コンフォートソーンの基準を上げる 「なりたい状態」の解像度は上かってきたでしょう か? ここで、コンフォートソーンの話も知ってお くといいので、少しお話しします。コンフォート ソーンとは、「心理的なストレスがないと思える状 態」「自分が心地いいと思う基準にいる状態」とい う意味くらいに捉えておいてください。  先ほどは「制限をつけずに、なりたい状態を考え てください」みたいなことを言いましたが、これと 同じようなことは、よくビジネス書でも言われます。 たとえば、「野心を持とう」「目標を高くしよう」 「大きな志を持とう」などです。  でもこれを聞いて、「よし、高い志を持とう」と 思って「世界一になるぞ’・」と目標を立てても、な かなかうまくできなかったりしますよね。これは、 解像度の柢さも問題ですが、自分のコンフォート ソーンの問題もあります。  人は、基本的に「いまの状態をキープしよう」と するのだそうです。変なことをして危険にさらされ るよりも、いまの状態のままでいたほうが安全だか らです。  体重が60sの人は、60蛇が普通の状態です。そこ から5s痩せようとしても、身体や脳は「いやいや 60sで安定しているんだから、そのままにしよう よ」という反応をするのです。そのように動物は、 潜在意識としては、変化を嫌う傾向にあります。そ こで、これを逆手にとって考えるわけです。  「ぼくは年収1000万円が普通なんだ」と思うよ うになれば、年収が800万円になったとしたら 「やばい’・ ぜんぜん足りていないぞ」と感じるよ うになります。「世界で活躍する」という状態が普 通だったら、「東アジアのたったIヶ国でしか活躍 できていないなんて、やばいぞ」と思えるようにな ります。  このように、コンフォートソーンをうまく上げ続 けていれば、視座は自然と上がっていくはずです。  ちなみにコンフォートソーンを上げる方法として は、実は「解像度を上げる」というのがそのまま使 えます。自分の頭の中で、理想を現実だと勘違いし てしまうくらいに解像度を上げていくと、コン フォートソーンが動きます。  イメージしやすくするために、ぼくのケースをお 話しすると……。19歳のときに、大学受験をして、 早稲田大学というところに行きたいと思ったんです。 なぜここかというと、校風もいいですし、偏差値が 私大文系でトップだったので、トップがいいな、と 思ったんです。  ただ、ぼくは本当に頭が悪かったので、到底無理 そうです。で、どうしようか一生懸命考えたんです ね。  で、やったのが「自分は早稲田大学生だと思い込 もう」ということです。  そこで、まず、いろいろな予備校の合格体験記を 読みまくりました。志望校に受かった人たちが、ど ういう勉強をして、どういう生活を送ってきたか、 というのをすごく読み込んだんですね。そして、次 は、自分で合格体験記を何度も書きました。まるで、 大学に受かったかのように詳細に「こういう勉強を して、こういう生活を送って、テストのときはこう したら受かりました」的なものです。正直、そのま ま合格体験記として使えるレベルだったと思います (勉強しろ)。  さらに、前述しましたが、自分で大学受験生用の コミュニティサイトを作って、そこで「早稲田大学 生だけど質問ある?」みたいに質問を受け付けて、 答えまくってたんです(勉強してくれ’・)。  インターネットは匿名なので、みんなぼくのこと を早稲田大学生だと信じて、いろいろ質問してくる ので、がんばって答えていました。こういう勉強法 をするといいよ、とか、こういう心構えがいいよ、 英語はこういう問題が出がちだから、このあたり対 策したほうがいいよ……などです。  さらに、大学まで行って、構内を我が物顔で歩い たりとかしていました。すると、脳は本当に自分が 早稲田大学生だと思ってくるんですね。正確に言う と、やっている行動は大学生の行動そのものなのに、 もし受験に失敗したら、「大学生という身分」が剥 奪されるような、そんな気持ちになるんです。  人間は、得られることよりも、失われることのほ うに恐怖を感じます。脳内で、本当に早稲田大学生 の感じがしてしまっているので、だんだん早稲田大 学生でいられなくなるかもしれない状況が気持ち悪 くなってきて、勉強するようになりました。  というわけで、コンフォートソーンを上げるため には、理想を現実だと思い込んでしまうくらい解像 度を上げるというのが大事です。想像できないもの は人間、なかなか成し遂げられないので、ぜひとも 参考にしてみてください。 リスト化を完璧にしようとしない  「なりたい状態」をなんとなくイメージできたで しょうか。  ここでちゃんとお伝えしておきたいのが、「最初 から完璧なリストを作ろうとしないこと」です。イ メージとしては、これから100回作ることになる リストの、1つ目にすぎない、くらいに考えておく ほうがいいと思います。  ここで一つ「ネズミの実験」について紹介してお きます。  『脳はすこぶる快楽主義』(池谷裕二)という本に 書いてあったのですが……。ネズミを、複雑な迷路 に入れて、最短距離をどのくらいで見つけられる か? というものです。ネズミは何日か経つと、自 分で最短距離を見つけられるようになる、という話 だったのですが、おもしろいことに、個体差がある んです。  20日かかるネズミもいれば、3日で正解にたどり 着くネズミもいる。  じやあ、それは何の差か? というとシンプルに 「迷路に入れられた最初のI、2日でどれだけ多く 失敗したか」らしいんです。学習の初期に、どれほ ど無駄なルートを通ってたかが決め手なんだとか。  失敗は成功の母、みたいな言葉をみなさん、何百 回も聞いたことがあると思うんですが、正確には 「学習初期に、無駄なルートをたくさん通ったほう が成功する」なのかもしれません。  似た例で、「マシュマローチヤレンジ」というの があります。  これは「4人ずつのチームで、20本のスパゲッ ティと、卯mずつのテープとひもで自立する建造物 を作り、そのいちばん上にマシュマロをのせ、制限 時間内で、できるだけ高い建造物を作ったチームが 勝ち」というルールなんですが、これをやると、い ろいろ試しまくる幼稚園児のほうが、賢く戦略を立 てて実行しようとするMBAの学生や弁護士、コン サルタントよりも成績がいいらしいんです。  これも「ひたすら試し続けたほうが成果が出る」 というパターンですね。  「チャレンジした量が大事」とか「失敗が大事」と か言われても、いまいちピンとこないかもしれませ んが、「学習初期に、無駄なルートを大量に試すの が成功に近い」というのを知っていれば、無駄なや り方を大量にやるほうがいいよね、と考え方が変わ るので、いい話だなと思いました。  ぼくらは、油断すると「無駄なことはしたくな い」と賢い方法を探したりします。今回のこの「な りたい状態をリスト化する」という作業においても、 最初からいいものを作ろう、自分がしっくりくるも のを作ろう、これで人生を変えよう、と思ってやる と、到底できないはずなんです。  なので、「これからリストを何度でも作ろう。最 初の頃は、とにかく失敗したほうが効率がいいから、 いろいろなリスト化を試そう」と思ってもらえると いいかなと思います。 無駄をなくそうとするのが無駄  ここで、「無駄なことをしたくない」「賢く立ち回 りたい」みたいに考える癖がある人向けの話をして おこうと思います。  何を伝えたいかと言うと、「ほとんどの人はキャ リアの設計なんてできないし、設計どおりにいくこ とはない」ということです。  ネットで「歳をとると過去に努力したことが活き たりして、伏線が回収されたような気持ちになる。 努力は無駄にならない」みたいな意見を見ることが あります。  しかし、伏線回収というのは、結果論にすぎない ことがほとんどです。  もちろん、数年先くらいまでなら見通せます。た とえば、英語を勉強して海外で働くことを決意して、 そのあとに海外で働く、というところまではできた りします。しかし、不景気になって、レイオフに なって、ビザの関係で囗本に戻らないといけなくな る、みたいなことは予想がつかないわけです。  狙って伏線を張り、あとから意図的に回収すると いうのは、人生においてはほとんど無理だし、そう 思っておいたほうがいいと思います。  一方で、「伏線が回収された」と感じることがあ るのも事実です。  たとえば、ぼくのケースを話すと、小学校とか中 学校のときとかはほとんど漫画ばっかり読んでいた んですが、それが今、出版社さんとの仕事に大きく 役に立っていたりします。また、学生の頃にイン ターネットにハマつていたことが、インターネット の仕事をするのに活きていたりします。  さらに、仕事の上でのいろいろな努力、たとえば すごく地道な作業なども含めて、ほとんど今に活き ているので、「努力したことが無駄になったな」と 思ったことは、あまりありません。  なので、個人的には、 ・無駄になる努力もあれば、無駄にならない努力も あると思う ・ただ、自分が思っている以上に、スキルや知識は 掛け算として使えるので、ほとんどが無駄にならな いという感覚はある  という感じです。  というわけで、どうすればいいかというと、「伏 線をたくさん張り巡らせる」ということだと思うん です。たくさんの伏線を張っておけば、どれかが回 収されたりはする、ということです。  そのときに、「できる限り回収されそうな伏線に しておく」というのを意識すると、よりよさそうで す。  先はどの例なら、英語ができて、海外で働いた経 験があるなら、日本に戻ってきても、外資系企業な どで重宝される可能性がありますし、海外とのやり 取りが多い会社などからも人気がありそうです。そ こで就職が決まる可能性も大きい。  つまりは、日本に帰らないといけなくなったから と言って、それまでの努力が無駄になるということ もないわけです。  人間は基本的に、無駄な努力を極力避けようとす る傾向にあります。さらに、最近だとコスパを重視 するせいか、ひたすら無駄になることをやりたくな いと思っている人が多くいますが……。  そうやって悩んでいるうちに、何も行動をしない ことになってしまい、日々無駄に過ごしてしまった りすると、偶然回収される伏線すらない、という状 態になってしまいます。  「悩んで何も行動していない」というのは、体感と しては何も失っていないように感じるかもしれませ んが、それ自体がかなり激しめの、リスクが高い行 動だったりします。  たとえばよくあるのが「資産運用をしようと思う んですが、なかなか行動に移せなくて」という悩み です。  給料が銀行口座に振り込まれてそのままになって いるわけですが、これは見方を変えると、資産のす べてを囗本の「円」に投資している状態とも言えま す。  投資ではリスクを分散することが大事です。特定 のところに全財産をかけていると、そこが失敗した ときに、一気に減ってしまうからです。  なので、 ・インデックスファンドなど、分散して投資してい るものを買う ・債券、不動産、金、暗号資産などに分散する ・現金は円とドルとユーロに分ける  などをやって分散させることで、リスクを減らす のが定石です。  というわけで、「日本円の、現金に全額を投資し ている。しかも一つの銀行に置いてある」というの はものすごくリスクの高い勝負をかけている状態な んですよね。  より具体的なイメージを話すと、円安が一気に進 み、たとえばIドル200円などになったら、輸入 しているものが一気に高くなって、生活がままなら なくなる可能性もありますし、インフレが進んで、 物価が2倍などになったら、資産は実質的に半分に 減っていることになるからです。  半分でもドルにしておくだけで、円安のリスクは 抑えられますし、一部でも株や不動産に換えておい たら、インフレのときにカバーできたりするわけで す。  というように、「極端と言っていいほど、リスク の高い資産運用をしている状態」なのにもかかわら ず、本人の認識としては「リスクを恐れて行動をし ていない」と思っているわけです。  これは転職や起業のときも同じで、「起業をしよ うと思っているけど、なかなか行動に移せない」と いう状態は、「今の会社で働くことを積極的に選択 し続けている」という状態とも言えます。  これは、「野球選手になりたいと思っているのに、 ずっとテニスをし続けている」ようなものです。  また、「コスパよく人生を過ごそうと悩んで、行 動は何もしなかった」というのも、「悩み続けてい る状態を積極的に維持している」ということをやっ ています。  なぜこんなことが起こるかというと、人間には現 状維持バイアスというものがあるからです。今と同 じ状態を続けたい、新しいことや変化は怖い、とい う感情が根っこにあるんですね。  なので、今ものすごいリスクが高い行動をしてい たとしても、「今と違う行動をとる」ほうがリスク だと思ってしまうわけです。  そもそも人生の中でもっとも貴重なりソースは時 間ですし、タイミングというものは、一度外すとな かなか訪れません。起業のよいタイミングを逃して、 ずっと起業していないという人も多いですし、「今 行動してれば変わっだのに」という人がたったI度 行動しなかっただけで、不本意な結果になってたり することもよくあるのです。  というわけで、「無駄な行動をしたくないから、 賢い立ち回りについて考えていたら、結局あまり行 動できなかった」みたいな状態になりがちな大は、 実際はものすごく極端でリスクの高い行動をとって いると自覚できるとよさそうです。 未来を予測してもほとんど外れる  無駄をなくしたいという人の中には、「未来を予 測して、有利になるように立ち回ろう」と考えるひ とも多いように思います。  人間は性質として、「これからこうなっていくだ ろう」と予測するのが好きですし、それが当たると 快感を覚えます。  しかし、人類の歴史を振り返っても、ぼくの短い 人生経験を振り返っても、「もはやこの複雑な世の 中を予測するのは無理じゃないか」という気がして なりません。未来を予測して賢く立ち回ろうとして も、ほとんど外れてしまうんです。  たとえば2019年くらいに、めちゃくちゃ頭の いい人だちと「今後の未来はどうなるか?」を話し たことがあります。  みんな賢いので「未来は予測できないが、たとえ ば2020年のオリンピックは確定しており、それ までの政治体制もこうなっているはずだ」みたいな 前提をもとに景気がどうなるか、社会や政治、経済 がどうなるか、というのを話していました。  かなりロジカルで、ぼくは「すげIな」と思って 聞いていたんですが、めちゃくちゃ外れたんですね。 ご存知のとおり、新型コロナウイルスが流行し、社 会の様式が一気に変わり、金融緩和や助成金のバラ マキなどが各国で激しくなり、オリンピックは延期 されてしまいました。  そして2022年にはロシアのウクライナ侵攻が 始まり、安倍元首相が亡くなってしまい……、と いった感じです。これらを予測して何か計画を立て るのは、ほとんど無理だったわけです。  投資などをやっていても、エンジェル投資という、 スタートアップに投資をする活動をぼくはよくやっ ているんですが、これもまったくわからないです。 ・社長がすごく優秀である ・社長が有名企業出身である ・ビジネスがすでに立ち上かっていて売上がある ・市場が魅力的である  など、投資の基準はいろいろあると思うんですが、 やってみた結果「何か起こるか全然わからないし、 ほとんど運」という気持ちになりました。  社長が優秀だったけど、不慮の事故で働けなく なってしまったり、超大手企業がいきなり同じ分野 に参入してきたり、そんな市場はないと散々いろい ろな人に言われていたのに大ブレイクしたりと、正 直、全然わからないです。  社長がポジティブだろうとネガティブだろうと、 周りを頼るタイプでも一人でやるタイプでも、あま り結果に影響はしません。  当然、統計的に見たら「こういう人がいい」とか 「こういう会社が伸びる」とか科学的に分析できる のかもしれないですが、ぼくはもう「予測なんてで きないな」という気持ちになりました。  日本の未来もどうなるか、まったくわかりません。 最近では、日本の未来に対して悲観的な人がほとん どですし、ぼくもそちら側なんですが、これもわか らないと思っています。  日本では、たった150〜200年前とかは、み んなちょんまげとかしてたわけです。そこから焦っ て、列強に追いつけ追い越せと明治維新をしてがん ばって、清とかロシアと戦争して勝って、列強の一 員にギリギリ滑り込んで、一等国だ’・ と喜んだり していました。  その後、列強っぽい行動として植民地とかを獲得 していったら、太平洋戦争で負けて、無条件降伏し てやベーとなっだけど、朝鮮戦争特需でぐわっと復 興して、高度経済成長で伸びまくって、バブルがは じけて失われた30年になり、少壬咼齢化と経済成長 のなさと財政への不安が高まって今……みたいな感 じです。30年とか50年単位で見ると、激動すぎます ね。  そう考えると、これから30年くらいで、何かしら の社会変革が起きて、あらゆる状況がひっくり返る とかは可能性として大きいです。  思った以上に日本の衰退が激しくて、治安がもの すごく悪くなって今とはまったく違う社会になると か、移民への対応を変えることで今の中国の政治と 合わない中国人が大量に入ってきて、経済が活発な 移民国家になったり、翻訳機の進化によって、言葉 の壁があった日本が突然グローバル市場に投げ出さ れていったり、高齢者でも働ける技術革新があるこ とで、労働人口がぐっと増えたり……みたいな感じ で、あらゆるパターンがあり得ます。  そんな感じなので「囗本の将来はこうなると思 う」とかで予測して動いても大外れする可能性のほ うが高いと思っていたりします。  結局のところ、リスクを分散して大外れしないよ うにするしかないとは思うんですけど、「当たるも 八卦当たらぬも八卦」という考え方でいるのがいい と思います。  要は、「こっちの未来がくるんだ’・」と思い込ん でやってみて、ダメでも運がなかったと思って落ち 込まない、くらいのほうがいいと考えています。ま た、予測が当たったとしてももちろん運でしかない ので、「自分には未来予測をする能力がある」みた いに思わないほうがいいです。 大きな夢を追う人は、夢がフィットし た人 「自分はこれをやりたい! という大きな夢や目標 を持つには、どうしたらいいのか」という質問をさ れることがあります。  ぼくの周りには、大きな夢や目標を持っている起 業家の人などが多いです。そういった人たちの共通 点をあげるとしたら、意外かもしれませんが、「自 分の設定した夢や目標を変えるのに躊躇がない人」 だったりします。  みんな「すごい人は、若いうちから夢や野望や志 を持っていて、それに向かって邁進している」と 思っていますし、「その夢はずっと変わらないもの だ」と感じていると思います。  しかし、「若いうちから夢や目標をびしっと持っ ていて、それをブレさせずに向かい続けている」み たいな大って、かなリレアなケースであり、あまり 真似をすべきではないと思っています。  さらに言うと、そういう人の中で成功した大とい うのは、一握りもいいところです。目に大らないだ けで、若い頃からの夢や目標を追い続けているけど、 まったく大成していない大もたくさんいたりします。  話を戻すと、大きな夢や目標に向かって努力して いる人たちは、結構みんな、やることをコロコロ変 えているんですね。その上で、一番フィットして、 一番うまくいきそうなものを「夢」にしているんで す。  しかし、囗本人はなんとなく「ずっと一貫してい る」とか「ブレない」みたいなことを高く評価しが ちな性質があるので、一度決めた夢を変える、とい うところに抵抗があると思うんです。  サッカーで世界一になる’・ と言ってた人が次に テニスだ’・ と言って、最後はバスケだ’・ と言っ てたら「あいつは自分がない」とか「すぐ諦めてや り通さない」みたいな評価になるイメージがありま すよね。  しかし、普通に考えて「最初に決めた夢や目標が もっとも正しくて、自分にとっても一番向いていて、 成功する」というのはかなり奇跡的です。それを目 指すのは、あまりおすすめできません。  周りに「俺は○○でトップになります’・」と言っ た数ヶ月後にまったく違う行動をしているみたいな 大はよくいますが、何かで超うまくいくと、その夢 が固定になりますし、その時間が長くて成功してい ると「あの大は、夢や信念を持っていて、ブレなく てすごい」みたいな評価になっていくんですよね。  そもそも、何者でもない人の夢や目標なんて、誰 も気にしないわけです。たとえ近くの友だち100 大とかが「あいつはコロコロ変わる」と思ってても、 成功しちやえば、そのあとにその何百倍の大が知る ことになるので、まったく気にすることではないわ けです。  孫正義さんだって「なんかでっかいことをやる ぞ」くらいから始まっているわけなので、なりたい 像を考える上でも、あまり肩肘を張って決める必要 はないんです。 年齢によってやり方を変える  「なりたい状態」のリスト化は進みましたでしょう か。繰り返しますが、このリストはこれから何年も かけて、じっくりとアップデートするものですから、 今すぐすごいものができなくてもいいので、ご安心 ください。   一方で、そうすると「じっくりとアップデートし ていくうちに時間が経ってしまって、どう行動した らいいのかわからなくて不安だ」という問題が出て くると思うので、このステップの最後に「なりたい 状態がわからない」への解決法をいくつか紹介して おきます。  「なりたい状態」というのは探したからといって、 すぐ見つかるものではありません。そこで、ぼくは 迷ったら「年齢で決めちゃう」ことを勧めています。  「キャリアのVSOP」というものがあります。 1978年に出版された脇田保さんの『自立人間の すすめ』という本に載っているものですが、簡単に 言うと。  20代一(V)バラエティ。いろいろやってみるの がいい  30代一(S)スペシャリティ。専門性で戦う  40代一(O)オリジナリティ。あの入っぽいよね、 と言われるようにする  50代一(P)パーソナリティ。あの人と仕事した い’・ と思われるようにする  というものです。なりたい姿がなかなか定まらな い人には、この「キャリアのVSOP」を信じて行 動するのをおすすめしています。 ‥万一  ゜O〔ご ’ D00一“  研響  な 流 冴こ≒  冖一   年齢  20代なのに、ほかの世代の戦い方を目指している ケースは意外と多いです。たとえば「自分ならでは の、やりたいことをやる」というのは、この理論で は40代の勝負の仕方です。  このVSOP理論に基づくと、20代のうちはとに かくいろいろ行動して、いろいろ経験するのが「正 しい努力」になるのですね。なぜなら、自分に何か 向いていて、何にニーズがあるのか? というのは やってみないとよくわからないことのほうが多いか らです。  就職活動の「自己分析」みたいなものは個人的に はあまり意味がないと思っています。ぼくの例で言 うと、ぼくはとにかく目立つのが嫌で、人前に出る のが苦手で、話すときに緊張しちやうタイプだった ので、社長になったリリーダーになったりする、み たいなのはまったく想像がついていませんでした。  