確実に設けを生み出す不動産売却の教科書_風戸裕樹    はじめに  あなたの家は3000万円高く売れるI・  そう聞いて、真っ先に胡散臭いと思うかもしれない。  日本のGDPは約600兆円で、2025年にはインドに追い越されて世界4位 にまで転落すると見込まれている。それでも日本の不動産は好調だ。今、40年に一 度の不動産売却チャンスが訪れている。目本の不動産は1980年代後半から90年 代前半にかけてのバブル期以来の高値で取引されている。この本の読者は都心の山 手線内に60平米以上のマンションを所有している30〜50代を想定している。その人 たちにとっておそらく生まれてはじめて訪れた不動産の売り時が今である。  このエリアは人気なので、買主選びを間違えなければ相場の3割増しで売れる。読 者が20〜40代、つまり10〜20年前に購入したときの新築マンション価格はおそらく 5000〜6000万円だろう。それが現在1億円程度にまで値上がりしている。  そして、円安によって外国人がこぞって日本を訪れ、爆買いをするように、不動 産もインバウンドのニーズが急速に高まっている。海外の富裕層を相手にすれば 1億3000万円で売れることも珍しくない。  この国の賃金は上がらず、金利が上がり始めて、物価はじわじわと家計を圧迫し ている。東京都港区の平均年収は1400万円だが、世界の先進国から見れば低所 得層に位置する。収入が上がり、消費が増え、経済が活性化するという成長サイク ルから完全に外れてしまったこの国で、どのように資産形成をしていけばいいのだ ろうか?・  一介のサラリーマンだったわたしが富裕層の仲間入りができたのは不動産を活用 してきたからだ。とはいえ、法人を設立して何棟も所有し、運営するような不動産 賃貸業ではなく、自宅を売却し、そこで得たキャピタルゲインを元手に富裕層にし かできない資産運用を堅実にしてきただけだ。その手法は第4章で述べるが、最初 の一歩目はいわば不動産バブルの波に乗っただけのことだった。  読者の皆さんにもこのチャンスを逃してほしくない。もしかしたら「確かに売り 時ではあるかもしれないが、売ってしまったら二度とマイホームを手にすることが できないのではないか」という迷いがあるかもしれない。わたしは自宅を売却後、同 エリアで賃貸住まいをしているが、60平米から90平米に広くなった。メンテナンス の心配もいらない。今まで住んできた家でいちばん満足度は高い。  あるいは「まだ不動産価格は上がる」と思って、虎視眈々と売り時を狙っている 人もいるだろう。そうした考えは否定しないが、山の8〜9合目で利益確定するか、 10合目まで待つかの考え方の違いだと思っている。私自身はそろそろ不動産価格の 天井が見えてきたと考えている。理由は第1章で詳述する。  海外の先進国では自宅を活用して、住み替えをしながら資産形成するという考え 方が一般的である。  ただ、仲介業者の選定や売却の知識が欠如していると安く買い叩かれる、あるい はもっと高値で売れるチャンスを逃してしまう。  わたしは20年間、不動産業界に身を置いているが、残念なことに、倫理観が完全 に欠如した魑魅魍魎がはびこる世界でもある。それこそ、最初に創業した会社で始 めたサービスが「売却のミカタ」といって、クローズドで扱われていた物件情報を 見える化するという売却システムだった。  売主の利益を最大化するのが、売却活動を委託された仲介業者の役割である。し かし、当時から仲介業者は手数料欲しさに、さまざまな理由を付けて売主の利益最 大化にはつながらない営業を平気でおこなっていた。  たとえば、物件情報を隠してほかの仲介業者に周知しない。他社が見つけてきた 高値で買ってくれる買主よりも、仲介手数料を得るために安値でも自社で見つけて きた買主に買わせるといったことだ。これはグレーどころか法律違反になるケース もあるが、明るみに出にくいので平然とおこなわれる。  業界の裏側を暴露するような話になってしまうので、できれば言いたくないが、残 念ながら売主に利益相反する仲介業者の営業は20年経った今もなくなっていない。現 在は不動産を最高値で販売できる絶好のチャンスではあるが、本書で海千山千の不 動産業者を相手に負けない売却知識を身につけてほしい。  そして、手にしたキャピタルゲインを有効活用して資産を大きく増やしてほしい。  わたしは売主の利益を最大化するプラットフォームづくりを終えたあと、ソニー 不動産(現SREホールディングス)で執行役員をしてから、シンガポールに移住し て海外不動産投資の会社を起業した。そこで海外の富裕層の資産運用方法をたくさ ん見てきた。富裕層は資産を堅実に守りながら、最大限に増やすための独自戦略を もっている。その方法も第4章で紹介する。  これまでわたしは住宅からホテル、オフィスビル、商業施設、海外不動産までさ まざまな不動産取引を経験してきた。一貫して取り組んできたのは不動産業界の健 全化である。自社のポジショントークに聞こえてしまうかもしれないが、純粋に不 動産業界のおかしな点を改善するためのビジネスを続けてきた。  結果、わたしの原点である「売主の味方」としてできることが、今このタイミン グで本を出すことだった。高所得で高級マンションを所有している人がこの好機を 活かさないのは非常にもったいない。  本書は単なる不動産の売却ノウ(ウ本ではない。不動産知識ゼロから有効な不動 産資産を活用していかに資産形成するかを示した戦略書である。20年間の不動産業 界での経験をすべて詰め込んだ。  人生100年時代、読者には富裕層の世界に足を踏み入れて、老後も安心なだけ の蓄えを大いに増やしてほしい。 一  不動産を活用して富裕層の仲間入りをする  ある上場企業の執行役員が7年前に購入した都内のタワーマンションの一室を売 却した。住み続けるつもりだったマンションの価格が5000万円も上昇している ことを知り、売却によって多額のキャッシュを手にしたことをきっかけに会社をや めた。45歳にして社会人になってからはじめての長めの夏休みを味わい、「人生でや りたかったこと」をリストにして、一つひとつ達成したものをフェイスブックにア ップしながら世界各国を回った。  日本帰国後、また新たな不動産を購入し、将来的にはこの物件も再度売却し、資 産をさらに増やすつもりだ。  国は住宅を手放す人に対して3000万円特別控除という仕組みを用意してくれ ていて、税金がかかるのは、売却益から3000万円を差し引いた金額となる。こ れは3年にI回、人生で何度でも使えるのだ。  私自身はこの控除を受けて、金融資産を6000万円増やした。どちらもフルロ ーンでマンションを購入したので500万円程度しか持ち出しはない。  これほど有効な資産増加方法があるにもかかわらず、日本人にはマイホーム神話 が定着し、外国人には一般的な住み替えも非常に少ない。  生涯の持家回数も日本が平均1・8回なのに対して、アメリカでは2・8回となっ ている。これには不動産に対する価値観の違いが如実に表れている。  不動産賃貸業をおこなう大家を除いて、ほとんどの日本人にとって住宅は高い買 い物だ。35年間ローンを払って終の棲家として住み続けるのが一般的な考え方である。  他方、海外では住宅が投資対象に入ってくる。住宅ローンを活用すれば、手持ち 資金以上の物件が手に入る。それを高 値で転売すれば多額のキャッシュが得 られるので、それを元手にふたたび口 Iンを組んでさらにグレードの高い家 に住み替えていくのだ。  不動産知識のある人は、業界用語で 「すごろく」と呼ばれるこの手法を用い て、サラリーマンから億万長者になっ ていく人も多い。オーストラリア在住 のサラリーマンが20年間で5回住み替 えをして、1億円超の新築をキャッシ ュで買えるだけの資産を築いた例もあ る。  純金融資産が1億円あれば上位約 2・5パーセントしかいない富裕層の仲 間入りができる。経済的な余裕を得て、 ―〜2年間留学するもよし、エグゼク ティブMBAの取得など更なる自己投 資でキャリアアップをめざすもよし、起 業にも挑戦できる。あるいは子どもへ の教育費をもっとかけられるかもしれ ない。  仕事をしながらずっと走り続けてい ると、並行して手が回らないことがあ る。お金に余裕ができれば、選択肢が 広かった状態で、人生を立ち止まって 見つめ直す時間ができるのだ。 一  40年に一度の不動産売却チャンス  では、ほんとうに不動産は今が売り時なのか?  東京都港区六本木のマンションの一室がわずか2年で6億円↓9億円↓12億円と 2倍にまで価格が跳ね上がっている現実がある。  日本は今、まさに40年に一度の不動産バブルの状態ではあるが、1980年代後 半から90年代前半にかけてのバブル期とは様相が違うようだ。  当時は。民間金融機関の住宅ローン金利が8パーセントを超える年もあった。金 利が上がればローンを組みにくくなるので不動産価格は当然下がる。  しかし、バブル期の不動産業界は100人取引すれば100人が儲かる市況だっ た。不動産は投機の対象となり、高金利にもかかわらず青天井で価格は高騰してい った。  現在、日本の住宅ローン金利は変動金利でO・2パーセントからである。これは世 界的に見ても異常なほど低水準で、不動産は依然買いやすく、買い手がたくさんい るので不動産価格はうなぎ上りだ。  2021年に開催された東京オリンピック・。クフリンピックの選手村跡地を活用 した晴海フラッグのように、新築マンションの一部には投機筋の動きが見られるも のの、基本的には中古マンション・戸建ての購入希望者は実需に支えられていて投 機的な動きはない。  なぜここまで日本の不動産価格は上がっているのか?  新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、ヒトーモノの供給が減り、世界中の 経済活動が落ち込んだ。先進各国の中央銀行は景気を刺激するために、ゼロ金利政 策へと移行し、大規模な金融緩和をおこなった結果、世界中で金余りとなり、貨幣 価値が弱まってしまった。  さらにロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰も影響して、各国でエネル ギー・物価は過去に類を見ないほどの上昇率を示した。  資材価格の高騰、職人の高齢化による人件費増も相まって施工坪単価は毎年上か つている。それでも買い手がつくので、新築マンションの建設は堅調に続いた。港 区最大の高級マンション・三田ガーデンヒルズも完売している状況で、高値をつけ ても売れる実績が出ると、それを参考にデベロッパーは土地の値段を算出して、マ ンションを建て、販売価格を設定する。こうやって少しずつ利益が上乗せされてい き、不動産価格は毎年数パーセントずつ値上がりしている。  中古マンションも同じ状態だ。基本的に中古は新築の価格に連動する。隣に同ス ペックのマンションが建設されると、中古は新築価格の8〜9掛けなどと算出され る。築年数や部屋の大きさ、立地など個別要素が複数加わるため一概には言えない が(たとえば駅直結なら新築よりも価格が高くつくケースもある)、新築が上がれば 中古の価格も基本的には上がる。  コロナ危機からようやく脱却したように見えた世界経済はインフレの脅威に直面 して、先進各国はインフレ圧力を下げるために、一転して政策金利を異例のペース で引き上げ、利下げが始まってはいるか、現在もインフレ退治に躍起になっている。  しかし、日本は先進各国と比較して物価がそこまで上昇していない。これにはさ まざまな理由があるが、大きいのは経済の成長が低迷しているため賃金が上がらず、 消費の増加が抑制されていることだ。2024年7月末時点で日本の政策金利はO・ 25パーセントの引き上げが決定したものの先進各国とは大きな開きがあり、1990 年以来、34年ぶりの歴史的な円安を招いている。  40年前のバブル期と違う光景は、海外富裕層の参入だ。投資用はもちろん、イン バウンドによって日本を訪れ、気に入った都市にセカンド(ウスをもちたいという ニーズが高まっている。  たとえば、南青山にある2億円のマンションに1・9億円で買い付けが入っていた。 当社(プロパティーアクセス社)の顧客であるフィリピン人は2番手として満額で買 う意向を示した。  しかし、2番手で2億円を提示すると、1番手が2億円で買い上がってきたとき に成約してしまう。そこで2億1000万円までは予算として出せると確認をした うえで交渉を進め、最終的には1番手の日本人が断念して購入に至った。  高騰する日本の不動産が買われ続ける理由として、円安を背景に海外の富裕層が 参入している点も大きい。 一  なぜ海外の富裕層は日本の不動産を欲しがるのか?  海外の富裕層という新たな買い手が増えたことで、日本の不動産はバブル期以来 の最高値で売却するチャンスがこの数年続いている。なぜ外国人は日本の不動産を 欲しがるのか? その理由はいくつか挙げられる。  @不動産の品質が世界一  海外移住した日本人はどこの国でも「日本の不動産は世界一の品質だ」と口を揃 える。たとえば、日本では浴室を壁・天井・床・浴槽と、それぞれユニットごとに 工場生産している。品質は壊れにくく防水性が高いうえに、職人の技術に左右され ないものが出来上がる。それらを現場で組み立てるのだ。こうした技術はアメリカ にもシンガポールにもフィリピンにもない。  あるいは、コンクリートもただ流し込んでいくのではなく、プリテストコンクリ ートと言って、工場でつくった品質が統一されたものを積み上げていく技術開発に 成功している。もちろん、建築職人の技術も高く、施工管理の基準も厳しい。日本 の建築業界は安定した品質のものがしっかりと供給されるシステムが確立されてい るのだ。  2016年、わたしはシンガポールに渡り、海外不動産のコンサルティング会社 を立ち上げた。その後、日本企業との提携が増えて帰国することになるが、3年ほ ど住まいを構えていたのはシンガポールの中心街オーチャードに位置する築19一年の タワーマンションだ。  日本では給湯器のボタンを押すと数秒で温かいお湯が出てくる。小さな給湯器ひ とって洗面所、浴室、キッチンを同時使用してもお湯が途切れることはない。  シンガポールではタンクに温水を貯めているだけなので、家のどこかで同時に使 うとそれだけでお湯が切れてしまう。家族が一人入浴したら、次の人は水シャワー で我慢するか、お湯が沸くまでしばらく待たなければならないという不便さであっ た。  また、このときに日本では考えられないような住宅トラブルに相次いで見舞われ た。たとえば、空気の入れ替えをするために窓を開けてしまうと、翌日、窓を閉め ているにもかかわらず、雨水が平気で入ってくる。部屋は湿っぽくなるので当然カ ビも生えやすくなる。  隣のマンションが建て替えになった際には、この密閉度の低さから工事現場にい るのかと思うくらいのひどい騒音に悩まされた。  施工技術が低いので劣化が早く、点検もしっかりしていない。雨水が入ってくる のは窓ガラスとサッシの溝を埋めるパッキンが老朽化しているからだ。定期的な点 検や管理組合による大規模修繕に対応できるような修繕積立金もないので、メンテ ナンスは甘い。  日本の建築技術、施工管理基準、管理の仕組みは世界に誇れる。建物の品質が高 いので、中古物件でも海外富裕層に安心して買われるのだ。  A外国人が土地を所有できる  海外で自国民以外が不動産を所有しようと思ったら、さまざまな規制が存在する。 シンガポールでは追加印紙税として不動産価格の60パーセントが上乗せされる。1億 円の物件を買おうと思ったら、1億6000万円を用意しなければならない。オー ストラリアも州や国籍によって違いはあるが、外国人は8パーセント前後も多く税 金がかかる。マレーシアでは多くの州がローカルの人たちを保護するために、外国 人は3000万円以上の物件しか買えなくなっている。ニュージーランドでは外国 人が不動産を所有することすらできない。カンボジアではコンドミニアムーマンシ ョンの外国人オーナー比率は70パーセントまでと制限されている。タイは49パーセ ント、ベトナムは30パーセントだ。  一方、日本では外国人も日本人と同じ条件で不動産を所有できる。100戸ある マンションを外国人が丸ごと所有することもできる。一棟もののアパート、マンシ ョン、オフィスビル、島でさえ土地付きで所有できる国は世界的にも稀で、海外の 富裕層が日本の不動産投資をする大きなメリットになっている。  B不動産価格が割安  日本不動産研究所による第22回「国際不動産価格賃料指数」(2024年4月現 在)では、港区元麻布の高級マンション価格を100としたときの各国都市との不 動産価格を比較している。  香港の富裕層が250万円かけて、東京でI週間ほどの不動産爆買いツアーに参 加しているという報道がフィナンシャルタイムズやBBCで報道されたが、不動産 価格は香港の半分以下の現状を見れば納得できる。後述するが、東京は世界に類を 見ないほど都市圏が広いので、平均的に分譲単価が安くなる。  金利が低く外国人もローンを組める。アメリカなら8パーセント、シンガポール なら4パーセントだが、日本なら外国人も2パーセント台。利回りのほうが金利を 上回る(ポジティブスプレッド)世界で唯一の先進国が日本だ。さらに円安が外国人 投資家の参入を加速させている。  日本の人口は世界19一位だが、都市圈の人口で言えば、東京は世界1位(約3710万 人)である。3000万人以上の人口を誇るのは世界でも東京とインドのデリーだ けで、東京の人ロランキングー位は1954年にニューヨーク都市圏の人口を抜いて 以来、71年間崩されていない。クレーター東京と呼ばれるのは、関東平野中に住宅 が開発されているからだ。交通インフラも整っていて車を必須とする環境でもない。  また、日本は世界的に見ても好感度が非常に高い国だ。「世界最高の国ランキング 2020」(usニュース&ワールドーレポート誌)では、スイス、カナダに次いで 日本が3位にランタインしている。これは9つのサブカテゴリー(冒険的要素・市 民の権利・文化的影響力・起業家精神・文化的資産・発動力Iビジネスヘの開放性・ 総合的影響力・生活の質)で評価されるもので、純粋な好感度だけではないが、2万 人以上を対象にアンケートがおこなわれた比較的大規模な調査だ。日本はアジアの なかでもっとも好感をもたれている国だ。  いくら日本が好かれているからといって、日本人の感覚で言えば人口は減るし、経 済はしぼんでいくので投資妙味はなさそうに思える。しかし、それはマクロの話で ミクロならまだまだ儲かる不動産はあるというのが海外富裕層の見立てだ。  たとえば、物件を所有して一般の日本人に貸すのならば住む人の年収は上がらな いし賃料は増えない。しかし、日本のインバウンド需要は高いという認識があるの で、ホテルや民泊のときコびで運用できれば、客室単価を上げられる。  当社の事例でも、大阪にある小さめの一棟ホテルが5億円の売出価格に対して 5億2000万円で売れたという実績がある。当初、日本の会社が5億円で買い付 けを入れていたが、アメリカ人のビジネスオーナーが2番手で参入してひっくり返 した。売出価格以上の値段を提示するのが海外富裕層である。後述するが、これは 日本の不動産の商慣習的にはありえないことだ。  日本人であれば同エリアの同スペックの物件価格と比較して、高値であれば買い 渋る。どうしてもお買い得かどうか、割安かどうかに焦点が当たってしまう。  しかし、外国人は土地勘がなく、買付エリアは外国人がよく訪れるところに集中 している。その物件が周りと比較して割安かどうかではなく、自分の予算に見合っ ているかどうかが大事で、そのなかで利回りが取れる物件であれば買いと判断する のだ。 」  キャッシュバイヤーの存在で高く売れる  日本の不動産は海外から注目されている。ゆえに売却を検討する際には、買主と して海外富裕層も候補に入れたほうが絶対にいい。その理由のひとつがキャッシュ バイヤーの存在である。  たとえば、日本で東京都渋谷区の1億5000万円のマンションが販売されてい る場合、A氏が1億3500万円で購入申込を入れたとする。2番手でB氏が 1億4000万円で購入を希望した場合、仲介業者はA氏に「1億4000万円で 買い付けが入りました」と伝える。そこでA氏が「1億5000万円出します」と 答えた時点で成約である。これは最初に申し出た人間に優先交渉権を与える、とて もお行儀のいい対応だ。仲介業者も売主から「1億5000万円で売ってくれ」と 頼まれて、そのとおりに契約をまとめているのだから仕事をきっちりしている。し かし、売主の利益を最大化する取引とは言い難い。  海外では1番手で申込をしたA氏に優先交渉権があるという話にはならない。A 氏に「1億4000万円なら出せますか?」と聞いて、「1億5000万円なら出し ます」という返答があったら、今度はB氏に「1億5000万円以上出さないと手 に入りません」と、オークションのように値をどんどん釣り上げて買い上がりをさ せていく。  キャッシュで購入できるバイヤー(購入者)がいることで販売価格以上に売れるこ ともある。ビジネスとしては合理的だ。海外には取引を「仲介」する業者はおらず、 「不動産エージェント」と名乗る。売主側のエージェントは売主の、買主側のエージ ェントは買主の利益を最大化させることが仕事なのだ。  買い手側にもエージェントがついていて価格交渉や住宅ローンの斡旋などをおこ なうが、昨今の不動産市場は需要に対して供給が足りていないので、売主側のエー ジェントのほうが圧倒的に立場は強い。  日本人はローン前提の買い手が多くキャッシュ購入の商慣習が少ないので、1億 円の物件が売りに出た際に最大で売れても1億円になることが一般的で仲介業者も それでいいと思っている。これにはさまざまな理由が考えられるが、ひとっは交渉 が複雑化して長引くリスクがある。たとえば、1億円で売り出されていた物件に 1億3000万円で買付申込が入ったとする。しかし、買い付けの2割は「ローン が通らなかった」「親の反対にあった」など、さまざまな理由でキャンセルされるも のだ。もし1億3000万円の買い付けが入ったあと、1億円で引き続き販売され たらとうだろう? 売主の立場からすると、機会損失をしている気持ちになる。高 値で売れれば仲介手数料も上がるので、仲介業者の利益も上がる。しかし、契約が 早期にまとまるメリットと天秤にかければ、このような複雑な交渉をやりたがる仲 介業者は少ない。  海外では欲しい人がいれば、価格の上限がなく値が釣り上がっていく。キャッシ ュバイヤーは周辺物件との比較ではなく自分の予算から物件の購入を判断する。こ の2点から相場よりも3割高く売れる可能性があるのだ。 一’ 不動産価格の上昇はいつまで続くのか?  ここまで話を進めてきたなかで、「日本の不動産が海外から注目されていることも、 海外富裕層に高く売れることもわかった。だからこそ、もっと待てば待つほど高く 売れるのでは?」という疑問が浮かんだかもしれない。  ただ、現実には多くの人は売り時を虎視眈々と狙っているというよりも「不動産 価格は上がり続けるだろうから、今売ってしまったら、もう二度とマイホームを買 うことはできないのではないか」という不安のほうが大きいだろう。  いずれにしても「日本の不動産価格は上がり続ける」と思い込んでいるわけだ。 「日本経済の成長性がないことはわかっている。この先、賃金も大して上がらない だろう。円の価値は下がり続け、輸入金額が上がって物価が上昇するなかで実物資 産を所有していたほうが、老後の心配がなく生きていける。自宅を手放すというの はリスクで、いずれ子どもも独立して家を出て行くことを考えれば、夫婦二人でも 十分に住み続けられる今の家が安全だ」  こんなふうに思われるかもしれない。  ただ、今、不動産を売ったら、老後の安心感はもっと増すだろう。高級マンショ ンを売った時点で、富裕層の資産運用に入れる。簡単に言えば、お金にお金を稼が せながら、豊かに暮らすステージに入れるのだ。  トマーピケテイの「21世紀の資本論」(山形浩生、守岡桜、森本正史訳、みすず書 房、2014年)では資本主義の厳しい現実がr▽gというわかりやすい公式で示 されている。資本収益率(r)、つまりお金から得られる収益が労働の収益(g)を上 回ることで格差が起こるというものだ。  富裕層はお金を投資して得た利益を再投資することで雪だるま式にお金を増やし ている。マイホームは立派な資産だが、所有しているだけでは単なる机上の数字で ある。資産は一向に増えない。もし利益確定すれば、キャッシュを利用して、富裕 層の門を叩くことができる。詳しくは第4章で述べるが、先進国には、ある一定の 金融資産をもつ者にしかできない資産運用法がある。お金持ちは堅実に、ラクして お金を大きく増やしているのだ。  そして、不動産バブルの今こそ、この資産運用戦略に足を踏み入れる絶好のタイ ミングだ。  投機的な動きで不動産価格が高騰しているわけではないのでバブル崩壊とまでは 言わないが、わたしはそろそろ上がり止まりがくるとみている。  なぜなら、日銀がマイナス金利から利上げに政策を転換しているからだ。金利が 上がれば不動産価格は下がる。今、都心の不動産を買っているのは国内のパワーヵ ツプルや海外の富裕層である。夫婦合わせて年収2000万円ならローンは最大で 10倍の2億円を借りることができる。しかし、金利が上がることで9倍までしか借 りられないことになったら予算は1・8億円になる。そうやって少しずつ買えるプレ イヤーが減っていき、価格の調整が起こるだろう。  海外の富裕層が日本の不動産に目を付けているのも、ドライに言ってしまえば消 去法で選ばれているだけだ。円安で金利が低い、東京・大阪・福岡に限れば人口は 減らない、インバウンド需要はまだまだあるという見込みから、ホテルとして運用 すれば利回りはまだ伸びる。こんなことを考えている。  ただ、これから日本は金利を上げて、ほかの先進国は金利を下げるフェーズに入 りつつある。円高になって不動産価格も上昇していくと、外国人の買いも弱まるだ ろう。そこで不動産価格が高止まりしている今こそキャピタルゲインを得て、運用 で資産を増やしていく方法をお勧めしたい。  私自身は2022年に2回目の自宅マンションを売却した。そこで得たキャッシ ュを元手に資産運用を開始、現在は同エリアでI・5倍広い、グレードの上がった賃 貸マンションに住んでいる。今まで住んできた家のなかでいちばん満足しているの でなんの不満もないが、古くなってきたらまた住み替えればいいという気軽さもあ る。  一つひとつの例を説明すると長くなってしまうので、私自身が実践した不動産売却 の事例は動画で解説することにした。次の二次元コードからLINE登録すれば視聴 できるので、ぜひ手に入れてみてほしい。       回  ’回 「持ち家を売ってしまって、そんなにすぐ新居が見つかるの?」という心配もある かもしれない。わたしは売却が決まってから物件探しを始めた。契約が決まった時 点でその週末に内見をして、3件ほど申し込みを入れた。書類を整えて審査にIヵ 月、引っ越し準備に2〜3週間で、およそ2ヵ月が一般的に設定される住み替え猶 予期間だ。売却時の契約に、「2〜3ヵ月間の住み替え猶予を与える」という条項を 盛り込むことはできる。  あるいは、同じマンションで賃貸の部屋が出たら、今の住まいは売りに出して、部 屋だけ移るというのも現実的な方法だろう。  一度売却を経験すると、マイホームは一生住むものという固定観念がなくなる。子 どもが大きくなったら、少し広い部屋がある家に引っ越すなど、ライフスタイルに 合わせて自由に家を替えるという発想が生まれる。  ここまで日本の不動産価格の上昇、海外富裕層の参入、40年に一度の売却チャン スが到来していることを説明してきた。次章からは具体的にどんな買主がいるのか、 国別の特徴と人気エリアを見ていこう。  買い手の数だけニーズがあり、国民性によっても好む物件は異なる。自身の持ち 家が当てはまっているかとうかを照らし合わせながら読み進めてもらいたい。               不動産仲介業者を変えたら               相場のI・5倍で売れた  売主は医師で33歳、結婚を機にもう少し広い家に住み替えを検討してい た。