しかし、今では、起業をして社長をやっています し、講演会や取材などを受けることも多くあります。 人前で話す機会がものすごく多いですが、意外と嫌 いじゃないな、というのもわかってきましたし、人 に何か説明をする、というのが得意なこともわかっ てきたんです。  20代のうちに判断してたら「自分は内気だし、人 前で話すとかはないな。あとリーダーになりたくも ないし、どう考えても向いていないから、リーダー になるのはやめよう」となってたと思うんです。  たかだか学生時代とか、社会人数年くらいの経験 じゃ判断がつかないと思うので、とにかく20代のう ちはたくさんやったほうがいい、というのはぼくも 賛成するところです。  それで、30代近くになったら「そろそろこの専門 分野でいこうかな」と決めます。  「ギーのマーケティングでいくぞ」でもいいです し、「とにかく経営戦略に強い人になる」でもいい です。30代のうちは、「その分野のスペシャリスト」 になるようにします。  30代でその専門性を決めるには、やはり20代でい ろいろ経験しないといけないわけです。一度も泳い だことがないのに、水泳が向いているかや、好きか どうかはわからないですよね。  よく「個人名で戦えるほうがいい」みたいな意見 もありますが、ああいうことができるのは稀なので、 無理に目指さずに「ミ・ヴマーケティングの専門家」 が求められるときに、その対象となる人になれれば いいわけですね。  30代のうちはそんな感じで専門性を磨きつつ、40 代になるくらいまでに、個人名で戦えるようになれ ばいいのです。  おそらく「やりたいことが見つかって、一つに フォーカスする、自分オリジナルの働き方」がやり やすいのって、30代中盤140代だと思うのです。  イメージとしては、「いろいろな経験をしてきて、 そこから専門性を磨いて、その上でやりたいことが 見つかり、そこにフォーカスして、自分オリジナル のものをやっていく」という感じです。  ぼくの事例も紹介しておきます。  ぼくがこの概念を知っだのは30代のときでしたが、 20代のうちは自然と「いろいろやってみよう」と 思ってやっていました。「インターネット関連」と いう縛りすらありませんでした。「だってやってみ ないとわからないし……」と思っていたんです。  30代くらいになって、このキャリアのVSOPを 知っだので、そこからはこれを意識してやっていま す。たとえば、30代のうちは「ネットでのメディア とコミュニティの専門家になり、それを言葉で外に 説明するのが得意な人になろう」と思ってやってい ました。そこについての知識と経験を深掘りしまく る、という感じです。  メインとなるのは、ネットでのメディア十コミュ 三アイサービスの専門家であり、それを説明できる こと。それを極めつつミーマーケティングや、 ネット企業の経営も、周辺知識として、浅く広く身 につける感じです。アルファベットのTのような形 にスキルを磨くイメージでやっていました。  で、30代中盤に入ると、今度は40代のための準備 に入ります。このあたりで、自分のオリジナリティ を出していくわけですね。  ぼくは漫画をはじめとする、囗本のサブカル チャー、そしてそれを作っているクリエイターが好 きだったので、「クリエイターを支援する会社をや ろう。その武器として、メディアやコミュニティの 専門性を使おう」と考えました。そんな感じで、年 代ごとに、やるべき努力を決めてフォーカスすると、 無駄がないんじやないかな、と思います。  なお、20、30、40という区切りには、覚えやすい 以外のロジックはないと思うので、適宜調整すれば いいと思います。  ということで、いろいろ書きましたが、ステップ ーで言いたいことは、シンプルに、  「頭の枷を外して、なりたい状態を制限なしに想像 できるようにしよう!。」  ということです。自分で勝手に制限をつけて、そ の中で動いてもまったくおもしろくないので、自分 の頭の枷を外して、なりたい状態を、ありありと思 い浮かべられる状態になるのが、自分の人生という 物語を作り上げる最初の一手なので、ぜひともリス ト作りをやってみてください。 なぜ最初に「ギャラ」を設定するとい いのか?  ステップーは、どちらかというと準備運動でした。 いよいよ本題に入ります。  ステップ2でやることは、「自分のギャラを作る」 ということです。この本で一番の山場です。物語に はキャラクターがいて、そのギャラが動いていくの が基本ですよね。だから「物語思考」でも、キャラ クターの設定が必要です。  「え? 自分の人生なのに、自分のキャラクターを 決めないといけないの?」と違和感を持つと思うの で、まずそこから説明します。  多くの人が「自分というものが存在して、その自 分が動いている」と考えているのですが、「一番な りたい状態に近づくために、一番効率的なギャラは 何か?」を考えたほうが楽なんです。  『ジェームズークリアー式複利で伸びる1つの習 慣』という本があります。その中に、「行動変化は 3つの層がある。結果の変化、プロセスの変化、ア イデンティティの変化」という一節があります。  多くの人が、何かの習慣を作りたいときなどにや りがちなのは、  がんばって実行して、成果を出す   ←  うまくいったら「自分はこういう人間だ」と認識 する  という順番をとることです。たとえば、ダイエッ トでいうと「5無洛とすぞ’・ そのために、食事制 限と運動をするぞ’・」と考え実行し、実際に痩せた ら「自分は痩せている’・」と思うようになるわけで す。  しかし、すごく多くの人が「ダイエットしてもな かなか結果は出ないし、なんかつらいな」というと ころで終わってしまうんですね。  そうなんです、結果というのは残酷なことに、  いい結果はすぐに出ない(遅い)  いい結果はなかなか出ない(難しい)  という2つの性質があるんです。ダイエットした 翌日に5s痩せて、引き締まった身体になれたり、 英語を勉強してすぐにペラペラになれたりするわけ ではないのです。  なので、ダイエットは失敗するし、英語学習は続 かないわけです。いい習慣を身につけたいと思って も、挫折した経験がある人も多いのではないでしょ うか。  実は、これは順番が違っていて……。先に決める べきは自分のキャラクター(=アイデンティティ) なんです。  つまり、 自分はこういうキャラクターだと認識する ← そのギャラがやりそうなプロセスを実行する ← 結果が出る という順番でやるほうがいいんです。  と言われても、いまいちわかりづらいと思うので、 もうちょっと説明します。  たとえば、「健康のために禁酒をしよう」と思っ た人が成功しやすいコツとして「禁酒をする」とい う行動をしない、というのがあります。  つまり、「自分は禁酒をしている」と思うより、 「自分はお酒を飲まない人なんだ」と思うほうがい いんです。お酒を飲まない人だ、と自分で認識して いると、飲み会の席とかでも「あ、私はお酒が飲め ないんです」と言って断りそうですし、コンビニの お酒コーナーを眺めたりすることもI切なくなるわ けです。  自分のことをお酒を飲まない人だと思っているだ けで、行動が変わるし、行動が変わることによって、 結果も変わるわけですね。  「禁酒をしている」と思っていると、「今日くらい はいいかな」とか「がんばったんだし、そろそろ禁 酒をやめるか」となったりしちやうわけです。また、 すぐに健康になるわけではないので「どうせ飲んで も飲まなくても変わらないんだったら飲んじやお う」とかになったりしやすい。  「結果(ゴール)を決めてからプロセスを変えよう とすると、結果が出ないときに、プロセス自体も捨 ててしまう」ということが起こるんです。  というわけで、決めるべきはキャラクターなんで す。キャラクターがあって、その上でプロセスが決 まっていれば、すぐに結果が出なくても、プロセス が止まることがない。  繰り返しますが、大事なのは「良いプロセスを維 持し続けること」です。  「今自分はダイェット中なんです」と認識してしま うと、痩せたらダイエットが終わりになりますし、 そうしたらまた以前の生活に戻っていってしまいま す。また、ダイエットを2週間したのに結果が出な いから嫌になっちやう、というのもあり得ます。  「自分はアスリートのようなギャラだ。お菓子なん て食べないタイプだし、定期的に運動をする」と自 分のギャラを認識していると、自分らしい行動をし ている限り、健康的な食事をして運動をするように なります。 ぼくもギャラが変わってしまった  ちなみにぼくはもともとそんなに活発な人間じゃ ないですし、気弱な性格だったんです。学生時代も、 授業中に発言するとかは恥ずかしすぎてできなかっ たですし、部活も何も続きませんでした。運動も勉 強もできなくて、成績はいつも下のほうでした。  しかし、今はもう10年以上社長業をやっていて、 みんなの前で話すことも多く、講演会も数多くこな したりしています。リスクをとって起業という挑戦 をし続けています。どう学生時代を振り返ってもこ ういうふうになるとは思えないんです。将来の夢に 「会社員になる」と書いてたくらいなので、社長に なりたいとかリーダーになりたいという欲ば皆無で した。  しかし、今は「起業をして、難しい問題でも挑戦 し続けて、諦めないタイプの人間」みたいな感じに なっています。じやあなんでそういう人になったか というと、自分のことをそういうキャラクターだと だんだん思い込むようになったことが原因なんです。 これは本当にもうたまたまなんです。  大学時代には、2ちやんねるという当時日本最大 級のコミュニティサービスを創業した、ひろゆきさ んという方と仲良くなり、そのあとに、彼がやって いるサービスの社長をひょんなことからすることに なりました。社長は面倒だから、誰かにやらせよう、 とひろゆきさんが思ったようです。  そしてその会社の事業が、当時、ライブドアとい う、ホリェモンこと堀江貴文さんの会社に買収され ました。ライブドアはその後、超有名な会社になる ので、そうすると「なんか大学生が社長をやってる 会社だけど、ホリェモンに買収されたらしいぞ」と いうので、社長だったぼくは学生起業家として認知 されるようになります。  その結果、次は新卒でリクルートという会社に人 ります。リクルートは、そういう大学時代から挑戦 している人が好きなのでぼくでも入社できたのです が、この会社の人たちは「与えられた仕事をするの ではなく、自分のしたいことをして、社会を変えて いこうと考えるのが普通」という考えですし、リク ルート出身者はだいたい数年で会社をやめて、転職 したり起業したりする人が大半です。  なので、ぼくも起業したほうがいいのかな、くら いの気持ちで20代後半で再度起業することになりま す。特に何をする、とか決めていないまま会社を 作っちやったんです。  そうしたら、エンジェル投資家の小澤隆生さんと いう、現在ではYahoo! JAPANの社長をやっている 方と話すことになって、「「ウツーのWikipediaみ たいなものを作ろう’・」と言われて、それをやるよ うになりました。  すると、会社を大きくするために「ベンチャー キャピタルから資金調達をしよう」となり、「資金 調達をしたからには、1000億円の企業を目指そ う」となっていくわけです。なので、そういうもの か、と思ってがんばって、そのあとにKDDIに買 収されました。  こうやって振り返ってみると、「あれ、なんとな く周りに流されているだけじゃない?」と自分でも 思うんですが、やっていくうちに周りは「この人は 大学時代からよく起業をする人なので、根っからの 起業家なんだろう」と思われるようになってしま い……。最終的に、ぼく自身も「ぼくは起業家であ り、難しい状況でも挑戦するタイプの人間なんだ な」と思い込んでしまったんですね。  なので、さらにまた起業をして、起業家として活 動をしてしまっているわけです。  冷静になって考えると、もともとの自分のキャラ クターからはもはやかけ離れているんですが、「失 敗を恐れずに挑戦し続けて、社会を変えるような サービスを作ろうとしている人」というキャラク ターになっちやったわけです。  その結果、今は「そういうタイプの人がとりそう な行動を毎日している」、というわけですね。  ということで、「自分のキャラクターを設定して、 それにより行動(プロセス)を変えよう」というの が、「物語思考」でぼくの言いたい主張です。  「俺はいいけどYAZAWAはなんて 言うかな」  ギャラを作っている好例として、矢沢永吉さんと いう有名なアーティストを紹介します。  ご存知のかたも多いと思いますが、彼は「ロック で無骨でかっこいい不良」というイメージの人です。  そんな彼の名言で「俺はいいけどYAZAWAは なんて言うかな」というのがあります。よく調べる と、本人が言ったかどうかはかなり不明確なんです が、逸話としてはスタッフがミスしたときに「自分 はいいけど、YAZAWAだったらダメつて言うん じやないか?」と言った……というのが実しやかに 囁かれています。真偽はちょっとわからないのです が、本当だとしたらとても矢沢さんらしい発言です ね。  しかし、普通に考えると「いや、あなたはYAZ AWAなんですから、その言い方はちょっと嫌みっ ぽくないですか?」と感じる人もいると思うんです。 でもこれは、たぶん心から言っているのだと思うん です。  「矢沢永吉さんという個人」と「キャラクターとし てのYAZAWA」はちがうのです。  (以下、矢沢永吉さんという個人は「矢沢永吉さ ん」と表記、キャラクターとしての矢沢さんを「Y AZAWA」と表記します)。  要は、YAZAWAをプロデュースしているのが 矢沢永吉さんで、それぞれの人格は別なんです。Y AZAWAはある意味、一つのプロダクト(商品) というわけですね。 他人は、あなたの行動を見て「性格」 を判断する  たとえば矢沢永吉さんは「ホテルは普通の部屋で いいよ、寝るだけだし」と思っていたとしても、Y AZAWAは「スイートルームに泊まっている」と いうのが大事なのです。  ここには「自分という個人がどう思うか」よりも 「YAZAWAというプロダクトに対して、お客さ んが何を期待しているのか」という視点が入ってい ます。お客さん、つまり「他人が何を期待している のか」というのが、とても大事なんです。  YAZAWAはスーパースターなので、そのス ターが「まあ、寝られりやどこでもいいわ」と言っ ていたら、ファンの期待からは外れてしまいます。 それを許したら、YAZAWAの商品価値が落ちる わけです。だから「俺はいいけどYAZAWAはな んて言うかな」と言うわけですね。  このケースでは、矢沢永吉さんもスタッフも、 「YAZAWAという商品」を作っている仲間です。 ですので、矢沢永吉さんにお伺いを立てるよりも、 一緒にYAZAWAのプロデュースをする立場とし て考えなければならなかったはずです。だから冒頭 の「俺はいいけどYAZAWAはなんて言うかな」 は、まっとうな発言です。  ちなみに「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」のサ イトの矢沢永吉さんのインタビューには、「やっぱ りYAZAWAというキャラクターを客観的に見て るな」という記述がいくつもあります。簡単に言う と、矢沢永吉さんはYAZAWAというキャラク ターを、自分で演じているわけです。  たとえば以下のような感じです。 矢沢 矢沢永吉を引き受けられるのは、俺しかい    ないと。 糸井 うん。 矢沢 あんまりおいしくないよ。 糸井 (笑) 矢沢 うそじゃないよ。あのね、なくしたものも、    ものすごいから。窮屈なのも、ものすごい    から。でもね、どのジャンルの人も、どの    人も、それなりに、めんどくさいこともあ    れば、イヤな思いも抱えてる。人きさや場    所は、違ってもね。すると、そこを、どう、    いいほうに持っていくか、いいほうに考え    るかということが人切で、そうやって、み    んな生きてるんじゃないかな。 糸井 うん。 矢沢 最近はね、そういった意味じゃね、「矢沢」    を気持ちよく生きたいなと思ってる。一時    期は、やっぱり、「矢沢」やめたいと思っ    たこと何度もあるからね。  糸井 その反発をエネルギーにしてた、みたいな     とこあるよね。  矢沢 ある、ある’・ エネルギーにもしたし、が     んばりもしたよ。それでも「矢沢」なんか     ヘドが出ると思ったことあるよ。  まさに、矢沢永吉さんは、自分で作ったギャラを やりきっている、素晴らしい事例だと思います。 キャラとは何か?  では、本題です。どのようにギャラを作ればいい のでしょうか?  ギャラを作るといいからといって「わかりまし た! じやあ明るくてなんでもすぐやるギャラにな ります!」と、雑に決めてしまってはあまりうまく いきません。  なので、まず「キャラとはなにか?」というとこ ろから説明します。  キャラクターという単語には、ざっくりと「@性 格」という意味と「A小説や漫画などの登場人物」 という意味があります。「物語思考」では、Aの小 説や漫画の登場人物みたいに自分を設定することで、 @の性格を変える、というイメージで使っています。  では「小説などの登場人物」という意味において の「キャラクター」とはなんでしようか。  『物語の法則』(クリストファー・ボグラー&デイ ビッドーマッケナ)という、物語制作に関する本に よると、キャラクターとは、  キャラクター=求めるもの十動き十障害十選択  という方程式で説明できるのだそうです。  ″  匹 一戸卜 作Oリ 厂卜戸  る    き  い 。  簡単に説明します。  「求めるもの」とは、「キャラクターがしたいと 思っていること」です。この「したいと思っている こと」は、大きなものでも小さなものでもいいです。 壮大なビジョンでもいいですし「冷蔵庫のビールを 飲みたい」でもいいのです。  『物語の法則』にも「誰かが何かを欲しがるまでは、 ドラマには何も存在しない」と書いてあります。  「動き」とは「求めるもの」だけではキャラクター は成り立たず、努力やなんらかの動きがないといけ ない、ということです。  「世界を変えたいなI」という人や「ビール飲みた いなI」という人が、まったく行動をしていなかっ たら、ストーリーにならないということですね。  「障害」は、自分が今いる場所と、求めるものとの あいたにあるものです。ライバルだったり、乗り越 えなければいけないものだったりします。ビールを 飲みたいと思って、冷蔵庫まで歩いて普通に飲めた らそこで物語は終わってしまいます。  映画にするとしたら「冷蔵庫にビールがなかった のでコンビニに買いに行ったら、ちょうど強盗が 入っているところで自分も事件に巻き込まれてし まった’・ なんとかこの事件を解決して、ビールを 買って家に帰りたい’・」というくらいにしないと、 おもしろくなさそうです。 「選択」は、たとえば障害にぶつかったときに、あ きらめるのか? 工夫をするのか? 別のルートを 考えるのか? 打ち破れるのか? などです。  先ほどの例だと「強盗から逃げるのか、強盗を説 きふせて自首させるのか、強盗を力でやっつけるの か」などの選択肢があるわけです。キャラクターが 何を選ぶかによって、ストーリーが変わっていくと いうことですね。  これらを人生に置き換えると……。  「求めるもの」は自分のやりたいこと、どうしたい か? ということです。やりたいことや、ビジョン が明確にある人はそれでいいです。そうでない人は、 ステップーの、「10年後になっていたい状態を 100個くらい書いておく」というリスト作成を やっておくと、なんとなく求めるものがわかってき ます。  「行動」はまさに行動です。なりたい状態があれば、 それに向かって行動をしないといけません。  「障害」もそのままですね。障害です。なんでもう まくいくわけじゃないので、ガンガン障害にぶつか るのは当たり前です。障害があったり失敗したりし たほうが物語的にはおいしいよねって話も後ほどし ます。  「選択」もその言葉どおりですね。人生は選択の連 続です。「どう選択したか?」というのが、あなた というキャラクターの特徴になります。ここでは、 「求めるもの」を使って、ギャラを作る方法につい て紹介します。 キャラの求めることからギャラの原型 を作る  物語の作り方について書かれた本などを読むと、 人間の基本的な性格から、過去の経験、その人の欲 求とかから、道徳心などまで考えて作る、というこ とが書いてあったりしますが、そういうことをやる 必要はないんです。「物語思考」で作るべきギャラ は、そこまで深みがなくても大丈夫です。  イメージとしては「自分が書いた、なりたい状態 にたどり着きそうな入ってどんな感じなんだろう」 などで決める感じです。  しかし当たり前ですが、いきなりOからそれを決 めるのは非常に難しいんですよね。なので、まずは、 ステップーで作った「なりたい状態」を眺めるとこ ろから始めます。  自分の作ったなりたい状態のリストの出来に自信 がなくても大丈夫ですし、「今は本を読み進めてい るから、まだ作っていないよ」、という人はそれは それで大丈夫です。  まずは、なりたい状態を眺めながらざっくりとイ メージし、それを体現している「実在の人物」を想 像します。  なりたい状態が、たとえば「他人に振り回される のではなく、自分の意志で人生を進めたい」とか 「お金に縛られずに自由に生きる」などがあった場 合に、それに近い有名人、周りの人、歴史上の人物 などをリスト化していきます。  一人でなくて大丈夫です。「自分の意志で人生を 進めている」はこの天、「自由に生きる」はこの天、 みたいにそれぞれの人物をあげてもいいです。迷っ たら空欄でもOKです。完璧は目指さずに、埋めら れるところだけを埋めていきましよう。  なりたい状態に近い人 ・人からよくお願いされる天  ↓会社の先輩のXさん ・家族と幸せに暮らしている人  ↓友人のYくん ・会社を立ち上げて成功している人  ↓親戚のZさん ・世界で活躍するスポーツ選手  ↓大谷翔平 ・世界で活躍する俳優  ↓渡辺謙 ・日本で知らない人がいない有名人  ↓明石家さんま ・大富豪になって慈善活動を行う大  ↓ビルーゲイツ ・世界的な映画監督  ↓スティーヴンースピルバーグ ・歴史に名前を残すような起業家  ↓スティーブージョブズ ・多くの分野で成功を収めている起業家  ↓イーロンーマスク 「なりたい状態」のリストにないけど、この人の生 き方とかは憧れるな、という大がいたら、そういう 大もリストアップしてください。その場合は、憧れ る人の何に憧れているのか、という点をもとに改め て、なりたい状態を書いてみてください。  こうすることで、なりたい状態のリストもアップ デートされていきますし、それぞれのなりたい状態 を体現している大も書かれるということになります。  これが、あなたがこれから作る「ギャラの原型」 のようなものです。これからいろいろなステップを 経て、あなただけの、あなたの理想のキャラクター を作り上げていきます。 