独身時代から住んでいたのは渋谷区神宮前にある築10年の20階建て夕 ワーマンション。売主は自宅を資産として考えていて、キャピタルゲイン 狙いで相場1億5000万円のところをかなり強気の2億3000万円と いう価格で売りに出していた。  しかし、周辺にポステイングをしても、賃貸物件との比較や同エリアの マンション相場よりも高値のために、売り始めてから3ヵ月が経っても内 見が増えない。  外国人に人気のエリアでもあるため、海外富裕層に狙いを絞れば売れる と見込んで、海外対応のできる仲介業者に変更して、英語と中国語で物件 の資料をつくり、海外の買主に情報を流してもらったところ、程なくして 2億2000万円で成約した。  物件資料(マイソク)の英訳作業は費用も工数もかかるので、基本的に国 内の不動産は日本語でマイソクをつくる。  また、自社で海外の買主を抱えていない仲介業者は両手取引ができない ので、翻訳をしてまで外国人向けに資料をつくろうとは思わない。  しかし、外国人ヘアプローチできれば、日本人が手を出さない価格でも 売れる可能性が高まるのだ。  叫‥―き991y洌い鈿III!}‐−IiIfl伊―″?―俔口櫑MsS―″Ss一ssげ」一lf剛syIIr!I`气擘晦I`!疹刪げ111} [― {年収2000万円以上の共働き世帯       } .M’爿111冖lyI。1Is亠りI`β冖″りI軻にX卩り枦い‥でsI’″‘い祠‐・ 聊’}冖js睥Iil脾卩興MhMりa『糾徊脯lsJ‥』μMM‐.a″’QM冫111いrr‐|冖nヽ「。−IM‘。冖扣匍…4’‥酬」冖冖sa{`Jり。1M‥‐`irμ。馴r・‐‐りI.II。、枷 .Si  まずは日本人だ。第1章で「日本人はこのまま不動産価格が上がり続けると思い 込んでいる」と述べたが、買い手になるのはまさにこうしたニーズをもつ世帯年収 2000万円以上の共働きパワーカップルだ。  東京・山手線内の新築タワーマンションは5〜10倍の抽選確率である。5倍だと したら4人は落ちている。狙い目はこの層だ。資材価格が高騰していて、今後も新 築は価格が下がるどころか上がり続けると思い込んでいるので、所得に余裕があっ てもこれ以上価格が上かつてしまうと手が届かなくなると買いを焦っているところ にニーズがある。  とくに人気があるのは港区・目黒区・千代田区・渋谷区で、山手線内の高級マン ションを探している. 一..−−.、。j …  ..    ..弌2 ・″s一‥・”‘.″’..’..’.  `..’.・岬卜h.‐冖’・..’a .・..””.’‘       .尸   1‐      い     1.h ・パ ー’         y 年収3000万円超えの            11 1 一 中国      個人事業主・ビジネスオーナー フ……゜” ’“’ミ   :      に   ノT y ・` ‘1.」  ’‥`  ・・ ・ `[’・’. .. ’71”]・・ −・ .・.・     . .’ .―  ・I’.  、‘.一  い      .  ■  世界的に見ても中国人は不動産が大好きだ.日本に不動産を所有したいと考える 中国人はおもに個人事業主やビジネスオーナーで、日本のことをよく知っている.日 本でビジネスをしている場合は、日本の永住権や銀行口座を持ちたいと思っている ことから不動産購入ニーズがある.日本に住んでいて、日本法人があれば自分にピ ザを発行できる.銀行口座はビザがないと開設できない.10年経てば永住権の申請 もできるようになる.  日本でビジネスをしていない場合には、本国ないしアメリカなどの先進国でピジ ネスを展開していて、年収3000万円を超えてくるようなビジネスオーナーだ。2 〜3ヵ月に一度は来日していて、セカンド(ウスや投資用として物件探しをしてい る。マンションでも戸建てでも物件の種類は好みが千差万別で、エリアも千代田区・ 港区・新宿区・渋谷区・文京区・中央区など広範囲にわたっているが、墓地が近く にあったり、景観として墓石が見える物件は買わない。投資の側面も強いので、ド ライに価格で物件を選定する。複数所有する人も多い。  特徴としては買付申込も2〜3つ同時に入れて、複数物件を並行して交渉を進め てくる。このため、最初の言い値が変わることもしばしば起こりうる。たとえば、住 み替えのために3ヵ月間引っ越しの猶予が欲しいと伝えると値引きをしてきたり、売 主側のエージェントが小さなミスをすると、すかさず仲介手数料を下げるよう要求 してくるため、交渉は一つひとつ慎重に進めていく必要がある。  また、中国から海外への送金が難しくなっているため、キャッシュで運ぼうとす るケースもあるので注意が必要だ.日本人の感覚からすると1億円もの大金を海外 から直接持ってくることはありえないと思い込んでしまいがちだが、契約条項に盛 り込んでおかないと、決済日にほんとうに現金を持ってくることがある.国内銀行 ではマネーロングリングの観点から多額の現金は預け入れできないルールになって いるところがほとんどだ. 一”   ヽ’ ・。f‥‥・    い ……… ] .`’.・.”り”./・  .へに] に   ’.’‥’..    ..・・・‐一.‘’y ・ ・・・ y‐.‐‐べ1.7‘ 。J‥匸、`... ..−r・・了二j.・’−.・・‘‐ぷ宍・1‐1   ’. ‘’“  E : 乙        ’.卜 一 欧米       年収5000万円超え、日本在住のサラリーマン、 一 ’          { 日本好きのビジネスオーナー            一 寸一‘.‘.”‘’41s.”.号s・一・・‥………リー‥.・・バ ‥.―‐.‐ぺ.り’卜’‐`.’‥作・11’=……‥゛’  ・.・‘..r・‘ .ぐ ・?4‐...’.’・.‘.り.丶″.‐..k‐らIい ‥.‘’.”‘‐らぷ・・‐・い.し「”’i.  J‥..『’‥‥y・  ’一一’‐  ・    .』・’二・.‐ ‘・‥’・’. J  日本在住で外資系企業、商社に勤めている欧米系白人は住み続けることを決めて、 職場に近い場所に不動産を探している.あるいは毎年日本を訪れるほど日本が好き で、日本に友人もいるビジネスオーナーが、セカンド(ウスとして不動産を購入す るケースもある.  欧米系の白人は年収5000万円超で、金融資産も1億円以上をもっている。目 黒区・渋谷区・港区といったエリアにあるRC構造の低層マンションが人気だ。ラ イフスタイルの違いなのか、広めのバルコニーが付いている物件が好みで、このた めタワーマンションよりも低層マンションを選ぶ傾向が強い。  押il−―II参I恟I IIIII・I・−IIs輸111111alllis−− 【韓国   】]則行錨円以上の一流企業勤め、     ]  Ily・――・−−・II鰺■−−−−−−1−SI譽−参I専11111  渋谷区上原のビルを所有していた不動産会社は売りを急いでいた。小さめの戸建 てに近い建物をと&口びで運用していたが、短期返済でローンを組んでしまったた め、毎月数百万円の返済が発生し、キャッシュフローは赤字だった。  なんとか買い付けが大ったものの結局はキャンセルされてしまい、売り先に困っ ていたところに韓国人のビジネスオーナーが手を挙げた。  わたしは買主側の仲介として交渉に入った。売主は相当手元のキャッシュに困っ ていたのか、手付金や中間金の支払いなどを細かく求めてきた。そこで売主側の条 件を呑む代わりに相場より2000万円安い、1億5000万円で購入。買主は法 人をつくり、長期ローンを組んでキャッシュフローもプラスになるように粛々と進 めることができた。  この買主は立地を魅力に感じて購入を決めた。人気のエリアはこの物件がある渋 谷区のほかに千代田区・新宿区で、移住用ならタワーマンションが、投資目的なら 木造のマンションでも収益性があれば買い求めていく。ソウルよりも東京の物件の ほうが安くなっているので投資目的のニーズもある。  韓国人は日本に何度も足を運んでいて、日本語を話せるケースも多い。不自由な く暮らせるので、ゆくゆくはビザを求めているという人もいる。  特徴としては買う前段階で「過去10年間の取引実績を提出してください」という ように数字をとても重要視する。エージェントが言うことよりも自らデータを分析 して、「いくらで売れるのか? 将来的なキャッシュフローはいくらか?」を割り出 す。ただ、申込み後の値引き交渉はせず、言い値を変えることは基本的にない。 一41.一 `9″一一一.Ils.’14一・sy』丶―″jj `。一’f`一f黔‘lへ’―‥9″s l丶ijEa`』`・`「’呱F.。・’・・・―・一″粐’き41ま‥・‐’、「一`J‥卩‥bII ・。″・・。・。。。。″、‥一″い 卩 ‥’丶H.―。’μげ 一            年収2000万円以上、            一   台湾     」 個人事業主・ビジネスオーナー           一 ”” ‘″゛″・    ゛`’一”’“”“゛  `4`‘      ’  ? 卜  ・一 ’w・ −’ヽ一一。‘ ’t ・”。・  ・ 一   ・‘  。 ・  』       ’ヽ                万一  韓国では、日本の不動産の窓口が務まるエージェントは限られているが、台湾に は反対に日本の物件を紹介するエージェントがたくさんある。  将来的な台湾有事のリスクを考えて、移住し、永住権を取得したいという明確な ニーズがあるのが台湾人の特徴だ。台北市は東京24区と言われるくらい親日の国で、 日本で不動産を探している台湾大は当然、日本に何度も訪れているので、決断も早 い。人気の物件は、年収レベルからすると高めでも買付申込が入る。  中国の人口が14億大、台湾はわずか1700万人だが、比較しても当社での取引 実績は同程度の件数がある。そのくらい日本の不動産に対する台湾人の購買意欲は 高い。  とくに人気なのは台湾大コミュニティが出来上がっている新宿区百人町だ。しか し、新大久保駅界隈は明確に買わなくなっている。韓国人コミュニティと棲み分け をしているのかもしれない。神楽坂も人気だ。不思議なことにここはフランス人の エリアではあるが、そこはあまり意識されていないようだ。 囁`ef.’11117『や菴φ軸4ダ.jふ4’丶’y4″一“s。″、f鼻‐申戸Xf・4!丶『。{tI}`φ鈩嵋’″.s″「。灣φyll卜ゆI94j`.i‘I笋IやkIぶrツ`r冖匚陣齡t{ 丶’7やfds吶吶。丶J.lja..I・・。・今‐”轟・か’。一一バ・ ・い ・。1s。t冖4j・り‥ 「フィリピン  一資産5億円超、2代目を含むビジネスオーナー           一 rr-。\ ≫≫≪-■≫ - - m r t≫ ■≫ k:≪.iにs月11阿w・j冖}ji}j14’j崢.e{ `61e一1−―〃 er}J/1j ’1″’。9。1  ’s4・ぷ。。・・。U:  近年、フィリピン人の日本の不動産に対する熱量が徐々に高まってきている。ほ とんどがビジネスオーナーのため、労働収入で暮らしているというよりは資産家で 日本に頻繁に来ている層が、セカンド(ウスや投資目的で購入していく。  当社の顧客にも築地のマンションを購入したフィリピン人のビジネスオーナーが いる。はじめて相談に来たときには、「1年前の訪日では買いたい物件があったが、 仲介業者からの提案が少なかったので買いそびれてしまった」と述べていた。知り 合いが築地には必ず訪れるので、自分も築地で改めて探したいという意向があり、そ の場でいくつかの物件を紹介して、週末にバーチャル内見を実施。そのなかから築 10年、60平米、9000万円のマンションを即決で購入した。投資目的での購入で、 利回りは3パーセント。これから賃貸に出す準備をしている。  フィリピン大は戸建てではなくマンションを好むが、構造にこだわりは少ない。R C造でもS造でも気にしない。また、エリアも千代田区・新宿区・渋谷区・港区・ 台東区・中央区・文京区など広範囲にわたっていて、住みやすさを重視している。た だ、中国人と同じで墓地が見える物件には手を出さない。  国民の8割がカトリック教徒のため、教会のある四谷や、観光で訪れる銀座周辺 も人気が高い。気質的には日本人と似ているところがあって、価格の交渉は激しく ない。  ‐・・−・−i−−              −il−−!−!‐・・‐‐・IIIg・亅 [`卜1 ]  錯日肘贈麹オーナー                  一  一」`’i傭に″‐‐44・や‘』sゆ冖。″町丶‐‘‐s.″・7一」s鴫s’‐n−   ’・lsらs1}I’`笋卩`―聊’iXr!―M・4`MIIゆ41啼ゆそ″あ。`。’匆。・戸1`‐k11軻l}‐。冖・.Q・i‐・4I『”6一剛・S一一−M。”―・。眦卜・・片ロー11rI  東京都中央区日本橋にある約160平米の戸建てを購入したのはベトナム人だ。現 地で不動産開発会社を運営している会社の二代目でAirbnbに転用する目的で購入 した。  と&コびは日本では旅館業にあたり、社員が施設に常駐していなければならず外国 人にとっては(Iドルが高い。しかし、この買主は親戚の日本人を住まわせること で旅館業の免許を取得した。  社会主義国家であるベトナムだが、日本の不動産に興味があるのは経済都市ホー チミン在住のビジネスオーナーだ。先の物件を購入した買主の資産も数十億円規模 たった。  ベトナム人は土地に対するこだわりが強く、マンションよりも戸建てを好む傾向 がある。2家族が住めるような大きめの住まいを求めることもあれば、民泊用に購 入するケースもある。  エリアの好みはなく、千代田区・新宿区・渋谷区・港区・台東区・中央区・文京 区など広範囲で物件を探している。  s―sIR1111『IIr‐f・’Qs14`‐jj‐。’4。疇s‥』’4 `!が。。。ゞ6111匈。。丶‘MI吟’――甸―III蝌I冖psI甘’`.ls44‐.IJ『。1’N。l’l‥桿i鍼・4卩い』枦りr9.‥I」‘111.1‘II               年収3000万円以上、            一・ 「タイ     ー 2代目を含むビジネスオーナー        」 −令.fI恂″曹・XEII啼I滯lfIIIゆyf゛Is あ・II冖11111り1111111}ぼ‥ゆ・41黔‐slI戸りslsI`llsls‘・{s{sll‥ぬ’。1−龝冖−。−−  日本が好きで年に2〜3回、北海道のニセコや山梨県の河口湖を訪れ、リゾート 地に別荘を持ちたいというニーズがある.東京都内だと資産運用の一貫として、千 代田区・新宿区・渋谷区・港区・台東区・中央区・文京区に投資用不動産を買い求 めていく.マンションが多いが、戸建てでもこだわりはない. ‐  一―‐い戸nl If″丶lh 』p J " ^ ≫ " ≫ r . j r i。・冖   ・ 『    414气‘4r!.・  ・’・‘fI・‐s11丶・   j .・  4‐.・申`  ..・.争.・・・・− ‐     ・.   −..・ 肖  ≒  ・I 一    ヽI レ ー 年収3000万円以上、 一 シッガポーJ一 2代目を含むビジネスオーナー          四II .パ ー ゜9 1ゆ’`φ’  ゛   ”E    ・り冫 ・  ”一     ’゛’.”.l  ・『11E`”‥’l卜・’‘   ・・         ‥     ・’    .・ ‥.・            ’     『.     べ  日本が好きで住みたいというより、完全に投資用として世界各国と比較しながら 日本の不動産市場を見ている.お金に細かいので値引き交渉は強くしてくる.転売 していかに利益が出るかが重要で、千代田区・新宿区・渋谷区・港区・台東区・中 央区・文京区が人気エリアだ.  例外はリゾート地でニセコには別荘のニーズがある.ただ、その場合も自分が使 わない期間、誰かに貸すことを前提としていることが多い. 一丿一東京以外の人気エリア 一  東京の不動産は高騰しているが、日本には借地借家法があるので、土地や建物の 相場や経済動向の変動、近隣の類似建物との比較など総合的な観点から賃料を定め なければならず、簡単には上げられない。  不動産価格の上昇と比較して、賃料の上昇はゆるやかなので利回りが下がる。そ う考えると、東京よりも利回りが高く、不動産価格も上がる可能性があるのは、人 口が減らない大阪府(大阪市内)、福岡県(福岡市内)だ。外国人も観光で訪れるの でなじみがある。続くのが、神奈川県(横浜市内)、愛知県(名古屋市内)と、国家 戦略特区に指定されて半導体関連企業が相次いで集まる熊本県(熊本市内)だ。  また、例外として、冬はパウダースノーに恵まれたニセコ、富士山のある河口湖 周辺も人気だ。外国人に好まれ、日本だからこそ得られるものがあるという特色の あるリゾート地は注目されている。  ここまで買主の特徴について述べてきた。次章からは具体的にどのような売却活 動をすれば自宅が高く売れるのかを述べていく。               売却後に賃貸住まいの               快適さを享受  市谷にあるファミリー向けのマンションを所有していた経営者は、自分 のマンションがいくらで売れるか逐一チェックをしていた。  キャピタルゲインが得られるとわかった段階からすでに5年が経過して いたが、日銀の利上げ報道を目にして、いよいよ売却活動を始めた。  売出価格は周辺の相場を調べたうえで、6年前に買った価格よりも35 00万円高い1億円とした。多少強気の価格ではあったが、最悪成約しな ければそのまま住み続けるという選択肢もあった。  築年数が浅いこともあり、毎週1〜2件の内覧が入るものの、価格が高 めだったこともあってなかなか買い付けに至らない。2ヵ月が経って、10 件目の内覧でようやく買付申込が入った。  買主は近くの賃貸物件を借りていた弁護士の家族。2人目の子どもが生 まれて、手狭になった家からの引っ越しを考えていた。値段が高くても売 れたのは、裁判所が近いという買主のニーズを満たせたからだ。  売主は同エリアから動くつもりはなかったので、近くに賃貸マンション を借りて住んでいる。部屋も広くなって、メンテナンス不要、気軽に引っ 越しができる賃貸住まいが快適だと言う。「今後不動産を買うことがあれば 投資目的です。生涯、賃貸住まいでしょう」と話してくれた。     い却     な売     し産     敗勦     失不 j章 一  物件の売却価格を決める  タワーマンションだとすると、常時10〜知一の物件が売りに出ており、売却する場 合、不動産会社のホームページやポータルサイト(SUUMO、HOME。S)に掲 載されている同じマンションや近隣の物件が競合になる。また、不動産はスーパー マーケットに並ぶ食品のようにディスカウント販売のようなことは認められていな い。唯一無二のものなので新築でも中古でも二重価格は禁止されている。  自分の所有する物件の相場を把握したら、2〜3社の不動産会社に査定依頼を出 冫ごつ。  ここで、いちばん高い査定価格をつけてくれた不動産会社に売却を依頼したくな ってしまうが、ひとっ注意が必要だ。  査定価格と成約価格は異なる。過去の成約価格は宅建士(宅地建物取引士)だけが 閲覧できるシステム「レインズ(Keal fc^tate Iniormation INXetwork bystem)」でし か知ることができない。実際に売出価格を決めると、買付申込が入った時点で 「1億5000万円のところ、買主の予算が1億3000万円しかない」といった指 値交渉(買い主が売り主に対して値引きの打診をすること)が始まる。  売出価格そのままに満額で売れることは不動産取引全体の2割程度だ。指値交渉 は挨拶代わりのように必ず発生する。20パーセント以上の値引きを交渉するのはマ ナー違反で、都内の物件なら5〜10パーセントの範囲に収まる。それを踏まえたう えで妥協できる売出価格を決めておこう。  先述したとおり、日本の商慣習的に売出価格よりも高く売れることはないため、売 出価格を決めた時点でそこが上限となってしまう。  指値が入っても自分が納得できる最低の価格で売れるかを見極めて値決めするこ とが重要だ。  それでは、どの会社に査定依頼をすればいいのか?  よく家が近い、開発したデベロッパーの関連会社で仲介業者を選んでしまいがち だ。しかし、知り合いだから高く売れるわけではないし、有名な会社が高く売れる とも限らない。なかには「ネットや広告に強いんです」とアピールする会社もある が、これは完全に売却を任せてもらうための宣伝文句である。  大手は顧客リストが多く、物件の契約書や重要事項説明書が丁寧につくられてい るので、売却後のリスクを最小限に抑えるようなことが基本的にはおこなわれてい る。たとえば、契約不適合責任といって、入居後2〜3ヵ月は契約書上にない不測 の事態に対して売主は責任を負わなければならない。その保険を無料で付帯する制 度を設けているところもある。  また、居住している状態ではなく、すでに引っ越しを決めて売却活動を開始する ときは、「ホームステイジンク」といって家具を無料で配置して、モデルルームのよ うにしてくれる。ただ、これらはいずれも高く売れる要素ではない。  大手のセールスポイントは多種多様のようで、本質的にはどこも大差はない。「当 社のホームページは他社と比べてこれだけの訪問者数があります」とホームページ での強さを推してきたり、「これだけの顧客数があるので過去にこれだけの成約をし ています」と取引実績を強調してきたり、退去済みであれば「ホームステイジンク でこういう差別化をしています」とアピールしてくるだろう。  お祝い金の支給やキャンセルの手数料無料キャンペーンなど、さまざまな施策が 日々繰り広げられている。  タワーマンションならデベロッパーの関連会社が存在する。野村不動産なら野村 不動産ソリューションズ、三井不動産なら三井不動産リアルテイなどだ。  ただ、開発業務と仲介業務はまったくの別事業なので、関連会社だから他社より もその物件に詳しいという理由にはならない。  そもそも大手はジョブローテーションがあるため、「10年間、このエリアを担当し ているのであらゆる物件の取引実績や相場を熟知しています」なんてスタッフは、ま ずいない。関連会社の人間だから知識が多いとは限らないのだ。  そのほかによくあるのは、相談のしやすさから知り合いや近所の不動産会社に依 頼するケースだ。メリットは、親身に相談に乗ってくれること、何かあったらすぐ に駆けつけてくれるフットワークの軽さだ。ただ、売買は買い手がいくら出すかで 決まるので、親身になってくれる知り合いだからといって高く売ってくれる理由に はならない。確かめるべきは仲介業者が持っている顧客リストのなかに、そのエリ アで物件を欲しかつていて、高値でも買いたいと思っている人がどれだけいるかだ。  ネットや広告に強い会社、あるいは仲介手数料無料と謳う会社もある。新築のマ ンションではないので、基本的にはポータルサイト、大手の不動産ホームページに 掲載するのが、いちばん見られるインターネットーマーケテイング施策だ。その物 件単体のウェブページをつくって広告を出しても効果に乏しい。ウェブ広告の出し 方に長けているよりも、どこのポータルサイトやホームページに載せることができ るかのほうが大切だ。  もしネットに強いと言われたら、ポータルサイトと比較してどのくらいアクセス 数の増加が見込めるのかをしっかり確かめる必要がある。  また、「仲介手数料無料でやります」と言われたら、会う価値すらない。仲介手数 料は1億円の物件なら3%+6万円で306万円が仲介業者の懐に入るわけだ。  これを無料にするということは、仲介業者は買主から手数料を絶対に取らなけれ ば利益が出ない。そうなると買主を囲い込みせざるを得ないので、自社の顧客リス トにしかアプローチされず、他社のホームページに掲載されることはなくなる。  極端に狭い間囗のなかでは高値で売れる確率は非常に低くなる。目の前の300万 円が安くなるよりも、顧客へのリーチ数を広げることでそれ以上に高く売れる可能 性のほうが遥かに高い。  これらを踏まえて、お勧めするのは大手をI社絡めて3社ほどに査定依頼を出す ことだ。残り2社は自分の好きな会社で構わない。すると、仲介業者から「査定の ために訪問したい」という申し出を受けることになる。               リフォームをして               相場よりも高値で売れた  外資系の金融機関に勤める男性は青山に築20年のマンションを所有して、 賃貸として貸し出していたが、老朽化で修繕も検討すべき時期にきていた。 借主が退去したタイミングで再度貸し出すか、売却するかの二択で迷って いた。  結局、市場が上がり調子なので売り抜けを考えて売却依頼をしてきた。経 年劣化がひどかったので、リフォーム代を上乗せした値引き交渉がおこな われる可能性が高いと伝えたところ、売主は「自分でやってみる」と50 O万円ほどで一通りのリフォームを実施した。自分と同じように多忙で六 本木のオフィスまでタクシー通いする高所得者層をターゲットにして、リ フォームプランだけは当社が紹介したリフォーム会社につくってもらって いた。  このように仲介業者は必要に応じてリフォーム会社を紹介することもあ れば、デザインにこだわる売主であればデザイナーを紹介することもある。 内装だけでなく、家具のデザイナーまでアレンジの幅は広い。  相場はI・3億円だったが、リフォーム分の価値を上乗せしてI・5億 円で成約した。 「訪問査定は担当者の面接  仲介業者の実力はホームページを見れば、どのくらいの物件数を取り扱っている のか、自分の住むマンションをどう売り出しているか、ある程度把握できる。  ただ、物件が高値で売れるかは会社の実力もさることながら、担当者の努力が非 常に大きい。だから、訪問査定には担当者を面接するような気持ちで臨もう。  不動産歴が5年では、この業界ではまだまだ経験が不足している。なぜなら不動 産は月に1〜2件の取引があればいいほうで、年間で20件程度が一般的な仲介業者 の営業担当者の実績である。もし新卒で入社したら1年目はO件というのも当たり 前で、2年目から月I件程度が成約できるようになってくる。  そうなると、5年経っても100件に満たない取引実績で、個別性が強い中古の 不動産という取引において件数が少ないことは交渉力においても、不測の事態が起 こったときのトラブル対応においても心もとない。  私自身がそうだった。28歳で会社をつくったときは海千山千の買主側の仲介業者 に交渉でやり込まれることもゼロではなかった。  いくら上司がついてきても、フロントに立つのは若手の担当なので、売り方の引 き出しも少ないし、交渉においても人の気持ちを汲む力が不足している。  たとえば、「この1億円の物件を買主さんがどうしても欲しいと言っています。ほ かの物件も紹介していて、もし8500万円になるなら即時キャッシュで買うそう なのですが……」と買主側の仲介業者が迫ってくるケースがある。その裏では不動 産の謄本を取り寄せていて、「ローンの残債が少ないので売主には余裕があるし。 8500万円でも通る可能性がある」といった計算が働いている。  あるいは実際にリフォームする気がなくても「築10年ではかなり古くなっていま すね。ここはグレードの高いマンションなのでリフォーム代も1500万円くらい かかってしまうかもしれません。買主さんはフルリフォーム済みのほかの部屋も見 ていて心が揺らいでいるんですよね。8500万円ではどうかと売主さんに聞いて もらえませんか?」と値下げを交渉してくる。ただ、実際は築10〜15年程度ではそ こまで老朽化していないし、リフォームするとなっても壁紙だけなど表層部分に留 まるのが常識である。  買主としては価格が下がればなんでもいいわけで、どこかにウイークポイントを 見つけようとする。  「買主さんはきれい好きなのでトイレは新しく入れ替えます」  「ここは南西だから西日が強い。買主さんは隣のマンションの南東の部屋に2割ぐ らいバリューの差を感じているみたいなんです」  値下げ材料を出そうと思えば、いくらでも出せるものだ。  相手方はさまざまな想定の下に交渉のカードを切ってくる。売主側の仲介業者に も当然「成約したい」という欲があるから、経験が足りないと「もしかしたら売主 も条件を呑むかもしれない」と気が焦って、言われたことをそのまま売主に伝えて しまう。