ギャラの性質を抜き出しまくろう  このギャラの原型をもとに、さらに形作っていき ます。  まず、この「なりたい状態に近い人」のリストを もとに、その人がどういう性質を持っているかをひ たすら書いてみます。誰かに見せるわけでもないの で、好きに書いてください。  なりたい状態に近い人の性格  人からよくお願いされる  後輩の面倒見がいい  やや上から目線で話す  親切でおせっかい焼き  人の好き嫌いがない  その上で、自分の「なりたい状態」のリストを眺 めてみて、どの要素があると達成しやすいか? を 考えてみます。  この作業を繰り返します。なりたい状態のリスト を更新する、そのリストの状態を体現している近い 大を書いてみる、その人の性格を書き出してみると いう感じです。  この段階では、自分のギャラはこうだ’・ と詳し く説明できなくても大丈夫です。ギャラも、数年か けて、じっくりと作り上げるものだと思ってくださ い。  注意としては「今の自分のギャラ」みたいなもの に引きずられないようにしてください。あくまで、 なりたい状態に近づくためのギャラを作るべきなの です。だから、自分ではなく「なりたい状態に近い 人」を洗い出して、そこからギャラの要素を抜き出 しているわけです。  「なりたい状態」をもとにギャラを作 るべき理由  結構やってしまいがちだと思うのですが、いきな りただ憧れの人を書いてしまうと、自分のなりたい 状態と一致しない、ということが起こるんですね。  なので、「物語思考」では、「なりたい状態」を考 えてから、ギャラを設定する、という順番になって います。  そして、このときに頭の枷があったら、なりたい 状態がとても小さいものになってしまいます。ス テップーで述べたように頭の枷を取り外した状態で、 なりたい状態を書くのがとても重要なのです。  そのステップを経ているからこそ、このステップ で作ったギャラが、今までの自分にしばられない、 理想のなりたい状態に近づくためのギャラになって いる、ということです。  最初にこの本を読んでいる状態では、ギャラが固 まりきらなくても大丈夫です。  何度も言うとおり、リストはどんどんアップデー トされていく前提で作るのがおすすめです。最初は 100点を目指さず、20点くらいのものを目指して やってみてください。  そして、このリストをもとに実際に行動をするの が次のステップになります。 キャラは「行動」から”も”生まれる  「ギャラに行動をさせる」話の前に、ギャラを作る のには実は行動が欠かせない、という話をさせてく ださい。  「あれ、自分はこういうギャラだ、というのがある からこそ、その設定をもとに行動をするという話 だったのでは?」と思うかもしれませんが、正確に 言うと「ギャラが作られる」と「行動をする」は、 自動車でいうところの両輪みたいなものなのです。  ギャラがあるからそのキャラつぽい行動をします し、キャラつぽい行動をするから、そのギャラにな る、という関係なんです。  なんとなく自分の普段のギャラと違うことをして みたら、うまくいってしまい、ギャラ自体が変わる、 ということは実はよくあります。電車の席なんて譲 らないギャラだったのに、たまたま気が向いて譲っ てみたらすごく感謝され、周りからも「あの人は優 しいね」と思われたら、自分でも優しい人なのかな と思えてきて、だんだん優しい行動をするように なっていく、という感じです。  逆に言うと、ギャラと行動が結びついていない場 合は失敗するのです。前述のとおり、まず行動だけ をしようとするとギャラがついていかなくて失敗す るというのはあります。ダイエットという行動だけ をしようとして失敗するというあれですね。  だからといって、ギャラだけを作っても、行動が 伴わないと「自分で自分を信じられない(思い込め ない)」ので、それもダメなんです。  なので、「物語思考」では、頭の枷を外しながら、 なりたい状態を明確にした上で、ギャラを作る、そ のギャラで行動をする、というのを繰り返すことで、 ギャラを成り立たせていく、ということをします。  ややこしそうに聞こえますが、詳しく説明するの でご安心ください。 行動がギャラに影響を与える理由  突然ですが、みなさんは自分のことをどう分析し ているでしょうか?  自分のことだから、自分の性格や性質はよく理解 しているよ、と思いがちですが、実は「第三者が自 分を評価しているのと同じように、自分も自分自身 のことを評価している」という説があるんです。  つまり第三者が「この人は優しいなあ」と思うよ うな行動を自分かとっていれば、自分のことを「優 しい人だ」と解釈しますし、自分が迷惑行為をして いたら、自分でも自分のことを「迷惑な人だ」と 思ったりするということです。  ついつい、ぼくたちは自分のことは「自分は優し い人間だから、優しい行動をしている」と思ったり しがちですが、意外とほかの人が見ているように 「優しい行動をしている姿を見て、優しい人だと認 識する」ということですね。  たとえば、「優しい大は好かれる」というのに賛 成してくれる大は多いと思うのですが、では、以下 の2人のうち、どちらのほうが「優しい大」だと他 人から思われるでしょうか?  A一内面はすごく優しいけど、大に暴力をふ    るったり、人の大事にしているものを盗んだ    りと、迷惑行為をする大  B一内面はまったく優しくないけど、相手がし    てほしいことを常にして、相手のサポートに    回り、相手の感情に寄り添う行動をしている    人  言うまでもなくBですよね。内面は、他人にはわ からないので行動で判断するしかないからです。  しかし、Bのような優しい行動をしていると、自 分が自分のことを見て「自分は優しいんだな」と認 識するわけです。つまり、どんなに今優しくなくて も、優しい行動をし続けていると、自分でも自分を 優しいギャラだと思うようになるということです。  『LOVE理論』(水野敬也)という男性向けの恋 愛の(ウツー本で「うわっつらKindness」 という理論があります。この理論は「女性は優しい 男が好きなわけではない。優しい行動をする男が好 きなのだ」という考え方に基づいており、「この項 目が優しい行動だ」というリストが載っています。 たとえば「車道側を歩く」とか「女性が椅子に座る ときは椅子を引く」などです。  この本がすばらしいのは「優しい男になりなさ い」と書いてあるのではなく「優しい行動をしなさ い」と書いてあるところです。優しい行動をし続け ることで、相手からも優しい人だと思われるように なりますし、自分のことも優しい人間だと思えるよ うになるからです。 キャラがしそうな行動を書いて実践し てみよう  というわけで、まずはステップ3で作ったギャラ の性格をもとに「こういうときにこのギャラならど うするか?」というのを作ってみましよう。  まず、一番初めに考えるべきは「話し方」です。 そのギャラならどのように言うか?  特に、何かを言われたときの反応は、みんな無意 識に、反射的にしてしまっています。たとえば、外 見を褒められたときに「そんなことないです’・」と 言ってしまう人がいますが、特に意識をせずに「褒 められた↓謙遜しなければ」という反応をしてし まっているわけですね。  褒めた側からしてみたら、「あなたは見る目がな いです」「間違っています」と言われたように感じ るので、あまりいい気持ちはしないのですが、「調 子に乗っていると思われたくない」という保身から、 つい謙遜してしまうということはよくあるでしょう。  ここで、自分の決めたギャラだったらどう答える か? などを事前になんとなくイメージします。  たとえば、褒められたら「ありがとうございま す’・ うれしいです’・」と言う、といったようなこ とを考えておきます。  ちなみに、タレントの武井壮さんは、テレビに出 る前に、話が上手な人のしやべりを録音しておいて、 それをまったく同じテンポで話せるようになるまで 練習したらしいです。  そうすると自然と話が上手になったんだとか。も し、あなたに尊敬する大がいたら、その人の話し方 を徹底的に真似てみるのも一つの手かもしれません。  さて、ギャラに合わせた発言がイメージできるよ うになってきたら、次は自分の生活の中で出てきそ うなシーンなどで、そのギャラがどういう行動をす るかをシミュレーションしてみます。たとえば、  シーン/行動  朝起きたときに何をするか?乙コロゴロしないで、 すぐに起きて、活動を開始する  どのようにI囗を始めるか?/あらかじめ立てて いた予定を見直すことから始める  上司に怒られたときにどうするか?/「ご指摘あ りがとうございます’・」と言い、すぐに改善をした 上で、それを報告する  電車に乗るときには何をしているか?/将来に役 に立ちそうな本を読む。Podcastなどで耳からイン プットをする  食事はどういうものを食べるか?/健康重視の食 生活をする。しかし、手作り弁当などは時間がもっ たいないのでやらない。コンビニで栄養成分表示を 見ながら選択する  普段、どういう基準で買い物をするか?/できる だけ節約するが、品質の悪い安物を買って損をしな いように、ある程度の値段のものを買う  服装はどのように決めるか?/毎日迷わなくてい いように、同じものをたくさん揃える  コンビニでお釣りをもらったらどうする?/お釣 りは全額寄付をする  魅力的な転職先からのオフアーがきた場合にどう するか?/より大変なほうを選ぶ  未経験の仕事を依頼されたときにどうするか?/ その分野の本をすぐに5幵くらい読んで「土地勘」 をつける  本の読み方はどうか?/要点だけ押さえながら飛 ばし飛ばし読む  ストレスを発散するために何をするか?ノジムで トレーニングをする  散歩するときはどんなことを考えているか?/街 中の広告などを見て、世相について想像する  音楽の聴き方はどんな感じか?/好きなアーティ ストのアルバムを繰り返し聴く  恋人とデートするときは何を考えているか?/ど うやったら相手がより楽しんでくれるかを考える  寝る前の時間はどうしているか?ノスマホから離 れて、本を読む  メンタルが落ち込んでしまったときはどうする か?/よく食べて早く寝るようにする  旅行先ではどのような過ごし方をするか?/でき るだけ多くの観光スポットを同れるように予定を詰 める  海外の旅行先でトラブルに巻き込まれてしまった ときはどうするか?/一度心を落ち着かせて、友人 に助けを求めつつスマホで対処法を検索する  もし相手を傷つけてしまったときはどうする か?/すぐに自分の非を認め、心から謝罪する  みたいな感じで書いていきます。これは「こうい うときにこのギャラならどうする?」というのをた くさん作るのが重要です。  最初はできる、できないなどを考えずに、自分が 作ったギャラに合わせていろいろなシチュエーショ ンで考えてみてください。慣れてくると日常の中で 「こういうときに、このギャラだったらどうするか な」というのを思い浮かべられるようになってきま す。  この段階では、あまりまとまりを求めたり、きれ いに整理しようとしたりする必要はありません。 「こういう性格のギャラなら、こういうときにはこ うするよな」というのを、各シチュエーションごと に作ればいいだけです。  これをやっていくと「あれ、この性格のギャラだ と、この行動がしづらいな」というのが出てくると 思うので、そういう場合はギャラの性格のリストの ほうを変えてください。  どうしてもイメージがつかなかったら、前のス テップで出した「なりたい状態に近い人の性格」を イメージして「その大だったらどうするか?」を想 像してみるのでも大丈夫です。たとえば「X先輩 だったら、こういうときどうするかな?」というふ うに考えるわけです。  「このギャラだったらどう行動するか」というリス トを作り終わったら、実際にそのとおりの行動を試 しにしてみましよう。やっていくうちにだんだん ギャラの性格に近づいていきます。  正確に言うと、自分の性格が変わっちゃうのでは なく「そういう性格の人がしそうな行動をできるよ うになる」ということですね。  ここで行動がなかなか思い浮かばない場合は、そ もそものギャラ設定が弱い可能性が高いです。  もう一度、ステップ2に戻って、ギャラを作って みましよう。強いギャラとは自然と行動がイメージ できるものです。 本当の自分とは何か?  ここまで読んで、「でもそれは、本当の自分に嘘 をついて行動しているのではないか?」「なんか表 面的で気持ち悪い」と思う人もいるかもしれません。  しかし、本当の自分とはなんでしようか?  以前、「バ美肉おじさん」という言葉がはやりま した。これは「バーチャル美少女として受肉したお じさん」の略なのですが、簡単に言うと「男性がイ ンターネット上で美少女のキャラクターになって活 動する」ことです。たとえば40歳ぐらいの男性が美 少女のVTuber(バーチャルYouTubeことして活動 するという感じです。  おもしろいのが、女性として振る舞い、ファンも おじさんのことを女性として扱いはじめると、女の 子っぽいものが好きになったり、普段の日常生活で も自分が女性として扱われないことに不満を感じた りするようになるらしいんです。  つまり、40歳の男性が40歳の男性っぽい趣味や服 装をするのは、単に見た目が40歳の男性だからで あって、10代の美少女になってそのように扱われる と、趣味や内面すら変わるということです。  同じように、誰でも社長のように扱われれば社 長っぽくなりますし、マフィアのボスのように扱わ れればマフィアのボスつぽくなります。そのくらい、 自分の内面というのは曖昧なのです。  さっきも書いたように、ぼくは挑戦し続けたり、 大前に立ったり、リーダーシップを発揮したりする タイプじやなかったんですが、しかし、ひょんなこ とから起業をして、起業家として行動をし続けてい るうちに、「自分は挑戦して、リーダーシップをと る人間」だと今は認識してしまっています。  まとめると「大は、人の内面を行動を見て判断す る」「自分は他人が見ているのと同じように、自分 の行動を見て、自分の内面がこうだと認識する」 「なので、行動を変えることで自分というギャラを 変えることができる」ということです。  そして、ギャラが本当の自分と違っても、むしろ よい、という場合もあります。その方が極端でわか りやすいギャラを表現できるのです。たとえば前述 の矢沢永吉さんは、キャロルというバンドをやって いたときは不良っぽいロツクンローラーでしたが、 当時のことについてこう語っています。  矢沢 そうだね。あれさ、キャロルはりIゼント     で、革ジャンパーでロックンロール。ソロ     になっても、矢沢永吉は、白のスーツに、     日比谷でロックンロール。あれもし矢沢が     芯までも不良だったら、成立しなかったん     じやないかな。芯まで不良だったら、おも     しろくねIもん。  つまり、矢沢永吉さんがもし芯まで不良だったら、 つまらないし、あそこまでやりきれないということ だと思います。矢沢永吉という、不良のロックン ローラー、というギャラを決めたからこそ、やりき れるわけですね。  たとえば、本当の不良だったとしたら、歳をとっ て丸くなると「昔は悪かったんだよね」という感じ になってしまったりします。でも不良がギャラだと したら、70歳まで不良っぽいギャラを演じることが 可能なのです。  つまり、繰り返しになりますが、「自分とはなに か」を考えるよりも、なりたいギャラを考え、その キャラがしそうな行動をリストアップし、ひたすら 行動していくほうが、いきいきと自分が生きたいよ うな人生を楽しめるようになるはずです。  ここまでは、ギャラを作って、ギャラに行動をさ せよう、という話でした。  この状態でも「物語思考」は十分に効果を発揮し ます。なぜなら、今まで「自分」という一つの視点 しかなかったのが、別のギャラの視点を手に入れる ことになるからです。  これだけでも、人生の見方はだいぶ変わります。 週末だけギャラを変えてみるとか、「上司に怒られ たときの振る舞いだけ理想のギャラで演じてみる」 みたいな形で使えます。  しかし、同じ環境でギャラを変えたとしても、な かなか真価を発揮することはできません。  極端な話、なりたい姿を「誰もが憧れる人間にな ろう、だから身体も絞るし、何ごとにも一生懸命に なって、成果を出していこう」とした上で、ギャラ を「決めたことをきちんとやりきれる人」と設定し てたとしても、ラーメンの食べ歩きをする「ラーメ ンサークル」みたいなのに入ってたら、ノルマに対 して、効率的にラーメンを食べに行っちやいますよ ね。それはそれでやりきってて素敵かもしれません が、身体は絞れなそうですし、健康からは遠ざかっ てしまったりします。  でも、それが「ストイックな運動をするサークル に入る」というのをやると、誰もラーメンを食べて いないし、食事に気をつけている大ばかりだったり するので、自分のギャラの運用もスムーズになった りするのです。  というわけで、さらに先に進みたい人のためにス テップ4では「環境を作ってギャラが最高に活きる 状態を作る」という話をしたいと思います。  その話に入る前に、このステップ4でも、「いか に環境が行動に影響を与えるか」という話を、ペー ジを割いて説明します。繰り返しになりますが、た だ本に書いてあることを実践するよりも、自分の頭 の中で納得できるようになってたほうが効果が高い と思っているからです。  まずは自分は「自分」をどう認識しているのか、 という話を書きます。 自分は「自分」をどう認識しているか  ステップ3でも書きましたが、人間は、「自分は 自分の考えていることがわかるから、自分がいちば ん自分のことを知っている」と思っているけど、実 は他人が自分のことを判断するように、自分のこと を判断している、という側面があるらしいです。 『ずる』(ダンーアリェリー)という本によると、 これは「自己シグナリング」と呼ばれるらしいです。 この本には、以下のように書かれています。  自己シグナリングとは簡単に言うと、大は自分で 思っているほどには、自分のことははっきりわかっ ていないことが多いという考えだ。わたしたちは人 抵、自分の好みや個性は、自分が一番よく知ってい ると思っているが、実は自分のことはあまりよくわ かっていない(し、自分で思っているほど自分のこ とをよく知らない)。  むしろ私たちは他人の行動を観察し、評価するの と同じ方法で、自分のことを観察している。つまり 自分の行動から、自分の人となりや好みを推し量っ ているのだ。  要するに「自分で自分の行動を見て、自分の性格 を判断している」ということです。他人のことを判 断するときに、相手の行動を見て「こういう性格か な?」と思ったりするのと同じ、ということですね。  たとえば、毎日、朝タラタラと遅くまで寝ている と、自分はだらけた人間だ、と思ってしまったりす るということです。そういうことを繰り返している のに「自分はきっちりとしていて、朝はやくから生 産的なことをできる人間だ」とは思えないのですね。  「自分は自分の行動を見て、自分の性格を判断して いる」。これはとても大事な前提なので、覚えてお いてください。  じやあ、その「自分の行動」はどこからくるのか を考えます。少し大胆な仮説ですが、自分の行動は 「まわりが自分をどう扱うか」によって変わるので はないかとぼくは思っています。  前述した、「バ美肉おじさん」を体験した人の発 言で、以下のようなものがありました。  【バ美肉した弊害】  リアルで友人が私のことを女の子扱いしてくれな いこと(当然だが)で、時々傷ついてしまう。  精神の女性化が本格的に進んでいて、リアルでも かわいいって言われたくなってしまっている。  冗談に聞こえるかもしれないけど、割と今後が不 安。  (引用元‥あまおかさんのツイードhttps:// twitter.com/like amaiokashiystatus/ 1137700619983020032?s=20)  つまり、美少女の見た目をしていると、みんなが 美少女として扱ってくれるわけです。そうすること で、自分の内面もそっちに引きずられる、というこ とですね。  これは「自分の見た目に影響されて行動が変わる、 そしてさらに影響されて性格まで変わる」というお もしろい事例だと思います。  これは決して特殊な事例ではありません。とある 友だちは、VTuberとして美少女になったら、明ら かに小物や服の趣味が、かわいい女性が好きそうな ものになったと言っていました。また、VTuber系 の会社に勤めているエンジニアが美少女になって動 きのテストをしてたんですが、どんどんかわいらし い動きができるようになっていっだのを見たことも あります。  つまりは「見た目が変わると、周りからの扱われ 方も変わる。扱われ方が変わると、それに合わせた 行動をするようになる」ということじやないかと思 います。  そして「自分の行動を見て、自分はこういう性格 じやないか、と自分が判断する」という、ややこし いことになっています。  これをいろいろな整合性や例外を一切無視して、 わかりやすく断言するなら、  周りからの扱われ方が変わる↓自分の行動が変わ る↓自分の性格が変わる  こんな感じで考えるといいと思います。 時代や国が変われば、自分も変わる  ちょっとだけ話は脱線しますが、いかに環境が大 きく影響を与えるかという話をもう少ししておく  VTuberの例よりももっと大きく、周囲からの扱 われ方が変化するものがあります。それは、時代や 国などの、大きな環境です。  たとえば、ある真面目な警察官がいたとして、そ れが第二次世界大戦時の、独裁の軍事政権下の国と、 21世紀の平和で豊かな国とでは、彼に期待される行 動はかなり変わるはずです。  独裁政権の下では、政権に異を唱える人を厳しく 逮捕しまくるのが評価されたりしますし、平和な国 の場合、優しく道案内などをすることを期待された りするわけです。  まったく同じDNAを持った人でも、おそらく時 代や国によってまわりからの扱われ方が変わる。そ れで行動が変わり、そして性格も変わるわけです。  そう考えると、だいたいの個人の性格の違いなど は誤差みたいなもので、ほとんどは状況や環境に よって生み出されているもの、と考えるほうが合理 的です。  たとえば、明治維新の立役者たちは「あの時代の、 あの瞬間、あの場所に、たまたますごい人たちが集 まった」というより「歴史の流れの中で、その役割 の人が必要だった」みたいな感じなのだと思います。  江戸時代の長い歴史の中で、優秀な大たちが、た またまピンポイントであの瞬間に、同じ場所に出て くるはずはないですよね。 環境のなかで「役割」が付与されただ け  というわけで、個人が成功するかどうかは、その 人の高い能力や才能のおかげではなく、時代などの 環境によって、役割が付与されただけなのではない かと思っています。  ぼくらは成功者を見ると「その人の努力や才能で 成功した」と思いがちです。でも「時代の流れの中 で、たまたまその場にいた」というのは、成功の大 きな要因なんです。  そういえば、大きく成功する大ほど「自分のおか げではなくて、運やまわりのおかげ」と言ったりし ます。