これではただの御用聞きである。  相手の状況を読みながら「8500万円では話になりません。9500万円以上 から交渉のテーブルにつきます」と強気に返せるかは経験値がものを言う。見た目 は爽やかな好青年でも、いざ売却活動を任せたら伝言ゲームになってしまって、全 然交渉力がないことにあとから気づくというのはありがちな失敗例である。  次に、できれば担当者は売却するエリアの出身者であることが望ましい。土地勘 が違うからだ。このエリアはどのように思われているのか、この路線はどういう印 象をもたれているのか、やはり肌感覚がその土地で育った人間は違う。買主側か粗 探しをしてくるなかで、過去の取引実績はデータを見ればわかるが、なぜその値段 になっているのか、体感値がないと交渉をうまく運べない。  そのときに大事なのは土地勘だ。差別的な意味はまったくないが、都内の高級マ ンションを扱うなら、地域の特性が肌身に染み込んでいる東京出身者が適任だ。た とえば、「広尾にはどんな人たちが住んでいるか」「埼京線はどんな路線か」と聞か れたときに抱く空気感やイメージが、東京で生まれ育った人間と大学から上京して きた人間とではやはり違う。これは大阪なら大阪出身者、福岡なら博多出身者など、 どこでも一緒である。高級マンションの取引は、その土地の出身者に任せるべきと いうのがわたしの考えだ。  その土地に生まれ育っているからこそわかるものがある。いくらネットが発達し ても不動産はローカルビジネスなのだ。  また、不動産の知識、交渉の経験値、査定価格の相場感は基本的にもっておくべ きもので、世界経済の動向、日本経済の見通しなどに関して幅広く知識を備えてい るほうが望ましい。不動産価格は土地や建物の価値だけではなく、その土地の文化 や風習、宗教まで絡むからだ。  日本の為替はこうなっていく、物価はこうなっていくとしっかり説明できてはじ めて買主に「この価格で買っても損しないどころか、儲かる可能性があるんだ」と 納得感をもってもらえる。  不動産業界には財閥系不動産会社を頂点として、不動産ファンド、大手ビル賃貸 業と続く「不動産ヒエラルキー」と呼ばれる力関係が存在する。残念ながら個人向 けの仲介業者は業界内での地位が低い。インセンティブは高いので、トップ営業マ ンになれば年収2000万円はくだらないが、基本給はヒエラルキーに準ずる。  わたしはこの「もしもし営業」と呼ばれる不動産仲介会社からキャリアをスター トした。入社してから毎日ひたすら飛び込むので「もしもし」と営業の電話をかけ、 ポスティンダをして、20人ほどいる営業担当者は誰一人として日経新聞を読んでい なかった。なぜなら、営業成績を分けるのは架電数とチラシをまくスピードだった からだ。  職業差別をしているわけではないが、個人用のマンション一室の区分仲介だけを しているとどうしても視野が狭くなる。これはマンションの一室とは画一化された 商品で、求められる知識もシンプルだからだ。  不動産はマンションだけではない。戸建て、店舗、オフィスビル、ホテルなどさ まざまで、それによって求められる知識もまったく違う。わたしは不動産投資ファ ンドに転職をしてオフィスビルを扱っていた。そこでは投資家が金額を弾く指標と して「IRR(Internal Rate of Retu日)」や「マルチプル」という言葉が当たり前 に使われていた。  「RoI(Retuヨ○n Investment) Jは誰でも知っているかもしれないが、仲介業 者として働いていたときには、これらの言葉に出くわす機会もなかった。不動産業 界には英語が堪能で経済動向や金融知識が豊富な人材は非常に少ない。  手強い海外エージェントが現れた際に「ノンリコースローン」「預金担保ローン」 「バルーンペイメント」すら知らないのでは太刀打ちできない。  ○仲介業者の実力を見極める魔法の質問 「マーケティングが得意なので広告で売ります」 「当社のホームページはこれだけ集客できます」 「保険がつくので安心していただけます」  仲介業者はさまざまな誘い文句で仲介契約を結ぼうとしてくるだろう。繰り返す が、高値で売れるかどうかは担当者の力量に依るところが大きい。大手だろうが、中 小だろうが、売却活動をするのも交渉をするのも担当者の努力に大きく影響されろ からだ。  どれだけネットワークがあるかと質問することが、担当者の実力を知るいちばん 手っ取り早い方法だ。SNSで不動産関係者とどれだけつなかつているか聞いてみ てほしい。フェイスブックなら最低1000人は欲しいところだ。手前味噌だが、b たしはフェイスブックでの不動産関係者のつながりは軽く1000人は超えていで χのフォロワーは2・6万人だ。  仲介業をしていると、共同仲介といって買主と売主の仲介業者が別々になるケー スがある。通常、一定の取引量があれば不動産関係者の知り合いは増えていくもの である。それがあまりにも少ないと、顧客を囲い込んで買主と売主の仲介を自社が けで完結する両手取引ばかりしているのかもしれない。  これではネットワークの力を使えないので、自社の顧客リストにアプローチし切 ったら、あとは広告を打って待つだけになってしまう。  富裕層同士はつながっているので、富裕層の顧客をたくさん知る仲介業者とつな かつていれば「○○マンションの部屋は確実に案内できる」という情報が出回る。高 級物件になればなるほど、人間関係の影響力は強くなる。人脈に勝る営業力はない。  だから、「買主さんを連れて来られるようなお知り合いの不動産エージェントとか 会社さんを何人くらいお持ちなんですか?」と遠慮なく聞いていい。ここで注意し たいのは買取会社の名前が挙がってくる場合があることだ。後述するが、買取会社 には間違いなく割安で買われてしまう。「買取会社を除いて」と匸言添えるのをお忘 れなく。 一  マイソクで見極める  仲介業者に売却活動を依頼すると、マイソクと言われる物件の販売資料を作成さ れる。フォーマットに決まりはなく、100社あれば100通りのデザインが出て くるが、これも仲介業者の実力を推し量る指標となる。  1億円を超える高級物件なのに安っぽいデザインのマイソクがつくられている例 も珍しくない。キャッチコピーも、「新着情報」「南西角部屋」「今年はじめて出た」 などセンスの欠片もないものが平気で堂々と並べられている場合もある。  とくに海外富裕層は、高級感を大事にする。部屋がセンスの良さを感じるデザイ ンに見せられているか、何を訴求したら買主がたくさん来るか、物件の価格に見合 つた内装のこだわりが感じられるか、自分なりに考えて納得いくマイソクをつくっ てもらおう。そもそも多言語でつくられていないと外国人に売り込むっもりがない といヽつことではあ‘石が……。  マイソクは必ず売主に確認が入るので「自分が買主だったら、この物件が欲しく なるか、億を超える買い物をしたいか?」という視点でぜひ見てほしい。参考まで にマイソクの例を載せておく。               不動産業界以外のネットワークで               買主を見つける  都内にあるいくつかの超高級マンションは売りに出されても、物件情報 がレインズに公開されることはほとんどない。なぜなら著名人が住んでい るからだ。大リーグの大谷翔平選手は自宅が特定されたことで引つ越しを 余儀なくされたというニュースが報じられたが、著名人は身元特定を嫌う ので水面下で売却活動がおこなわれる。  東京都港区にあるタワーマンションの売出価格は3億7000万円とし た。この金額が出せる買主も限られるので仲介業者は多方面にアプローチ することが求められる。今回のケースは画商から買主を紹介してもらうこ とで成約に至った。絵画は減価償却ができる資産なので、画商は富裕層の ネットワークをもっている。  当然海外の富裕層にもアプローチをしたが、結果的には日本国内の著名 人が購入をした。  仲介業者は自社のリストや不動産業界のつながりだけでなく、いざとな ったらありとあらゆる人脈を駆使しての販売努力が求められるのだ。 『不動産売却活動の流れ  仲介業者はホームページやポータルサイトにマイソクの情報を掲載する。同時に メールや電話で(ウスリストに営業をかけて物件情報を周知する。  日本では不動産会社に依頼する場合もあるが、個人でもポータルサイトを調べた り、ホスティングされたチラシを見て、物件の販売会社に直接問い合わせをするヶ Iスがある。  しかし、海外ではエージェントに「こういう条件の物件を探してほしい」と依頼 して物件を紹介してもらう形になっている。  このため、海外富裕層への日本の物件紹介は、海外エージェントが直接っながり のある国内エージェントから収集してきたものか、国内のポータルサイトに掲載さ れている情報に限られる。海外のエージェントはレインズを見ることができないの で、一般の人と同じようにSUUMOなどのポータルサイトから探すしかないのだ。  だから、マイソクは多言語である必要がある。日本語だけのマイソクは、海外エ ージェントが独自に英訳して買主に渡さなければならないなど、時間も手間もかか るので敬遠されがちである。大体、マイソクの作成に3時間程度、掲載に1時間程 度の時間がかかる。  当社では英語、中国語、韓国語と顧客に応じてマイソクを使い分けている。いく らAIで翻訳の手間がなくなったとはいえ、高い買い物をするときには母国語で表 記されている情報のほうが信用できるはずだ。  国内の仲介業者も海外の顧客に対するアレルギーがある。言語の壁を乗り越えて、 海外のエージェントから問い合わせが入ったとしよう。海外取引の実績がなければ、 契約の流れ、送金の流れ、レートの決め方、内見の仕方など細かい業務がわからな い。買主がビザを欲しかつていると言われても対応できないだろう。  蛇足だが、海外に買主がいる場合、内見は大抵オンラインでおこなわれる。エー ジェントが画面通話しながら、室内を映すのだ。直接内見しなくてあとからクレー ムにならないか不安になるかもしれないが、日本は不動産契約がしっかりとしてい るので、物件についての細かい説明が重要事項説明書以外にも物件状況報告書とし て記載されている。この内容に間違いがあれば仲介業者の責任になるが、そんなこ とはほとんど起こらない。「中古物件のため、細かい傷は必ずある」という前提でサ インをしてもらうので、購入後にトラブルになるのは水漏れが急に起きたといった 突発的なケースだけで、「内見とはイメージが違った」というクレームはない。  仲介業者が基本的にめざしているのは両手取引だ。買主を自分たちの手で見つけ れば、手数料3%が買主と売主の両方から手に入る。  そう考えると、海外の顧客をもっていない時点で自社の(ウスリストにいる日本 人が営業対象となる。つまり、海外富裕層に高く売れる可能性があってもアプロー チすらしない。  実際、海外富裕層の出す金額は、国内の買主と比較しても圧倒的に高値だ。肌感 覚として100件の取引のうち、80パーセントは海外富裕層のほうが高値で物件を 買っていく。それのくらい海外富裕層の購買力は強い。  当社だけでも1年弱で海外から現状5000件ほどの引き合いがあるので、それ だけ日本の物件を欲しがっている海外富裕層は多い。  売主の利益最大化を考えれば、まず海外富裕層にアプローチするべきである。し かし、国内の仲介業者からしてみれば、煩わしい海外対応をする手間を考えると、多 少は安値でも自社のリストで買い手を見つけたほうががラクだし、両手取引ができ るので得なのだ。 一  値付けは相場より3割高く  実際にいくらの値付けをすればいいのか? わたしが提案したいのは相場の3割 増しである。同じマンションの一室や近隣マンションの価格を調べて、30パーセン ト上乗せしよ‘つ。  「同じような部屋が3割も高く売りに出ていて買い手がつくのか?」と疑問に思う かもしれない。しかし、為替レートの違いがあるので海外富裕層狙いなら十分に売 れる見込みがある。  もちろん、国内顧客しか取り扱わない仲介業者に「相場の30パーセントアップで」 と伝えても渋々ながら売却活動を進めてもらえるだろう。ただ、結局買い手が見つ からず、過去の成約事例を引っ張ってきて値下げを提示するだろう。  国内にしか顧客がいない仲介業者は、海外の富裕層を顧客にもつ仲介業者と比べ て旗色は悪い。価格を下げていかなければ売れない確率が高いのだ。 一  契約は専任媒介か一般媒介  聞いたことのある人も多いと思うが、仲介業者との契約には専属専任媒介・専任 媒介・一般媒介の3つの形態がある。  専属専任契約は1社に専属で売却活動を依頼する契約である。この場合は、売主 が買主を見つけてきても必ず手数料を取られる。「知り合いに買ってもらうことにし ました」「子どもに譲ることにしました」と伝えても(自己発見取引)、買主と売主 両方から手数料3パ1‐セントずつが発生するのが専属専任契約だ。  その代わり、仲介業者は販売報告の義務があり、書面に残すような形で7日以内 に1回、売主に販売状況を報告しなければならない。  昔は専属専任だと営業担当者のモチベーションが上かつて広く顧客を見つけよう とするという利点があったかもしれないが、ネットが発達した現代では専属専任に したからといって買主へ広く情報が広がるわけではないし、専属専任にする利点は まったくない。  売主が選ぶべき契約は専任媒介か一般媒介のどちらかだ。専任媒介はI社との契 約になるが、14日以内に一度の販売報告義務がある。自己発見取引は手数料を取ら れない。  一般媒介では複数社との契約ができる代わりに販売報告義務はない。ただ、一般 媒介の場合、3社に依頼したら、それぞれからマイソクの確認や内見の依頼がくる。 これは思った以上の手間である。  たとえば、A社から「土曜日に内見ができますか? 10時ごろはどうでしよう?」 と連絡が入ったあとすぐにB社から「2件ほど内見の申し込みがありまして、まと めたほうがお手間ではないと思いますので、土曜日の15時と16時はご都合いかがで しょうか?」と言われる。  そして、C社から「日曜日は空いていますか?」と言われると土日がほとんど潰 れてしまう。もしI社だけに依頼すれば、最初から同じ日、同じ時間帯で調整して くれる。  忙しい方にとって媒介契約は、仲介業者を主治医選びだと思って1社のみと結ぶ のが賢明である。それならば最初から専任媒介にするか、一般媒介でもI社に絞っ て依頼すればいい。専任媒介の場合、報告義務のほかに、7日以内にレインズに載 せなければならない。一般媒介はレインズに載せる義務はない。  これは裏を返すと名前が出たら困る人は一般媒介しかないということだ。たとえ ば、自宅を売却していることが世間に知られると株価に影響するような大企業の経 営社や役員である。オフマーケットで売却活動をする場合は前述したとおり、仲介 業者の人脈がモノを言う。担当者がどれだけのネットワークをもっているか見極め よヽフ。  ポータルサイトに名前が載ってもかまわなければ、広く告知したほうが効果的な のは言うまでもない。  ただ、海外富裕層にアプローチしようと思ったら、一般媒介で最初はレインズに 載せないほうがいい。なぜなら、オフマーケットでは「非公開物件です」という情 報の出し方がいちばん効果的だからだ。海外富裕層は「あなたしか知らない預かっ たばかりの情報」と聞いた途端に目の色が変わる。  海外顧客をもつ仲介業者は国内にいくつかある。財閥系の大手不動産会社、KE Nコーポレーション、プラザホームズなどに加えて、フリーランスのエージェント もいる。ただ、大手であっても海外チームは限られた人数で、数百人組織のなかで 数人というヶIスも珍しくはないため、どこまで海外対応に力を入れているのか見 極めは重要だ。  当社は海外顧客を専門として不動産仲介をおこなっているので、無料査定のご希 望があれば、次の二次元コードからLINE登録してみてほしい。       回  ’回 一  売却活動の見極めポイント  専任媒介契約だと14日間に一度、報告書があかつてくる。営業活動をしっかりし ているかどうか見極めるためには具体的な数字が記載されていることが大切だ。  何件の顧客にどういうアプローチをしたのか、どのウェブサイトに掲載したのか、 たとえばレインズなら物件情報のダウンロード数が毎日更新される。これらの履歴 は情報として最低限、報告書に盛り込むべきものである。  さらに、内見がある場合は見送りになった理由を正確に把握していて、改善の手 を打っているかも重要である。  顧客からノーが出たときには変えられない理由と変えられる理由がある。たとえ ば、大幅な予算外だった、親の反対にあった、そもそも買うこと自体をやめたとい うのは仲介業者が何を言っても変えようがない理由である。  しかし、窓からの眺望で目の前の建物が気になったという理由なら植栽を置いて 目隠しする。壁紙が古いと言われたら、「壁紙はそこまでお金がかからないので、こ ういう壁紙が○○円で変更できます」と答えられるように準備しておく。  もしくは居住中の部屋で「汚い」と買主に言われてしまったら、売主には「次回 の内見前には整理しておいてください」と当然伝えなければならない。  改善アイデアが出せているかどうかが見極めのポイントである。改善案があると はPDCAが回せているということである。だからこそ、「今週はこのような活動を していきます」と過去の営業活動を踏まえて、未来への戦略が提案されているかが 営業活動がしっかりおこなわれているかどうかの見極めポイントである。 」  3ヵ月で売れなかったら会社を変える  媒介契約は法律上、3ヵ月以上はできない。更新のタイミングで仲介業者を変更 するか検討しよう。  不動産売買の成約期間は平均3ヵ月と言われるが、今の地合いなら需要が供給を 上回っているので、都内の高級マンションは2ヵ月ほどで売れる可能性が高い。  もし3ヵ月で物件が売れない場合、仲介業者は大幅な値下げを提案してくるだろ う。ただ、値下げはあらゆる営業活動を尽くしたあとの最後の手段である。外国人 にアプローチしたのか? ポータルサイトには細かく掲載されているか? 広告は 出されているか? チェックすべきことはごまんとある。  しかし、素人に仲介業者の営業活動が漏れなくおこなわれているかを見抜くこと は不可能なので、報告書でPDCAが回せているかをチェックしよう。  わたしの経験上、値下げを簡単に提案してくる仲介業者はまず手を尽くしていな い。3ヵ月経って真っ先に値下げを提案された時点で、「この価格で再度チャレンジ したいから他社でやってもらいます」と解約してかまわないだろう。  このとき、最初に査定してくれた仲介業者のなかから選ぶのをためらう人がいる かまったく問題はない。もしいい担当者がいなければ、新たに探してもいい。  再度、査定のやり直しにはなるが、そのときに、「今は1億3000万円で売りに 出しています。これまでの仲介業者はこんな売り方で営業活動をしてくれていまし た。何か違う方法はないでしょうか?」と正直に相談すればいい。きっと訪問査定 時に「わたしだったらこうします」とアドバイスをくれるはずだ。 一一  最低売却価格を教えてはいけない  売却前に仲介業者から「最低いくらで手放せ圭すか?」と必ず聞かれる。物件は 値下げしかり、指値交渉しかり、あなたが売りに出した瞬間、あらゆる形で値引き 交渉が始まる。  買主は挨拶程度に必ず指値交渉をしてくるので、自分が住んでいてすぐに売りた いわけでもなければ、指値は断り続ければいい。  ただ、仲介業者に「指値は絶対に通しません」と言うのは控えよう。なぜなら指 値交渉は仲介業者にとって腕の見せ所だからだ。  指値は断ってもよいのだが、余程のことがない限り100パーセント指値交渉に なるので、あらかじめ高めに売出価格を設定しておくのが賢明である。もし指値交 渉にならず、満額の申込みがあった場合は、値付けが安かったと思っていい。  たとえば、売出価格を1億円と決めて、仲介業者には「8000万円で譲っても いい」と伝えていた場合、8000万円が努力ラインになってしまう。買い付けが なかなか入らなかった際に値下げの余地があると思われてしまうし、指値交渉が 8000万円できたとき、仲介業者は「なんとか8500万円でまとめました」と 意気揚々と報告してくるだろう。  指値交渉がおこなわれる前提で売出価格を高めに設定しておく、そして妥協でき るほんとうの最低価格は、自分の心の内だけにそっと留めておこう。               アピールポイントを変えて。               売れ残り物件が2ヵ月で成約  銀座IT目にあるタワーマンションで立地は申し分がない。80平米もあ る希少な物件だったが、間取りがILDKたった。  ILDKだと単身か二人夫婦の世帯が対象となってしまい、ファミリー 層のニーズは取り込めず、成約がしにくい。  しかも築20年が経過していたのでリフォームも必要となってくる年月が 経っていた。  しかし、当社ではこれを逆手にとって、リフォーム時には2LDK、3 DKに間取り変更できることを明記して売却活動を開始した。  リフォーム代の見積りも揃えて、リフォーム前提で営業活動をしたとこ ろ、他社の仲介では半年間売れ残っていたものが2ヵ月で成約に至った。  リフォームーリノベーションにも詳しい仲介業者は数が少ない。ただ、リ フォームに強い会社から適切なアドバイスをもらえればスムーズに売却で きることもあるのだ。 一  買取会社とは直接話す必要なし  仲介業者のなかには訪問査定をした時点で、買い取りを申し出てくる会社もある。 なぜ仲介業者が買い取りするかというと転売目的だ。そのため売却価格は相場より も必ず安値になる。  ここで買取交渉の裏話を正直に話そう。  査定を依頼された仲介業者は、「この金額だったら買えそうだ」と事前に見積って いる。そして、訪問前に上司と「この金額ならいけますか?」「いやいや、それなら 査定しないとダメだよ。このラインならいいよ」と予算の打合せをおこなっている。  だから、訪問査定時には「この物件に関しては一般的に市場の最低価格は 1億3000万円くらいです。ただ、当社でも買い取りをしておりまして、1億 2000万円なら明日お金をご用意できます」と交渉を始める。売主側からすると 「8000万円で買った物件だし、4000万円も利益が出るならいいか」と思って しまいがちだが、実際は1億6000万円くらいからチャレンジすべき物件であっ たりする。  「この人は1億2000万円だったら納得するな」という見極めから査定は始まっ ている。買取会社が提示する価格は、その物件相場の下限額だ。  仲介業者は売主の利益を最大化する責務があるのに、最安値で自社が購入しよう とすることは立派な利益相反行為である。しかし、不動産業界ではいまだに買い取 りが公然とおこなわれている。なぜなら仲介業者にとって利益が出るからだ。  市場の相場価格を100としたときに、買取会社の提示する金額は70〜85だ。も し専属専任契約で買い取りができたら、買主分と売主分の計6パーセントの手数料 が入る。そして、今度は100で市場に販売をする。このときに売れたら手数料が また3パーセント手に入る。  さらに海外富裕層には130で売れるポテンシャルがある。売ったものをふたた び110で買い取って、130で売り出す。すると、仲介業者の懐には合計で手数 料19一パーセントと売却益35〜50が入ることになる。  仮に相場価格が1億円の物件を例にした場合、単純計算で約6134万円を仲介 会社は手にする。これに対し、真面目に相場価格で片手取引した場合、仲介手数料 3パーセント+6万円(306万円)しか手に入らない。これを見ただけでいかに仲 介業者が買い取りをしたがるか、その理由がわかるだろう。  買取会社は仲介者の顔をしながら近づいてきて、最低価格で買い叩かてくる買主 だ。あるいは、仲間内の買取会社を紹介してくる場合もある。仲介業者の担当者が 毎回同じ買取会社へ案件を紹介しているケースだ。業界用語で「たんぽ」というが、 担当者ボーナスの略である。  この不動産業界の闇にわたしは疑問を感じて、I社目で売却専門の会社をつくっ た。市場へ公平に情報を流し、少しでも高く買ってくれる取引先を見つけられるよ うにするための仕組みづくりをした。売主が買取会社に任せるメリットはよほど売 り急いでいるときだけである。  仲介業者が訪問査定に来た時点で「御社は買い取りをやっていますか?」と必ず 質問してほしい。  模範回答は「当社は買い取りはやらないのですが、買い取っていただく会社さん はたくさん知っています。もし、早く売りたいご希望があればご紹介できますが、相 場よりかなり安くなってしまいます」である。「はい、買い取りもしています。見積 りましようか?」と答えた時点で「お帰りください」だ。              見せかけの査定価格で              不動産仲介業者に              騙されそうになった  弁護士の方が裁判所に近いからという理由で、セカンド(ウスとして新 宿通り沿いに築11年の物件を所有していた。  仲介を依頼したのは、いちばん高値のI・4億円で査定してくれた大手 の不動産仲介会社。大手の安心感もあって売却活動を依頼したものの、売 出価格ではなかなか成約せず、最終的に8000万円で買取会社からのオ ファーがあった。  これは業界用語で「干す」と言われる手法だ。とりあえず査定は高くし て売却の契約を結ぶ。そこから売却活動に勤しむフリだけして実態は放置 する。干すとはほったらかすという意味がある。当然、内覧が入らないの で「価格を下げないとダメですね」と安くさせて最終的に買取会社を斡旋 する。  あるいは買い付けが入りそうになったら「ほかの方で契約予定です」と 言って申込が入らないようにする。もしくは買付申込が人つたなかで、い ちばん高値をつけている買主を隠して、「このお客さんはキャッシュもお持 ちで安心感があります」と自分たちの手数料が最大化するように自社の顧 客を紹介する。この「隠す」という行為はれっきとした宅建業法違反だが、 明るみに出にくく、堂々と手口として使われているケースがある。  ほかにも専任媒介契約ではレインズに登録しなければならないので登録 証明書を売主に渡したら、すぐに非公開の情報に変えてしまう。または掲 藏しても「内覧は清掃の関係で2週間後になってしまうんです」と引き延 ばして、自分たちの営業活動を最大限できるようにするといった手法が横 行した。  そこでレインズ側も対策をしてステータス表示をつくった。すると、今 度はすべて「契約予定」にステータスを切り替えて申し込みが入らないよ うにされてしまった。現在は売主がQRコードをかざすと自分の物件ステ ータスが確認できるようになっている。  結局、この売主は買取会社からのオファーを断って、仲介業者を変更し たところ、ほどなくしてI・2億円で無事に成約した。 」  2階建ての資産運用方法  新NISAとインフレによって、近年、資産運用の機運が高まってきたものの、少 し前までスタンダードチャータード銀行やHSBC(香港上海銀行)が個人向け業務 から撤退せざるを得ないほど、日本人の資産に対する考え方は非常に保守的だ。  日本人の金融資産は約2140兆円あるものの半分は預貯金で占められていて、株 式や投資信託などで運用するという考え方は一般的ではなかった(2023年12月 末時点)。アメリカではこれが逆転していて、個人金融資産の半分は株式や投資信託 預貯金は1割ほどになっている。  海外では投資信託、保険などさまざまな投資商品を組み合わせて資産運用するの が一般的で、この日本人の現預金の多さに注目して、相次いで海外銀行が参入して きた。しかし、2015年10月にはシティバンクの個人部門も三井住友銀行に買収 されてしまい、ことごとく失敗している。  不動産を売却して多額のキャッシュを得たあとどうすればいいのだろう? わた しがお勧めするのは、プライオリディハングを活用し、金融資産を担保に融資を受 け、ビ(レッジを利かせた運用をする方法だ。海外では当たり前の知識だが、日本 ではまだ一部にしか知られていない。  国内外の富裕層を数多く見てきたなかで、この方法がもっとも効率よく手元資金 を最大限に活用できる資産運用方法だと言える。  