これは謙遜や嫉妬されないための発言ではな くて、成功者ほど「あ、これ自分の実力じゃない な」と感じることが多いんだと思います。  たとえば、スティーブージョブズはめちゃくちゃ 偉大ですが、彼が今、20歳だとしたら、いまから世 界一の企業を作れる可能性は柢いはずです。  ぼくが思うに、成功者というのは「時代という大 きな流れの中で必要な役割があり、それをたまたま 付与されただけの存在」なんじゃないでしょうか。  ジョブズがいなくても、おそらくパーソナルコン ピューターは普及して、スマートフォンも普及した のではないかな、と。それが10年早いか遅いか、く らいの影響度はあるかもしれませんし、細かいとこ ろはもちろん変わるでしょうけど、大きな流れでい うと誤差のようなものです。  こういうことを書くと、「すべての運命は決まっ ていて、人の努力では変更できない」という「宿命 論者(運命論者)」だと思われたりするかもしれま せんが、そういうわけでもないんです。大は人の努 力によって、いろいろなものを進化させてきました。 だからひたむきに、なにかをやるというのはとても 重要だと思っています。  ただ、時代の流れや環境によって、結果はだいぶ 違うというのは覚えておいてもいいのではないか、 と思っています。  「人は立場によって性格や行動が変わ る」  環境と似た言葉として「立場」も重要です。人は 立場によって変わっていきます。  たとえば、今日から突然、大会社の社長に就任し て、社長のように扱われると、だんだんそういう感 じの人になる、みたいな感じです。  現実の世界では、「今までは平社員だったけど、 リーダー職になってから、みんなからリーダーとし て扱われるからそれっぽくなる」みたいなことが一 番多く見られる例です。学校の先生も、先生として 扱われるから、だんだん先生っぽくなっていくらし いです。  みんな「自分はこういう性格や性質があるから」 というのを決めつけちゃったりします。「私は小さ い頃から内気だし、人をひっぱるタイプじゃないの で、リーダーはできません」といったような感じで す。  しかし、周りの人にリーダーとして扱われている と、自然とリーダーのような振る舞いになったりし ます。  ぼくはいろいろな会社にエンジェル投資というも のをしています。投資先の会社の社長は、若い大学 生みたいな人たちも少なくありません。で、投資す る時点では、だいたい会社を立ち上げたばかりの、 単なる若者です。  しかし、株主からも社員からも取引先からも、 ずっと「社長」として扱われていくと、割とすぐに、 みんな社長っぽくなります。というか、社長っぽく ならないとやっていけないのです。  起業する前から、社長っぽい、リーダーシップを 発揮するタイプもいるんですが、半分以上が「社長 になったから社長っぽくなった」という感じです。  なので、「自分は社長になんて向いていない、無 理だ」と思ってやらないのはもったいない可能性も あります。社長をやってみたら、社長っぽくなって いくのであれば、今の自分の性格とか性質はそこま で重要ではないからです。  このように、ステップ3までに作った理想のギャ ラがあり、そのギャラのように扱われる環境を作る だけで、割と簡単に人格などは変わるのではないか なと思っています。  極端な例でイメージするとしたら「誰からもめ ちやくちやおもしろい大だと思われている、たとえ ば松本人志さんみたいな感じ」に全員が接してくる として……。  何か会話が盛り上がったときに、常に自分にはお もしろいことを言うのを期待されている、そして一 言何か言ったら、だいたい大爆笑になる、周りも もっとおもしろくなるように動いてくれる、みたい になっていたりすると、おそらく、おもしろいこと を言うギャラになっていくはずなんです。  それを期待され、それを求められ、おもしろいこ とを言いやすい環境が揃うからです。そうすると、 日頃から、おもしろいことを考え、何をどうすれば 笑いがとれるかを考え、日々のインプットも変わっ てくるわけです。  扱われ方が重要、という話をもう一つします。  マルコムーグラッドウェルの『天才’・』という本 によると、カナダのブローアイスホッケー選手には 1月生まれが圧倒的に多いらしいですね。というの も、チームに入れる年齢の境目が12月末であり、1 月生まれは、同じ年で1月生まれから12月生まれま での子どもたちの中で一番歳が上になり、有利にな るからです。小さいころは、数ヶ月でだいぶ成長に 差が出ますからね。  そうすると、1月生まれの人は、「この人は才能 がある」「見込みがある」というので、コーチや チーム内で一目置かれるようになります。すると、 よりよい指導を受けたり、それにより自分もモチ ベーションが上がりがんばるようになり、試合に出 るチャンスも増え経験が増えるというポジティブな サイクルが回りまくり、最終的にはプロになる、と いうことなのかなと考えられます。  プロになる年齢では、数ヶ月の成長の差はほとん どないはずです。となると、1月生まれのプロ選手 が多いのは、子ども時代の周囲からの扱われ方によ るものだ、と言ってもいいのではないでしょうか。 勇気がないわけじゃなくて環境が違う  よく「起業したいんだけど、勇気がない」という 相談を受けます。そういうことを言う人は、自分の 意志が弱いんじやないか、勇気がないんじやないか、 と考えて落ち込んだりしているんですが……。  それは、単に周りがそういう環境じやないから、 というふうに考えてもいいかもしれません。  たとえば、スタンフォード大学の場合、起業は当 たり前の選択肢の一つらしいです。場合によっては 「クラス全員が起業しようと思っている」というこ ともあるんだとか。  孫泰蔵さんという、パズドラの会社の「ガン ホー」を作ったり、投資家をしていたりする有名な 方がいます。彼のFacebookに、こんな投稿があり ました。  昨晩ある米国のたいへん著名なインベストメント バンカーと食事をしながらいろんな話をしたのだが、 その中でも次の話は非常に印象的だった。  「もともと米国のL位の人学ではいちばん優秀な学 生は起業をし、その次に優秀な学生はベンチャーに 就職し、優秀とは言い難い学生が人企業に就職する という傾向があったが、最近はその傾向にますます 拍車がかかっており、昨年スタンフォード人学の学 生にアンケートを取ったら、卒業したら全員起業す ると言っていたそうだ。なんと全員だよ’・ 信じら れるかい?」(以下省略)  要約すると、「スタンフォードの大学生にアン ケートを取ったら、全員が『将来は起業する』と 言った’・」という話です。  日本では、大学を卒業したら、就職したり公務員 になったりするのがまだまだ一般的です。だからと いって「アメリカ人は起業家精神が旺盛で、日本人 はリスクを好まない」ということになるかというと、 そうとも限りません。  たとえば、あなたが大学を卒業したあとに、大手 銀行に就職しようと思っていたとします。しかし、 もしほとんどの人が起業をする予定だったとしたら どうでしようか?  「就職する」とまわりに言ったら、  「え……就職するの? 大企業って上司も選べない し、部署も会社が選ぶことになるし、人間関係も選 べないよ? 給与も人が決めたものをもらうだけな のに、新卒で入ったらみんな雑用とか、下っ端の仕 事ばかりじやん。起業したら20代で億万長者は普通 にあるけど、就職だとその可能性はほぼOでしよ? なぜみんな起業するのに、わざわざ就職するの?」  などと言われるわけです。  そうすると「みんな起業しているのに自分だけ就 職する」ということになるので、就職に対する相当 な熱意や信念、自信が必要になります。  今は、この逆のことを起業する人が言われている ことになり、起業する人はそれなりの信念とかがな いといけなくなりますが、逆になると、就職する人 こそが、熱意や信念がないといけない、というふう になったりします。  スタンフォードの学生たちがみんな、起業に対し て熱い思いや干不ルギーを持っているのかというと、 そうじゃないはずです。「むしろ就職という選択肢 をとるほうが干不ルギーが必要」「起業という選択 肢をとっても、あまり于不ルギーがいらない」とい う環境なんじゃないかと思います。  さらに「まわりも普通にできているから、自分も 起業できるな」と思えますし、昔は自分と大差な かった同級生が、大成功して億万長者になっている 姿を見ると「自分にもできるな」と思えたりするわ けです。  というわけで……。  理想の自分や「こうしたい」というものがあると きに「自分が努力をする」とか「まわりがなんと言 おうと自分の信念を貫く」とかはダメなパターンで す。一部の超人をのぞいて、普通の人は、そんなこ とできません。非合理的です。効率が悪すぎるんで す。川の流れに逆らってボートを漕いでいるみたい なものなので。  そうではなく、まわりを自分の理想の状態の人た ちにしまくるだけで、連鎖反応が起こって、いつの 間にか自分も行動しちやうというわけです。  ということで、「行動しろ’・」というビジネス書 を読んで、がんばって行動しようとする……みたい なことをする前に、どういう人物として自分が扱わ れるのか、どういう環境だとそうなるのか、という ところを考えて、そういう場所に飛び込むほうがい いんじやないかと思っています。 環境とは周りの人のこと  「いかに環境が影響を与えるか」ということについ て、だいぶ長く説明しました。  そろそろ実践に入りたいところですが、もう少し だけ言葉の意味を深めさせてください。  今まで使ってきた「環境」という言葉の意味は何 か、ということです。これは「仕事場の環境」みた いな意味というよりも、「周りにどんな人がいるか」 という意味で使っています。  「自分を変えるならまず環境を変えよう」というの は、要は「周りにいる人」を変えよう、ということ だと思っています。  「行動の連鎖反応」という言葉があります。  これは『社会的ジレンマー「環境破壊」から「い じめ」まで』(山岸俊男)という本に出てきた言葉 なのですが、ぼくなりの表現と解釈でざっくりと説 明してみます。  人にいい行動をさせようとするときって、インセ ンティブを考える場合が多いと思います。たとえば 「いいことをしたら1000円あげる」「悪いことを したら1000円とる」みたいな感じです。  経済学などでは「適切なインセンティブがあれば、 そのとおりに人は動く」という前提で考えたりしま す。でも入ってなかなかそう単純には動かないです よね。  いいことをするたびにアメをあげて、悪いことを するたびにムチを与えていたらどうなるかというと、 「過剰統制」という状態になってしまいます。  過剰統制ってめちやくちやコストがかかるんです。 当たり前ですね。いちいち「これはいいこと、これ は悪いこと」と、コストをかけてアメとムチを与え 続けるのですから。非効率極まりないです。  社会は「みんなが原理に従った協力行動をとって いる」ほうが効率的だし、利益が大きいです。「み んなこうしているから自分もこうしよう」というこ とってめちゃくちゃありますが、あれをうまく活用 できればコストを抑えて社会をよくできるはずなん です。  この本の著者はここで、「限界質量」という理論 を出しています。  「限界質量」とはもともと「核反応を引き起こすの に必要なウランの量」を示したものです。核物質で あるウランは、一定の量を超えると急激に核反応が 起こるんです。  これと同じように、人間の行動も「ある一定の量 を超えると、一気に連鎖的に反応が起こるよ」とい う意味で「限界質量」という言葉を使っています。  この本では、「限界質量」をいじめのケースでた とえています。詳細を書くと長くなってしまうので、 ざっくり説明します。  たとえばH人のクラスで、I大がいじめっこ、そ れ以外の10人がいじめをやめさせようとしている、 というケースです。  この中には「まわりがどう行動するかなんて関係 ない’・ 私はいじめをやめさせる’・」という完全な 正義主義者もいれば、「自分以外、全員がいじめを やめさせようとしていても関係ない、自分には得 じやないからね」という完璧な利己主義者もいるで しょう。でも、大多数の大は「○大がいじめをやめ させようとしているなら、私も協力してもいい」と いう人です。  たとえば10人中5人(50%)がいじめをやめさせ ようとしている状態だと、そこにI人加わり、10人 中6人(60%)が「協力してもいいかな」という状 態になりますが、一方で10人中3人(30%)しかい じめをやめさせようとする人がいなかったら、実際 に「協力してもいいかな」と思うのは10人中2人 (20%)で、I人減ってしまったりします。細かい 設定は本をお読みいただくとして、このシミュレー ションをやってみます。  すると、 ・30%の人が協力している状態だと、20%の人しか 「協力したい」と思わない。つまり10%減ってしま う。すると20%の人だけがいじめをやめさせようと する。ただそうすると、協力する人は13%しかいな くなり……、最終的にいじめをやめさせようとする 人は10%くらいで安定する。  こうなるんです。  つまり「まわりがどうであろうと関係ないよ」と いう人しか残らなくなり、ほとんどの人はいじめを やめさせるのに協力しなくなるということです。逆 に、 ・50%の人がいじめをやめさせる状態だったら「50 %がいじめをやめさせようとするなら、私もそこに 協力してもいいよ」という人が、58%いることにな る。そして「58%がいじめをやめさせようとするな ら、私もそこに協力してもいいよ」という人が67% になる。そのままいくと、いじめをやめさせようと する人は87%まで増える。  このようになるのだそうです。  つまり、この状態になると、いじめを止めようと しないのは「まわりがどうであろうと、自分には関 係ないから何もしないよ」という完璧な利己主義者 だけ。ほかはみんなやめさせるようになるらしいん です。  ちょっとややこしいですが、ものすごく直感的に 言うと「多くの人がやっていることの側につきた い」ということですね。  これを応用すると、要は「自分が理想とするギャ ラの行動をしている人の中に交じるだけで、自分も 行動できるようになっちゃう」ということです。  これが、ステップ4でいう「環境を作ろう」とい う話です。  「物語の登場人物」を変えるだけで自 分の性格も変わる  今までの話をまとめると、「環境によって自分の 行動も変わっていき、行動が変わると、自分はこう いう性格なんだ、と自己認識が変わる」ということ です。  これを「物語思考」つぽく言い換えると、「自分 の物語に出てくる登場人物を変えるだけで自分(主 人公)のギャラも変わるし、物語も大きく変わる」 ということです。  先ほど書いたように、「自分が自分の性格を判断 するときには、第三者と同じように自分の行動を見 て判断している」ので、「まわりが起業をしている から流されて自分も起業をした」というだけでも 「自分は起業をする人=リスクをとってチャレンジ できる人間なんだ」と自分の性格を判断するように なるのです。  ぼくがリクルートで経験した事例を、もう一つ紹 介します。  リクルート入社時に上司に「何年くらいいる の?」と聞かれて「3年はがんばります」と言った らすごくびっくりされて、心配されたんですね。 「あいつ、理由もないのに会社に3年もいようとし ている……」「仕事への意欲がないんじやないか」 といった感じです。  リクルートにおいて「入社した直後に、あと3年 間いると宣言する」のは、「ちょっと変わった答え をする変な人」という感じになったのです。もちろ ん、やりたいことがあったり、好きで会社にいるな らまったく問題ないんですが、まだ仕事もしていな い新入社員が3年もいる、と言うのは変だな、と思 われたのかもしれません。  もちろん、一般的には最初に入っだ会社で3年は いようと思うことはまったく不思議ではありません。 たまたまリクルートがそういう環境だったんです。  さらに、「なんで自分の会社を持っていないの? やる気ないの?」と言われたりもしました。副業を しろということではありません。「昼はリクルート で働いて、夜は自分の会社とかをやるのが普通で しよ。やっていないってことは何しているの? 遊 んでいるの?」みたいな感じでした。  これは上から目線でもマウンティングでもなく、 普通に「常識から外れたことをやっている変なや つ」として言われていました。  そのような感じだったので、ぼくはリクルート在 籍中にも会社を作りましたし、そのあとに起業をし ました。ぼくは起業をしたかった人でもないし、社 長とかリーダーになるタイプではないという自覚が あるんですが、ある意味では「周りの常識になんと なく合わせただけ」で起業しちやったわけです。  そうすると、起業したらまわりが起業家や投資家 ばかりになるので、それが当たり前になります。そ うすると行動も起業家っぽくなるわけです。  今では、すごく起業家っぽい振る舞いをしている という自覚があるんですが、これはぼくの性質でも 性格でもなく、流されやすく、影響されやすく、人 と違うことをする勇気がないぼくが周りの影響を受 けただけなのです。  つまり、「自分の物語の登場人物を変える」だけ で、自分を変えることができるのです。それが一番 楽で効果が高い方法なんじやないかと思っています。 自分の内面や意識、覚悟をどうこうするより、そう いう環境にいちやったほうが楽なのです。  また、自分の能力は、自分の所属するコミュニ ティの平均ぐらいになると言われます。逆説的です が、自分の周りの人をすごくしていけば、自然と自 分の能力も上がっていく、ということになります。 自分が望む環境に入り込む方法  というわけで、環境によって自分の性格も変わる し能力も変わるよね、というのを長く説明してきた ところで、いよいよ「どうやってそんな環境を作る のか」という話です。  先ほども言いましたが、基本的には環境=周りの 人、と考えるほうがシンプルです。さらに、自分が なりたいギャラになるためには、「なりたいギャラ に近い人がいそうな環境に身を置く」のが簡単です。  じやあ、自分がなりたいギャラに近い人がいそう な環境に行くにはどうしたらいいか? を説明しま す。ステップとしては以下のとおりです。 @なりたいギャラがいそうな場所を探す Aその場所にうまく入り込むきっかけを作る Bその中の一員になる  さっそくいきます。 なりたいギャラがいそうな場所を探す 間違った方法  まず、自分がなりたいギャラはすでにできている と仮定して、そういう大がどこにいるのか……です。  間違いがちなやり方から説明したほうがわかりや すいと思うので、説明します。  たとえば、起業をするなどして、自分のビジネス を立ち上げて、自分かやりたいことを全力でやれる タイプの人間になりたい、と思ったら、そういう大 たちが多くいる場所に行きたいわけです。  しかし、ここで多くの大がやりがちなのは「今す ぐ会社をやめて起業するのは怖いので、起業を目指 している人の集まりに行こう」とかしてしまうこと です。  一見よさそうなんですが、当然ながら、「起業を 目指している人の集まり」というのは、起業を目指 している大が集まっている場所になります。これを 言い換えると、今すぐ会社をやめて起業するのは怖 い、と思っている大が集まっている可能性が高いん です。  おそらくそこに行ったら「会社やめるのって怖い よな’・ でも起業したいよな’・」という大と仲良く なってしまうんです。「起業をしている大」と「起 業を目指している大」、近そうですが、実際はもの すごい差があるんですね。  その結果、そこにいてもしよっちゅうビジネスア イデアや起業への思いを語る仲間はできるけど、結 局起業しない、という大になる可能性が高いです。  このように、適切な環境を探したつもりが間違っ ているというのはよくあります。  「わかった、じやあ起業している人の集まりに行け ばいいんだな」と次は思いますよね。しかし、ここ でも間違った環境に行ってしまうことがあります。  たとえば、「ソフトバンクの孫正義さんやサイ バーエージェントの藤田晋さんみたいなIT系の起 業家になりたい’・」と思っているのに、飲食店など で起業をしている人の集まりに行ってしまうと、全 然ノリが違います。ビジネスルールから、人の性質 まで違うので、おそらくあまり参考にならないで しょう。  つまり、「なりたい姿の解像度が低いと、とんで もないミスをする可能性がある」ということです。 「挑戦をする起業家になるぞ」くらいだったら飲食 店のオーナーでもIT会社の経営者でもどちらでも いいと思うんですが、深く考えてみて「孫正義さん には近いけど、そこらへんの飲食店のオーナーとは 違うな」などと思うようなら、実は自分の希望と まったく違うキャラクターになってしまう可能性が あるわけです。 なりたいギャラの人がいそうな環境を 探す方法  じやあ、どうするといいかというと、一つは 「キーパーソンを探す」です。  自分がなりたいギャラに近そうな人をまずはイン ターネット上などで探してみます。注意点としては、 現役の人を探すということ。歴史上の人物になりだ い、と思ったとして、その大が所属していたコミュ ニティなどが今は存在しない、ということはよくあ るからです。  そのキーパーソンをどう探すのか、というところ が一番難しいと思うんですが、やり方のコツとして は、 ・今、自分が知っている中で、一番理想のギャラに 近い大を探す017考えてみる ・その人の持っているプロフィールを分解する。所 属、経歴、実績など ・それをもとに検索してみる  などです。  一番理想のギャラに近い大がすぐに見つかる場合 は、その人の持っている経歴を分解してみます。コ ツとしては、なるべく現役で活躍している大、自分 と距離が近い大だとやりやすいでしょう。  どうしても偉人がいいという大は、一度、その大 の特徴やプロフィールを調べていき、今の現役の人 で似たような人がいないか、というのを探すのも一 つの手です。  たとえば、スティーブージョブズのような偉人に なりたい、と思っていたら、スティーブージョブズ のプロフィールを探してみて、分解していきます。 そうすると、「この思想に影響を受けている」とか 「こういう経歴がある」「こういうコミュニティに属 している」などがわかってきます。そのあとに、そ うしたコミュニティの中にスティーブージョブズつ ぽい人がいないか、と探してみるのです。  具体的な人が思い浮かばない場合でも大丈夫です。 たとえば、あなたが会社員だった場合、「大きな企 業の中で、社内の軋轢に影響を受けず、実績をとに かく出して、大改革をして結果を出し、将来的に社 長になる」みたいなのが理想の状態とギャラだとし たら、それをやってそうな人を探せばいいのです。  ここでは地道に、SNSのプロフィールを読み込 んだり、業界の中で誰が影響度が高いか、などを調 べたりします。  うわ、面倒だ、と思うかもしれませんが、これは 「自分のなりたいギャラの解像度を上げる」という 意味でもとても大事です。  今どきは、SNSやYouTubeで情報発信をして いる大がたくさんいるので、探しやすいでしょう。  