ビ(レッジという言葉にリスクを感じる、抵抗があるという人は多くいる。しか し、私たちはじつは当たり前のように借金をしている。代表的なのは不動産だ。口 Iンを使って手持ち資金以上の資産であるマイホームを所有するのと原理的には同 じて、証券や外貨預金を担保にお金を借りることで資産運用金額を大きくする。  ローンのため当然、金利を支払わなけれぱならないが、借りたお金の金利が2パ ーセントだとして、利回りがそれ以上なら利益が出る計算だ。  これは2階建ての資産運用といって、海外では一般的である。なかには担保で借 りたお金をまたほかの金融資産に預け入れて担保にし、お金を借りる3階建ての運 用をする人もいる。日本でもHSBCやシティバンクがこうしたサービスをおこな っていた。  金融資産が数億円ある富裕層はプライベートバンクを利用して、このような資産 運用をおこなっている。準富裕層はいきなりそのステージにはいけないので、プラ イオリディハングを利用するのが最適な方法だ。  国内の金融資産でも2階建ての運用は可能で、SMBC信託銀行プレスティアで は、5000万円を下限に預け入れた金融資産の8割まで融資が得られる。  プライオリディハングとは通称で、要は優先顧客向けのサービスをする銀行であ る。香港のHSBCやシンガポールのDBS銀行が挙げられる。これらは一般顧客 向けのサービスとは別に、大きな金額を預けてくれている顧客向けのサービスを提 供している。  その上には、顧客専用のプライベートバンクが存在する。アメリカ、シンガポー ルだと5ミリオンなので、それぞれレート換算すると7・5億円と5・5億円ほど預 けている人たちの資産運用を個別にサポートしてくれる。  富める者はますます富むというのは真実で、プライオリディハングやプライベー トバンクでは担保を得るための最低保証金がある。その代わり、専任の運用担当が ついて資産運用戦略をコンサルティングするのだ。  たた、結論から言うと、プライオリディハングのスタッフの言うとおりに運用す るのはまったくお勧めしない。プライオリディハングの仕組みはうまく利用して、ヵ モにならないように債券を購入するべきだ。債券は償還日まで保有すれば全額保証 される手堅い投資商品で、利回りは4パーセント程度だがリスクは低い。  わたしがソニー不動産に会社を売却した2014年、キャッシュで不動産を買え るだけ買った。そのあと残りをシティバンクに預け、言われるがまま投資信託を買 ったら、資金が2割減ってしまい、手痛い勉強代となってしまった。  「これからはBRICSが成長します」と、今ならリスクしかない売り文句だが、不 動産しか知らない、株や保険など資産運用の知識がまったくない30歳そこそこの経 営者は目先の儲けに目がくらんでブラジル、ロシア、インドと新興国にどんどん投 資した結果、すべてがうまくいかなかった。  預貯金のつもりで某メガバンクにも数千万円を預けたら、個室に通されて副支店 長が出てきた。自分も上顧客になったのだと内心喜んで、相手が何を買わせようか と色眼鏡で見ていることに気づかなかった。トルコーリラ建てやブラジルーレアル 建ての投資信託を買わされて、個人用保険にも3種類人らされた。  数々の資産運用に失敗してきたわたしだが、もっとも買ってはいけないと思った のが、この個人用保険だ。保険は長期投資となり、元本を上回るまで5年ほどかか る。そのあいだは資金が塩漬けになってしまう。定期預金のようなものだとあとか ら気づいて即刻解約した。  海外の保険はローンで購入することができる。海外移住して、現地で仕事をする 計画がある人は、ローンで保険を買うのはいい。日本ではローンを使えないので資 金効率が悪すぎる。資産運用としては悪手だ。  プライオリディハングのシステムはすばらしい。預けている金融資産を元手に低 金利で融資を受けることができる。相談に行ったら、紹介される商品は買わずにい くらお金が借りられるかを確認しよう。  金融機関によって異なるが、SMBC信託銀行なら5000万円の預け入れと 1000万円以上の資産運用でプレステイアゴールドプレミアムのステータスを得 られる。これは米ドル建ての外貨預金か米国債にするのが賢明だ。  なぜなら、ローンの担保となる金融商品が株式や投資信託になると価格が下落し て5000万円分を割ってしまった場合、追証が発生する。ただ、米ドル預金なら ただ円をドルにしただけなので、円安になろうが円高になろうが、追証が発生する ことはない。  高めのリターンを求めるのならば、ローンで借りたお金で投資信託を買うのはい い。なぜならローンの金利以上にリターンが必要だからだ。5000万円を預け入 れたら、証券担保ローンで5000万円なら8掛けの最大4000万円まで借りら れる。これを投資信託などやや積極的な運用に回すのだ。ただし、新興国はリスク が高すぎるので、S&P500や全世界株式など手堅い投資商品を選ぶことを強く お勧めする。  利回りがローン金利を上回っていれば、元本保証される米国債にしてもいい。 一  通貨分散をする  第1章で述べたとおり、残念ながら日本経済は今後大きく成長していく可能性が 極めて低い。人口減少し、貧しくなっていくこの国で円の価値は下がっていくだろ う。2024年7月に、37年ぶりにIドルー60円を超えて騒がれたが、長期的に はもっと円高になることが考えられる。  日本円だけ持っているのはリスクで通貨分散は、海外の富裕層が当たり前にやっ ている資産防衛方法だ。わたしはキャッシュの50パーセントはシンガポールードル の定期預金とリタイメントーインカムで保有している。これは保有期間が長いほど 利回りがよくなっていく養老保険だ。そのあいた、死亡した場合には保険金が支払 われる。これは日本の生命保険会社も扱っているが、海外ではローンで購入するこ とができるのが最大の魅力だ。  最初はローンの金利のほうが高いのでキャッシュフローはマイナスになる。ただ、 年々保険の利回りが上がっていくので、10年、20年経つことでキャッシュフローは プラスになっていく。20年経てば利回りは8パーセントだ。  2019年当時、1000万円ほどで6000万円分の保険に入ることができた。 さらに円高でもあったので、現在の円レートで換算すると、8000万円近くの価 値になっている。5年経った今、キャッシュフローはちようどトントンでこれから プラスになっていく。  もし明日わたしが死んでも、家族は円換算で8000万円分の保険金を受け取れ る。20年後には年間640万円が入ってくる状態になる。年金代わりの長期投資を している感覚だ。  新NISAの影響で配当株投資も広まってきているが、8パーセントの高配当利 回りの銘柄は限られる。企業業績によって株価が半分になるようなリスクもある。  保険なら経済環境が悪化しても保有し続けるだけで元本割れはない。しかも下手 な高配当株よりも利回りがいい。当然、為替レートによる変動リスクはあるが、人 口減少し、経済が縮小していく日本でこれから円の価値が強くなっていくだろうか?  経済成長性のある国の通貨で資産を保有するだけでも、為替差益だけでも、資産 を増やすことができる。  もちろん、わたしが失敗したようにブラジルやトルコなど、まだまだ経済が不安 定な新興国はリスクになる。異常な利回りの高さに手を出したくなるかもしれない が、米国やシンガポールなど金融先進国を選ぶべきである。  リスクを考えたときに債券でもよいが、わたしの場合は保険にしている。いずれ にしても老後の大切な資産が失われないように、大きく儲けようとせず、堅実な投 資商品を選ぶべきだ。  わたしは、タイ、マレーシア、フィリピンに不動産を所有しているが、日本で利 回り3〜4パーセントの不動産を買うくらいなら海外に移住し、ローンで養老保険 を買ったほうが堅実に儲かる。最低でもポートフォリオ全体の2割は海外資産にし ておくことをお勧めする。わたしは、日本と海外で50‥50のキャッシュポジション にしており、シンガポールに移住していたときから現在も変わっていない。 一一  儲かる商品には裏がある  不動産も同じだが、うまい儲け話には裏があるので、素人が簡単に手を出しては いけない。たとえば、ラサールーグローバルREITファンドという金融商品があ る。これは世界の不動産投信に投資をするものだ。  世界の不動産に投資したことがなかったのでやってみたかったことと、株や債券 よりも利回りがよく、扱っているのは世界有数の不動産投資運用会社ラサールイン ベストメントマネージメントという安心感もあった。  しかし、ふたを開けてみると、購入時の手数料と信託報酬―・5パーセントが差し 引かれる。それでも配当金が高いのは、原資を切り崩しているからだ。次の人が投 資したお金が分配金に回されているだけなので、基準価格はどんどん下がっていく。 分配金は多くもらえても、投資信託自体の価値が下かつていく。高い分配金を支払 えるスキームには裏があるのだ。  当時8パーセントほどの利回りであったが、年間で15パーセントも基準価格が下 かつてしまい、証券担保ローンの一部にこの金融商品を組み入れていたため、「明日 までに200万円入れてください」と追証が何度もきてしまった。  簡単に儲かりそうな話に安易に乗ると必ず失敗する。どんな金融商品でも同じだ。 マンションを売却して大きなお金が入ってくると、うまく運用して儲けを出すこと ばかり考えがちだが、一気に大きく資産を増やそうとせず、時間をかけてでも堅実 に伸ばす守りの資産運用をすべきだ。  同じことは不動産でも起こる。ベトナム、タイ、カンボジアに多いのは利回り8 パーセントを10年間保証するといった物件だ。そして、10年後にデベロッパーがI・ 3倍の価格で買い戻すという条件までついている。  ただ、実際には8パーセントの利回りは出ておらず、売却して得た利益から分配 金を支払っている。不動産のプロでないかぎり、このスキームを見抜くのは困難だ。 デベロッパーは8パーセント以上の運用をしている、買ったとき以上の売却益が見 込めるから自分たちも損をしないのだ、それだけよい物件なのだとアピールしてく るが、これはただのセールストークにすぎない。買わせることが最大の目的で、売 却益を得られればデベロッパーはそのお金を回転させるだけなのだ。  不動産のプロなら近隣の似た不動産から土地と建物の価格を調べたり、過去の取 引実績から売却価格を割り出す。比較したうえで今の実勢価格がいくらで取引され るか、利回りはどのくらいかを計算する。  すると、どう考えても売出価格が高すぎることがわかる。デベロッパーが利回り を保証して、高値で買い取りまでしてくれる物件は、下手をしたら相場の3〜4倍 で売られていたりする。結局、高い買い物をして、すずめの涙の分配金を受け取る だけで、総合的に見たら大きく損をしてしまっている。  近年、このスキームで被害に遭っている日本人が増えている。ひどい業者になる と、集めたお金をほかの事業に投資して、資金ショートし、10年保証しながら分配 金の支払いが2〜3年で滞るところもある。  私自身、自戒の念を込めて言うが、どんなに安全な話に思えても、(イリターン を求めると必ず(イリスクになる。長年住んだ家を手放して得た大事な資金だ。低 リスクでミドルリターンを狙うのが富裕層の資産運用である。  資産の20パーセントを金融先進国の通貨で、外貨預金をするか、国債を買うのが お勧めだ。米ドルでもシンガポールードルでもユーロでもいい。ただ、先進国の通 貨であることは必須条件である。経済の安定性と為替スプレッドの面でも有利であ る。  そして、低金利なので預け入れたお金を元にローンを組んで、そちらを運用して いくのだ。  たとえば、1億円を預け入れて、8000万円を融資してもらったら、理想は海 外の養老保険に入ることだが、居住者でなければ海外の保険はローンが組めないの で、国内で運用するとしたら、人口が減らない地域の不動産を買うことだ。狙い目 は大阪か福岡の中心街で、戸建てでもマンションでも民泊用でもいい。  なぜ不動産がいいかというと、さらにビ(レッジを利かせることができるからだ。 借りたお金を元手に、利回りが高くローンが9割引けるような物件を探して購入す る。東京都内だと不動産価格が高騰しすぎているが、大阪市内や福岡市内ならまだ 利回りの高い物件は見つかる。  すると、8000万円の物件を手付金や手数料諸々で1000万円ほどで手に入 れることができる。しかも、かなり(イグレードの物件だ。  残りのキャッシュはまず海外の不動産に投資をする。ここは新興国がターゲット になる。東南アジアだったら、フィリピン、カンボジア、ベトナム、マレーシアで もいい。よく物件を見定めたうえで5000万円ほどの物件を購入する。あまり知 られていないが、日本国内の不動産を担保にローンが使える国もある。こうして3 階建ての資産運用が完成する。  国内の不動産はインカムゲイン、海外は価格上昇が強いのでキャピタルゲイン狙 いでそれぞれ物件を所有する。  これで1億円の外貨預金か債券で、国内に8000万円の物件、海外に5000万 円の物件を所有することになる。資産総額は一気に倍だ。残り1000〜2000万 円は投資信託でもなんでも好きなものに投資すればいいだろう。 一  欲しい物件がなければ賃貸でもいい  マンションを売ったあとはどうするのか? わたしは賃貸こそベストの選択肢だ と思っている。日本では持ち家神話があるが、借地借家法があるこの国では借主の 権利がとても強い。家賃が大きく値上がりすることもなく、追い出されることもな い。よほど欲しい物件があれば別だが、自分の住まいを考えたときには賃貸のほう が割安でグレードの高い物件に住むことができる。  だから、わたしもマンションを売却してからは賃貸住まいだ。四ッ谷駅徒歩7分、 93平米の部屋は、39万円の家賃で借りている。現在、同グレードの物件を買おうと すると、2億円はくだらない。住宅ローンを35年フルに組んで買おうと思ったら、 月々のローン支払いは50万円におよぶ。  賃貸なら固定資産税を払う必要はない、「シャワーヘッドが壊れた」「エアコンが 壊れた」と言えば、取り替えてくれる。エントランスや共用廊下は毎日清掃が行き 届いている。メンテナンス費はフリーだ。  不動産は資産である。利回りが得られないと投資妙味がない。それゆえ、通常で あればローン返済額よりも賃料のほうが高くなるものだ。オーナーはローンを組ん で物件を買い、貸し出すときに家賃収入がローンの返済を上回らないと損をしてし まうからだ。  しかし、現在の市況はそれが逆転するくらい不動産価格が上昇している。首都圏 の新築の供給戸数が2000年代前半で8万戸あったものが、2万戸台になってし まっている。目玉の大規模開発も多くが完了している。これから供給量が減ること を見越して、今買わないと一生買えなくなるかもしれないと思っている人たち、投 資用としてもう1部屋買っておこうとする富裕層たち、ここにインバウンド需要も 絡んできて価格が釣り上がっている。  割安に住む秘訣は分譲マンションではなく賃貸マンションを選ぶことだ。分譲賃 貸はローン支払いがあるので、新しく物件を購入したオーナーが市場価格に合わせ て賃料を上げる可能性がある。賃貸マンションであればそうした発想はない。三井 不動産のパークアクシスシリーズ、三菱地所のパーク(ビオシリーズ、タワーマン ションEもある。  法人が所有していて、上場投資信託に組み込まれている長期運用のいい賃貸マン ションが狙い目だ。  あるいは、分譲マンションでもオーナーが古くから所有していて、賃料が上かっ ていない物件を探す。現在の相場からすると、50万円が適正でも、10年前に購入し ていればローン返済は30万円のまま、家賃は40万円でいいと設定されている物件も ある。日本は借地借家法があり、賃料は上げにくくなっている。更新時に賃料を上 げるためには、貸主と借主双方の合意が必要になる。もし借主が拒否した場合、貸 主は勝手に賃料を上げることができない。従前の賃料を払い続ければ、いきなり追 い出されることはない。  賃料改定するためには、裁判をするしかない。そうなると、賃料を上げるにふさ わしいエビデンスを揃えなければならないし、弁護士費用もかかる。そこで悪徳な 個人オーナーは立ち退き業者に頼んで、階下の部屋のバルコニーでくさやを焼いた り、夜に幽霊のふりをしてロビーの近くに立っていたり、嫌がらせをして追い出す というニュースが報じられることもあった。  通常、立ち退かせたい場合は賃料の8〜10ヵ月分程度をお支払いして、和解をめ ざす。わたしが不動産ファンドにいたときは、毎週弁護士事務所に通って、立ち退 きのためのミーティングがおこなわれていた。  本来50万円で貸せる物件を40万円で貸し出している状態であれば、相場よりも2 割安くなっている。もし、賃料を2割上げることができたら、不動産価格も2割上 げられる。10ヵ月分の賃料を支払っても、10億円の物件に12億円で値がつけられる ので利益は大きい。  賃貸マンションがお勧めだが、もし分譲マンションを賃貸したい場合は、2008 〜2010年あたりに竣工している物件はリーマンショック直後で安く買えている オーナーが多い。築15年ならまだまだ建物もきれいだ。あるいはやや古くなるが、 2000〜2005年に建てられた物件も賃料が安くなっている可能性が高い。  しかし、注意が必要なのは、一般的にマンションなら築20年を超えると大規模修 繕が始まってくる。戸建てなら構造に瑕疵(漏水、屋上の防水性、白アリなど)が ないかのチェックも必要で、見えないコストがかかるかもしれない。  そもそも修繕積立金は実施前、実施中と段階的に上がっていくことが多い。なぜ なら、デベロッパーは売り出したいために、修繕積立金を低めに設定して、毎月の 支払額が少ないように見せるから、途中で修繕積立金が枯渇してくるので上げざる を得ないのだ。  また、デベロッパーの関連会社が管理会社となって修繕計画を実行する。当然、自 社のグループ会社に受注させたいので談合が発生する。  表向きはマンション組合と話し合って、相見積りをとっているが、談合がおこな われていると最安値も何もない。高い金額を支払わされることになるのだ。  だから、修繕積立金は上がることを織り込んで物件選びをするべきだ。もしくは 外壁が覆われてしまったり、工事業者が出入りすることを敬遠する人も多い。セキ ュリティ面で心配はある。気になる人は、借りる前に大規模修繕計画がどうなって いるか確認しよう。  マンション管理組合の理事が不動産に詳しければ、見積書を見て無駄な支出がな いかチェックできるし、知り合いの施工会社を相見積りに参加させる交渉もできる。  わたしもマンション組合の理事長をしていたときがあった。すると、「竹林がせり 出していて剪定作業が必要です」「一部のフロアの内壁が爆裂していて修理が必要で す」と、必要以上の支出が目に余った。「景観的には何も問題がないし、人が出入り するような場所でもないでしょう」と、修繕費が雪だるま式に増えていくのを是正 していた。  管理会社が情報をあまりにもちすぎているので、最近ではマンション管理組合の コンサルティング業務をおこなうサービスも存在する。管理会社が委託している業 者に「清掃が週3回しかないのに、この金額は高いと思います。次回の理事会でほ かの清掃業者にも見積りをとるよう議題としましよう」とアドバイスをもらえるの だ。大規模なタワーマンションは修繕積立金も数百万円〜数千万円レベルで費用が 変わることもあるので、そうしたコンサルタントを起用しているところもある。 一  それでも物件を買いたい  もし、新築でも中古でもマイホームを新たに欲しい場合には、売却した仲介業者 に「こういう条件だったら買いたいと思っている」と伝えておくことだ。仲介業者 にとって買い手がすぐ見つかることほどありかたい話はない。キャッシュを持って いることは目に見えているので、仲介業者は「売却益は今後何かに運用するつもり だろう。投資妙味があれば興味をもってもらえるかもしれない」と考える。  賢い営業担当者は、1人の顧客と何度も取引する。売却活動を手伝うだけでなく、 今度は買ってもらえるように、賃貸住まいなら更新の3ヵ月くらい前から適した物 件を紹介し始める。  だから、長い目で見て、継続的にコミュニケーションの取れる優秀な仲介業者や エージェントをI〜2人、お付き合いしていくのがいい。  マンションの場合、築20年が経過したころから大規模修繕がおこなわれると述べ たが、戸建ての場合は、そういった仕組みがないので、瑕疵がないかを自分で調べ なければならない。屋上や軒下など、自分では見られないところを購入前にプロに 調査・検査してもらうのだ。海外では古くからあるインスペクターという専門職業 で、国内でも日本インスペクターズ協会がある。  また、注文住宅の場合は実際の建物が図面どおりになっていないこともある。建 てたときは図面どおりで、行政の建築確認が完了していても、あとから「屋上に備 え付けの物置をつけた」「駐車スペースの上に屋根をつけた」と増築した場合に、ふ たたび検査を受けていない可能性がある。不動産は容積率が決まっていて、土地の 大きさに対して、建物の広さ(延べ床面積)が規定されている。これをオーバーして いると違法建築となってしまい銀行の融資は下りない。ほかにも地下の配線が変わ っていたり、プロでも見抜きにくいのが中古の注文住宅だ。 一  資産性を考えれば山手線から徒歩10分圏内  新たに自宅を所有するとしても、数年後にはふたたび売却を見据えている人もい るだろう。その場合は東京の山手線内もしくは徒歩10分圏内、50平米以上、ワンル ーム以外、築15年以内の物件を選ぼう。  マイホームを売却して、都心から離れて八王子などの郊外へ引っ越してしまう人 もいる。確かに不動産が安く、広い家に住めるかもしれないが、持ち家の資産性を 考えた場合には、10年後、20年後、人口減少が顕著で買い手がいなくなる。二束三 文の価値になってしまうだろう。  また、50平米以上からが住宅ローンの対象になる。二人暮らしならワンルームで もいいが、ファミリー向けに考えればツールーム以上が望ましい。5年後に売却す ることを見据えて、築15年以内の物件にする。 一  賃貸では老後が心配17‥  高齢になった際に家を借りられなくなるので、持ち家がないと苦労するという神 話がまかりとおっている。大家の立場からすれば、高齢者が入居するリスクは事故 物件になることだ。しかし、UR都市機構の物件は高齢であろうが年齢を理由に入 居を制限することはできない。  あるいは、子どもが社会人になって、夫婦二人暮らしになる。60歳手前なら現役 で働いている。そのタイミングでダウンサイジングのために賃貸を借りれば、そこ から住み続けて70歳になったときに、一般的には別の賃貸に引っ越すという選択肢 にはならないだろう。介護サービス付きの高齢者向け住宅や特別養護老人ホームな ど安心して住める住居を探すはずだ。  少子高齢化は日本の社会問題なので、インフラ整備は進んでいる。都心から離れ ると、大型のシニア向け住宅もたくさんある。老後の選択肢は充実しているのだ。 =  新築マンションに住み替えたいときの注意点  これまで家を売るための方法を述べてきたが、買う場合に注意したいことも説明 しておきたい。  あなたが住み替えをしたいと不動産会社に申し出ると必ず中古を勧めてくるだろ う。もし新築マンションも検討したいのであれば、自分で探すしかない。一時的に 賃貸住まいをしながら、仲介業者に「いい物件があれば紹介してください」と伝え たとしても、2年後に完成予定の新築マンションを紹介してくることはまずない。  理由は、新築マンションのデベロッパーが仲介業者に手数料や紹介料を支払うこ とがないからだ。もしあるとするならば、よほど売れ行きのよくない物件になる。一 方で仲介業者にとっていちばん狙いたいのは不動産の両手取引だ。買主から依頼が あって、自分で売主を見つけてくれば売主からの手数料3パーセントも懐に入る。  しかし、新築物件はデベロッパーが非常に強気で、仲介業者が「買い手を見つけ てきました」と言っても、手数料を支払わない。デベロッパーは同じグループの販 売代理店と契約し、販売を一括で任せていて、そちらに手数料を落としたほうがい いし、東京の大規模な開発は何もしなくても抽選になるくらい人気が高いため、他 社に頼らなくても売れるからだ。ほかの仲介業者が入る余地はほとんどない。  また前述のとおり不動産販売において二重価格の公示が禁止されているので、た とえ仲介業者が「うちの買主さんは販売価格のI・5倍を出すと言っています」とア ピールしてもデベロッパーは受け付けてくれない。新築は売れ残ることがない限り 必ず売り出し価格で取引される。  このため、仲介業者は戸建てなら新築を提案するが、基本的にマンションは中古 の物件を紹介してくるのだ。  しかし、個人的な持論だが、資産性ばかりを気にして住みにくい家に我慢して住 むくらいなら、本質的には快適に過ごせる、住みたい家に住み替えをしてもらうの がいいと思っている。  もちろん、ローン返済の持ち出しが発生したり、高値づかみにならないように一 定の資産性は見るべきだ。  ただ、最終的に自分の住む場所は、納得感を大事にして決めることがいちばんだ。 不動産は資産だが、自分が使うものでもある。車も乗り心地がいい、ステータスに なる、ただ走れればいいなど求めるものは人それぞれだ。単純にリセーゲ(リュー だけで選ばないだろう。家も同じように、最終的には資産性よりも自分の好みが重 要になってくる。内見をして自分が住みたいと思うかも大切にしてほしい。    おわりに  わたしの親は、不動産を購入したことはあるが売却をしたことはない。それも自 宅のマンション購入のI度きりで、昨年そのマンションは築50年を超えた。当然、わ たしもそのマンションで幼少期から大学卒業まで過ごしたわけだが、築30年を超え たあたりから、古さを感じるようになった。また、大規模修繕やエレベーターの更 新工事時には修繕積立金が不足し、各所有者が数十万円の一時金を負担することに なり、管理組合で借り入れをおこなう必要も生じた。  大学を卒業し不動産業界に入ったあと、密かに実家の査定をしてみた。そして、実 家に立ち寄るたびに「今なら購入した金額の3倍で売れるから住み替えたら?」と 提案をしていた。  親は「持ち家がないのは老後のリスクだ。今の環境を変えたくない」と言って売 却を実行したことはなかった。わたしの親と同世代(団塊世代)は保守的な傾向もあ り、持ち家を一度も売却したことがない人も多いだろう。  もちろん、不動産売却によって数千万円のキャッシュを得ることが絶対に幸せだ とはいえない。しかし、わたしの世代(40代)やそれ以下の若い世代は、将来を考え たときに不動産を活用してキャッシュ化することが必要だろう。  少し前に「老後2000万円問題」が世間で取り沙汰された。先進国のなかでも っとも低成長で少子高齢化が進む日本では、年金のみで豊かな老後を送ることはで きない。生活資金が確実に不足する将来が見えているなかで、不動産を合めた資産 の売却によるキャピタルゲインは非常に心強い蓄えになる。  ひと昔前までは、引っ越しをすると子どもの学区域が変わり、転校を余儀なくさ れることから自宅の住み替えがためらわれることもあったが、現在は多くの家庭で 小学校・中学校受験をしており、インターナショナルスタール通いの子どもたちも 増えている。  わたしは社会人になってから海外移住を経験したが、今後は10代から海外で生活 したり、社会人になってからも各国を渡り歩いてビジネスをする人たちも増えてい くだろう。マイホームが当たり前の環境は徐々に変わってきているのだ。  不動産売却の概念も方法も時代とともに変化している。その潮流のなかでどう個 人の生活を守り、豊かな人生を築いていくのか? これが本書のテーマだ。そこに はわたしが経験してきたこと、実践してきたことだけを盛り込んだ。  40年に一度の不動産バブルである。世界から注目されている日本の不動産を活用 し、大きなリターンを得て新しい未来を切り開いていってほしい。この本がその一 助となればさいわいである。最後までお読みいただき、ありがとうございました。  2024年10月            住み替えをした自宅マンションの書斎にて 風戸裕樹