そして、その中で、近そうな大を見たら、その人 のことを徹底的に調べます。調べ尽くしたときに 「あ、この大は自分の理想に近いな」と思ったら、 次は、その大が所属しているコミュニティにどうす れば入れるかを考えます。  要は、「一人だけ、自分の理想に近いギャラの大 を探してしまえば、その大が所属しているコミュニ ティに入ればいい」ということですね。  「その人のいるコミュニティに入れるか?」はいろ いろな運や状況によると思うので、ここでは数人、 ピックアップするのがおすすめです。 サードドアの概念を知る  この大が自分のなりたいギャラに近い、というの が決まったら、次は、その人のいるコミュニティに 入る方法をお伝えします。  と、その前に……。多くの大がここで、正面突破 をしようとしちやうんですね。それでももちろんい いんですが、何者でもない大がいきなり理想的なコ ミュニティに入るのは難易度が高いはずです。なの で、コミュニティヘの入り方の説明をする前に、ま ずは「サードドア」という考え方を紹介させてくだ さい。  サードドアとは、『サードドア』(アレツクスーバ ナヤン)という本の中に出てくる概念です。ものす ごく、ざっくり言うと、18歳の大学生が、ビルーゲ イツ、レディー・ガガ、スピルバーグといった世界 的な有名人にインタビューしまくる話です。本の紹 介を引用します。  人生、ビジネス、成功。  どれもナイトクラブみたいなものだ。つねに3つ の入り囗が用意されている。  フアーストドア‥正面入り囗だ。長い行列が弧 を描いて続き、入れるかどうか気をもみながら、99 %の人がそこに並ぶ。  セカンドドア‥VIP専用入り囗だ。億万長者、 セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる。  それから、いつだってそこにあるのに、誰も教え てくれないドアがある。サードドアだ。  行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何百回も ノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り 抜けたその先にI  必ずある。  要は、人が選ばない、抜け道のようなものをサー ドドアと呼んでいるわけです。「抜け道」と言うと、 何かズルをしたりするように聞こえますが、そんな ことはないんです。  どちらかと言うと「お金もコネもない人が成功す るためには、ほかの人と違う方法をとらないといけ ないよね」という話です。  たとえば、何者でもない普通の大学生が、すごく えらい人にインタビューしようと思ったとします。 でも、正面から、ホームページのメールフォームに メッセージを送っても無視されるわけです。じやあ、 どうするのか。それがこの本の趣旨です。  実際に大学生が悪戦苦闘していく話なので、すご くおもしろいです。まず、クイズ番組に出て賞金を もらって、その賞金で活動するところからスタート するのですが、そこからもうおもしろい。  主人公はクイズ番組に応募して、ネットで攻略法 を聞きまくって、観客席から選んでもらうために必 死に派手な服装などをして目立って、現場では周り の人に「初参加者がどうすれば勝てるのか」を聞き まくって、実際に優勝して、日本円で100万円近 くを手に入れます。  具体的な内容は本を読んでみてください。 理想のギャラがいるコミュニティに入 る方法  では、理想の環境に入るにはどうしたらいいかを 説明します。  たとえば、先ほどの「挑戦し続ける起業家になり たい」であれば、起業家がいる環境に飛び込む必要 があります。この場合においてのサードドアは、ど んな方法があるでしょうか。  たとえば、ぼくの知り合いのとある起業家で、起 業をする前に、「採用のためのメディアを立ち上げ て、いろいろな起業家などにインタビューをしま くった」みたいなことをした人がいます。  その人は記事を書く力があったので、メディアを やることで多くの人と知り合いになってコミュニ ティに入り込み、理想とする起業家についての理解 を深めていきました。  そして、最終的には自分で起業をして、数年でと ある大企業に会社ごと売却をして、億万長者になっ たのです。  この方法が優れているのは、いろいろな起業家に 話を聞いて、成功した方法を聞けて勉強ができる、 メディアの人として起業家だちからは重宝されるの でコミュニティに入りやすい、という点です。自分 の話を聞いてくれて、いいことを書いてくれるメ ディアはみんな大事にするからです。  また、とある学生で、もともと教師になりたかっ たけど「もしかして、自分が知っている職業って教 師くらいしかないからそう思っているだけでは?」 と思い、100人の社会人とI対Iで相談をしまく る、というのをやった大もいます。  当時盛り上かっていた、Clubhouseというサービ スを使ったりして、とても著名なビジネスパーソン などとも話したり、そこから大を紹介してもらった りして、多くの成功している社会人と知り合いに なっだのですね。  これも、「学生には優しくしたい」という社会人 の特性を剌激しつつ「優秀な20代前半の若手や学生 とはつながっておきたい」というビジネス的なメ リットも相手にあるため、お客さんとしてやり取り ができるわけです。  こういう抜け穴、サードドア的なものは無数にあ るはずです。もちろん、「真正面から行動をして、 そのコミュニティに入るんだ’・」という方法もぼく らには常に残されているので、それができる人はそ れでいいと思いますが、それ以外の方法もあるんだ よ、というのは覚えておいていいかなと思います。 すごい人とつながるサードドアの方法  ちなみにぼくは、大学生のとき、インターネット でサービスを作って大ヒットさせていた、2ちやん ねる創始者のひろゆきさんと知り合いたいなあ、と 思っていたので、ライバルサービスの「←5・?」と いうサービスに管理人として関わったり、住所や電 話番号をそこで公開したりしていました。  そんなことをしてたある囗、ひろゆきさんの友だ ちが事故に遭って入院したことがありました。そこ でひろゆきさんは、その友だちの尿道に管が挿さっ ているのがおもしろすぎて、どうにかして多くの人 に見てもらいたい、と思ったときに、たまたま病院 の近くに住んでいて、電話番号をさらしているぼく を見つけて、電話をかけて呼び出したのです。  それがきっかけで、ひろゆきさんと仲良くなりま した。  どういう流れだよ’・ と思うかもしれないんです が、なんとか相手が連絡しやすい道を複数作ってお き、そこでつながれるようにがんばったことにより、 道が開けたのです。  また、ぼくは「ほぼ囗」の創業者であり、コピー ライターとしても、ゲームの『MOTHER』を 作った人としても超有名な糸井重里さんに、学生時 代から憧れており、どうしてもつながりたかったの です。  そこで、学生時代には、名刺に「糸井重里さんと 会うのが目標です」と書いて配ってたりしました。 とにかく名刺をばらまくことでつながろうと思った のです。それは別に効果はなかったのですが、とに かくいろいろ試しました。  最終的には、ほぼ囗手帳のイベントか何かで、糸 井さんが直接手売りをする、というときに、お客さ んとして行って話をしたりしました。  そこでなんとか「起業したいんです」みたいな話 をしたりして……。そこでは単なるお客さんにすぎ なかったのですが、10年くらい経って、ほぼ囗の会 社の人が来るイベントに参加して、そこに、ほぼ囗 で売っている(ラマキを着けていったんです。  そこで、「え、ほぼ囗の方なんですか!・ ぼく、 この「ラマキ、めちゃくちゃ使っています’・ ほ ら’・」と見せたりして仲良くなり、そこからほぼ囗 のオフィスに遊びに行かせてもらって、糸井さんと 会うことができました。  ちなみに、ほぼ囗手帳のイベントの話をしたら、 なんと糸井さんが覚えていてくれたんですね。「あ のときの子だよね’・ 覚えてる’・」と。それがきっ かけで話が弾んだりしました。  さらに先日、糸井重里さんの「ほぼ日の學校」と いうメディアに出演をして、2時間くらい話して仲 良くなったりしました。  そういう感じで、あの手この手で、自分の理想と する人と近づこうとするのはアリな手段だと思いま す。  自分の理想とする人たちに近づく方法はいろいろ あるんですが、もう一つだけ紹介しておきます。  それは、「その人が今一番してほしいことをする」 という方法です。これが一番おすすめです。たとえ ば、知り合いたいのが起業家だとしたら、「その起 業家の一番ヒットしたサービスを使うことではなく、 相手が今一番ヒットさせたいと思っているサービス を使って、一番の顧客になる」ことがいいのです。  なんとかして成功させたいプロジェクトを応援し まくって、一番のお客さんになって、ファンとして 応援しまくる……というイメージです。こうすると 「応援してくれる貴重なファン」になるので、サー ビスを提供している会社の人からも認知されたりし ますし、つながれたりします。  これが、有名な作家さんだとしたら「その作家さ んの一番のヒット作を好きと言う」のはあまり効果 がありません。そんな人はとても多いからです。  でもその人が、連載を始めたり、新作を出したり したあとに、一番早く感想を書き、おもしろい’・ と周りに言いまくり、ネットで感想を拡散したリレ ビューを書いたりすると、認知されやすくなります。  なぜなら、新作は売るのが大変で、かつ売りたい と思っているからですね。実際、ぼくが漫画サービ スをやるときには、まずは漫画家さんや編集の人と つながる必要があるので、そういう投稿をSNSで しまくっていました。  編集の人や作家さんは、SNSの感想を、ほぼ全 件と言っていいほどチェックしたりしているので、 そういう人からの認知が上がります。そしてフォ ローしてもらったり、つながったりできました。  このあたりはいろいろなパターンがあると思うん ですが、亶]正面から行動しなくても、環境を作る方 法を別の角度で考えて実行してみる、というのがい いかなあ、と思います。 つながりたい人の「お客さん」になる  っながりたい人がいたり、入りたいコミュニティ があったりしたとき、その対象がすごく有名な人 だったりすると、なかなか難易度が高いです。そん なとき、運の要素も絡むのですが、先ほども言った とおり、「つながりたい人のお客さんになってしま う」のがいいでしょう。それも、その人が「今がん ばっていること」のお客さんになるのがおすすめで す。  少し前に以下のような記事が話題になっていまし た。  【ホリエモン、自身に。タダ”で会おうとする人々 に不快感「15万円払えば会食できるのにさ」】  堀江氏は、自身が手がけるグルメ情報サービス 「TERIYAKI」で毎月10名限定で会食をする イベントを行っているといい「I人15万円で、おい しい高級鮨を食べるような会食ができるわけよ。俺 もちゃんとお仕事として会うのにさ。その15万円を 払うのが嫌なんだろうね、そういうヤツつてセンス ないよ」と、バッサリ切り捨てた。  「だって15万円払った時点でお客さんだから、 ちょっとドヤれるわけよ。俺もお客さんだと思うか ら、ちゃんと話を聞くしね。そのうえで、長い付き 合いになった方もいらっしゃるから。金で解決でき るんだったら、楽な話だと思う」と持論を展開して いた。  引用元‥スポニチ  記事の反応として、「別に会ったからといって何 も変わらない」とか、「15万円あるならほかのこと に使うべき」といった意見が目立ちました。  もちろん単に会ってみたいとか、話を聞いてみた いくらいであれば、あまり得られるものはないかも しれません。しかし、世の中にはこういった機会を うまく使っている人も多いのです。  まず、「堀江さんに事業についてのプレゼンをし て相談をする」みたいな機会を得るのは、普通に仕 事をしているだけだとなかなか難易度が高いです。  超有名人なので、そういった依頼は毎日山のよう にくるわけで、SNSでDMをしてもおそらく無視 されると思います。当然、窓口もありません。  しかし、15万円を払って鮨を一緒に食べるとなる と、そこでは「特別なお客さん」になることができ ます。たとえばそこでの対応が悪くて「あれは最悪 だった」という噂が立つと、今後イベントが成り立 だなくなってしまうので、そういうことは基本的に やりません。  実際に、堀江さんが主催するそういった場にゲス トとして行ったことがあるんですが、当たり前のよ うにお客さんとして扱われます。  そこは立食パーティーみたいな形式だったんです が、堀江さんがちゃんとウロウロしているし、誰で も話しかけられるようになっています。事業のプレ ゼンをしたり、相談をしたりしても、ちゃんと答え てくれる状況です。  仮に堀江さんに事業のコンサルをお願いしようと すると、数十万円じゃ利きませんし、そもそもちゃ んとしたルートからの紹介でもない限り受けてもら えません。そんなとき、「堀江さんにアドバイスを もらえる」で15万円は、お金の使い道として全然悪 くないという印象を受けます。  ちなみにぼくも似たようなことをやっていて、自 社で出しているNFTを20個持っている人に対して、 10111を実施するというものです。つNFT”が分 からない人は検索してみて下さい’・)  これはコンサルで儲けたいわけではなく、NFT を売る実験をやりたいという感じなわけです。  NFT20個の価格は、日本円で数万円くらいなん ですが、ぼくの場合、普段そんな価格でコンサルを 受けたりはしません。1時間で20万円の依頼とかが くることもありますが、断ることのほうが多いです。  今、NFTを売る実験をしたいというだけなので、 「一時的に空いている窓口」なわけです。  それで、実際にやってみると、1時間で価値を発 揮しないといけないので、こちらは事前の準備もし ますし、めちゃくちゃ集中して取り組みます。  さらに、そのアドバイスをした人が失敗してし まったら嫌なので、その後SNSのDMで「アドバ イスどおりにやってみたんですけどどうですか?」 とか、追加の質問がきたりすると、対応せざるを得 なくなります。  またSNSでも、紹介したりすることになります。 ぼくの場合は25万人くらいフォロワーがいるので、 Iツイートで30万円とか50万円くらいもらえるPR の依頼がよくきて、普段は基本的に斷っているので すが、そういったルートだと積極的に応援する動機 が生まれるわけです。  ちなみにそういう見方をして、たった数万円のリ ターンとしては悪くないよねと考えて依頼してくる のはイケてる賢い人が多いので、ぼくもそういう人 だちとつながれて得をすることが多いです。  この話を聞いて、ぼくが「自分や堀江さんの宣伝 をしている」みたいに捉えてしまうかもしれません が、そういう話ではなくて、伝えたいのは「相手が 今がんばっていることのお客さんになると、恩を売 れる」ということです。  著名人や起業家がこういった取り組みをしている ときって、「何かプロジェクトを成功させたいから、 その周辺としてやっている」ことが多いんです。  そういうときに率先してお客さんになると、相手 からも覚えてもらいやすいし、恩を売ることすらで きます。なかなか手に入らない「貸し」を作れるの で、すごくリターンが大きいわけです。  まとまったお金がなかったとしても、たとえば著 名な人が新しいプロジェクトをやったときに積極的 にシェアしたり、プロジェクトを応援するブログを 書いたり、参加してあげたりするだけでも効果的で す。賢い人たちは、そうやってつながりを作ったり しています。  というわけで、ぼくもそういった取り組みをする ことが多いので、ポジショントークだと思われてし まうのは百も承知なのですが、やっている側の意見 は参考になるかなと思って書きました。  先ほど書いた、大学生の頃に糸井重里さんと会っ たエピソードも、当時はまだ糸井さんがほぼ囗手帳 を手売りしていたような「これからがんばるぞ」と いう時期だったからこそ、ぼくのことを覚えていて くれたという側面があるかもしれないなと思います。 断られるのが怖い人のための思考法  サードドア的な方法でコミュニティに入る方法を 紹介しましたが、ここでお伝えしておかないといけ ないのは、自分の理想のギャラになるために、適し た環境に入ろうと思っても、だいたいうまくいかな いということです。  サードドア的なアプローチをしたら、入りやすく はなりますが、それでも基本的には断られるものと 思ってください。「どうしてもこのコミュニティに 入りたい」と思って必死になってアタックしたけど ダメだった、ということは普通なんです。  ここで諦めてしまうのはとてももったいないんで すが、心が折れてしまう気持ちもよくわかります。 なので、ここでちょっと「何度も斷られるときに、 どう考えればいいか」をお伝えしようと思います。  匸冐で言うと「個別ではなくて、確率論だけで考 えるような状態にする」ことです。  まず、大前提として、「一人の人をターゲットに する」のは間違っています。孫正義さんみたいにな りたい、だから孫さんがいるコミュニティに入ろう、 と思っても、当然難易度が高いんですね。  無理ではないかもしれませんが、これにはタイミ ングや運も大きく左右します。  就職活動などで、採用試験を受けるときも同じで す。会社によっては、今年は300人採用するけど、 来年は50人しか採用しない、とかはよくあります。 当然、人数が多いほうが入りやすいわけですが、こ れはもう自分のスキルや能力ではなくて、運ですよ ね。  なので、一つや2つ断られたときに、「自分は やっぱリダメなんだ」と思わないほうがいいと思っ ています。それが自分の実力なのか、運なのか、数 件程度じゃわからないからです。  なので、自分の理想のコミュニティに入るには、 100件くらいに挑戦するほうがいいんです。 100件挑戦したら、70件は全然ダメで、30件は返 信をくれて、10件は会ってくれて、I件、コミュニ ティに入れるかもしれません。  営業だろうと、就活だろうと、恋愛だろうと、 「これ以外考えられない」という気持ちでアタック しても、相手の都合などで斷られることはよくあり ます。一つに絞ってしまうと断られたときに傷つい てしまいます。  しかし、100件アタックすると、「100件ア タックすれば、だいたいI〜2件は成功するな」み たいな確率論で考えることができるようになります。  ということで、「斷られる可能性が高いものなの に、数件しかアタックしないと斷られたときに心理 的なダメージを負うから、そういうときは、確率論 だけで考えるほうがいいので、たくさんアタックし よう」みたいに覚えておくといいと思います。 コミュニティに入りやすくするテク ニック  確率を少しでも上げるために、コミュニティに入 りやすくするテクニックをもう一つ紹介します。  それは、 ・相手が求めている点において ・自分のほうが有利な状態のものをぶつける  という方法です。  コミュニティに入りたいと思ったときに「勉強さ せてください’・」みたいな低姿勢で臨んでも、なか なか入りづらいんです。というのも、魅力的な人や コミュニティには、たくさんの人が入りたいと思っ ているので、大勢の中の一人になってしまうんです ね。  魅力的な会社には「ただでもいいんで働かせてく ださい’・」という人がよく来たりします。これは最 悪です。何も知らない人を教育するにはものすごい コストがかかりますが、それが、お金ももらわない 無責任な状態で入ってきたら、目も当てられません。 「ラッキー、無料の労働力だ」とすら思ってもらえ ないんです。  なので、コミュニティに入るには、力関係的に自 分が上になる状態を作るのがおすすめです。  「いや、自分はそんなにすごくないんで、上になん かなれません’・」と思うかもしれませんが、そうで もないんです。  たとえば、相手が40代のビジネスパーソンで、自 分が学生だとしたら、それだけで有利です。40代に なると、学生の持っている若い感覚などを知りた かったりしますし、若い人と対等に付き合えている、 というのが自分にとっても嬉しいことだったりする ので、有利なんですね。  若さという点で、相手よりも上の立場に行けるの で、価値を提供しやすいということです。逆に、相 手が24歳で、新卒2年目の社会人とかだと、学生で ある、ということはなかなか価値が出せなかったり もします。  就職活動で、アルバイトのリーダーをやっていま した、サークルのリーダーをやっていました、みた いなアピールをする人が多いですが、これは実はあ まり刺さりません。みんな同じようなことを言いま すし、ぶっちやけ社会人からしてみると、学生時代 のリーダーシップ経験は、自分かやっている仕事上 のリーダーシップからしてみると、それよりも柢い ものだと思ってしまうからです。  なので、むしろ「ギり冨のプロジェクトに関わっ ていました。DAOというものなんですが、非中央 集権のプロジェクトで、トークンをインセンティブ にして世界中の人と働いています」などと言ったほ うが、相手よりも優位に立てます。相手は「あ、や ばい、最新の技術だ。知っておかないと」となるか らです。  日本企業で、お金を払っての労働形態しか経験し ていない人にとって、そういう世界は新しいものな ので、その点において、面接官よりも学生のほうが 上位に立つことができます。  このあたりは、むしろ「相手より有利になるため にはどこを狙うといいか」から逆算してしまっても いいと思います。 新しい環境で意識したい「クイック ウィン」  その理想のコミュニティに入れたときに、うまく 周りを味方につけるテクニックもあわせて紹介して おきます。  とある老舗企業を若くして引き継いだ友人がいま す。ものすごいエリートで優秀なんですが、会社に 行くと、みんなその人より年上になります。  そうすると、当然「経験も実績もない跡継ぎが来 た」という印象になります。ネガティブな人ばかり ではないですが、「何もわかっていない坊っちゃん が間違ったことをしたら指摘してやろう」と思って いる人はたくさんいるわけです。  想像してみると、とても大変そうです。「若いエ リートだから、IT化とか、デジタル化とかするん だろうけど、思いつきで仕事をいじられちゃたまら ん」と思っている人も多いわけですが、一方で、時 代に合わせた社内改革もしないといけない。  しかし、その社長は、数年で、とてつもなく会社 を進化させて、業界にものすごいインパクトを与え ました。「すごく大変そうに見えるんですが、どう やったんですか?」と聞いたときの答えが「クイッ クウィンを狙う」だったんです。  クイックウィンとは何かと言うと、「最初は絶対 に勝てるところで勝っておく」という意味です。詳 しく説明します。  就任からの最初のIヶ月は、みんな身構えます。 「この人はどんなことをやるんだろうか」と思いま す。このときに「大胆に改革するぞ’・ まずは全プ ロセスをIT化する’・」などと大改革してしまうと、 社内の反発をものすごく受けます。  なので、そのときには、簡単にできる改革だけを するらしいんですね。たとえば、「社員全員が、あ いさつを必ずするようにする」「毎日、掃除をする ようにする」というのを徹底的にやったらしいので す。  それをIヶ月続けると、「彼が来てから社内が明 るくなった」とか「社内が清潔になって働きやす い」と言われるようになったんです。これは、難易 度の割に、誰しも実感できるいい効果があったんで すね。  つまり、絶対に勝てるところでだけ勝ったんです。  そうすると、「彼の言うことだったら聞いてみよ う」という人が、ちょっとずつ増えてきます。すで に成果が出ているからです。  これは、新しい環境に行ったときにも活用できる 考え方です。たとえば、転職をしたときなどには、 「前職までの経験を活かして、組織を大改革する’・」 などと言ってば反発されてしまうかもしれませんが、 まずは「解決しやすい小さな課題を、うまく解決す る」というのを確実にしておくと、あとが楽になり ます。  たとえば、ほかの社員が困っているちょっとした ことを、うまくすくい取って楽にしてあげたり、 ちょっとした作業を簡単にしてあげたり、などに集 中するのです。面倒そうな飲み会の幹事などをやっ たりと、とにかく「やれば確実に成果が上がって喜 ばれること」をやっておくのです。あの人が来たお かげで、いろいろ助かっているよね、と言われるよ うなことをします。  そのように「小さいことを、誰よりもうまくや る」ことで実績と信頼を積み、仲間を増やします。 小さな勝ちをいくつか積み上げて信頼が集まってか ら、より大きなことをするようにすると、新しい環 境に馴染みやすくなるので、参考にしてみてくださ い。 応援してくれる人を増やす  あと一つ、環境において大切なのは「応援してく れる人を増やす」ということです。人は応援されな いとなかなかがんばり続けられません。  リアルの環境を変えるのは大事ですが、それも限 界があります。  前提として、応援してくれる人を探そうと考える と、みんな親しい人や、近くの人に応援してもらお うとするのですが、これは難易度が高い手法です。  というのも、あなたの昔の姿を知ってしまってい たり、深く知りすぎていたりする人は、あなたがい きなリキヤラを変えて、やりたいことをやろうとし ていると、びっくりしてしまうんですね。その上で 「おい、どうしたんだよ、変な本でも読んで影響さ れちやったのか?」みたいなことを言いたくなりま す。  人間は現状維持を望む傾向があるので、急に親し い人や友達が変わってしまうと不安に思うからです。 変わらないでくれよ、と思ってしまうんですね。な ので、「近い人ほど応援してくれる」というのは幻 想で、むしろ、遠い人や、知らない人などから新し く応援してくれる人を探すほうがいいのではないか と思います。  というわけで、今、一番よい方法は、やはりSN Sを活用することです。SNSを使うことで、あな たの周りにはいない人だちともつながることができ ますし、そもそも人数が多いので、自分とマッチす る人を探すことも容易です。  たしかに、SNSでフォロワーを一気に増やして、 インフルエンサーみたいになれる、影響力を作れる、 という人は正直稀だと思います。しかし、この方法 を使えば、少しだけ成功率が上がる、というのがあ るので、それを書きます。  まあ、これでフォロワーが少しでも増えて、応援 してくれる人が増えれば……くらいに捉えておくと いいかなと思っています。  ではさっそく紹介します。 SNSでのファンの増やし方  SNSにはいろいろなサービスがありますが、ま ずはテキストが基本になるX(Twitter)がやりやす いと思うので、X(Twitter)を前提として説明しま す。  基本方針として、まず、SNSでの情報発信を3 つに分けます。 IInformation(情報) 2.0pinion(意見) 3Diary(日記)  この3つです。  IのInformation(情報)とは、ニュースや、み んなが知らなかった新しいもの。内容そのものに価 値があり、誰が言っているかなどはあまり関係ない ものです。  2のOSR呂(意見)とは、何かの事象について、 自分の意見を述べるツイードです。「この作品がお もしろかった」みたいな感想もそうですし、「×× 政権のここが問題だ’・」というのも○pinion(意 見)ですね。  3のDiary(日記)とは、「今日はラーメンを食 べたよ」「眠いよ’・」みたいな、自分の日常の共有 です。  結論から言うと、sNsを使って発信するなら、 I↓2↓3の順で発信していくといいんじやないか、 と思っています。  イメージとして、フォロワーー万人くらいまでは {コ?日}乱呂をがんばり、次に○pinionを展開してい き、フォロワー10万人くらいから、Diaryを入れて いくといいんじゃないかと思います。  なぜこの順番か、というのは単純に「知らない大 の意見や日記は、誰も読まない」ということに尽き ます。  インターネットにはそういうものが大量に存在し ているので、ここで差をつけるのはほぼ無理です。 みなさんも、全然知らない人の意見や日記はそんな に読まないですよね。  それにもかかわらず、みんなめちゃくちゃ「自分 の意見を聞いてほしい’・」とか「自分の日記を読ん でもらいたい’・」という欲があります。需要と供給 がすごくズレているんです。特に、この本を読んで テンションが上かっている人は、「自分はこういう ギャラだよ’・」とか「こういう物語を歩んでいる よ’・」とか言いたくなっちやうかもしれませんが、 正直な話、そういったニーズはありません。  「自分の意見を発信すれば、自分と意見が合う人に 見つけてもらえるのでは?」と思う人もいるかと思 います。  これはなくはないんですが「自分の意見と合う人 を探している人」というのは、「自分の意見と合う 人を探したい」というタイプの人ですよね。そうい う人は、意見が合わなくなると離れていったりする ので、初期からここを狙うのは非効率だと思います。  また例外として「ものすごく過激な意見や、誰か の気分を害するOSR呂(意見)を言って炎上させ る」という手もあります。これはぼくの観測範囲だ と、9割以上が無視されていますが、もし誰かに見 つかって燃やしてもらえれば、有名にはなれるかも しれません。  ただ、これは賢い方法でもなんでもありません。 その影響力をキープするためには、過激な意見を言 い続けたり、一方的な見方をキープしたりしないと いけません。そのため、意見が先鋭化していってし まう危険性があります。そして、変な投稿をして叩 かれまくったりします。  こういった投稿をしている人はみんな「自分はそ こを狙ってやっている。自分は冷静だ。あえて議論 を起こすために投稿してるんだ」という顔をしたが るんですが、だいたいの場合、その時点で壊れてい る人が多いです。結局そういうアカウントは長持ち しないんですよね。そういう人を何人も見てきたの で、おすすめしません。  ということで、最初は{コま呂肚呂(情報)の発 信に特化するのがいいと思います。 どういう情報を発信する?  じやあどういう情報を発信したらいいのか? と いうことなんですが、次の図の優先順位をもとに発 信するといいと思います。  一番いいのは@の「みんなが知りたくて、みんな が知らないもの」です。当たり前ですね。  次にAの「みんなが知りたくて、みんなが知って いるもの」です。実はここがポイント。というのも、 多くの人が「みんなが知らない情報のほうが価値が ある!」と思って発信しがちなんですが……。  そうでもないのです。  「みんなが興味がなくて、みんなが知らない情報」 というと「私のお父さんはスタバでいつも一番大き いサイズを頼む割に残す」みたいなものも入っちや うんです。そんなこと、知ってもどうしようもない ですよね。それよりは、すでに知っていたとしても 興味がある「Appleの新型iPhoneがすごい」などの ほうが目を引きます。  このことは、意識しておくといいと思います。  それでは具体的にどういう情報を出せばいいのか、 というところなんですが、いくつか例を出しておき ます。 ・「最新の情報」……一一ユース、即時性があるもの。 難易度は柢いが、競合も多く、速度勝負になりがち。 ・「違う言語でしかネット上にない情報」……英語、 中国語からの情報のものなど。語学スキルがいるの でニーズが高い。語学ができるとコスパがいい。 ・「現場感のある情報」……足を使ったもの。匹) 『進撃の巨人』展に実際に行ったときのレポ ・「複雑性が高いものをわかりやすく解説」……み んなが知りたいけど、複雑で理解ができていないも のをシンプルにわかりやすくする。  とにかく自分に合った、自分が発信できる、さら にインターネット上にあまりない有益な情報を、積 極的に発信していくといいと思います。  ちなみにテーマは統一したほうがいいです。中国 のテック情報と、柴犬の情報と、樹木の防虫情報な どがいっぺんにくると、フォローしづらくなるので。  大事なのは、「どういう投稿をしたか?」という 企画やアイデアよりも、「どういう投稿がいいの か?」という仮説を立てて、それを実行したあとに データを見ながら「何かよかったのか?」のチェッ クをすることです。  自分でツイード投稿のカテゴリを作って、スプ レッドシートなどで管理をする。それをやり続けて 精度を上げていくと、それは自分の血肉になってい きます。 フオロワー数が1万を超えたら  {コま自註呂(情報)を発信することでフォロワー 数が1万を超えたあとの行動も書いておきます。1 万を超えるとかなり楽な戦いになるので、ここでは さらりと説明します。  簡単に言うと「OSR呂」をちよつとずつ混ぜこ むといいと思います。  というのも「Inform註呂」を発信しているだけだ と、単なるニュースアカウントみたいになってしま うので、印象に残らないんです。そこで、ギャラを 出していくために、{コ?目註呂の投稿に関して少 しずつ「これはこうですね」みたいな独自の意見を 入れていく。すると、個性が出てきます。  10万フオロワーくらいまでいったら今度は Diary(日記)を出していきます。  {コま日}乱呂や○pinionでなくても「ラーメン食べ た」という投稿だけで100いいねくらいもらえる ようになると、めちゃくちゃ強いんですよね。ちな みに、有名な芸能人クラスになると、「おはよう」 と書くだけで1000いいねくらいがついたりしま す。こうなると、もう何をやっても反応がある状態 になります。  最終的には「この人が好き」と思ってもらえると ころを目指すと、アカウントとしては強くなります。 そういう展開にしていきましよう。 SNSのプロフィールをどうするか  SNSのプロフィールも重要です。プロフィール もフェーズに合わせて変えていくといいでしょう。  {コ?目註呂のときは「どういう情報を出すの か?」というところに特化して、Diaryまでいった らパーソナルなところまでアピールする……、とい うように、順番に変えていくといいと思います。  もちろん、ただプロフィールを変えるだけではな く、それがよかったかどうかを判断する必要があり ます。  主に「ツイードインプレッション↓プロフィー ル」のアクセス率を見つつ、「プロフィールにアク セスした人が新しいフォロワーになったか?」を確 認します。その確率を上げていくといいと思います。 X(Twitter)の細かいテクニック  大きくはこのような流れですが「細かいテクニッ クも知りたい」という人もいると思うので、軽く触 れておきます。 @いいねをしよう’・  まず、自分について言及してくれた人にはいいね をしまくりましよう。スパムのようにする必要はあ りません。自分への言及、レスをしてくれた人には 必ず反応をする、というだけです。できればたまに コメントもするといいと思います。 A煽りや批判は無視  煽りや批判もきますが、まあほとんどの場合、無 視していいです。それら自体には、メリットもデメ リットもあまりありません。ただ、それらに反応す ることはデメリットが大きいケースがあります。で すので慣れるまでは、自然災害のようなものだと 思っていたほうがいいです。 B人の批判などはしない  人の批判は、有名大だろうと政治家だろうと、し ないほうがいいと思います。正義感で書きたくなっ たときほど、注意したほうがいいです。  というわけで、発信についてまとめてみました。 方法はこれだけではないですが、一つのやり方とし て参考にしてみてください。  環境が人を作るという言葉どおり、自分をどんな 環境に置くかでギャラが変わり、行動も変わります。  真正面から自分の行きたい環境に行けることは稀 なので、サードドア的な手法を使って、自分のギャ ラがいきいき動き出す舞台に飛び込んでみてくださ い。  さらに応援してくれる人を増やすということも大 切です。人は、周りから反応がないと、なかなかが んばり続けられない生き物です。  自分のことを発信しながら仲間を増やす。自分の ギャラが動き出す環境を作っていきましよう。  さて、ここまできたら、あとはそのギャラで物語 を進めていくだけです。  小説や漫画などの物語では、「主人公がいろいろ な挑戦をして、失敗したり成功したりしながら、成 長していく」のが王道です。  それと同じように「物語的に自分の人生を客観視 してみて、読者目線でおもしろいと思えるように生 きていく」というやり方がおすすめです。  どうしてこれが大事かというと、基本的に人間は ほとんど挑戦しないんです。守りに入る生き物なん ですね。  新しいことに挑戦するのは誰だって怖いです。リ スクがあったらなおさらです。なので、みんな、い ろいろ自分に言い訳をして、挑戦しないわけです。  それを乗り越えるためには、自分を客観視して 「物語だったらどうなると盛り上がるか?」と考え るのが有効です。そうすると、人生で挑戦する回数 が増えて、チャンスが増えていきます。  これをぼくは「物語を転がす」と表現しています。 平坦な物語はつまらないわけなので、フィクション では物語を転がしていくわけです。  というわけで、ステップ5では、物語を転がす方 法を紹介します。まずは、物語を転がすために目標 を決めるところからです。 やりたいことがなくても目標は設定で きる?  「いやいや、やりたいこととかがないから、目標が 決められないんでしよ’・」と怒る人もいるかもしれ ません。しかし、ここでいう目標はそんな大げさな ものではないんです。  人間は目標を設定することにより、効率的に動く ことができます。なので、みんな「目標を立てよ う’・」というわけですが、やりたいことがない人に とっては、目標を決めること自体が苦痛です。  なので、この本では、目標を決めるよりも先に、 まずは自分の理想のギャラを決める、ということを しました。  想像してもらうとわかると思うんですが、山登り で大事なことは「山登りが楽しいか」のほうであり、 山のゴールはそこまで重要ではないんです。特に人 生においては「ゴールには到達しだけど、そこまで の道のりは最悪でした」となってしまっては、本末 転倒です。人生では幸せなほうが重要であり、ゴー ルはそこまで大事ではありません。  ぼくは、「物語は転がっていればおもしろい」と いう考えを持つことをおすすめしています。どこに 到達したか、どのゴールを目指しているかよりも、 「プロセスが充実しているほうがいいよね」という 考えです。  しかし、登るべき山がないと、山を登れないのも 事実です。つまり、なんらかの目標があったほうが 行動しやすいんですね。  そこで、「物語思考」では「やりたいことがない と作れない遠くのゴールを設定するのではなく、短 期的なゴールを細かく設定する」ことで、目標のメ リットをうまく活用しようと思います。  やりたいことがない、特に人生に目標がないとい う人でも「まあ、3ヶ月後に、ちょっと英語が読め るといいな」くらいなら設定しやすいと思います。  この期間だと3ヶ月経ってから「やっぱり英語よ りもプログラミングをやるべきだった」と気づいて も、さほど無駄になりません。「自分のやりたいこ とはなんだろうか」などと重く考えて動けなくなる、 というリスクを回避することができます。  このような短期の目標を設定するために、まずは、 自分が作ったギャラがどんな状況になっていてほし いか。その「名場面」をイメージすることから始め ます。これは物語が盛り上がるシーンみたいなイ メージですね。「目標」というと最終ゴールつぽく みえてしまうので、名場面くらいの言葉にしてみま した。 人生における「名場面」の設定方法  「名場面」を作るルールとしては、 @定性的なものにする Aワクワクする形で書く B自分が記憶しやすく、スラスラ言えるくらいのも のにする  という感じです。  @の定性的なものにする、というのは「数字では ない目標にしよう」ということです。たとえば「本 を30冊読む」とかは定量的なので、適していないと いうことです。  Aですが、「名場面」を思い出すたびに、ワクワ クするようなものになっている、というのが理想的 です。思い出すたびに暗い気持ちや義務感に駆られ るような目標は、ワークしません。ワクワクして、 行動したくなるようなものにするのが基本です。  Bですが、これも「あれ? どんなシーンだっけ な?」と忘れるようなものでは、すぐに使わなく なってしまいます。工夫して、覚えやすいものにし ましよう。  「行動計画」を立てよう  こうして、「名場面」がイメージできたら次に 「行動計画」を立てます。  そして、大事なことですが、目標はとにかく細か くしたほうがいいのです。  人間には、現状維持したいという性質があるらし いのです。つまり、新しい習慣や目標を立てても、 身体や心は「嫌だ1つ’・」となっているわけですね。 なので、なかなか実現しないんです。新しい習慣が 身につかないのはあなたの意志が弱いわけでも、怠 惰なわけでもなく、全員がそうなので、安心してく ださい。  「どうやるか」をどう決めるか?  たとえば、今回は、「社内の新規事業コンテスト に出て優勝する’・」というシーンを名場面として設 定したとします。  しかし、これだけだと行動計画が全くわかりませ ん。「目標は立てたけど、何をしたらいいのかわか らない」という状態にすぐに陥ってしまいます。  そこで、「どうやるか」を決めます。「どうやる か」を、どう決めるのか? のコツとしては「戦 略」「作戦」「戦術」の3つにわけることです。  いきなり難しい感じになりましたが、会社の経営 などで使うならともかく、人生においては、ざっく りと雰囲気で作って大丈夫です。簡単に説明します。  まず、戦略は「こういう方向性で戦うぞ」を決め るものです。  その方向性の決め方は、「一番効果が高いところ に、集中してリソースを突っ込んで、大きな成果を 出す」みたいなのが良いとされています。てこの原 理みたいな感じに、「ここだ’・」というところに全 集中することで、一番成果を出す感じです。  作戦は、「戦略を具体的な行動にするとしたら」 という感じです。一般的にいわれる計画やスケ ジュール、リソースの配分などはここです。  そして戦術は、作戦に基づいて実行される具体的 なタスクや行動のことです。  今回でいうと、「新規事業コンテストに出て優勝 する’・」という名場面に辿り着くためには、  戦略……経営陣が一番課題に思っている分野に対 して、一番リターンが大きそうな事業を考えて資料 を提出する。  作戦……沓一料提出3ヶ月前に、徹底的に経営陣の 考えや気になっていることを調査し、方向性を決定 する。その間に、新規事業の立て方から資料の作り 方までをインプットする。資料提出2ヶ月前で資料 を作る。資料提出Iヶ月前で、経営陣と近い先輩に も資料をチェックしてもらって、フィードバックを もらい修正して提出する。  戦術……「経営陣が社内や取材で何を言っている かをチェックする」「新規事業開発の本を5冊読む」 (ここには、具体的なタスクがたくさん入ります)  というイメージです。  よくあるのが「戦術」ばっかり考えてしまうこと です。たとえば、全然業種が違う会社なのに「新規 事業をやるからには、新規事業がうまい会社の事業 を研究しよう’・ だからのOO售・の新規事業を全部 チェックするぞ’・」などと、戦略なくいきなリタス クをやってしまうと、全然的外れだったりするので す。  「一番効果がありそうなところを決めて、方向性を 戦略として定める」みたいな作業をして、細かな夕 スクに落とし込んでいくのが大事です。  戦略の作り方などは、経営の本などによく出てき ますが、まあそこまできちんと作る必要はないです。 大事なのは「こっちの方向性でアクションすれば成 功率が高そうだな」というものを見つけ、ざっくり と計画やスケジュールを作った上で、個々のタスク を作る、ということです。  多くの人が、つい個々のタスクから考えるという ミスをしてしまいがちです。下手でもいいので、戦 略から立ててみる、というステップが入るのが大事 なので、やってみてください。 行動を小分けにしよう  このように、戦略、作戦、戦術にわけて考えるこ とで「どうやるか」が決まったら、いよいよ行動に 移りますが……。  躓くとしたらみんなここなんです。「計画は立て だけどやらなかった」みたいなことはみなさんよく あると思うんですが、だいたいにおいて、第一歩目 が難しいんですね。  なので、タスクをひたすらに小分けにします。  今回だと、たとえば「新規事業の立て方」につい て調べることになりますが、いきなり「本をI幵読 み込む」みたいにすると、ハードルが高く感じてし まいますよね。これだと実行しづらい感じがします。  なので、「本を買う」くらいのステップにするな ど、なるべく最初は(Iドルを下げたタスクにしま しよう。本を読むのは大変でも、買うのはそこまで 大変じやないからです。  それすら億劫な人は、もっと簡単なタスクを一歩 目に設定してもいいかもしれません。ものすごく極 端に書くと、 ・スマートフォンを手に持つ ・画面のロックを解除する ・ブラウザで「新規事業 立て方 本」と検索する ・出てきたサイトを見る ・レビューを読む ・よさそうな本があったらAヨazonで買う  くらいまで小分けにしていいです。  人は新しいことをするときは本当に一歩目が大変 なので、出来る限り一歩目を簡単にするというのは、 バカにできない効果があります。  そして、人間、不思議なことに、タスクの大きさ に関わらず、タスクリストが消化されていると達成 感を覚えるものです。単に本を買っているだけなの に、進んでいる感じが得られるので、その意味でも 小分けにするのはメリットが大きいです。  次に、本が届いたら「本のI章だけを読む」「I 囗1分でいいから読む」といったように、これまた 小分けにして、簡単なタスクを作って実行しましよ う。もちろん、極端な話「本のページを開く」だけ でもいいです。  なぜここまでやるのかというと……。「やる気は、 実行しないと出ない」ものだからです。やる気があ るから行動する、と思いがちですが、やる気は、行 動しないと出ないんですね。  掃除をする前は嫌だったけど、はじめてしまえば、 意外と長く掃除できた、という経験がある方もいる と思います。人間は、行動する前には、なかなかや る気は出ないんです。  じやあやる気を出すにはどうしたらいいのか、と いうと「なるべく小さい一歩目を踏み出して、行動 してしまう」というのがいいわけです。行動してい れば、自然とやる気が出てくるわけなので、とにか く最初の一歩を踏み出す。  これらを実行するコツは「5秒あれば始められる ようにしておく」ことです。たとえば、本を読むの だったら、一番手の届きやすい机とかに置いておい て、やろうと思ったら5秒以内に開始できるように しておくことです。これだけでだいぶ(Iドルが下 がります。  逆に、禁煙したい、とかダイエットしたい、は時 間がかかるようにしておくとやりやすいです。タバ コを家の奥底にしまっておいて、出すのに5分かか るようになっていれば、面倒で諦めたりするという ことです。  このようにすれば、とりあえず、「名場面に向け て行動する」というところまではできることになり ます。覚えておいてほしいのは、物語を転がす上で は最初の一歩がすごく大変、ということです。逆に いうと、「どんな名場面に向かっているか」と、「ど うやるか」がざっくり決まってさえいれば、最初の 一歩を踏み出しただけで、そのあとはかなり楽にな ります。  最初の一歩をとにかくベイビーステップにして、 踏み出せるように意識してみてください。 物語を転がすためのコツ5選  物語を転がすために、ワクワクする名場面を思い 浮かべ、手頃な目標を作る方法について紹介しまし たが、結局のところ「怖くて行動できない」という 問題が解決したわけではありません。  新しいことをやるのは怖い、おっくうだという気 持ちはそう簡単には消えません。  これを解決する万能薬は存在しないんですが、そ れでも「恐怖や不安を少しでも減らしてハードルを 下げる」ための思考法や、その他の方法はいくつか あります。それらについて、紹介します。 1‥不安なことはすべて紙に書き出し てみる  1つ目におすすめしたいのは、「ジャーナリング」 という方法です。  毎日、できれば朝などに、自分が思っていること をそのまま書いてみる、というものです。だいたい A4で3ページ、15分くらいが目安でしょうか。  頭の中にある情報や考えをそのまま外に出す、と いうのは実はみんなあまりやっていません。会話や 飲み屋での愚痴で吐き出しているつもりでも、相手 を見て、調整していたりするので、それなりに加工 されているわけです。  しかし、自分で、自分しか見ないノートとかに考 えを書くと、それは考えている思考そのままになり ます。不思議なことに、毎日、3ページも書くと、 脳が空っぽになります。あまり書くことがなくなる んですね。  そして一度、書いてしまうと、頭の中で思考がぐ るぐる回らないんです。今考えていることとかが客 観視できてしまいます。たとえば、「告白しようと 思っているけど、怖い」みたいなことを書くと、  「あの人に告白したいと思っているけど、告白する のは怖い。ふられたらどうしよう。ふられたあとに も会ったり話したりするけど、そのときに気まずい 感じになっても嫌だし。友だちのままでも楽しいか ら、そのままでもいいかなと思いつつ、もしも近い 未来に、ほかの人が告白して成功してあの人に恋人 ができたら、と思うと、それはすごい悲しい思いを しそう。やっぱり後悔したくないから告白したほう がいいのか。もし告白するとしたら、どこがいいの か。でもあまりにデートに誘っている感があると、 それはそれで告白しそうだという感じが伝わってし まわないか。とにかく告白するかしないかが決まら ないとその先には進めなさそう。でも告白する勇気 が出ない」  みたいにタラタラ書くことになります。  書く前は、頭の中にず1つと残り続けてた情報が、 いざ目の前に出てくると、人は客観視ができるよう になります。他人事のように見えるんですね。  そしてこれを見て「いや、早く告白すればいい じゃん。告白してダメでも、また次の恋が見つかる かもしれないのに、ずっと行動しなかったら何も進 まないじゃん」みたいに思えたら、勝ちです。  自分の思っていることを紙に書いてしまうだけで、 客観視できるだけでなく、思考のループに陥ってい るのを解除できたりします。  人間は自分の頭の中で思考をループし続けたりし ちゃうんですが、そうすると、めちゃくちゃ「自分 ごと化」度が上がるんですね。ものすごい大事なこ とのように感じてしまいます。  しかし、いざ紙に書いてしまうと、思考のループ から外に出るので、頭がスッキリします。  ちなみに、パソコンやスマホで書いてもいいじゃ ん、と思う方もいると思いますが、ぼくの場合は、 なぜか紙じゃないと効果が薄かったので、そのやり 方を紹介しました。  デジタルだと作業自体が早すぎるのか、思考をア ウトプットしている感がなくなってしまうのかもし れません。 2‥尊敬する人にメールで相談をする ふりをしてみる  これと似たテクニックで「誰かにメールで相談す る(でも送信しない)」というのもあります。誰で も良いのですが、出来れば目上の恩師や尊敬する人 に対して、細かく状況を説明して、助けを乞うんで す。  そうすると、客観的に、かつわかりやすく書かな いといけないので、丁寧にアウトプットするんです ね。そして、それを自分で送信する前に読んでみる と……。「あれ、こんな簡単なことで悩んでいたっ け」みたいなことがわかったりします。  Iの「ジャーナリング」も2の「尊敬する人に メールを書いてみる」も、思考を一度脳から外に、 文章として出してみて、その文章を見ながら客観視 する方法です。物語を転がしやすいんです。  そして、ここで、本書で作ったギャラと照らし合 わせるとなお効果的です。  たとえば、先ほどの告白の例で言うと、自分の ギャラが「挑戦をし続ける人」だったら「とにかく 失敗を恐れずに告白しちやおう’・」となりますし、 「相手を常に思いやる優しいギャラ」だとしたら 「自分が告白したいからする、という話ばかり書い ているけど、告白された相手の気持ちとかを考えな いと」となるかもしれません。  もちろんそのギャラに応じた行動がすぐできるよ うになるわけではないですが、一歩でも先に進めば いいのです。「自分というギャラだったら、恐れず に告白するはずだよな……」と思うだけでも、行動 に近づいているわけです。その時点で、相当前進し ている、と思ってよいです。 3‥アイデアを温めない 「物語が転がっていかない」人の特徴の一つとして、 今自分が考えているアイデアを大切にしすぎて、動 けないというものがあります。  何か物語を転がそうと思うときは、なんらかのア イデアがあるわけです。それは「こういう事業を作 ろう’・」みたいなのもそうですし「英会話学校に 行って英語を勉強しよう」もアイデアの一つです。  しかし、アイデアを自分の中で温め続けていると、 それをやりたくなくなっちやうんです。なぜなら、 やってみて失敗したらそのアイデアがダメだったと いうことになるからです。なので、みんなアイデア を自分の中に持っていながら、行動しなくなるんで すね。  そして、だいたいのヶIスにおいて、自分の持っ ているアイデアはたいしたものではありません。た とえば、事業プランの話で「ずっと温めているアイ デアがあるんですよ」と言われることがあります。  しかし、聞いてみるとぜんぜんたいしたことがな かったりするんです。「それ、すでにありますよ」 というものだったり「ここがこうだから成功しない と思いますよ」みたいなものだったりします。  もっと言うと、そもそもだいたいの場合、アイデ ア自体にはほとんど価値がなくて、実行力が大事な んです。LINEみたいなメッセンジャーサービス がくるだろうということは、2010年前後のイン ターネットベンチャーでは、多くの人が気づいてい ました。みんなLINEのようなものを作ろうとし ていたけど、成功したのはLINEだけです。  つまり、アイデアにはほとんど価値がなくて、正 しく実行しないと意味がない。そして正しく実行し たとしても、99%は成功しないものなのです。  物語を転がすために行動をする、というのができ ない人は、いいアイデアが思い浮かぶと、それを大 事にしちやうんです。愛しすぎちやうと言うか。し かし、実際に行動に移せる人は、大量にアイデアを 持ち、実行するものもあれば、すぐ捨てたりもしま す。  大量にアイデアが出る人は、一つひとつのアイデ アにそんなに固執しないのです。このパターンに 持っていくために、アイデアを温めないというのが 大事です。  余談ですが、広告代理店の人に聞いた、会社の研 修でおもしろかったのが「新卒は企画書を毎日、全 力で大量に書かされる」というものです。それで1 日の最後に、企画書を積み上げた高さを定規で測ら れて、その「高さ」が評価される。企画書の「中 身」は見られないんです。  ぼくはこれ、すばらしい研修だと思っています。 そもそも新卒が考えるアイデアなんて99%がゴミな はずです。だからむしろ「全力でおもしろいと思う ものを、どのくらいの量作れるか」で実力を測った ほうが正しいのではないかな、と。  I囗に30個企画を作って、5囗で150個、Iヶ 月で900個です。それくらいあると、中にはおも しろい、使えるものがあったりします。ということ で、一つのアイデアを大事にすることはほとんどの 場合、意味がないんです。  何かの本で読んだ記憶があるんですが、美大の生 徒を「一つだけいい作品を作ってくれ」と指示され るグループと「クオリティは問わないからとにかく たくさん作ってくれ」と指示されるグループの2つ に分けて、できた作品を売ったらどうなるかみたい な実験をしたそうです。すると結果としては「たく さん作ったグループのほうが高く売れた」らしいの です。  「量質転化」と言ったりしますが、量は質を凌駕す る、というやつですね。なので、いいアイデアをI つだけ作るよりも、大量に試したほうがよさそうで す。  これは、初心者のうちはなおさらです。「初心者 なのに、最初からクオリティを上げようとしてしま う」という失敗は本当によくあります。  初心者のうちから細かいクオリティに悩んでいる と動きが本当に遅くなるし、これから取り組むとい うときにそんなことを気にするのは、コストが高す ぎます。  たとえば、漫画家さんとかの話を聞いていると、 漫画家になれないタイプの人ほど「もっとうまく なってから漫画を描きます」と言うらしいんです。  また、漫画を描くと決めたとしても、最後まで描 き終えられる人はほとんどいないそうです。下手で もいいからとりあえず完成させることが大事なんで すが、それができないという人が多いんだとか。  これは、多くの人が、「最初から完璧なものを出 そうと思っているから」起こってしまうことだと思 います。なぜなら、自分をよく見せたいという気持 ちが人間にはあるからです。  当然のように自分は優秀だと思われたいし、恥を かきたくないし、「下手くそだな」みたいに思われ たくないので、なるべくアイデアを練っていいもの を出したいと考えるのは自然ではあるんですが、当 然、初心者がいきなりいいものを出せるわけがあり ません。  初めて野球をする人が、一発目にホームランを打 とうとするようなものです。そうなると、ほとんど の人は「まず練習をしよう」と思うんですが、バッ トの振り方などの練習ばかりしても、試合の打席に 立だないと成長は隕定的なんですね。  このように、一つのアイデアを温め、それを完璧 な状態で世に出すために時間とコストをかけすぎて いると、「すごいコストをかけているのに結果が出 ない」というふうになり、やめてしまうということ が起こります。これは何より避けるべき状態です。  昔、堀江貴文さんが言っていたことがおもしろく て、なんであんなに毎週メルマガを大量に書けるの か? という質問に対して、「座って書き終わるま で立だなきやいいじやん」みたいなことを言ってい たんですね。  笑い話のようですが、これはかなりよいアドバイ スだと思っています。これをやろうとすると、30分 や1時間に書ける範囲でアウトプットをしないとい けなくなるので、自然と「完璧さ」を犠牲にしない といけなくなります。  そうやってなんとか書いたものを、無理やり投稿 することを毎日やっていると技術も上がりますし、 お客さんからの反応があると「これがいいんだな」 というのがわかるようになってきます。フィード バックされることによって、ニーズなども掴みやす くなるんですね。  というわけで、少ないアイデアを一生懸命大事に していると、いつの間にか実行したくなくなり、行 動量が減ってしまうので、「アイデアは温めてはい けない」というのは、覚えておくといいと思います。 4‥「判断」と「決断」を区別する  みなさんは「判断」と「決断」という言葉の違い を説明できますか? 実は、これをごっちゃにして しまって、うまく動けないことがよくあるんです。  「意思決定をしなければならない」という焦りから、 判断すべきところで、決断しちゃったり、逆に「い ろいろな意見を聞いたり、調査したりしてから決め よう」という気持ちから、決断すべきところを、判 断しようとしちやったりする、といったイメージで す。  ではこの2つは何か違うのでしょうか? 簡単に 言うと判断は、「あれこれ情報を集めて、論理的に 考えたり、基準を決めた上で考えを決めること」で す。一方、決断は「きっぱりと、こうやるぞ’・ と 決めてしまうこと」です。  もう少し詳しく説明すると、判断は、 @判断のための材料を集める A真偽や善悪を見極める B自分の考えを定める  みたいな感じのプロセスになりますが、「決断」 は意思をはっきりと決定すればそれで終了です。そ こには、材料の有無や真偽は関係ありません。  つまり「判断」でいうところの、材料などをもと に真偽や善悪を決めることとは、まったく性質が違 うわけです。  おなかがすごく空いているときに、すぐそこにキ ノコが生えていて、これを形状やにおいから「食べ られる」と自分の意見を定めるのが「判断」。一方 で「俺はおなかがすいているから、このキノコを食 うぞ’・」というのが決断なわけです。  「判断」すべきものは「判断基準が同じなら、誰が 見ても同じ結論になる可能性が高い」というものに なります。たとえば「目の前のキノコが食べられる かどうか?」は、そのキノコについて調べることが できればわかります。となると、「毒が入っていた ら食べない」という判断ができるわけですね。情報 やデータを集めれば決められそうです。  逆に言うと、決断に関しては「データや意見を集 めても判断が分かれそうなもの」、もしくは「デー タが手に入らないもの」のときに行うということに なります。たとえば、判断が分かれそうなものとし て「転職をするか、いまの会社に残るか」などがあ ります。これって、誰に聞くかによって意見が分か れますよね。  どちらの選択をしても、メリットもデメリットも 多くあります。データを並べてみても「何を大事に するか」で判断は変わってきます。「何を大事にし て優先順位をつけるか」という決断をしないと前に 進めません。どちらにせよ責任を負うのは自分なの で、自分で決めないといけないのです。  多くの人がやってしまうのは「時間をかけて判断 しようとして、迷って、ずっとぐるぐるする」こと です。これはいちばんムダです。というか「判断し ないという決断をしている」という状態なので、 「いちばん悪い決断をしている」とも言えます。  決断するための材料を集めることは悪いことでは ありません。しかし、材料がさほど増えないのに、 ずっと時間をかけてしまうのはよくありません。  こういうケースの場合は、データや意見を集める のに使う時間はI週間、などと決めてしまうのがい いと思います。転職だったら、メリットとデメリッ トを洗い出して、わかる範囲のことは全部書き出し て、その上で信頼できそうな5人くらいにヒアリン グしてみる、という感じです。そうしたらもう、決 断しないといけないタイミングだと思います。  ちなみに、だいたいのケースにおいて「決断は早 いほうがいい」というのがあります。1秒で決めて も1時間かけて決めても、結果はあまり変わらな かったりします。  その場合は、早く決断したほうが得なケースが多 いです。もちろん「待つと状況が変わるかもしれな い」というので待つ決断をするのはアリですが、い つまでも待ってしまう、ということになりかねない ので、基本的に「決断するならすぐに決める」とい うふうに覚えておくといいでしょう。  「そうは言われても、すぐに決断するのは怖いよ」 という人も多いと思うので、アマゾンのシェフ・ベ ソスさんがやっている、「決断を2つに分けた上で その結果が不可逆かどうかで決める」というものを 紹介します。  ジェフーベソスさんは2016年の株主レターで 次のように言っています。  タイフーの決断・:帰結的、不可逆的な、一方通行 のドアのようなもの。ゆっくりと、かつ慎重に慎重 に協議して行う必要がある。  タイプ2の決断・:変更可能、元に戻すことが可能 な、双方向に通行可能なドアのようなもの。権限の ある人や、少人数のグループで迅速に行うべき。  タイプ2の場合はすぐに決断したほうがよさそう です。なぜなら、やりながら正しいデータを集めら れる可能性が高まるからです。  決断前に材料を集めると「他人が作ったデータ」 に頼らざるを得なくなります。決断しないといけな いようなものは、自分でデータを集めたほうがいい でしょう。だから早く決断してしまったほうがいい んです。  タイフーに関しては、個人的な解釈で言うと「決 断を入念にする」というよりも「リスク管理をす る」ということだと思います。リスクの管理につい てはこの後すぐ説明します。  決断をしたあとに起こり得るリスク(危険という 意味ではありません。不確定要素が高いという意味 です)を洗い出しておいて、それを一覧にして、対 処法を考えておけばいいのです。キノコの例で言う と「毒だった場合、すぐに吐き出せるように水を用 意しておく」とか、「食べ終わって問題があったと きのために解毒剤になり得るものを用意しておく」 などというイメージですね。  リスクは「避ける」ものじゃなく、「管理」する ものです。これについては、5の「リスク管理表を 作る」で説明します。  ちなみに、前述した『物語の法則』という本にお もしろいことが書いてありました。それは「物語に おける、シーンとは何か?」という話です。普通に 考えると、「場面」という意味ですが、この本では おもしろい考え方をしています。  この本によると「シーン」とは、「取引の場」な のだそうです。お金の取引だけでなく、キャラク ター同士の政治的便宜や、権力の構造の変化などの 交渉がなされる場だと。取引が完了して、新しい契 約が結ばれたら、そのシーンは終わるべきだそうで す。  日本人にとっては「取引こa{}」と聞くと重い 感じがすると思うのですが、「歐恥」は英語だと 「qaこ邑・(お買い得)」とか「It's not a big deal. (たいしたことないよ)」と日常的にも使われる言葉 なんです。取引よりも、もう少しライトな言葉です。  そして、ここでいう「シーン=取引の場」という のは、感覚としては「問題に直面して、それに対し て何か決めたりすることで、状況が変わった瞬間を、 Iシーンとする」ということなのだと思います。  すべてのシーンを、広義の意味での「取引」単位 で区切ると、決断のスピードが上がります。決断で きずにいるということは、「シーンが長くなりすぎ てしまっていて、物語としてはめちゃくちゃダレて いる」ということです。  人生をシーン単位で考えると「このシーンが長す ぎるから、そろそろ場面転換をしないといけない な」というふうに意識できて、決断しやすくなるの です。  「物語が転かっていないな」「現状維持から抜け出 したいな」というときは、シーンで人生を区切って みることです。  「転職しよう」とか「起業しよう」とかライフイベ ントで大きく区切る必要はありません。ちょっとし た心境や状況の変化で人生を区切れば、物語は転 がっていきます。  「判断」と「決断」の区別がつきづらいのは、どち らも結果として「決定」が行われるという点では同 じだからですが、「判断」すべきところで「決断」 しようとしている人や、「決断」すべきところを ずっと「判断」しようとして、いろいろな人に聞い てみるけど意見がパラパラで迷って、「結局決めら れない’・」という人は、判断と決断の違いを意識し てみてください。 5‥リスク管理表を作る  物語を転がすとき、挑戦の大きさだけを考えると 「リスクが高くてできない」という気持ちになって しまう人も多いと思います。転職する、とか起業す る、とかになれば、どうしても大きなリスクがある わけです。  そこで試してほしいのが「リスク管理表」を作る ことです。  リスクというと「とる・とらない」の話になりが ちですが、そうではありません。リスクは「管理す る・しない」の話で、そのほうが大事です。  たとえば山に行くときに「毒蛇に咬まれる」とい うリスクがあったとします。もちろん、「だったら 山に行かない」という選択もあります。  しかし、リスク管理とは、「皎まれたとき用の解 毒剤を持ち歩く」「スマホの中に、近くの医療機関 の連絡先を入れておく」などの対応策を用意してお くことで、リスクを認識しながら、実行にまで移し ます。あらゆるリスクを想定し、それを回避する方 法と、起こってしまった場合の対策の両方を決めて おくことで、リスクがあるからといってやらなくな る、ということを避けられます。  リスク管理をするにあたっては、まず想定される リスクをすべて洗い出します。たとえば、起業しよ うというときだったら「収入がなくなる」「家族に 反対される」などと書き出します。  次にリスクを回避する方法と、実際に起こってし まった場合の対策を考えます。「収入がなくなる」 というリスクに対しては「見込み客を確保して、売 上が半年間はある状態になってから起業する」だっ たり、「貯金がなくなったら会社員に戻る。そのた めにすぐに就職できそうな会社を事前にピックアッ プしておく」といった具合になります。  「起業して収入がなくなったらどうしよう……」と いう状態で止まっていると、リスクをとる・とらな いの話になって動けなくなってしまいます。そうす ると、勇気の話になってしまうんですね。勇気を出 して起業する、勇気がないから起業しない、となっ てしまいます。  しかし、きちんとリスクが管理できていれば「こ のくらいまでのリスクなら許容できるな」とわかり ます。リスクがあることで、むしろ挑戦しやすくな るというわけです。  簡単に例を出します。  やりたいこと  フリーランスで働く  起こり得るリスク ークライアントとトラブルになったり、事業自体が なくなったりで、仕事がなくなる ・収入が不安定になり、支払いが滞る ・自己管理ができず、仕事が進まなくなる ・孤独に仕事をするのがつらく、心を病んでしまう  リスクを回避する方法 ・向こう2年は暮らせるだけの貯金ができてから独 立する ・仕事が軌道に乗るまでは会社員として働きながら 副業でやる ・フリーランスの仲間を見つけ、互いに体調やメン タルの管理をする ・すぐ会社員に戻れるように就職できそうな会社を 探しておく ・複数のクライアントと並行して仕事をし、取引先 が一つなくなっても困らないようにする  起こってしまった場合の対策 ・実家に帰ってしばらく暮らせるように話をつけて おく ・評判のいいメンタルクリニックなどを調べておく  一方、「勇気の有無」を基準に行動をするという パターンについても書いておきます。これをやると、 大変なことになってしまったりします。  人生でも仕事でもそうなんですが、うまくいって いる人の共通点を見ると「博打を打だない」という のがあります。  挑戦をしようという大がやりがちなパターンとし て、「自分は追い詰められないとやらないから、え いや’・ で行動に移す」というのがあります。  たとえば、起業をしたいと思っているけどなかな かできなかった大が「このままだと一生しないから、 明日会社をやめて、やらざるを得ない状況にする ぞ」とかしちやったりします。  何か大きな行動をとるときに「勇気」の問題にし て、勇気を出して行動してしまっているんですね。 これで成功する人もたまにいるものの、多くの場合、 一度つまずくとどんどん悪い状況に追い込まれてし まい、より博打を打たないといけない状態になった りします。  たとえば、えいや’・ で起業してしまったときに は……。  「とりあえず会社をやめてしまったけど、本格的に 会社が立ち上がって収入が入るまでに3ヶ月かかる。 この時点で、すでに貯金が100万円減ってしまっ た。残りの貯金は、3ヶ月で尽きてしまう。なので、 3ヶ月以内に、すぐにお金が入るビジネスを考えな いといけない」  みたいな状態になってしまったりします。  当たり前ですが、3ヶ月後にお金が入る事業を立 ち上げるというのはなかなかの難易度です。仮にす ごくうまくいって、Iヶ月で何か商品を作って、 Iヶ月営業して売れたとしても、お金が入るのはそ の翌月だったりするので、もうギリギリです。  この場合、Iヶ月で作った商品が営業をしても売 れなかったら、もう詰んでしまうわけです。この時 点で、すごく大きな博打をしてしまうことになるん ですね。  それで、Iヶ月で作った商品が売れないとIヶ月 営業して気づいたときに、残された期間はIヶ月だ けになってしまうので、さらに大きな博打を打たざ るを得なくなります。たとえば「1000万円借り て、それを元手に新しい商品を作るぞ」みたいな感 じです。  そうやって商品を作って、また売れなかったら大 変です。今度は1000万円の借金ができてしまう わけです。  そうすると、より大きな一発逆転を狙わないとい けないので、次は「作った商品の広告を、500万 円使って出すぞ’・」みたいになっていき……。どん どん深みに(マつてしまうんですね。  このように、追い詰められれば追い詰められるほ ど、より大きな博打を打たなければいけなくなるの で、適切なチャレンジができなくなっていくし、失 敗したときのダメージも大きくなってしまいます。  というわけで、「博打を打つしかない」という状 況になってしまっている時点で、すでに負けている ようなものです。  一方、成功する人は、何かを始めるとき、絶対に 負けない状態を作っていたり、負けたとしてもダ メージが少ないように、リスク管理をしたりしてい るんですね。  たとえば、何かプロジェクトをするときに「失敗 しても、損失は1000万円で済む。今、現金が1 億円あるから、会社が傾くことはない」だったり 「予算が3000万円かかるが、その3000万円 はもう回収の目処がついている。大失敗したとして も、プラスマイナスO円で、人件費だけで済む」み たいに調整していたりします。  人生においても「起業して会社を立ち上げるが、 設立から半年間は、この会社からの収入でなんとか 暮らしていける。1年後に失敗しても、今勤めてい る会社に戻ることができる」みたいな状態で会社を やめたりします。  意外に思われるかもしれませんが、成功する人と 失敗する人は、実は新しいことに取り組むときの成 功率はそんなに変わらないんです。運とか、社会の 流れとかの要素もあるので、能力だけの問題じやな いからです。  でも、失敗の度合いには大きく差が出ます。下手 な失敗をする人は、一度の失敗で大ダメージを負っ てしまって、次のチャレンジをしづらくなる一方、 上手に失敗するやり方を知っている人は、何度も挑 戦できる体制を築けます。  というわけで、何かにチャレンジするときは、自 分かリスクをコントロールできる範囲でやらないと、 負のループに人つてしまうので気をつけてください。  「失敗」が物語をおもしろくする  最後に失敗について書いておきます。物語を転が せば転がすほど、必ずリスクが発生します。当然、 失敗することも出てきます。  失敗には「マイナス」のイメージがありますよね。 多くの人が失敗したくない、と思うはずです。でも、 物語だと捉えればむしろ「プラス」です。  何も失敗しない物語の主人公がいいかというと、 そういうわけでもないはずです。失敗や敗北をする からこそ、魅力的だったりもする。物語として考え ると、失敗はまったく無駄じゃないんです。  「失敗していると揶揄されたりするんじゃないか」 と不安になる方も多いと思います。  人間の本能なのか、噂話は人間のコミュニケー ションの中でも大部分を占めます。実際に、イギリ スの有名な人類学者のロビンーダンバーによる、 「人間のコミュニケーションの7割が噂話だった」 という調査結果を見たことがあります。  芸能人の不倫ゴシップなどにはあまり興味がない んですけど、ぼくはお笑いが好きなので、ぼくの ニュース欄には、お笑いタレントがこういった、昔 こういうことがあった、みたいなニュースが常に流 れてきます。  そうすると、つい見ちやうんですよね。やっぱり 興味ある人の話題だったら、単なる噂話でも気に なってしまうようです。  人間は噂話が好きなので、何かに取り組んでいる といろいろな人の評価にさらされ、それが噂話とし て広がっていきます。「あの大は今イケている」と か「あの大はもう終わった」とかですね。  自分の話題になると、こういうのは気になって仕 方がないと思うんですが、20年くらいインターネッ ト業界で働いていて、このように噂話で聞くような 人の評価は、本当にあてにならないから気にする必 要はI切ないなと考えるようになりました。  たとえば、個人名を出すのは避けますが、起業し た会社を売却して世界一周の旅をしている大を見て、 「あの大はもう挑戦をやめてしまった」みたいに評 価する大がいたんですが、当の揶揄されていた大は、 数年後にもう一度起業して、さらなる成功を収めた りしました。  また、知り合いに匿名掲示板を運営していた大が いたんですが、その大は数年前くらいまでは特に サービスを手かけていなかったので「もう終わった よね」と言われてたりしましたが、今ではべO5 呑りで大ブレイクし、テレビなどでしょっちゅう見 るくらいの活躍をしています。  周りを見渡すだけでも、そういう例が本当にたく さんあります。  人のことを評価する大は、「点」で評価しがちで す。それは、リアルタイムに同じ時代を生きている と、今が「終着点」のように見えてしまうからだと 思います。しかし、ちゃんと人の人生を評価すると すれば、「線」で評価されるべきです。  今のぼくたちが、スティーブージョブズがかつて Appleから追い出されたという一点を見て、「あの 大は終わった」と言うことはないわけです。それは、 彼の人生が最初から最後まですでに確定されており、 線で把握できるからです。  反対に、今は評価が非常に高かったとしても、そ の後に評価を下げてしまう大もいるし、そこからま た上がっていく人もいます。また、死後ずいぶん 経ってから評価が変わる人すらいるくらいです。  線で捉えれば、スティーブージョブズが一度は Appleを追い出されたという失敗のエピソードも、 人生という物語に深みをもたらす要素になるわけで す。  また、SNS社会になったこともあり、失敗でさ えもみんなに見てもらえる「コンテンツ」になりま す。失敗というコンテンツが人々から応援されて、 仲間やお金を呼んでくることすらあります。  ぼくは「アル開発室」という有料の会員制メデイ アで、会社でやっていることや失敗談なども毎日記 事に書いているのですが、失敗談のほうがはるかに 人気です。こう考えると、失敗はどんどんしたほう が得だな、とすら思います。  ぼくは個人的に、いろいろなスタートアップ企業 に投資をしているのですが、トラブルだらけの投資 先のほうが株主はすごく反応します。「すみません、 社員がキャッシュカードを落として会社の口座から 数百万円盗まれました’・」とか「ちょっとやばい人 たちに睨まれてます’・」とか、そういうほうが変な 話、みんな盛り上がるんですよね。  というわけで、物語を転がす際に、失敗をするこ とは決してマイナスではない、という考えをぜひ 持っていただければと思います。  さて、ここまでで、本書で伝えたいことは、ほと んど伝えることができました。  このエンディングでは、「やりたいことを見つけ よう」や「キャリアプランを作って、そのとおりに やろう」みたいな方法がなぜうまくいかなかったの か? みたいなところをお話ししつつ、今までの本 書の要点をおさらいしようと思います。 @自分を制限している頭の枷を取る Aなりたいキャラクター像を設定する Bそのギャラを実際に動かす Cそのギャラが活きる環境を作る Dそのギャラで「物語を転がす」  というステップで話してきました。このステップ をものすごくざっくりと別の言葉でいいなおすと 「自分の将来なりたい像を決めて、それに近づくた めに一番良いギャラを作り、そのギャラとして行動 をしていく」みたいな感じです。  これは、一般的にするような「今までの人生を振 り返って分析をして、今の自分ができること、やり たいことを考えて、それを元に人生のプランを作っ ていく」という考え方とは、まったく逆の方向で やっているんですね。 なぜ今までのやり方がうまくいかな かったのか?  自分の人生のプランを作るときに、「自分は何か 好きなのか、何かやりたいのか、というのを自己分 析してキャリアプランを作る」というのはI見よさ そうです。就職活動で自己分析をして、今までの自 分を振り返り、自分の趣味趣向ややりたいこと、得 意なことを把握していく作業をしたことがある人も 多いのではないでしょうか。  しかし実際は、多くの人が、そのような形で人生 設計をしようとして、「やりたいことが見つからな い」「自分の得意なことがわからない」「キャリアプ ランが思いつかない」というので悩んで止まってし まうのです。「自己分析をやったけど、自分のやり たいことなんてわからなかった」という人が非常に 多いんですね。  これがなんでうまくいかないかをわかりやすく説 明するために、ちょっと漫画の物語の作り方につい てお話しします。  漫画を描いたことがない人からすれば、漫画の物 語を作るときには、ストーリーがあって、それに対 してキャラクターが当てはまっていきそうなイメー ジがあるかもしれません。最終回がなんとなく決 まっていて、そこに向かう道筋が決まっていて、そ の道筋をなぞるのがギャラ、というイメージです。  しかし、実際は、漫画などの物語においては、 ギャラに応じてストーリーが決まっていく、という ケースも多いらしいんです。もちろん、ストーリー がきっちり決まっているものも多数あるのですが、 その場合でも、「ギャラが勝手に動いて、予想外の ところに物語が進んでいく」ということも珍しくな いんだとか。  仕事柄、漫画を描いている方とお話をすることが あるのですが、「漫画制作においてはストーリーを 練ることよりも、まずはいいキャラクターを作るこ とがもっとも大切」という話をする人が多いのです ね。もちろん、ストーリーや作画も大事だし、他に もいろいろな漫画作りのノウ(ウや主張はあります が、「ギャラは大事ではない」という人に出会った ことはありません。  とある漫画家の先生は、「いいキャラクターさえ いれば、キャラクター同士が出会ったときに、どん な話をするのか、どんな行動をとるのかが自然に決 まる」とすらいっていました。それらが会ったとき にどうなるかは、実際に描いてみるまでわからない、 ということすらあるんだとか。当然、物語の作者が ストーリーを描いているはずなんですが、当の漫画 家からしてみると、キャラクターが勝手に動いてい る感覚に近いらしいんです。  自分が考えたストーリーがあるのに、ギャラが勝 手に動いて好きなことをしてしまうため、「どうし てそんなことをするんだ’・」と怒りながら漫画を描 いた、というエピソードも聞いたことがあります。 これを聞いたときは、さすがにびっくりしました。  誤解を恐れずにいうと、物語を作る上でもっとも 大事なのが「ギャラをどう作るのか」という点であ るといえます。  そう考えると、自分のやりたいことを見つけよう としたり、キャリアプランを作ろうとしてもうまく いかない、という人は、そもそも「自分というギャ ラがちゃんとしていない」のが問題なんです。もし も、自分が強烈な個性を持った、魅力的なギャラだ としたら、おそらく苦労せずにそれが作れてしまう はずです。  時々いる、若いうちからやりたいことが決まって おり、まっすぐと目標に向かって進んでいるような 人は、だいたいギャラが立っているんです。ギャラ が立っているからこそ行動が決まっているんじやな いかとすら思います。  ということは、やはり本書で書いてきたように 「理想の状態に向かう、一番よいギャラを設計して、 そのギャラとして行動する」というのが一番、人生 を動かす上で効果的なんじやないかと思っています。 未来はどうなるのか? は予想できな い  さらにちょっと考えてみると、実際の人生では、 フィクションの物語と違って、何か起こるのかは本 当にわかりません。どんな時代のどんな天才でも未 来なんて予測できないんです。  たとえば、明治維新あたりに生まれた人が、 100歳ちょっとまで生きたとしたら、ちょんまげ の侍がいた時代から、第二次世界大戦で敗戦したの ちに高度経済成長でアメリカに次ぐ世界第二位の経 済大国になるところまで経験するわけです。そんな 人生、予想できるはずがないですよね。  今の時代は、さらに変化の速度があかっており、 予想不能なほどテクノロジーが進化していっていま す。そんな時代に、キャリアプランなんて描けるわ けがありません。そんなことを一生懸命考えても、 そのとおりにいく可能性は極めて柢いわけです。  ぼくの経験でいうと、インターネットの仕事につ くなんてことは中学生の頃はわかりませんでした。 インターネットの仕事というものがほとんど存在し なかったからです。大学卒業後に新卒で会社に入っ だときも、10年後に、モバイルアプリのプロデュー ス業をやっているとは思いませんでした。スマート フォンというものが、ほぼ使われていなかったから です。そして、その10年後には、NFTとか、AI を使ったサービス作りの仕事をしているとは思いま せんでした。こうしたものは、当時ほぼ存在してい ないも同義だったからです。  たった10年の間ですら、今存在していないものを 将来仕事にする、ということが起こっているわけで すね。  しかし、「将来なりたい像から逆算して作られた 魅力的なギャラ」が設定されていれば、どんな状況 でも、なりたい像に向かった行動ができるようにな ります。たとえば、織田信長のような革新的なギャ ラは、今の時代ならどのように行動するのか? を 考えてみると、結構簡単に想像がつくんです。おそ らくAIなどをフル活用して、自分の目標に向かっ て突き進みそうですし、今までの常識に囚われた行 動などはせずに、新しい活用法を生み出しそうです。  やりたいことやキャリアプランを設定しても、予 想外の未来が来ることで無駄になることが多いです が、ギャラを作っておけば、どんな未来が来たとし ても対応ができるんです。 キャラを作る利点は「客観的になれる」  また、ギャラを作っておくという行為は、もうひ とつ大きな利点があります。それは「客観的に自分 を眺めることができる」という点です。言い換える と、良い意味で他人事化することにより、迷いと不 安を消しやすくなるんです。  ほとんどの人は自分のことになると、慎重になっ てしまいます。自分のことが大事すぎて、危険に哂 すようなことは本能的に避けたくなるんですね。だ からこそ「やりたいこと」を見つけて決めることも できないし、キャリアプランを立てることも、すご く(Iドルが高く感じてしまう。そして、そんな不 安な気持ちから慎重になり、慎重になるからこそ行 動が変になり、行動が変だから人生がうまくいかな い、という罠に(マつてしまいます。だからといっ て「勇気を出して行動しよう」みたいなビジネス書 を読んで、急に行動を変えることもできません。  でも、「このギャラだったらどう動くかな」みた いな客観視ができるようになることで、「まあ、あ いつだったらこう動くよな」ということが、正しく 認知できるようになります。「○○だったらこう動 く」みたいな、他人事として考えるのはすごく楽な んです。映画とか漫画を見ているときに「こう動け ばいいのになあ」とか考えるのは簡単じやないです か。そんな感じで自分のギャラを客観視できるよう になるといいんじやないかなと思っています。 なぜキャラクター思考じゃなくて「物 語思考」なのか?  ここまで書くと「そんなにギャラが大事だという なら、「物語思考」じゃなくて、キャラクター思考 とでも言えばいいんじゃないか?」と思うかもしれ ませんが、ぼくが「物語」にこだわっているのには 理由があります。それは、「人は物語を使うことで、 思考や行動を大きく変えることができる」と思って いるからです。  『ストーリーが世界を滅ぼすI物語があなたの脳を 操作する』という本によると、「物語が他人の心に 影響を与える唯一にして最強の方法」とあります。 この本で作者は「コミュニケーションは、大をなび かせる(自分の意に従わせる)ためにある」といっ た趣旨のことを書いていますが、その中でも、物語 を使うことが人の思考と行動に大きな影響を与える といっているのです。  そして、ぼくは物語がもっとも人の思考と行動に 影響を与えるなら、まず自分に使えば、人生をよい 方向にもっていくことができるのではないか? と 思っています。なので、単にギャラになりきること が大事なのではなくて、そのギャラが生きる物語と して捉えるのが重要なんです。  多くの大がやっている「自己分析をして、やりた いことを見つけて、キャリアプランを作る」という のは、過去からの延長で、自分の物語を考えてし まっています。今までの人生がこうだったから、こ れからの人生もこうなるだろう、と予測しているわ けです。  しかし、本書でも書きましたが、過去は今の自分 にさほど影響を与えません。むしろ「未来の自分が どうなっていたいか?」からの逆算で、今の自分の 行動が決まるんです。だからこそ「未来の自分の理 想の姿を作った上で、ギャラを作って、それで行動 をすることで、物語を書き換える」というのが大事 なんです。  その物語こそが、あなたがこれから歩む人生にな るわけですが、これは匸冐でいうと、「主人公の成 長物語」なんですね。なりたい自分になるための物 語なんです。  未来に何か起こるのか、どんな状況になるのかは 誰にもわからない。しかし、主人公が、なりたい自 分になるために成長していく、という物語の筋書き は変わりません。  物語としてそれを頭に入れておくと、納得度が上 がり、思考と行動が変わります。物語の中の、細か い状況が変わったとしても、本筋はずっと「あなた という主人公が、なりたい自分になるための成長物 語」なわけです。その筋書きが変わることはありま せん。  一方で、やりたいことを決めて、キャリアプラン を作るやり方だと、予想外のことがおきたり、やり たいと思ってたことが必要とされない時代になった りすると、物語の筋書きをまた作り直すことになっ てしまいます。そうしたら、また、自己分析をして、 やりたいことを見つけて、からのスタートになって しまいます。  それを避けるために、「物語思考」のやり方に基 づいて、「未来になりたい像から逆算し、そのなり たい像に向かって進めるギャラを作って、行動して いく」という、「あなたの成長物語」を作り、あえ て思考と行動を変えていってほしいのです。それこ そが本書で伝えたいことでした。  というわけで、この本が、自分という物語の主人 公になり、なりたい自分像に向かって成長していく 物語を進むためのきっかけになれば嬉しいなと思っ ています。  がんばってね。  最後に、「あとがき」のようなものを書きます。  周りに、経営者の人や起業家の友だちが多いので すが……みんな言うのは「自己啓発本みたいなもの は書きたくない」ということです。  気持ちはわかります。なんかぼくも、かっこいい 自伝とか、専門書とか、最新の技術や知識について しか本を書きたくないというのがずっとありました。 本の依頼をたくさんいただいたことがあるんですが、 技術系以外は書いたことがなかったんです。  しかし……振り返ってみると、ぼく、めちやく ちゃ自己啓発本が好きなんですね。能力が柢い自覚 があり、精神的にもあまり強くなく、ほかのリー ダーシップを発揮するような強い人達みたいには まったくなれそうもない性格だったからこそ、自己 啓発本を読みまくることで、なんとかならないかと 思ってたんです。  で、結論「めちゃくちゃ読んで、そのとおりにす ると、結構できちゃう」ということがわかったんで す。学生のころから、みんながバカにするような自 己啓発本を読んで、すごく実践してたんです。  そんなぼくが、格好つけて、自己啓発本なんて書 きたくないよ、といっているの、なんか違うなと 思ったんです。なので、がんばって書きました。  ちなみに、本書は「アル開発室」(ilミ邑呂・ず 蝸忌という、有料のマガジンなどで書かれたもの などを中心として再構成したものです。アル開発室 では、平日に毎日3000文字くらいの記事を投稿 しているので、本書を気に入ってくれた方は是非検 索してみてください。また、インターネット上にぼ くはよく出現しているので、本書についてわからな いことがあったら、遠慮なく質問やコメントなどを いただけると幸いです。  以下、謝辞的なものです。  この本は、編集者の箕輪厚介さんにお声がけいた だき、結局書くことになりました。1年以上かかっ てしまいましたが、納得がいくまで何度も書き直し、 熟成させ、議論を重ねて書いた本です。箕輪さんは 紛れもなく天才編集者でした。彼の助言なしでは書 ききれなかったと思います。  また、前述したアル開発室でも、たくさんの フィードバックをいただきました。こちらもあわせ てお礼申し上げます。  他にも、毎日刺激をくれアドバイスをくれるキン グゴングの西野亮廣さんや、IT批評家の尾原和啓 さん、執筆を手伝ってくれた岡島さん、インター ネットの世界の魅力を教えてくれたひろゆきさんや 糸井重里さん、ぼくの歴史の知識を増やして視野を 広げてくれているコテンの深井龍之介さんには感謝 しかございません。名前をあげ続けると1000人 を超えてしまうのでこのくらいにしておきますが、 本当にありがとうございます。  本書が、みなさんの人生が少しでも変わるきっか けになれば幸いです。 2023/5/15 古川健介(けんすう)